信頼できる政治の実現に向けて Part2
今回も前回の記事内容の続きに位置付け、タイトルに「Part2」を付けて書き進めていきます。まず自民党総裁選ですが、衆院解散の時期まで取り沙汰されながら様々な情報が錯綜していました。金曜の昼休み、菅総理が総裁選に出馬しないというニュースに接した時は本当に驚きました。
「一部には出馬辞退かという憶測が流れましたが、本人はそんな気は全くありません。勝つ気、満々ですよ。『岸田ノートなんてさ…』と小バカにしたように周囲に言ってました」という話が官邸関係者から明かされるなど、それまで菅総理は総裁選に向けて闘争心を高めていたはずです。
菅義偉首相(72)が3日、総裁選(17日告示、29日投開票)の不出馬を表明し、今月末の総裁任期をもって、首相を辞任する見通しとなった。昨年の発足からちょうど1年の〝短命政権〟となったが、一体何があったのか?
菅首相はこの日、「新型コロナ対策に専念したい」との理由で総裁選へ立候補しないことを表明した。このところ菅首相は前言撤回のドタバタ劇が繰り広げていた。総裁選への出馬を明言しながら、先月31日夜に毎日新聞が総裁選前に党役員人事と内閣改造に踏み切る意向が報じられた。
事実上、総裁選を先送りし、解散総選挙に出る奇策だったが、党内からは「姑息」「この国が崩壊する」と罵倒され、翌日には「解散できる状況ではない」と封じ込められた。
せめて党役員人事だけでもと、二階俊博幹事長の交代を決断したものの、後任を巡っては意中の人物が見つからずに政権浮揚につながる目玉人事も右往左往。結局、自身を支えた二階氏を切ったことで、孤立無援となり、最後の相談相手となったのは無派閥の小泉進次郎環境相だけだった。
菅首相は8年続いた安倍政権で、歴代最長の官房長官を務めた。「アメとムチで官僚人事を差配し、官邸主導でニラミを聞かせ続けた分、恨みを持つ官僚も多い。支持率低下とともに見切りをつけられ、官僚のしっぺ返しともいえるサボタージュに遭い、統制がとれなくなった面は否めない」(同関係者)
夏前にはこんな出来事も起きた。「菅首相が登庁時に寝癖で髪の毛が数本跳ね上がってしまっていたんです。寝癖は珍しくないが、あそこまでピンと跳ね上がっていたら、かっこつかない。普通は周りが進言するが、キレられるのを恐れ、誰も言えなかった」(党議員秘書) 腹の内をこぼす相手がおらず、常に緊張感でピリピリ。ある種の“恐怖政治”を強いていた分、崩れ落ちるスピードも早かった。
「もし9月中に解散総選挙に突っ込んでいたら200議席を割っていた可能性もあった。公明党との連立での過半数も無理で、維新や国民との連立政権になっていたし、来年の参院選でねじれになってもおかしくなかった。最後は菅首相自ら身を引いてくれたことで、自民党を救ってくれた」(党ベテラン)【東京スポーツ抜粋2021年9月5日】
前回記事「信頼できる政治の実現に向けて」の中で「このような話が周辺から漏れてくること自体、菅総理に対する求心力や信頼感が薄れている表われなのだろうと思っています」と記していました。周辺の関係者でなければ知り得ない情報がメディアに伝わり、話の中味そのものが決して菅総理にとってプラスの評価につながらないものばかり目立っていました。
このような話を漏らせば菅総理にとってマイナスに働くのではないかと思えば必ず躊躇するような内容が、日頃の鬱憤を晴らすような語感が添えられながら語られています。2年前に「『官邸ポリス』を読み終えて」という記事を投稿していましたが、官邸側がマスメディアの情報をコントロールするという見立ては今や絵空事だったと言えます。
昨年3月には「映画『新聞記者』」という記事も投稿していました。マスメディア側が貴重な情報を操作するようでは民主主義の根幹を揺るがす話であり、紹介した小説や映画の内容があくまでもフィクションに近いことに安堵しなければなりません。
とは言え、菅総理が周辺の関係者と日頃から良好な関係を築いていれば、もう少し違った報道内容につながっているような気がしています。日テレNEWS24のサイトでは『菅総理は「河野氏を支持」の意向 総裁選』という見出しを付け、下記のような顛末を伝えています。
菅総理は週明けに党役員人事を行うために、3日、党の最高意思決定機関である総務会で一任をとりつける予定でした。しかし、総理周辺によりますと、菅総理は今回の人事への反発が強く、総務会で一任をとりつけることはできないと判断したということなんです。
これが立候補を断念する最後の決め手になったということです。菅総理は、立候補を断念することを3日まで政府や自民党の幹部にも伝えていませんでした。自民党の役員会が始まる直前に二階幹事長も知らされたということです。総理周辺は「菅総理は1人で決めた。いかにも菅総理らしい」と語っていました。
結局のところ私心を捨て、国民のために最適な判断を下した訳ではなく、本当は続投したかったけれども、それがかないそうにないため不出馬を決めたという話だったようです。そのため「コロナ対策に集中するため不出馬と言っているけれど、勝てないからでしょ。最後まで自分勝手」という批判の声も聞こえています。
私自身、出馬を予定する中でこのコロナ対策と選挙活動、こうしたことを考えたときに実際莫大なエネルギーが必要でありました。そういう中でやはり両立ができない、どちらかに選択すべきである。国民のみなさんにお約束を何回ともしています。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために私は専任をしたい、そういう判断をいたしました。国民のみなさんの命と暮らしを守る内閣総理大臣として私の責務でありますので、専任をしてこれをやり遂げたい。このように思います。
上記は金曜の午後、官邸で記者団に対して不出馬の理由を説明した時の菅総理の言葉です。NHKのニュース映像でのテロップは「専任」の箇所を「専念」と伝えていました。きっと別途配布された原稿には「専念」と記されていたのだろうと思います。菅総理の言い間違いだったようですが、小学生らが「専念」の読み方を「センニン」と覚えてしまわないか少し心配しています。
私心が前面に出がちだったかも知れませんが、菅総理が感染対策に向けて長期間休日返上で取り組まれてきたことも間違いありません。本来、退任を決められた菅総理に慰労や感謝の言葉を送りたいところですが、たいへん残念ながら上記のような冷ややかな見方や問題意識が先立ってしまいます。
『飲食業者「コロナ対策さじ投げたのか」菅首相退陣に怒りとため息』という見出しを付けた毎日新聞の記事の中で「自民党の次期総裁選を巡る動きは、直視すべきコロナ対策ではなく政局に力が入っているように感じる」「次に首相になるのが誰かは分からないけれど、飲食店への制約に偏った今のコロナ対策を見直し、国民に寄り添った政策を行なってもらいたい」という声を紹介しています。
かつてないコロナ禍という危機の中、総理大臣を誰が担っても苦難の連続だったものと思っています。しかし、もっと謙虚に幅広い意見や情報に接し、より望ましい「答え」を見出す努力を尽くすリーダーであれば、もう少し違った局面を迎えられていた可能性も否定できません。
今後、必ず総理大臣が変わります。ぜひ、菅総理の至らなかった点を反面教師とし、せめて周囲の関係者とは良好な信頼関係を築ける人柄や資質を備えた方に担って欲しいものと願っています。前述した日テレの報道のとおり菅総理は世論調査で好感度の高い河野ワクチン担当大臣を支持しているようです。
ただ週刊文春の最新号で『河野太郎大臣パワハラ音声 官僚に怒鳴り声「日本語わかる奴、出せよ」』という記事が掲げられています。総裁選の出馬に当たって今のところ致命傷にはなっていないようですが、もし河野大臣が総理大臣に就任した場合、菅総理と同様な周囲との関係性を危惧しています。
今回、総裁選に名乗りを上げていませんが、小泉環境大臣の涙が注目を集めました。『菅総理との会談を終え、小泉環境相が涙「こんなに結果を出した総理はいないと思う。正当に評価されてもらいたい」』という記者団とのやり取りの中で、小泉大臣は涙を流していました。
「野党からは無責任だとか、コロナから逃げたという批判があるが、全く逆だ。総理として本気で向き合って、コロナを最優先にしたいから引くという判断をした。逃げたなんてとんでもない」と語り、菅総理を擁護する立場からの涙だったようです。しかし、上記のような経緯を照らし合わせた時、身内びいきと取られかねない見方であるように感じています。
信頼できる政治の実現に向けて、今回は野党側の話を中心に書き進めていくつもりでした。やはり菅総理の退陣という衝撃的なニュースに接し、その内容だけで相当な分量となっています。そのため、久しぶりに次回の記事には「Part3」を付け、今回の内容から野党の話につなげていくことを考えています。
最後に、その頭出しとしてTBS系「ひるおび!」の一コマを伝えた記事『田崎史郎氏、菅首相を「無責任」と批判の枝野代表に激怒「非常に酷だと思いますね。彼の言い方は」』を紹介します。田崎さんの言葉は下記のとおりですが、小泉大臣と同様、菅総理との普段からの距離感の違いによって受けとめ方が大きく分かれているようです。
「菅さんはコロナ対策に自分のエネルギーを注ぐために総裁選に出ませんと。総裁選との両立は難しいからコロナに集中するために今回は出馬しないという論理構成でしょ」と首相の意図を説明した上で「それなのに、コロナ(対策を)やってない。こんな中で辞めるのかというのは…。コロナ対策をやるために出ないわけですから、それは非常に酷だと思いますね。彼の言い方は」と声を荒らげていた。
確かに「無責任」という批判は的を射てないように思っていました。より望ましい感染対策のためにも結果を出せなかった菅総理の退陣を歓迎したい、そのような言葉とともに自分たちが政権を託された際は信頼できる政治の実現のために全力を尽くす、このような決意を枝野代表には述べて欲しかったものと思っています。
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コメント
信頼できる政治を自民党以外の政党がやりたいというのであれば、旧同盟≒連合に阿る立憲民主党の体質を今すぐどうにかすることから始めなさい。消費税増税と財政健全化、正規公務員のみの待遇改善しか頭にない御用組合・連合は野党の足を引っ張る最大の障害物であると認識せよ。
投稿: れなぞ | 2021年9月15日 (水) 21時02分
れなぞさん、コメントありがとうございました。
今週末に投稿する新規記事は、さすがに「信頼できる政治の実現に向けて」の「Part4」とすることを考えていません。それでも最近の記事に託しているような問題意識について必ず触れていくことになるはずです。
れなぞさんが認識している問題意識に結び付くものなのかどうか分かりませんが、ぜひ、引き続きご注目いただければ幸いです。よろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2021年9月18日 (土) 08時57分