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2021年9月18日 (土)

自民党総裁選と野党の立ち位置

最近、政治の話題を取り上げた記事の投稿が続いています。「信頼できる政治の実現に向けて」は「Part3」まで重ねました。さすがに今回は「Part4」としませんが、土曜の朝「Part2」のコメント欄に「それでも最近の記事に託しているような問題意識について必ず触れていくことになるはずです」と記していました。

れなぞさんから寄せられたコメントに答えたもので、その後に「れなぞさんが認識している問題意識に結び付くものなのかどうか分かりませんが、ぜひ、引き続きご注目いただければ幸いです」とつなげていました。なお、れなぞさんの問題意識とは次のような内容でした。

信頼できる政治を自民党以外の政党がやりたいというのであれば、旧同盟≒連合に阿る立憲民主党の体質を今すぐどうにかすることから始めなさい。消費税増税と財政健全化、正規公務員のみの待遇改善しか頭にない御用組合・連合は野党の足を引っ張る最大の障害物であると認識せよ。

短い内容ですが、反論や指摘すべき点が多く見受けられています。今回の記事を通し、そのような認識の相違を焦点化しようとは考えていません。れなぞさん自身、すべて事実という前提で認識されていることを個々に反論を加える場合、相応の労力が伴うことを覚悟しているからです。

その上で今回、れなぞさんのコメントを紹介した理由は次のような心得の大切さにつなげるためでした。認識の異なる方々に対し、自分自身の認識の正しさを理解してもらうためには具体的な事例を掲げながら説明していくという心得が大切です。そのような説明がなく、決め付けた事実関係を前提にした批判だった場合、相手方の反発を強めるだけだろうと思っています。

憂さ晴らしのため、単に批判を目的にしているのであれば仕方ありません。ただ誹謗中傷だと見なされた場合、ネット上での書き込みに対する規制強化の動きが進んでいることにも着目しなければなりません。念のため、れなぞさんのコメントを誹謗中傷だと決め付けている訳ではなく、もう少し書き方に注意願えれば幸いだと考えています。

このような心得は野党の立ち位置や発信力の問題としても大きな鍵になるはずです。2か月前の記事「菅内閣の支持率低迷、されど野党も」の中で立憲民主党の支持率が上がらず、政権批判の受け皿として世論の期待が集まっていない現状を伝えていました。菅総理が退陣を決め、自民党総裁選が注目を浴びる中、ますます野党側の埋没感は増しているようです。

17日告示の自民党総裁選に立候補した4氏の陣営は「初日が肝心」とばかりに党所属国会議員や党員へのアピールに躍起になった。混戦が予想される中、総裁の座へ期待と不安を抱える各陣営からは、悲喜こもごもの声が聞かれた。

「リスクを取って誰よりも早く行動を起こす『ファーストペンギン』は、紛れもなく岸田さんだ。後から改革を言うのは誰でもできる」。岸田文雄前政調会長を支持する甘利明税制調査会長は17日の会合で、菅義偉首相の退陣表明前に「挑戦」を表明した岸田氏を後押しした。「極寒の地で微動だにせずに卵を守る(ペンギンの)ように、コロナの中で国民に寄り添う」と持ち上げる一方で、「永田町以外では知らない人が多い」と課題の発信力不足も指摘した。

オンラインの出陣式で気勢を上げた河野太郎行政改革担当相には、ワクチン担当閣僚として登用した菅首相が17日に支持を明言した。石破茂元幹事長と小泉進次郎環境相の支持で党員人気に自信を深める陣営だが、4候補の出馬で「先行逃げ切りは難しい」との声も増える。陣営幹部の一人は勝利への戦略を練り直しつつ、「これで負けたら地下に2~3年こもる。(安倍政権で冷遇された)石破さんの気持ちが分かるなあ」と苦笑した。

安倍晋三前首相ら保守系議員に支援される高市早苗前総務相。支援する細田派の高鳥修一衆院議員は所見発表演説会後、「(高市氏が)国旗に一礼してから話を始めたのは好印象」と満足げだった。安倍氏が影響力を持つ細田派で岸田氏を支持するある議員は「安倍さんに『岸田さんをやるの? 困るなあ』と言われた」と明かす。高市氏の勢いに自信を示す陣営幹部が多い一方、「今日の陣営会合に代理が出席した議員は、岸田氏支持との両にらみではないか」(別の同派議員)との見方も漏れる。

野田聖子幹事長代行は、告示前日に「滑り込み」で総裁選出馬を表明した。選対幹部の渡辺猛之副国土交通相は「野田氏が悲願の舞台に立ったのが心からうれしい」と高揚した様子だった。別の選対幹部は「ある党幹部が昨夕、推薦人を翻意させようと電話をかけていた。(闘志の)ロケットに火がついた」と息巻く。ただ事前の準備不足は陣営の多くが認めるところで、届け出順で野田氏が4番目になると、支持議員の一人は「(現時点で最も劣勢という)順番通りじゃないか」とぼやいた。【毎日新聞2021年9月17日

自民党の総裁選に対し、立憲民主党の枝野代表は「国会議員の仕事は国会にある。5時以降にやっていただきたい」、福山幹事長は「新型コロナウイルス対策よりも自民党は総裁選挙にかまけており、甚だ遺憾だ」と批判しています。このような言葉は残念ながら単に批判を目的にしているように受け取られかねません。

コロナ禍が長く続く中、様々な会議や行事の開催是非を主催者が個々に判断しています。大きな影響を及ぼさないのであれば中止や延期することが最も望ましい感染対策です。中止や延期が難しい場合、必要な感染対策に留意しながら予定通り開催することになります。任期の定められた自民党総裁選が後者の判断に至ったことについて大きな違和感はありません。

ネット上から「特大ブーメラン」という声が聞こえていますが、立憲民主党も昨年9月7日に代表選の記者会見を午後1時から行なっていました。国会開会中であれば当然「5時以降にやっていただきたい」という批判が真っ当なものとなります。枝野代表と福山幹事長の発言は臨時国会の開催を拒んでいる自民党の姿勢を念頭に置いたものだったはずです。

野党側はコロナ対策として必要な法改正や補正予算に素早く対応できるよう臨時国会の召集を求めています。憲法53条で臨時国会について「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めています。野党4党は7月に衆院議員136人の連名で速やかな臨時国会召集を求めています。

その後も繰り返し召集を求めているのにも関わらず、応じていないのは憲法をないがしろにするものであり、それこそ強い批判の対象にすべきことだろうと思っています。つまり臨時国会の召集に応じない自民党を批判しているつもりだったとしても、言葉や説明が不足すると「特大ブーメラン」というマイナスの発信になりかねません。

コアな支持者向けであれば回りくどい説明は余計なことで、自民党をストレートに批判する言葉のほうが分かりやすく、喝采を浴びるのかも知れません。しかし、総選挙戦を勝ち抜くためには幅広い層からの共感や賛同の広がりが不可欠です。ぜひ、枝野代表らには立憲民主党を冷ややかに見ている方々や関心のない方々に対しても「なるほど」と納得感を得られるような言葉の発信力を磨いて欲しいものと願っています。

自民党総裁選の岸田候補について前回記事の中で少し触れました。今回、他の候補者についても触れてみようと考えていましたが、ここまでで相当な長さの記事となっています。興味深かった他のサイトの内容を紹介しながら続けると、ますます長くなりそうです。そのため、それぞれのサイトの内容のタイトルのみ紹介し、関心を持たれた方はリンク先を参照くださるようお願いします。

河野太郎大臣の“禁断動画”が拡散!「ブロック問題」で特大ブーメラン』『痛烈!!杉村太蔵氏が河野氏は「役人を怒鳴る」と追及 河野氏は顔を赤くし釈明…「平塚弁ちょっときつくなる」 識者「霞が関は戦々恐々だろう」 』『河野太郎陣営から聞こえた“意外な悲鳴”…「こんなに不人気だと思わなかった」』『「高市氏の昔を知っているよ」 総裁選候補者3人で最も優れているのに胸がザワつく理由〈dot.〉

今回、立候補されていませんが、石破元幹事長の「誰が」ではなく、「何をやるか」という言葉が印象深く、『「政治家の言葉を国民が信用しない」状況の責任は政治家にある』の中で「そもそも、政治不信とは何でしょうか。政治家の言葉を国民が信用しないということです。しかし、この事態を嘆く前に、政治家は自らに問うべきです。では、自分たち政治家は、国民を信用しているのか」と語っています。

本当のことを言っては票を減らしてしまう。お金にならない安全保障の話をしても票につながらない、といった考えで、自らが本気で信じていないような甘い言説を撒き散らかしてはいなかったか。国民を信用しない政治家が、国民に信用されるはずはありません。

消費税に対する考え方なども同様だろうと思っています。「甘い言説」ではなく、明確な理論や客観的な根拠に裏打ちされた政策であれば歓迎すべきことですが、票を集めたいだけの公約では問題です。自民党総裁選は準決勝であり、その先の総選挙を決勝戦と位置付けた野党側にも強く求められている考え方だと言えます。

1年前の記事「新しい立憲民主党に期待したいこと」の中で、立憲民主党の参院議員の江崎孝さんと衆院議員の大河原雅子さんにお会いする機会があり、率直な意見をお伝えしていました。このブログで発信している主張がSNS上にとどまらないように機会があれば政治家の皆さんに直接訴えさせていただいています。

つい最近、衆院議員の末松義規さんとも意見交換する機会がありました。末松さんは連合東京と自治労都本部が推薦する候補で、私どもの組合も推薦を決めています。お会いした際、消費税について話題になり、私から上記のような問題意識のもと丁寧な情報発信の必要性について触れさせていただきました。

最後に、今回の記事タイトルを「自民党総裁選と野党の立ち位置」としていましたが、少し散漫な内容になっていたかも知れません。ブログのサブタイトルに「雑談放談」とあるとおりですのでご容赦ください。いつも述べていることですが、実際の組合活動の中で政治的な課題の占める割合はわずかです。次回以降、久しぶりに組合活動の現況を綴っていくことを考えています。

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