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2021年8月28日 (土)

信頼できる政治の実現に向けて

火曜の夜、パラリンピック東京大会の開会式が行なわれました。車椅子の少女が演じた「片翼の小さな飛行機」の物語の演出は好意的な評価を得ていました。運営統括の担当者は「五輪もパラリンピックもテーマは多様性。五輪は色々なものを出してそれを表現しようとしたが、パラは一つの背骨を作って式典を進めた」と解説しています。

舞台裏を明かせば『パラと五輪、開会式で出た差 「外野の注文少なかった」』という事情があったようです。いつも当ブログを通し、より望ましい「答え」を見出すためには幅広く多様な声に耳を傾けていくことの大切さを訴えています。とは言え、全体を的確に調整できる責任者がいるかどうかによって今回のように明暗は分かれがちとなります。

コロナ禍という未曾有の危機の中、最も的確な調整能力や判断力が求められている菅総理ですが、開会式での手拍子の遅れなど覇気のなさを心配する声が聞こえてきています。東京五輪の開会式では開会宣言の時、起立するタイミングが遅れたことで物議を醸していました。後から大会組織委員会がアナウンスできていなかったことを謝罪し、菅総理をフォローしていました。

ただ週刊文春では次のような顛末も伝えています。「首相は以前に増して、周囲の進言に耳を傾けなくなりました。五輪開会式では天皇陛下の開会宣言の際に起立しなかったことが批判されましたが、この直前、首相は式での陛下の動線をレクしようとした秘書官を『要らない』と一蹴した。そのため陛下のご移動にあわせて即座に起立できなかったのです」と記しています。

このような話が周辺から漏れてくること自体、菅総理に対する求心力や信頼感が薄れている表われなのだろうと思っています。このような傾向を前々回記事「スガノミクスと枝野ビジョン」の中でも伝えていましたが、菅総理は周囲の声に耳を貸さない「裸の王様」であり、自ら「官邸ひとりぼっち」の状況を作り出しているようです。

都道府県ごとの緊急事態宣言は小出しに対象地域が拡大しています。発令する際は総理記者会見が慣例となっているようです。この慣例を破ると逃げているという批判を受けるため水曜の夜も菅総理は苦手としている記者会見に臨んでいました。その会見でも菅総理の「明かりははっきりと見え始めています」という言葉が物議を醸していました。

やはり菅総理に寄せられる情報は偏在しているのかも知れません。「スガノミクスと枝野ビジョン」は「Part2」まで重ねてきましたが、めざすべき総論的な社会像や具体的な施策の優劣を競い合う以前の問題として、トップリーダーの資質や適性という側面から菅政権が続くことの危うさを強く感じるようになっています。

最近、菅総理が信頼を寄せているパソナの竹中会長は「医療ムラ解体しないと日本は良くならない」と語り、医療の逼迫に対して持論を訴え始めています。この訴えに呼応しているのかどうか分かりませんが、『コロナ患者受け入れ拒否なら『病院名公表』に現場は怒りの声も』という報道を目にしていました。

国と東京都が23日、東京都内の全医療機関に新型コロナウイルス患者受け入れを要請すると決めた。従わないと病院名を公表する“踏み絵”の強硬策にSNSを通じて現場からは怒りの声が上がっている。小説家で医師の知念実希人さんは自身のツイッターで「もうなんか、燃え尽きかけてきている医療従事者にとどめを刺しに来ましたね」と指摘。

「いま入院している患者さんを追い出して病床を作ろうが、感染拡大を止めないと焼け石に水なんですよ。1年半、命がけで頑張ってきた医療従事者をスケープゴートにするんですね」と続けた。愛知県医労連も「いま大事なことは医療機関への制裁ではなく支援です。コロナ感染爆発を引き起こした責任を、医療機関に押し付けるのですか。最悪の責任転嫁。許せません」と怒りをぶつけた。

別の医師は「もう限界」とつづり、「専門分野の診療は縮小して…給料は減って…家族との時間も減って…飲み会や会食どころか外食や私用の外出も完璧に自粛して…ただひたすら自宅と病院を往復して…さらにコロナ(患者)を受けろって」と嘆いた。他にも「医療従事者にありがとうと言いながら、後ろで首を絞めてる感じ」などと、批判のコメントが相次いだ。【中日スポーツ2021年8月23日

たいへん驚き、失望しています。以前の記事「もう少し新型コロナについて」の中で、日本国内の医療機関は世界最多水準である160万ほどの病床がありながら病床逼迫に至る事情を綴っていました。このような事情の解決に向けて政治が力を発揮しないまま高圧的な対応をはかる姿勢には非常に残念な思いを強めています。

菅総理は記者会見で「感染拡大を最優先にしながら考えていきたい」という言い間違いもしていました。その記者会見のあった週末には横浜市長選があり、菅総理の全面支援を受けた小此木八郎前国家公安委員長が立憲民主党推薦の山中竹春候補に日曜夜8時の段階で敗れています。横浜市長選の結果は『菅首相「現職総理で史上初の落選」危機! 横浜市長選で地元有権者もソッポ』という衝撃的な見出しにつながっています。

当選した横浜市立大学医学部の教授だった山中新市長にはハラスメント疑惑などを払拭できる横浜市のトップリーダーとしての心機一転した働きぶりを期待しています。もし山中新市長が横浜市民の皆さんからの期待を裏切るようであれば今後の衆院総選挙での野党共闘のあり方に影を落としかねません。

菅総理が省みるべき点は多々あるようです。親交の厚い小此木候補が圧勝すると考えていたのかも知れません。支援した候補者の勝利は自分自身の総裁選や総選挙戦に向けてプラスに働くと計算していた場合、見通しの甘さなどを反省しなければなりません。下記は朝日新聞の社説の一部からの抜粋ですが、これまでIRを推進してきた経緯からの説明責任も求められています。

首相は安倍前政権の官房長官当時からIRの旗振り役を務め、地元横浜市は候補地として有力視されていた。にもかかわらず、今回、(IR反対に転じた)小此木氏支持を打ち出したのは、市民の間に反対が強いとみて、野党系市長の誕生阻止を最優先したのだろう。

IRには、ギャンブル依存症の増加やマネーロンダリング(資金洗浄)、治安の悪化などの懸念がある。推進の林氏の得票率は13%にとどまった。首相はこの機会に、IR政策全体の見直しに踏み込むべきだ。でなければ、小此木氏支援はご都合主義の極みというほかない。

本来であれば、IR誘致をどうするのか、方針を転換するならするで、党内論議を重ね、意思統一をしたうえで有権者に提示するのが、政党としてあるべき姿だろう。自民党のガバナンスもまた問われている。

自民党の大野伴睦元副総裁は「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちれば、ただの人」という言葉を残していました。政治家の皆さんが選挙に有利か不利かという思考を前面に出してしまうことも、ある程度仕方のないことだろうと思っています。しかし、そのことを優先しすぎて長期的には全体の利益を損ねる判断に至っているようであれば大きな問題です。

さらに国民の側から「あの政治家は自分の選挙のために発言しているな」と見透かされるようであれば共感は得られにくくなります。一方で、私心を微塵も感じさせず「本当に私たち国民のために頑張ってもらっている」と思わせるような政治家も少ないため、あくまでも度合いの問題なのかも知れません。

果たして菅総理はどうでしょうか。「57年ぶりの東京五輪が開幕」の最後に紹介した下記のような内容が事実であれば非常に憂慮すべきことだと考えています。信頼できる政治の実現に向けて、最も重い責任と役割を担っている総理大臣には国民の心に響く言葉を発して欲しいものと心から願っています。

「菅首相は選挙しか興味がない」と自民党のベテラン政治家は言う。「会って飯を食っても選挙の話しかしない」と言うのだ。菅首相は、緊急事態宣言を出すかどうか、オリンピックをやるかどうか、無観客にするかどうか、もすべて「選挙に有利に働くかどうか」で決めてきたのかもしれない。

オリンピックとパラリンピックを予定通り開くことと外出自粛を求めることの納得感、飲食店が休業に応じた場合に充分な補償を得られるという安心感、病床逼迫に対する具体的な手立てなど実効ある感染対策の可視感、そして、コロナ禍での様々な要請は私たち国民のために必要なものであるという政治に対する信頼感があれば、これほどまでの感染拡大には至らなかったように思えてなりません。

最後に、水曜と木曜、自治労大会が開かれました。広島市での開催を予定していましたが、新型コロナの感染拡大に伴い、自宅からのWeb参加でした。来賓として連合の神津会長と立憲民主党の枝野代表から挨拶を受けています。次回以降の記事で野党共闘の話などを取り上げる際、この時の挨拶内容にも触れていくつもりです。

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