« 驚きの4回目の緊急事態宣言 | トップページ | 57年ぶりの東京五輪が開幕 »

2021年7月18日 (日)

菅内閣の支持率低迷、されど野党も

前回記事「驚きの4回目の緊急事態宣言」の中で「菅総理が懸命に動いていることは理解しています。しかし、国民から共感や信頼感を得られるような言葉が決定的に不足していることも確かです」と記していました。このような思いは広まっているようであり、土曜朝の『ウェークアップ』でアナウンサーの中谷しのぶさんの発した一言が話題になっていました。

菅義偉首相が17日、日本テレビ系朝の情報番組「ウェークアップ」にリモートで生出演した。西村経済再生相の発言に端を発した新型コロナウイルス緊急事態宣言下の飲食店酒類提供禁止に伴う一連の問題について「飲食店や酒の販売事業者に不安や混乱を与え大変申し訳ない」と発言。ワクチン接種や東京五輪への意義や9月末の任期満了に伴う自民党総裁選に立候補する意向を明かした。

首相の出演時間の最後に読売テレビ・中谷しのぶアナウンサーが「ぜひ、これからも国民の心に届くメッセージをお願いできればと思います」と要望したことがツイッターなどで話題になり「『心に届く』とかでは、それこそ菅首相の『心に届』かない。『聞かれたことに答えて』と訴えて欲しい」「テレビでこれからも心に響く発言を~とかいってたのがすごい皮肉に聞こえた」「首相への要望は『これからも』では無く『これからは』でしょう」などのコメントが寄せられた。【中スポ2021年7月17日

ちょうど私もその番組を見ていましたが、「国民の心に届くメッセージ」という言葉に対して「これからは」という中谷さんの叱咤激励の意味合いを感じ取っていました。番組の中で菅総理は酒類提供禁止に伴う一連の問題について謝罪しています。届け方の問題にとどまらず、具体的な対策に関しても迷走していると言わざるを得ません。 

酒の提供を続ける飲食店への「2つの対策」が撤回 第5波とみられる感染拡大をどう食い止めるのか?という中で出てきたのが、緊急事態宣言下でも酒の提供を続ける飲食店に対する「2つの対策」です。1つは「金融機関」などから飲食店に対して、酒の提供停止などに従うよう働きかけることを要請するというものです。

もう1つは酒類の「販売業者」に、酒類の提供を続ける飲食店への取引停止を要請するものです。これらの案はどちらも相次いで「撤回」に追い込まれました。この2案を出した責任者の西村大臣は14日、改めて国会で陳謝しました。西村経済再生担当大臣「飲食店の皆様、また酒販の業界の皆様に大変なご不安を与えることになりまして、深く反省をしております。申し訳なく思っております」

どこに問題点があったのか? まず、金融機関からの働きかけの方ですが、元々は8日、西村大臣が会見の中で、酒の提供を続けたり、時短要請に応じない飲食店に対して、取引先の金融機関から働きかけを要請するという考えを示したものでした。これは、お金を貸す立場の銀行などから飲食店への圧力を促したともとれる発言で、直後から問題視されていました。

企業経営者の団体からは「法的根拠がないなら大変まずい」という声や、強い立場の銀行などが働きかけるなら「優越的地位の乱用」につながるとの批判が相次ぎました。金融庁を所管する麻生大臣からは、「『融資してください』と言ってるのに『融資を止める』って話だろ。普通に考えればおかしい。だから『ほっとけ』と、それだけ言いました」とのことでした。

では、法的に大丈夫かという事前のチェックはしなかったのか?ということについてですが、14日になって、この要請について金融庁が事前に了承していたことがわかりました。事前にどのような検討を行ったのか、14日、国会で金融庁に野党がただしたところ、金融庁の審議官は、一般的な感染症対策を呼びかける趣旨で、特定の飲食店への融資に影響をきたすような趣旨ではない、優越的地位の乱用には当たらないと考えていたと答えました。金融庁は、新型コロナ対策の推進室と事前にすりあわせて了承していたとのことです。

業界団体から猛反発 もう一つ撤回となったのが、酒の提供を続けるお店に対して「販売業者」に「酒類の取引停止」を求める要請です。これについては、実際に今月8日付で、文書で要請が出されていました。13日、わずか6日で撤回にいたりました。「今回は堪忍袋の緒が切れた」「官ができないものを民でやらせるというのは非常にナンセンス」という、業界団体から猛反発がありました。

卸売業者も混乱 14日、赤坂にある酒の卸売業者にお話を聞きました。小林謙一店長「要請があってから各所から問い合わせが相次ぎ混乱していた」 問い合わせの内容は「買えるのですか?」「買えないのですか?」「まとめ買いしましょうか」ということです。また、今回の撤回されたことについては、「見切り発車でやっている印象を受けます。お酒が悪みたいな感じになっていて腹立たしいし、お客さんも怒っている」とのことでした。そして、緊急事態宣言で客は減っていて、撤回されたとしても厳しい状態は変わらないと嘆いていました。

業界との信頼を損なう話が、なぜ出たのか? 西村大臣は14日、「なんとか感染拡大を抑えたい、できるだけ多くの皆様のご協力をいただきたいという私の強い思いからの発言」と答えています。政府関係者からは、「言うことを聞かない店への対策としてやるなら、あれしかない」さらに「まさか、あの発言があれほどの波及力があると、みんな思わなかった」という声が出ています。

では、問題になった2つの要請は西村大臣が単独で推し進めたものなのか?14日、野党は責任の所在について追及しました。立憲民主党・今井雅人議員「(要請の前日に行われた)関係閣僚会合、いわゆる5大臣会合とおっしゃるんですかね。このときに事務方からこのことにおいて説明が行われて。やっぱりその場でみなさんが了解したんですよ。これは菅総理の責任は非常に重いと思いますよ」

西村経済再生担当大臣「具体的な要請の内容につきましては、私の責任でコロナ室が関係省庁と調整をして決定をしたというものでございます」 西村大臣は「私の責任で決定した」と強調しました。こうすることで、菅総理に責任が及ばないようフォローした形です。

今回、撤回された政府の案は、どちらも弱い立場の飲食業界の人たちをさらに追い込むようなものでした。大変な中で、なんとか頑張っている、要請を守っているお店や会社を支援する方に全力を注いでほしいです。【news every 2021年7月14日

上記はテレビ報道をテキスト化した『酒対応めぐり相次ぐ“撤回”方針転換の背景は』という解説ですが、何が問題だったのか、分かりやすくまとめられています。組織のカバナンスの問題としても強く危惧しなければならない事案でした。菅総理が事前に認めていれば西村大臣はハシゴを外されたことになり、本当に知らなかったのであればそれはそれで大きな問題だったと言えます。

前々回記事「政治家の皆さんに願うこと」の中で「正しいと信じている判断や対応も別な角度から指摘を受け、誤りに気付ける機会があれば何よりなことです。政治家の皆さんの側近にそのような進言や諫言をされる人物がいるのかどうか、たいへん重要な点だろうと思っています」と記していました。

西村大臣と部下との関係は『「パワハラ疑惑」西村康稔大臣の秘書官が6月末でまたも交代 』という報道のとおりであれば進言や諫言を到底期待できるようなものではありません。部下の意見にも謙虚に耳を傾ける素地が日常的に築けていれば、もしかしたら今回の問題も異なる展開をたどれたのかも知れません。

ワクチン供給不足で予約停止拡大 首相、自賛も見通せぬ混乱収束』という失態も一定水準の情報収集や先々を予見する能力を備えていれば、もう少し混乱を最小化できたはずです。河野大臣は全国知事会との意見交換の場で「ハシゴを外した形になってしまいまして、たいへん申し訳なく思っております」と謝っています。

一方で『河野太郎はまだ国民に謝罪していない! 新「謝ったら死ぬ病の男」がワクチン不足を隠すためについた嘘と”知の崩壊“発言を検証』という辛辣な批判もあり、自らの失態を全面的には認めない姿勢であるように見受けられます。リンク先の記事に「自分は絶対に間違えない」という無謬性を問題視する記述がありますが、そのような点については誰もが自戒していかなければなりません。

菅内閣の支持率は37%となり、昨年9月の内閣発足以降最低だった前回(6月4~6日調査)の37%から横ばいだった。不支持率は53%(前回50%)に上がり、内閣発足後で最高となった。不支持率が支持率を上回るのは今年5月から3回連続。

支持率低迷の背景には、政府の新型コロナウイルス対策や五輪対応への不満があるとみられる。政党支持率は自民党36%(前回33%)、立憲民主党5%(同5%)などの順で、無党派層は43%(同48%)だった。全国世論調査は、読売新聞社が9~11日に実施した。【読売新聞2021年7月12日

上記は読売新聞が実施した世論調査の結果です。菅内閣の支持率は前回と同じ過去最低の37%、不支持は過去最高の53%で、支持する理由は「他の内閣より良さそうだから」が50%を占めています。政党支持率は自民党36%に対し、野党第1党の立憲民主党は5%にとどまり、大きく水をあけられています。

NHKの世論調査も菅内閣の支持率は先月から4ポイント下がり、昨年9月の発足以降最も低い33%となっていました。不支持は1ポイント上がり、発足以降最も高い46%です。支持する理由は「他の内閣より良さそうだから」が41%、政党支持率は自民党34.9%、立憲民主党6%で、前回6月は自民党35.8%、立憲民主党6.4%でしたので、ともに下げていました。

時事通信は『菅内閣支持29.3%、発足後最低 初の3割割れ』と伝え、内閣支持率は30%に届いていません。立憲民主党は1.6ポイント増やしながら4.5%という数字であり、読売新聞やNHKよりも低い政党支持率です。昨日発表された毎日新聞の調査結果は「菅内閣の支持率30%、発足以来最低」という見出しを付けています。

毎日新聞の特徴的な点として政党支持率が自民党28%(前回30%) 、立憲民主党10%(前回10%)であり、他よりも立憲民主党の支持率が高めに出ています。それでも自民党との差が大きいことに変わりありません。菅内閣の支持率低迷は前述したとおり具体的な理由が列挙できます。

各メディアの世論調査で菅内閣の支持率が低迷する中、立憲民主党の支持率が軒並み1桁台にとどまっていることについて次のように見られています。政権批判の受け皿として世論の期待が集まっていないためであり、このような現状を「旧民主党政権の印象を拭い切れていない」と分析されています。

枝野代表や福山幹事長など主だった幹部の顔ぶれは旧民主党時代から代わり映えせず、2012年の野党転落以降「スキャンダル追及など政権批判ばかりで自民党に対抗する旗印がない」という声が立憲民主党内からも聞こえてきています。「立憲民主党 支持率低迷」でネット検索し、見つけた御田寺圭さんの『立憲民主党が「ただしい」のに支持されない理由』という記事の中の一文を紹介します。

立憲民主党のSNSアカウントが「きっと多くの人(とくに若者)が自分たちと同じ問題意識を持っているはずだ」と想像し、世界で話題になっている最新のエシカルなイシューを善かれと思ってクローズアップしようとしているのは理解できる。

だが、それは傍から見れば、自分たちと同質な人たちの政治的態度しか想像できず「タコツボ化」しているようにしか見えない。彼らが、自分たちと知的・経済的・社会的・文化的に同質的な者以外の姿――つまりは一般的な国民の生活や意識、価値観が見えなくなっている、あるいは想像すらも及ばなくなっている状況を端的に示しているように思える。

上記の他にも興味深い記述が多い中、「自民党やその支持者たちを知的・政治的に批判したり嘲笑したりすることばかりにかまけて、「外側」の人びとに語りかけるための言葉を忘れてしまったからだ」という言葉に注目しています。この言葉から派生していく私自身の問題意識は機会を見て掘り下げさせていただきます。

最近の記事「コロナ禍で問われる政治の役割」の冒頭で「判断の誤りが続くようであれば政権の座から下ろされる、このような緊張感ある政治的な構図が欠かせないはずです」と記したとおり野党第1党である立憲民主党が政権批判の受け皿として認知されていくことを期待しています。そのためには受け皿となる中味が肝心であり、そのアピールの仕方も重要な要素となります。

実は今回の記事タイトルは最初「スガノミクスと枝野ビジョン」でした。いつものことですが、書き進めるうちに導入部分の内容が膨らみ、すでに相当長い記事となっています。そのため、菅内閣と枝野代表の政策理念を対比した記事は次回以降に先送りしています。最後に、少しの前の新聞記事ですが、次のような見方があることも紹介させていただきます。

時の政権への信任投票となる衆院選の結果は、世論調査の数字と一致しない。世論調査では「支持政党なし」が44.9%、比例投票先で政党名を挙げなかった人は40.4%。こうした層が与野党どちらに振れるかが重要で、ワクチン接種の進展や五輪の成否に左右されるとみられる。

江田憲司代表代行は17日の記者会見で、立民支持ではないが自民党には投票したくない人が立民に投票するかどうかが結果を分けると指摘し、「いかに投票日までに積極的な支持に変えていくか。そのために骨太の政権公約を出していく」と語った。

立民は289選挙区のうち67選挙区で共産と立候補予定者が重複している。「反政権」票が複数の野党候補に分散すれば与党に有利に働くため、野党間の候補者一本化も鍵となる。【産経新聞2021年5月18日一部抜粋

|

« 驚きの4回目の緊急事態宣言 | トップページ | 57年ぶりの東京五輪が開幕 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 驚きの4回目の緊急事態宣言 | トップページ | 57年ぶりの東京五輪が開幕 »