« 政治家の皆さんに願うこと | トップページ | 菅内閣の支持率低迷、されど野党も »

2021年7月10日 (土)

驚きの4回目の緊急事態宣言

先週日曜、東京都議会議員選挙の投開票日でした。前回記事「政治家の皆さんに願うこと」の中で伝えていた連合地区協議会が応援した2人の候補者の明暗は分かれてしまいました。候補者の資質や人柄が素晴らしくても万単位の得票での競い合いとなる選挙の場合、所属する政党の看板等が当落に大きく影響します。

政党の訴える政策や実績が高く評価されるべき内容だったとしても、そのことを不特定多数の方々から評価してもらえない限り、残念ながら票の上積みにつながることはあり得ません。日曜の夜、NHKの開票速報に注目していました。午後8時、発表された出口調査による各党の議席獲得予想の数字に愕然としました。

国民民主党は0、全体的に幅を持たせた各党の数字が示されている中、「0から1」でもなく8時の時点でNHKは立候補者4名全員の落選を断じていたことになります。この瞬間、連合地区協の応援した候補者の敗北が知らされたことになり、たいへん忸怩たる思いを強めていました。

都議選の後『連合より共産が「リアルパワー」 都議選で安住氏「組織の建前の話に付き合ってられる状況じゃない」』という報道を耳にし、連合東京の関係者の神経を逆撫でするような発言であり、感情的な溝が広がらないかどうか危惧していました。今週末に投稿する新規記事は都議選の結果を踏まえ、もう少し政治状況の話を掘り下げるつもりでした。

その中で最近読み終えていた『スガノミクス 菅政権が確実に変える日本国のかたち』や『枝野ビジョン 支え合う日本』について触れようと考えていました。しかし、東京に4回目の緊急事態宣言が発令されることになり、「驚きの4回目の緊急事態宣言」という記事タイトルを付けて書き進めています。

政府が新型コロナウイルスの感染再拡大が続く東京都に4回目の緊急事態宣言を発令する方針を固めた7日夜、営業時間短縮などを強いられる見通しの百貨店や飲食店の間では、「またか」と落胆と諦めの声が広がった。

人の移動も制限される見込みで、夏休み需要を当て込んでいた航空大手は「ショックだ」と失望を隠し切れない様子だ。都では6月下旬に宣言がまん延防止等重点措置に切り替えられ、時間や人数の制限付きながらようやく酒類の提供が認められてまだ2週間余り。再度の提供禁止の可能性に、居酒屋大手は「客観的な根拠を示してほしい」と悲痛な叫びを上げた。

都内の百貨店では「緊急事態とまん延防止措置の違いが分からない」「要請の内容が分からず不安だ」と、具体的な対応方針が見えないことへの警戒が強まる。航空業界は、東京五輪・パラリンピック開催に伴う7月22日からの4連休や、夏休みに人気の沖縄路線で利用増加を見込んでいたが、先行きが暗転。大手幹部は「また苦しい(利用)状況になるかもしれない」とため息をついた。【JIJI.COM2021年7月8日

まさか東京五輪を緊急事態宣言期間中に開催することになるとは考えてもみませんでした。発令するという方針を知った時、本当に驚きました。この驚きが国民の安全や安心のためのサプライズや英断だと受けとめられれば清々しい思いを強められたはずです。

しかしながら『古市憲寿氏、東京都の緊急事態宣言に本音 「バカなのかな」に共感相次ぐ』という受けとめが残念ながら多数を示しているのではないでしょうか。報道内容等の全文の転載を繰り返していくと非常に長い記事になって恐縮ですが、下記の『東京五輪「全会場無観客」案が政府内に浮上 8日にも判断』はそのまま紹介します。

23日に開幕する東京オリンピックについて、政府内で全ての会場を無観客とする案が浮上した。これまで大規模会場や夜間に実施される一部競技を無観客にする調整をしていた。新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する世論を受けて、方針転換が必要との見方が政府・与党内で強まっている。政府は、東京都や大会組織委員会などと8日にも5者協議を開き、観客の取り扱いを最終判断する方針だ。

五輪の有観客を主張していた閣僚の一人は「もう、有観客は厳しい」と述べた。無観客の場合でも、国際オリンピック委員会(IOC)の関係者らの入場を認めることも検討している。4日投開票の東京都議選で、自民党が事実上敗北したことを受け、党幹部は「世論には政府の新型コロナ対策への不満がある。科学的には一部無観客で良かったが、もはや政治的に持たない」と指摘した。

6月21日の5者協議では、五輪観客数を「最大1万人」としつつ、緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が出た際は「無観客も含め検討」と合意していた。現在、東京など10都道府県に、まん延防止措置が適用され、沖縄県には宣言が発令されている。政府内では「全国の会場で無観客にするのが分かりやすい」との声も出ている。五輪を盛り上げるために、菅義偉首相は、一部無観客にとどめたい考えとみられるが、外堀は埋まりつつある。

公明党の山口那津男代表は6日の記者会見で、東京で感染拡大が続いていることを踏まえ「感染を防ぐ観点から無観客を視野に入れて決定をしてほしい。最も大事なことは、観客を入れる開催で感染拡大をもたらしてはならないということ」と強調した。一方、開会式は観客の有無によらず、天皇陛下や菅首相、衆参両院議長らが出席する方向で準備を進める。【毎日新聞2021年7月6日

自民党幹部の「世論には政府の新型コロナ対策への不満がある。科学的には一部無観客で良かったが、もはや政治的に持たない」という言葉が政権の迷走ぶりを象徴しています。都議選で敗北しなければ無観客とせず、緊急事態宣言も発令していなかったという内幕を明かしていることになります。

このような思考回路や判断自体が誤りであり、国民からの批判を招きがちな点について充分理解されていない感度の鈍さにも驚いています。様々な判断に至った科学的根拠や納得できる説明の不足が問題視されているのにも関わらず、「政治的にもたない」という発想に至る現政権の司令塔の能力不足が残念でなりません。

国際カジノ研究所の所長であり、エンタテインメントビジネス総合研究所客員研究員の木曽崇さんの『五輪無観客開催:「人流を抑える」がブーメランになって政府の脳天に突き刺さった件』というBLOGOSで目にした記事内容に首肯しています。全文はリンク先を参照いただき、ここでは木曽さんの記事の一部を紹介します。

政府やオリンピック委が感染リスクを抑えるため、科学的見地に基づいてあらゆる対策を採ってきたことは事実でありますし、同様に様々な対策をとってきた国内のスポーツ競技場においてこれまで大規模な集団感染が発生したことはないというのも事実であります。

ただ、同じことは多くの民間のレジャー産業においても言えることであるわけで、その様な科学的見地に基づいたあらゆる民間側の努力を、「人流を抑える」なるマジックワードで十把一絡げに営業制限の対象とおいてきたのは他でもない政府自身であるわけです。

二階幹事長はコロナ対策で「懸命にやっている。これ以上やりようがありますか?」と菅総理を擁護していました。菅総理が懸命に動いていることは理解しています。しかし、国民から共感や信頼感を得られるような言葉が決定的に不足していることも確かです。さらに重要な判断が極めて遅く、後手後手に回っている印象が拭えません。

今回の無観客の判断も一日でも早く下していれば混乱や無用な出費を少しでも緩和できたはずです。加えて、東京五輪の開催判断等は自分にはないような説明を繰り返していましたが、上記報道の「政治的にもたない」という言葉が事実であれば最も重要なキーパーソンは菅総理だったことになります。

ワクチン供給不足で予約停止拡大 首相、自賛も見通せぬ混乱収束』という失態も、やむを得なかったというレベルの問題ではありません。確実なワクチン供給の見通しを把握するのは政府の責任です。その見通しが曖昧なまま「1日百万回接種」というような前のめり気味な強い指示を発し続けたのは菅総理自身です。

未曾有の世界的な危機の中、総理大臣が誰だったとしても、どの政党が政権を担っていたとしても試行錯誤を繰り返し、結果が伴わなければ国民から批判を受けていたはずです。それでも列挙した事態は一定水準の情報収集や先々を予見する能力を備えていれば、もう少し混乱を最小化できたように思えてなりません。

ワタミ会長「我々だけがずっと犠牲に」 東京都へ再宣言方針に』の報道にあるとおり外食大手ワタミの渡辺美樹会長は「お酒だけが原因とされ、我々だけがずっと犠牲になっている」と述べ、「徹底したロックダウンの形を取ってほしい」と人出が減らない中で酒類提供だけを制限していくことに苦言を呈しています。

3回目の時に「3回目の緊急事態宣言」「3回目の緊急事態宣言 Part2」「3回目の緊急事態宣言も延長」という記事を投稿していました。それらの記事の中で、他国に類する感染爆発に至っていない日本は社会生活や経済を大きく停滞させるロックダウンに近い措置は極力避けるべきという私自身の考え方を表明してきています。

長期戦を覚悟するからこそ持続可能な対策を心がけていくべきであり、例えればアクセルは踏まず、車を止めないけれども、ゆっくり走行していく「エンジンブレーキ」という発想です。社会的な制約は2回目の緊急事態宣言レベルにとどめた上、路上での集団飲酒の問題など改めるべき点があれば補強していく必要性を訴えていました。

少し前にも記しましたが、東京五輪がコロナ禍に重なってしまったことは日本の運の悪さです。五輪の開催がなければ、もう少し分かりやすいメッセージを政府は出し続けられたのかも知れません。さらに2年の延長案が主流だったのにも関わらず、安倍前総理が1年延長で押し切ったという話は菅総理の胸中を複雑にしているのではないでしょうか。

やはり長い記事になって恐縮です。最後に、4回目の緊急事態宣言が決まった直後の街の声を伝える記事を紹介します。「五輪をやるならこっちもやらせてくれよと思う。納得しろと言われても難しい」「国の感染対策は毎回甘く、ずるずるとここまで続いてきた。今回の宣言も意味がなさそう」という意見が多く、政府の判断を評価する声は皆無に近いようです。

新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、政府が4回目の発令を決めた緊急事態宣言。またも酒類提供の自粛を余儀なくされる東京都内の飲食店では8日、「五輪はやるのに」「また酒が悪者にされるのか」と怒りの声が渦巻いた。宣言下で行われる東京五輪は都内会場の無観客開催が決まり、二転三転する判断に観戦チケットを持つ人たちからも批判の意見が相次いだ。

文京区の居酒屋「海山和酒なるたか」店長、阿久津貴秀さん(48)は「五輪をやるならこっちもやらせてくれよと思う。納得しろと言われても難しい」と落胆を隠せない様子。「お酒はお客さんを入れる大事な武器。取り上げられたら売り上げが立たない」と憤った。「私たちが五輪の犠牲になっている」。港区新橋で居酒屋「やきとんユカちゃん」を営む藤島由香さん(45)は宣言期間中も酒の提供を続ける方針といい、「政府の対応は場当たり的。自分の身は自分で守る」と言い切った。

宣言決定により東京五輪は、開幕が2週間後に迫った土壇場で都内会場の「無観客」が決まった。開・閉会式をはじめ、競泳やサッカーなど100枚近くの観戦チケットを押さえていたという渋谷区の不動産経営者滝島一統さん(45)は「努力して予定を空けたのに。政府の判断は遅過ぎる」と不満をあらわに。女子サッカーのチケットを持つ30代の女性会社員も「当選してからずっと楽しみにしていた。無観客は残念」とこぼした。

後手後手の政府の対応には、街行く人たちからも疑問の声が。JR渋谷駅前にいた大学生、長尾汰知さん(20)は「国の感染対策は毎回甘く、ずるずるとここまで続いてきた。今回の宣言も意味がなさそう」と語った。中野区の男性会社員(51)は「政府は感染者数を減らし、どうしても五輪を開催したいのだろう」と推測。「飲食店は規制するのに、五輪はできる理由が本当に分からない」と語気を強めた。【JIJI.COM2021年7月8日

|

« 政治家の皆さんに願うこと | トップページ | 菅内閣の支持率低迷、されど野党も »

コメント

労働者の利益を顧みず低所得労働者の切実な生活事情を考えることもなく「反共」のみを旗印に野党陣営の妨害を繰り返し、旧民社党を理想とする自民党の別動隊・国民民主党を支援した連合東京、連合そして自治労、会長神津の罪は万死に値するほど重い。
反省しろ貴様ら!!!!!

投稿: れなぞ | 2021年7月16日 (金) 20時29分

れなぞさん、コメントありがとうございました。

事実認識の適否について反証すべき点も多々見受けられていますが、れなぞさんがそのように考えられていること自体を非難できるものではありません。

その上で、お願いがあります。「反省しろ貴様ら!!!!!」という強い言葉だけではなく、基本的な考え方や立場が異なる者同士、どのように努力していけば良いのかご教授ください。

ちなみに私自身の考えとして、次のような記事を以前投稿しています。

2017年8月5日(土) 意見が異なっても
http://otsu.cocolog-nifty.com/tameiki/2017/08/post-8df4.html

正解を容易に見出せるものではありませんが、その記事の中で「分かり合えなくても」「いがみ合わないことの大切さ」という記事へのリンクもはっています。まずはそのような点を留意すべきだろうと私自身は考えています。

投稿: OTSU | 2021年7月17日 (土) 06時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 政治家の皆さんに願うこと | トップページ | 菅内閣の支持率低迷、されど野党も »