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2021年6月20日 (日)

コロナ禍が続く中での組合活動

前回記事「『政商 内閣裏官房』を読み終えて』のコメント欄で、れなぞさんからの問いかけに答えながら私自身の思うところを書き進めていました。今週末に投稿する新規記事「コロナ禍が続く中での組合活動」を書き始める際、その思うところを少し補足させていただきます。

それぞれの組織の構成員一人一人がまったく同じ考え方である訳ではありません。政党という組織でも個別の課題に対して構成員の間で意見が割れる時も決して少なくありません。最近の事例としてLGBT法案が自民党内での意見集約に至らず、国会提出が見送られていました。

まして労働組合という組織であれば多岐にわたる活動方針に対し、構成員一人一人が様々な評価や考え方を抱いているはずです。しかし、所定の手続きを経た上で組織としての方向性を決めることで、それぞれの組織が右に行くのか、左に行くのか、具体的な一つの意思を持つことになります。

国民一人一人が一票を投じるという所定の手続きを経た結果、政権与党という組織も大きな権限が託されています。政権運営を託された総理大臣をはじめ、政府与党の責任者は右に行くのか、左に行くのか、日常的に難しい判断が求められていきます。

判断の誤りが続くようであれば政権の座から下ろされる、このような緊張感ある政治的な構図が欠かせないはずです。代議制民主主義の重要な点ですが、ここから先の話は長くなりそうですので機会があれば次回以降の記事で深掘りできればと考えています。

今回、私どもの組合の活動について取り上げさせていただきます。前述したとおり所定の手続きを経て確立している組合の活動方針、特に政治的な方針に対し、構成員である組合員の皆さんが様々な評価や考え方を抱いているものと受けとめています。

このブログを長く続ける中で、そのことをいっそう自覚できるようになっています。コメント欄を通し、たいへん幅広い意見に触れられる機会に恵まれ、私どもの組合員の皆さんの中にも同じように感じている方が少なくないのだろうという認識を深めていました。

このような自覚が不充分なまま日常の組合活動に向かい合うのか、自覚した上で向かい合うのか、望ましいのが後者であることは言うまでもありません。定期発行している『組合ニュース』や回覧資料、私自身が担当している特集記事「組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」を掲げた機関誌の発行にあたり、いつも意識していることです。

重視しなければならない点として組合の役割と存在感のアピールであり、そのことを丁寧に伝えていく努力や工夫が欠かせないものと考えています。1年以上もコロナ禍が続く中、組合員の皆さんと直接相対する機会が減っているため、よりいっそう丁寧な情報伝達や意思疎通が求められています。

その一助になればと願いながら「コロナ禍での組合活動と役割の発揮」「コロナ禍での組合活動、2020年秋」「コロナ禍の中、労使協議は推進」という記事を投稿しています。基本的に労使協議は停滞させないように努めています。新型コロナウイルス感染症対策に絡む労使協議に臨みながら先送りできない必要な課題の労使協議も進めています。

今回、コロナ禍に絡んだ現況を中心に伝えながら、いろいろ個人的に思うことも書き足していくつもりです。まず「緊急事態宣言解除後も必要な感染対策の継続を コロナ禍に絡む課題等の労使協議を推進」という見出しを付けた火曜日に発行する『組合ニュース』の内容の一部を紹介します。

緊急事態宣言解除後も国民の半数程度がワクチン接種し、集団免疫が確認されるまで必要な感染対策を緩めることはできません。制約された「日常」が続く中、学童保育所の代替配置等の問題や現評独自要求書の提出など組合活動は感染リスクに留意しながら適宜対応しています。

前号の組合ニュースでワクチン接種に絡む課題を報告しました。中央の安全衛生委員会で本庁舎正面玄関に非接触型の自動検温計の設置も要望しています。当局は「発熱を理由に入庁を断れない」とし、設置には消極的です。組合は啓発的な意味合いや窓口で対応する職員の安心安全に少しでもつなげるためにも改めて検討するよう求めています。

その紙面では新型コロナにかかる結婚休暇とリフレッシュ休暇の特例措置の延長について確認したことも伝えています。前号のニュースではワクチン接種業務が多くの職場で負担を生じさせている現状を5月24日に開いた安全衛生委員会の中で組合から問題提起したことを伝えていました。

とりわけ健康推進課では深夜に及ぶ勤務も強いられていたため、市当局からは健康推進課に6月から新たに5名増配置する回答を引き出していました。いくつかの職場で年度途中に欠員が生じてしまいますが、ただちに新規採用試験を実施し、早ければ9月に補充できることをあわせて確認していました。

『組合ニュース』では「これまでも新型コロナ関連では全庁的な緊急対応で支え合っていくことを受け入れてきています。ぜひ、ご理解願えるようよろしくお願いします」という言葉も添えていました。課を越えた応援体制や年度途中の欠員を伴う異動については慎重に判断する必要がありますが、給付金事務等も緊急的な対応を受け入れてきています。

安全衛生委員会の中で、住民の皆さんからの理解を大前提に希望する職員のワクチン接種の促進に向けた努力を要請しています。特に基礎疾患を抱える職員、保育園や学童保育所の職員への早期接種の切実さを訴えています。このような要請は「3回目の緊急事態宣言 Part2」のコメント欄で、ぱわさんから寄せられた「不安感でいっぱいです」という切実な声を強く意識したものでした。

本庁舎正面玄関に非接触型の自動検温計を設置しても来庁者全員に計測を義務付けることは難しく、用事があって来庁された方に発熱だけを理由に「お帰りください」と告げられないこともその通りかも知れません。しかし、1台でも設置することで「発熱があれば外出は自粛する」という感染対策に向けた意識啓発には寄与するはずです。

さらに自ら計測された方が普段より高い体温だと分かり、万が一を警戒して自発的に帰られることも考えられます。実際、設置している商業施設や企業・行政機関も増えているようです。実効性に評価は分かれるのかも知れませんが、不特定多数の方々と応対しなければならない職員の不安を少しでも緩和する対策の一つだろうと考えています。

いずれにしても人と人との接触がある限り、感染リスクをゼロにすることは困難です。人流の抑制や営業時間の短縮などは、いずれも感染リスクを低減させる対策に過ぎません。一方で、マスク着用、手指の消毒、三密に注意していくことなどで感染リスクが下げられることも立証されています。

このような状況を踏まえ、私どもの組合の活動の線引きを判断しています。昨年11月、組合の新たな1年間の活動方針を決める場である定期大会は人数制限等の感染対策に留意しながら開きました。その方針に基づき日常の活動を進めるために判断が必要な執行委員会は対面で開催しています。

定期大会と執行委員会の中間にあたる議決機関である職場委員会の開催は見合わせています。会議室で開くため三密が避けづらく、普段会わなくても済む組合員同士の接触の機会を減らすため、そのように判断しています。執行委員会で判断したことや労使協議の結果報告を回覧資料等を通し、より丁寧に伝えていくことでご理解を得ています。

昨年、日帰りバス旅行や職員家族クリスマスパーティーなどは中止していました。職員家族クリスマスパーティーは今年12月に開く予定で会場を予約しています。直近の執行委員会で中止するかどうか提案されましたが、キャンセル料の発生する時期はまだ先だったため、判断するタイミングを先送りしています。

ワクチン接種が進み、雰囲気がガラッと変わっている可能性も考えたからです。もちろん現状のような感染対策が必要な場合、残念ながら無理して開催すべきイベントではないものと考えています。毎年、楽しみにしているご家族が多い中、可能性があるのであれば判断時期はぎりぎりまで待とうと考えました。

委員長という立場上、組合の判断や意思は私自身の考え方に直結する場面が多くなっています。それでも執行委員会の中で多様な意見が示され、私自身の考えのほうを取り下げる時も少なくありません。そのような場合でも組織として最終的に判断したことに対し、すべて責任を負うべき立場と役割だと思っています。

コロナ禍が続く中、他の主催者が判断した取り組みに対し、その判断を尊重してきました。感染対策に留意した三多摩メーデーが開かれるのであれば主催者側の判断を受けとめながら可能な範囲内で対応しました。三多摩平和運動センターが呼びかけた行動なども同様に組合員の皆さんの参加は募らず組合役員を中心に参加するという対応でした。 

最近の記事「コロナ禍での雑談放談」の中に記した東京五輪について「主催者が納得性の高い説明責任を果たした上で開催を決めるのであればその判断を尊重したいものと考えています」という言葉は上記のような考え方に沿ったものでした。さらに「責任者は誰なのか?」という記事に託した思いも含め、東京五輪の開催に向けた迷走ぶりが残念でなりません。

もう中止するタイミングは逸しているものと思っています。今後、無観客かどうかが争点化されていくのかも知れませんが、開催する限り感染リスクはゼロになりません。そのリスクはあっても開催するという覚悟を責任者が示した上、万が一、東京五輪の開催が感染爆発を誘因する結果につながった場合、引責辞任するというような明確なメッセージが必要な局面であるように感じています。

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コメント

こんにちは。
オリンピック開催反対するのに
プロ野球、Jリーグ、ワールドカップサッカー予選などは観客
を入れて開催しているのに反対しないのは何故ですか?

いい加減、ダブルスタンダードを止めたらどうですか?

投稿: す33 | 2021年6月20日 (日) 15時25分

す33さん、お久しぶりです。さっそくコメントありがとうございました。

回りくどい表現で分かりづらいのかも知れませんが、私自身は東京五輪の開催について一度も「中止ありき」という訴えをしていません。

「いい加減、ダブルスタンダードを止めたらどうですか?」というご指摘は当たらないはずです。お時間がありましたら、もう一度、読み直していただけると幸いです。

投稿: OTSU | 2021年6月20日 (日) 15時40分

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