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2021年4月 3日 (土)

コロナ禍での2回目の新年度

今年も4月1日に新入職員を迎え、新任研修初日の昼休みに組合として挨拶に伺っています。昨年の記事「新入職員の皆さんへ 2020」を読み返してみると、組合の説明会を兼ねた歓迎会が催せず、配属先の職場での歓送迎会も同様な対応であることを新入職員の皆さんに伝えていました。

皆さんが入所した時は「たいへんだった」と過去形で語れる時が早く訪れることを願ってやみません、そのような言葉を私からの挨拶の中で申し添えていたことが記されています。たいへん残念ながらコロナ禍での2回目の新年度を迎えています。今年の新入職員の皆さんにも同じような言葉を添えなければなりませんでした。

厚労省官僚「銀座で0時頃まで23人宴会」のあぜん  時短要請の21時を過ぎても帰らず、店に残り』という最近の報道にも触れ、同期の皆さんと会食を重ねたいところですが、しばらくは我慢が必要であることをお願いしています。ただ必ず終息する日が訪れるはずであり、その時は思いっ切り飲み語り合いましょう、そのような一言も添えていました。

さて、厚労省職員の深夜遅くまでの送別会の話には本当に驚いています。真っ先に「なぜ?」という疑問符が頭の中を駆け巡りました。昨年末、同じように驚いた話があります。「コロナ禍の2020年末」の記事の中で次のように書き残していました。

3月以降、飲食を伴う歓送迎会や親睦会などは一切開いていません。忘年会の季節を迎えていましたが、私の周りでは開けないことが当たり前な雰囲気でした。菅総理の5人以上の忘年会が批判を招いた後、自民党の忘年会が次々中止になったというニュースを耳にしました。国民に対して多人数での会食の自粛を求めながら自民党の国会議員の皆さんは開く予定だったことに驚きました。

私自身、もう1年以上、居酒屋にも行っていません。「静かに経済を回すべき」という問題意識もあるため、そろそろ少人数であれば行ってみたいという気持ちも芽生え始めています。それでもアルコールが入ると自制心をなくす可能性もあり、まだまだ時期尚早だと思い返しています。

そのため、厚労省職員が送別会を開いたことは不思議でなりません。ネット上を検索し、心理カウンセラーの西川佳宏さんの『厚生労働省職員の宴会ニュースをテーマに境界線を考える』という記事を見つけました。西川さんは厚労省職員の過労死ラインを超える残業の実態を背景として指摘しています。

「ここまでがんばって仕事をしていたら、一息ついて打ち上げしたくなるのは人として当然の心境でしょう。飲み会でもしないとやってられないと思います。ある意味、必然的に起こったことだと思います」という見方などを西川さんは示していました。

その日も残業で遅くなる可能性があったため、あらかじめ「遅くまで開いている店を探せ」という指示があり、19時スタートで21時までの予定でしたが、時間を延ばせないかと店側と相談していました。当日は15分遅れで開会し、宴は盛り上がり、最後までの参加者は23時50分まで居残ってしまったようです。

厚労省“銀座大宴会”エリート課長は酒好き 無言の圧力と断り切れなかった裏事情』という記事では、課長が「送別会をやらないか」と発案したことを伝えています。出席者の中には「この時期に行ったらマズイ」と思っていても「雰囲気を壊したくなかった」「みんな行くのだったら」という理由で参加していました。

いろいろな事情があったとしても、感染症対策や厚労省の社会的な立場に対する認識の甘さが招いた不祥事だと言えます。率直な意見を訴えづらい組織的な土壌の問題もあったのかも知れませんが、課長の発案を押しとどめられなかった側の責任も否めません。もちろん最も重い責任は課長が負わなければならないものと見ています。

認識の甘さが酌量される訳ではありませんが、緊急事態宣言が解除されていなければ送別会は中止していたのではないでしょうか。前々回記事「コロナ禍の緊急事態から非常事態に」から「言葉の使い方から思うこと」という記事につなげていました。厚労省職員の送別会の報道を耳にし、改めて前回記事に綴ったような問題意識を強めています。

緊急事態宣言を解除という言葉は文字通り受けとめれば「これまで我慢してきたけれど少しぐらい羽目を外してもいいかな」という理解に至ります。大学の卒業式が多かった金曜日の夜、大勢の若者が駅前に集い、缶ビールを片手に盛り上がっていた光景を報道番組では伝えていました。

リバウンド防止が強調されていますが、言葉の使い方として「緊急事態から非常事態に」が適切であるように感じています。法的な位置付けの「緊急事態」という期間が終わっても、引き続き平時ではない非日常が続くという意識を持ち続けるために「非常事態」であることを宣言し、様々な感染対策に留意しながら静かに経済を回していく局面ではないかと考えています。

漫画家の小林よしのりさんは『コロナ論』『コロナ論2』の中でインフルエンザの脅威に及ばない新型コロナウイルスに過剰反応し、「経済を止めるな!」という主張を貫いています。「なるほど」という記述も多かった書籍でしたが、私自身、飛沫感染防止のためのマスク着用は必須だと考えています。

小林さんの主張の中で、日本は欧米のような厳格なロックダウンを避けても新型コロナウイルスと向き合っていけるという点について共感していました。具体的な事例として台湾の対応を知り、ロックダウンに近い緊急事態宣言を懐疑的に見るようになっていました。

経済との両立を重視している菅総理も同様な見方に近かったはずです。そのため、昨年春の緊急事態宣言に比べ、今年1月初めに再発令された宣言の中味は大きく異なっていました。その判断を私自身は支持していましたが、昼間は休業要請をしていないのにも関わらず「全日、最大限外出は控えて」という言葉には違和感がありました。

ロックダウンに近い緊急事態宣言を短期間に集中することでコロナ禍から平穏な日常に戻れるのであれば国民の大半から最大限の協力を得られるのではないでしょうか。しかし、そのような確証がなく、コロナ禍が長く続くことを覚悟するのであれば経済や国民生活を過度に痛めない持続可能な対策に軸足を移すことは妥当な判断だろうと考えています。

私自身の「慌てない」という言葉は「無理をしない」という意味も込めています。一人一人が心がけるべき点については、今回の記事の最後に紹介した「新型コロナ感染症対策におけるお願い」に託しています。 緊急事態が解除されても非常事態であることを肝に銘じながら静かに経済を回すため、個人的には次のように考えています。

外出自体、禁止されていないのですから各自が必要とする買い物や外食は過剰に自粛しなくても良いのではないでしょうか。スポーツや娯楽施設に関しても同様です。店を開けていながら客足が途絶えるようでは深刻な経営危機につながります。もちろん一人一人、感染症対策や地域ごとに定められたルールを守りながらの外出等が前提です。

一方で非常事態であることを常に意識し、感染リスクの可能性が伴う集会やイベントについては慎重に判断していくべきものと考えています。例えば前述したとおり送別会や新人歓迎会などがあげられます。なお、主催者が慎重に検討し、開催を決めた判断は尊重していく立場です。

ただ私どもの組合のコロナ禍における判断として、組合員の皆さん全体に参加を呼びかけることは控え、組合役員中心に対応していきます。規模を縮小して2年ぶりに開催される三多摩メーデーをはじめ、三多摩平和運動センターの集会の呼びかけなどに対し、たいへん恐縮ながら代表参加にとどまることをご容赦ください。

最後に、毎年3月末に発行している組合の機関誌に特集記事「春闘期、情勢や諸課題について」を掲載しています。特集記事は私が担当し、昨年と同じ『組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!』という見出しを付けています。今回「はじめに、コロナ禍の中で」という小見出しを付けた3頁ほどの内容から書き進めていました。

組合員の皆さんに向けた「新型コロナ感染症対策におけるお願い」という参考資料も囲み記事として再掲していました。その参考資料は機会を見て当ブログの中で紹介したいものと考えていました。たいへん長い新規記事となっていますが、「はじめに、コロナ禍の中で」と参考資料の内容全文を紹介します。

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はじめに、コロナ禍の中で

新型コロナウイルス感染症によって、これまで経験したことがなかった「日常」を強いられています。はじめにコロナ禍の中で思うことを少し書き進めさせていただきます。

今年は丑(うし)年です。年賀状に「『牛も千里、馬も千里』という諺があります。早くても遅くても、上手でも下手でも行き着く結果は同じだから慌てるなという意味です。2021年、慌てず、コロナ禍から必ず平穏な日常に戻れる日が来ることを待ち望んでいます」と書き添えていました。

第75回定期大会議案書の情勢の冒頭で「人類の誕生とともに感染症との闘いの歴史が始まっています」と記しています。ウイルスに完全敗北を喫することはなく、これまで感染症との闘いから人類は立ち直ってきています。世界中で5億人以上が感染した 「スペイン風邪」は1918年から流行し、感染拡大は翌年に収束していました。

年賀状に一言添えたとおりコロナ禍から必ず平穏な日常に戻れる日が来るはずです。その日が早く訪れることを切望していますが、慌てないことも肝要です。すぐに収束しないことを覚悟し、長丁場の闘いとして持続可能な対策を心がけていくことが欠かせないのだろうと考えています。

菅総理は「アクセルとブレーキを同時に踏むこともある」と語っていました。医療と経済のバランスを保ちながら舵を取ってきたことは理解していましたが、パンデミックの終息が宣言されるまでGoToというアクセルは「慌てすぎ」だったものと思っています。

再度の緊急事態宣言は避けながら「新たな日常」のもとに経済を静かに回す、このような発想が必要だったように考えています。例えれば「エンジンブレーキ」です。アクセルは踏まず、車を止めないけれども、ゆっくり走行していくという発想が望ましかったのではないでしょうか。

結果論からの批評ではなく、隣国である台湾が新型コロナ対策の成功国として国際的に評価されています。その台湾を手本にできなかったことが残念だと思っています。これまで台湾はロックダウンのような措置はせず、出入国制限や日本でも励行している生活様式の徹底化を国民に求める程度の対策にとどめ、経済を過度に停滞させていません。

『組合ニュース』の裏面等で周知した内容は下記のとおりですが、感染しない、感染させないという一人一人の心構えが重要です。「自分は大丈夫」という過信は禁物であることを改めて心に刻まなければなりません。

組合活動への影響も考えてみます。フェースツーフェースの関係が大事な労働組合活動にとって、たいへんな残念な事態が続いています。昨年は三多摩メーデー、日帰りバス旅行、職員家族クリスマスパーティーなど多くの組合員が集う場を持てない一年でした。ただピンチをチャンスに変えるための努力や工夫もはかってきました。

執行できなかった組合予算の還元策として、労働金庫口座開設推奨金振込制度を創設しました。新規開設者だけにとどめず、すでに労金口座をお持ちの組合員の皆さんも対象にしました。充当できる予算が生まれたからこそ可能となった制度のスタートでした。

他にも委任状を含む定期大会参加者全員を対象に抽選会も行ないました。前者と後者では一桁違う支出差となっていますが、出席者数を絞らなければならなかったピンチだからこその特別企画でした。

各種行事に参加しない、もしくは参加できない組合員の皆さんに対し、組合予算を還元していく方策としてコロナ禍が収束した後も意識していくべき試みでした。コロナ禍というピンチに直面し、このような時だからこそ試すことができた点をチャンスだととらえています。

今回のクロスワードパズルの賞品総額も大幅に引き上げています。ぜひ、ふるってご応募ください。ちなみに賞品を決める際、大勢の方から意見を伺いました。個人的には意外な結果となりました。1万円以上の賞品を加えるよりも3千円のクオカードの当選者10名を30名に増やすほうの意見が多く、今回、そのように決めています。

さて、この時期に発行する『市職労報』の誌面を使い、毎年、情勢や諸課題に対する様々な思いを綴っています。日頃、『組合ニュース』の紙面だけでは、とりまく情勢などまで触れることができていません。そのような点を補う意味合いから『市職労報』を通し、少なくとも年に一回は様々な情報を発信していくことが非常に重要であるものと考えています。

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ソース画像を表示 「自分が感染しているかも知れない」という意識のもと対策に向き合ことが大事です。~新型コロナ感染症対策におけるお願い~ 

職員の安全と住民サービスの維持は優劣を付けられるものではなく、感染症対策においては表裏一体のものだと考えています。昨年5月、緊急事態宣言が延長された後、交代制勤務職場の対象が見直されました。そのことが職員の安全軽視と受けとめられないように留意し、引き続き職員の感染防止対策に力を注ぐよう市当局に要請していました。その後も感染対策について労使協議や安全衛生委員会の場を通し、組合員から寄せられた要望や意見を市当局側に伝えてきています。

感染症予防のためには人と接触しないことが最も効果的な対策です。したがって、自宅から一歩も外に出ず、誰とも接触しなければ移すことも移されることもありません。しかし、行政の仕事の大半はテレワークになじまず、エッセンシャルワーカー的な立場などがあります。完全な在宅勤務が難しい中、交代制勤務は感染確率を下げる次善の策だと理解しています。

昨年4月に発出された頃は、感染者が一人でも出た場合、周囲の職員の大半が濃厚接触者となって自宅待機に至る事態を想定していました。そのため、交代制勤務は感染者が出た場合の業務継続のための対策としても位置付けられていました。その後、感染した職員が出た後の保健所の指示は次のとおりでした。マスクを付けている時間のみの接触であれば感染者と席を隣接していたとしても濃厚接触者に当たらないというものです。

1月8日に緊急事態宣言が再び発出され、昨年春と同様の出勤抑制をはかっている自治体はごくわずかです。『都政新報』には「4月の時はコロナの全貌が全く分からない状況で感染抑止する必要があったため、全庁的な在宅勤務体制をとったが、この1年間で職場での感染防止のノウハウがある程度ついてきた」という労務担当職員の見解も紹介されていました。

このような経緯や考え方を踏まえ、組合としても交代制勤務を必須としない判断を受け入れています。感染確率を下げる対策を軽視している訳ではありませんが、それ以上にマスク着用や消毒等による対策を徹底化することに重きを置いています。

感染者がいなければ密閉されていても、密集、密接していても、新型コロナウイルスに移されることはありません。マスクをせず、大声で語り合っても問題ありません。消毒も不要です。しかし、無症状の感染者が一人でもいた場合、たいへんな事態になります。

マスクの着用や三密などの感染症対策は自分自身の予防という側面もありますが、人に移さないための守るべきマナーという側面が濃くなっています。ワクチンや特効薬が普及し、集団免疫が確認できるまで「もしかしたら自分が感染しているかも知れない」という意識のもとに行動していく必要があります。ぜひ、改めて次のような対策の徹底についてご理解ご協力くださるようよろしくお願いします。

① 飛沫感染を防ぐため、引き続きマスクの着用は徹底し、鼻と口の両方を確実に覆うようにしてください。昼食時などマスクを外した際は絶対会話しないでください。空気感染の恐れもあるため、マスク着用時も三密(密閉・密集・密接)は避けるように心がけてください。


② ウイルスは手指から侵入しませんが、付着した手で鼻や口、目などをこすると、そこから侵入します。ウイルスは生物の体内以外でも数時間は生存し、プラスチックやステンレスの表面では2日間以上経っても検出される場合もあります。そのため、建物に入った際の手指の消毒、多くの方が手に触れる箇所や物品の消毒が重要です。


③ 日常的に健康状態をチェックするように努めてください。少しでも熱があり、体調がすぐれない場合は出勤や外出を控えてください。

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