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2021年4月11日 (日)

東京にも蔓延防止等重点措置

今週末に投稿する記事は「今、ミャンマーで…」を予定していました。下記報道のとおり明日から新型コロナウイルス感染症に対する蔓延防止等重点措置が東京、京都、沖縄にも適用されることになり、前回記事「コロナ禍での2回目の新年度」の続きにあたる内容を先に取り上げることにしています。

政府は9日、新型コロナウイルス対策本部を開き、東京、京都、沖縄の3都府県に対し、特別措置法に基づく「蔓延防止等重点措置」の適用を決めた。期間は東京が4月12日~5月11日、京都と沖縄が4月12日~5月5日で、大型連休も含まれる。菅義偉首相は都道府県間の不要不急の移動について「極力避けていただきたい」と記者団に語り、協力を呼びかけた。

東京は緊急事態宣言が解除されてから約3週間で再び宣言と同水準の感染防止策が実施されることになる。重点措置の適用は大阪、兵庫、宮城とあわせて計6都府県に拡大した。首相は対策本部で「新規感染者数の増加、医療提供体制の逼迫が懸念されることなどを踏まえて(適用を)決定した」と述べた。さらに飲食を中心とする対策に加え、不要不急の都道府県間の移動を極力控えるよう求めた。

変異株については「最大限の警戒を続けていく」と強調。「今後も各地で発生する波を全国規模の大きな波にしないため、地域を絞った重点措置を機動的、集中的に講じて感染を押さえ込んでいく」と語った。重点措置は政府が適用する都道府県を決めた後、知事が対象の市区町村を定める。今回、東京は23区と武蔵野、立川、八王子、町田、調布、府中の6市、京都は京都市、沖縄は那覇市など沖縄本島の9市が対象になる。

対象地域では飲食店への営業時間の短縮要請を午後8時までに前倒しするほか、店舗の巡回を強化し、アクリル板の設置や換気などガイドラインの順守を改めて呼びかける。事業規模に応じ、月額換算で最大600万円を協力金として支給する。知事は事業者に時短を命令し、応じない場合には20万円以下の過料を科すことが可能になる。イベントは都府県全体で上限を5000人に制限する。

東京都の小池百合子知事は都の対策本部会議で「これまで以上に徹底した人の流れの押さえ込みが不可欠だ」と強調。「都民には大都市圏の往来の自粛、必要最小限の外出でお願いする」と語った。【産経新聞2021年4月9日

記事タイトルに「Part2」を付けることも考えましたが、「東京にも蔓延防止等重点措置」とし、この話題に絞って書き進めていくつもりです。ちなみに産経新聞以外、大半のメディアは「まん延」と表記しています。「蔓」という字が常用漢字ではないため、そのような対応となっているようです。少し迷いましたが、このブログでは「蔓延」と表記していきます。

たいへんマイナーなブログですが、冒頭に記したとおり憂慮すべきミャンマーの現状を伝えたいと考えています。国軍の弾圧によって日々犠牲者が増え続けるミャンマーの緊迫さと比べられるものではありませんが、今回の蔓延防止等重点措置の適用に対しても訴えたいことが多くあり、新規記事に向き合っています。

蔓延防止等重点措置の適用について「政府の対応が遅く、緊急事態宣言解除も早かったのではないか」と国会の場で野党側は追及しています。毎週ブログを更新しているとその時々の個人的な感想の備忘録となっています。少し前の記事「コロナ禍の緊急事態から非常事態に」の中で「このまま緊急事態宣言を継続することが持続可能な対策だったのかどうか疑問視しています」と書き残していました。

要するに私自身が「解除は早かった」と批判した場合、それこそ結果論からの批判となってしまいます。もしくは菅政権「批判ありき」のポジショントークだと見られてしまいかねません。個人の責任によるブログだったとしても、その時々に書き残した言葉を忘れず、継続性に留意しながら責任ある対応に努めていく考えです。

前々回記事「言葉の使い方から思うこと」の中で、緊急事態宣言を解除という言葉は文字通り受けとめれば「これまで我慢してきたけれど少しぐらい羽目を外してもいいかな」という理解に至ることを危惧していました。実際、大学の卒業式が多かった金曜日の夜、大勢の若者が駅前に集い、缶ビールを片手に盛り上がり、厚労省職員が深夜遅くまで送別会を開くという「緩み」につながっていました。

リバウンド防止が強調されていましたが、言葉の使い方として「緊急事態から非常事態に」が適切だったものと思っています。法的な位置付けの「緊急事態」という期間が終わっても、引き続き平時ではない非日常が続くという意識を持ち続けるために「非常事態」であることを宣言し、様々な感染対策に留意しながら静かに経済を回していく局面だったはずです。

結果論としての訴えではなく、緊急事態宣言を解除する際、このブログを通して発信してきたものです。言葉の使い方にとどまる「非常事態」宣言という法的拘束力のない要請では不充分だった場合、そのまま蔓延防止等重点措置に切れ目なく移行させることが望ましかったように考えています。

そのタイミングで飲食店等の営業時間を午後9時までに延ばすか、そのまま午後8時までとするという選択肢もあり得たはずです。飲食店側の負担や混乱を考えると3週間だけ午後9時まで延ばし、また午後8時に戻すという展開は最悪な政策判断だったように感じています。1時間の差にどれほど効果の違いがあるのかどうか分かりませんが、飲み過ぎて感染対策を疎かにしないことが大事な点だろうと思っています。

今年1月に再発令された緊急事態宣言期間中も、明日から適用される蔓延防止等重点措置においても「不要不急」の移動は控えることが要請されています。しかしながら昨年春のように全面的な休業要請がされている訳ではありません。したがって、一人一人が感染症対策や地域ごとに定められたルールを守りながら必要に応じて外出し、必要とする買い物や外食を続けなければ経済は回りません。

スポーツや娯楽施設に関しても同様です。店を開けていながら客足が途絶えるようでは深刻な経営危機につながります。昨年春のようなロックダウンに近い緊急事態宣言が発令されるのであれば、もちろん「不要不急」の範囲を厳格にしなければなりません。経済との両立も重視し、個々人の行動の「緩み」を警戒した措置であるため「極力」という枕詞が付いているものと理解しています。

このように理解している中、小池都知事らの「都県境を越えた外出自粛」という言葉には違和感を持ちました。再発令された緊急事態宣言の期間中にはあまり耳にしていませんでした。私の住む市は埼玉県と隣接しているため、たいへん気になる要請内容だと言えます。そもそも対象地域の住民に絞って要請しているように理解すべきなのでしょうか。

三多摩地区は6市のみ適用されますが、蔓延防止等重点措置の対象地域の決め方自体に科学的な知見がどれほど働いているのか疑問です。どこかで線が引かれ、不合理さが生じることは避けられません。それでも下記報道のとおり三鷹駅の南北問題は「何だかなぁ」という思いを強める事例の一つです。

東京都では7、8日と連続して新規感染者数が500人を超え、8日に政府へ適用を要請。9日も537人で3日連続で500人台となった。その東京都の重点措置対象地域は23区と八王子、立川、武蔵野、府中、調布、町田の6市。しかし、武蔵野、三鷹両市の境に位置するJR三鷹駅で「南北問題」が発生、線引きの在り方が議論を呼んでいる。

北口は武蔵野市で対象地域。飲食店の営業時間は今より1時間早い午後8時までと要請され、命令に応じない場合は最大20万円の過料を科される可能性も。南口は三鷹市で対象外。飲食店の営業は午後9時までOKだ。しかも、簡易裁判所など官公庁やビジネスホテルがある北口に対し、飲食店が多いのは南口。駅ビルは専有面積が多い三鷹市との扱い。分かりにくく、不公平感が生じかねない線引き。

加藤勝信官房長官は会見で「線を引けば、どこかで(そうした地域が)出てくる」とした上で、重点措置の制度として「どう切り分けるかは各都道府県の判断」と話した。切り分けの責任者である小池百合子都知事は会見で、市街地が連なるエリアとして北区赤羽と都県境を越えた埼玉・川口を例に挙げ、「これはどうなんだ、と。それはどこでもある」と指摘。6市の切り分けは店舗数、感染者数などを総合的に判断したと説明した。

北口にある飲食店の店主は「過料の問題はあるが、今度は(要請、命令に)従えないかもしれない。吉祥寺があるから武蔵野市が対象になったのだろうが、線路を挟んだ向こう側に人が流れるだけだ」と、客離れとともに南口での人流増加を懸念。南口のラーメン店「グラバー亭」の新井健志店長(47)は「こちらの方が飲食店が多いのに、対象外なのはおかしな感じだ。我々としてはホッとした面があるが、北口のお店はかわいそう」と複雑な心境を明かした。【Sponichi Annex2021年4月10日

私たち一人一人が「新たな日常」を心がけたことで『今季のインフル患者わずか1万4000人、昨季の500分の1未満に』という結果につながっています。新型コロナウイルスに対する個々人の対策や努力が効果を発揮している証しであり、変異型に対しても同様に向き合うことで一定の成果は得られるはずです。

一方で、個々人の努力では解決できない課題に対しては政治の出番となります。1都3県の緊急事態宣言を解除する際、菅総理はリバウンド対策の5本柱として①飲食を通じた感染の防止策継続、②変異ウイルスの監視体制の強化、③感染拡大の予兆をつかむための戦略的な検査、④安全・迅速なワクチン接種、⑤次の感染拡大に備えた医療体制の強化を掲げていました。

宣言解除から3週間では短すぎると言えますが、昨年春の緊急事態宣言からは1年が過ぎています。平時であれば「やってる感」の政治でも一定の支持は得られていくのかも知れませんが、危機管理下での政治の役割は増しています。コロナ禍という深刻な危機の中では着実な結果が求められ、政治家の資質や判断能力が厳しく問われています。

最後に、国民や都民から「どのように見られるか」という判断基準を重視しながら振る舞うことは政治家の習性として、ある程度やむを得ないものと思っています。しかし、かつて経験したことがなかったレベルでの非常事態において、くれぐれもそのような判断基準が優先されていないことを願ってやみません。

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コメント

緊急事態宣言が4/25にも東京都で発令される見込みとなりました。新聞などでの報道をみると今回は最初の緊急事態宣言時と似たように大規模商業施設等に休業要請が出るようです。コロナの変異型は感染力が強く、重症化しやすいとのことです。今回発令される緊急事態宣言でもエッセンシャルワーカーである公務員は感染予防を徹底することで通常勤務を続けるのでしょうか?

投稿: ぱわ | 2021年4月21日 (水) 23時59分

ぱわさん、コメントありがとうございました。

今のところ「コロナ禍での2回目の新年度」の中で伝えたとおりの対応になるものと見込んでいます。ただ東京都から特段の要請があった場合、改めて勤務体制の見直しも考えられます。

現時点では、このようなレスにとどまることをご理解ご容赦ください。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2021年4月24日 (土) 06時00分

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