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2021年2月 6日 (土)

コロナ禍の中、労使協議は推進

前々回の記事「東京五輪の行方と都政の現場」の冒頭で、森元総理が本音をそのまま言葉にしてしまう正直な性格であり、ご自身の発する言葉の重さや影響力に無頓着な政治家の代表格だったという見方を記していました。そのように記した矢先の失言、東京五輪組織委員会の会長という立場での女性を蔑視したような発言の波紋は日を追って大きくなっています。

謝罪会見での記者とのやり取りも火に油を注ぐ結果となっています。なぜ、問題視されているのか、ご自身が充分理解されていないまま大事な会見に臨んでいるように見受けられました。『IOC「この問題は終了」発言に疑問の声「五輪憲章って何?」』という内外からの声と乖離した対応にとどまるようであれば組織的な体質や土壌の問題性も問われかねません。

適切なリスクマネジメントは一国のトップリーダーである菅総理に最も求められています。国会の場で森元総理の発言問題を問われた際、菅総理は最初「詳細は承知していない」と答えていました。最後のほうで「あってはならない発言」と答えていたようですが、この問題が間違いなく質問されることを見通した場面の臨み方として適切だったのか甚だ疑問です。

それ以上に菅総理の長男が総務省幹部4人を接待した問題を問われた際、「週刊誌報道写真見ても長男かどうかわからない」「(長男とは)普段ほとんど会っていない。完全に別人格だ。そこはご理解いただきたい」というような答えが続いていることに強い違和感を抱かざるを得ません。菅総理の長男でなければ会食自体あり得なかったはずであり、リスクマネジメントとしていかがなものかと思っています。

さて、今週末に投稿する内容は記事タイトルに掲げたとおり労使協議に関わる話を考えています。一言二言、触れるつもりの時事の話題が思ったよりも長くなりました。そのまま記事タイトルを差し替えることも頭をかすめましたが、やはり予定通り久しぶりに労使課題を中心に取り上げさせていただきます。

緊急事態宣言が再発令され、引き続き職場委員会の開催は見合わせています。そのため、来週発行する組合ニュースとあわせて職場委員会(延期)参考資料も職場回覧します。今回のブログ記事はその資料等に掲げた内容から課題をいくつか絞って書き進めてみます。

昨年9月の記事「コロナ禍での組合活動、2020年秋」を通し、コロナ禍の中、日帰りバス旅行や職員家族クリスマスパーティーなどを取りやめた一方、組合予算の還元策も別途工夫していることを伝えています。さらにコロナ禍の中でも多岐にわたる職場課題の解決に向け、労使協議は推進していることを伝えていました。

昨年11月11日の団体交渉で、年間一時金を0.1月引き下げて4.55月分とし、再任用職員は0.05月引き下げて年間2.4月分とする都人勧の内容を労使合意しました。一時金を先行して決着した後、12月18日に東京都人事委員会は月例給の水準を据え置く報告を示していました。その報告を受け、私どもの市職員の月例給も改定しないことを1月26日に確認し、今年度の賃金交渉を最終合意しています。

当面する労使課題について」「継続中の賃金・一時金交渉」の中で触れていたとおり賃金交渉の中で最も厳しい判断を迫られたのは会計年度任用職員の期末手当0.1月分引き下げの問題でした。会計年度任用職員の場合、東京都人事委員会の勧告内容(都人勧)の反映は翌年度とすることを確認しています。

都人勧は年間一時金を0.1月分引き下げる内容ですが、期末手当部分に限る引き下げ勧告でした。勤勉手当が支給されない会計年度任用職員にとって削減率は常勤職員の倍に相当します。そのため、自治労都本部統一闘争の指標として会計年度任用職員のマイナス改定の阻止を掲げていました。しかしながら都内の自治体は軒並み今年度から0.1月分削減を受け入れています。

このような情勢の中、たいへん残念ながら来年度の期末手当について0.1月分削減することを合意せざるを得ませんでした。そもそも期末手当に限る支給自体「同一労働同一賃金」の考え方に反していることであり、今後、自治労全体の取り組みとして法改正等が必要な勤勉手当や生活関連手当(扶養手当や住居手当等)の支給をめざしていかなければなりません。この点について、もう少し補足します。

以前の記事「働き方改革への労組の対応」の中で2018年6月1日に示されたハマキョウレックス事件と長澤運輸事件の最高裁判決について触れていました。ハマキョウレックス事件は正社員と有期雇用労働者の待遇の格差について、長澤運輸事件は正社員と定年後再雇用された嘱託社員(有期雇用)の待遇の格差について争われた事件でした。

ハマキョウレックス事件は労働者側が勝ち、長澤運輸事件は会社側が勝つという結果に分かれていました。ハマキョウレックス事件では有期雇用労働者と正社員との間に職務内容に差がないのにも関わらず、待遇に差があったことは労働契約法20条に違反すると判断されました。一方で、長澤運輸事件の有期雇用労働者は定年後に再雇用された高齢の労働者だったため、待遇差が不合理ではないと判断されたようです。

2020年10月にも非正規雇用の「同一労働同一賃金」を争点にした最高裁判決が立て続けに出されていました。大阪医科薬科大学事件とメトロコマース事件は原告側の敗訴、その2日後に出された日本郵便の契約社員に対する判決は原告側の勝訴と明暗が分かれました。

厚労省が「同一労働同一賃金」の具体的なルールを示す指針(ガイドライン)を示していましたが、 このように裁判で争われる事件が続いています。判決の明暗が分かれた傾向として、手当支給に関しては待遇差の不合理性が認められつつあります。一方で、賞与・退職金については、いわゆる有為人材確保論が大きく考慮され、使用者の広い裁量が認められ、待遇差の不合理性を否定する傾向があるようです。

不充分な点も見受けられていますが、民間の非正規労働においては「同一労働同一賃金」に近付けようとする動きが目立っています。しかし、公務員はパートタイム労働法の適用除外とされ、パートタイム会計年度任用職員の場合、地方自治法の改正によって期末手当以外の支給は法律上難しくなっています。

会計年度任用職員制度が施行される前は地方公務員法との解釈面から救済される裁判例もあったという話を耳にします。たいへん残念な現状として、勤勉手当や生活関連手当(扶養手当や住居手当等)を支給させるためには法改正が必要とされています。一単組の力で解決できる問題ではなく、自治労全体の運動として位置付けていくことになります。

会計年度任用職員制度の課題は多岐にわたり、雇用継続のあり方などが論点化されています。組合は人事評価制度において評価3段階の見直しを求めています。見直し自体は難しいままですが、任用不可となるC評価が極めて例外であることの周知徹底を各評価者(所属長)に対し、しっかり行なっていることを改めて確認しています。

仮にC評価のまま報告された場合、当該の評価者に対して人事課から改めてその理由等について確認した上で決定するという説明も付け加えられています。時間外勤務の割増が原則となる会計年度任用職員の代休制度についても、直近の労使協議を通し、前向きな回答を引き出しています。

これまで必要な職場には予算が確保されてきています。今後、同じように必要性が認められる場合、主管課で予算要求して欲しいとの回答です。予算がないから振替を強いるという回答ではなく、代休の必要がある勤務形態であると認められれば予算を付けるという回答です。なお、主管課で予算措置がされていない年度においても、必要であれば人事課の予算での対応を検討することも確認しています。

今年も自治労都本部統一の春闘要求書を市当局に提出します。3月19日を全国統一行動日とし、諸課題の解決をめざしていきます。この春闘期、私どもの組合の重点課題は新年度に向けた人員体制の確立です。他にも新学校給食調理場の課題、住居手当見直し提案などに対し、精力的に労使協議を進めます。

来週発行する組合ニュースを通し、いくつか労使協議の成果を報告します。不妊症・不育症に係る休暇の新設、新型コロナウイルス感染症に係る特例として結婚休暇とリフレッシュ休暇の取得期限の延長などを労使合意しています。さらに組合が長年要求してきた昼食時の私物ゴミ処理の問題が解決します。これまで組合は私物ゴミの持ち帰りの中で衛生面等を考慮した見直しを求めてきました。

ゴミを減らすという方向性や分別廃棄の徹底を大前提とし、水分を含むゴミ等を峻別すべきではないかと訴えてきています。組合側の要請を受けた検討結果が示され、職員の昼食時等のごみの処理ルールを個人による処理から市に変更する方向性が確認され、事業系廃棄物として処理する費用が予算化される予定という報告を受けています。

「その程度のことが成果?」と思われる方も多いのかも知れませんが、組合が要求したことで変化を見出せる、このような結果を重ねていくことが組合の役割を組合員の皆さんにアピールできる機会につながるものと思っています。ローカルな労使協議の話が長くなりましたが、最後までご覧になっていただき、たいへん感謝しています。ありがとうございました。

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