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2020年12月26日 (土)

コロナ禍の2020年末

2020年も残りわずかです。新型コロナウイルス感染症によって、これまで経験したことがなかった「日常」を強いられた一年でした。新規感染者の数は過去最多という言葉が日々伝わってきています。前回の記事は「迷走するGoTo」でしたが、外出を控えなければならない年末年始となります。

3月以降、飲食を伴う歓送迎会や親睦会などは一切開いていません。忘年会の季節を迎えていましたが、私の周りでは開けないことが当たり前な雰囲気でした。菅総理の5人以上の忘年会が批判を招いた後、自民党の忘年会が次々中止になったというニュースを耳にしました。国民に対して多人数での会食の自粛を求めながら自民党の国会議員の皆さんは開く予定だったことに驚きました。

国会議員に限らず、西尾市の自民党系市議は14名による忘年会を催していました。「忘年会ではなく反省会」「コンパニオンを呼んだのは感染防止のため」と釈明したことで、ますます認識のズレを際立たせたように思っています。感染症対策への温度差があるのかも知れませんが、国民に対して様々な要請を重ねているのであれば政治家の皆さんは率先垂範しなければならないはずです。

小林よしのりさんの『コロナ論2』が発売され、さっそく読み終えています。客観的なデータや専門家の意見なども紹介しながら持論を展開する『ゴーマニズム宣言』のSPECIAL版です。インフルエンザの脅威に及ばない新型コロナウイルスに過剰反応し、小林さんは「経済を止めるな!」という主張を貫いています。

欧米よりも日本の死者数の少ない理由、ファクターXとして小林さんは日本人の衛生観念の強さをあげています。さらにハグ・キスをしない文化、飛沫を飛ばさない日本語の発音など、日本人は自然体でウイルスの防御を行なっているため、緊急事態宣言や外出・営業自粛をせずに経済を回し続けるべきという主張です。

京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸さんとの対談記事があり、宮沢さんは大声での会話を控えれば済む話で、飲み会やカラオケでは感染に気を付ける程度の行動で感染を防げると語っています。3月の段階で「絶対ロックダウンをしてはいけない」と繰り返し訴えてきている専門家の一人です。

したがって、小林さんや宮沢さんらの主張と同じ考えを持たれている方々にとってGoToトラベルや忘年会の中止はあり得ないことになるのかも知れません。私自身は前回記事で紹介したとおり「エンジンブレーキ」が必要であるという考えです。アクセルは踏まず、車を止めないけれども、ゆっくり走行していくという発想です。

小林さんらの主張と相通じるものですが、再度の緊急事態宣言は可能な限り避けるべきと考え、感染症対策において罰則や強制力を持たせる法改正等の動きには懐疑的な立場です。やはり前回記事で紹介した新型コロナ対策の成功国としての台湾を心強い手本にすべきものと考えています。

これまで緊急事態宣言の発令はなく、出入国制限のほか、新たな生活様式の徹底化を国民に求めている程度の対策とし、台湾は経済を過度に停滞させていません。「防疫新生活運動」と呼びかけた新たな生活様式は次の6点で、日本でも同様に推奨し、ほぼ実践できている項目ばかりだと言えます。

  1. マスク着用の習慣化
  2. 石鹸での手洗いや消毒の励行
  3. ソーシャルディスタンスの確保(屋内1.5メートル、屋外1メートル)
  4. 外出の際は混雑しない時間帯を調べてから出かける。
  5. 屋内に入る際の検温に協力する。
  6. 飲食店のテーブルには飛沫防止パーテーションを設置する。

その台湾の累計感染者は776人(死者7人)であり、本日、過去最多を更新した東京の1日の感染者数949人を下回るものです。もちろん新型コロナウイルスの脅威を絶対侮ってはいけません。ワクチンや特効薬が普及し、集団免疫が確認できるまで、自分自身が感染しているかも知れないという意識のもとに行動していかなければなりません。

菅総理の「アクセルとブレーキを踏みながらやっている」という言葉はアクセルとブレーキを同時に踏んでいるように映っていました。実際、GoToはアクセルであり、人と人との接触の機会は増え、感染拡大につながった可能性は高かったはずです。今回、加速している最中に急ブレーキをかけてしまったため、キャンセル料の負担など避けられた出費や混乱を招いてしまったことは否めません。

「Goto」撤退に失敗した政権の「病理」』という見出しの新聞記事の中で、千葉商科大学准教授の田中信一郎さんが「菅首相ら政府首脳に上がってくる情報は、異動対象になり得る役人たちが上げてきます。菅首相らの嫌う情報は小さく見せ、楽観的な情報は大きく見せる、といった『加工』が積み重ねられた、と見るのが当然です」と解説しています。

菅総理の「私ども(政治家は)選挙で選ばれている。何をやるという方向を決定したのに、(官僚が)反対するのであれば異動してもらう」という言葉は「自分の政策に異論を唱える官僚はトバすぞ」という恫喝と同然です。11月以降、東京都医師会の尾崎治夫会長が「一度中断するという決断を」と訴えても「GoToが感染を拡大させた証拠はない」という楽観的な情報に打ち消されていました。

いずれにしても新型コロナウイルスに対する考え方も単一ではありません。違いは違いとして認め合いながら、より正確な情報をもとに最適な「答え」を見出すための努力が必要です。当たり前なこととして東京都医師会の尾崎会長に殺害予告の脅迫文というような行為は決して許されません。 

最適な「答え」をめざす際、菅総理には最も重い責任と調整能力が求められています。台湾の蔡英文総統は「新型コロナ“神対応”連発で支持率爆上げ」という結果を出しています。国会で「事実に反した答弁」を繰り返した安倍前総理の不適切な行為を反面教師とし、ぜひ、菅総理には国民に対して常に説明責任を果たし、信頼を寄せられる政治を進めて欲しいものと願っています。

2020年末、『週刊金曜日』最新号の特集記事は「『鬼滅の刃』メガヒットの理由」でした。硬派な週刊誌の表紙に意外な見出しを目にして少し驚いていました。その内容についても触れてみるつもりでしたが、いつものことながらたいへん長い記事となっています。年明け、機会を見て「『鬼滅の刃』を読み終えて」という記事を投稿させていただくかも知れません。

最後に、この一年間、多くの皆さんに当ブログを訪れていただきました。本当にありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いします。なお、次回の更新は例年通り元旦を予定しています。ぜひ、お時間等が許されるようであれば、早々にご覧いただければ誠に幸いです。それでは皆さん、良いお年をお迎えください。

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コメント

大晦日に東京都内の新規コロナ陽性者が1300人を超えました。緊急事態宣言が出されるかわかりませんが、窓口で市民対応をする立場としてはいつ自分がコロナ陽性者になるかびくびくしています。経済面で大変なことはわかりますが緊急事態宣言を出すべきだと思っています。またこの年末年始で休みに入っているので1月4日、各自治体はどのような判断をするのでしょうか。職員の生命がかかっているので早急な対応をお願いするばかりです。

投稿: ぱわ | 2020年12月31日 (木) 23時17分

ぱわさん、コメントありがとうございました。

元旦に投稿した新規記事で新型コロナウイルス感染症対策や緊急事態宣言について私自身の考え方を改めて綴っています。今後、緊急事態宣言の再発令に向け、政治的な判断が下されていくのかも知れません。

その際、ぱわさんからお寄せいただいたような声があることを踏まえ、今回も労使協議や安全衛生委員会の場を通し、より望ましい対応策を組合として求めていくつもりです。ぜひ、これからもお時間等が許される際、貴重なご意見のコメントを投稿くださるようよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2021年1月 1日 (金) 07時28分

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