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2020年11月15日 (日)

当面する労使課題について

このブログは組合を身近に感じてもらうための一つのツールとして毎週末に更新しています。今回も前回記事「定期大会を終えて、2020年秋」に続きマイナーでローカルな話題が中心となります。その時々で取り上げる話題の落差が大きいブログだろうと思っています。

落差の理由は組合の運動方針の中に政治的な取り組みも掲げられているからです。そのため「なぜ、取り組むのか」という問題意識を共有化するための情報発信や説明が重要だと考え、「平和の話、サマリー」「平和を考える夏、いろいろ思うこと」など労使課題からは大きく離れた話題も数多く取り上げてきています。

さらに幅広い考え方をインターネットを通して不特定多数の方々に発信できる当ブログは自分なりの一つの運動として位置付けています。加えて、このブログの閲覧者は私どもの市役所の職員よりも外部の方のほうが多いため、なるべくローカルな話題は控える意識が働き、広く知られた時事の話を選びがちとなっています。

一方で、いつも強調している点ですが、日常の組合活動の中で政治的な取り組みの比重はごくわずかです。労使協議を通して解決しなければならない職場課題が組合活動の大半を占めています。必然的に組合ニュースで平和の課題などを掘り下げる機会も少なくなるため、前述したような情報発信の必要性を当ブログで補完しているとも言えます。

さて、本題に入る前の前置きが長くなりました。11月6日に開いた定期大会では当日に配布した議案「当面する闘争方針」も確認しています。今回、その内容に沿って最新の情報を付加しながら書き進めていきます。まず当面する労使課題として、組合員の皆さんが最も関心と期待を寄せる賃金・一時金交渉の行方です。

今年度の国家公務員賃金に対し、人事院は10月7日に一時金を10年ぶりに引き下げる勧告を示しました。0.05月分引き下げて年間4.45月分とする勧告内容です。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、 月例給は別途月内に勧告するという異例な措置となり、10月28日に前年と同額に据え置く報告が示されていました。

私どもの市をはじめ、三多摩の多くの自治体が準拠する東京都人事委員会の勧告も例年より遅れていました。10月30日、国人勧と同様に一時金を先行させ、0.10月分引き下げ、年間の支給率を4.55月分とする勧告を示しました。やはりリーマン・ショックの影響を受けた2010年度以来10年ぶりの引き下げ勧告でした。

そのような中、月例給の水準維持などを求めた自治労都本部統一「2020年賃金改定等に関する要求書」を10月28日に私どもの市当局に提出し、回答指定日の11月6日、都人勧を基本に改定するという回答を受けていました。自治労都本部は第1波の統一行動日を11月13日、第2波の統一行動日を11月20日とし、状況に応じて越年闘争になることも想定しています。

私どもの市では12月議会に向けた条例案を送付する日程等を考慮し、11月11日に開いた団体交渉で一時金の取扱いに絞って基本合意しています。都人勧を上回る削減は考えていないこと、会計年度任用職員の一時金削減は継続協議していくことを確認し、自治労都本部と連絡を取り合いながら決着点と判断しました。

国をはじめ、東京都以外は0.05月分の削減幅であり、そのことの不当さを訴える組合の声もあります。ただ0.1月分下げられても年間一時金の支給率は国よりも0.1月分高く、民間の厳しい実態を踏まえれば、やむを得ないものと受け入れています。来年以降、もっと厳しい交渉になることも覚悟していかなければなりません。

引き上げ勧告の時の労使交渉結果は12月議会での条例改正が間に合わず、これまで引き上げ分の差額支給は年明けになりがちでした。下げる時は急ぐのかという見方も生じるのかも知れませんが、年明けの給料から差額分の数万円を引く手法よりもダメージは少しやわらぐものと考えました。

月例給に関しては都人勧を踏まえ、引き続き労使協議を重ねていくことになります。また、以前の記事「諸手当の見直し提案」で取り上げた私どもの市にとって継続した独自課題である地域手当引き上げ、住居手当の支給年齢見直しの課題に関しても11月11日の団体交渉の中で労使それぞれの考え方を突き合わせています。

ここまで書き進め、今回の記事も小見出しを付けようかと思い始めていました。それはそれで課題それぞれが重要であるため、付加していく内容が相当な分量になる可能性があります。そのため、これ以降は当面する労使課題の紹介程度にとどめ、機会を見ながら次回以降の新規記事で深掘りさせていただくつもりです。

続いて、2021年度人員確保・職場改善要求の取り組みです。各係・施設単位で実施したアンケートをもとに「人員確保及び職場改善に関する要求書」を集約中です。要求書案を第1回職場委員会で確認した後、市当局と教育委員会当局に要求書を提出し、年度末まで精力的に交渉を重ねながら各職場からの切実な要求の前進をめざします。

ちなみに第1回職場委員会は12月中旬、大きめの会議室を確保し、対面方式で久しぶりに開く予定でした。しかしながら最近の感染拡大の状況を踏まえ、書面開催等の方式を検討すべきではないかという意見が定期大会直後の第1回執行委員会で示されています。

2020現業統一闘争を通し、労働条件の事前協議は従前通りと確認しています。統一闘争は一つの区切りを付けていますが、新学校給食共同調理場の問題など大きな課題が継続しています。当該職場の組合員と話し合いを重ね、大規模改修によってドライ方式に移行した単独調理方式の学校は現行の方式を維持するように求めた要請書を11月12日に教育長へ手渡しています。

会計年度任用職員制度の課題は引き続き労使協議を進めています。雇用継続のあり方や代休制度の確立などを論点化しています。前述した一時金の課題に対し、会計年度任用職員の場合、都人勧の内容の反映は翌年度とすることを確認しています。都人勧は年間一時金を0.10月分引き下げる内容ですが、人事院勧告と同様、期末手当部分に限る引き下げ勧告です。

そのため、勤勉手当が支給されない会計年度任用職員にとって削減率は常勤職員の倍に相当します。そもそも期末手当のみの支給にとどめられていること自体「同一労働同一賃金」の考え方に反していることであり、翌年度以降も会計年度任用職員の賃金・一時金は現行水準を確保するよう求めています。

他にも新型コロナウイルス感染症予防対策や36協定の問題など労使課題は山積しています。組合員から直接相談を受ける案件も数多くあり、その都度迅速に対応しています。「組合に相談しても仕方ない」と思われないように努力しているところですが、大半の組合員からそのように思われてしまうようであれば組合の存在意義が問われてしまう事態だと考えています。

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