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2020年10月24日 (土)

組合役員を続けるモチベーション

前回の記事は「組合役員の立候補者を増やすためには」でした。9月末に投稿した記事「コロナ禍での組合活動、2020年秋」に寄せられたARIさんからの問いかけに答える内容を中心に綴っていました。前回の記事にもARIさんからご意見や質問がいくつか示されています。

きっと自治労に所属する組合役員の皆さん、それぞれ抱えている悩ましさだろうと思っています。せっかくの機会ですので今回の記事でもARIさんからの問いかけに答えながら私自身が考えていることを書き進めさせていただきます。

■「やらされ感」を前向きな義務感や責任感へ

組合役員は専従者ではない限り、基本的に無報酬での活動となります。無報酬という共通項で考えた時、ボランティア活動やサークル活動を思い起こすことができます。こちらの担い手は自発的な方々が中心となり、その活動自体に「やりがい」や楽しさを感じ取れているはずです。

その他にPTAや自治会の活動を思い浮かべていますが、担い手の多くは任期ごとの輪番制なのだろうと思います。組合役員の担い手の選出方法として、任意に立候補者を募るケースと輪番制を採用しているケースに分かれています。

どちらの方法も長所と短所があり、いろいろ悩みを抱えているのではないでしょうか。ただ立候補という形であっても実情は様々な経緯や「しがらみ」から渋々手をあげられて組合役員を担われている方も多いのかも知れません。

そのような場合でも一定の役割を負うことになり、労力や私的な時間を割かなければならない活動に向き合うことになります。「やらされ感」で始めていても周囲から感謝される場面ばかりであれば、ある程度モチベーションを下げずに続けられるのだろうと思います。

しかしながら前回記事の中で触れたとおり労使交渉では後退を余儀なくされる場面も多く、組合員の皆さんから叱責されがちな現状があることも否めません。書記長や副委員長など任務が重くなればなるほど矢面に立つ場面も増えていきます。

不充分な結果や連携不足だったことを理由に「組合を脱退したい」という申出を受けた時もあります。オープンショップ制の宿命的な悩ましさですが、組合役員を担っているモチベーションが一気に下がりかねない非常に残念な場面だと言えます。

加えて、組合役員が個々に割り当てられている任務や実務を充分に果たし切れていない時、執行部内から叱咤されるケースもあり得ます。「あの件、どうなったの?」という単に確認を求める言葉だったとしても、プレッシャーとなってストレスを高めていく一因になりかねません。

執行委員長という立場の私自身、強い口調で他の役員を責めるような言葉使いは慎み、パワハラにならないように注意しています。しかし、苛立ちを隠せない場面が皆無とは言えず、感情的な言葉を発してしまった時は後から深く反省しながらお詫びしています。

労働条件の維持向上という同じ目的で集いながら、組合員や組合役員同士の軋轢から心を痛めていくような関係性は絶対避けたいものです。人間関係からストレスを高め、組合役員を続けられないケースが見受けられる場合は本当に残念なことです。

組織内がギスギスした雰囲気だった場合、逃げ道の少なさから専従役員のほうがよりいっそうストレスを高めていくのかも知れません。したがって、組合役員のモチベーションを維持するための大事な点として、日常的な活動を進める上で生じがちなストレスの要因を最小化していく努力が必要です。

いずれにしても組合役員を続けていくモチベーションは金銭面の多寡よりも他者から肯定される役割であるかどうかが最も重要な点だろうと考えています。周囲から認められているという役割は「やらされ感」を前向きな義務感や責任感に変え、自己肯定感は主体的な使命感に高めていける可能性を期待できます。

組合活動に「やりがい」や面白さを見出せれば

義務感や責任感の強かったARIさんだからこそ書記長から副委員長まで担われ、様々な組合の取り組みへの参加を拒めなかったのだろうと思っています。特に組合員の皆さんに動員要請していながら組合役員が参加しない訳にはいかなくなる事情を垣間見ています。

直近のコメントから見受けられたことですが、私どもの組合に比べてARIさんの組合は活動の総量が多いのかも知れません。かつて私どもの組合も各職場何割という動員割当を要請していました。現在、動員要請という言葉自体使っていません。

広く参加者を募る集会やイベントは組合ニュースで呼びかけ、あくまでも個々人の判断での参加です。このような関係性のもと組合役員も各種集会に参加するかどうかは任意に選べるようになっています。もちろん定期大会をはじめ、主催する取り組みに対しては可能な限り参加することを申し合わせています。

ARIさんから組合活動の中で「アイデア」を出すことのお尋ねがありました。この動員要請の見直しも一つの「アイデア」だったと言えます。見直すまでの過渡期、しっかり割当要請に応える職場と応えられない職場に分かれがちでした。このような経緯も踏まえ、ARIさんらが感じられている問題意識を受けとめ、現在の方式に定着させていきました。

青年婦人部幹事から執行委員長まで本当に長く組合役員を務めてきているため、自分自身の「アイデア」を形にした事例は数え切れません。以前の記事「組合役員を続けている理由」の中でダンスパーティーを職員家族クリスマスパーティーに変えたことや機関誌にフォトストーリーという創作を連載したことなどを紹介していました。

最近ではコロナ禍での組合員の皆さんへの還元策として、2千円の労働金庫口座開設推奨金振込制度の創設、委任状を含む定期大会参加者全員を対象にした抽選会の実施などが私自身の「アイデア」を形にしたものです。組合活動のあり方についての「アイデア」も多数ありますが、別な機会に譲らせていただきます。

組合役員になったイキサツ」で伝えているとおり市役所に入った当時、私は組合に距離を置こうと考えていました。青年婦人部幹事を引き受けたイキサツも先輩から口説かれ、酔った勢いで返事したことが切っかけでした。それ以降は自分自身が判断し、ここまで長く務めてきています。

組合役員を担ったことで貴重な経験や交流を重ねられ、自己啓発の機会も数多く得られながら、「やりがい」のある任務だったものと振り返ることができます。当たり前なことですが、「やりがい」や面白さを見出せなければ、ここまで長く続けていなかったものと思います。

長く担い続けてきた自分自身の責任として

組合役員の担い手不足につながっている理由として「組合のイメージが悪い」「負担が大きい」「組合活動の成果が感じられない」という声を耳にしています。イメージを少しでも転換する方策として『闘争ニュース』を『組合ニュース』に改めたのも私自身の「アイデア」でした。イメージの転換に向けては、できることを一つ一つ地道に試みていくつもりです。

負担面の話は前述したような問題意識を持ち続けていきます。組合活動の成果は労使交渉を通して結果を出す努力を尽くしていかなければなりません。ARIさんからの問いかけに対し、すべて答え切れていないかも知れませんが、前回と今回の記事を通し、いろいろな思いを発信する機会を得られています。

いずれにしても組合役員を長く続けてきた自分自身の責任として「組合をつぶしてはいけない」という思いを強めています。それが組合役員を担い続けるモチベーションの一つであり、大仰な言葉で表わせば使命感になっています。

ここ数年、執行委員定数12名を満たすことは程遠く、年を重ねるごとに欠員の数を増やしてきました。昨年、久しぶりに前年よりも立候補者を大幅に増やすことができました。さらに今年、11名まで立候補者数が増えています。要請に応えていただいた職場の皆さん、本当にありがとうございます。

最後に、11月6日夜の定期大会に先がけ、組合役員の信任投票が実施されます。下記の文章は立候補にあたり、組合員の皆さんに回覧し、お示しする私自身の選挙広報に掲げた内容です。恒例となりつつありますので、今年も全文をそのまま紹介させていただきます。

毎年、3月末に発行する『市職労報』の特集記事の見出しに「役に立たない組合はいらない」と掲げていました。まったく役に立たない組合であれば「いらない」と思います。しかし、私自身、組合役員を長く務める中で「組合は必要、だから絶対つぶしてはいけない」という思いを強めています。そのため、持続可能な組合組織に向けた基盤を整え、次走者に安心して「バトン」を渡せるタイミングを強く意識しています。

幸いにも執行委員の立候補者が増え始めています。このような明るい兆しがある中、次年度も引き続き担うことで、よりいっそう発展していく組合活動に寄与できればと考えています。新たな一年、様々な難題に対し、引き続き組合運動の先頭に立ち、全力を尽くす決意ですので、よろしくお願いします。 

◎ 毎週1回更新しているブログ『公務員のためいき』もご覧いただければ幸いです。

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