コロナ禍での組合活動と役割の発揮
前回記事「ネット議論の現状と課題 Part2」の最後のほうで「積極的な情報開示は住民の皆さんとの信頼関係を高める手段だと考えています」と記していました。自治体行政に限らず、労働組合と住民の皆さんとの関係も同様なことだと考えています。
労使課題において組合の要求や主張が絶対的な誤りであれば再考しなければなりません。そのような意味合いから日常的に発行する組合ニュースの内容は誰が目にしても説明責任を果たせる前提で書かれています。ネット上で不特定多数の方々に発信している当ブログの内容も同様です。
基本的な立場や考え方の違いから批判を受ける場合もありますが、そのことも直近の記事の中で綴っているとおり貴重な機会だととらえています。どのような点が批判されるのか、どのように説明していけばご理解いただけるのか、いろいろな意味で「気付き」の機会につながるからです。
そのため、このブログに組合ニュースの内容をそのまま掲げる時があります。今回、私どもの組合員の皆さんに対する速報的な意味合いを踏まえ、週明けに発行するニュースの内容を紹介します。「コロナ禍での組合活動と役割の発揮に向け 諸課題の改善に向けた労使協議を推進」という見出しを付けた内容です。
新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大しています。緊急事態宣言解除後、「新たな日常」に留意しながら組合活動を再開していますが、今後もいっそう感染防止に努めていかなければなりません。このような中、組合執行部はコロナ禍での活動と役割の発揮に向けて検討を重ねています。
12月の職員家族クリスマスパーティーは中止 12月に予定していた職員家族クリスマスパーティーは職員共済会とも相談し、キャンセル料の発生しない時期を考慮した上、残念ながら中止することを決めました。
今年度の職場委員会の開催は難しいものと見ています。11月6日に市民会館小ホールで開く定期大会は今のところ予定通りとしていますが、出席者数を絞ることも検討しています。
一方で、この機会に提起できる新たな制度や組合員の皆さんへの還元策の検討も進めています。第一弾として下記内容の「労働金庫口座開設推奨金振込制度」を創設します。
コロナ関連も協議の対象 現時点で感染防止のための勤務体制の見直しは検討されていません。職員の安全と住民サービスの維持に優劣を付けられませんが、組合は職員の安全面に最大限注意を払っていく立場です。今後の状況に応じては実効ある必要な感染防止の手立てを求めていきます。
以前から組合はリフレ休暇に関する運用改善を要求しています。コロナ禍で取得しづらい中、改めて改善を促しています。その他の課題として、会計年度任用職員制度の確立、36協定遵守の問題、新調理場等の行革計画に対する取り組みなどにも力を注いでいきます。
■ろうきん口座を開設すると2千円振り込みます。
労働金庫(ろうきん)の普通預金口座を開設した際、2,000円をその口座に振り込みます。労金口座開設推奨金振込制度をスタートする今年、すでに開設している組合員の労金口座にも2,000円を振り込みます。
振込を希望される組合員は12月末までに申込書に必要事項を記入し、組合事務所までご提出ください。申請後、1か月以内に振り込む予定です。なお、来年以降も新規開設した際に振り込む継続した制度です。
組合員の暮らしを守るため、労働組合の自主福祉活動の一環として労働金庫を設立しています。財形貯蓄のご案内をはじめ、組合員のために労金活動を推進しているため、これまでも労金口座の開設を推奨してきています。
さらに組合から組合員あてに慶弔見舞金等を振り込む際に労金口座であれば手数料(1件あたり330円以上)がかかりません。労金口座の普及は、このような組合財政面での利点があることもご理解いただければ幸いです。
ぜひ、お持ちでない方はこの機会に開設くださるようお願いします。口座を新規開設される組合員は下記申込書の「□労働金庫の普通預金口座の新規開設を希望します」にチェックしてください。開設に必要な書類をお送りします。ご不明な点は組合事務所までお問い合わせください。
新型コロナウイルス感染症の影響で今年度、上記ニュースに掲げた職員家族クリスマスパーティー以外に日帰りバス旅行や三多摩メーデーなども取りやめています。それらの取り組みに伴う支出がなくなる分について代替的な組合員への還元策の検討を執行委員会の中で進めていました。
中長期的に組合財政が厳しい中、一過性の還元策にとどめない検討を重視した結果、労働金庫の口座を開設した際に推奨金を振り込む制度が決まりました。もう少し大きな額も検討しましたが、この制度を利用しない方々のことを念頭に置き、2千円となりました。さらに第一弾と位置付け、引き続き別な切り口からの還元策の検討を進めています。
昨年11月の定期大会時に示していない制度創設であり、大きな額の予算の組み替えを伴うため、本来、職場委員会に諮りたい事案でした。ただ上記ニュースのとおり職場委員会の開催は見合わせています。会議室での開催になるため「密閉」「密集」「密接」という3密が避けづらいためです。
そのため、今回の制度創設にあたっては執行委員会段階で判断していることをご容赦ください。なお、今回の案は協力委員の皆さんにも提示し、いろいろご意見をいただいていました。ちなみに定期大会の会場は200人以上入れるため、3密に注意しながら予定通り開催できればと考えています。
組合予算の組み替え等の話から先に入りましたが、労使課題の改善に向けた取り組みがコロナ禍でも組合として最も発揮すべき役割です。上記ニュースに掲げた課題一つ一つ重要なものであり、補足説明を加えていくと相当な分量が必要となるため、今回の記事で詳述することは見合わせます。
その中でコロナ関連に絞り、もう少し書き進めてみます。実は前々回記事「ネット議論の現状と課題」のコメント欄で、ぱわさんから次のような問いかけがありました。2回に分かれたものですが、まとめて紹介した後、私自身の考え方を改めて掲げさせていただきます
コロナ感染者数が増え続けています。感染者が若い人で症状が軽いからとか重症者が少ないからとの理由で緊急事態宣言は出ていませんが、感染リスクは4月の緊急事態宣言時と同じかそれ以上だと思います。
組合としては交代制勤務再開などの提案はしないのでしょうか?夏場になり、マスクをしているだけで体力が失われます。また通勤時の感染リスクなどで精神的にも気を使います。安全衛生上からも交代制勤務の再開を希望します。よろしくお願いします。
どのような状況になったら勤務体系の変更を協議してもらえるのでしょうか?毎日のコロナ感染者数を聞くと増加ばかりで減る要素はないと思われます。緊急事態宣言のような国レベルからの通知がないと交渉できないのでしょうか?
職員の働き方や安全面の対策として、新型コロナウイルス感染症に絡む事項の多くは労使協議の対象だと言えます。6月に開いた安全衛生委員会で議題として取り上げ、緊急事態宣言期間中の勤務体制を検証することで今後の望ましい対応策を探っています。
もちろん感染拡大が収束した訳ではないため、緊急事態宣言の有無に関わらず必要な勤務体制のあり方について検討していくことも欠かせません。緊急事態宣言解除後も民間企業の一部では在宅勤務が継続していることを耳にしています。感染予防にとって一歩も外出しない勤務体制が望ましいことは間違いありません。
しかしながらエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々の職場と同様、自治体職場としてそのような体制は想定できません。したがって、宣言解除後は時差勤務の拡大運用等、感染対策のための例外的な勤務体制を残している程度にとどまっています。再び感染者数が急増していますが、今のところ勤務体制の見直しは検討対象となっていません。
組合として感染リスクが低減する交代制勤務の意義を評価している立場ですが、「一歩も外出しない勤務体制」に比べれば絶対的な効果が期待できない点も認識しています。さらに「新しい日常」のもとに社会経済が動き出し、現時点で自治体業務の極端な縮小は難しいものと考えています。そのため、通常業務の範囲のまま半数の職員で対応していくことの負担等も重く見ています。
このような答えが交代制勤務の再開を切望されている方々の思いに反し、職員の安全よりも業務継続を優先しているように見られないかどうか懸念しています。誤解のないように強調させていただきますが、決して感染症対策を軽視している訳ではありません。このような懸念があるため、今回の記事本文や組合ニュースの中で取り上げています。
「職員の安全と住民サービスの維持に優劣を付けられませんが、組合は職員の安全面に最大限注意を払っていく立場です。今後の状況に応じては実効ある必要な感染防止の手立てを求めていきます」という言葉を少し補足します。職員の「安全」を「命」という言葉に置き換えれば当たり前な考え方だと言えます。
ただ医療従事者が患者と向き合う業務において、自分の「安全」「命」と患者の「命」に優劣を付けられません。つまり同例で比べられない重要性の中で、組合は業務継続と職員の安全面を並立で検討を求めていく立場です。さらに組合員の皆さんの切実な声を背にすることで、業務継続が優先されないように注視していきます。
組合としては交代制勤務も選択肢の一つとして、今後の感染状況を見定めながら組合員の皆さんの安全や安心のために絶対欠かせない感染防止の対策だと判断した場合、その実施を市側に強く迫っていくつもりです。最後に、このような対応こそがコロナ禍で期待されている組合の重要な役割だと考えています。
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コメント
コロナ禍での組合活動についてお書きいただきありがとうございます。一組合員として若干追加で述べさせていただきます。現在のコロナ禍では通常とは違い、特に健康面に注意するなどストレス要因が増えています。若い人は症状が出ないか軽くて済むことが多いとの情報が多いのですが高齢者と同居している者にとっては自分が罹患し、知らず知らずのうちに高齢者が罹患、発症してしまうことも考えなくてはなりません。たとえばこのような状況下でメンタル面に不調をきたすことについては今までの経過で問題視されたことはないのでしょうか?私自身のことで恐縮ですがこのコロナ禍によってメンタル面が不調となっています。
投稿: ぱわ | 2020年8月 1日 (土) 18時34分
ぱわさん、コメントありがとうございました。
安全衛生委員会でコロナ禍に絡む相談の有無について確認していました。その時点までに直接的な理由での相談はないとのことでした。その後についてもたいへん恐縮ですが、私自身は把握できていません。
ぱわさんからお話を伺い、メンタル面からの対策や配慮の必要性を改めて感じ取っています。ぜひ、これからも当ブログのコメント欄を利用されるか、直接お声かけいただくか、どちらでも結構ですのでご意見等をお寄せください。今後の組合活動の参考にさせていただきます。よろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2020年8月 1日 (土) 20時48分