ネット議論の現状と課題
5月末にフジテレビの番組『テラスハウス』に出演していた木村花さんがSNSでの誹謗中傷を苦にして自らの命を絶ちました。番組を制作する側の問題点も指摘されていますが、木村さんの早すぎる死を契機にネット上での誹謗中傷を法規制すべきという動きが出ています。
匿名の発信者の特定を容易にするためのプロバイダ責任制限法の改正をはじめ、侮辱罪や名誉棄損罪の疑いによる積極的な捜査などが検討され始めています。一方で、表現の自由の問題や政治権力への批判を抑制する動きにつながる恐れを懸念する声もあります。
絶対的な正解は見出しづらい課題だろうと思っています。しかし、木村さん以外にも多くの方がネット上での個人攻撃や誹謗中傷に心を痛め、繰り返してはならない自死を選ぶような現状に歯止めをかけるためにも、より望ましい「答え」を探し続けていかなければなりません。
「ネット議論の現状と課題」という大仰なタイトルを付けていますが、あくまでも参考情報の一つとして私自身のことを振り返ってみます。まだSNSという言葉があまり使われていない頃、図書館で『ブログでできる簡単ホームページ作り』という本を見つけました。
私どもの組合の公式ホームページの立ち上げには執行部内で慎重な意見が示されていたため、その本を手にしたことを切っかけに個人の責任で運営する当ブログの開設につながりました。このあたりの経緯はPart3に及んだ記事「秋、あれから2か月」に書き残しています。
さらに「このブログを始めたイキサツ」という記事の中で「真実は一つなのでしょうが、どちらか一方の報道だけ見聞きすると相手が悪いとの印象を持ってしまいます」という問題意識を示し、いろいろ叩かれがちだった労働組合や自治労側の言い分も不特定多数の方々に発信する必要性を強めていたことを綴っています。
「公務員のためいき」のサブタイトルにしている「逆風を謙虚に受けとめながら雑談放談」という場として、「襟を正すべき点は正す」ための率直な意見を聞く場であり、一方で「主張すべき点は主張する」ブログであることを強調していました。
そのため、コメント欄は誰もが即時に投稿でき、明らかな営利目的やスパムでなければ削除しない方針を貫いています。おかげ様で本当に多くの方々から率直で貴重なご意見をいただいてきました。どのような辛辣な言葉でも、そこに投稿された思いや意味をくみ取ろうと心がけてきました。
とにかく批判意見も含め、幅広い視点や立場からご意見をいただける貴重さを感じ取ってきました。面と向かっては言いづらいことでも匿名だからこそ言える場合があり、そのような関係性を前向きにとらえてきました。様々な批判意見があることを知った上で日常の活動に臨める貴重さを重視しているからでした。
現在、寄せられるコメント数は少なくなっていますが、週1回更新する記事に100件以上のコメントが続いた時期もありました。公務員やその労働組合への批判、政治活動に対する批判、私自身の考え方や対応への批判など、これまで手厳しい言葉での辛口なコメントが数多く寄せられています。
「炎上」しているように見られていた時もありました。しかし、私自身は前述したような思いがあるため、心が折れる時は皆無に近かったものと振り返ることができます。
それでも「皆無だった」と言い切れない記憶があることも確かです。心が折れないまでも問題意識や論点がかみ合わず、どうしても議論が平行線をたどりがちな場合、徒労感が強まる時は頻繁にありました。
記事本文は週1回、土曜もしくは日曜に更新するサイクルを早い段階で定めていました。日常生活に過度な負担をかけないための考え方でした。それでも寄せられたコメントに対しては可能な限り即日レスするように努めていました。
結局、2012年の春頃からは背伸びしないペースとして、コメント欄も含め、週に1回、土曜か日曜のみにブログに関わるように改めていました。このようにネット議論に際し、徐々に身の丈に合った付き合い方に変えてきていることも当ブログを長く続けられている理由の一つだと考えています。
加えて、誹謗中傷に対する注意喚起なども私自身の問題意識をコメント投稿者の皆さんにご理解やご協力を求めてきています。「コメント欄の話、インデックスⅡ」等で詳述しているとおりコメント欄での制約が少ない中、次の3点の「お願い」だけは繰り返しています。
- コメント投稿の際、できる限り名前欄の記載を欠かさないようにお願いしています。意見交換をスムースに行なうためですが、匿名での投稿とは言え、その意見内容にある程度責任を持っていただくことも目的としています。したがって、繰り返し投稿される方の場合はハンドルネームを固定されるようお願いしています。
- 相反する意見の対立は平行線をたどりがちです。このコメント欄では結論を出すことを目的としていません。いろいろな「答え」を認め合った場として、攻撃的な言葉を並べることよりも対立する意見の相手方に「なるほど」と思わせるような言葉の競い合いができるようお願いしています。
- 特定の人物や団体を誹謗中傷するような書き込みは慎むようにお願いしています。特に「あいつ(あの団体)は犯罪者だ」と断定調に発言することを認めることはできません。「罪を犯していると思われる」は許容範囲となりますが、決して言葉使いの問題ではなく、断定調であれば管理人の責任として警告しなければならない発言となります。
上記3番目の「誹謗中傷は慎む」に関しても、あくまでも「お願い」であり、その恐れがある投稿内容だったとしても削除していません。誹謗中傷と判断するのかどうかも含め、閲覧された皆さんの受けとめ方に委ねています。
極端な話として、もし誹謗中傷なのかどうか白黒の結論を出したい場合は司法の場に委ねなければなりません。そもそも中には「事実なのだから誹謗中傷ではない」という反論もあろうかと思います。しかしながら「事実だと断定する」こと自体が不明確であれば、そのような「思い込み」から繰り出す断定調の批判は誹謗中傷だろうと考えています。
思った以上に長い記事になってしまいました。長い内容を書き進めながらも、本来、この機会に添えなければならない重要な言葉が漏れているような気もしています。そのような言葉があった場合、また機会を見てお示しできればと考えています。ネット議論のあり方として、もう少し続けます。
前回の記事「『霞保育園で待っています』を読み終えて」に対し、幅広い視点や立場から寄せられたyamamotoさんやAlberichさんのコメントは論点をしっかり受けとめることができます。私自身の考え方を託した記事本文の内容を補っていただけるコメントであり、たいへん参考になるため非常に感謝しています。
一方で上記3点の「お願い」に沿った際、このようなコメントの仕方は控えて欲しいという事例にも接しています。前述したとおり問題があるのかどうか判断するのも閲覧された皆さんの受けとめ方だと考えていますので、そのような事例について参考までに紹介させていただきます。
4月に投稿した記事「一律10万円の特別定額給付金」に対し、6月27日、短文のコメントが寄せられました。正直なところ「二人体制でヨシ!」とは何を指しているのか、どのような事案に対して憤られているのかどうか分かりませんでした。
紹介いただいたリンク先のサイトは『10万円の「特別定額給付金」二重払い相次ぐ…過払い分を使うと法的責任問われる?』だと思われます。二重払いは防がなければならないミスであり、各自治体は速やかに謝罪し、深く反省しているはずです。その上で過払い分を使ってしまった場合の法的な解釈が一般論として説明されています。
私からのコメントでも記していることですが、もちろん公務員に対する苛立ちは伝わってきます。ただ「二人体制でヨシ!」や「俺たち公務員には配慮しろ!」などの言葉がどのようにつながっているのか、そのあたりが理解しづらいところでした。
閲覧されている皆さんから客観的な評価をいただくためにも、その方と私がやり取りしたコメント内容全文をそのまま紹介します。その方のコメントは青字、私のコメントは赤字としています。最後に、私がどのような点についてお願いしているのか、その方、「OTSU」さんにもご理解願えれば幸いなことだと考えています。
【参考】
二人体制でヨシ! 馬鹿かな? 無能な公務員共が税金食い荒らしやがって 投稿: | 2020年6月27日 (土) 02時27分
2020年6月27日(土)02時27分に投稿された方、コメントありがとうございました。せっかくの機会ですので、もう少し意図が分かる書き方にご配慮願えれば幸いです。加えて、引き続き投稿いただける場合は名前欄の記入にもご協力ください。よろしくお願いします。 投稿: OTSU | 2020年6月27日 (土) 07時03分
自分で調べることもできんのかよ・・・ tps://news.yahoo.co.jp/articles/946291f2074a0f26ef9f9ec7676eb6e4c2e761a1 市民国民には「俺たち公務員には配慮しろ!」「失敗しても俺たちの責任じゃないからな!」と言っておきながら「俺たち公務員は頑張ってるんだ!」だからな。楽な仕事だわ。 投稿: OTSU | 2020年6月29日 (月) 22時07分
OTSUさん、コメントありがとうございました。せっかく追加でコメントをお寄せいただきましたが、「自分で調べる」以前のレベルの問題として、もう少し意図が分かる書き方にご配慮願えれば幸いです。私自身の読解力の問題であれば恐縮ですが、リンク先のサイトに目を通しても明確な意図はつかみ切れません。もちろん公務員に対して何か苛立ちを強めているという意図は理解できています。
なお、名前欄の記入にはご協力いただきました。しかし、半角文字で違いを示されたのかも知れませんが、ブログの管理人と同じ名前は一般的な常識やマナーに照らせば望ましい選択ではありません。このような点についてもご理解ご協力をよろしくお願いします。 投稿: OTSU | 2020年7月 4日 (土) 06時46分
>せっかく追加でコメントをお寄せいただきましたが、「自分で調べる」以前のレベルの問題として、もう少し意図が分かる書き方にご配慮願えれば幸いです。これ言ってりゃ相手が悪いで済ませられるから楽だわな。問題をはぐらかし、謝らず、市民のせいにできる。公務員さんは無敵ですわw 投稿: OTSU | 2020年7月 4日 (土) 21時35分
2020年7月4日(土)21時35分に投稿されたOTSUさん、コメントありがとうございました。今回は全角文字ですか。昨日レスしたとおり残念なことです。いずれにしても何が問題なのか、理解できないまま謝罪することが決して好ましい関係性だとは考えていません。せっかくマイナーなブログとのお付き合いに時間を割いていただいているのでしたら相手に「なるほど」と気付かせ、問題点を修正できる機会につなげさせる関係性が望ましいのではないでしょうか。 投稿: OTSU | 2020年7月 5日 (日) 09時07分
>相手に「なるほど」と気付かせ、問題点を修正できる機会につなげさせる 自ら理解する努力を放棄し、市民に労力を割かせる、か。公務員になったら怠惰になってしまうんかな? 問題点を修正できる機会というが、公務員が自組織を改善した例なんか無いやろ。 投稿: OTSU | 2020年7月11日 (土) 23時54分
2020年7月11日(土)23時54分に投稿されたOTSUさん、コメントありがとうございました。>二人体制でヨシ! 馬鹿かな? 無能な公務員共が税金食い荒らしやがって 上記のコメントからやり取りが続いています。機会を見ながら今後、このやり取りを記事本文で取り上げ、論点や問題点を際立たせてみたいものと考えています。 投稿: OTSU | 2020年7月12日 (日) 06時49分
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コメント
東京都でコロナ陽性者が300人近く毎日発生しています。窓口対応する職員は常に緊張感をもって業務にあたっています。
緊急事態宣言の時は多くの職場で交代制勤務やテレワークをおこないましたが今回のコロナ陽性者が増加している現状、何も対策はしないのでしょうか?
投稿: ぱわ | 2020年7月18日 (土) 22時49分
ぱわさん、コメントありがとうございました。
このところの感染拡大、たいへん心配です。先月開いた中央の安全衛生委員会で職員の感染予防を議題としています。緊急事態宣言発出後の交代制勤務の実施状況等を検証し、業務継続と両立した対策のあり方について議論しています。
組合は業務継続を優先し、職員の安全面を疎かにしたように見られかねない対応策であれば問題だと考えています。今後も組合員の皆さんの声を受けとめながら宣言発出の有無に関わらず、現状の問題点の改善や必要な見直しに向けて労使協議に臨んでいきます。ぜひ、これからもご意見等をお寄せいただければ幸いですのでよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2020年7月19日 (日) 07時35分
つまり公務員への批判は晒上げて、擁護派に叩き潰してほしいってこと?
投稿: 公務員はシステム的に問題がある | 2020年7月19日 (日) 21時34分
公務員はシステム的に問題があるさん、コメントありがとうございました。
IPアドレスを確認したところ「OTSU」さんであるようですが、残念ながら私からの「お願い」についてご理解いただけなかったようです。
今回の記事本文の中で説明したとおり批判意見をうかがえることの貴重さを感じ取っています。そのため「公務員への批判は晒上げて、擁護派に叩き潰してほしい」という考えなどはまったくありません。
公務員はシステム的に問題があるさんが短いコメントをお寄せくださる意図や目的があるのだろうと思いますが、今後もお付き合い願える場合、せめてハンドルネームだけは固定されるようよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2020年7月19日 (日) 22時38分
じゃあ「市民」で固定。
わざわざ記事建てして晒されてるわけだけど、張り付けたニュースでは2重チェックしてるのにミスを連発し、返還要求するだけで公務員は何の責任も取ってないよな。でもしか公務員と呼ばれてた頃からなにも進歩してないな。と怒りを覚えて書き込んだのよ。14日にはいわき市でもミスが起きてるし。
これに限らず、公務員がミスをしました不正をしましたというニュースの後には対策内容やその効果が明かされることがないし、知ろうとしても知ることができない。公務員は同じ公務員の失態を他山の石としていないように感じる。
ま、いち公務員、管理人にこんなこと言っても改善なんてしないだろうし意味なんてないんだろうけど。
投稿: 市民 | 2020年7月20日 (月) 00時53分
コロナ感染者数が増え続けています。感染者が若い人で症状が軽いからとか重症者が少ないからとの理由で緊急事態宣言は出ていませんが、感染リスクは4月の緊急事態宣言時と同じかそれ以上だと思います。
組合としては交代制勤務再開などの提案はしないのでしょうか?夏場になり、マスクをしているだけで体力が失われます。また通勤時の感染リスクなどで精神的にも気を使います。安全衛生上からも交代制勤務の再開を希望します。よろしくお願いします。
投稿: ぱわ | 2020年7月22日 (水) 19時31分
ぱわさん、市民さん、コメントありがとうございました。
市民さん、ハンドルネームの固定化など私からの「お願い」にご理解いただけたことに感謝申し上げます。今回、ネット議論における前向きな意味合いで、せっかくの機会だととらえています。そのため、市民さんのコメントに対してお答えすべき点を新規記事を通して詳述させていただきます。
ぱわさん、緊急事態宣言解除後も民間企業の一部では在宅勤務が継続していることを耳にしています。感染予防にとって一歩も外出しない勤務体制が望ましいことは間違いありません。自治体職場としてそのような体制はあり得ないため、より望ましい対応策を築かなければなりません。組合としては交代制勤務も選択肢の一つとして、これからも業務継続と職員の安全面を並立で検討していくことを強く求めていきます。
投稿: OTSU | 2020年7月25日 (土) 06時40分
どのような状況になったら勤務体系の変更を協議してもらえるのでしょうか?毎日のコロナ感染者数を聞くと増加ばかりで減る要素はないと思われます。緊急事態宣言のような国レベルからの通知がないと交渉できないのでしょうか?
投稿: ぱわ | 2020年7月25日 (土) 20時55分
ぱわさん、コメントありがとうございました。
緊急事態宣言解除後も新型コロナウイルスの感染防止が欠かせないため、安全衛生委員会での課題として取り上げています。現在、人事課が在宅勤務の状況について調査していることも継続した課題であるからです。
また、解除後も時差勤務の拡大運用等、感染対策のための例外的な勤務体制を残しています。このように宣言の有無に関わらず必要な勤務体制のあり方について労使協議できる現状だと言えます。
そのような現状を踏まえ、昨日お答えしたとおりの認識で組合は対応しています。「新しい日常」のもとに社会経済が動き出している中、自治体業務の極端な縮小は現時点では難しいものと考えています。
交代制勤務の意義を評価している立場ですが、昨日記したとおり「一歩も外出しない勤務体制」に比べれば絶対的な効果を期待できる対策でないことも認めざるを得ません。
このような状況を考え合わせていくと再び緊急事態宣言が発出され、社会全体の感染対策の方向性が転換するタイミングで改めて交代制勤務等のあり方について協議する局面になるものと考えています。
誤解のないように強調させていただきますが、決して感染症対策を軽視している訳ではありません。いろいろ言葉や説明が不足しているかも知れませんので、新型コロナウイルスの問題は機会を見て記事本文で取り上げていければと思っています。
投稿: OTSU | 2020年7月26日 (日) 07時52分