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2020年5月 2日 (土)

最近、読んだ本

前回記事「一律10万円の特別定額給付金」の中で、あくまでも個々人の自主的な判断を大前提とし、特別定額給付金の支給を機会に組合員から提案された趣旨に沿った寄付の仕組みを作れないかどうか考え始めていたことを紹介していました。それに対し、コメント欄でyamamotoさんとKEIさんからは否定的なご意見が寄せられていました。

緊急事態宣言が発出された後、執行委員会の開催は見合わせているため、メール等を介して他の組合役員の考えも聞き取りました。その結果、組合としての寄付金の取り組みは誤解を招かないように給付金のタイミングから外し、あまり急がずに今後の検討課題とすることにしています。

さて、三多摩メーデーをはじめ、手帳に記されていた予定すべてが白紙となっています。外出そのものを自粛しているため、必然的に自宅で本を読んで過ごす時間が増えています。記事タイトルに掲げたとおり最近、読んだ本を読み終えた順ではありませんが、いくつか紹介しながら自分なりの感想を一言二言添えさせていただきます。

新型コロナウイルス感染拡大という時節柄、まず感染症関連の書籍を紹介します。いつも立ち寄る書店に特設コーナーがあり、真っ先に手にしたのが『復活の日』でした。著者は小松左京さんで小説という形を取っていますが、科学的な解説や米ソ冷戦時代の社会的背景が克明に描かれ、リアリティをもって新種のウイルスの怖さを感じ取れます。

当初「たかがかぜ」と侮っていた人類は数か月の間に絶滅の危機を迎えます。そのウイルスは低温に弱く、かろうじて南極大陸に赴いていた1万人ほどの人々が助かります。残された女性は16人、絶望の中から人々は人類の「復活の日」をめざしていきます。小説を初めて読み、コマーシャルで見た記憶のある草刈正雄さんが帰還する映画のクライマックスシーンを思い出していました。

続いて『ロビンソン・クルーソー』の著者でもあるダニエル・デフオーさんの 『ペスト』です。「カミュの『ペスト』よりも現代的と評される傑作」という宣伝文句にひかれて手にしていました。訳者は平井正穂さんで、一切見出しのない文章が続くことに驚きました。内容は1665年、ペストに襲われたロンドンの状況を同時代に生きた著者が事実の伝承という立場から綴ったものです。

たいへん興味深かった箇所を紹介します。当時のロンドン市には様々な法律があり、疫病患者が出た場合は家屋閉鎖し、その家族全員が40日間隔離されます。監視人が置かれ、健康な人も外に出られず、感染して全員死亡した事例は珍しくなかったようです。このような手法の効果について著者は疑問視していました。

見たところ病気にかかっている気配のない人たちを通じて蔓延し、自分が誰からうつされ、誰にうつしたか知らないまま感染が広がった事態の多さを書き残しています。一方で、仕事を失った人々を監視人として市が雇い、生活困窮者には現金や食物を与えるなど、かゆい所に手が届く施策があったことも伝えています。

さらに印象深い記述に目がとまりました。「それ自身としてはいかにも悲惨事だが、ある意味では一種の天の配剤ともいうべきことが起こった」と記した後、猛烈に荒れ狂った疫病が3か月で3万から4万人の生命を奪わなければロンドン市は「彼らの生計をみてやったり、食物を与えてやることなどは、とてもできなかったろう」と続けていました。

まったく話題は変わりますが、大阪市長だった橋下徹さんの『交渉力』も最近、読んだ本の一つです。「何か達成したい目標がある時、相手を説得し、対立する意見をまとめていく交渉力の有無が、結果を左右する。どんな職種・役職であれ、何かを成し遂げるために必須となるのが交渉力だ」と橋下さんは語っています。参考にすべき点も多くあり、素早く読み終えた書籍でした。

昨年11月の記事「トヨタの労使交渉」の中で『トヨトミの野望』という小説のことを紹介していました。覆面作家の梶山三郎さんが「巨大自動車企業の真実を伝えたいから、私は、ノンフィクションではなく、小説を書きました」と述べているとおり登場人物の実名は容易に特定でき、トヨトミ自動車の御曹司である豊臣統一はトヨタの豊田章男社長のことだと分かります。

その続編『トヨトミの逆襲』も面白く、一気に読み終えた書籍です。「この役員は要らない。おれの方針にいちいち突っかかってくる」と豊臣社長は考えて人事にあたり、「自分の方針を理解し、自分の手足となって動いてくれる理想のチームができた」と思っていました。しかし、小説の最後には自分が「裸の王様」だったことに気付き、耳の痛い進言を重ねていた部下を次期社長に指名します。

最後に『「新聞記者」という欺瞞』です。3月に投稿した「映画『新聞記者』」の最後のほうで多面的な情報に触れていかなければ、より望ましい「答え」に近付けないため、機会があれば安積明子さんの新著も読んでみたいと記していました。通勤帰りに立ち寄る書店では、なかなか見かけず、ようやく最近手に入れていました。

夕刊紙に「“反権力”ふりかざす左派メディアを喝破!」という見出しで紹介されていましたが、扇情的な書きぶりは目立たず、安積さんが知り得ている事実関係を淡々と綴られた内容だったという印象です。この本は当ブログで取り上げるもりでしたので、特に印象深かった箇所に付箋を添えていました。

「真相に迫るためには、正義が多元にあるという前提に立たなくてはいけない。自分の正義が絶対とは限らないのだ」と記されている箇所であり、私自身もそのように考えています。個々の事実関係の見方で評価が分かれる箇所もありましたが、森友学園、加計学園、桜を見る会などで安倍政権を批判すべき内容も綴られていました。

今回、初めての試みとして複数の本をまとめて紹介させていただきました。一つ一つは踏み込み不足で、全体を通して脈路のない記事内容になっていることをご容赦ください。残念ながら緊急事態宣言の期間は延びる見通しです。例年であればゴールデンウイークの真っ只中ですが、ステイホーム週間が続くため、まだまだ読書量は増えそうです。

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