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2020年4月25日 (土)

一律10万円の特別定額給付金

直近の記事は「緊急事態宣言発令」「緊急事態宣言発令 Part2」でした。今回も新型コロナウイルスに絡む内容となります。前回記事の中で、経済も大事、感染症対策も大事だと考え、優先順位が曖昧なまま「二兎を追う者は一兎をも得ず」という諺のとおりになりかねないことを懸念していました。その後に次のように記しています。

10万円の給付の問題も目的が迷走しそうな印象を受けています。コロナウイルスの影響で収入減となった方々への生活支援が目的であるはずです。経済対策の一つに数えられていますが、外出自粛が長引きそうな局面において消費を促すという目的は横に置いて考えるべきです。

その上で30万円給付の施策は対象者の線引きの不明確さや支給までの迅速さが問題視されたため、10万円一律支給という方法に改めたものと理解しています。所得制限を設けず、窓口の混雑による感染リスクを高めないように申請方法が検討されていることに安堵しています。なりすましなどの対策は欠かせませんが、基本は本人の申出を信頼して受け付けていくことになるはずです。

NPO法人ほっとプラス理事の藤田孝典さんは『現金一律10万円給付が始まる前に考えておきたいこと』の中で公務員や国会議員らも受け取るべきであり、不毛な対立や分断はやめようと訴えています。藤田さんが訴えられる問題意識はまったくそのとおりだと受けとめています。ただリーマン・ショック後の緊急経済対策とした定額給付金の目的や趣旨とは峻別して位置付けることも必要だろうと思っています。

一律10万円の給付は特別定額給付金と呼ばれる見通しで、リンク先の総務省のサイトに示されているとおり概要が決まっています。そのサイトに掲げられた施策の目的として「人々が連帯して一致団結し、見えざる敵との闘いという国難を克服するため」と説明されています。

安倍首相も「みんなでこの状況を乗り越えていく中において、すべての国民に配る方向が正しいと判断した」とし、「みんなで乗り越えていく」という点を強調されています。30万円の給付はコロナウイルスの影響で収入減となった方々への生活支援が目的でしたが、その目的から大きく転換したということを押さえなければなりません。

前回記事に綴った私自身の見込んだ理解とは異なる目的や趣旨となっています。給付に向けた迅速性や公平さを重視した一律支給とし、申請後、所得等の条件から外れた受給者に対しては後から課税対象として取り戻すような制度設計も思い描いていました。個々人に辞退や寄付の判断を委ねるような曖昧さは避けて欲しかったからです。

いずれにしても公務員は後ろめたさを持ちながら申請し、給付を受けたことで批判されるような対立関係が生じることを懸念していました。そのような意味合いから藤田孝典さんの「対立や分断はやめよう」という問題意識に共感を覚えています。今回、公務員も支給対象に位置付けられ、どのような声が上がってくるのか注視していました。

広島県の湯崎英彦知事は21日、政府が緊急経済対策として全国民に一律給付する10万円について、県職員から供出してもらい、県の財源に充てる考えを示した。実施するかは今後、検討する。県の休業要請に応じた中小企業などに支払われる10万~50万円の協力支援金の財源約100億円が必要で、湯崎知事は「聖域なく検討したい」と述べた。

県によると、県警や県教委の職員も含む約2万5000人が対象で、全員が受け取れば計算上、総額25億円に上る。県の財政調整基金の残高は、2018年7月の西日本豪雨からの復旧などで取り崩しが続き、20年度末の残高は33億円の見込み。湯崎知事は「感染拡大防止のためにやらなければいけないことはたくさんあるが、圧倒的に財源が足りない」と理解を求めた。

一方、県職員からは不満の声が漏れる。男性職員の一人は「事前に説明があっても良かったのでは。強制でなくても、『右にならえ』で出さざるを得なくなると思う」と戸惑っていた。総務省特別定額給付金室は「あくまで家計の支援を目的とした個人への給付で、公務員から寄付を募って事業の財源とすることは想定していない」としている。【読売新聞2020年4月21日

閣僚や多くの国会議員は受け取りを自粛することを申し合わせています。大阪市の橋下徹元市長は「公務員は受け取り禁止となぜルール化しないのか」と訴え続けています。そのような中、上記報道のとおり広島県の湯崎英彦知事は県職員に対し、10万円を受け取った後の供出を求めました。

脳科学者の茂木健一郎氏(57)が21日、ツイッターを更新。広島県の湯崎英彦知事が新型コロナウイルス感染対策で政府が全国民に一律給付する10万円のうち、県職員が受け取った分の活用を検討する考えを示したことに「これは無理筋なのでは…」と投稿した。湯崎知事は記者会見で、休業要請に応じた中小事業者に支給する協力金など支援策の財源確保のため、「財源は聖域なく検討したい」と述べた。

県によると、職員数は教職員や警察官を含めて約2万5千人。茂木氏は「絶句」と反応。「県職員の方だって、生活者としての側面があり、知事といえどもこれは無理筋なのでは…」と指摘した。

茂木氏の投稿にネットでは「国が給付するものを知事が取り上げるとは…」「勝手にこんなことしていいんですかね!」「これはやりすぎ」「他人の金をどう使うか決められるんですね。凄いなあ」「広島県民として残念」「公務員はコロナでも給料減らないし、私は賛成です」などの声があった。【スポニチアネックス2020年4月21日

湯崎知事の発言に対し、上記のとおり異論や反対意見が多かったようです。そのため、湯崎知事は翌日には「給付金を強制的に供出させるという誤解を与えた。言葉の選び方が悪かった」と発言を訂正した上で謝罪していました。また、今のところ橋下元市長の訴えに対し、賛同する声の広がりも見られていません。

以上のような経緯や今回の特別定額給付金の目的等を踏まえ、私自身の考えも定まりました。申請するかどうか迷っている組合員から相談を受けた際は「受け取りましょう」と答るつもりです。感染リスクを心配しながらも「全国各地のあらゆる現場で取り組んでおられる方々への敬意と感謝の気持ち」としての特別定額給付金を受け取り、地域経済に貢献できればと考えています。

最後に、緊急事態宣言が発令された直後、組合員から実際に提案された話を紹介させていただきます。「減収に苦しむ方々が多い中、私たち公務員として何か寄付などに取り組めませんか」と相談を受けました。趣旨に賛同することをお伝えし、具体的な方策は宿題としてお預かりしていました。

湯崎知事の拙速な発言を反面教師とした上、あくまでも個々人の自主的な判断を大前提とし、特別定額給付金の支給を機会に提案の趣旨に沿った仕組みを作れないかどうか考え始めていました。そのように考えていたところ下記の報道を目にし、たいへん参考になる動きだと注目しています。

新型コロナウイルス対策の一環で政府が行う1人10万円の現金給付をめぐり、自治労神奈川県職員労働組合は24日、組合員らに対し、給付された現金を県に寄付する提案を始めた。休業や短縮営業の要請に応じた事業者のために県が用意した「協力金」では不十分として、寄付分を上乗せして支給してもらうという。

自治労県職労は同日、組合報の号外を発行。その中で、県が用意した10万~30万円の協力金について、「雇用、営業、生活の危機に立たされている方に十分なものとは言えない」と指摘。「働く仲間を支えるため」として、10万円の給付金を県が用意した基金に寄付する形で拠出し合い、協力金に上乗せしてもらうことを提案した。

10万円の使途をめぐっては、広島県の湯崎英彦知事が、県職員への支給分を県のコロナ対策の原資として「活用を検討する」と発言。事実上撤回する事態に追い込まれた。自治労神奈川県職労の米倉尚人中央執行委員長は「給付金の使途は一人ひとりが考えること」と断ったうえで、「困っている勤労者に届く形で使わせていただきたい」と賛同を求めている。22日に労組役員が集まって会議を開いた際、「県が協力金支給を決めたのは良いが、額が少ない」との話が出て、提案することにしたという。

神奈川県は感染拡大を防ぐため、東京都と同じく、ネットカフェや映画館などを含む6業種の事業者に休業を要請し、居酒屋を含む飲食店などには短縮営業を求めた。ただ、用意した協力金の額が最大30万円で、東京都が「50万円か100万円」とするのと比べて少ないという不満が出ていた。【朝日新聞2020年4月25日

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2020年4月18日 (土)

緊急事態宣言発令 Part2

テレビの報道番組やワイドショーから伝えられる内容は新型コロナウイルスに絡む話題一色だと言えます。それほど深刻な事態であり、皆さんの関心もコロナウイルスの話に集まっているはずです。このブログの前回記事も「緊急事態宣言発令」でした。今回も「Part2」を付け、コロナウイルスに関する話題から個人的に思うことを書き進めてみるつもりです。

ここ数日で様々な動きがありました。新型コロナウイルスの感染者急増を受け、東京都など7都府県に発令していた緊急事態宣言の対象地域が全都道府県に拡大されています。同時に新たな生活支援策として全国民に一人当たり一律10万円を給付することになりました。減収世帯への30万円給付は取り下げ、補正予算案を組み替える異例な事態となっています。

30万円の給付は不評だったため、多くの国民の声を受けとめ、土壇場で臨機応変に判断したという見方も成り立ちます。野党からは朝令暮改であることを批判し、責任を追及する声も上がっています。それでも多くの国民は前者のように見ているのではないかと思っています。

それよりも緊急事態宣言の対象地域を全都道府県に拡大した経緯が気になっています。拡大に向けた専門家による諮問委員会の招集が「唐突だ」という不満の声も漏れ聞こえています。前回記事で「最近は医学の専門家の意見を踏まえ、判断を下しているように見受けられます」と記していましたが、外形的な姿に過ぎなかったのかも知れません。

そもそも対象となった都市部から地方への人の流れは予見できていた話であり、早い段階で専門家は全国への緊急事態宣言発令を主張されていたようです。経済への影響を理由に反対論があり、7都府県にとどめていました。最終的な決断は政治家が下すことに異論ありませんが、このところ目的と手段が迷走しているように思えてなりません。

前回記事に「コロナウイルス収束後の経済政策を優先した結果、壊滅的な事態を招いてしまっては本末転倒です。火災が発生し、現金や貴重品を持ち出すことに時間を取られ、逃げ遅れてしまうことは絶対避けなければなりません」と記していました。その後、もっと的確な比喩があることを思い出していました。

確かに経済が壊滅し、財政が破綻すれば国民の生命や暮らしを脅かすことになります。しかしながら経済も大事、感染症対策も大事だと考え、優先順位が曖昧なまま後手に回ってしまった場合「二兎を追う者は一兎をも得ず」という諺のとおりとなりかねません。

10万円の給付の問題も目的が迷走しそうな印象を受けています。コロナウイルスの影響で収入減となった方々への生活支援が目的であるはずです。経済対策の一つに数えられていますが、外出自粛が長引きそうな局面において消費を促すという目的は横に置いて考えるべきです。

その上で30万円給付の施策は対象者の線引きの不明確さや支給までの迅速さが問題視されたため、10万円一律支給という方法に改めたものと理解しています。所得制限を設けず、窓口の混雑による感染リスクを高めないように申請方法が検討されていることに安堵しています。なりすましなどの対策は欠かせませんが、基本は本人の申出を信頼して受け付けていくことになるはずです。

NPO法人ほっとプラス理事の藤田孝典さんは『現金一律10万円給付が始まる前に考えておきたいこと』の中で公務員や国会議員らも受け取るべきであり、不毛な対立や分断はやめようと訴えています。藤田さんが訴えられる問題意識はまったくそのとおりだと受けとめています。ただリーマン・ショック後の緊急経済対策とした定額給付金の目的や趣旨とは峻別して位置付けることも必要だろうと思っています。

これまで当ブログの中でも「密閉」「密集」「密接」という3つの密を避ける心構えをしっかり持ち続けなければならないことを訴えています。しかしながら3密という言葉を耳にするようになった初期の段階で、どれほど徹底していたかどうかと問われれば甘かった点があったと答えざるを得ません。

症状の表れない感染者がどこにでもいる、もしかしたら自分自身が知らない間に感染しているかも知れない、このように考えた時、3密の重要性が身にしみてきます。2週間後も元気な自分でいるため、周囲に迷惑をかけないため、今、最大限の努力や配慮が求められているものと考えています。

前回記事に「法に基づく宣言が発令され、期限も明確になったことで対策のステージは一気に高まりました」と記したとおり4月7日以降とそれ以前、個々の行動に対する対応は大きく変わっています。そのように振り返った時、安倍首相夫人である昭恵さんが3月15日に宇佐神宮を参拝していたという話もあまり強く批判できません。

「問題ない」とは決して言えず、常に注目されている首相夫人という立場から軽率な行動だったことは確かです。しかし、緊急事態宣言が発令された後の4月9日、高井崇志衆院議員が歌舞伎町の風俗店に出向いていたという話は軽率な行動だったというレベルではありません。立憲民主党を除籍処分されていますが、国会議員としての資質を大きく問われ、議員辞職すべき失態だと思っています。

最後に、来週発行する組合ニュースの内容の一部をそのまま紹介します。「新型コロナウイルス感染症対策、最大限の努力を 4月7日に緊急事態宣言が発出」という見出しを付け、下記の内容を掲げています。組合員の感染リスクを低減し、万が一のリスクを分散させるためにも交代制勤務が可能かどうかを基本に協議しています。

4月7日、新型コロナウイルス感染症対策の特別措置法に基づき緊急事態宣言が7都府県を対象に発出されました。期間は7日から5月6日までです。緊急事態宣言を受け、感染症対策としての職員の勤務体制の取扱い等の案について組合に提示されました。その案に沿って「業務継続の考え方」が通知されています。恒常的な勤務体制の変更ではなく、緊急を要するため組合としても迅速に対応しています。

人と人との接触の機会を減らす目的としての業務体制の縮小、職員に感染者が出た場合の部署全体の自宅待機を避けるための交代制、2通りの方策があります。リスク回避の方策として望ましいのは後者であり、可能な限り交代制勤務の検討を求めていました。ただ職場実情によって困難な場合があることも了承していました。5月7日以降も続く場合は改めて労使協議が必要という認識です。3密に留意し、最大限の努力で難局を乗り切りましょう。

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2020年4月12日 (日)

緊急事態宣言発令

4月7日、政府は新型コロナウイルス感染症対策本部で特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令しました。感染が急拡大している東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象で実施期間は7日から5月6日までです。

これまでも不要不急の外出の自粛は要請されてきました。今後、法的根拠のある各知事からの要請になった訳ですが、罰則が設けられていないため、どうしても個々人の意識によって外出自粛の効果は左右されてしまいがちです。さらに宣言が出た後、7都府県の知事の判断に足並みが揃っていませんでした。

ネット上で興味深い記事を見つけています。今回紹介するサイトはブックマークし、定期的に訪問しているBLOGOSで目にした記事が多くなっています。BLOGOSのコメント欄は閉じられていますので、リンク先はそれぞれ筆者のサイトとしています。

まず一つ目が国際カジノ研究所長の木曽崇さんの『まさか百合子がマトモに見える日が来るとは思わなかった、という話』です。一つ一つ全文を転載していくと非常に長い記事内容となってしまいますので、ポイントとなる箇所のみを紹介していきます。関心を持たれた方はリンク先のサイトをご参照ください。

いや、黒岩知事の仰る「休業要請をするのなら補償とセットでなければ…」はもちろん仰る通りなのですけども、逆に「この1カ月間は人と接しないことを徹底してもらえれば、特別に要請する必要もなくなる」というのは、実質的に域内の営業者に対して何の補償もないまま「兵糧攻め」をするのと同義なんですが?

この事業者への休業要請をしないまま消費者にだけ強力な自粛をかけてゆく(しかも国の権限を借りて)という方針は、大阪も含めて東京以外の緊急事態宣言のかかった他府県は皆、同じだそうでして、東京都民としてはまさか百合子の方がマトモに見えて来る日が来るとは思いもしなかった、というのが感想です。

土曜の朝刊、読売新聞一面の『専門家に聞く』で片山善博元総務相も「休業要請には補償を迫られるが、財政に余裕がないからだという。ただそれだと、外出自粛で客足が落ち、事業者が干上がっても、府県の関知するところではないというように聞こえる。東京都の言い分に利があるのではないか」と語っていました。ただ「ない袖は振れない」という事情も理解できるため、片山元総務相は「財政の問題は重要なので、国の関与が欠かせない」と書き添えています。

感染拡大の防止を最大の目的とし、外出自粛によって効果が最も期待できるのであれば、より実効性を高める措置が求められているはずです。東京都以外の府県の知事に苦しい説明をさせず、地域によって対応が大きく分かれる不公正さを払拭するためには、やはり国の責任で財政的な手立てが必要であるもの考えています。

NPO法人ほっとプラス理事の藤田孝典さんは『麻生太郎財務大臣 今度は他人事のように「東京は金持っているんだろうね」 東京都の休業要請協力金支給』というブログ記事で「最近の麻生財務大臣は評論家のようであり、当事者意識に欠けているのではないか。東京都などの財政力がある自治体は休業補償できて、他県ではできないなら、それを財務大臣は調整して補うようにしないのだろうか」と訴えています。

いまは政府が率先して、財政支出を通じた強いメッセージを打ち出す時期であるはずだ。その主軸である当事者がこのような状況であることに残念でならない。改めて麻生太郎財務大臣には、市民、事業者目線での財政出動や支援をおこなう自治体への地方交付税の加算措置など踏み込んだ政策決定をしてほしい。

藤田さんのブログ記事は上記の言葉で結ばれています。そもそも安倍首相は事業規模108.2兆円の緊急経済対策を発表した時、「世界的に見て最大級の経済対策だ」と強調していました。ただ国からの直接支出は18.6兆円にとどまり、「規模ありき」で積み上げた施策の多さも目立っています。

財政や経済の先行きを心配することも重要ですが、過去に例のない緊急事態だと受けとめるのであれば現段階で最も必要とされる施策は素早く進めて欲しいものと願っています。コロナウイルス収束後の経済政策を優先した結果、壊滅的な事態を招いてしまっては本末転倒です。火災が発生し、現金や貴重品を持ち出すことに時間を取られ、逃げ遅れてしまうことは絶対避けなければなりません。

好意的に言えば、総理のトップダウンで物事が決まっていると言う事が出来ますが、私の目には「なんでもかんでも総理(と総理補佐官)のトップダウンで決まっている」ようにしか見えません。しっかりとボトムアップで積み上げて行って、最後にトップダウンが来るというのが理想的な姿です。最初からトップダウンを目指すと失敗するのは、民主党政権で明らかになった事ですが、その轍を現政権も踏んでいるような気がします。

上記は元衆院議員の緒方林太郎さんのブログ『迷走する新型コロナ対策 日本政府の意思決定が遅い理由』の中の一文です。2月末に投稿した当ブログの記事「新型コロナウイルスの感染対策」の中で小中高校の一斉休校は「最側近の官邸官僚と見られている今井首相補佐官の献策のみが安倍首相の判断につながっていました」と記していました。

布マスクを全世帯に2枚配布する施策も「国民の不安はパッと消えます」という官邸官僚の発案だったようです。さすがに最近は医学の専門家の意見を踏まえ、判断を下しているように見受けられます。今回の緊急事態宣言もクラスター対策班の北海道大学教授である西浦博さんの理論疫学に基づき次のような説明が加えられています。

東京都では感染者の累計が1,000人を超えました。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1か月後には8万人を超えることとなります。しかし、専門家の試算では、私たち全員が努力を重ね、人と人との接触機会を最低7割、極力8割削減することができれば、2週間後には感染者の増加をピークアウトさせ、減少に転じさせることができます。

国際政治学者の篠田英明さんはブログの記事『社会運動家化する「専門家」たちの「責任」』の中で、「医療崩壊を防ぐ」という目標は社会的意義と内容が明確で良い目標だと評価しています。その一方で「8割減少」は架空の条件下の抽象モデルの話を具体的な日本の現実に強引に当てはめようとするだけの考え方で、 果たして現実的な意味があるのか定かではないと指摘しています。

このような見方があるのかも知れませんが、実際に緊急事態宣言は発令され、5月6日までという期限も区切られました。これまで前回記事「新入職員の皆さんへ 2020」で伝えていたとおり私どもの市でも感染防止の観点から様々な緊急的な対応をはかってきていました。法に基づく宣言が発令され、期限も明確になったことで対策のステージは一気に高まりました。

人と人との接触機会を減らす目的とともに職員の感染者が出た場合、部署全体が自宅待機となるような事態を防ぐため、先週金曜から交代制勤務が取り入れられるようになっています。その業務継続案は事前に組合にも示され、金曜以降、個々の職場の問題点は可能な限りの是正を求めています。

時給制の会計年度任用職員も含め、在宅勤務等の扱いとしながら有給保障を確認できています。このような職場環境が社会全体では当たり前ではないことを自覚し、私たち自治体職員は緊張感を持って職責を果たしていかなければなりません。最後に、NPO法人POSSE代表の今野晴貴さんの記事『政府の助成金を使って「コロナ解雇」を回避してほしい 声を上げ始めた労働者たち』をご紹介します。

確かに経済危機で経済的なコストとリスクが経営者にのしかかっている。だがそれを、一方的に労働者おしつけるのはアンフェアだ。例えば、コロナで縮小した需要に対し、製品やサービスを共同してつくる「取引先」に対し、一方的に解約してリスクを押し付けることは許されないだろう。

同じように、労働者も「労働契約」を結んだ対等な契約当事者だ。しかも、経営者は「経営権」があるために経営上のリスクを第一義的に引き受ける責務がある。だからこそ、解雇の前に行政の施策を最大限活用することは、「当然の義務」だと考えられるのだ。

飲食店ユニオンの事例は、労働者が行動を起こすことで、経営者に雇用維持の努力を促すことができることを示している。またそれは、「政府の政策を有効に機能させるための方法」でもある。

コロナウイルスの猛威の前に、特にダメージの大きい観光や飲食行界の中小企業では、自分の解雇撤回を要求することに萎縮してしまっている労働者多いと思われる。

しかし、労働者が自分の持つ権利を主張しなければ、積極的に国の制度も利用せず、安易な解雇に流れてしまう企業も少なくないのが現実である。世界的な危機においても、労働者の命や生活を守るために、労働組合が重要な役割を果たせることを、ぜひ知っておいてほしい。

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2020年4月 4日 (土)

新入職員の皆さんへ 2020

市役所の前の並木道、桜が満開に咲き誇っていました。東京で観測史上最も早い開花宣言のあった3月14日、その日に雪が降って話題になりました。先週日曜にもノーマルタイヤでの走行を心配するほどの雪が降り積もっていました。それでも新入職員を迎える4月に入ってからも市役所前の桜の花びらは散らずに私たちの目を楽しませてくれました。

前回記事「定年を迎える週に思うこと」の最後のほうで「新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、様々な催しが中止されています。定年をお祝いただく会がいくつか3月に予定されていましたが、すべて取りやめていました」と記していました。亡くなられた方や重篤な症状に苦しむ方々が多い中、感染拡大を少しでも防ぐためにも必要な判断だろうと思っています。

この4月に新しく社会人になられた皆さん、いつもであれば歓迎会や同期で会食を重ねながら懇親を深められたはずです。残念なことですが、新型コロナウイルスの脅威が広がる懸念のある中、「密閉」「密集」「密接」という3つの密を避ける心構えをしっかり持ち続けなければなりません。

ブログを開設した翌年の4月に「新入職員の皆さんへ」という記事があり、その後「新入職員の皆さんへ 2014」「新入職員の皆さんへ 2017」「新入職員の皆さんへ 2019」 という記事を投稿しています。昨年同様、今回もタイトルに「2020」を付けて新規記事を書き進めています。

新任研修初日の昼休み、組合として挨拶に伺うのが毎年の恒例となっています。委員長挨拶から組合の簡単な説明、そして、早期の組合加入を呼びかける場です。4月1日に新規採用職員が入所し、いつも1週間ほど新任研修が行なわれます。今年は23名の新入職員を迎えています。

入所日の前日、3月31日に研修担当部署の係長から組合事務所に電話が入りました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で今年は新任研修を1日のみに短縮して実施することになったという連絡です。必要最低限の研修内容とし、対応する職員の数を絞るという話でした。

そのため、組合からの挨拶時間も見送らせていただきたいという依頼であり、たまたま組合事務所にいた私が対応しました。そもそも昼休み時間に入ってからの設定であり、市側の研修内容とは一線を引いている点を伝えました。とは言え、感染防止に万全を期するという事情は理解できるため、委員長の私と書記長の2人に絞って出向くという調整をはかりました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響は深刻な事態を招いています。まだまだ広がる懸念がある中、皆さんの研修内容に影響を及ぼし、しばらく歓迎会も見合わせていくことになります。組合の説明会を兼ねた歓迎会も今週末に予定していましたが延期しています。

残念なことですが、この事態を乗り越え、1日も早く、平穏な日常が取り戻せることを願っています。そのためにも私たち自治体職員は率先して感染対策に力を注いでいかなければなりません。この事態を克服できた後、皆さんが入所した時は「たいへんだった」と過去形で語れる時が早く訪れることを願ってやみません。

翌4月1日、新入職員の皆さんを前にし、私からは上記のような話を添えていました。もともと昼休み時間に行なうため、研修初日の挨拶は非常に簡単なものにとどめています。1週間ほどの研修期間中、必ず金曜日の夜に定めて新人歓迎オリエンテーションと呼んでいる本格的な組合説明会を催していました。

その会の中で、いつも10分ほどの持ち時間を割り当ててもらい、新入職員の皆さんに伝えたい私自身の思いを詳述していました。その機会が延びてしまったため、本日配布した機関誌の特集記事「組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」などに目を通していただきたいことをお願いしています。

ただ多忙な中、お配りした資料全体に目を通す時間が取れない場合、組合について簡潔に紹介したA4判4頁のカラー刷りのリーフレットだけでもご覧になり、早期に組合加入いただけることをお願いしていました。そのリーフレットの中にも次のような私からの挨拶文を掲げています。

新入職員の皆さん、ご入所おめでとうございます。人生の大きな節目、新たなスタートラインに立たれ、緊張感と期待感を巡らされていることと思われます。これからの市役所生活の中で、皆さんが組合の様々な役割を活用され、組合も皆さんのお力になれればと考えています。

職員数を一人でも減らしたい市の方針がある中で、組合は住民サービスの維持・向上のためにも、職員が健康でいきいきと働き続けていくためにも、必要な部署に必要な人員配置の必要性を市側に訴えてきています。その意味でも今回、多くの新入職員の皆さんを迎えることができたことを先輩職員一同、心から歓迎し、期待しています。

組合について、よく分からない、もしくはネガティブな印象をお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。今回、お配りした組合の機関誌の特集記事を通して「組合は必要」という私なりの考えを綴らせていただいています。なぜ、必要なのか、まず労働条件の問題は労使対等な立場で決めるという原則があります。

さらに組合の最も大切な役割として、一人ひとりが働き続ける上で困った時に支え合い、皆で助け合うという役割があるからです。「ワンフォーオール、オールフォーワン」という言葉で表せられる役割だと言えます。ぜひ、そのような大切な役割がある組合に一日も早くご加入いただけますようよろしくお願いします。

いつもであれば研修期間中の昼休み、組合役員が加入届を受け取りに顔を出していました。今回、新入職員の皆さんに対し、加入届を4月10日までに組合事務所へ届けていただくか、最寄りの職場の組合役員にお渡しいただくことをお願いしています。それでも4月10日過ぎに組合役員側からの確認や働きかけが欠かせないものと考えています。

持参される方は「一人もいないのでは」という悲観的な見方を示す組合役員もいましたが、早々に加入届を提出してくださった方がいます。先輩組合員に案内されながら組合事務所を訪れていたそうです。その組合役員の予想が良い意味で外れたことを幸いとしながら来週末までに何人加入いただけるのか、初めての試みに期待と不安が交錯しています。

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