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2020年3月14日 (土)

映画『新聞記者』

金曜の夜、次年度に向けた人員要求交渉の決着期限だったため、帰宅できたのは日付が土曜に変わってからでした。団体交渉の時間よりも断続的な事務折衝と打ち合わせしている時間が圧倒的に長く、初めて執行委員になられた方々は少し戸惑われていたようです。

100%満足できる交渉結果ではありませんが、労使交渉を尽くしているからこそ、いくつかの職場で増配置回答を得られ、市側の提案を修正できていることも確かです。ただ同様に金曜夜を決着期限として臨んだ別な課題に対し、市側の考え方を翻させることはできませんでした。週を越えて結論を出す際、何としても組合側の主張に沿った決着点にたどり着きたいものと考えています。

さて、日本アカデミー賞の授賞式が先日開かれ、映画『新聞記者』が下記報道のとおり最優秀作品賞に選ばれました。この映画は東京新聞の記者である望月衣塑子さんの著書『新聞記者』を原案とした作品で、主演は松坂桃李さんが務めていました。

第43回日本アカデミー賞授賞式が6日に行われ、映画『新聞記者』が最優秀作品賞に輝いた。本作は最優秀作品賞のほか、最優秀主演男優賞を松坂桃李が、最優秀主演女優賞をシム・ウンギョンが受賞し、3冠となった。

『新聞記者』は、東京新聞記者・望月衣塑子氏のベストセラー『新聞記者』(角川新書)が原案。政権がひた隠そうとする権力中枢の闇に迫ろうとする女性記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)と、理想に燃え公務員の道を選んだ若手エリート官僚・杉原拓海(松坂桃李)との対峙と葛藤を描く。

松坂は 「うれしいです。純粋に。ここにはいない本当にスタッフの方々、関係者の方々と一緒に喜びを今すぐにでも分かち合いたい気分です」と喜びのコメント。ウンギョンは 「本当に計り知れません。ありがとうございます。何とも言えない気持ちなので、光栄です。ありがとうございます」と感無量の様子で語った。

藤井道人監督は 「本当に、本当にうれしいしか言えないんですけど、本当にもっともっとたくさんのスタッフとみんなと力を合わせてこの映画を作ったので、早く みんなに報告したい。(松坂)桃李君と同じ思いです」とコメントした。【BIGLOBEニュース2019年3月6日

昨年末に投稿した記事「不戦を誓う三多摩集会」の中で、望月さんの「破壊される民主主義~安倍政権とメディア」という題目のお話を伺ったことを伝えていました。以前、望月さんの著書『新聞記者』を読んでいたため、機会があれば松坂桃李さん主演の同名の映画も見たいと思っていたことも書き添えていました。

日本アカデミー賞の発表直前、立ち寄ったレンタルショップに映画『新聞記者』のDVDを見つけ、すぐ借りて自宅で視聴していました。日本アカデミー賞の発表が間近であることを意識していた訳ではなく、たまたま見つけて視聴できたというタイミングでした。

官房長官会見に彗星のごとく現れ、次々と質問を繰り出す著者。脚光を浴び、声援を受ける一方で、心ないバッシングや脅迫、圧力を一身に受けてきた。演劇に夢中だった幼少期、矜持ある先輩記者の教え、スクープの連発、そして母との突然の別れ…。歩みをひもときながら、劇的に変わった日々、そして記者としての思いを明かす。

上記は望月さんの著書を紹介する内容です。映画は望月さんの原作ではなく、原案という位置付けです。その違いのとおり著書と映画の内容はまったく別物だと言えます。正直なところ著書のほうは期待値が高かった分、それほど目新しい内容には触れられなかったという印象を残していました。

映画のほうの期待値も高かったところですが、こちらは期待を裏切らせない面白さを味わうことができました。余談ですが、初めて望月さんを実際に拝見する機会を得た時、思い描いていた雰囲気と大きく違っていました。語っている内容そのものは硬くても、語り口が軽快で頻繁に笑いを誘いながらお話いただきました。

パワポのリモコンを片手にリズミカルなステップを踏んだステージに接した印象を得ています。暗いイメージを抱いていた訳ではありませんが、予想以上に明るく、好感度を高める意味でパワフルな方でした。いろいろな意味で、望月さんに絡む印象は変動している興味深さがあります。

東都新聞の記者・吉岡(シム・ウンギョン)は、大学新設計画にまつわる極秘情報の匿名FAXを受け取り、調査を始める。日本人の父と韓国人の母を持ち、アメリカで育った吉岡はある思いから日本の新聞社に在職していた。かたや内閣情報調査室官僚の杉原(松坂桃李)は、国民に尽くすという信念と、現実の任務の間で葛藤する。

上記は映画を紹介するサイトに掲げられた「あらすじ」ですが、あくまでも映画はサスペンスドラマであることがうたわれています。大勢の職員がズラッとパソコンに向かい、それぞれ指示された情報操作に携わる内閣情報調査室の広い一室の場面などは異様な光景ですが、実在するのだろうという想像力が働かさせられます。

内閣情報調査室の役割や目的そのものが「国民のため」でなく、「政権の安定のため」であり、そのことが最終的には「国民のため」につながるという論理をよく耳にします。1年近く前に「『官邸ポリス』を読み終えて」という記事を投稿していました。やはり内閣情報調査室の凄まじいパワーを描いた書籍を取り上げた記事でした。

その書籍の宣伝文句は「本書の92%は現実」というものです。映画『新聞記者』も望月さんの体験した事実関係を綴った著書を原案としていますので同様な効果を狙っているのだろうと思います。つまりドラマだとうたいながらも、現実に起こっている事象を取り上げていると思わせる効果や波及力を期待しているように読み取れます。

映画『新聞記者』は加計学園の問題をストレートに連想させる事件を軸に物語が進みます。したがって、安倍政権を批判的にとらえた強烈なメッセージを託した映画であることに間違いないはずです。あまり書きすぎてネタバレに注意しなければなりませんが、新設する大学の目的が生物化学兵器の研究だったという設定は極端な展開だと感じていました。

それまで現実と架空の世界の線引きが微妙に思えていながら、この設定で一気に全体的なリアリティが低下しかねない印象を抱いていました。 それともフィクションであることを強調するため、あえて極端な設定にしたのでしょうか。いずれにしても安倍政権にとって好ましくない映画であるはずです。

LITERAでは『安倍政権の闇を描いた映画『新聞記者』は日本アカデミー賞をとれるか? 松坂桃李が作品への思いと「忖度」の空気を玉川徹に告白』という記事を掲げていました。それが『安倍政権と内調の闇を暴いた映画『新聞記者』が日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞する快挙! 主演女優賞、主演男優賞も』という記事につながり、日本アカデミー賞に「忖度」はなかった結果だと言えます。

事実関係として、LITERAの記事の中で松坂桃李さんが「番宣にいたってはほとんどできなかったです」と語っていたことを紹介しています。確かに映画『新聞記者』をマスメディアが大きく取り上げている場面を見かけていません。そのような中で日本アカデミー賞の最優秀作品賞などを獲得したことは、いろいろな意味で快挙だったものと思っています。

最後に、多面的な情報に触れていかなければ、より望ましい「答え」に近付けません。私自身、映画『新聞記者』を肯定的に評価しています。一方で、次のような新聞記事『“反権力”振りかざす左派メディアを喝破!安積明子氏の新著『「新聞記者」という欺瞞』好評 』も目にし、機会があればその書籍も読んでみるつもりです。

政治の最前線を取材するジャーナリスト、安積明子氏の新著『「新聞記者」という欺瞞』(ワニブックス)が好評だ。「国民の代表」を自称し、「反権力」ばかりを振りかざす左派メディアや左派ジャーナリストを喝破している。永田町をざわつかせている1冊だ。

本著は、「記者会見の現場で起こっていること」「『新聞記者』はプロパガンダ映画だ」「『報道の自由』を騙る反日・反権力の新聞労連」など5章立て。全231ページあり、読み応えも十分だ。安倍内閣のスポークスマンである菅義偉官房長官の記者会見で、いま何が起きているのか。菅氏と記者団との詳細なやり取りを再現している。

そこでは、左派メディアが「国民の代表だ」と自称しながらも、逆に「知る権利」をいかに脅かし、民主主義に害をもたらしかねない存在であるかを証明している。安積氏は「左派メディアは、単に政権に『ノー』を突き付けるのが正義だと勘違いし、あおっている。『いまの報道はおかしい』と思う人たちに、ぜひ手に取ってほしい」と語っている。【ZAKZAK 2020年3月9日

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