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2020年3月 7日 (土)

会計年度任用職員制度、インデックス

前回の記事は「新型コロナウィルスの感染対策」でした。この問題も冒頭で少し触れさせていただきますが、新型インフル特措法の条文では「新型インフルエンザ等」と記されています。今、この瞬間の対策が急務だと考えるのであれば法改正に固執した安倍首相の判断を疑問視しています。

私自身の「なぜ?」という思いについてLITERAの記事『コロナ対応後手の安倍首相が“緊急事態宣言”にだけ前のめりな理由』では「黒川検事長の定年延長への国家公務員法適用など、さんざん法解釈を捻じ曲げてきたのではなかったか。にもかかわらず、なぜ今回だけ、厳密さを求め、法律を改正しようというのか」、いつものように辛辣な言葉で安倍首相を批判しています。

このブログでは安倍政権に対して「批判ありき」で論じないように努めています。下された判断や方向性が望ましいことなのかどうか、個々の具体的な事例の適否に対して個人的な思いを綴ってきています。その上で、このところ専門家会議の意見を踏まえずに様々な判断が下されていますが、私自身は最近の動きを憂慮し、評価できない点が多々あるものと思っています。

さて、カテゴリー別に検索できる機能を使いこなせず、これまで「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べていました。その発展形として「○○の話、インデックス」を始めています。

その記事の冒頭、インデックス記事のバックナンバーを並べることで「インデックス記事のインデックス」の役割を持たせています。カテゴリー別のバックナンバーを探す際、自分自身にとっても役に立つ整理の仕方であり、時々、そのような構成で新規記事をまとめています。

これまで投稿したインデックス記事は「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「定期大会の話、インデックスⅡ」「年末の話、インデックスⅡ」「春闘の話、インデックスⅡ」「人事評価の話、インデックス」「図書館の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックスⅡ」「人事院勧告の話、インデックス」「非正規雇用の話、インデックスⅡ」「いがみ合わないことの大切さ、インデックス」「憲法の話、インデックスⅡ」「平和の話、インデックスⅢ」」「原発の話、インデックスⅡ」「コメント欄の話、インデックスⅡ」「組合役員の改選期、インデックスⅡ」 のとおりです。なお、「Ⅱ」以降がある場合は最新のインデックス記事のみを紹介しています。

そのようなインデックス記事が右サイドバーの「最近の記事」から消えていましたので、今回、「会計年度任用職員制度、インデックス」として書き進めることにしました。非正規雇用の課題からつながる話ですが、新たなカテゴリーとしてまとめてみました。この名称が法制化された以降、下記のような記事を投稿しています。

インデックス記事を投稿した際も必ずその時々の近況や思うことを書き足しています。今回も同様に「会計年度任用職員制度」に絡んだ内容を少し書き進めるつもりです。前々回記事「組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」と同様、組合機関誌に掲げる原稿を意識し、労使協議の経緯を中心にまとめてみます。

■たいへん悩ましい局面を強いられた労使交渉

地方公務員法と地方自治法の一部が改正され、今年4月から会計年度任用職員制度がスタートします。法改正時の国会の附帯決議が公務における同一労働同一賃金に重点を置いた対応を求めていることを踏まえ、組合は嘱託職員の皆さんの待遇改善の機会として労使交渉を進めてきました。

しかしながら私どもの組合にとっては非常に悩ましい事態を強いられていました。かえって法改正が逆風となり、全体を通して現行の待遇を後退させる提案内容が目立っていました。

他団体に比べて月額報酬の額が高い、他団体の非常勤職員の病休は無給である、このような点を市当局側は説明し、総務省の事務処理マニュアルに基づき他団体の非常勤職員との均衡に固執しました。月額報酬を1万円ほど下げ、休暇制度は都準拠とし、唯一改善となる期末手当支給も2年間かけて2.6月までに引き上げるという提案内容でした。

自治労都本部内の労使は昨年の9月議会までに決着をはかる中、私どもの組合のみ到底合意できる水準に至らず、12月議会に向けた継続協議としていました。10月24日深夜に及ぶ労使交渉の結果、12月議会への条例案送付に向け、期末手当や休暇制度等の取扱いについて労使合意しました。

月額報酬の引き下げを受けざるを得なかった不本意な点もありますが、基本的に休暇制度等の現行待遇は後退させず、期末手当2.6月分を支給することで年収増につなげる交渉結果を得られています。なぜ、私どもの組合は悩ましい局面を強いられたのか、今回の特集記事を通して改めて報告します。

■なぜ、交渉は難航したのか?

まず法改正時の国会附帯決議の「公務における」という言葉は官製ワーキングプアと呼ばれがちな常勤職員と非常勤職員との待遇格差を念頭に置いたものだったはずです。

一方で、今回の法改正は任用根拠が曖昧だった非常勤職員の位置付けの明確化という目的もありました。法改正後、総務省から「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」が示され、その中には「他団体との均衡をはかること」という一文も盛り込まれました。

総務省の担当者らと直接協議を重ねていた自治労本部役員からは「最低基準を示した労基法と同様、非常勤職員の待遇面が劣っている自治体の底上げを目的としたもので、すでに上回っている自治体の待遇を引き下げるものではない」という説明を受けていました。

このことは私どもの労使交渉の中で、組合から再三再四訴えてきています。それに対し、市当局側は「そのような点について具体的な文言として公式に発せられていないため、他との均衡を重視しなければならない」という立場を訴え続けていました。

これまで任用根拠をはじめ、各自治体の独自な判断で非常勤職員の待遇を決めていました。私どもの組合は非常勤職員である嘱託の皆さんが以前から直接加入しています。そのため、嘱託組合員の待遇改善が継続的な労使交渉の課題とされてきました。この労使交渉の積み重ねによって、現在の待遇が定められてきたと言えます。

それでも常勤職員に比べれば、まだまだ均等待遇からは程遠いものだと受けとめています。しかしながら全国的な平均レベルと比べた際、私どもの嘱託職員の待遇は高い水準だったことが今回の法改正を通して明らかになっていました。こちらからすると有給での病気休暇を一日も認めないことが全国標準である現状などには驚いていました。

私どもの自治体は地方交付税の不交付団体です。そのため、会計年度任用職員の期末手当支給に伴う億単位の予算は自主財源で賄わなければなりません。当初、全国的な問題となったように私どもの市も年収総額の中での配分見直しを示唆していました。

それこそ『「生活できなくなる」 期末手当新設で月給減… 非正規公務員の悲痛な声』という新聞の見出しのような事態を強いる発想であり、組合側は猛反発し、早々に見送らせることができていました。

このような自治体の動きに対し、多くのメディアは疑問視した論調であり、「公務における同一労働同一賃金に重点を置いた対応」から真逆な憂慮すべき事態だと非難されなければなりません。

このような「非正規公務員 一部自治体で給料減額の動き」を受け、総務省としても「ボーナスの支給に合わせて毎月の給料を減らさないこと」という内容の通知を昨年末に発していました。

私どもの市は地方交付税の不交付団体であり、財政上の理由も大きかったはずですが、もともと「他団体に比べて月額報酬の額が高い」という理由を軸にした苦汁の判断でした。

そのため、総務省の通知が状況を一変させるほどの直接的な追い風にならないことも理解していますが、「月給は減らさない」という全国的な動きが大きな流れとなっていれば私どもの労使交渉にも影響を与えていたかも知れず、「遅すぎる」という思いが強まって残念でなりません。

■組合員の雇用継続の課題は最も重要

人件費の抑制や雇用調整を容易にできるという経営側のメリットを目的に正規雇用が抑制され、非正規雇用の増大が進んでいました。そのような動きの中で、非正規雇用者は日本型雇用システムの枠外に置かれた立場だったと言えます。行政改革が声高に叫ばれる中、公務においても同様でした。

非常勤職員の問題はパート労働法などが適用されない「法の谷間」と言われてきました。現行の地方公務員法上の嘱託職員は学校医のような臨時的・一時的な雇用のみを想定しているため、昇給制度や手当支給に異議が差し込まれ、3年や5年で雇い止めされる実態につながっていました。

自治体の人事課長に雇用年限の課題を問いただすと「市民の皆さんに対するワークシェアリングである」と答えるケースが多いようです。私どもの自治体の嘱託職員も当初、雇用年限5年という方針が示されていました。

かなり前の労使交渉で「市民のワークシェアリング」という市当局側の説明に対し、私から「5年先に失業者を出すのがワークシェアリングですか?」という反論を加えていました。

このような労使交渉を通し、実質的に雇用年限による雇い止めを見送らせることができていました。高年齢者雇用安定法が改正され、使用者側に対して65歳までの安定的な雇用確保が求められています。そのような中、嘱託職員の皆さんの雇用継続も65歳まで担保できるように労使交渉を積み重ねてきました。

今回、会計年度任用職員制度は「法の谷間」を埋める法改正だったことも間違いありません。同時に待遇改善の機会だったはずですが、前述したとおり他団体との均衡という理不尽な動きが強まり、これまでの労使交渉で積み重ねてきた成果が一気に後退しかねない事態に私どもの自治体は直面していました。

都内の自治体の大半は東京都のルールの横並びを強いられ、公募によらない再度の任用は原則として連続4回としています。私どもの組合も同様な内容で合意していますが、これまでの労使確認事項も尊重していくことを付け加えています。

これまでも年度単位の雇用を原則としていますが、恒常的な業務に従事する嘱託組合員はその勤務経験を尊重しながら雇用継続しています。その上で65歳までの雇用継続を労使確認してきた経緯があります。このような経緯を踏まえた運用方法等について今年度末までに明確化できるように労使協議を進めていました。

労使協議の場では、これまで培ってきた知識や経験を重視しているため、現職者には「アドバンテージがある」という見方を市当局側からも得ています。このような経緯や関係性を踏まえた際、新規採用希望者と現職者を競い合わせる試験が望ましいのかどうか問題意識を持っています。加えて5年に一度、大規模な競争試験を実施するコストや職員の負担等も考慮すべき点だろうと思っています。

したがって、現職者に向けた雇用継続の希望を募り、人事評価とは峻別した面接等による選考方法で新たな任期の採用者を決める、このような方向性を念頭に置きながら詰めの協議に組合は臨んでいます。もちろん欠員が生じる場合などは新規採用希望者を別途募り、その際は広報等を通じて募集するという手順が望ましいものと考えています。

前述したとおり社会全体では使用者側に対して65歳までの安定的な雇用確保を求めています。それにも関わらず、会計年度任用職員だけが不安定な雇用を強いられることは、ますます法改正時の国会附帯決議の「公務における同一労働同一賃金に重点を置いた対応」から離れていく考え方だと言わざるを得ないことを改めて強調させていただきます。

最後に、次年度に向けては人事評価による再度の任用とし、継続的な雇用を不可とするC評価は極めて例外であることを労使確認しています。この労使確認が疎かにされるような事態に直面した場合、組合は組合員の雇用を守る立場から重大な決意で対処していくことになります。

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コメント

立憲・国民は特措法の未知の感染症に該当するから、現行法で緊急事態の宣言もできる。政府は既知の感染症で適用は困難であり、新型コロナウイルスを法律に明記する。
共産党をのぞく与野党ともに実質的な違いは何にもありません。穿った見方をする必要もないし、既知・未知は厚労省が専門的な見地で判断すればいいでしょう。

投稿: yamamoto | 2020年3月 8日 (日) 10時31分

yamamotoさん、コメントありがとうございました。

緊急事態宣言は極めて慎重な判断が求められています。それでも待ったなしで必要な時、ご指摘のとおりであれば既存の法律が使えるかどうか重要な話だったはずです。そのような意味合いから記事本文の冒頭に記したような疑念を抱いています。

投稿: OTSU | 2020年3月 8日 (日) 21時14分

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