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2020年1月25日 (土)

安倍政権にとっての個人情報

このブログは週に1回の更新間隔のため、取り上げる題材に事欠くことが滅多にありません。今回も当初、前回記事「会計年度任用職員制度の組合説明会」の続きに当たる内容を考えていました。結局、週末を迎え、時事の話題のほうを選んでいます。

金曜日には私どもの組合の退職者会の新年会があり、毎年、来賓としてお招きいただいています。その時の挨拶の中でも触れた話題でした。安倍政権を支持されている方々にとって、下記のような報道は揚げ足取りのような些末な話だと思われるのかも知れません。

安倍晋三首相が20日の施政方針演説で地方創生の好事例として若者の移住推進策の中で紹介した島根県江津市の男性が、昨年末に県外に転居していたことが21日、市への取材で分かった。首相は施政方針演説で、同市が進めてきた若者の起業支援に触れ、男性がパクチー栽培に取り組むため、東京から移住したことを紹介。

市が農地を借りる交渉をして、地方創生交付金の活用で男性が資金の支援を受けたとした。男性の言葉も引用し、「地域ぐるみで若者のチャレンジを後押しする環境が移住の決め手となった」と述べた。市によると、男性は昨年末に個人的な理由で関東地方に戻ったという。【東京新聞2020年1月21日

市民課に在籍した経験から参考までに一言申し添えさせていただきます。「県外に転居」と書かれていますが、住民基本台帳法上、住民票を市外に異動する場合は「転出」と記します。市内での異動の場合のみ「転居」と表記しています。菅官房長官の記者会見を報道した下記ニュースの中では「転出」という表記に改まっていました。

安倍総理大臣が20日の施政方針演説で、地方創生の成功例として紹介した男性が、移住先の島根県江津市からすでに転出していたという指摘について、菅官房長官は、「演説内容は、本人に確認したうえで記載している」として、問題はないという認識を示しました。

安倍総理大臣は、20日の衆参両院の本会議での施政方針演説で、地方創生の取り組みの成功例として、農業を起業するための資金援助などを受けて、東京から島根県江津市に移住した男性を紹介しました。

これについて、菅官房長官は午後の記者会見で、記者団から「男性がすでに転出していたという情報がある」と指摘されたのに対し、「男性は、江津市の支援を受けて2016年7月に移住して起業するとともに、3年以上にわたって居住していると承知しており、起業支援の成功例として紹介した」と述べました。

そのうえで「演説内容は、本人に確認したうえで記載しており、問題はなかったと思っている」と述べ、問題はないという認識を示しました。一方で、記者団が「安倍総理大臣が演説を行う前に男性の転出を把握していたか」と質問したのに対し、菅官房長官は「演説内容以外の個人的な情報について答えるのは控えたい」と述べるにとどめました。【NHK NEWS WEB2020年1月21日

「普通に演説を聞けば、この移住した男性の話は現在進行形のように思える」という見方はその通りだろうと思っています。人口の社会増が実現した成功例として取り上げていますので、現在、江津市から転出しているという事実関係は軽視できません。

普段から安倍政権を批判的な立場で記事を重ねているLITERAは『安倍首相が施政方針演説でフェイク!』という見出しを付けています。他意のない単純な確認ミスなのかも知れません。それでも国会の施政方針演説という重要な場で「フェイク」と批判されかねないミスは猛省すべき点ではないでしょうか。

しかし、それ以上に見過ごせない点が散見しています。安倍政権で何回も感じている既視感のある光景だと言えますが、過ちを過ちだと率直に認めない姿勢です。一つの過ちや不都合な事実関係を取り繕うため、いろいろな矛盾や不適切な対応が発生していく事例は決して少なくありません。

江津市によると、男性は昨年末に個人的な理由で関東地方に戻ったそうです。人口が増えた成功例として、すでに転出している男性を取り上げた件について菅官房長官は「3年以上にわたって移住している」とし、「市の起業支援による成功例として紹介するのは問題ない」と説明していますが、後付けの言い訳のように聞こえてしまいます。

もう一つ、今回の事例で気になったのが個人情報という言葉です。男性が現在も江津市に住んでいるのかどうか、菅長官は個人情報を理由に明らかにしませんでした。しかし、その時点で男性が江津市から転出している事実関係は周知のものであり、菅長官も現住していないことを前提に答えていた様子がうかがえたため違和感のある言葉でした。

ちなみに個人情報保護法では個人情報の定義を「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう」と定めています。

事前に当該の男性に対し、施政方針演説で取り上げる旨は伝えていたそうです。そのため、演説内容以外は個人情報という菅長官の説明をまったく理解できない訳ではありません。しかし、そもそも安倍首相は施政方針演説で男性の実名を出していました。転出が取り沙汰された報道では男性とされ、実名が控えられていますが、施政方針演説の全文を掲げた新聞記事等では実名が確認できます。

このような顛末となり、当該の男性の方が戸惑わられている恐れもあります。なぜ、誤解を生じさせないための事実関係の確認が欠けてしまったのか、このような事態を想定した場合、あえて実名を出させなくても地方創生の成功例の一つとして紹介できたのではないか、いろいろ考えてしまいます。特に個人情報の取扱いを重視している安倍政権であれば、今回のような事例で一般の方の実名を示すことは軽率だったのではないでしょうか。

昨年11月に「桜を見る会、いろいろ思うこと」「桜を見る会、いろいろ思うこと Part2」という記事を投稿しています。桜を見る会そのものに関しても様々な疑念が残されていますが、前述したとおり一つの過ちや不都合な事実関係を取り繕うため、いろいろな矛盾や不適切な対応が発生しているように見受けられて仕方ありません。

個人情報を理由に招待者名簿を破棄していると説明しています。第2次安倍政権以降、招待者が急増し、公文書に当たる招待者名簿の保存期間が「1年未満」と改められていました。公文書とは「民主主義を支える国民の財産」とされ、役所が意思決定する過程や結果を記録し、後の検証を可能にすることで行政が適正に運営されることを目的に整えられなければなりません。

それが開催後、ただちに廃棄できる「1年未満」に見直した理由が招待者の個人情報の保護だと言うのであれば釈然としません。同じ人を連続して招待しないという規定もあるようですが、前年の名簿がなくても可能なのでしょうか。さらに1956年と1957年の桜を見る会の招待者名簿は国立公文書館に保管されていたことが分かっています。60年以上の前の会は首相や自民党との近さでなく、役職や功績の有無で招待客を選んでいたことがうかがえています。 

このような事実関係を比較しながら考えていくと、安倍政権にとって守るべき個人情報とは何なのでしょうか。叙勲された方々の場合、氏名や居住している自治体名など特定の個人を識別できる情報が新聞紙面等に掲げられます。本来、桜を見る会の招待者名簿も同様な趣旨のもと公開しても問題のない情報だったのではないでしょうか。

招待された側としては誇らしいことであり、招待されたことをコソコソ隠すような類いの話ではなかったはずです。廃棄した、バックアップデータもない、ここまで頑なに招待者名簿を隠さなければならない安倍政権の対応ぶりこそ、不都合な事実関係を隠蔽するような意図を感じてしまいがちです。このような問題に際し、個々人の感じ方は様々なのかも知れませんが、個人情報という言葉から私自身の思いを綴らせていただきました。

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2020年1月18日 (土)

会計年度任用職員制度の組合説明会

前回記事「反核座り込み行動で訴えたこと、2020年冬」の冒頭、水曜夜に会計年度任用職員制度の組合説明会が予定されていることを記していました。現時点までに労使確認した内容等を報告し、さらに詰めるべき事項について意見交換をはかる機会としました。

昨年10月に基本合意した後、学校事務や学童保育所など個別の職場から要請を受け、同様な趣旨での懇談会をいくつか催してきました。11月の定期大会や12月の職場委員会を通し、交渉結果等を組合員全体に報告していますが、執行部側が呼びかけた説明会や意見交換の場も必要だと考えていました。

今回、事前の申込は不要としたオープンな形で開催しています。すでに懇談会を催した職場からの出席は多くないものと見込んでいましたが、当日の参加者数は45名でした。直接の当事者である嘱託職員以外の組合員の皆さんの参加も思っていたより多く、やはり関心の高さがうかがえる課題だと認識しています。

これまで当ブログでは「会計年度任用職員」「会計年度任用職員制度の労使協議を推進」「会計年度任用職員制度、労使協議の現況」「会計年度任用職員制度、労使合意」という記事を投稿してきました。条例が整えられ、今年4月から制度がスタートする訳ですが、まだまだ重要な労使協議課題としての対応が求められていきます。

法改正時の国会の附帯決議が公務における同一労働同一賃金に重点を置いた対応を求めていることを踏まえ、組合は嘱託職員の皆さんの待遇改善の機会として労使交渉を進めてきました。しかしながら私どもの組合にとっては非常に悩ましい事態を強いられていました。かえって法改正が逆風となり、全体を通して現行の待遇を後退させる提案内容が目立っていました。

他団体に比べて月額報酬の額が高い、他団体の非常勤職員の病休は無給である、このような点を市当局側は説明し、総務省の事務処理マニュアルに基づき他団体の非常勤職員との均衡に固執していました。月額報酬を1万円ほど下げ、休暇制度は都準拠とし、唯一改善となる期末手当支給も2年間かけて2.6月までに引き上げるという提案内容でした。

自治労都本部内の労使は9月議会までに決着をはかる中、私どもの組合のみ到底合意できる水準に至らず、12月議会に向けた継続協議としていました。10月24日深夜に及ぶ労使交渉の結果、12月議会への条例案送付に向け、期末手当や休暇制度等の取扱いについて労使合意しました。

月額報酬の引き下げを受けざるを得なかった不本意な点もありますが、基本的に休暇制度等の現行待遇は後退させず、期末手当2.6月分を支給することで年収増につなげる交渉結果を得られています。水曜夜の説明会では、このような交渉経緯を改めて報告しながら引き続き労使協議を求め、確認すべき主な事項について提起する機会としています。

なぜ、私どもの組合は悩ましい局面を強いられたのか、説明会の時に話した内容を今回のブログ記事でも取り上げてみます。まず法改正時の国会附帯決議の「公務における」という言葉は官製ワーキングプアと呼ばれがちな常勤職員と非常勤職員との待遇格差を念頭に置いたものだったはずです。

一方で、今回の法改正は任用根拠が曖昧だった非常勤職員の位置付けの明確化という目的もありました。法改正後、総務省から「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」が示され、その中には「他団体との均衡をはかること」という一文も盛り込まれていました。

総務省の担当者らと直接協議を重ねていた自治労本部役員からは「最低基準を示した労基法と同様、非常勤職員の待遇面が劣っている自治体の底上げを目的としたもので、すでに上回っている自治体の待遇を引き下げるものではない」という説明を受けていました。

このことは私どもの労使交渉の中で、組合から再三再四訴えてきています。それに対し、市当局側は「そのような点について具体的な文言として公式に発せられていないため、他との均衡を重視しなければならない」という立場を訴え続けていました。

これまで任用根拠をはじめ、各自治体の独自な判断で非常勤職員の待遇を決めていました。私どもの組合は非常勤職員である嘱託の皆さんが以前から直接加入しています。そのため、嘱託組合員の待遇改善が継続的な労使交渉の課題とされてきました。この労使交渉の積み重ねによって、現在の待遇が定められてきたと言えます。

それでも常勤職員に比べれば、まだまだ均等待遇からは程遠いものだと受けとめています。しかしながら全国的な平均レベルと比べた際、私どもの嘱託職員の待遇は高い水準だったことが今回の法改正を通して明らかになっていました。こちらからすると有給での病気休暇を一日も認めないことが全国標準である現状などには驚いていました。

私どもの自治体は地方交付税の不交付団体です。そのため、会計年度任用職員の期末手当支給に伴う億単位の予算は自主財源で賄わなければなりません。当初、私どもの市も下記報道にあるような年収総額の中での配分見直しを示唆していました。それこそ『「生活できなくなる」 期末手当新設で月給減… 非正規公務員の悲痛な声』という見出しのような事態を強いる発想であり、組合側は猛反発し、早々に見送らせることができていました。

「月給が減らされて生活ができなくなる」。福岡県内の自治体で非正規職員として働く女性から特命取材班に悲痛な声が寄せられた。いまや市町村で働く職員の3人に1人は非正規雇用。保育現場や図書館など住民とじかに接する職場に多く、非正規なしに公共サービスは維持できないのが実態だ。何が起きているのだろうか。

女性は週5日フルタイムで働いて月給は10万円台半ば。来春から勤務体系が見直され、月給が1万~2万円減る方向だという。「新たに期末手当(ボーナス)を出すから年収は変わらないと言われるけど、月給が減ると日々の暮らしが立ち行かない。正規職員並みの業務を担っているのに…。私たちは都合よく働くロボットじゃない」

地方の非正規職員の制度は来年4月から大きく変わる。地方自治法などが改正され、期末手当が支給できるようになる。経験年数に応じた昇給も可能だ。「同一労働同一賃金」が進む民間以上に格差が指摘される非正規公務員の待遇改善が目的だった。

給与体系を具体的に決めるのは各自治体で、制度設計が大詰めを迎えている。福岡市は期末手当を正規並みの2・6カ月分支給する。一方、月給は3万円ほど下がる職員もいる。市の担当者は「正規職員と業務内容を比較して適正な金額にした。年収で見ると改正前を下回らないようにしている」と説明する。

期末手当を支給する代わりに月給を下げ、年収は変わらない-。「全国の自治体でこうした動きが相次いでいる。年収維持か、アップしてもごくわずか。待遇改善にはほど遠い」。非正規公務員の実態に詳しい地方自治総合研究所(東京)の上林陽治さんはこう指摘する。

人件費上昇を抑えようとフルタイムをパートに切り替えるほか、正規と比べて初任給を低く設定したり、昇給を抑えたりする自治体が多くあるという。自治労総合労働局長の森本正宏さんは「年収がもう少し上がると期待していたが現状は厳しい」と話す。

自治体側にも事情がある。行政改革で正規の人員削減を求められる中、業務負担は増すばかり。人件費の安い非正規を増やすことでしのいできた。今回、国が先導する「待遇改善」だったはずだが、開始まで半年を切っても財源確保の具体的な形は見えてこない。

長崎県佐々町は非正規(192人)の割合が日本一高く、全体の6割強を占める(2016年総務省調査)。来年4月以降、期末手当を支給し、試算では最大約5500万円負担が増える。町の予算規模は約60億円。担当者は「国の補助があるのか注視している」。

他の市町村からも「財源が示されないまま待遇改善と言われても、対応には限界がある」との声が漏れるが、総務省の担当者は「補助については検討中」との説明にとどめる。

上林さんが提唱するのが、自治体の貯金とも言える「財政調整基金」の活用だ。税収減などに備えたもので、16年度末で全国の基金総額は約7兆5千億円。10年間で8割も増えた。

上林さんは「このままでは大事な役割を担う非正規職員が辞めてしまい、必要とする人に公共の支援が届かなくなる。待遇改善は公共サービスの質を維持する上での生命線だ」と強調する。【西日本新聞2019年11月4日

このような自治体の動きに対し、多くのメディアは疑問視した論調であり、「公務における同一労働同一賃金に重点を置いた対応」から真逆な憂慮すべき事態だと非難されなければなりません。「非正規公務員 一部自治体で給料減額の動き」を受け、総務省としても下記の報道にあるような通知を昨年末に発していました。

全国の自治体で働く「非正規公務員」にボーナスの支給を可能にする新たな制度が新年度から始まるのを前に、一部の自治体で毎月の給料などを減らす動きが出ていることがわかりました。総務省は財政悪化を理由にした給料の抑制などはやめるよう、全国の自治体に通知しました。

全国の都道府県や市区町村などで非常勤や臨時の職員として働く「非正規公務員」は4年前の時点でおよそ64万人に上り、正規職員と仕事の内容が同じでも、給料が低いなど待遇改善が課題となっています。

こうした中、すべての「非正規公務員」にボーナスの支給を可能にする新たな制度が新年度から始まりますが、総務省によりますと、一部の自治体ではボーナスの支給に合わせて毎月の給料などを減らす動きが出ているということです。

このため総務省は財政悪化を理由にした給料の抑制などはやめるよう全国の自治体に通知しました。通知ではフルタイムで働いていたのに合理的な理由もなく勤務時間を短くしたり、ボーナスの支給に合わせて毎月の給料を減らさないことなどを求めています。

総務省によりますと、新年度から全国のすべての自治体が「非正規公務員」にボーナスを支給する見通しで、これに伴う人件費はおよそ1700億円に上る見込みです。このため総務省はこの総額のおよそ1700億円を地方交付税として自治体に配分する方針です。【NHK NEWS WEB2020年1月4日

年明け、このNHKのニュースに接した時、3か月前に出してくれれば私どもの労使交渉で「組合側にとって追い風となったのに…」という思いを強めていました。「ボーナスの支給に合わせて毎月の給料を減らさないこと」という文言だけ受けとめれば、私どもの自治体は月額報酬を下げることを決めているため、総務省の通知に反しています。

地方交付税の不交付団体であり、財政上の理由も大きかったはずですが、もともと「他団体に比べて月額報酬の額が高い」という理由を軸にした苦汁の判断だったため、状況を一変させるほどの直接的な追い風にならないことも理解しています。それでも「月給は減らさない」という全国的な動きが大きな流れとなっていれば、私どもの労使交渉にも影響を与えていたかも知れず、「遅すぎる」という思いが強まって残念でなりません。

会計年度任用職員制度の組合説明会では主に私が説明していました。これまで労使で確認してきた内容の報告や今後詰めるべき課題の説明など多岐にわたっていました。今回の記事はここで一区切り付けさせていただきますが、「公募による再度の任用」の具体的な運用方法の確認に向けた問題意識などは機会を見て次回以降の記事で扱えればと考えています。

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2020年1月11日 (土)

反核座り込み行動で訴えたこと、2020年冬

昨年末に市当局と教育委員会当局に「人員確保及び職場改善に関する要求書」を提出しています。年明け、増員要求が示されている職場の所属長に対しては要求書の写しを手渡しながら要求内容の切実さの理解を求めていく行動にも取り組んでいます。今後、当該職場との連携を密にしながら年度末まで精力的に交渉を重ね、全力で各要求の前進をめざしていきます。

昨年10月に「会計年度任用職員制度、労使合意」という記事を投稿していましたが、1月15日には組合員を対象に説明会を開き、労使確認した内容等を報告し、さらに詰めるべき事項について意見交換をはかる運びです。このように労働条件の改善や職場課題の解決に向けた取り組みが日常の組合活動の大半を占めています。

その一方で自治労や三多摩平和運動センターが呼びかける様々な取り組みもあり、組合役員を中心に対応しています。木曜日にはターミナル駅前で反核座り込み行動があり、私どもの組合から役員3名が参加しました。2年前の記事「反核座り込み行動で訴えたこと」の中で紹介したとおり三多摩平和運動センターは6日もしくは9日、毎月、三多摩各地のいずれかの駅頭で座り込み行動に取り組んでいます。

1945年8月6日に広島、8月9日には長崎に原爆が投下されました。その日を忘れないために「核も戦争もない平和な21世紀に!めざそう脱原発社会!」と記された横断幕を掲げ、駅前のデッキ上の一画に座り込みます。その座り込みの横で、駅前を通行している方々にチラシを配布したり、拡声器を使って反核についての様々な主張をアピールするという行動です。

具体的な活動ができないままの恐縮な現状ですが、地区連絡会の代表という肩書があるため、このような行動の際、私自身もマイクを持つ一人として指名されます。そのため、今、私自身が切に願うことを原稿にまとめて臨んでいました。一人でも多くの方に伝えたい思いであり、今回のブログ記事でも反核座り込み行動の時に訴えた内容をそのまま掲げさせていただきます。

反核座り込み行動で訴えた内容

国連のグテレス事務総長が緊迫化した中東情勢について、世界は「今世紀最大の危機にある」と警鐘を鳴らしています。新しい年を迎えた早々、アメリカのトランプ大統領の命令によってイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官らがイラクのバグダッドで殺害されました。トランプ大統領は「ソレイマニ司令官はアメリカの外交官や軍人に対し、差し迫った邪悪な攻撃を企てていた」と批判し、「我々の行動は戦争を止めるためのものだった」として殺害を正当化しています。 

これまでソレイマニ司令官は「中東に展開する米軍をいつでも攻撃できる」という趣旨の発言もしてきました。しかし、いかに政治的・軍事的に目障りな存在だったとしても、超法規的に人を殺害することが許されるはずはありません。国連憲章51条も「武力攻撃が発生した場合」のみ自衛権の行使を認め、先制的・予防的な自衛権の行使は認めていません。大統領の指示による殺害行為は明白な脱法行為であり、アメリカによる国際法違反行為だと考えられます。 

このような強硬手段を勧める声はアメリカの政府部内でも少数だったようですが、仮にトランプ大統領が自らの選挙戦や弾劾裁判を意識した判断だったとしたら厳しく非難されるべき行為だと言わざるを得ません。 

イラン側は「イランに対する開戦に等しい」「国連憲章を含む国際法の基本原則を完全に侵害する国家テロだ」として強く反発しています。昨日、米軍主導の連合軍が駐留するイラク内の基地2カ所に対し、イランから十数発の弾道ミサイルが撃ち込まれました。

抑止を正当化した武力行使は武力による報復を招き、戦火はエスカレートしがちです。小規模な衝突から全面戦争に突入した事例が数多くあることを歴史から学ばなければなりません。広島と長崎に原爆投下という人類史上最悪な悲劇も、その引き金は旧満州での関東軍による要人暗殺から始まり、満州事変、日中戦争、太平洋戦争と広がっていった歴史を思い返さなければなりません。 

いずれにしても憎しみの連鎖はテロや戦争につながっていくことが明白です。このような歴史の教訓のもと国際社会で「特別さ」を誇るべき日本国憲法の平和主義が掲げられたものと私自身は理解しています。 

それにも関わらず、日本政府は中東地域に海上自衛隊を派遣する方針を崩していません。「日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集を強化」するという名目で、防衛省設置法上の「調査・研究」を根拠として行なわれるものですが、自国船舶の防護を求めるトランプ政権の意向を受けた派遣であるという側面があることも否めません。 

日本ほどの大国で中東のエネルギーに依存する国が、中東地域の秩序維持、とりわけ海洋の航行安全確保の責任を忌避することは無責任であるという声も耳にします。国際社会の中で相応の責任や役割を担わなければならないという考え方はまったくその通りです。しかし、憲法の制約がある日本、平和国家というブランドイメージを前面に出した「特別さ」を持つ日本ならではの役回りこそ、この危機的な局面で求められているのではないでしょうか。 

今後、もし戦火が拡大し、アメリカの同盟国の一員として集団的自衛権の行使にあたる後方支援など戦闘に加担するような役割が求められた場合、日本政府は毅然と拒んで欲しいものと願っています。その上で、これまでイラン側とも対話できる関係性を築いてきた強みを活かし、両国の橋渡し役を果たせるような貢献策を日本政府には強く期待しています。 

今のところ両国とも全面的な戦争に至る事態に対し、自制的な構えを見せていますが、イラン国民の報復感情が決して沈静化した訳ではありません。そのため、これ以上、武力衝突が激化せず、平和的な解決がはかれる道筋に向け、日本が寄与できるようであれば何よりも望まれる国際貢献であるものと考えています。

このような願いについて訴えさせていただきましたが、ぜひ、お忙しい日常の中でも危機的な中東情勢について、「特別さ」を誇るべき平和憲法を持つ日本ならではの役割ついて、少しだけお考えいただければ幸いです。よろしくお願いします。

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2020年1月 1日 (水)

2020年、新たな12年の始まり

毎年、元旦に年賀状バージョンの記事を投稿していました。昨年3月に「母との別れ」という記事を綴らせていただきましたが、昨年末には喪中ハガキをお出しているところです。そのため、今年は新年を迎えた最初の記事も普段と変わらない文字だけの地味なレイアウトとしています。

2005年8月に「公務員のためいき」を開設し、今回の記事が843タイトル目となります。必ず毎週土曜又は日曜に更新し、昨年1年間で52点の記事を投稿していました。一時期に比べ、1日あたりのアクセス数は減っています。それでも週に1回の更新にも関わらず、毎日多くの方に訪れていただいています。

これまで時々、いきなりアクセス数が急増する場合もありました。Yahoo!のトップページに掲げられた際のアクセス数23,278件、訪問者数18,393人が1日あたりの最高記録となっています。ことさらアクセスアップにこだわっている訳ではありませんが、やはり多くの人たちにご訪問いただけることは正直嬉しいものです。

特に当ブログは不特定多数の方々に公務員やその組合側の言い分を発信する必要性を意識し、個人の判断と責任でインターネット上に開設してきました。したがって、より多くの人たちに閲覧いただき、多くのコメントを頂戴できることを願っているため、毎日、たくさんの方々にご訪問いただき、ブログを続けていく大きな励みとなっています。

2012年の春頃からは背伸びしないペースとして、コメント欄も含め、週に1回、土曜か日曜のみにブログに関わるようにしています。そのことだけが理由ではないようですが、以前に比べるとお寄せいただくコメントの数も減っています。それでも記事内容によっては貴重なコメントをお寄せいただけているため、このブログをご注目くださっている皆さんにいつも感謝しています。

さて、今年はネズミ年です。12年前、元旦に投稿した記事のタイトルは「2008年、転換の年へ」でした。十二支にこだわって考えていた時、子、丑、寅…、ネズミは12年間の先頭に数えられる年であることを思い出しました。バブルが崩壊した以降、閉塞感がただよっていた日本経済、2008年、新たな一回りの最初の年として、様々な課題が好転する転換の年となるよう願いを込めました。

2008年がどのような年だったのか、翌年の元旦に投稿した記事内容から思い返すことができます。2008年の世相を表した漢字1文字は「変」でした。「Change(変革)」を訴えたオバマ候補が次期米大統領に選ばれたこと、サブプライムローン問題に端を発した世界経済の大変動などが理由としてあげられていました。

日本の政治の「Change」は翌2009年に訪れていました。民主党を中心とする政権交代が果たされた訳ですが、その直後に投稿した「新政権への期待と要望」という当ブログの記事の中でマニフェストのあり方に懸念を示していました。財源の見積もりが不充分な中、掲げたマニフェストの実現性について次のように記していました。

仮にマニフェストを軽視した場合、国民との約束を破ることとなり、一気に民主党への批判が強まっていくはずです。したがって、まずは政権公約に掲げた政策の実現に向け、全力を尽くしていくのが当たり前な話だと受けとめています。しかし、著しい歪みや将来への大きな禍根が見込まれた時は、勇気ある撤退や大胆な軌道修正も選択肢に加えて欲しいものと望んでいます。

民主党が期待されているのは、総論としての国民生活の向上であり、明るい未来を切り開くことだと思っています。党としての面子や体裁にこだわり、各論の実現を優先しすぎた結果、逆に国民を不幸せにするような事態は本末転倒なことです。公約を修正する際など、真正面から誠意を尽くして説明責任を果たしていく限り、国民からの信頼も簡単に失墜しないのではないでしょうか。

今年2月「悪夢のような民主党政権」という言葉を安倍首相が使ったことには驚きましたが、そのように認識している方々が多いことも否めないのかも知れません。危惧したマニフェストの問題をはじめ、民主党の政権運営は残念ながら多くの国民の期待を裏切ってしまいました。そして、民主党政権の最も大きな責任は政権交代のハードルを高く上げてしまったことです。

安倍政権の進めている政策等を全否定すべきではありませんが、至らない点があれば国会で厳しい指摘を受け、場合によって大胆な軌道修正がはかれるチェック機能の存在は重要です。さらに政権運営での問題点や不祥事が目立つようであれば総選挙で敗れ、再び下野しなければならないという与党側の緊張感も欠かせないはずです。

干支が一回りした12年間で政権交代という政治の大きな転換が2回ありました。世論調査の結果、現政権を肯定的に評価している方々が一定の割合で存在しています。しかし、個々の案件として桜を見る会から散見している疑念やその対処の仕方、大きなテーマとしての外交や安全保障の方向性などに対し、国民の中で様々な評価があるはずです。

政権交代の受け皿となるべき野党が不甲斐ないため、結局、総選挙では負けない、その結果をもって様々な問題点も許されていく場合は非常に残念な政治的な構図だと思っています。加えて、日本の進むべき道を左右する大きなテーマが明確な論点とされず、与野党の相対評価が軸となった選挙での勝敗によって委任されていくような動きは避けなければなりません。

したがって、国政の場で健全なチェック機能を働かせるためには「1強多弱」の勢力図を少しでも塗り替える必要性があります。ただ当たり前な話ですが、政党としての理念等が曖昧なままの単なる数合わせだった場合、それはそれで問題だろうと思っています。仮に総選挙で勝利し、政権交代を果たせたとしても、その後の政権運営に不安要素が残ることになります。

個人的な思いですが、自民党に対峙する野党には労働組合との関係性を決して負の側面だととらえず、逆に強みとし、そこを起点にした理念や政策の再構築を願っています。「働くことを軸として、安心できる社会を作っていく」という言葉などは民主党政権の時に連合と共有化していたものです。

そもそも自民党との対抗軸が曖昧なまま、野党の再編が進んでしまった場合、視点や立場の相違からのチェック機能を充分働かせられない恐れがあります。基本的な立ち位置としてリベラルな色合いを持ちながらもイデオロギーが前面に出ない政党としての存在感を高めることで、国民からの幅広い支持を得られていくのではないでしょうか。

12年の間には大きな自然災害にたびたび見舞われていました。その中でも2011年3月11日の東日本大震災は未曾有の被害をもたらしていました。さらに福島第一原発の事故は膨大な年月を要しながら対応していかなければならない深刻な問題を残しています。

国民の多数は原発に依存しない社会をめざすべきだと思っているはずですが、現政権が明確な方針を打ち出しているとは言えません。そのため、政権選択の大きな論点にすべき課題であり、野党再編のための重要な協議事項となっているようです。

私自身の問題意識は昨年7月に投稿した記事「福島第一原発の現状」の最後に記したとおり脱原発かどうかという二項対立的な図式ではなく、どのようにすれば原発に依存しない社会を築いていけるのかどうかという視点を大事にすべきだろうと考えています。このような視点を基軸に協議が進むことを期待しているところです。

今回も書き進めていくと予想以上に長い記事になってしまいました。新年早々、お付き合いくださっている皆さん、本当にありがとうございます。私が最も責任を負うべき市職員労働組合の執行委員長という立場からの思いも綴るつもりでしたが、たいへん長い記事になっていますので一言だけ申し添えさせていただきます。

年末の記事「自治労都本部組織集会 Part2」に託した思いとして、組合は大事、なくしてはいけない、そのような認識のもとに組合加入の促進や組合役員の担い手問題に対処していく決意を新たにしています。長く執行委員長を務めてきた責任を痛感しているため、何とか好転させる切っかけや兆しを見出し、次走者にバトンを渡せるよう思いを巡らしています。

最後に、このブログは実生活に過度な負担をかけないよう留意しながら引き続き週に1回、土曜か日曜の更新を基本としていきます。いつもお正月のみ少し変則な日程となっています。次回は来週末に更新する予定です。

きめ細かいコメント欄への対応がはかれずに恐縮ですが、一人でも多くの方にご覧いただければ誠に幸いなことだと思っています。それでは末筆ながら当ブログを訪れてくださった皆さんのご健康とご多幸をお祈り申し上げ、新年早々の記事の結びとさせていただきます。

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