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2019年12月28日 (土)

自治労都本部組織集会 Part2

今年も残りわずかです。ここ数年、年末には「2017年末、気ままに雑談放談」「2018年末、気ままに雑談放談」というタイトルを付け、その時々に思うことを書き残していました。今回、前回記事「自治労都本部組織集会」では触れられなかった分科会の内容を取り上げてみます。

午後の分科会は3つあり、私は第1分会「次代の担い手づくりと単組の組織強化」に参加しました。午前の全体会では自治労弁護団の宮里邦雄さんから「今問われている!労働組合の存在意義と役割―労働組合の再生・発展を目ざして―」という演題でのお話を伺いました。

宮里さんの総論的な提起を受け、分科会では個々の組合や職場における組織強化に向けた具体的な取り組みを知り得る機会となっていました。他の組合の興味深い報告の数々に触れることができ、いろいろ得るものがあった組織集会でした。

自治労都本部からの基調提起

最初に自治労都本部組織局次長から分科会の基調提起がありました。自治労都本部としての組織強化は3つの領域があります。①自治体単組の組織強化、②自治体関連団体・公共サービス民間労働者の組織強化、③臨時・非常勤職員の組織化です。私のような単組役員の立場からは主に①と③の組織強化が直面する課題となっています。

ちなみに②に関連した自分自身の経験を綴った過去の記事として「登録ヘルパーの組合」というものがあります。前回記事の最後にウーバーイーツユニオンのことを紹介しました。この報道に接した時、登録ヘルパーの皆さんの顔が思い浮かんでいました。雇用関係が曖昧な中、不安定な労働条件を改善するため、労働組合を結成したいう共通点があったからです。

詳しい内容に興味を持たれた方はリンク先の当該記事をご覧いただければ幸いです。いずれにしても3年半という短い期間でしたが、登録ヘルパーの皆さんと一緒に頑張れたことは自分自身にとって、たいへん貴重な経験だったと言えます。このように横道にそれながら書き進めていくと今回も長い記事内容になりつつありますが、もともと「雑談放談」をサブタイトルに掲げたブログであるためご容赦ください。

さて、①の自治体単組の組織強化の中味も3つに分類した提起を受けています。(1)新規採用職員の労働組合加入促進、(2)次代を担う組合役員の育成、(3)現業職の新規採用の実現という課題です。この分科会では全体を通して(1)と(2)の課題を中心に各組合からの事例報告や意見交換が行なわれました。

久しぶりの自治労大会」の中で伝えたような危機感は自治労都本部も同様に抱えています。基調報告の後、自治労青年部の前部長から青年部運動活性化PTの報告、3つの組合の役員から具体的な取り組みの報告が示されました。3時間にわたる分科会でしたので一つ一つ取り上げていくと相当な長さの記事内容に及びます。

そのため、新規採用職員の組合加入促進と次代を担う組合役員の育成という論点をもとに全体を通し、特に興味深かった報告内容を総括的にまとめてみるもりです。まず報告された皆さん、それぞれ組織的な問題の危機感は共通なものです。ただ直面している危機的な状況には程度の差があり、取り組みの結果、現在は好転しているという組合もあります。

それでも「自分の組合は組織的な問題で一切悩むことはない」という立場での報告はなく、何かしらの面で悩みを抱えられています。一方で、自治労都本部の基調提起では「単組の現状と課題」の一つに「役員の選出、育成が困難な状況にもかかわらず、単組内で問題が共有されていない」という問題もあげられています。

つまり危機感があるからこそ、望ましくない現状を改善していく手立てを探れることになります。しかし、現状に対する危機意識を持たない場合、立ち直す機会が訪れることはなく、組織そのものがつぶれてしまうか、看板だけ掲げる組合に至ってしまう恐れがあります。主体的に担う組合役員がいなくなり、組合員数が減少していけば、そのような事態に陥らざるを得ません。

今回の組織集会参加者の皆さんは何かしらの危機感を抱えた中で連合会館に足を運ばれているものと思っています。私自身もその一人であり、新規採用職員の組合加入率を回復させた組合、20代の組合役員が急増した組合の事例に触れることができ、たいへん貴重な機会を得られたことに感謝しています。

新規採用職員の組合加入の促進

続いて、報告された個々の具体例を紹介しながら新規採用職員の課題を書き進めてみます。地方公務員だけで構成している産別ではありませんが、自治労に結集している組合の大半はオープンショップ制をとっているものと認識していました。分科会で報告された組合の一つはユニオンショップ制であることを知り、少し意外な印象を受けていました。

ユニオンショップ制とは「雇用された労働者は一定期間内に特定の労働組合に加入しなければならないとする制度である」と解説されています。ユニオンショップ協定を結んでいる組合の報告は「正規職員の新採加入率は100% で組織化の苦労は少ないが、自分の意思で組合員になった訳ではないため、組合員としての自覚が希薄」という話でした。そのため、次世代の担い手が見つからないという悩みは他の組合と同様なものでした。

オープンショップ制の自治体単組でも新規採用者のほぼ全員の加入を維持できている組合があります。そのような組合の特徴として、採用された初日、当局側の研修の中に組合側の説明時間が組み込まれています。加えて、その説明が終わった直後に加入届の提出を求めるため、新規採用者の大半は採用初日に加入されるそうです。

さらに当局側の人事担当者も組合費のチェックオフ手続きがあるため、提出時期について説明される場合もあるようです。このあたりは各労使間の慣行や個々の組合の考え方があり、すべて同じようなスタイルをめざすべきとは言えない側面があります。特筆すべき点としては、このように組合に加入することが当たり前という雰囲気を保っている組合は必然的に高い加入率を維持できています。

私どもの組合も全体的な加入率が100%に極めて近かった頃は新規採用者もほぼ全員加入していました。まだ100%近くという言い方はできる加入率ですが、入るかどうか、二者択一の選択肢として判断できるほど各職場に組合未加入者が目立つようになっています。職場に配属されてから組合に入っていない先輩職員がいることを知った時、入らないと決めてしまうケースもあり得ます。

1,500人の組合員数の時代、組合に入っていない職員は2人か3人だったように記憶しています。そのような中で組合加入を拒めていた職員は相応に意志の強い方だったのかも知れません。前回記事の中でJR東労組の組合員が大量脱退した話に触れましたが、入らなくて済むのであれば、そうしたいと考えている方々が多かったため、ある切っかけから雪崩を打った事態につながってしまったようです。

組合に加入していなくても労働条件は同じ、そうであれば組合費等の負担がなくなり、組合を脱退したほうが得だと考えている組合員も多いはずです。自治労青年部のPT報告では「集団としてのメリットはない。個人としての利益がメリット」「労働組合に加入しなくても恩恵を受けてしまうことに違和感がない」という青年の意識を伝えています。

分科会では「ピンチをチャンスに変えて組織強化」をはかったという報告もありました。新規採用職員の組合未加入が続いた時、月1回の定例執行委員会で毎回加入を促すための検討を重ねたそうです。その上で継続的な働きかけを途絶えさせず、組合の必要性などを丁寧に説明し、 組合役員の顔ぶれも変えながら新規採用職員との話し合いをきめ細かく試みたとのことです。

必要に応じて同じ職場の先輩組合員からも働きかけをお願いし、このような粘り強い取り組みの結果、ここ数年、新規採用職員の加入率は100%を維持できているという報告でした。このような一連の取り組みを通し、さらに成果を上げられたことで組合組織の活性化がはかれ、今年度、新たに選出された執行委員は4人になったとのことです。

組合執行部全体で危機感を持ち、きめ細かい取り組みによって成果を上げられた好事例だと言えます。一方で、現職の組合役員の負担感を考慮し、そこまで力を注げていない組合も多いのではないでしょうか。その結果、未加入者を増やし、ますます手が回らなくなる人数まで広げてしまうという悪循環に陥りがちです。

私どもの組合も同様です。一昔前、執行委員の定数が欠けることはなく、未加入者が組織全体で数名の頃、組合加入をためらう新規採用職員に対する働きかけは現在と比べられないほどのきめ細かさでした。私自身が執行委員長を務めている中で未加入者を増やしてしまっていますので責任を痛感しています。何とか好転させる切っかけや兆しを見出し、次走者にバトンを渡せるよう思いを巡らしています。

組合役員の担い手の問題

やはり組合役員の担い手の問題と新規採用職員の組合加入促進の問題は密接につながっています。幅広い職場から多くの執行委員が選出されていれば、きめ細かい働きかけがしやすくなるという側面をはじめ、労働組合の存在意義がどこまで浸透できているかどうかという問題につながっているものと考えています。

組合役員の担い手がいなければ組合活動は停滞し、組合員がいなければ組合はつぶれてしまいます。組合は大事、つぶしていはいけない、そのような認識が共有されることで、たいへんだけど組合役員を引き受けてみよう、組合には入らなければいけないという好循環につながっていくはずです。分科会の中で、特に若手組合員をどのようにして組合役員に誘っているのかどうかという報告が示されています。

前回記事の中で「午後の分科会では私自身もいくつか質問や意見を述べさせていただきました」と記していました。その一つが報告者ではなく、20代の組合役員複数名が委員長らとともに組織集会に参加されていた組合の方に質問するという異例な形を認めていただいたものです。組合役員の年齢層が若いため、新規採用職員との距離感も近く、いろいろな取り組みに多くの若手組合員が活発に参加されているようでした。

このような話を質疑応答や意見交換を通して伺ったため、若手組合員の多くが組合役員を務めるまでの経緯や工夫などを質問させていただきました。その組合の委員長からお答えいただきましたが、少し前まで「労働組合とは…」という原則を大上段に構えた組合執行部だったとのことです。そのため、若手組合員から共感を得られにくい雰囲気の転換を意識的に心がけていったそうです。

夕方、若手組合員の多くが組合事務室を訪れ、自由に語れる場所を提供したことが活性化につながる切っかけでした。書記長一人が近くにいて、何か質問があったら答える程度で基本は若手組合員同士が和気あいあいと語り合う場所と時間だったようです。この語り合いの後、毎回、場所を変えて委員長らも加わって飲食をともにしながら、よりいっそう自由な意見交換を重ねていました。

このような会を重ねる中で若手組合員の視点から組合活動について語られるようになり、しばらくして「私を執行委員にしてください」という自発的な声が上がるようになったそうです。主体的な意思で組合役員を担う若手組合員が続出しているという話は本当にうらやましい限りです。

そのような現状を整えられた委員長をはじめ、ベテラン役員の皆さんに敬意を表させていただいています。成功事例としてのプロセスを私どもの組合がどこまで参考にできるかどうか分かりませんが、主体的、自発的な意思で組合役員を担う組合員が現われることの大切さは最も重視していかなければなりません。

もう少し今回の記事は簡潔な内容になるものと考えていました。書き進めると相当な長さとなり、途中から小見出しを付けています。たいへん恐縮ながら、もう一つ、質疑時間に私から提起した論点を紹介します。

戦争を肯定という言葉に対し

自治労青年部の前部長が「普段言えない組合に対する疑問や不満が言える場が必要」と説明した際、戦争を肯定する若手組合員と話したという経験を伝えていました。この一言が気になり、私からは「戦争を肯定している人はいないのではないですか、きっと抑止力のあり方として考え方が違ったのではないですか」と問いかけていました。

前々回記事「不戦を誓う三多摩集会 Part2」に綴ったとおり戦争を肯定的にとらえている人は皆無に近く、どうしたら戦争を防げるのかという視点や立場から安保法制等を判断している自治労組合員も多いのだろうと考えています。そのため、より丁寧な説明や言葉の使い方が欠かせないことを訴えさせていただきました。前部長からは「確かに戦争を肯定とは言ってなかったかも知れない」と補足があり、私から提起した趣旨もご理解いただけたものと思っています。

いわゆる左と見らがちな自治労の運動方針に距離感を抱き、組合に入らない、組合役員を担いたくない、そのように考えている方々も多いはずです。だからこそ結論を押し付けるのではなく、「なぜ、取り組むのか」「なぜ、反対しているのか」という伝え方が組織強化のために重要であることも、この問いかけをした際に申し添えていました。

実は直近の身近な事例にも触れるつもりでしたが、相当な長さとなった今回の記事はここで区切りを付けさせていただきます。

最後に

この一年間、多くの皆さんに当ブログを訪れていただきました。本当にありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いします。なお、次回の更新は例年通り元旦を予定しています。ぜひ、お時間等が許されるようであれば、早々にご覧いただければ誠に幸いです。それでは皆さん、良いお年をお迎えください。

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2019年12月22日 (日)

自治労都本部組織集会

厚生労働省が2019年の「労働組合基礎調査の概況」を発表しました。6月30日現在の単一労働組合の数は24,057組合、労働組合員数は1,008 万8千人でした。前年に比べて労働組合数は271組合(1.1%)減りましたが、労働組合員数は1万8千人(0.2%)増えています。ただ雇用者数そのものが増えているため、推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は16.7%で前年より0.3ポイント低下しています。

ちなみに産別ごとの結果で自治労は77万4千人、前年より1万2千人減っています。官公労組が統一し、現在の連合が発足したのは1989年で今年は結成30年という節目を刻んでいました。発足当初、自治労は100万人を超えた組織規模で連合内で最も組合員数の多い産別でした。その後、組織拡大を続けているUAゼンセン(177万2千人)には大きく離され、連合内で組合員数は2番目という位置が定着していました。

今回の調査で自動車総連が79万2千人まで増やし、自治労は3番目まで下がったことになります。「久しぶりの自治労大会」という記事の中で取り上げたとおり組合員数の減少は自治労全体で深刻な問題としてとらえています。行政改革の推進による地方公務員総数そのものが減らされてきましたが、最近の傾向は新規採用者の加入率の落ち込みが主な要因となっています。

組合員数の減少は内外に発揮すべき影響力の低下をはじめ、財政面において危機的な状況につながっていきます。同時に組合役員の担い手不足の問題も深刻化しています。組合員数の減少と組合役員の担い手不足は密接に関わる問題だと言えます。それぞれ様々な要因が絡み合い、個々の組合によって事情も異なるようですが、 労働組合の存在意義という根幹的な問題で関わっているものと考えています。

このような情勢や問題意識のもとに土曜日、自治労東京都本部の組織集会が催されました。毎年催されている集会ですが、講演や各報告に対する参加者からの質問が例年以上に数多く、より具体的で踏み込んだ内容だったように感じています。午後の分科会では私自身もいくつか質問や意見を述べさせていただきました。いろいろ得るものがあった集会であり、主催者や報告者の皆さん、ありがとうございました。

午前中の全体会は都本部委員長の挨拶の後に組織集会の基調提起があり、自治労弁護団の宮里邦雄さんの講演「今問われている!労働組合の存在意義と役割―労働組合の再生・発展を目ざして―」を伺いました。1時間ほどのお話でしたが、たいへん中味の濃い内容でした。今回のブログ記事では特に印象深かった言葉を中心にまとめさせていただきます。

宮里さんの講演資料の冒頭に「JR東労組の大量集団脱退(2018,組合員約3万人が脱退)の背景に何かあったのか。その意味するものは何か」と掲げられていました。このブログでも昨年4月「JR東労組の組合員が大量脱退」という記事を投稿しています。オープンショップ制の労働組合にとって他人事にはできない憂慮すべき事態だと見ていたため、その後、『暴君』という書籍も購入していました。

その書籍を読み、複雑な経緯や様々な事情が絡み合った事態だったことを垣間見ていました。宮里さんも背景や理由を決め付けた言い方を控えながら脱退者から聞き取った声を紹介されていました。「これで組合費を払わなくて済む」「動員に行かなくて済む」という声が多かったとのことです。組合に加入していなくても労働条件は同じ、そうであれば組合を脱退したほうが得であり、機会をうかがっていたという声が目立っていたようです。

この話の後、2003年9月の連合評価委員会の最終報告に示された「警告」を宮里さんは紹介していました。「労働運動は量的危機とともに質的危機にもさらされている」「労働組合運動が国民の共感を呼ぶ運動になっているのか、という疑問を強く抱かざるを得ない。このままでは労働運動の社会的存在意義はますます希薄化する」などと記されていました。

このような危機感を募らせた17年ほど前の組織率は19.3%、残念ながら回復することはなく、17%を割り込むまで落ち込んでいます。最終報告は「労働組合が思い切った変身を遂げる必要がある」と結ばれていながら大胆に変わることができたのかどうか、宮里さんは現在進行形の課題だろうと語られています。

宮里さんは労使関係の法的な位置付けについて、建前上は労働者と使用者が対等な関係とされているが、実相は非対等な関係になりがちな現状を説明しています。交渉力や情報格差の下で使用者に優越的地位があり、「自由な意思に基づかない合意」になる恐れを指摘しています。使用者の優越的地位を背景とする労働条件の単独かつ一方的決定、権利侵害の可能性(パワハラ、セクハラなど)は様々な裁判事件につながっています。

対等な労使関係を実効あるものとするためには労働者一人ひとり労働組合に結集することが必要であり、そのために憲法28条で団結権や団体行動権が保障されています。だからこそ労働基本権保障の具体的な内容として、刑事や民事での免責、不当労働行為の禁止が労働組合法で明記されていることを宮里さんは強調されていました。

推定組織率のピークは1949年の55.8%で、高度成長期30%台、1980年代20%台、2003年以降10%台で推移しています。組織率低下の原因として、非正規労働者の増加(全労働者の約38%)と進まない組織化、労務管理の個別化や能力主義化のもとで団結しにくい状況、労働者の個人主義的志向の強まりなどを宮里さんはあげています。

今後の課題として、宮里さんは賃金・労働条件の維持・向上、男女差や非正規との格差の是正、安全な職場環境の確保、ハラメント防止などで「労働組合力」をアピールし、労働組合の存在感と組合加入の意義(団結することの意義)をいかに高めるかが重要であると提起されています。「労働者のセーフティネット」としての労働組合の再生・発展を願う宮里さんの思いが伝わる講演内容でした。

特に印象に残った内容をまとめたつもりでしたが、ここまでで充分な長さの記事になりつつあります。午後は第1分会「次代の担い手づくりと単組の組織強化」に参加し、そこでも他の組合の興味深い報告の数々に触れることができています。宮里さんの総論的な提起を受け、個々の組合や職場における組織強化に向けた具体的な取り組みを知り得る機会となっていました。

当初、分科会の内容も取り上げるつもりでしたが、そろそろ今回の記事は一区切り付けさせていただきます。分科会の内容は機会があれば改めて取り上げることも考えています。全体会の最後にはユナイテッド闘争団の方々から特別報告がありました。ユナイテッド航空から日本人客室乗務員が国籍や組合差別によって不当解雇され、解雇撤回と原職復帰を求めて裁判闘争を進めている方々の報告でした。

地裁では原告である闘争団側の敗訴判決となっていますが、高裁ではイーブンに戻しているとのことです。裁判長が闘争団に配慮し、大きな法廷を用意してくださったため、12月23日午後3時30分から東京高裁825法廷で開かれる第2回口頭弁論日に多くの皆さんが傍聴にいらして欲しいという要請もありました。このように労働組合の力を信じ、裁判闘争に立ち向かう動きがあります。

今回の組織集会で取り上げられた事例ではありませんが、最近の動きとして注目した報道がありました。ウーバーイーツの配達員の皆さんが労働組合を結成し、団体交渉を求めているという話題です。労働組合の存在意義が問われがちな中、労働組合の必要性を実証する動きだと言えます。さらに連合が支援していることも伝える機会とし、最後に、そのことを報じた新聞記事を掲げさせていただきます。

ウーバーイーツの配達員らがつくる労働組合「ウーバーイーツユニオン」は5日午前、米ウーバー・テクノロジーズの日本法人(東京・渋谷)を訪れ、団体交渉を求める申し入れ書を手渡した。ウーバー側が一部地域で報酬体系を見直しており「一方的な切り下げ」として説明を求めている。

ウーバーイーツは11月29日、東京地区で報酬の体系を見直した。配達員の収入は、配送距離などに応じた基礎報酬に、配達回数などに応じたボーナス分で構成されている。ウーバー側はこのうち基礎報酬の単価を引き下げた。例えば、1キロメートルあたりの単価は150円から60円になった。

ウーバー側は、天引きする手数料を35%から10%に引き下げたほか、ボーナス分なども上積みしたため、「配達パートナーの皆さまの収入に影響を与えることは想定していない」と説明。料金体系の変更は「日本でビジネスを続けるために、12月から日本での事業体系を見直した」ためだとしている。

ウーバーイーツユニオンに参加する6人は、ウーバー日本法人で、団体交渉を求めたもののオフィスへの立ち入りを断られ、5日午後に会見を開いた。執行委員長の前葉富雄氏は「合理的な説明もない報酬引き下げに強く抗議し、違法な団交拒否を止めるよう求める」とした抗議声明を出した。ユニオンの弁護団は20年1~2月にも労使紛争の解決機関である労働委員会に申し立てる方針を示した。

また、同日の会見には連合の神津里季生会長も出席。ウーバーイーツの配達員について「労働者性をもった働き方で、本来団交拒否というのはありえないと思っている。連合としてもいろんな場で協力していきたい」と話した。

ユニオンはこれまでも補償制度の説明などを求め、団体交渉を申し入れていた。ウーバー側から「労組合法の上では『雇用する労働者』に該当しない」として、拒否されていた。【日本経済新聞2019年12月5日

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2019年12月15日 (日)

不戦を誓う三多摩集会 Part2

前回の記事は「不戦を誓う三多摩集会」でした。書き進めていくと思った以上に長い記事となったため、当初、ここまで盛り込もうと考えていた内容をいくつか見送っていました。そのため、今週末に投稿する新規記事は「Part2」として、前回記事に盛り込めなかった内容を中心に書き進めてみます。

東京新聞社会部の記者である望月衣塑子さんが講演の最後のほうで幣原喜重郎元首相の言葉などを紹介されたことを伝えていました。日本国憲法の平和主義は制定に関わった当時の首相だった幣原さんがGHQに提案したと言われています。

したがって、「占領されていた時代に押し付けられた憲法だ」という見方自体、間違っているという説もあります。望月さんの講演の中で、幣原さんの言葉は「問われる9条加憲」というパワポのタイトル画面の後に紹介されていました。

正気の沙汰とは何か。武装宣言が正気の沙汰か。それこそ狂気の沙汰だという結論は考え抜いた結果出ている。世界はいま一人の狂人を必要としている。自ら買って出て狂人とならない限り世界は軍拡競争の蟻地獄から抜け出すことはできまい。これは素晴らしい狂人である。世界史の扉を開く狂人である。その歴史的使命を日本が果たすのだ。

今回、望月さんが紹介した幣原さんの言葉の全文を改めて掲げさせていただきました。鉄筆文庫編集部が幣原さんの証言をまとめた書籍『日本国憲法 9条に込められた魂』の中に残されている言葉です。この後、前回記事で全文を掲げた沖縄県の翁長前知事の言葉が続いていました。前回の記事をご覧になっていない方々も多いかも知れませんので、もう一度掲げさせていただきます。

アジアの様々な国の人が行来できるような沖縄になれば良い。どこかの国が戦争をしようとしても、自国民がいるから戦争できない、平和の緩衝地帯、そんな場所にできたら

望月さんが安倍首相の「9条加憲」に反対の立場であることは明らかです。その文脈の中で幣原元首相と翁長前知事の言葉が紹介されていました。もう一人、イギリスからの独立運動を指揮したインドのマハトマ・ガンジーの次の言葉も添えられていました。

あなたのすることの殆どは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分自身が変えられないようにするためである。

なかなか哲学的で奥深い名言だったため、あえて前回記事では触れませんでした。今回の記事を通して改めて望月さんが紹介した3人の言葉の全文を掲げさせていただきました。この名言の趣旨を踏まえ、無意味かどうかは関係なく、前回記事で書き残した自分自身の問題意識を披露させていただきます。

中村さんを理不尽な凶弾から防げなかったことを悔やんでいますが、私自身の問題意識として身を守るための一定の抑止力の必要性も認めています。その上で「平和への思い、2017年冬」をはじめ、これまで投稿した多くの記事に様々な思いを託してきています。ここでは繰り返しませんが、きっと望月さんや逝去された中村さんらと基本的な思いは同じなのではないでしょうか。

上記は前回記事の中の一節です。読み返してみると、いろいろ言葉が不足した文章だったような気がしています。この箇所の不充分さも気になっていたため、「Part2」の投稿に至ったとも言えます。結局、以前の記事からの転載のような内容となりますが、私自身の問題意識を改めてお示しさせていただきます。

不戦を誓う集会などに参加し、いつも気になることがありました。まず憲法9条を変えさせない、憲法9条を守ることが平和を守ることであり、不戦の誓いであるという言葉や論調の多さが気になっていました。北朝鮮の動きをはじめ、国際情勢に不安定要素があるけれど、憲法9条を守ることが必要、なぜ、憲法を守ることが平和につながるのか、このような説明の少なさが気になっています。

問題意識を共有化している参加者が圧倒多数を占めるため、そのような回りくどい説明は不要で単刀直入な言葉を訴えることで思いは通じ合えるのだろうと受けとめています。しかし、その会場に足を運ばない、問題意識を共有化していない人たちにも届く言葉として「憲法9条を守る」だけでは不充分だろうと考えています。

平和への思い、自分史 Part2」をはじめ、多くの記事の中で綴っている問題意識ですが、誰もが「戦争は起こしたくない」という思いがある中、平和を維持するために武力による抑止力や均衡がどうあるべきなのか、手法や具体策に対する評価の違いという関係性を認識するようになっています。

つまり安倍首相も決して戦争を肯定的にとらえている訳ではなく、どうしたら戦争を防げるのかという視点や立場から安保法制等を判断しているという見方を持てるようになっています。その上で、安倍首相らの判断が正しいのかどうかという思考に重きを置くようになっています。

特に安倍首相の考え方や判断を支持されている多くの方々を意識するのであれば、安倍首相「批判ありき」の論調は控えるべきものと心がけています。そして、自分自身の「答え」が正しいと確信できるのであれば、その「答え」からかけ離れた考え方や立場の方々にも届くような言葉や伝え方が重要だと認識するようになっています。

このような点を意識し、乗り越える努力を尽くさなければ平和運動の広がりや発展は難しいように感じています。戦争に反対する勢力、戦争を肯定する勢力、単純な2項対立の構図ではとらえず、「いかに戦争を防ぐか」という具体策を提示しながら発信力を高めていくことが求められているはずです。

このような問題意識を数多くの記事を通して綴ってきています。改めて端的な言葉で語れば、守るべきものは日本国憲法の平和主義であり、個別的自衛権しか認めないという「特別さ」です。この「特別さ」を維持することで「平和主義の効用」があり、「広義の国防、安心供与の専守防衛」につながっているものと考えています。

詳しい説明はリンク先の記事をご覧いただければ幸いですが、憲法9条の条文を一字一句変えなければ日本の平和は維持できるという発想ではありません。少しだけ具体的な事例を示してみます。「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」という記事の中で掲げた事例です。

かつて仮想敵国としたソ連、現在のロシアとは友好的な関係を築きつつあります。冷戦が終わったからという見方もありますが、北方領土の問題は無人島である尖閣諸島とは比べられないほどの主権や島民だった皆さんの強い思いがありながらも、対話を土台にした外交関係を築いています。

核兵器の保有で言えばロシア、中国、NPT(核拡散防止条約)未加盟のインドとも対話することができています。対話できる関係、つまり今のところ敵対関係ではないため、核兵器による切迫した脅威を感じるようなことがありません。このような対話をできる関係を築くことがお互いの「安心供与」であり、「広義の国防」につながっていると言えます。

念のため、だから北朝鮮の核兵器保有も容認すべきと訴えている訳ではありません。そのあたりは「再び、北朝鮮情勢から思うこと Part2」の中で詳述していますが、圧力だけ強めていけば戦争を誘発するリスクは高まっていきます。そのようなリスクは最優先で排除すべきものであり、ミサイルを実戦使用させないためには効果的な圧力と対話の模索が欠かせないはずです。

防衛審議官だった柳沢協二さんが、脅威とは「能力」と「意思」の掛け算で決まるものだと話されています。北朝鮮情勢が緊迫化していた最中、日本が考えるべきは「ミサイル発射に備える」ことではなく、「ミサイルを撃たせない」ことであり、米朝の緊張緩和に向けて働きかけることが何よりも重要であると柳沢さんは訴えていました。

残念ながら日本が橋渡し役を果たせませんでしたが、米朝での対話の扉が開かれました。その結果、北朝鮮のミサイル発射に際し、Jアラートを鳴らし続け、あれほど脅威を強調していた安倍首相や日本政府の対応が激変していました。

平和の築き方、それぞれの思い」の中で取り上げた象徴的なエピソードですが、今年8月25日、北朝鮮がミサイルを2発発射したという情報が駆け巡りました。その際、安倍首相は「わが国の安全保障に影響を与える事態でないことは確認している」と語り、 静養先でゴルフを続けていました。

それ以降、北朝鮮の挑発的な行動が目立ち始めています。11月28日の発射の際、安倍首相は「国際社会に対する深刻な挑戦だ」と批判のトーンを以前のような強さに戻していました。確かに北朝鮮の行動は決して容認できるものではありません。しかし、直接標的にされている訳ではないため、脅威の度合いが極端に高まったのかどうかで言えば疑問です。

全面戦争に至った場合、大きな痛手を負うのは北朝鮮側であり、そのような意味で「意思」を抑止させている関係性が存在しているはずです。現実的なリスクは北朝鮮を追い込みすぎ、自暴自棄になった北朝鮮が日本を狙って核ミサイルを発射するような事態です。東京上空て核ミサイルが爆発した場合、死傷者は400万人に達すると見られています。

望月さんが講演で伝えたとおり「イージス・アショア2基は6000億円、迎撃ミサイルの弾は1発33億円」ですが、迎撃能力に100%の保障はありません。このような事実関係を踏まえ、「必要なのは対話ではない、圧力を最大限強めることだ」と繰り返し、安全保障を強い言葉で語ることが望ましいのかどうか、強い言葉によって「安心供与」とは真逆な標的になるリスクを高めていないかどうか考えていかなければなりません。

ベシャワール会の中村哲さんは危険と隣り合わせのアフガニスタンで、現地の人々との信頼関係が何よりの安全対策だとして医療や灌漑事業などの人道支援に力を尽くしてきました。アフガニスタンへの自衛隊派遣が論議された際、参考人として国会に招致された中村さんは「自衛隊の派遣は有害無益で、百害あって一利なしだ」と訴えられていました。

安全な場所からではなく、言葉よりも実際の行動で平和の築き方を考えられた中村さんの訴えだからこそ、より真摯に私たちは受けとめていかなければならないものと思っています。本来は集団的自衛権を認めず、専守防衛に徹する憲法9条の「特別さ」の効用を積極的に評価していくのかどうかが問われているのではないでしょうか。

「Part2」として書き進めてきましたが、まだまだ不充分な気がしています。このブログは単発で終わるものではありませんので、言葉や説明が不足した点などは次回以降の新規記事で補足できればと考えています。異論や反論を持たれる方も多いのだろうと思いますが、ぜひ、これからもご注目いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

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2019年12月 7日 (土)

不戦を誓う三多摩集会

アフガニスタンで医療や灌漑事業などの人道支援に取り組むNGOペシャワール会の中村哲さんが現地で銃撃され、亡くなられました。医師という役割にとどめず、用水路建設のためには自ら重機を動かし、文字通り命を賭した活動を続けてきた中村さんの訃報はたいへん残念なことです。

10年前、ペシャワール会事務局長の福元満治さんの講演を伺う機会がありました。その中で中村さんが規格外の行動力でアフガニスタンの復興に力を尽くしている話を知りました。講演会後に投稿した記事「アフガンの大地から」で「若者がタリバン兵にならなくても豊かに暮らしていけるためにも、食糧自給率を高める必要があり、アフガンを緑の大地に再生することが求められている」という話を伝えています。

日本には国際社会の中で「特別さ」を誇るべき憲法9条があり、日本がアフガニスタンに対し、武力による脅威を一度も与えていない信頼感があるため、アフガニスタンの人たちが日本人を高く評価していると福元さんは話されていました。さらに中村さんは次のような言葉を残していたようです。

アフガニスタンにいると「軍事力があれば我が身を守れる」というのが迷信だと分かる。敵を作らず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身に感じる。単に日本人だから命拾いしたことが何度もあった。憲法9条は日本に暮らす人々が思っている以上に、リアルで大きな力で、僕たちを守ってくれているんです。

このような中村さんの言葉の重みを私たちはしっかり受けとめ、より望ましい平和のあり方や築き方を考えていかなければなりません。中村さんの訃報が知れ渡った翌日の木曜夜、不戦を誓う三多摩集会が催されていました。三多摩平和運動センターが主催し、太平洋戦争に突入した12月8日前後に毎年開いている集会であり、今年で39回目を迎えています。

組合員の皆さんには組合ニュースを通して参加を呼びかけましたが、いつもより多い参加人数を得られていました。東京新聞の記者である望月衣塑子さんの講演「破壊される民主主義~安倍政権とメディア」が注目されたからでした。当日の会場は満杯で300人ほど集まりました。催しをお知らせすることで組合員の皆さんが個々の判断で足を運び、このように盛況となる取り組みが望ましいことです。

私自身、望月さんの著書『新聞記者』を読み、機会があれば松坂桃李主演の同名の映画も見たいものと思っていました。そのため、毎年参加している集会ですが、例年とは違った楽しみが加わった組合役員としての予定だったと言えます。今年の不戦を誓う三多摩集会は主催者挨拶等があった以外、質疑応答を含め、2時間に及ぶ望月さんの講演が中心でした。

初めて望月さんを実際に拝見する機会を得られた訳ですが、思い描いていた雰囲気と大きく違っていました。語っている内容そのものは硬くても、語り口が軽快で頻繁に笑いを誘いながらお話いただきました。パワポのリモコンを片手にリズミカルなステップを踏んだステージに接した印象を得ています。暗いイメージを抱いていた訳ではありませんが、予想以上に明るく、好感度を高める意味でパワフルな方でした。

望月さんは東京新聞の社会部の記者です。森友学園への国有地売却や加計学園の獣医学部新設の問題に関心を高め、様々な疑問を安倍首相に直接聞きたいと考えたそうです。しかし、安倍首相の官邸での会見数は年に3回か4回ほどしかなく、番記者のぶら下がり質問も限られていました。そのため、定期的に数多く開かれる菅官房長官の会見に参加させてもらうようになったそうです。

そして、望月さんを有名にしたのは菅官房長官との会見での模様が伝えられるようになってからです。それまで予定調和された会見でしたが、望月さんは納得するまで質問を繰り返しました。発言している最中に「質問は簡潔に~!」という制止が入るようになり、2017年夏頃から質問制限や妨害が目立ち始めたそうです。

昨年末には官邸報道室長名の文書が東京新聞と内閣記者会に届けられていました。事実に基づかない質問を謹むように求めた文書でしたが、望月さんを標的にしながら他の記者に対しても精神的な圧力を強め、質問を委縮させる意図を感じさせる行為でした。望月さんは政府の言う「事実」を「事実」としたいのか、そのように憤られ、会見は政府のためでなく、メディアのためでなく、国民の知る権利のためにあることを強調されています。

「望月の質問だけは制限したい」と強大な権力を掌握している官邸から疎んじられながらも望月さんは特に左遷されるようなことがなく、現職の社会部記者として活動を続けられています。東京新聞の基本的な立ち位置も大きいようですが、「望月さんを外さないで」という激励の電話やメールが数多く届いていたおかげだったそうです。

最近、桜を見る会に絡む疑問点について、いろいろなメディアの記者が率直な質問を菅長官に浴びせるようになっています。望月さんが会見に顔を出すようになった頃と比べると様変わりしている兆しが見え始めているそうです。それほど公文書廃棄時期の説明などに不明瞭さが付きまとう問題だからなのかも知れませんが、2年ほど前に比べると菅長官を苛立たせる質問が複数の記者から寄せられるようになっているとのことです。

政権にとって不都合な「事実」が隠されてしまっては政権に対する正当な評価を下せません。だからこそメディアには官邸から発表される「事実」を伝達するだけの役割にとどめず、より正確な「事実」関係を掘り下げていく努力が求められています。そのためにも官邸との間の緊張感をいとわずに奮闘する記者たちを見かけた際、自分自身が助けられたように励ましの声を届けて欲しいと望月さんは語っています。

不戦を誓う集会での講演でしたので、後半は「安倍政権下で進む米国製の兵器購入と武器輸出」というパワポの画面が映し出されていきました。アメリカとのTAG物品協定後の会見でトランプ大統領は「貿易格差は嫌だと言ったら日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と話していました。その結果、F35戦闘機147機、1兆5000億円の購入につながっています。

2020年度の防衛概算要求は過去最高の5兆3200億円、前年度比700億円増となっています。イージス・アショア2基は6000億円、 オスプレイ17機は3600億円です。迎撃ミサイルの弾は1発33億円で、今のところ迎撃率は33%だそうです。その一方、1台しか備えられていなかった災害対応車レッドサラマンダーは1台1億円、ようやく来年度10台増やすことを予算化したという話を望月さんは例示しています。優先順位の問題として、どうなのかという問いかけです。

望月さんから「オフショア・コントロール」という言葉が紹介されました。中国との開戦を抑止するためのアメリカの軍事戦略の考え方で、石垣島や宮古島など南西諸島に陸自部隊を配備増強し、ミサイル基地として強化する計画につながっています。中国との全面戦争を回避するため、局地戦でとどめようとする意図を持った計画だそうです。

つまり「アメリカのため」に南西諸島の住民の皆さんが犠牲になることも想定した計画だと見ざるを得ないとのことです。このような望月さんの見方や説明に異論を持たれる方も多いはずです。他国と対峙する最前線に備えを固めることを当然視される方も多いのかも知れません。それこそ平和の築き方について、どのように考えることが望ましいのかという根本的な問いかけだろうと受けとめています。

中村さんを理不尽な凶弾から防げなかったことを悔やんでいますが、私自身の問題意識として身を守るための一定の抑止力の必要性も認めています。その上で「平和への思い、2017年冬」をはじめ、これまで投稿した多くの記事に様々な思いを託してきています。ここでは繰り返しませんが、きっと望月さんや逝去された中村さんらと基本的な思いは同じなのではないでしょうか。

望月さんは講演の最後のほうで幣原喜重郎元首相の「軍拡競争の蟻地獄から抜け出すため」にも憲法9条が貴重であるという言葉などを紹介していました。できれば中村さんの言葉も紹介したかったそうですが、準備が間に合わなかったとのことでした。最後に、その時に紹介された沖縄県の翁長前知事の言葉を掲げさせていただきます。

アジアの様々な国の人が行来できるような沖縄になれば良い。どこかの国が戦争をしようとしても、自国民がいるから戦争できない、平和の緩衝地帯、そんな場所にできたら

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