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2019年8月 3日 (土)

2019年夏の市長選

少し前の記事「2019年夏の参院選」の書き出しは「7月に入りましたが、涼しい日が続いています」というものでした。7月末に梅雨が明け、一転して真夏日や猛暑日が続いています。体調管理に注意を要する気候の変化だと言えます。「夏」の実感が最初の頃と異なりますが、このブログの記事タイトルには連続して「2019年夏」を付けています。

前回記事「参院選が終えて、2019年夏」のコメント欄にイチ市民さんから「次の大きな選挙は市長選ですね」という指摘があり、私どもの組合の対応方針についてのお尋ねがありました。日曜の夜、私からは「先週火曜日に職場委員会を開き、市長選に臨む方針を確認しています。次回の記事では市長選について取り上げる予定でした。その記事を通し、私自身の考え方などを示させていただくつもりです」と予告させていただきました。

正確なデータを把握している訳ではありませんが、このブログの閲覧者は私どもの市役所の職員よりも外部の方のほうが多いものと思っています。そのため、なるべくローカルな話題は控える意識が働き、広く知られた時事や政治の話が多くなっています。イチ市民さんや私どもの組合にとって大きな選挙ですが、閲覧されている大半の皆さんにとってローカルな話題の一つに過ぎません。

それでも4年前には「8月9日に市長選と市議補選」、8年前には「過ぎ去る夏に市長選」、12年前には「市長選に向けた組合の対応」という記事を投稿してきました。投稿のタイミングが少し遅れた際に「組合の委員長としては、あくまでも国政が重点項目なのであって、地元の市長選挙などは関係ないということなのか」という辛口な指摘を受けた時もありました。

そもそも私たち市職員にとって最も身近で大事な首長選挙であり、このブログで取り上げないという選択肢はあり得ません。今回、直近の職場委員会で私どもの組合員の皆さんに市長選に臨む方針をお示しし、確認を得られたところですので当ブログの新規記事として取り上げています。

私どもの自治体の市長選挙は8月25日に告示され、9月1日に投開票されます。選挙日程から絞り込めば、私の所属している自治体がどこなのか少し調べればお分かりになるはずです。それでも一般的なインターネット上のルールにそって、今回もブログ上では実名を出さないように努めていきますのでご理解ください。

今回の市長選は前都議会議員が無所属で立候補を予定し、現職の市長に挑む構図となっています。選挙管理委員会の事前の説明会には、もう一人、他の陣営の関係者が出席されていたようですが、現時点までに正式な態度表明はされていません。

現市長も無所属ですが、自民党から推薦を受ける予定です。前都議は民主党(民進党)の議員だったため、以前から連合三多摩と緊密な支持協力関係のあった方です。そのため、前都議は市長選にあたり、連合三多摩に推薦を要請していました。

ただ連合三多摩は現市長を前回までの選挙戦で推薦し、メーデーや政策要請の取り組みなどで現市長と信頼関係を築いてきました。したがって、連合三多摩は現職が立候補するのであれば、これまでの関係を踏まえなければならないという立場であり、今回の市長選にあたっても引き続き現市長と政策協定を交わしています。

私どもの組合も前都議とは日常的な連携を深めてきていました。小学校給食単独校方式の見直しなど行革課題に対し、前都議の公約のほうが組合方針に近いため、前都議を推薦すべきではないかという声も耳にしています。しかしながら私どもの組合は以前から市長選において直接的な推薦判断を見合わせてきています。

その一方で、私たち職員にとって市長選はたいへん重要であり、前回までと同じように公開質問書に取り組むことを決めています。下記内容の質問書を予定候補者の方々にお渡し、回答を得られた場合、原文のまま組合員の皆さんに公開する予定です。行革課題や非常勤職員の待遇改善に向けた考え方などをお示しいただくことで、組合員一人ひとりの投票行動の判断材料につなげられればと考えています。

  1. 地方分権の進め方や財源問題について考え方をお聞かせください。
  2. 厳しい財政状況の中、私たちも行政改革そのものを否定する立場ではなく、できる限り協力する姿勢で対応しています。一方で、公的責任や市民サービスの低下につながるようなアウトソーシングや職員数削減には懸念を示しています。行政改革の手法や考え方についてお聞かせください。
  3. 全国的には様々な自然災害に見舞われる中、よりいっそう災害に強いまちづくりに向けた考え方をお聞かせください。さらに避難所となる学校職員をはじめ、ひとたび大きな災害が発生した際、市職員は24時間態勢で対応にあたらなければなりません。そのような点も踏まえ、市職員確保に向けたお考えをお聞かせください。
  4. 市町村ごとに細分化して定めている地域手当の不合理さを私たちは問題視しています。都職員は20%、近隣市の大半は15%以上という中、私どもの市は12%であるため、人材確保や人材流出面での影響も見受けられています。このような現況についてのお考えをお聞かせください。
  5. 働き方改革の柱である長時間労働の是正が喫緊の課題です。課題解決に向けた手法や考え方をお聞かせください。
  6. 働き方改革の柱として同一労働同一賃金の実現も大きな課題とされ、公務においては来年4月から会計年度任用職員制度が導入されます。このような流れの中、私どもの市に働く非常勤職員の待遇改善に向けたお考えをお聞かせください。
  7. 行政や職場など様々な分野で男女平等参画の推進が欠かせません。今後、いっそう男女平等参画を進めるための手法や考え方をお聞かせください。
  8. 金額中心の競争ではなく、公正労働や環境基準の遵守などを義務付け、質の高い公共サービスの提供を目的とし、公契約条例を制定する自治体が増えています。このような公契約条例に対するお考えをお聞かせください。
  9. 横田基地にオスプレイが正式配備されていますが、市民の安全・安心に向け、横田基地の問題について考え方をお聞かせください。
  10. 市民サービスの維持向上のためにも、安定した労働条件の確保が欠かせません。その上で、労働条件の変更に際しては労使対等な立場で、お互い誠意を尽くした交渉が求められています。ぜひ、労使交渉に臨む基本姿勢についてお聞かせください。

私どもの組合も連合三多摩の一員であり、連合三多摩の判断をそのまま受け入れる選択肢も充分あり得ます。とは言え、労使交渉の当事者間となる関係性を踏まえ、単組独自の推薦判断しないという立場を連合三多摩には理解を求めてきています。必ずしも個別の労使課題に対する方向性が一致している訳ではありませんので、そのような距離感が適切だろうと判断していました。

もともと自治労に所属する組合の力量や政治活動に対する方針などは千差万別だと言えます。したがって、あくまでも私どもの組合は、このように考えながら対応してきたという一つのサンプルに過ぎません。以前「阿久根市のその後」という記事などを通し、労働組合を敵視したブログで有名な阿久根市長 のことを数多く取り上げていました。

この時の阿久根市のような事態に至った場合は、また違った対応を余儀なくされていくのかも知れません。幸いにも私どもの市においては、平行線をたどりがちな課題に際しても、真摯な交渉を重ねながら解決の糸口を探る労使関係を維持できています。万が一、このような点に齟齬があった場合は連合三多摩の推薦判断にも異論を唱える立場となり、場合によって対立候補を全力で応援していくことも考えられます。

実は今年6月に「会計年度任用職員制度、労使協議の現況」という記事を投稿していましたが、この課題が深刻な局面を迎えています。詳細は改めて当ブログの新規記事で取り上げることを考えていますが、労使の信頼関係にも関わるような齟齬が見受けられていました。それこそ市長選に臨む方針を改めて見直す必要があるのではないかという意見まで上がっていました。

副市長が同席する団体交渉を開いた際、市側の置かれた立場や考え方の説明を受け、労使交渉の積み重ねを決して軽視していない点については理解できました。そのため、執行委員会で確認した方針案をそのまま職場委員会に諮る運びとなっていました。しかし、会計年度任用職員制度の条例化に向け、労使の考え方に大きな隔たりのある局面が変わった訳ではありませんでした。

質問書は市長に直接お渡ししました。その際、私から質問書の6番目に掲げた会計年度任用職員制度の課題について補足しています。労使交渉が難航している論点について説明し、今回の法改正が待遇改善の好機となることを期待していた嘱託職員の皆さんの思いを訴えさせていただきました。このような切実な思いについて、しっかり市長に伝えられたものと受けとめています。

引き続き労使交渉を重ねながら納得できる決着点を組合は全力でめざしています。市長から感じ取った手応えが今後の労使交渉の行方を大きく動かす転機になることを強く期待しているところです。いずれにしても、このような質問書の取り組みも組合員のための活動の一つです。また、労働組合がその役割を発揮し、職員一人ひとりが活き活きと働き続けられる職場環境を整えることは良質な住民サービスの土台につながっていくものと考えています。

自治体の首長選挙においても国政における与野党の対立構図を持ち込み、来たるべき衆院選挙の前哨戦に位置付けるべきという考え方もあろうかと思います。今後、この市長選がどのような構図になるのかどうか分かりません。ただ私どもの組合の対応方針は今回の記事のとおりであり、すでに前都議と市長に質問書をお渡ししています。そして、どのような選挙結果が示されたとしても、私たち職員は市民の皆さんから選ばれた新市長を全力で支えていくことになります。

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コメント

質問書をさらっと読んでみました。
これは、新聞社の立候補者への質問アンケートかな?が第一印象です。さらに全国の自治体が活用できる内容で、もしかして、自治労がひな型を作ってるんじゃないかと疑ってしまいます。総じて新聞の社説みたいに、読んでも内容が頭に残らず、内容が一般論すぎます。(4)のように自治体独自の課題が5項目ほどあれば、全くちがった印象だったと思います。すこしきつい感想ですが、ご容赦ください。

現市長さんが当選すれば4期16年ですね。権力は腐敗するを前提とすれば、長すぎると思います。公約は1期目で土台をつくり、2期目で政策を実行すれば8年で十分です。非オーナー企業の社長は、普通6年で長くて8年です。それも毎年度ごとの決算で評価、判断を下されます。16年となれば、いくら企業とは違うと力説しても、トップ意識の欠如、知的怠慢と言わざるを得ません。組合として、長期政権の弊害も含めて判断することを期待しています。


投稿: yamamoto | 2019年8月 3日 (土) 13時49分

yamamotoさん、コメントありがとうございました。

ご指摘のとおり総論的な考え方を引き出す質問が中心になっています。幅広い立場の予定候補者の方々に依頼する位置付けのものであり、あえて総論的な内容を中心に掲げている傾向もあります。

その中で重視している質問がいくつかあり、毎回、最後に質問している労使交渉に臨む基本姿勢に関しては最も注視している項目だと言えます。

投稿: OTSU | 2019年8月 3日 (土) 22時54分

興味深い記事ですね。記事中の公開質問ですが、組合側
から見て、どのような回答が理想になるのですか。
できれば模範解答、あるいは理想回答を教えていただけ
ないでしょうか。それと比較して候補者の回答を見れば
どれほど乖離してるかよく理解できます。
可能であればよろしくお願いいたします。

投稿: nagi | 2019年8月 5日 (月) 10時04分

論外なのは多選の問題にはまったく触れてないことだね
首長の多選と議会のオール与党は現存する大政翼賛会そのものでしょ?執行部提案がほぼ100%通って議案の否決どころか修正すら行われないのだから
これに組みしておきながら民主主義を口にする資格があるのかと
国会より酷いじゃないか

投稿: 呆れ顔 | 2019年8月 6日 (火) 12時54分

nagiさん、呆れ顔さん、コメントありがとうございました。

現市長との関係は今回記事に綴っているとおりです。多選等の問題も含め、市民の皆さんがどのように評価していくのかどうかだろうと受けとめています。

質問書自体、要望書や推薦を前提とした政策確認書ではないため、yamamotoさんにお答えしたような位置付けとなっています。そのような主旨のものですので、nagiさんからのお尋ねにお答えすることの難しさがあります。

その上で端的にお答えすれば、すでに質問書の中に書き込んでいる組合の問題意識に沿って次のようなものとなります。抽象的で端的すぎて申し訳ありませんがご理解ご容赦ください。

1.地方分権は積極的に進め、自主的な財源の確保に努めていきます。
2.公的責任や市民サービスの低下につながるようなアウトソーシングや職員数削減は控えます。
3.避難所となる学校職員をはじめ、大規模災害を想定した市職員の確保にも留意します。
4.市町村ごとに細分化して定めている地域手当の不合理さを認め、他市の例にならって独自な引き上げを検討します。
5.長時間労働の是正に向け、必要な人員配置や仕事の進め方を見直していきます。
6.公務における同一労働同一賃金の実現を重視しながら会計年度任用職員制度導入を非常勤職員の大幅な待遇改善の機会とします。
7.行政や職場など様々な分野で男女平等参画をよりいっそう推進します。
8.公契約条例の制定に向けて検討していきます。
9.市街地に真ん中に位置している横田基地自体を問題視した上、オスプレイの正式配備の見直しを求めます。
10.労働条件の変更に際しては労使対等な立場で、お互い誠意を尽くした交渉を進めていきます。

投稿: OTSU | 2019年8月10日 (土) 07時12分

結局、自公に相乗りすることを言い繕っているだけ
利害関係がある自民党系の現職を面と向かって批判するのはめんどくさいしおっかない
素直にそう認めなさいな

投稿: 呆れ顔 | 2019年8月11日 (日) 11時20分

呆れ顔さん、コメントありがとうございました。

今回記事の最後に記したとおり自治体の首長選挙においても国政における与野党の対立構図を持ち込み、来たるべき衆院選挙の前哨戦に位置付けるべきという考え方もあろうかと思います。しかし、私どもの組合の判断は今回の記事のとおりです。

いずれにしても呆れ顔さんが思い描いていることを他人がとやかく言うことは慎まなければなりません。一方で、ご自身の「答え」に照らした思い込みにより、他人を侮蔑するような言葉も控えるべき常識だと考えています。

ぜひ、これからも投稿される際はハンドルネームを固定され、異なる考え方を持つ相手に「なるほど」と思わせる言葉を駆使していただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2019年8月11日 (日) 22時08分

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