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2019年7月20日 (土)

2019年夏の参院選 Part2

前回の記事「2019年夏の参院選」の最後に「もっともっと触れたい問題があります。多面的な情報提供の場の一つとして、紹介したい話題も数多くあります。それでも参院選真っ只中、私自身の言葉で選挙戦の主要な論点として望むことを書き進めてみました」と記していました。第25回参院選挙は明日日曜が投票日です。

期日前投票が普及しているため、すでに投票された方々が多いものと思います。加えて、週末更新の当ブログの閲覧者は月曜以降に訪れてくださる皆さんが大半です。そのため、少しタイミングの外れた記事内容となるのかも知れませんが、投票日前日、前回記事のタイトルに「Part2」を付けて書き進めてみます。

各メディアの世論調査では自民党の優勢が報道されています。事前の世論調査の結果が伝わった後、劇的に情勢が変わる場合もあります。バンドワゴン効果とアンダードッグ効果という言葉を耳にします。バンドワゴンとは行列の先頭の楽隊車のことであり、先行者に同調する傾向が強まる効果を指します。勝ち馬に乗るという言葉と同じ意味合いとなります。

アンダードッグとは負け犬のことであり、劣勢だった側を応援する傾向が出てくる効果を指します。判官びいきという意味合いと同じです。「自分が投票しなくても勝てそう」「あまり勝たせすぎてもいけない」「死票は投じたくない」など、事前の選挙予想は有権者の判断へ様々な影響を与えます。また、候補者やその陣営に対しても、楽勝予想はラストスパートの緩みとなり、苦戦予想は必死の巻き返しにつながる場合があります。

このように選挙を間近に控えた予想数字は両極端なアナウンス効果を生み出すため、投票箱のフタが閉じられるまで勝負の行方は分からないとも言われてきました。しかしながら最近は期日前投票の普及もあり、ほぼ事前の予想数字に近い選挙結果に至る傾向が強まっています。ますます今さら自分が一票投じても大きな変化は望めないと感じてしまい、投票所から足が遠のきがちとなっているかも知れません。

若者よ、選挙に行くな』という動画が注目を集めています。挑発“逆”メッセージで若者の投票を促すことを目的にお笑い芸人のたかまつななさんが作成していました。リンク先で1分28秒の動画を視聴できますが、下記の報道のような願いのもとに作られたようです。

若者よ、選挙に行くな-。高齢者がそう繰り返す動画投稿サイトの動画が話題になっている。「年金が破綻する? 関係ないわ。だって私はもらえてるもん」「教育予算が減っている? その分、医療費に回してもらえるからありがたいよ」。挑発的な“逆メッセージ”で、若者の投票を促す。動画を作成したのは、お笑い芸人のたかまつななさん(26)。「『選挙へ行こう』というきれいごとでは若者に届かない。

行動につなげるには、あえて感情的に突き動かすものが必要だと考えた」と狙いを話す。逆説的に投票を呼び掛ける手法は米国発だ。動画は12日に公開してから、再生回数300万回を超えた。「真理を突かれて、怒りや悔しさがあったと思う」  たかまつさんは2016年、若者が政治や選挙を楽しく学べるようにと株式会社「笑下村塾」を創業。芸人が講師になり、政治や社会問題を子どもたちに伝える事業をしている。

「選挙に行く人が多くなるほど、政治は国民みんなにとって有利なことを考えないといけなくなる。若者が力を持ったら、もっと政治の語り口が変わるはずだ」と強調する。動画を見た豊見城市に住む女性(27)は「若者は選挙に行けという風潮の中、真逆の動画に驚いた。内容はともかく、若者の投票率が上がってほしい」と期待した。【沖縄タイムス2019年7月18日

3年前に18歳まで選挙権が引き下げられましたが、若年層の投票率の低さが課題とされています。そのため、上記のような動画が話題となり、少しでも参院選に対する関心が高まれば意義深いことだろうと思っています。参院選の投票率は低迷が続き、過去に50%を割った時もありました。「投票率が低いと、選挙結果は民意を正確に反映したとはいえず、国民から強い信任を受けていない国会議員が国の針路を決めることになる」と言われています。

一方で「若い人が選挙に行くほど政治は変わらなくなる」という論評も目にしています。ストラテジストと称する永江一石さんのサイトで目にした言葉ですが、決して若い人を見下している訳ではないようです。「高齢者は新聞・テレビだから反政府による、若者はネットが情報源だから政府よりになる」とし、ネットリテラシーが高い人は「現実が分かるから甘いことばかり信じない」と分析されています。

自民党もかなりのアレだが、かといって野党が政権取ったらどうなるかを考えると恐ろしい。二者択一ならリスクの少ない方を取るということで消極的に支持してるだけだと思います。要するに野党があまりにダメなので与党が助かってる構図だと思う次第です。

紹介した永江さんの記事は上記の言葉で結ばれています。実は組合員の皆さんと率直な意見を交わした際、同じような見方が示されてしまう場合も少なくありません。一定の政治方針を掲げる労働組合にとって、なかなか悩ましい話です。ただ世代間で温度差のある現状の傾向を受けとめながらも、ネットが情報源だから「現実が分かる」という永江さんの分析は疑問です。

以前「SNSが普及した結果…」という記事を投稿し、「SNSが普及した結果、人は自分と同じ意見や感性にしかアクセスしなくなった。異なる立場の人々の意見と接する機会がなくなり、人々は極端な意見をもつようになっている」という見方を紹介していました。つまり新聞やテレビ、ネットに関わらず、幅広い情報や主張に触れていくことが重要であり、同時にファクトを見極めるリテラシーを高めていくことが求められているものと考えています。

私自身、不充分な点も多いのかも知れませんが、そのような心構えを常に意識しているつもりです。その結果として、野党の力不足が気になる一方、前回記事で示したような論点のもと政権与党の問題性が目に付く立場だと言えます。いずれにしても与党野党問わず、相手を揶揄し、中傷するような言動は控え、政策や理念の方向性の違いは違いとして際立たせた上、前向きな論争が前面に出た選挙戦となることを願っていました。

しかしながら事実関係の一つとして『石破茂が激怒 自民党本部が全議員に“ネトウヨ本”を配布』というサイトを紹介しますが、本の内容も驚きですが、その本を配った自民党の振る舞いは非常に残念なことでした。他にも安倍首相は選挙演説の中で「民主党の枝野さん」とわざと言い間違えて笑いを取っていました。嘲笑を誘う言葉であり、相手を見下した選挙演説だったようです。

自民党や安倍首相を支持している皆さんからすれば、枝葉の話であり、批判のための批判のように聞こえてしまうのかも知れません。ただ考え方や立場が異なる相手に対しても、敬意を払えるかどうかなど基本的な姿勢や資質が問われかねない事例だったように見ています。最後に、より強い問題意識として「老後に2000万円必要」という記事の中に書き残した一文を改めて掲げさせていただきます。

第2次以降の安倍政権では個々の問題点が強い批判にさらされながらも、内閣や自民党の支持率自体は急降下することがありません。支持する理由としては「他よりもマシだから」が常に上位を占めています。金融審議会の報告書をなかったものにしている現政権の対応は強く批判すべきものです。しかしながら参院選挙で自民党が勝利すれば、このような問題も容認されたという不本意な構図になってしまうのではないでしょうか。

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コメント

>各メディアの世論調査では自民党の優勢が報道されています。
過半数をちょっとはみ出した程度の円グラフを見て「え、こんだけにしかならないの?」と危機感を覚えるとともに、自民党へのアンダードッグ効果を期待したいKEIです。

年金制度といえば、3年前の【年金改革関連法案を巡る論点】にコメントされた、あっしまった!さんの怒りには非常に共感を覚えます。
http://otsu.cocolog-nifty.com/tameiki/2016/11/post-8946.html
…しかし、旧民主党(立憲民主党・国民民主党)のありようには「まるで成長していない…」と思わざるを得ないですねー。

>しかしながら最近は期日前投票の普及もあり、ほぼ事前の予想数字に近い選挙結果に至る傾向が強まっています。ますます今さら自分が一票投じても大きな変化は望めないと感じてしまい、投票所から足が遠のきがちとなっているかも知れません。
開票作業(下手したら投票所を閉める作業も)も始まっていないうちから当確が出るのは流石にいかがなものかと思いますね。
そんなマスコミに鉄槌を。KEIは「出口調査は民主党に清き一票を」キャンペーンを応援しています。

…なんてことをいつも言っているのですが、今回もっと直接的なことを言う党が出てきましたね(驚)

P,S.
>皆様(自分含む)
いよいよ明日の今頃には結果が出ていることと思いますが、どんな結果が出ても、有権者を愚民扱いするのだけは見苦しいのでご遠慮いただければと思います。

投稿: KEI | 2019年7月20日 (土) 22時14分

KEIさん、コメントありがとうございました。

年金の問題も含め、攻める野党側の問題点を私も感じています。そのような至らなさや政権与党を攻める理由など、有権者一人ひとりが幅広い情報に触れながら個々人の思いを一票に託して欲しいものと願っています。

福沢諭吉の言葉に「政治とは悪さ加減の選択だ」というものがあります。100%信任できない候補者や政党だったとしても、そのような観点からの判断も必要だろうと思っています。特に選択肢が狭まられていた場合、棄権や白票を投じることよりも意義ある判断なのではないでしょうか。

投稿: OTSU | 2019年7月21日 (日) 06時46分

参議院選挙終わりましたね。結果を見ると自民党が惨敗
しましたね。この投票率でこの議席数はとても勝ったと
言えるものではない。維新やれいわ新撰組やN国党に票が
流れたのか。これで投票率が上がっていたら、壊滅的に
負けた可能性もあったでしょう。まあそこまで野党側に
求心力がなかったのも事実です。
選挙特番はどれもくだらない番組でしたが、唯一おもしろ
いシーンは、橋下さんが辻元議員に関西生コンのことを
つっこんだとこですかね。なんら怪しいとこがなければ
堂々と答えればいいのに、逃げたのは残念ですね。

投稿: nagi | 2019年7月22日 (月) 09時01分

>N国党
「マスコミに鉄槌を」的な期待を持って選挙区は投票してみようかなー、と思ったもののググって取りやめたKEIです。
しかし1議席獲ったのは驚きました。なんだかんだで期待されてるって事ですかね。

>れいわ新撰組
山本太郎の落選には思わずガッツポーズしました。優先枠2はどう考えても狙いすぎで、明らかな敵失と言えるものですが、勝ちは勝ちです。
不逮捕特権が消えたことで面白いことにならないか期待。

>結果を見ると自民党が惨敗しましたね。
心情的には同意です。何の役にも立たない既存野党には消えてもらって、ちゃんと自民党の背後をうかがえるような力のある政党に台頭してもらいたい、ってのが僕の希望なので、もっと圧勝してもらわないと困るんですよねー。
ただ、「過半数確保」という勝利条件を満たしているし、「勝ちすぎは良くない」ってのは兵法の常なので、自民党的には理想形なのかもしれません。

>この投票率でこの議席数はとても勝ったと言えるものではない。
>これで投票率が上がっていたら、壊滅的に負けた可能性もあったでしょう。
投票率は関係ないと思いますけどね。投票しないって事は、選挙という主権の行使について「どうでもいい」もしくは「他の人に任せる」と考えているということで、それはどこか特定の政党を支持することには繋がらないと思うからです。

P,S.
<今日のトリビア>
前々回の参院選も、今回と同じ7月21日(日)だった。
…内容がほとんど合ってる色違いの入場券を見てすげえビックリしたゾ…

投稿: KEI | 2019年7月23日 (火) 22時04分

立憲+国民で野党は健闘しました。ただ、衆院選に向けて経済政策をしっかりしないと得票が伸びないと思っています。メディアは短絡的に、アベノミクスを株価で評価しますが、実は雇用の確保、失業率の改善、賃金アップも目指したマクロ政策です。まるで左派政党の政策です。マル経学者の松尾先生、桂木先生が、アベノミクスの金融緩和を評価してるのもそうした視点です。

英労働党コービンの経済政策を参考に、野党連合(立・国)は、実現可能な施策をかかげ、若い世代に訴えてほしいと思います。

投稿: yamamoto | 2019年7月24日 (水) 09時31分

国民は一にも、二にも、経済的な政策を求めているのは
常にはっきりしています。だから安倍政権は平気で左派
的な政策も取り入れてますね。まあメルケル首相の手法
をばくったようにも見えます。

れいわ新撰組のような左派ポピュリズムによって欧州では
実際に政権交代した例もあるので、今後要注目であるのは
間違いないでしょう。
自民も野党もコア支持層はあまり変化しないでしょう。
無党派層をどれほど掘り起こせるかが、勝敗の分かれ目
になると思うのですが、その時の経済状況で全く違った
結果になるでしょう。

投稿: nagi | 2019年7月24日 (水) 14時00分

たかまつさんの動画には、世代間対立を煽る という批判もあるようです(本人は意図してないと思いますが)
やっとの思いで年金掛金を払っている若い人とやっとの思いで年金で生活している高齢者を対立させて、こっそりほくそ笑んでいる人がいるような気がします。大英帝国では、広大な植民地を少数のイギリス人で統治するため、植民地の住民を宗教や民族で分け互いに対立させて、イギリス人に矛先が向かないようにしたそうです。


ブログ主以外の方の意見にここでコメントするのは良くないかもしれませんが、

>「高齢者は新聞・テレビだから反政府による

朝日新聞は政府に批判的ですが産経新聞は政府(安倍晋三氏)を強く支持しています。また朝日新聞より発行部数の多い読売新聞も政府よりなので、新聞を読むから反政府という事は言えないと思います(この方は産経新聞や読売新聞は新聞だと思っていない?)

投稿: Alberich | 2019年7月24日 (水) 23時08分

なぜ与党が支持され、野党が支持されないのか。若い世代
が自民党を支持する理由はなにか。簡単に説明できる要因
は特にないのかもしれません。欧米ほど特定の強い思想に
よる支持層が日本には少ないと私はみています。
いわゆる宗教に基づいた中絶や同姓婚などです。日本では
理念が強く支持されるケースをあまり見た記憶はない。
どちらかと言えば、手の届く安心感を追及すると言います
か、政治が身近にあり自分たちの力で何かを変革するとの
考えが根本的にない人が多数でしょう。

選挙中、よく安倍政治の暴走を止めよう と野党のポス
ターや演説で聞いたのですが、政治トピックにアンテナ
が高い人を除いたら、何を止めるのかよく理解できなか
ったようにみえます。
教育レベルも一定以上あり、簡単に多くの情報に触れる
ことができる大多数にとって、成功の保証のない変革より
もとりあえず不満の少ない現状維持を望む人が多いのが
今の選挙結果だと思っています。

投稿: nagi | 2019年7月25日 (木) 10時49分

自民党は議席を減らしましたが、これは6年前は(1人区で野党候補が乱立して)大勝したからで前回(3年前)の選挙の議席と比べるとほとんど変わりません。公明党も前回の選挙と同じ。野党も立憲民主党が増え国民民主党と共産党が減りましたが、れいわ新撰組の議席を加えるとほぼ同じです。全体の定数が増えた分だけ維新が増えた事になりました。投票率が低かったので組織票の多い公明党や共産党が伸びるかと思いましたが、そうでもなかったようです。
増税を公約して前回とほぼ同じ結果になったという点では与党が健闘したとも言えるし、民進党が分裂し選挙直前に1人区の候補を統一して前回とほぼ同じ結果になったという点では野党が健闘したとも言えると思います。
今回の選挙で自民党単独では参議院の過半数を失ったので公明党の影響が強くなるかもしれません。維新も増えましたが、公明党の支持者は(公明党の候補がいない選挙区では)自民党の候補に投票する人も多いと思いますが、維新の支持者は同じ状況で自民党の候補に投票する人はあまりいないと思います。このため自民党は選挙の時に頼りになる公明党を維新よりも重視するのではないかと思います。

投稿: Alberich | 2019年7月25日 (木) 21時27分

nagiさん、KEIさん、yamamotoさん、Alberichさん、コメントありがとうございました。

幅広い視点からのご意見や情報をお寄せいただける機会はたいへん貴重なことです。なお、私自身も新規記事に「参院選が終えて、2019年夏」というタイトルを付け、いろいろ思うことを書き進めてみるつもりです。ぜひ、これからもご注目いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2019年7月27日 (土) 07時19分

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