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2019年7月13日 (土)

2019年夏の参院選

7月に入りましたが、涼しい日が続いています。5月に気温30度以上の真夏日を複数回記録している一方で、本当に季節感を狂わせる異常気象だと言わざるを得ない現況です。そのような中で、たいへんな豪雨災害に見舞われた地域の皆さんが多いことに心を痛めています。さらに警報が発令された際、「ここは大丈夫」「今まで大丈夫だった」という思い込みは避け、迅速な避難行動が求められているものと考えています。

さて、前回記事「福島第一原発の現状」の冒頭で触れたとおり新規記事で参院選公示後、いろいろ個人的に思うことを綴らせていただくことを伝えていました。 参議院議員選挙は衆議院と異なり、解散がありませんので3年間隔で7月頃に行なわれています。 当初、記事タイトルは「参院選公示後、今、思うこと」を考えましたが、夏という実感は乏しいながらも「2019年夏の参院選」とし、後々「いつだったのか」振り返りやすくしてみました。

いろいろ綴りたいことが多すぎて、どこから入ろうか迷っています。有権者の関心の高い政策は「年金など社会保障」であり、読売新聞が実施した立候補者へのアンケート調査でも「年金・医療など社会保障制度改革」を最も重視する争点だと考えている候補者が半数を占めています。ちなみに朝日新聞がまとめた「参院選の争点 各党の立場は」の中で、年金や老後不安に対する各党の考え方が次のように記されています。

自民、公明両党は、現役世代の減少などに応じて年金水準を引き下げる「マクロ経済スライド」を組み込んだ、今の公的年金制度の持続可能性を主張。低年金者に最大で月5千円を支給する「年金生活者支援給付金」が、10月に始まることもアピールする。就労など自助努力も促すため、働く高齢者の厚生年金を減らす在職老齢年金制度を見直す。

野党は、自公の対応では「不安は解消されない」と批判。マクロ経済スライドの廃止や、低年金者への給付強化、最低保障年金の創設などを訴える。立憲民主党や国民民主党は、医療や介護などの自己負担の総額に、所得に応じた上限を設ける「総合合算制度」の導入も提案するが、財源などが課題となる。

私自身の問題意識として「老後に2000万円必要」という記事の最後に「深刻な財源の問題から目をそらさずに公的年金制度を検証する機会とし、私たち国民一人ひとりが老後の安心や夢を描ける具体的、かつ現実的な方向性を示してもらえれば何よりなことです」と記しています。老後の安心という意味では野党の見直し案のほうが評価できます。

ただ財源の問題に照らした際、いろいろ検討しなければならない論点が残されます。そもそも増税を歓迎する国民は皆無に近いはずです。国民全体が負担することになる消費税の引き上げに反対することは確かに支持の広がりが期待できます。過去に「消費税引き上げの問題」という記事を投稿していますが、私自身は社会保障と税の一体改革の流れの中で消費税の引き上げもやむを得ないものと考えてきました。

消費税率は25%(商品によって軽減税率も)という高負担ですが、それに見合った福祉制度が保障されています。最低保障年金制度があり、20歳以下の医療費無料、大学院までの教育費無料、託児所も無料、月額1万3千円の児童手当、在宅ケアを中心とした介護制度の充実など多岐にわたっています。そもそもスウェーデンの福祉は、育児、教育、医療、老人介護などは、原則として個人の負担ではなく、国の負担であるという理念があります。

上記は「高負担・高福祉のスウェーデン」という記事中の一文です。「税金は高いけれど、安心だ」というスウェーデン国民の声も紹介していましたが、このような未来図の是非が争点化されることを願っています。その上で野党の多くがめざしている未来図だと思っています。しかしながら10月に決まっている消費税引き上げを軒並み反対しているため、評価すべき社会保障の政策だったとしても訴求力が欠けがちとなります。

もう少し付け加えると10月に引き上げる際、私自身は軽減税率やポイント還元策などの導入を懐疑的に見ています。「公平・中立・簡素」の租税原則から外れることが大きな理由です。10%までは簡素化した制度とし、さらに引き上げが必要かどうかという局面において国民的な議論につなげるべきだったのではないかと考えています。特にプレミアム付商品券の給付額が1億円に対し、事務経費7,380万円という自治体予算の話を耳にすると違和感を強めざるを得ません。

景気対策を軽視するものではありませんが、 今年度、このような対策にかかる経費の総額は増収分を上回る2兆円規模となっています。社会保障の財源に充てるという目的から外れがちとなり、様々な負担や不合理さを生じさせる引き上げには抵抗感があります。ここまで準備してきていながら白紙に戻すことも、それはそれで混乱する事態に至るはずですが、もう一度、仕切り直せるのであれば一つの判断なのかも知れません。

取りとめのない個人的な思いを書き進めています。国民の関心が必ずしも高くない改憲の問題にも触れてみます。これまで「日本国憲法が大きな岐路に」「憲法記念日に思うこと 2019」をはじめ、憲法に関する記事を数多く投稿しています。その中で最も大切にすべきなのは専守防衛を柱にした日本国憲法の平和主義であり、その効用であることを訴えてきています。

効用とは相手国に脅威を与えない広義の国防というべき「安心供与」であり、日本は「平和国家」であるという国際社会の中でのブランドイメージです。今回の参院選の結果が今後の日本国憲法の行方を左右するのであれば、そのような「特別さ」を維持していくのか、国際標準の「普通の国」に近付くために明確な舵を切るのかどうかという論点を明確化して欲しいものと願っています。

安倍首相は憲法について「議論する政党を選ぶのかどうか」という論点をしきりに提起しています。しかし、重要な点は議論の先にある日本の姿であり、日本国憲法のあり方です。改憲議論する政党かどうかを大きな争点とすることには疑問符を投げかけなければなりません。いずれにしても「国民にとってどうなのか」という視点を基軸に判断し、このままで良いのか、改めていくのかという議論の土台につながる選挙戦であって欲しいものです。

外交面も同様です。「国民にとってどうなのか」という視点を基軸に判断し、これまで友好関係を築いてきた国との向き合い方を考える政治を望んでいます。相手国の立場や国民感情を斟酌しながら接していくことが大切です。こちらからの要望や思惑が伝わらず、寛容さを発揮しなければならない局面が多くても相手を選別せず、関係を悪化させないという視点は自国民の利益や安全につながる場合が多いものと考えています。

抽象的な言い回しで分かりづらいかも知れませんが、日本国憲法の平和主義の効用を活かし、どこの国とも等距離で関係を築いていける外交の実現を期待しています。「『ロンドン狂瀾』を読み終えて」という以前の記事で、「もっと軍艦が必要だ」「もっと大砲が必要だ」という軍部の要求を呑み続け、国家財政が破綻してしまっては「骸骨が砲車を引くような不条理な事態になりかねない」という記述に思わず目が留まっていたことを紹介していました。

第二次世界大戦前、日本政府内であった議論の一場面です。軍縮条約や国交の親善などに力を注ぐ広義の国防は、現在の外務省のホームページにも掲げられている「人間の安全保障」につながる考え方です。このような外交の方向性は防衛予算を圧縮でき、それこそ社会保障の財源問題とも重ね合わせた論点となり得ます。一気に防衛予算を削るという話ではなく、方向性の問題としての論点化を望んでいます。

もっともっと触れたい問題があります。多面的な情報提供の場の一つとして、紹介したい話題も数多くあります。それでも参院選真っ只中、私自身の言葉で選挙戦の主要な論点として望むことを書き進めてみました。私どもの組合員の皆さんには前々回記事でお伝えした比例区における組合方針へのご理解をお願いしているところですが、各選挙区に関しては今回記事で提起したような論点を参考にしていただければ幸いなことです。

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コメント

年金は争点にしないほうがいいと思うんですけどね。
「消えた年金」問題で政権を獲ったものの、結局、年金問題を解決することができなかった経験を、旧民主党の流れをくむ政党は忘れてしまったんでしょうか。

投稿: 対人手当 | 2019年7月18日 (木) 11時43分

対人手当さん、コメントありがとうございました。

ご指摘のとおり年金の問題を取り上げても野党側に票が集まるような構図にはならないように私も考えています。今回の記事は、あくまでも私自身が選挙戦の主要な論点として望むことを書き進めてみました。

なお、今週末の新規記事も参院選について取り上げます。ぜひ、引き続きご注目いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2019年7月20日 (土) 07時02分

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