参院選が終えて、2019年夏
このブログは毎週1回、土曜か日曜に更新しています。コメント欄への書き込みも土曜か日曜に限っています。平日が毎日、まったくブログに関われないほど忙しい訳ではありませんが、実生活に過度な負担をかけないためのサイクルとして定着してきました。このようなペースのもとに800回を超える記事を積み重ねています。
そのため、コメント欄での返信が遅くなる点をはじめ、取り上げる話題のタイミングが外れる時も多くなっていますがご理解ご容赦ください。今回の記事内容も1週遅れという感がありますが、「2019年夏の参院選」「2019年夏の参院選 Part2」という記事を続けてきましたので「参院選が終えて、2019年夏」というタイトルを付け、 個人的な思いを気ままに書き進めてみます。
参院選の公示前に「自治労の組織内候補は岸まきこさん」という記事を投稿していました。組合員のために労働組合があり、組合員のために様々な組合活動があります。その活動の一つに選挙の取り組みがあるため、今回、岸まきこさんを自治労の代表として国会に送れるという結果が出たことを安堵しています。その記事のコメント欄で、Alberichさんから岸さんが国民民主党から立候補していた場合、当選できなかった点についてご指摘を受けました。
参院選の比例代表で、労働組合の支援を受けた候補者は民進党分裂のあおりで立憲民主、国民民主両党に5人ずつ分かれて戦った。立憲の候補は全員当選を果たしたが、国民民主は2人が落選して明暗が分かれた。連合傘下の産業別組合は、自治労や日教組などが立憲から、自動車総連、電力総連などが国民民主から候補を立てた。
立憲の比例代表では労組系候補が組織力を生かし、上位5番を独占、早い段階で当選を決めた。民進党で臨んだ前回2016年の参院選で落選した私鉄総連の新人は約10万票を集め、雪辱を果たした。国民民主は26万票前後を集めたUAゼンセン、自動車総連、電力総連の候補が当選した。ただ、電機連合の現職は約19万票を得て個人得票数で全候補中20番目に入ったが、党の獲得議席が伸びず、当選圏に入れなかった。【時事ドットコム2019年7月22日】
上記報道のとおり各産別の組織内候補は立憲民主党か国民民主党かどうかで明暗が分かれました。立憲民主党の比例代表でトップ当選を果たした岸さんの個人名での得票数は157,848票でした。国民民主党から立候補し、落選した電機連合の候補者の192,586票に及びませんでした。したがって、仮に連合の産別候補全員が国民民主党の中で競い合った場合、今回当選した立憲民主党の候補者5人全員が議席を得られなかった可能性もありました。
参院選の開票結果を受け、前回記事のコメント欄ではnagiさん、KEIさん、yamamotoさん、Alberichさんからご意見をお寄せいただいていました。土曜の朝、私から「幅広い視点からのご意見や情報をお寄せいただける機会はたいへん貴重なことです」と一言添えたとおり当ブログのセールスポイントはコメント欄に寄せられる声の多様さであることに感謝しています。
nagiさんは「自民党が惨敗」という見方を示されていましたが、今回の選挙結果ほど既成政党の勝敗について語りにくいものはありません。改選時から9議席減らし、単独で過半数を確保できなくなった自民党ですが、公明党を加えた与党の当選者が改選定数の過半数である63を上回ったため、安倍首相は有権者から支持を得られたと強調しています。
日本維新の会を加えた「改憲勢力」は非改選の議席と合わせても国会発議に必要な3分の2である164議席を割り込んでいます。安倍首相は「少なくとも議論は行なうべきである、これが国民の審判であります」と訴えていますが、ネット上では『議席が減ったのに、なぜか改憲に強気な安倍首相の“空耳力”』というタイトルが付けられた記事も目にしています。
公明党は3議席増やしましたが、比例票の総数を前回3年前の757万票から100万票以上減らしています。ワースト2位となる50%を切った低投票率(48.8%)に救われたかも知れません。立憲民主党も8議席増やし、改選時から倍近くとなる17議席を獲得し、参院で野党第一党の座を固めています。しかし、結党した直後の勢いに陰りを見せ始めていることも認めざるを得ません。
国民民主党は2議席減らしましたが、無所属の野党統一候補を取り込むことで現有勢力を維持できるような話を耳にしています。1議席減の共産党も同様な総括をされているようです。社民党は1議席にとどまりましたが、「直近の国政選挙で有効投票総数の2%以上の得票」に達したことで公職選挙法上の政党要件を守ることができました。
日本維新の会は3議席増やし、東京選挙区での議席確保など「勝利」した政党だったと言えます。れいわ新選組は比例代表で2議席獲得し、NHKから国民を守る党も1議席を得ています。低投票率の中、この2党こそ紛れもなく「勝利」した政党だったのではないでしょうか。なお、れいわ新選組という党名の由来は「アイロニーが込められている」と言われ、幕末の「新撰組」ではなく、「新選組」と表記しています。
一票を投じたい候補者や政党が決まっていないため、わざわざ投票所まで足を運ばなかったという方も多いはずです。そのことが低投票率の要因の一つであることに間違いありません。現状に大きな不満を持っていないから政治への関心が薄い、このような見方があることも確かです。特に投票率の向上が課題とされている若年層に顕著な傾向なのかも知れません。
一方で、投票所に出向いた方々の中では「他よりましだから」という消極的な理由で自民党に一票を託す現状も目立っているようです。自民党にも問題があるとお考えの方々の受け皿として、立憲民主党をはじめとした野党が存在感を高められれば、もっと選挙結果は拮抗していくのだろうと考えています。今回、自民党にも既存の野党にも任せられない、そのような消去法のもとで、れいわ新選組やNHKから国民を守る党に投票された方も多かったはずです。
いずれにしても現行の選挙制度における民意の結果を私たち国民は厳粛に受けとめていかなければなりません。制度面で問題が目立つ場合、必要な検証や見直しを進めていくことが求められています。衆院や自治体の選挙制度も同様です。候補者一人ひとりの資質や能力面が問われず、所属する政党の看板によって当落が左右されていく制度だった場合、大きな弊害を招きがちです。
自民党「魔の3回生」の1人、石崎徹衆院議員(35=比例北陸信越)が、自身に暴行を受けたとして30代の男性秘書に被害届を出された問題を受けて行われた同党新潟県連の聴取に対し、パワハラがあったと認めたことが、分かった。県連が24日、新潟市で会見し、石崎氏に対する聴取内容を明らかにした。
石崎氏は、男性秘書に暴行のほか、「ばか」などの暴言を浴びせたとされる。「週刊新潮」がインターネット上に公開した石崎氏と秘書のやりとり音声には、「おい、死ね、おまえ」などの言葉もあった。県連の聴取は23日に実施。会見した高鳥修一県連会長によると、「ばか」「死ね」などの言葉は、一般論としてパワハラとの認識があるか問われた石崎氏は「(秘書に)ミスが続き、感情的な言葉になった」と説明。「パワハラと思う」と認めたという。暴行については「捜査に影響がある」と、言及を避けたという。
男性秘書は18年秋ごろ、石崎氏の秘書になり、直後から暴言や暴力を受け始めたと主張。新潟県警が近く、石崎氏を暴行容疑などで任意聴取する方針だ。石崎氏は、財務省職員を経て12年衆院選で初当選し、現在当選3回。不倫やパワハラなどで離党や辞職に追い込まれた「魔の3回生」が、同期に複数いる。党関係者によると、石崎氏は秘書が次々と辞めることで知られるといい、16年には女性秘書へのセクハラや二股交際が、週刊誌に報じられたこともある。
石崎氏は新潟市が地盤。今回の問題が参院選の最中に報道され、新潟選挙区の自民候補落選にも影響したとみられ、地元では選挙区支部長の辞任を求める声が出ている。石崎氏は22日に文書でコメントを出しただけで、雲隠れ。週内に会見する意向というが、党内では少なくとも離党は不可避との見方が出ている。【日刊スポーツ2019年7月24日】
上記の報道に接し、たいへん驚きました。あれほど豊田真由子前衆院議員の秘書に対する暴言が取り沙汰されながら「他山の石」として省みていなかった感度の鈍さに呆れています。「魔の3回生」と一括りに評されることに憤られている3回生も多いと思いますが、このような衆院議員が淘汰されずに3回も当選できる政党本位の対決となる小選挙区という制度の欠点に目が向いてしまいます。
石崎衆院議員は比例復活ですが、結果的に当選を許してしまう野党側の全体的な力不足も残念なことです。冒頭で申し上げたとおり気ままに書き進めてきましたが、最後に、NHKから国民を守る党の話です。立花孝志代表が議員辞職を迫られている丸山穂高衆院議員に入党を要請しています。石崎衆院議員が自民党から離れた際は同様に入党を勧めるそうです。国会議員としての適性や資格が問われた者の受け皿になるという話には非常に驚いています。
最近のコメント