自治労の組織内候補は岸まきこさん
私どもの組合の地元選挙区の衆院議員である長島昭久さんが自民党に入党することになりました。これまで当ブログで長島さんとの関係などを数多く取り上げてきています。以前の記事「もう少し集団的自衛権の話」「憲法の平和主義と安保法制」に対しては長島さん自身からコメントもお寄せいただいていました。
一昨年の記事「長島昭久さんが民進党を離党」「長島昭久さんが民進党を離党 Part2」で伝えているとおりの経緯があり、民進党を離党された以降、私どもの組合と長島さんとの推薦関係はありません。それでも時々、お会いする機会があり、以前と同じように気さくな会話を交わしていました。
民進党を離党した時よりも衝撃的であり、非自民の長島さんを応援してきた方々を裏切る決断だったと言わざるを得ません。北朝鮮を巡る緊迫した情勢の中で長島さんは「圧力は対話を引き出すためのもの。圧力一辺倒は単なる挑発です」と語っていました。安全保障に対する考え方も含め、現政権との対抗軸を打ち出せていたはずでしたが、その長島さんの自民党入りは非常に残念なことです。
残念という一言では語れない問題なのかも知れませんが、本題に入らせていただきます。前回記事「会計年度任用職員制度、労使協議の現況」の冒頭に「実際の日常的な組合活動は労働条件に関する職場課題が中心となっています」と記していました。今、力を注いでいる職場課題が前回記事で取り上げたとおり会計年度任用職員制度をどのように確立できるかどうかです。
その際、私どもの自治体における労使交渉を中心に組合要求の前進をめざしています。ただ今回の職場課題に限りませんが、個々の組合の頑張りだけでは到底解決できない問題が多いことも確かです。特に法律に定められた問題はその枠内での対応が迫られてしまいます。
「組合員のため」を主目的とした組合活動も、職場内の閉じた活動だけでは結果としてその目的が達成できない恐れがあります。そのため、一企業や各自治体内の交渉だけでは到底解決できない社会的・政治的な問題に対し、多くの組合が集まって政府などに直接声を上げていくことも重要な組合運動の領域となっています。
このような経緯のもと私どもの組合は自治労や連合の一員として産別や連合運動に関わってきています。そのような運動の中で、政治的な影響力を発揮していくためには選挙の取り組みが最も重視されていくことになります。それぞれの組合が所定の手続きを経て政治方針を決めているはずですが、個々の政党や候補者に対する評価は組合員一人ひとり様々だろうと思っています。
私どもの組合も例外ではありません。具体的な選挙の取り組み方針は状況によって組合離れの要因になりかねません。そのため、選挙に関わる方針は組合員の皆さんに対し、その重要性などを丁寧に訴え続けることによってご理解やご協力を求めていくものだと考えています。
衆参ダブル選挙は見送られ、参院選挙が単独で7月21日投開票の日程で行なわれます。今回の記事タイトルに掲げたとおり自治労は岸まきこさんを組織内候補として擁立しています。候補者名の記載が重視される比例代表区の新人候補として、岸さんは立憲民主党から立候補します。私どもの組合は昨年の定期大会で推薦を確認し、自治労の代表を国会に送り続けることの重要性などを組合員の皆さんに訴えています。
以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」に記しているとおり違法性が問われかねない活動には細心の注意を払っています。そのことを大前提として、等身大の組合活動を発信するツールである当ブログでは参院選挙の直前、これまで「自治労の思い、あいはらくみこさんへ」「参院選は、えさきたかしさん」「参院選公示前、今、思うこと」「江崎孝さんを再び国会へ」という記事を投稿してきました。
インターネット選挙解禁となっても、このブログでは選挙期間中は候補者の固有名詞を控えるなど一定の制約を課しています。そのため、7月4日の公示を控え、岸まきこさんという固有名詞を示したブログ記事は今回が最初で最後となる予定です。その上で、岸さんを組合が推薦している理由を組合員の皆さんに訴えた直近の組合ニュースの内容を紹介させていただきます。
会計年度任用職員制度、自治労の影響力発揮へ
組織内候補の岸まきこさんを国会に。
官製ワーキングプアという言葉が取り沙汰されるほど自治体職場での正規と非常勤職員との待遇格差が問題となっています。このような問題を解決するため、自治労組織内の参院議員で、ご自身も札幌市の非常勤職員だった相原久美子さんが先頭になって法整備に尽力されてきました。その一つの成果が来年度から導入される会計年度任用職員制度です。
自治労中央本部の役員も法案や国のマニュアル作成の過程で総務省の担当者らと交渉を重ねてきました。その結果、自治労の要望の多くが反映された制度改正につなげられたという説明を受けていました。
他団体の非常勤職員と均衡という理不尽さ
このような法改正の動きを受けた私どもの市での労使協議の経緯や現況は裏面(前回記事「会計年度任用職員制度、労使協議の現況」に掲載した資料)のとおりです。組合は正規職員との「同一労働同一賃金」の理念のもと嘱託組合員の待遇改善をはかる好機ととらえ、65歳までの雇用保障や休暇制度などは現行水準を維持することを大前提として、一時金支給等を求めています。
しかしながら最近、他団体の非常勤職員との均衡を重視する動きが目立ち始め、全国的に労使交渉が難航しています。来年度から非常勤職員の待遇が標準化されるため、先駆的な待遇を定めていた自治体に対しては「突出しないように」という国からの圧力が強まっています。そのため、場合によって現行の待遇よりも後退する恐れがあるという理不尽な局面を迎えています。
自治労運動の正念場に
自治労中央本部は改めて国レベルでの対策を進めていますが、当初に描いた制度が確立できるかどうか自治労運動の正念場だと言えます。特に7月の参院選挙は自治労の影響力を内外に示す試金石となります。相原さんの後継候補として、岸まきこさんを国会に送り出すことが非常に重要な取り組みとなっています。ぜひ、ご理解ご協力願います。
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コメント
岸まきこさん 当選おめでとうございます(トップ当選でしたね)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-f6c8e2.html
によると、立憲民主党、国民民主党とも労働組合関係者が5人立候補され、立憲民主党は全員当選、国民民主党は3人当選(2人落選)だそうです。
ただし候補者の得票は割国民民主党のほうが多く、国民民主党は5人合計で約110万票で比例区の得票の3割強でした。立憲民主党は5人合計で約70万票で比例区の得票の1割弱でした(岸さんが国民民主党から立候補していれば当選できませんでした)
投稿: Alberich | 2019年7月22日 (月) 19時08分
Alberichさん、コメントありがとうございました。
ご指摘のような個人票の獲得目標の不充分さがありますが、この記事に綴っているような問題意識のもと議席を得られたことに安堵しています。
なお、新規記事は「参院選が終えて、2019年夏」というタイトルで書き進めてみるつもりです。ぜひ、これからもご訪問いただければ幸いですのでよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2019年7月27日 (土) 07時12分
前のコメントは岸さんの当選を批判(得票数が少ないのに一般の人の投票におんぶしてもらって当選した等)するつもりはありませんでした。書き方が悪くて申し訳ありません。
私は岸さんが立憲民主党から出馬されて良かったと思います。国民民主党のように得票の約3割が労働組合の組織票では組合のお抱え政党のようで一般の人の支持はあまり得られないと思います。立憲民主党の得票の大部分は労働組合の組織票ではないという事は一般の人から期待されているという事だと思います。
岸さんには労働組合の経験を生かして、非正規労働者の待遇改善や最低賃金の引き上げ等(労働組合に所属していない)一般の労働者の課題に取り組んで頂きたいと思います。
投稿: Alberich | 2019年7月28日 (日) 21時58分
Alberichさん、コメントありがとうございました。
ご指摘の意図は改めて理解させていただきました。ぜひ、これからも貴重なご意見等をお寄せいただければ幸いですのでよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2019年8月 3日 (土) 06時24分