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2019年4月13日 (土)

平成の大合併、残された課題

統一地方選挙の後半、政令市以外の基礎自治体の首長と議会議員の選挙が明日日曜に告示されます。投票日は1週間後となる短期決戦です。戦後まもない1947年、新憲法施行前に自治体の首長と議員の選挙が一斉に行なわれました。その後も任期はすべて4年ですので選挙への関心を高めるため、全国的に日程を統一してきました。ただ任期途中での首長の辞職や死去、議会の解散があった場合、統一地方選の日程から外れていきます。

さらに市町村合併の広がりによって、ますます統一的な日程で実施される選挙の数は減る傾向を強めていました。今年1月の時点で総務省は、今回の統一地方選での知事選、市区町村長選、議員選は計973選挙で2015年の前回より11少なくなっていることを発表していました。全地方選に占める統一率27.21%は、過去最低だった2011年の27.40%を下回る数字です。

2012年に石原慎太郎元都知事が国政に復帰するため、任期途中で辞任しました。その結果、私が勤める自治体は都知事、都議会、市長、市議会、すべて統一地方選から外れています。それでも三多摩地区では3分の2ほどの自治体で、この時期に選挙が行なわれます。私どもの組合が発行するニュース等を通し、自治労都本部や連合東京が推薦する候補者を紹介しています。働く者の声を的確に反映できる議員が各自治体議会に増えていくことの大切さについてご理解ご協力いただければ幸いです。

火曜の朝、読売新聞の一面トップに「平成の大合併 経費削減 推計の2割」という見出しが掲げられていました。「民間委託費が大幅増」という見出しもあり、下記のような記事内容が続いていました。私自身、読売新聞の読者会員であるため、ネット上の当該記事にアクセスできます。読者会員以外に向けては1週間無料のお試しサービスもあるようですので、当該記事をそのまま転載させていただきます。

「平成の大合併」の効果として期待された市町村の経費削減について、国の研究会が、人件費など年間約1兆8000億円を削減可能と推計したものの、実際は2割にあたる約3800億円の削減にとどまることが読売新聞の調べでわかった。正規職員を減らしたことで人件費の抑制など一定の合併効果はあったが、施設管理などの民間委託費が増えていた。行政の効率化に向けた取り組みが、なお必要であることが浮き彫りになった。

正規職員や建設費は抑制 総務省の「市町村の合併に関する研究会」は2005年度、1999~2005年度に合併で誕生した557自治体の財政見通しを原則03年度決算を使って推計。「合併効果が表れるとされる10年後には、年間計約1兆8000億円の経費削減が見込める」としていた。本紙は、557自治体の17年度決算を集計。研究会が「合併による効率化が期待される」として試算した4費目を比較した。

正規職員の給与などの「人件費」は、推計の約5500億円削減には届かなかったが、合併前と比べ約3600億円減少した。学校や役場庁舎の建設費といった「普通建設事業費」も約7600億円減り、共に一定の効果はみられた。企業や団体への補助金などの「補助費等」は約1700億円増加していた。

事務用品代や職員の旅費などの「物件費」は、推計より約8200億円多い約2兆9100億円にのぼった。物件費を押し上げたのは、公共施設の管理や行政サービスの民間委託にかかる「委託料」で、合併前の約1・5倍に増えていた。合理化で正規職員の人件費を減らす一方、民間委託が進んだためとみられる。アルバイトなどへの給与に当たる「賃金」も2割ほど増えていた。

民間委託は、庁舎の清掃やごみ収集などの現業部門で始まり、90年代から拡大した。体育館・公民館の施設管理などにも広がり、窓口業務を委託する市町村も出てきた。正規職員が直接行うより経費を削減でき、民間のノウハウを生かしてサービスを向上させるのが目的だ。

自治体の財政分析を行っている「多摩住民自治研究所」の大和田一紘理事は「福祉や災害対策など正規職員しか担えない業務もあり、職員の削減には限度がある。行政サービスを維持しつつ経費を削減するには、民間委託とともに住民の協力も必要だ。合併自治体に限らず、人口減社会の中で市町村は新しい組織の在り方を粘り強く考えてほしい」と指摘している。【読売新聞2019年4月9日

多摩住民自治研究所の大和田理事の「福祉や災害対策など正規職員しか担えない業務もあり、職員の削減には限度がある」という言葉は、まったくそのとおりであり、このブログの以前の記事「激減する自治体職員と災害対応」などを通して訴えてきた問題意識につながるものです。これまで私どもの組合は防災・減災対策の視点から職員数削減を行革の最優先課題に位置付けていくことへの疑義、とりわけ避難所となる学校職員の態勢充実の必要性について訴えてきています。

リンク先の記事を改めて読み返してみると、自治体議会に緊密な連携をはかれる議員の存在の貴重さを伝える内容でもありました。労使交渉の場だけでは到底解決できない問題について、住民の皆さんにも理解を求めていく必要性があり、その一つのアピールの場として市議会での質疑があります。

いずれにしても行政の大きな方向性を決めるためには民意の後押しが欠かせません。民意を推し量る方策として、首長や各議会議員を決める選挙があり、場合によって住民投票が行なわれます。そして、それらの投票結果が最大限尊重されることこそ民主主義の基本だと言えます。

統一地方選の前半戦、注目を集めていた大阪の選挙戦は地域政党「大阪維新の会」の勝利に終わっています。知事と市長が入れ替わった選挙のあり方について「奇策」という批判もありました。とは言え、そこに暮らす皆さんの民意が明らかになったことも確かです。したがって、大阪都構想の是非を問う住民投票自体は再び行なう必要性が高まっているのだろうと思っています。

その際は当ブログの以前の記事「東京の自治と大阪都構想」の中で提起していたとおり大阪都構想が本当に望ましいものなのかどうか、具体的な推計数字や費用対効果などを示した上、理性的な議論が交わせられることを願っています。上記の報道のとおり平成の大合併は、経費削減が予想した数字の2割程度にとどまり、正規職員減の歪みなどが問題視されています。

堺市をはじめとした周辺自治体まで巻き込む形での大阪都構想には至らず、二重行政解消による財政効果も当初4千億円と言われていましたが、年間1億円程度という試算結果が明らかになっています。逆に分割にかかるコストが680億円とも言われている現状です。さらに今までの大阪市の規模で行なったほうが望ましい数多くの業務を処理するため、5つの特別区の他に一部事務組合が設置されることになっています。大阪府、一部事務組合、特別区という三層構造になり、二重行政どころか三重行政という弊害が生じる恐れもあります。

上記は以前の記事「東京の自治と大阪都構想」の中の一文です。このような試算に触れると大阪都構想に疑義が生じがちです。この問題に限らず、「バラ色の未来」が強調された聞き心地の良いフレーズは支持を得やすくなります。しかし、本当に「バラ色」だけなのかどうか、幅広い見方や情報に触れることでイメージに流されないように努め、いずれの選挙でも熟慮しながら貴重な一票を投じていく心構えが大事だろうと考えています。

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