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2019年4月27日 (土)

時間外勤務における移動時間の取扱い

心配した雨の影響をそれほど受けず、10連休の初日、連合の三多摩メーデーが催されました。いつも全体では2万人ほどの参加者が集まり、今年もご家族の方を含め、私どもの組合だけで300人近くの参加を得られています。リンクした当ブログの以前の記事の中で綴っていますが、三多摩メーデーは中央メーデーよりも一足早く組合員の皆さんが参加しやすいゴールデンウィークの初日に催していました。

メーデー、つまりMayDayは毎年5月1日に行なわれる世界中の労働者の祭典です。1886年5月1日にアメリカの職能労働組合がシカゴを中心に8時間労働制を要求したデモンストレーションを行なったことが起源とされています。そのため、初めの頃は5月1日に催さないことの批判もあったようですが、そのような声はほとんど聞かれなくなっています。

労働組合は当たり前なこととして「組合員にとってどうなのか」という視点を大事にしていかなければなりません。その意味で三多摩メーデーのような柔軟な対応を私自身は当初から支持する立場でした。今回の記事も「組合員にとってどうなのか」という目線のもと実際に組合員から寄せられた疑問の声を受けとめた労使協議課題の一つを取り上げさせていただきます。

最近の記事「会計年度任用職員制度の労使協議を促進」の冒頭にも記したことですが、私どもの組合の労使課題の論点や協議状況などは月2回以上発行する組合ニュースを通し、組合員の皆さんにお知らせしています。組合員一人ひとりに配られ、配布後の取扱いは自由です。このようなオープンな配布の仕方ですので、組合ニュースが市議会議員や住民の皆さんの目に留まることも想定しています。

要するに誰に見られても困るような内容は掲げていません。ただ交渉結果の内容や組合の考え方に対しては人によって評価が分かれ、批判の対象になる場合があるのかも知れません。それでもコソコソ隠すような労使交渉や主張は行なっていないため、「内部資料」「取扱注意」のような但し書きは一切ありません。

仮に圧倒多数の方々から問題視されるような交渉結果や組合の主張だった場合、何か改める要素があることを察知する機会にすべきだろうとも考えています。そのような意味合いからも当ブログの記事の中で、組合員の皆さんに伝えているニュース内容をそのまま掲げる時があります。今回の記事内容も、そのような考え方をもとに書き進めてみます。

今年3月、組合員から次のような問いかけがありました。時間外勤務(休日含む)における庁舎外での会議やイベント等に参加した際、会議等の開始と終了までの時間のみを時間外勤務手当として申請すべきという考え方が正しいのかどうかという質問でした。この問いかけを受け、時間外勤務手当の申請方法を改めて人事当局と確認しました。

その際、実際の拘束時間でとらえた勤務命令を発すべきという点が基本であることを確認しています。この基本的な考え方を踏まえ、個別具体例に対する時間外勤務の申請方法について引き続き労使協議を進めていました。そのような最中、組合ニュースの一部の内容について、人事当局と真っ向から見解の分かれる論点が浮上していました。

新しい年度に入り、これまで周知してきた確認事項を改めてお伝えします。労使交渉や安全衛生員会などの場を通し、時間外勤務縮減の必要性を労使で確認しています。組合は各職場と連携しながら増員要求や減員提案の見送りを求め、必要な部署に必要な人員の配置をめざしています。

それでも時間外勤務を必要とされる場合があるため、次のような取扱いを改めてご理解ご確認ください。また、時間外勤務の実績が人員確保交渉の中で当局側の大きな参考材料とされています。このような点も踏まえ、時間外勤務の申請漏れがないようにご注意ください。

  1. サービス残業は違法行為であり、撲滅していかなければなりません。したがって、時間外に勤務した際は必ず事前もしくは事後に申請してください。
  2. 時間外勤務が必要な場合は、なるべく事前申請に努めてください。早く終わる見込みがあれば6時又は7時までの申請も可能です。結果的に早く終わる、逆に予定時間が伸びた場合は、その時間までを翌日に実施申請してください。午後8時以降は特別時間外勤務の申請も必要になります。
  3. 勤務の状況によって事後でも問題ありません。翌日以降、すみやかに実施申請してください。
  4. 水曜は「ノー残業デー」ですが、必ず特別時間外勤務の申請が必要です。
  5. 昼休み時間、突発的な勤務に対応した場合、その時間分のズレ休憩を取得できます。ズレ休憩できない場合は15分単位での時間外勤務を申請できます。
  6. 予算不足を理由にサービス残業を強いられた場合は組合まで連絡願います。ただちに是正するよう求めていきます。
  7. 時間外勤務(休日含む)として、庁舎外での会議やイベント等に参加した際の時間外勤務手当申請の考え方を参考までに例示します。その他の事例で判断を迷う場合、組合まで連絡ください。

(例1) 平日の午後6時から8時まで庁舎外で会議があった際、その場所までの移動時間を含め、5時15分から時間外勤務とします。ただし、その45分間に個人的な買い物等を行なう自由時間があった場合、勤務時間に当たらなくなります。

(例2) 休日の朝、職場に集合し、当日2回以上の会議やイベントに出席した場合、出勤から退勤までが拘束時間であれば、その時間が時間外勤務となります。途中に昼食休憩等の時間があれば、その時間は除きます。

(例3) 休日、イベント等の会場に自宅から直行直帰だった場合、その移動時間は通勤時間に相当するため、当該の場所への集合時間から解散時間までが時間外勤務となります。

上記は4月9日発行の組合ニュースに掲げた内容です。毎年、新年度に入った早々、これまで周知してきた時間外勤務に関する確認事項を組合ニュースで組合員の皆さんに伝えています。3月に寄せられた組合員からの問いかけを受け、今回、新たに7項目を付け加えていました。

組合ニュースを発行する前、上記のような内容を周知することを事務折衝で人事当局に伝えていました。事務折衝の窓口である人事課長は横浜地裁の裁判例(日本工業検査事件)を示し、上記(例1)について疑義を示していました。

「出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから、右所要時間は労働時間に算入されず、したがってまた時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である」という裁判例です。

さらに「出張中に正規の勤務時間を超える時間に移動した場合、単なる移動時間については超過勤務手当は支給することはできない」という解説文も示していました。「移動時間中に、特に具体的な業務を命じられておらず、労働者が自由に活動できる状態にあれば、労働時間とはならないと解するのが相当」という解釈を組合も否定していません。

事務折衝の組合側の窓口である書記長から人事課長の疑義を伝え聞いた時も、私自身は当該の裁判例等を把握した上で上記(例1)から(例3)までのような事例を紹介しているという認識でした。したがって、当たり前なことを指摘されているという理解のもと上記のような表現での組合ニュースを発行していました。

しかしながら組合ニュースを発行した後、人事課長から改めて裁判例や解説を踏まえ、上記(例1)の下線(下線は後から追加)の箇所が誤りであるという指摘を受けました。休日や遠方への出張時と同様、平日の夜であっても正規の勤務時間帯以外での移動時間は労働時間ではないという解釈を人事課長は示していました。それに対し、組合は裁判例等も踏まえた上で下記のように考えています。

労働時間とは労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間である。移動時間について「通勤時間と同質であり、労働時間ではない」とする考え方がある一方、「使用者の支配管理下にある移動時間は労働時間である」という説もある。

取り上げられている横浜地裁の裁判例として、出張中の往復時間は労働時間ではない、出張中に正規の勤務時間を超えても時間外勤務手当は支給できないと示されている。そのため、休日に会議やイベント等に出席する場合、自宅から現地までの往復時間は労働時間に当たらないことは理解できる。

当たり前なこととして、上記(例1)に掲げているとおり午後6時の会議等の時間まで自由時間ということであれば労働時間ではない。しかし、正規の勤務時間帯から連続した平日の夜、庁舎外に移動する時間まで「労働時間ではない」と見なすのは不合理である。あくまでも会議等の時間まで勤務命令を受けた拘束時間として必要な業務に当たり、移動は必要最低限の時間を想定している。

人事当局の解釈が正当なものと判断した場合、正規の勤務時間帯以外に災害や道路補修等のため、庁舎から現場に向かうまでの時間も労働時間から除くべきという考え方に至ってしまう。したがって、正規の勤務時間帯の移動時間が労働時間に当たるように正規の勤務時間帯から連続した平日の夜であれば、使用者の指揮命令下での拘束時間に当たるものと解釈することが妥当であるものと組合は考えている。

言うまでもありませんが、法令遵守は当然です。人事当局の指摘のとおり明らかに違法だと判断されてしまうのであれば素直に従わなければなりません。きっと近隣市の例を確認したとしても「他市は他市」という話になりかねません。そのため、私どもの組合の考え方が移動時間に関する時間外勤務の認定基準として正当なのかどうか、顧問契約を交わしている法律事務所の弁護士と相談しました。

結論として、上記のような経緯と論点について説明したところ組合の考え方が誤りではないという助言を得られています。移動時間の取扱いについて様々な見方や解釈があることを前提にした所見でしたが、組合ニュースの上記(例1)に「自由時間があった場合、勤務時間に当たらなくなります」という但し書きもあるため、問題ないのではないかという説明を受けています。

相談を終えた後、弁護士から移動時間に関する資料のコピーをいただきました。その資料には移動時間について労基法・労基則に特段の定めがないため、1984年8月28日の労基研第二部会中間報告で「次のような考え方に立って労働省令で定めるものとする」という提言のあったことが記されていました。

結局、これまで省令は定められていませんが、中間報告には移動時間の取扱いについて参考とすべき考え方が示されていました。「移動時間の取扱い」という項目の中には「労働時間の途中にある移動時間は労働時間として取り扱う」と明記されていました。この一文を参考にすれば組合ニュースの上記(例1)を誤りとすることのほうが問題であるものと考えられます。

10連休明け、会計年度任用職員制度の労使協議の正念場を迎えます。その課題に比べてしまうと重大さや優先度は劣ってしまいますが、時間外勤務における移動時間の取扱いも組合員から寄せられた声を受けとめた大切な労使協議の一つとして力を尽くしていくつもりです。

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コメント

そういえば東京の区議選挙で現役の中核派が当選して
ましたね。日本の選挙って、よく自民党系が勝つとやれ
不正選挙だと騒ぐ可哀そうな人がいますが、これを見て
やはりある程度公正で開放されていると思いました。

三鷹市の市議の方で、戦争に繋がることは全て反対と
ツイッターで書かれているのですが、おそらく写真など
見てると共産党の方と思います。歴史上人類を一番殺し
た共産主義を信奉する共産党かあと思いながら見ると
なかなか面白い感じがします。
戦争に繋がるって行為は原発だけではなく再生可能
エネルギーも適用されますし、共謀罪はあってもなくても
戦争には影響しません。つまり人間そのものを否定してる
と思われます。さすが共産党のエリートw

立憲民主党の有田先生は以前、週刊文春に拉致被害者
家族の写真を提供し掲載されてましたね。その家族は
明確に有田先生に提供はしていないと言ってましたが、
はたしてどこから入手したんでしょうか。興味が尽きま
せんね。

投稿: nagi | 2019年5月 2日 (木) 16時20分

nagiさん、コメントありがとうございました。

昨日は憲法記念日でした。その直後の週末ですので「憲法記念日に思うこと 2019」というタイトルの新規記事を考えています。個々人によって見方や評価が分かれる内容になるのかも知れませんが、私自身が個人的に思うことを綴ってみるつもりです。ぜひ、これからもご訪問いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2019年5月 4日 (土) 06時36分

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