最近の安倍首相の言動から思うこと
このブログでは時事の話題、特に政治の話を取り上げる機会が多くなっています。自分自身の基本的な考え方や立場を明らかにした上、ブログのサブタイトルに掲げているとおり個人的な思いを気ままに「雑談放談」しています。その結果、安倍首相に対して厳しい意見や指摘が目立ってしまうようです。
一方で、多面的な情報を提供する一つの場になれることを願いながら当ブログを続けています。このような言葉が誤解を招く時もあるようですが、決して当ブログ単体で多面的な情報を提供している訳ではありません。不偏不党、中立的な立場を強調し、常に両論併記するような記事内容に努めている訳ではありません。
メディアやインターネット上に多種多様な情報があふれている中、「このような見方もあります」というニッチな情報や考え方の発信に心がけています。要するに当ブログの記事内容に限れば、ある意味で偏った一面的な見方だと言われても仕方ありません。とりわけ幅広い情報や多様な見方を紹介することを目的とし、他のサイトの内容をそのまま掲げる時も多くなっています。
明らかに不適切な言葉や表現が含まれている場合は紹介すること自体を控えているつもりですが、言葉を選ばない辛辣な批判意見が掲げられたサイトの内容に対して不快感を持たれる方も少なくないようです。ただ自分自身が綴る文章に関しては、基本的な考え方や視点の異なる立場の方々から感情的な反発を招かないように言葉や記述の仕方にいつも注意しています。
結果的に安倍首相の言動を批判することになったとしても、「批判ありき」や「批判のための批判」だと見なされるような書き方にはならないように心がけています。特にコメント投稿の際、皆さんにお願いしている関係上、私自身が率先垂範するためにも「安倍首相は戦争をしたがっている」「アメリカ大統領のポチ」「小学6年生並みだ」などという誹謗中傷の類いとなる言葉を使うことは一切ありません。
さらに多面的な情報を入手した上で安倍首相に対する評価は下すべきであり、日頃から幅広い立場から綴られている書籍にも目を通しています。以前の記事には「『総理』を読み終えて」があり、「Part2」にかけて投稿していました。安倍首相に近しい著者である山口敬之さんは『総理』の中で「立場の左右を超えて、これほど評価が分かれる首相はほかにはいないだろう」と述べられています。
私も以前の記事「改めて言葉の重さ」の中で、人によって「ドレスの色が変わる」という話題に接した時、安倍首相のことが頭に思い浮かんだ話を綴っていました。見る人によって、ドレスの色が白と金に見えたり、黒と青に見えてしまうという話を紹介し、安倍首相に対する評価や見方も人によって本当に大きく変わりがちなことを書き残していました。
最近、手にした著書として小川榮太郎さんの『約束の日』や阿比留瑠比さんの『だから安倍晋三政権は強い』があります。それぞれの書籍の中味について詳しく触れませんが、第1次政権から現在に至るまで安倍首相の資質や政策判断を絶賛している内容が綴られています。まさしく人によって「ドレスの色が変わる」という話を頭に思い浮かべながら読み進めていました。
ちなみに当ブログを通し、安倍首相に対して批判一辺倒な内容を書き残してきた訳ではありません。昨年夏、このブログを定期的に閲覧されている組合員から「安倍首相を評価できることがあれば、そのようなことを書き加えたほうが批判意見に説得力も増すのではないですか」という指摘を受けました。それまでも評価できる点は率直に評価した記述を残していましたので、新規記事の中で安倍首相を評価できる事例を改めて紹介していきました。
「平和の話、サマリー Part2」では『「平和の話」の中で安倍首相を評価できること』という小見出しを付け、トランプ大統領との友好関係をはじめ、ロシアや中国と対話を進めている姿勢などについて肯定的な見方を示していました。その後の「ネット議論の悩ましさ」の中では、公務員賃金に対する安倍首相の対応について「デフレ脱却をめざす安倍政権の経済政策に照らし、一貫性のある判断であり、率直に評価できる点だと言えます」と記していました。
記事タイトルに掲げた本題に入る前までの内容が長くなって恐縮です。要するに安倍首相の言動について、すべて批判してきた訳ではありません。今回、最近の安倍首相の言動に対し、いろいろ個人的に思うことを書き進めてみます。当然、その内容に対して閲覧された皆さん個々の評価は大きく枝分かれしていくはずです。「答え」を押し付けるような意図はありませんので、「そのような見方もあるのか」と受けとめていただければ幸いです。
まず「自民党総裁として私にも言論の自由がありますから」という発言ですが、たいへん大きな違和感を持ちました。安倍首相の「悪夢のような民主党政権」という発言を巡り、下記のようなやり取りがあり、その中で発せられていました。「悪夢のような」という言い方もご自身の立場を踏まえれば、もっと他に適当な言葉があったものと思っています。しかし、それ以上に「言論の自由」発言には強い違和感を持たざるを得ませんでした。
安倍晋三首相の「悪夢のような民主党政権」発言をめぐり、12日の衆院予算委員会で立憲民主党会派の岡田克也元外相に発言撤回を求められた首相は「自民党総裁として言論の自由がある」と答弁し、撤回を拒否した。最高権力者が自身の言動を正当化する根拠としたことに「『言論の自由』の意味をはき違えている」と批判の声が上がっている。【毎日新聞2019年2月13日】
安倍首相も「言論の自由」とは国民の側に保障されるべきものであり、新聞記事にも書かれているとおり最高権力者である総理大臣に与えられているものではないという認識は持たれているはずです。そのため、「自民党総裁として」という立場の使い分けを強調されたのだろうと思っています。しかしながら「自民党総裁=総理大臣」という現状の中、そのような使い分けが許されるのかどうかで言えば甚だ疑問です。
自民党総裁として、もしくは総理大臣として、ご自身としては立場を使い分けて発言していたとしても、結局のところ誰もが安倍首相の発言だと受けとめ、安倍首相の考えていることだと理解していくはずです。言うまでもなく、一国のトップリーダーの発言の重さははかり知れず、その影響力は絶大なものがあります。「忖度」という言葉も頭に思い浮かびますが、最高権力者が発する言葉の重みについて、よりいっそう自覚していただけるように願っています。
続いて「自衛隊募集に6割以上の自治体が協力拒否」という言葉が気になっていました。リンクをはった先のサイトは『LITERA』ですが、事実関係を詳述しながら率直な言葉で安倍首相を批判しています。実際は9割の自治体が協力しているため、安倍首相は事実誤認のもと「6割以上の自治体が協力拒否」と発言していた訳です。それでもご自身の認識の誤りを認めず、紙や電子媒体で提供しなければ「協力ではない」と強弁しているようです。
そもそも住民基本台帳法に基づく閲覧制度での協力が本来の姿であり、紙や電子媒体で個人情報を提供しているほうが問題視される可能性もあります。加えて、自衛隊を憲法に明記することと個人情報提供のあり方を関連付けることに論理の飛躍が見受けられます。防衛相経験者の石破茂元幹事長が「『憲法違反なんで自衛隊の募集に協力しない』と言った自治体を私は知らない」と語っているとおりだろうと思っています。
アメリカのトランプ大統領が「安倍総理大臣からノーベル平和賞に推薦された」と述べたことに関連し、安倍総理大臣は、衆議院予算委員会で、北朝鮮問題に対するトランプ大統領の指導力を評価する一方、実際に推薦したかどうかは明らかにしませんでした。トランプ大統領は15日、記者会見で、北朝鮮がかつてのようにミサイル発射実験を行わなくなった事態を受けて、「安倍総理大臣からノーベル平和賞に推薦された」と述べました。
これに関連して、安倍総理大臣は衆議院予算委員会で「トランプ大統領は北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて果断に対応しており、昨年、歴史的な米朝首脳会談を行った。その際には、拉致問題について私の考え方を直接、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長に伝えてもらい、その後も、拉致問題の解決にホワイトハウスを挙げて積極的に協力してもらっている。トランプ大統領のリーダーシップを高く評価している」と述べました。一方で、安倍総理大臣は「ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を50年間は明らかにしないとしていることを踏まえ、この方針にのっとってコメントは差し控えたい」と述べ、実際に推薦したかどうかは明らかにしませんでした。【NHK NEWS WEB 2019年2月18日】
最後に、最近明らかになった上記の報道について少しだけ触れてみます。安倍首相はノーベル委員会の方針を引き合いに「日本を代表して」推薦したという事実関係を曖昧にしています。ノーベル平和賞にトランプ大統領を推薦したという過去を隠したいと考えているのかも知れませんが、取って付けたような理由で明確化しないのはいかがなものかと思っています。
いずれにしても総合的に判断すればトランプ大統領がノーベル平和賞に相応しいとは思えません。しかし、北朝鮮との武力衝突を避け、対話の道を開いた点だけを評価すれば候補者の一人に目しても良いのかも知れません。このような点を踏まえ、安倍首相が推薦していたのであれば、北朝鮮との対話を強硬に忌避していた自分自身の過去の言動を総括した上での判断だったのだろうと推察しています。
| 固定リンク
コメント
ノーベル平和賞の推薦について、安倍総理を非難する方が
いますが、元々ノーベル平和賞なんて今やなんら値打ちの
あるものではありません。一時日本でもさんざんもちあげ
たアウンサンスーチー女史もノーベル平和賞を受賞したが
ロヒンギャ問題での対応はなかなかのものでしたね。
それに憲法九条を推薦した団体もいました。w
某平和団体も、敬愛する最高指導者をノーベル平和賞に
推薦してることでしょう。(注 コメント投稿者の推論
です)
投稿: nagi | 2019年2月26日 (火) 13時31分
米朝の会談が合意なしで終了しました。半端な形で合意
するよりはよほどましと思います。もっともトランプ
大統領は、拉致問題を提起したのは、本当に喜ばしいのか
どうかわかりません。アメリカとしては北朝鮮が核放棄し
その後、経済を援助を韓国と日本にさせたいのでしょう。
しかし日本は拉致問題が解決しない限り援助はしないと
明言しています。まあ北としては、ある程度で日本と
取引をして、拉致被害者を帰国させるの可能性もあります
そして適当にスケープゴートに責任を被せて処刑し、
かつ共犯として朝鮮総連と某平和団体の関係者をリーク
すれば問題は済むでしょう。
アメリカもこのような展開を期待してるでしょうし、日本
も妥協できる範囲でしょう。
投稿: nagi | 2019年3月 1日 (金) 16時59分
nagiさん、前回記事も含め、コメントありがとうございました。
お尋ねの件については改めて新規記事本文を通して対応させていただく予定です。なお、今週末は新規記事の投稿自体を見合わせていただきます。このような点についてもご理解ご容赦くださるようよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2019年3月 2日 (土) 06時35分
>https://shuchi.php.co.jp/voice/detail/6150
興味深い記事です。
投稿: nagi | 2019年3月 7日 (木) 18時02分
nagiさん、コメントありがとうございました。
新規記事は「母との別れ」を投稿します。このような事情があり、しばらく組合方針の件は先送りさせていただきます。ご理解ご容赦くださるようよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2019年3月 9日 (土) 06時12分