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2019年2月17日 (日)

神戸市職労のヤミ専従問題

前回の記事は「沖縄の県民投票」でした。沖縄の県民投票は木曜日に告示され、来週日曜2月24日に投票日を迎えます。このブログを開設した趣旨を踏まえれば、神戸市職労のヤミ専従問題などは真っ先に取り上げていくべき話だと考えています。一方で、先送りしていた沖縄の県民投票に関しては告示日前までに取り上げようと考えていたため、ヤミ専従の問題が今週末の投稿となっています。

実は昨年9月に投稿した記事「多様な考え方を踏まえた場として」の冒頭でも神戸市職労のヤミ専従問題について触れていました。その後、調査を続けていた神戸市は2月6日に組合役員や市側の人事担当者ら189人を懲戒処分したことを発表しました。そのため、下記報道のとおり改めて全国的に注目を浴びるようになり、このブログの最近のコメント欄でも取り沙汰されていました。

神戸市職員労働組合(市職労)の役員らが正規の手続きをせず組合活動をした「ヤミ専従」問題で、市は6日、労組役員や人事部門職員ら計189人を同日付で処分した。うち戒告以上の懲戒処分は、同市で過去最多の73人。市は過去約5年間に労組役員ら28人が不当に受け取った給与を算定し、約1億7560万円の返還請求も行った。189人のうち退職者の52人は「処分相当」として発表。懲戒処分(相当含む)の内訳は、停職4人(うち退職者2人)▽減給33人(同14人)▽戒告36人(同5人)。

停職には元市職労委員長や、人事部門責任者の元行財政局長を含む。労組役員らの上司109人(同31人)も管理責任を問い、訓戒とした。久元喜造市長は給与30%(3カ月)、岡口憲義副市長が給与25%(同)を減額。前市長の矢田立郎氏も久元市長の減額分と同等額を自主返納する。

ヤミ専従問題を巡って今年1月に市に提出された最終報告書では、人事部門の深い関与などを指摘。久元市長に加え、矢田氏ら歴代3市長について「管理責任を免れない」としていた。久元市長は「心からおわびする。要因として閉鎖的な組織風土や前例踏襲の風潮が挙げられる。信頼回復を図りたい」とのコメントを出した。【毎日新聞2019年2月6日

10年前の記事(農水省の「ヤミ専従」疑惑)の中でも、今回の問題と同様な論点について取り上げていました。その記事の中では下記のような記述を残した上、過去の遺物となるべきヤミ専従の問題が「今、批判の対象となる事態は非常に残念な話です」「これまでの組合側の認識の甘さなども厳しく総括し、改めるべき点は直ちに改めていくことが急務だろうと思っています」という言葉で記事を結んでいました。

「ヤミ専従」のような存在が昔は許されていたと述べるものではありません。違法なものは今も昔も違法であり、駄目なものは駄目であったことに変わりありません。しかしながら幅に対する解釈問題として、労使関係の中で「ヤミ専従」的な存在も暗黙の了解としてきた場合があったのかも知れません。言うまでもなく公務員に対する厳しい視線が強まる中、「ヤミ専従」は絶対許されるものではないはずです。仮にかつて存在していたとしても、過去の遺物となっているものと思っていました。

農水省のヤミ専従が取り沙汰されてから10年も経っていながら同じ問題で批判を受けている神戸市職労の感度の鈍さは非常に残念な話であり、改めるべき点は即刻改める必要があるものと考えています。なぜ、神戸市は今まで改められなかったのか、ここで農水省の時と同様な押さえるべき背景があるようです。農水省の組合は「霞が関最強組合」と呼ばれ、労使の力関係の対等さに問題があったように評されていました。

現代ビジネス」のサイトの記事『神戸市を揺るがすヤミ専従…なぜ「亡霊」はこの街で生き残ったのか』から神戸市職労の影響力の強さがうかがえます。現在、そこまで影響力を発揮できる組合は極めて稀だろうと考えています。以前、大阪市や社会保険庁も同じような構図だったようですが、使用者側よりも組合の力が強く、労使の自主的な判断のもとに改めるべき点を大胆に改めていく機会を逸していました。

外部から強く批判される事態に至り、労使協議を基礎にした自主的な解決をはかることが難しくなっていました。その結果、時間内活動の問題にとどまらず、労使関係において正当に認められている組合費のチェックオフ等の見直しまで取り沙汰されるようになっています。 さらに日頃から組合の政治活動を批判的な立場の方々からは、ますます活動そのものを否定するような声が上がりがちです。

もっと深刻な事態としては、このような機会に組合員の組合離れ、つまり脱退者が増えていくことに注意していかなければなりません。外部からの強い批判にさらされた事態に至った時、それこそ日常的な組合の活動全般が組合員の皆さんから、どのように評価されているのかどうかが試されていくのかも知れません。このような点について私どもの組合も常に意識し、よりいっそう内外から信任される組合活動に努めていくつもりです。

かなり昔は、私どもの市でも勤務時間内の組合活動が非常に幅を持って、労使慣行として認められていました。その当時も条例に定められていた時間内活動は労使交渉に限られていたはずですが、交渉のための準備行為という解釈が広がっていたようです。厳しい批判を受けるヤミ専従のような極端な問題も、この解釈の延長線上にあったものと見ています。

しかし、このような解釈の幅は時代の変遷とともに改まっていく場合があります。そのような時、「今までは許されていた」「皆が同じようにやっていた」というような言い訳は通用しなくなります。したがって、「ここまでは許される範囲」などという勝手な解釈は慎まなければならず、情勢や社会通念の変化にも適宜対応できる組織的な体質が求められているものと考えています。

地方公務員法第55条に「適法な交渉は、勤務時間内においても行うことができる」と記されています。同時に私どもの市をはじめ、「職員が給与を受けながら、職員団体のためその業務を行い、又は活動することができる」ことを大半の自治体が条例で定めています。前述したとおり「適法な交渉のため」という法的根拠が時間内活動の幅を広げ、例えば組合の会議も「交渉のため」に必要な準備行為だと解釈されていたことなども耳にしていました。

かつて私どもの労使交渉も条例に基づき勤務時間内で行なう機会を多く設けてきました。組合役員側が職場を離れづらくなってきたため、かなり前から現在は勤務時間終了後に行なっています。数年前、久しぶりに勤務時間内での開催を組合側から申し入れた際、事前に出席予定者を書面で提出するように求められました。今まで一度も求められたことはなく、条例で認められた交渉であり、不要ではないかと組合は反論していました。

人事課長からは総務省からの指示もあり、絶対必要という返答でした。このようなやり取りがあり、結局、いつものとおり時間外での開催となっていました。その時は「歴代の人事課長に比べ、杓子定規に受けとめすぎているのではないか」という印象を抱いたことを覚えています。確かに以前は口頭で済ましても問題ありませんでした。

しかし、2004年に大阪市のヤミ専従問題が批判された以降、総務省が条例適用の厳格化を求めるようになっていたようです。そのため、人事課長の対応が適切なものであり、「杓子定規」という印象を抱いた私のほうが情勢の変化に対応できていなかったことを反省しています。一方で、「これまでは口頭で認められていた」とゴリ押しして、強引に組合側の言い分を認めさせるような労使関係であれば、それはそれで問題だったのだろうと思っています。

神戸市職労のヤミ専従問題を受け、決して「対岸の火事」としないように自らの足元を見直す機会につなげています。今後、もし勤務時間内に労使交渉を行なう場合、当たり前なこととして事前に書面を提出していくつもりです。さらに「これまでは問題なかった」という幅についても情勢や社会通念の変化に対応できているのかどうか、これからも継続して検証していかなければなりません。公務員の組合活動そのものが全否定されないためにも、襟を正すべき点はしっかり正すという思いを改めて強めています。

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コメント

紹介の記事では触れられていませんが、返還金を請求さ
れている退職者のほとんどが時効を盾に請求を拒否して
いますよね。これでは自浄能力なんて皆無でしょう。
さらに第三者委員会から指摘があった組合費の給与天引
きの廃止も抵抗していますね。もはや労働者の味方である
労働組合が労働者の敵になっているのが現状ではないの
でしょうか。

実際に労働組合が強い企業で成長し続けている事例を
聞いたことがありません。労働組合が強すぎ駄目に
なった企業と言うと、いま話題の日産や旧国鉄などが
代表的な事例ですね。海外ですと韓国の自動車産業も
同じようなことが起こっています。

私は労働者の味方である労働組合の必要性は強く認識
していますが、労働者を置き去りにし政治闘争や
思想信条活動にあけくれる労働貴族になった組合には
断固反対しています。

今の公務員系の組合は自浄能力などないので、なんら
期待していません。少なくともアベミサイルなどして
喜んでいる一部の連中を除外できるような健全な組織
に変わり本当の労働者の味方である労働組合になる
ことを願っています。

投稿: nagi | 2019年2月18日 (月) 09時04分

今日、興味深い裁判の判決がありました。

>https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20190220-00115421/

本当に警察と検察、さらに最悪なのは不当に拘留すること
を許可する裁判所に尽きるでしょう。日本もいい加減に
司法改革をする必要があると思いますね。

この医師にとっては本当に悲劇でしかなく、常識的に
犯罪など成立しない状況下で、手術を執刀した医師が
直後の患者の患部付近を直接舐めるなんて、ことが
どれほどありえないことか理解できないのが恐ろしい。

本来なら、この被害を訴えた女性を名誉棄損と偽証罪
あたり告訴したいものですが、せん妄状態であるとの
話なので、どうにもなりません。結局優秀な医師が
現場を離れると国民に損害がでることになるのが悲しい
話です。少なくともメディアはこの医師の名誉を回復
することに協力すべきですね。もっとも毎日新聞の
ように奈良県南部の産科医療を破滅させた例もあるので
どうにもなりません。

投稿: nagi | 2019年2月20日 (水) 15時21分

そういえば本文で少し疑問があったのですでが、

>数年前、久しぶりに勤務時間内での開催を組合側から申し入れた際、事前に出席予定者を書面で提出するように求められました。今まで一度も求められたことはなく、条例で認められた交渉であり、不要ではないかと組合は反論していました。

人事課長からは総務省からの指示もあり、絶対必要という返答でした。このようなやり取りがあり、結局、いつものとおり時間外での開催となっていました。

過去に口頭で認められたことがらを文書で出せと言われ
て反発するのは理解できます。しかし口頭内容と文書が
変わることがなければ文書で提出しても何ら不利益は
ないように見えるのですが。わざわざ開催を中止して
まで文書による提出を避けなければならない事情に
興味がわいたしだいです。
いつも思うことですが、自らの行いに非がなく、そのよう
に考えているなら、文書であろうと、公開で議論しても
何ら問題はないと思うのですが。

以前、大阪市の市労連でも、橋下さんが組合に対して
オープンにしてやろうと声を掛けたが、組合が拒否した
ことを思い出しました。

投稿: nagi | 2019年2月22日 (金) 11時15分

私ばかりコメントいて申し訳ありません。ついでにもう
一つコメントすることをお許し下さい。

昨年の8月くらいにコメントした内容をコピペします。

一つ目
>さて提案ですが、自治労や平和フォーラムが行う活動で
北朝鮮や中国に対して抗議活動をしない、あるいは優先
順位が低い理由が明確に存在してるはずです。それは
どのような議論や意見集約、優先順位を決める為の数値
評価等、結論に至る過程が存在するはずです。それを
教えていただければ、疑問も氷塊するのではないでしょ
うか。対比や検証もせず優先順位を決めることもないで
しょうし、平和に脅威を与える事象はたくさんあり、その
中でどれを重点目標とするかの議論も存在するでしょう。

是非ご教示いただけるようお願いします。

二つ目
>きっと自治労内部の方針会議において、どのような平和
活動するか熱い議論が行われているのでしょう。
そして、日本、米国、北朝鮮、中国、ロシア等、どこに
どのような内容に対して、どのような活動をするか、限ら
れた財源と人材を考え、取捨選択か、あるいは多数決で
決めているのでしょう。ひょっとすると中国や北朝鮮に
対する抗議活動も何時間にも及ぶ議論、膨大な資料等を
精査し、最終的に多数決で議決を取り、49対51で否決
されたのかもしれません。
そのような内容を詳らかに説明していただければ、長年の
疑問も氷塊することでしょう。

一つ目も二つ目もよく似た内容ですが、以前からOTSU氏
が内部手続きは問題ないと言われます。また他の方の
コメントで平和活動への方針で意見を出したが黙殺され
たとの内容もありました。
自治労にしても某団体にしても多数の人が参加している
以上、いろんな意見が存在していると思います。
同じ色、同じ意見の人ばかりが参加してることはないと
思います。だから内部においてどのような意見交換が
されて、どのように平和に対する脅威を評価し、どの
脅威から、どのような活動につなげるかが検討され
議決されているのでしょう。
是非そのあたりの詳細をレクチャーしていただければと
思います。OTSU氏にとっては極々当然で不思議な点は
存在しない話だと思いますが、私のように不思議で理解
できないと思っている人も一定数いるので、可能ならば
お願い致します。

投稿: nagi | 2019年2月22日 (金) 17時02分

nagiさん、コメントありがとうございました。

交渉の件、少し言葉が不足していたかも知れません。「わざわざ開催を中止」した訳ではありません。文書の提出が絶対必要なのかどうか結論を出す前に、やはり夕方のほうが集まりやすくなったため、結局、いつものとおり時間外での開催となっていました。その後も勤務時間内での開催はなく、今回の記事を綴る際、その時のやり取りを思い出していました。いずれにしても当ブログの中で綴ってきているとおりコソコソ隠す必要のない労使交渉に努めています。

平和に関する方針の件ですが、過去の記事本文を通して説明してきているつもりです。きめ細かい一問一答的な対応ではないため、納得いただけない「答え」は「答えていない」と同じにとられられがちな傾向もあるのだろうと理解しています。さらに長い文章は論点がぼけてしまう場合もありますが、簡潔に答えすぎて誤解を招くことも本意ではありません。したがって、たいへん恐縮ですが、やはり機会を見ながら記事本文の中で改めてお答えできればと考えています。このような点についてご容赦くださるようお願いします。

投稿: OTSU | 2019年2月23日 (土) 22時54分

おはようございます

>平和に関する方針の件ですが、過去の記事本文を通して説明してきているつもりです。

過去の記事はほとんど目を通しました。たしかに手続きに
関する記載はありました。しかし議決に至る過程について
詳細な説明はなかったと理解しています。
また過去の記事でOTSU氏の職場でフリー懇親会をして
若手と組合幹部が自由に話をする取組の紹介がありました
その中で、

>女性組合員の方が「私も原発はないほうが良いと思っていますが、エネルギー問題を考えた時、脱原発という運動の難しさもあるのではないでしょうか」という言葉を選びながらも率直な問題提起を行ないました。事前の組合ニュースの例示の一つにしたほどでしたので、私としては貴重な提起をいただいたものと歓迎していました。すると複数の組合役員から「原発推進は絶対ダメ」という説得調の発言をかぶせてしまい、いわゆる二項対立的な議論の流れを強めてしまいました。

また、他のコメントでも、意見を言っても黙殺される事例
が報告されています。多数の構成員がいる以上、多様な
意見が存在し、それについて評価と議論が存在すると
思い、その内容についてOTSU氏に聞いてみたわけです。

私は某団体のように特定の思想信条に強く影響を受けた
り、特定の国の影響下にあるような組織(注 コメント
投稿者の推論です)とは異なり、自治労を始めとする
平和運動を行う多くの労働組合は、どのように内部の
意見を取りまとめているか興味がつきません。
まさか日頃政権を非難するような少数意見を無視したり
踏みにじったり、排除したり、最初から無かったように
取り扱うことはないと信じています。

そのうち教えていただければと思います。

投稿: nagi | 2019年2月25日 (月) 09時05分

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