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2018年12月23日 (日)

2018年末、気ままに雑談放談

今年も残りわずかです。このブログは毎週1回、週末に更新しています。そのようなペースの中で年末年始だけは少し変則となり、元旦に年賀状バージョンの記事を投稿してきました。そのため、少し早いタイミングとなりますが、今回が2018年最後の記事となります。

その年の最後の記事は「年末の話、インデックスⅡ」があるとおり1年間を締め括るような内容を綴る時も少なくありません。昨年は「2017年末、気ままに雑談放談」というタイトルを付け、雑多な話題を気の向くまま書き進めてみました。今回も安直に「2018年末、気ままに雑談放談」というタイトルに決め、今、思うことを書き進めてみます。

「雑談放談」はブログのサブタイトルに掲げています。「雑談」は様々なことを気楽に話し合うこと、「放談」は言いたいことを自由に語ること、このように辞書には記されています。取り上げる話題によっては、気楽に語れないような難しい問題も含まれていくのかも知れません。ただ言いたいことを自由に語るという意味合いから私自身の問題意識を改めて示させていただく機会になろうかと考えています。

最近の記事「入管法改正案が衆院通過」のコメント欄で「ネトウヨ」や「パヨク」という言葉が話題になっていました。「このようなお話について、私自身の考え方も機会を見て記事本文で取り上げてみたいものです」という一言を添えていましたので、年を越える前に今回の記事を通して私自身のとらえ方や問題意識などを少し触れさせていただきます。

それぞれ培ってきた経験や吸収してきた知識をもとに個々人の基本的な考え方が形作られていくはずです。その基本的な考え方が異なる場合、同じ出来事に接していても適否の判断や評価が枝分かれしがちな傾向を数多く見聞きしています。このような枝分かれしがちな傾向は、いわゆる右か左か、立場性の違いとしても区分けされていきがちです。

インターネット、特にSNSが普及する前、立場性の違いを明らかにした面と向かった議論の機会は稀だったはずです。今でも相手と直接顔を合わせた議論の機会は多くないはずです。一方で、SNSは匿名性が担保されやすいため、自分自身の立場性を明らかにした上で本音の意見を披露しやすくなっています。

2年前に投稿した「SNSが普及した結果…」という記事の中で「SNSが普及した結果、人は自分と同じ意見や感性にしかアクセスしなくなった。異なる立場の人々の意見と接する機会がなくなり、人々は極端な意見をもつようになっている」という見方を紹介していました。私自身、インターネットの普及は幅広く詳しい情報を手軽に素早くコストをかけずに入手できるため、大多数の方が「異なる立場の人々の意見と接する機会が増えている」傾向にあるものと見ていました。

そのため、SNSの普及が真逆の流れを生み出しているという見方に触れ、たいへん意外だったという話を伝えていました。いずれにしても「自分と同じ意見や感性にしかアクセスしなくなった」という傾向は、よりいっそう個々人の考え方や主張の正しさを裏付ける機会につながっていくのだろうと思い返しています。

その結果、自分自身が正しいと信じている「答え」から遠くかけ離れた異質な考え方や意見に対し、ますます不寛容な関係性となり、相手方の言い分に耳を傾けてみようとする姿勢が乏しくなっていくように危惧しています。さらに自分自身の価値判断から離れた考え方を持つ他者自体を見下し、辛辣な言葉で嘲笑するような場面までSNS上では散見しています。

このような傾向は左や右、それぞれの立場性を問わず見受けられています。「ネトウヨ」や「パヨク」という言葉は、それぞれの立場から相手側を蔑称した時に使われているようです。そもそも他者から属性を一括りに決め付けられた批判も不愉快になりがちですが、「ネトウヨ」や「パヨク」という言葉を投げかけられてしまった場合、まず理性的な議論を交わしていくことは難しい関係性に陥ります。

おかげ様で当ブログのコメント欄常連の皆さんは、このような点について充分わきまえられている方々ばかりであり、たいへん感謝しています。私自身、立場性を明らかにしながら様々な主張を発信していますが、いつも異なる立場の方々に届くような言葉や内容を探し続けています。それでも時々、「その言葉は決め付けすぎではないのか」という不適切さを指摘される場合もありました。

あまり意識しすぎると筆が進まなくなるのかも知れませんので、いろいろな考え方があることを認め合い、異質な「答え」を持つ他者を見下さないという心構えに留意していただければ幸いなことだと願っています。もちろん違いは違いとして厳しく指摘し、率直な言葉で批判し合っていく関係性まで自制を求めるものではありません。

批判や苦情が寄せられてこそ、至らなかった点を気付く機会につながります。ただ批判する側も手法や度合いには注意しなければならず、何よりも「何が問題なのか」という点を強調していく必要があります。批判の矛先が相手を全否定し、人格攻撃するような内容につながっているようであれば問題です。さらに思い込みや決め付けた批判だった場合、ますます相手側の心には響かなくなります。

「ネトウヨ」や「パヨク」という言葉をNGとしている心構えと同様に次のような点についても留意しています。例えば「安倍首相は戦争をしたがっている」などという言葉は思い込みや決め付けた批判の類いだろうと思っています。安倍首相に限らず「戦争をしたがっている」ような人は皆無に近いはずです。しかし、安保関連法や防衛費の増大などに対しては個々人による評価が大きく枝分かれしていきます。

海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化方針に抗議している団体に対し、他国からの指示のもと「日本の邪魔をしている」という見方も思い込みや決め付けた批判の類いだろうと思っています。左や右の立場性に関わらず、誰もが戦争は防ぎたい、そのような思いのもとに考え、行動しているものと考えています。そのための選択肢として、つまり戦争抑止のあり方として、どちらの判断が正しいのかどうかという関係性につなげていかなければ、立場性の相反する両者間の溝は絶対埋まっていかないものと受けとめています。

具体的な論点に対し、今回の記事で掘り下げることはできませんが、より望ましい「答え」を見出すためには幅広い考え方や情報に触れていくことが大切です。そのためには幅広い考え方や情報が発信できる社会であり続けることが極めて重要です。為政者から情報が統制されるような社会であっては問題であり、時の政権にとって都合の悪い情報だったとしても国民が的確に把握できる関係性こそ、健全な民主主義が担保できた姿だろうと思っています。

SNSなどで個々人の言論の自由が保障され、マスメディアからも幅広い情報が流れてくる社会でなければなりません。「2017年末、気ままに雑談放談」の中で『THE MANZAI 2017』に登場したウーマンラッシュアワーの村本大輔さんの漫才が強烈なインパクトを与えたことを取り上げていました。今年も村本さんは『THE MANZAI  2018』に出演し、原発やLGBTなど難しい時事問題をネタにしていました。「ユーモアもない“漫才”? ウーマンラッシュアワー、『THE MANZAI』で時事ネタ披露でネットからは賛否」と評価は割れています。

沖縄の米軍基地問題については「沖縄の海って誰のもの?」という言葉で問題提起されていました。村本さんが今年も出演でき、ネタの内容にも制約を受けなかったようであり、前述したような趣旨からも何よりなことです。もう一つ、辺野古の新基地建設工事を巡る芸能人の政治的な発言に関し、その是非に一石を投じている下記のような話題も紹介させていただきます。

モデルのローラ(28)らが呼びかけ大きな話題となっている、名護市辺野古の新基地建設工事の中止を求める署名。12月18日には、アメリカ政府から何らかの返答を求められる10万筆に達した。

一方で、この問題を取り上げた『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)が物議を醸している。20日放送の『モーニングショー』は「ローラ 突然の政治的発言“辺野古にNOを”」と題してこの問題を特集。

ローラが自身のInstagramで署名を呼びかけたことが「波紋を呼んでいる」とし、「仕事がなくなる心配はありませんか」「CMの契約条項に抵触しないか心配」といったネット上の声を紹介した。こうした『モーニングショー』の取り上げ方にTwitter上では批判が相次いでいる。

《ローラさんが「政治的発言」をすることによってCM出演などに影響が出るのではないか、という言説は「心配」しているふりをして「抑圧」しているだけ》(法政大学教授・上西充子氏)

《芸能人は政治的発言はタブーみたいなテロップの出し方やめてほしい。こういう報道を見たら若い人はやっぱり政治の話はしちゃいけないんだなと思うし、無関心が蔓延するだけ、投票率だって上がらない。ローラかっこいいよ!》(越谷市議・山田裕子氏)

《松本人志やつるの剛士、小籔など、現政権にゴマをする政治的発言は「政治的発言」としてカウントされない。他方でローラさんのように現政権の目指す方向と違う発言をするだけで「政治的発言」としてテレビで吊し上げられる》(政治学者・五野井郁夫氏)

番組内で高木美保(56)は「芸能人の政治的発言はタブーという考えはもう変える時代」「別に政治家を倒そうということではなくて、この国をよくしたいという純粋さでは」と訴えた。

「そもそも”政治的”な話題を避けているのはワイドショーのほうでしょう。テレビが沖縄の基地問題をまともに取り上げないから、ローラさんが自ら署名を呼びかけた側面もあるわけです。むしろ、ローラさんを揶揄するような取り上げ方をした『モーニングショー』のようなマスコミの姿勢こそ、問い直されるべきではないでしょうか」(マスコミ関係者)【2018年12月20日女性自身

最後に、この一年間、多くの皆さんに当ブログを訪れていただきました。本当にありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いします。なお、冒頭にも記しましたが、次回の更新は例年通り元旦を予定しています。ぜひ、お時間等が許されるようであれば、早々にご覧いただければ誠に幸いです。それでは少し早いようですが、良いお年をお迎えください。

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2018年12月15日 (土)

区人勧のマイナス勧告

金曜日、新たな組合年度での第1回職場委員会を開きました。定数69名で成立要件は3分の2以上の実際の出席が必要です。今回、開会と同時に成立要件を満たす出席者が得られ、提案した議題もすべて承認いただきました。お忙しい中、出席くださった職場委員の皆さん、ありがとうございました。

その中の議題の一つが「2018年度賃金・一時金闘争について」でした。私どもの市職員の賃金水準は独自な人事委員会を持っていないため、東京都職員に準じています。そのため、東京都人事委員会勧告(都人勧)の内容を基本に改定していきます。今回の都人勧は年間一時金を0.1月分引き上げ、4.6月分とする内容でした。

月例給は今年も国家公務員に対する人事院勧告の官民較差を下回る結果となっていました。初任給は改善(千円引き上げ)されましたが、給料表の改定は概ね26歳までの初任層のみにとどまっていました。組合は11月2日に「2018賃金改定に関する自治労都本部統一要求書」を市当局に提出し、文書回答を得た後、11月13日の団体交渉で下記の内容で労使合意をはかっていました。

  1. 東京都人事委員会の勧告通り初任給を千円引き上げる。初任給の引き上げに伴い、初任層の月例給を引き上げる。実施時期は2019年4月1日
  2. 一時金は0.1月分引き上げて年間一時金を4.6月分とする。再任用職員は0.05月分引き上げて年間2.4月分とする。来年度、夏と年末ともに2.3月分(再任用1.2月分)ずつの配分とする。
  3. 年末一時金2.325月分(再任用1.25月分)の支給日は12月17日。今年度の一時金引き上げ分の支給は2019年2月1日を予定

多岐にわたる要求項目の中で、会計年度任用職員制度や時間外勤務縮減の課題については引き続き労使協議していくことを確認しています。また、最近の記事の冒頭で触れていましたが、11月13日に開かれた団体交渉は賃金交渉のゴールである一方、新たな課題を巡るスタートでもありました。

各種手当の中で都の水準を上回っている額や運用について見直したいという提案が示されました。今後、年度末まで交渉を重ねながら理不尽な提案は押し返し、納得できる決着点をめざしていきます。組合員の皆さんに大きな影響を与える提案内容であり、金曜の第1回職場委員会の議題に掲げて詳細や組合の考え方を報告しています。

さて、前回記事「働き方改革への労組の対応」のコメント欄で、nagiさんから次のような要望が示されていました。前回記事を投稿した直後、今週末の新規記事は別な題材の内容の投稿を考えていました。特別区人事委員会の動きは私どもの市に対して直接影響を与えるものではありませんが、重要な論点が含まれている題材だったため、当初の予定を変更して今回の記事に臨んでいます。

ブログ都議で有名な音喜多駿都議のブログで知ったのですが、今年の東京都人事委員会の勧告で約1万円のマイナス改定勧告があったが、23区長会がそれにしたがわないことを表明したそうですが、これは事実なんでしょうか。まあ誰でも給与が下がるのを肯定できるわけないのですが、今まで給与をあげる根拠に人事委員会の勧告を理由にしていたならば、マイナスの時に従わないのはダブスタ批判を受けるのは間違いない。まあこの辺りは詳しくないので、そのうちOTSU氏が記事に取り上げるかもしれません。それを期待しています。

東京都人事委員会勧告という記載は誤りで、特別区人事委員会の問題です。このコメントを受け、さっそく音喜多駿都議のブログを拝見しました。その中で紹介していた柳ケ瀬裕文都議の記事「公務員給与は下がらず。勧告無視はおかしいだろう!」が経過や問題点を分かりやすくまとめられていました。そのブログ記事のほぼ全文を紹介した上、「何が問題なのか」を伝えさせていただきます。

今回はあまりにも、憤りを感じたので一筆。東京23区の「公務員給与」についてです。そもそも公務員(特別区)の給与は、どうやって決まるのか?毎年、特別区内民間企業の給与実態を調査する。その実態をベースに、現状の公務員給与と比較し、第三者委員会である「人事委員会」が高いかどうか判断し、その差を埋めるべく「○○円アップしなさい」「○○円値下げしなさい」などと勧告を出すのです。各区長はこの判断を「尊重」して給与の改定を行います。

さて、今年の人事委員会による勧告はどうだったのか?驚くべきことに、月給で平均9,671円という大幅な引き下げを勧告!!!この金額は月給を平均2.46%引き下げるという大胆な提案であり、特別区職員の間では、大きな衝撃が走った訳です。

これは人事制度の改正が影響している。特別区では新たに、主任職を将来の係長職への昇任を前提としたポストと位置付けた。そのため、係長となって責任や負担が増えることを危惧し、主任職とならずにワンランク下のポスト(主事)にとどまることを選択する職員が続出。その結果、職種(ポスト)は低いけど、給与は高い職員が増加し、民間との比較で大きな乖離がでた訳です。

それにしても、約1万円の引き下げ勧告はインパクトがありますね。例年、勧告の通り給与の引き上げをしてきたので、当然、引き下げになるだろうと考えていたら。。。23区職員の給与下げず、勧告非実施 区長会と労組妥結

なんと!給与は下げないという。特別区長会と労働組合は職員給与を据え置くことで妥結。これまで人事委員会勧告を「金科玉条」とし、職員給与「値上げ」の根拠としてきたのに、「値下げ」の勧告は無視するとは。

特別区長会の西川会長のコメントによると、引き下げ勧告は「人事・給与制度の抜本的な改正の過渡期に生じた一過性の歪みが主な要因」とした上で民間企業を始め、国や多くの地方公共団体において給与水準の引上げが見込まれる中で、有為な人材の確保がより厳しく なる恐れがあり、かつ、引下げの影響は特別区の常勤職員のみならず、多方面に及ぶことも懸念されます。

だそうです。なんとでも理屈はつけられるもので。人事委員会勧告は、民間給与実態の調査が50人以上の事業所しか対象にしておらず、そもそも民間の実態を正しく反映していません。区民が納得できるように、勧告の在り方そのものを改善すべきと考えています。ですが、さすがに、値上げについては盲目的に「勧告」に従い、値下げとなると、さまざまな理由をつけて「勧告」を無視するのは、まさにダブルスタンダードそのもので、区民の理解は得られないでしょう。

毎年、特別区職員労働組合連合会(特区連)が区長会と賃金改定交渉を行なっています。その際、特別区人事委員会勧告(区人勧)の内容をもとに交渉が進められ、組合側は財政難を理由にした値切りなどを警戒しながら「完全実施」を求める立場でした。そもそも柳ケ瀬都議が解説しているとおり東京23区内の民間賃金の相場を調査し、区職員の賃上げや賃下げを区人勧が示す役割を負っています。

以前の記事「人事院勧告の話、インデックス」などで伝えているとおり人事院勧告や各自治体の人事委員会勧告のあり方や仕組みについて検討すべき課題は散見しています。政治の意向を忖度しているような場面が見受けられた時もあります。それでも労働基本権に制約がある公務員労働組合側からすれば中立的な機関からの勧告は最低限「完全実施」を求めていくことになります。

当然、民間賃金水準を調査した結果であるマイナス勧告も、これまで労働組合側は基本的に受け入れてきています。特区連も同様です。したがって、23区内の民間賃金の水準が大幅に急落した調査結果をもとに示された月1万円近くのマイナス勧告であれば決して望ましい話ではありませんが、今回も受け入れざるを得なかったものと思っています。

このような基本的な姿勢を違え、引き上げの時は「完全実施」を求め、引き下げの時は勧告を無視するようであれば「ダブルスタンダードだ」と批判されても仕方ありません。しかし、今回は柳ケ瀬都議も把握されているとおり人事・給与制度の抜本的な改正の過渡期に生じた一過性のゆがみが大きな理由とされ、月例給平均9,671円という理不尽なマイナス勧告に至っていました。

区職員の方々にとって、肩書きの名称は変わっても基本的に同じ職責のもとに同じ仕事に励むことで、現給は保障された人事・給与制度の見直しでした。特区連としては区長会側と労使協議を尽くした上での決着内容だったはずです。さらに民間賃金水準の相場も、わずかだったとしても上向いている傾向が見られている中、区職員の月給だけが1万円ほど下げられる、このような矛盾こそ大きな問題だったはずです。

このような思いを背にした都区連などの労働組合側が「勧告の実施見送り」を強く求め、区長会側と交渉を重ねたことは必然だったものと見ています。11月22日未明、マイナス勧告を見送るという回答を引き出せたことは同じ公務員組合役員の立場から何よりな朗報でした。特区連側は「公務員労働運動にとっても画期的な到達点」「過去に例のない引き下げ勧告の実施を阻止した」と評価しています。

区長会側は「特別区の現在・未来を見据え、熟慮を重ねた上での決定」とし、「改正に伴う現在の給与制度適用の実態を充分に斟酌した上で、来年の公民比較の方法について検討するよう人事委員会に伝えたい」と言及しています。このような事情を理解された自治体議員の皆さんが多いため、今のところ柳ケ瀬都議や音喜多都議のように批判する声は広まっていないように理解しています。

私自身の問題意識、「何が問題なのか」は以上のような見解となります。このような事情や経過についてnagiさんからも理解を得られ、「ダブルスタンダード」というような批判が避けられれば誠に幸いなことだと考えています。最後に、私どもの組合の第1回職場委員会の資料の中でも下記のような【参考情報】として、組合員の皆さんにお知らせしていることを付け加えさせていただきます。

参考情報】 特別区人事委員会は月例給を平均9,671円引き下げる勧告を示していました。人事・給与制度の見直しによって生じた官民較差であり、特区連(組合側)は猛反発していました。11月22日未明、区長会との交渉の結果、マイナス勧告の実施見送りで労使合意することができています。「改正の過渡期に生じた一過性のゆがみが主な原因」という認識を区長会側にも持たせたことが解決につながっていました。

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2018年12月 9日 (日)

働き方改革への労組の対応

前回記事「入管法改正案が衆院通過」の冒頭で触れたとおり先月末、連合地区協議会の労働学習会『働き方改革への労組の対応』が催されました。以前の記事「働き方改革の行方」の中で紹介した連合東京の労働政策局長に今回も講師を依頼していました。この学習会の内容もたいへん重要であり、さっそく今週末に投稿する記事本文を通して概要を報告させていただきます。

さて、10月2日に発足した「全員野球内閣」は第4次安倍改造内閣に位置付けられます。返り咲きを果たした時が第2次安倍内閣と数えられ、それ以降、安倍首相のもとに総選挙が2回執行されました。総選挙後の組閣ではない場合、改造内閣と呼ばれます。その都度、いろいろなキャッチフレーズが安倍首相から発せられています。

一昨年夏の参院選挙後に発足した第3次安倍改造内閣は「未来チャレンジ内閣」と称し、働き方改革を一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジと位置付けました。労使の代表も有識者として構成した働き方改革実現会議を発足させ、政府は「多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます」と広報していました。

  1. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善 
  2. 賃金引き上げと労働生産性の向上 
  3. 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正 
  4. 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題  
  5. テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方 
  6. 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備 
  7. 高齢者の就業促進  
  8. 病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立 
  9. 外国人材の受け入れの問題

検討事項として上記の9項目があげられていました。今回の労働学習会に参加する際、以前の記事「働き方改革の行方」に目を通し、政府の働き方改革実現会議における検討事項の9番目が「外国人材の受け入れの問題」だったことに目を留めていました。このような流れの中で入管法が見直された訳ですが、果たして政府広報の「働く人の立場・視点」で押し進めていたのかどうか疑問が残りがちです。

そもそも働き方改革実現会議のメンバーがILOの三者構成原則から外れ、有識者15名のうち労働側代表が連合の神津会長一人であるというバランスの問題も指摘されていました。2年前の労働学習会の中で、講師から構成メンバー全体の中で労働問題として働き方について語れる有識者自体が極めて少数であることの懸念も示されていました。そのため、使用者側の目線を優先した「働かせ方」改革にならないよう注意しなければならない点が前回の労働学習会の中で強調されていたことを思い出しています。

その後、働き方改革関連法は今年6月の通常国会で成立し、来年4月から順次施行されていきます。戦後、まもなく労働基準法等が施行された以降、70年ぶりの労働法の大改革だと言われています。法案審議を通して基礎データの不備などが発覚した結果、裁量労働制を拡大する法案は見送られました。一方で、様々な懸念点が指摘されている高度プロフェッショナル制度は成立しています。

労働学習会の講師は「連合として批判もたくさんあるが、働き方改革の方向性は一致している」という言葉を示されています。社会問題化している大きな課題として講師は「長時間労働を前提とする男性社会」「非正規労働者の低処遇な労働条件(正規・非正規格差)」をあげられていました。このような課題の解決に向け、働き方改革関連法が効果を上げていけば確かに何よりなことです。

働き方改革関連法で何が変わるのか、限られた時間の中で講師から分かりやすく説明していただきました。このブログでは主要な課題に絞って紹介させていただきます。全体的な内容が分かる資料として、厚生労働省等の発行した『「働き方」が変わります!!』というリーフレットも講師から配布されていました。リンク先のサイトにPDF形式で当該の資料が閲覧できますので興味を持たれ方はご参照ください。

大きな課題の一つは長時間労働の是正であり、労働時間規制等の見直しです。労働時間は原則1日8時間・週40時間ですが、労使協定、いわゆる36協定によって、定める範囲内で使用者は労働者に時間外労働をさせることができます。この36協定で定める時間外労働の上限を月45時間・年間360時間とすることが原則化されました。

臨時的な事情を具体的に明記した特別条項を設けることで原則以外の時間外労働が認められることになります。その際も、①年に1回を限度に単月100時間未満(休日労働を含む)、②2~6か月平均で月80時間以下(休日労働を含む)、③年720時間以下、④原則(月45時間)を超えるのは年6か月までという時間外労働を規制するルールが定められています。違反した場合、使用者側に罰則が科せられることになります。

続いて、「同一労働同一賃金」の課題です。労働学習会の冒頭、連合が制作した10分ほどのDVD『2018 どうやって取り組む?同一労働同一賃金』を視聴しました。非正規雇用で働く人の処遇改善の必要性や「同一労働同一賃金」について解説し、労働組合としての対応を伝える動画です。やはりリンク先のサイトでご覧になれますので、ぜひ、興味を持たれ方はご参照ください。

働き方改革関連法の成立によって、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間で職務内容が同一だった場合、同じ賃金を支給し、差別的な取扱いが禁止されます。この制度の施行は2020年4月1日ですが、中小企業は1年遅れの2021年4月1日とされています。パートタイム労働者と有期雇用労働者を一括規制し、派遣労働者も含め、不合理な待遇の相違を禁止します。

①個々の待遇ごとに当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して不合理性を判断、②「同一労働同一賃金ガイドライン案」を厚生労働大臣告示、「指針」化、③基本給、賞与、諸手当、福利厚生などすべての待遇について均等・均衡の実現、このような点の必要性の説明が講師から加えられています。

その際、今年6月1日に示されたハマキョウレックス事件と長澤運輸事件の最高裁判決についての説明も受けました。ハマキョウレックス事件は正社員と有期雇用労働者の待遇の格差について、長澤運輸事件は正社員と定年後再雇用された嘱託社員(有期雇用)の待遇の格差について争われた事件でした。

ハマキョウレックス事件は労働者側が勝ち、長澤運輸事件は会社側が勝つという結果に分かれていました。ハマキョウレックス事件では有期雇用労働者と正社員との間に職務内容に差がないのにも関わらず、待遇に差があったことは労働契約法20条に違反すると判断されました。一方で、長澤運輸事件の有期雇用労働者は定年後に再雇用された高齢の労働者だったため、待遇差が不合理ではないと判断されたようです。

今回の労働学習会の直前、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の部会が「同一労働同一賃金」の具体的なルールを示す指針(ガイドライン)をまとめたことも講師から報告を受けました。日本経済新聞の下記の記事『正社員の待遇下げ「望ましくない」、同一賃金実現へ厚労省が指針に明記』が紹介されましたが、労働者側にとって歓迎すべき動きでした。

厚生労働省は27日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会で、「同一労働同一賃金」の具体的なルールを示す指針(ガイドライン)をまとめた。基本給や賞与、福利厚生などについて不合理とされる待遇差の事例を示したうえで、正社員の待遇を引き下げて格差を解消することは「望ましくない」と明記した。

同一賃金は正社員と、パートや派遣社員など非正社員の不合理な待遇差の解消をめざす取り組み。6月に成立した働き方改革関連法に盛られ、2020年4月から順次適用される。厚労省は16年12月に指針の原案をまとめたが、今回は国会での法案審議や審議会の議論での指摘を反映した。

指針では正社員と非正社員の能力や経験、貢献度などが同じなら、基本給や賞与についてそれぞれに同じ額を支給するよう求めた。仕事の能力や経験などに差がある場合は、金額に一定の差が生じることも認めている。

一方、通勤手当や出張旅費は正社員と同一額を支給しなければならないと明記。更衣室や休憩室、転勤者用の社宅など福利厚生は原則として、正社員と差を設けてはならないとした。退職金や家族手当などは「不合理な待遇の相違の解消が求められる」としたが、企業によって支給目的が異なることが多く、具体例は示さなかった。

同一賃金を巡っては、正社員の手当などをなくして待遇を下げることで実現をめざす企業が増えるとの懸念も根強い。指針では「労使で合意することなく正社員の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえない」との考えを新たに加えた。

日本では非正社員の賃金水準は正社員の約6割にとどまり、欧州と比べて格差が大きい。非正社員として働く人は2千万人を超え、労働者全体の約4割を占める。働き手の意欲を高めるには、不合理な待遇をなくすことが欠かせない。賃金体系全体の見直しを迫られる企業も多くなりそうだ。【日本経済新聞2018年11月28日

二つの大きな課題に絞って書き進めてきました。それでも書き漏らしている話は数多く残っていますが、そろそろ今回の記事はまとめさせていただきます。以前の記事で紹介した「会計年度任用職員」の制度化は公務職場における「同一労働同一賃金」に向けた大きな流れの中で位置付いているものと受けとめています。上記のような動きを「追い風」とし、市当局との労使交渉につなげていく決意を新たにしています。

いろいろ不満な点が残っていたとしても働き方改革関連法は成立しています。私たち労働組合の役員は法改正の内容を的確に把握し、労使対等原則のもとに働き方改革の流れを受けとめながら組合員の皆さんの待遇改善につなげていかなければなりません。議長代行として閉会の挨拶を行なった際、このような思いを添えさせていただきました。最後に、講師を務めていただいた労働政策局長、参加された皆さん、ありがとうございました。

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2018年12月 1日 (土)

入管法改正案が衆院通過

水曜の夜、連合地区協議会の労働学習会『働き方改革への労組の対応』が催されました。以前の記事「働き方改革の行方」の中で紹介した連合東京の労働政策局長に今回も講師を依頼していました。この学習会の内容もたいへん重要であり、機会を見ながら当ブログの記事本文を通して改めて紹介させていただくつもりです。

この労働学習会に参加する際、以前の記事「働き方改革の行方」に目を通してみました。政府の働き方改革実現会議における検討事項は9項目あり、その9番目が「外国人材の受け入れの問題」だったことに目が留まりました。当たり前な話なのかも知れませんが、そのような流れの中で入管法改正の問題につながっていることを再認識したところです。

直近の記事は「徴用工判決の問題」「徴用工判決の問題 Part2」でした。韓国大法院は三菱重工に対しても賠償を求める判決を下し、ますます日韓関係が混迷化していく様相です。2回にわたって難しい論点が内在した問題を取り上げてきましたが、今回は記事タイトルに掲げたとおり入管法改正案について触れてみます。

入管法の正式名称は出入国管理及び難民認定法です。日本人を含めたすべての人の日本への出入国と日本に在留する外国人の在留資格に関する事項、さらに難民についても記されています。この二つは本来、何の関係もないため、別々の法律になっている国も多いようですが、日本は一つの法律にまとめています。

外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理・難民認定法(入管難民法)改正案は27日夜の衆院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数により可決された。与党は28日に参院で審議入りさせ、今国会の会期延長も辞さない構えだ。同法改正案は12月上旬にも成立する見通しとなった。

同法改正案は、単純労働を含む分野で外国人労働者を受け入れるため、在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」を新設するのが主な内容だ。来年4月1日に施行する。1号資格取得者は、比較的簡単な仕事をすることが想定される。日本語能力や就業分野に関する試験に合格しなければならない。在留期間は最長5年で、家族は帯同できない。農業や建設業など14業種で受け入れを検討している。【読売新聞2018年11月27日l

外国人労働者の雇用拡大の問題も当ブログで取り上げるタイミングを見計らってきましたが、火曜の夜、法案は衆院を通過し、審議の舞台は参院に移されています。より望ましい「答え」を見出すためには異なる視点や立場から多面的なチェックをはかれる関係性が非常に重要なことだと考えています。

具体例として労使交渉があり、国権の最高機関である国会は最もその機能を発揮して欲しい舞台だと言えます。ただ残念ながら法案の不充分さが数多く指摘されたとしても圧倒多数の議席を占める与党側は「成立ありき」で推し進め、対抗する野党側には問題視した法案を押しとどめる力がない現況です。逆に「何でも反対でパフォーマンスが過ぎる」という批判が野党側に浴びせられる場合まであります。

今回の入管法改正案に関しても国民の多数は「拙速に決めるべきではない」と考えています。しかし、そのような声には耳を貸さず、このまま強引に法案を成立させる構えを与党側は崩していません。最近の傾向として、それでも内閣支持率には大きな影響を与えないという構図が顕著になっています。そのため、ますます与党側の強引な国会運営が目立つようになっているのではないでしょうか。

外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法改正案が審議入りした。政府は、来年度から5年間の受け入れを最大約34万5千人とし、初年度は最大約4万8千人とする見込みを示した。業種別では介護が累計最大6万人などと説明した。だが、こうした数字は現時点での「入り口」の目安を示したにすぎない。5年ごとに次の5年の見込み数を提示するというのでは、将来的に何人受け入れることになるのかが分からない。

しかも、安倍晋三首相は人手不足が解消された場合について「すでに在住する外国人の在留をただちに打ち切り、帰国させることは考えていない」とも述べた。人手が足りないという理由で入国を認めるのに「該当する仕事」がなくなっても日本に住み続けることになる。日本で別の仕事に就くことを認めるのならば、制度の趣旨そのものが根底から覆る。

そもそも何を基準に人手不足やその解消を判断するのか。産業の盛衰は世の常だ。人口が増えていた時代でも、人材募集に苦戦した業種や企業は存在した。人手が足りないというだけで、外国人を受け入れるのは安易に過ぎる。さらに問題なのが、日本人の雇用への影響だ。産業界が外国人労働者に期待するのは「安い労働力」の確保であり、賃上げをしたくないという経営者の本音が垣間見える。

政府は「日本人と同等以上の報酬を雇用契約の基準とする」としているが、各国をみれば、外国人に合わせる形で自国民の賃金水準が下がっているのが現実だ。安倍政権は経済界に賃上げを求めている。安い労働力を大規模に招き入れることは生産性向上に資するのか。政権全体としての政策にちぐはぐな印象を受ける。

外国人労働者が母国に残した家族について、社会保障サービスを制限するための法改正は、通常国会以降となる。こうした法改正は、外国人労働者の受け入れ拡大とセットにするのが筋だ。首相は国民への丁寧な説明を約束したが、制度上の課題やあいまいさは残ったままだ。なぜ外国人を大規模に受け入れなければならないのか。法案の目的は依然としてはっきりしていない。政府・与党は今国会での法案成立にこだわらず、土台部分をしっかり築き直すよう求めたい。【産経新聞2018年11月15日

安倍政権を擁護することが多い産経新聞も上記のような問題点を伝えています。移民政策に対する向き合い方が異なっていたとしても、今回の入管法改正案の曖昧さの問題点は上記のとおりであり、いわゆる右や左の立場性を超えて批判の声が高まっているように見受けられます。日本社会の将来の姿を左右する可能性のある法案審議の進め方として、このような国民の思いとのネジレがあったままで良いとは到底思えません。

その中でも1点だけ前向きにとらえるべき見方があるように思っています。この法案がクローズアップされたことで、技能実習生という名目で来日している外国人労働者の劣悪な労働環境の問題が注目を集めるようになりました。本来であれば、入管法改正案の動きとは別に切り込まなければならない課題だったはずです。

政治や行政、さらに労働組合がそれぞれの役割を充分果たせていなかった現状を反省しながら、必要な対策を講じていく機会につなげるべきものと考えています。法案の行方に関わらず、安価な労働力の確保のための外国人労働者の受け入れ拡大であるようでは大きな問題です。産経新聞が訴えているとおり将来的には国内の賃金水準の引き下げを招きかねません。

最後に、この問題を取り上げた「hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)」の記事『外国人労働者問題の基本認識』『UAゼンセンの外国人労働方針』を紹介させていただきます。詳しい内容はリンク先のサイトをご参照いただければと考えていますが、専門家の視点から労働組合側のスタンスの難しさを解説されています。

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