« 再び、組合役員の担い手問題 | トップページ | 定期大会を終えて、2018年秋 »

2018年11月 3日 (土)

原発の話、インデックスⅡ

数週間以上前の記事にコメントを投稿する際、管理人である私も含めて「スパム・コメント防止のために、以下の画像の文字を入力してください」と指示されます。そのような手間もかかりますので、記事本文の題材と異なる話題だったとしても新規記事に様々な意見や情報が寄せられることを歓迎しています。

多様な考え方を踏まえた場として」の冒頭に記していましたが、幅広い視点からの多様な意見を伺える機会はたいへん貴重なことだと思っているからです。前回記事「再び、組合役員の担い手問題」のコメント欄でも、韓国の最高裁が戦時中の「徴用工」に賠償を命じた判決の問題も取り上げられていました。

土曜の朝、私からは「この場でも私自身の考え方を示すべき点があろうかと思いますが、難しい問題であればあるほど中途半端に触れないように努めています」と書き添えていました。記事タイトルとは離れた問題ですが、新規記事の冒頭で少し触れてみようとも考えました。しかし、触れるのであれば腰を落ち着けて取り上げるべき問題だろうと思い直し、たいへん恐縮ながら言葉や説明が不足しそうな触れ方は見送らせていただきました。

さて、少し前の記事「横田基地にオスプレイが正式配備」のコメント欄で、北海道胆振東部地震による大規模停電に端を発した原発を巡る議論が交わされていました。投稿してから1か月以上たちますが、qurさんとAlberichさんとの間でやり取りが続いていました。お二人の見識さに触れながら閲覧者の一人として、それぞれのご意見を興味深く拝見していました。

その議論に触発され、久しぶりに記事本文の中で原発の話題を取り上げてみました。それが「最近の原発報道から思うこと」でした。記事タイトルに掲げたとおり原発に関する様々な報道の紹介を中心にした内容でした。そのため、記事の最後に「原発の話、インデックスⅡ」を投稿する機会があった時、もう少し個人的な考え方も添えさせていただくつもりです、と書き添えていました。

私自身の原発に対する問題意識は当ブログの記事本文を通して数多く発信してきていました。ただ「原発の話、インデックス」を投稿したのが2012年9月のことだったため、近いうちに「原発の話、インデックスⅡ」をまとめてみようと思い立っていました。時々「インデックス」記事を投稿しようと考えているのは次のような理由があるからです。

カテゴリー別に検索できる機能を使いこなせず、これまで「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べていました。その発展形として「○○の話、インデックス」を始めています。その記事の冒頭、インデックス記事のバックナンバーを並べることで「インデックス記事のインデックス」の役割を持たせています。カテゴリー別のバックナンバーを探す際、自分自身にとっても役に立つ整理の仕方であり、時々、そのような構成で新規記事をまとめていました。

これまで投稿したインデックス記事は「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「コメント欄の話、インデックス」「定期大会の話、インデックスⅡ」「年末の話、インデックスⅡ」「春闘の話、インデックスⅡ」「組合役員の改選期、インデックス」「人事評価の話、インデックス」「図書館の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックスⅡ」「人事院勧告の話、インデックス」「非正規雇用の話、インデックスⅡ」「いがみ合わないことの大切さ、インデックス」「憲法の話、インデックスⅡ」「平和の話、インデックスⅢ」のとおりです。なお、「Ⅱ」 以降がある場合は最新のインデックス記事のみを紹介しています。

そのようなインデックス記事が右サイドバーの「最近の記事」から消えていましたので、今回、「原発の話、インデックスⅡ」に取りかかったところです。「平和の話、インデックスⅡ」を投稿してから4年少しで「平和の話、インデックスⅢ」には新たに50以上の記事を加えていました。「原発の話」に関するバックナンバーは下記のとおりですが、新たに追加した記事は思ったよりも少なく6点にとどまっていました。

4年の間に安保関連法の成立や北朝鮮情勢を巡る動きが緊迫化していたため、新たに加える「平和の話」が多いことは予想していました。それに比べて「原発の話」が思っていた以上に少なかったことは、やはり世の中の関心の度合いが低くなっていたからだろうと考えています。さようなら原発集会の参加者も1万人に及ばなくなっています。

福島の原発事故を大きな教訓とし、日本の将来にとって原発は必要なのかどうか議論を続けていかなければなりません。脱原発を願う立場なのか、原発を容認や推進する立場なのか、立場の違いに関わらず国民の関心が低下しつつある現状だったとしたら残念なことです。私自身は将来的に原発をゼロにすることを願う立場です。上記のインデックスの日付が示すとおり福島の事故の前からそのような立場でブログを綴ってきました。

原発を稼動していくためには半永久的に厳重な管理が必要とされる放射性廃棄物の問題があります。チェルノブイリや福島の原発事故が伝えているとおりメルトダウンを起こした時の被害の深刻さや影響の重大さははかり知れません。安定した電力供給など原発の利点もあるのかも知れませんが、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーや蓄電の技術開発を進めることで原発に依存しない社会の実現を望んでいます。

一方で、二項対立的な反対行動とは一線を画した積み重ねも重視すべきものと常々考えています。原発に反対する全国集会に10万人集めても残念ながら脱原発の工程表は不明確なままです。そのような現状を省みていくことも重要であり、例えば「戦争も原発もいらない」と訴えることで、あるイデオロギーを持った「運動」自体を目的化したような集団だと見られてしまうのではないかと危惧しています。

私自身の問題意識として、理想とすべきゴールを描きながらも、物事を実際に改めていくためには現状からスタートする地道な一歩一歩の積み重ねが大事だと考えています。したがって、原発を即時廃止と訴えた場合、原発は必要だと考えている方々との議論がかみ合わなくなる懸念を抱えています。本当に原発ゼロを実現するのであれば、原発を必要と考えられている方々との対話が欠かせないものと認識しています。

何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか Part2」という記事の中に残していた言葉です。このような問題意識のもとに連合の地区協役員の一人として、東電労組の皆さんらとも原発について意見交換する機会も作ってきました。大きな広がりにつなげることはできていませんが、それこそ自分ができる範囲での地道な一歩一歩を大切にしています。このブログの場もそのような一歩につながることを願っています。

そのため、qurさんとAlberichさんとの議論などは歓迎すべきことであり、たいへん感謝していました。いろいろな考え方や情報に触れ合うことで「やはり原発はなくしたい」と思うのか、「それでも原発は必要」と思うのか、このブログが原発の将来のあり方について関心を高めていくための一つの材料になれれば幸いなことです。

最後に、「最近の原発報道から思うこと」を読まれた組合員から次のような指摘を受けていました。『AERA』の記事を紹介した後、「泊原発が動いていなくて良かった」という見方は原発そのものに反対、もしくは容認、それぞれの立場に関係なく、押さえておくべき事実関係だろうと考えています、と記していました。この記述に対し、組合員から「このような言い方は決め付けすぎではないですか」という指摘を受けました。

地震による停電で泊原発も外部電源をすべて喪失していたことを伝える『AERA』の記事でしたが、『震度2で電源喪失寸前だった北海道・泊原発「経産省と北電の災害対策はお粗末」地震学者』という見出しは偏った評価のもとに付けられている点などの指摘でした。人によって違和感を持つ見出しや記事内容だったのにも関わらず、「それぞれの立場に関係なく、押さえておくべき事実関係」という私自身の言葉は決め付けすぎだったようです。たいへん失礼致しました。このような指摘は本当に有難いことであり、ぜひ、これからもよろしくお願いします。

|

« 再び、組合役員の担い手問題 | トップページ | 定期大会を終えて、2018年秋 »

コメント

こんばんは。
韓国の徴用工の判決。大変なことになりそうですね。
このまま判決通りに新日鉄住金は賠償しなければならないのでしょうか?
わたしは法律的なことはさっぱり分かりませんが、もし政治的主張にどっぷりつかっていないで法に基づいて公平に判断できる法律家がいたら意見を聞いてみたいなと思いました。

投稿: おこ | 2018年11月 4日 (日) 23時49分

正しくは朝鮮半島出身の労働者と表現するほうが良い
ようですね。まあどうにもならないと思いますね。
本来、国際司法裁判所で争うべきなんですが、なんせ
自分達は正しいからでる必要はないとの主張を平気で
しますから。まあ今まで、対共産圏や対北朝鮮の防波堤
として韓国と手をとる必要があったわけですか、もう
韓国は少なくとも私たちがしる自由民主主義とは異なる
体制側にいったと見做す必要があるのかもしれません。
日本としては断固たる処置をとらないと再び未来に禍根
を残すことになります。なんせ日本国内にすら、まだ
韓国の肩をもとうとする方々が存在しますから。

もっとも厳しい反応を見せる意味で、駐日大使を国外退去
させるのが良いかもしれませんね。もちろん日本の大使
も帰任になりますね。ここまでしないと理解できないと
思いますね。

投稿: nagi | 2018年11月 5日 (月) 09時15分

私がとても不思議に思うことが下記の文言です。

>例えば「戦争も原発もいらない」と訴えることで、あるイデオロギーを持った「運動」自体を目的化したような集団だと見られてしまうのではないかと危惧しています。

なぜそこまで「原発」が特別な存在なのか?戦争と対比
するような存在なのか。これが「核兵器」ならまだ理解
できます。しかし原発は単なる発電設備にすぎません。
相応のリスクも理解してますが、文明上の危険なものは
他にいくらでも存在するのに、なぜここまで特定の発電
設備に固執するのかがよく理解できませんね。

賛成派と反対派が合意することはないので話し合いなど
無駄と思うのですが、反対する方々は原発がない世界で
どのように安定した発電を行う社会を想定しているのか、
あるいは今よりずっと電気の使用を抑制した社会を想像
してるのか、そのあたりをきちんと説明してはいかがです
か?原発がなくても問題ないと言っても、電力会社は
必要だと言ってます。電力のプロが言ってることを否定するならば、原発がなくて機能する社会を提示していただけ
れば良く理解できます。そうでなければ単にイデオロギー
で活動してるようにしか見えないでしょう。

私としては原発を上回る安定し効率のよい発電方法が
生み出されたら、それに置き換わってもなんら問題は
ありません。

投稿: nagi | 2018年11月 5日 (月) 16時41分

とある記事を読んで思ったのですが、韓国出身記者の
座談会のような内容で今回の裁判判決について意見交換
をしていました。その中で印象的だったのが、日本側の
批判に対して、「過去の約束が話にならないので、ひっく
りかえして当然だ」との趣旨がありました。まあ彼らが
そのように考えたのは自由と思うのですが、日本側と
しては、どんな約束をしても、未来において気にいらない
ならそれを破ることがなんら問題ないと考える人や民族
や国家相手にどんなことができるのか。どのような合意
や約束も不可能になります。つまり韓国にとどまらず
北朝鮮との非核化交渉においても、彼らの言うことは
将来都合よく反故にされる可能性が高いと予測されま
す。つまり交渉などせず、徹底的に圧力をかけ、軍事
行動も視野にいれて完全に屈服させる以外方法がないと
思い知らされたわけです。
話し合いには、少なくとも交わした約束は互いに守る
との不文律が存在しますが、それが存在しない相手には
話し合いなど可能なのでしょうか。

私は不可能と思いますね。

投稿: nagi | 2018年11月 6日 (火) 09時12分

>なぜそこまで「原発」が特別な存在なのか?戦争と対比するような存在なのか。

戦争も原発も、ともすれば領土を、国土を喪うかもしれない禍々しいものだからですよ。

「竹島を我が物とする韓国はけしからん」、「尖閣諸島防衛のためにもっと力を尽くすべきだ」、「中国の脅威に備えて沖縄の米軍基地の規模を維持すべきだ」と言う人たちの考えと脱原発へ向けた考えは本来、親和的なものだと思うのですが。

>原発を上回る安定し効率のよい発電方法が生み出されたら、それに置き換わってもなんら問題はありません。

むしろ逆でしょう。そもそも核廃棄物の科学的な処理技術もない現在の人類に統御できる技術ではありません。

せめて、仮に大熊町や浪江町が一ヶ月で除染され原状回復できるような技術でもあるのであれば私としても原発の再稼動に前向きになりますよ。やっぱり発電効率は抜群ですから。

原状は除染どころか、全く問題のない会津の農産物にまで風評被害が残り続けている状況です。

これら風評被害は、首都圏の小売りが福島産の農産物に正当な価格をつけず、取扱いを敬遠または買い叩いている限り解決しないと思います。
その首都圏こそ福島原発で生み出された電気の最大の消費者でした。つまるところ首都圏は福島原発事故の当事者そのものであり、本来であれば都民が輪番制で除染作業に加わったり、除染廃棄物を首都圏で引き受けたり、せめて風評被害払拭に向けて行動することが求められると思います。
しかし、それどころか現実は、首都圏へ避難してきた人たち、子供たちに陰湿ないじめすら生じています。

日本は技術面はおろか、社会における倫理面からみても原発を稼働させる準備はないと私は考えます。

投稿: 四国人 | 2018年11月 6日 (火) 22時59分

qur殿


>Alberich様はどうしても各論というか枝葉末節にこだわっておられるように思います

各論がきちんと検討されていない総論というのはあり得るのでしょうか?


>「しかし」以降は要するに仮定の話で、泊原発の電源供給体制や、震源がどこになるかはまた別の話です。それらの可能性も含めて、費用対効果、その他リスク最小化を図る策は何かを拝聴したいのですが、どうもそれは叶わないように思います。

費用対効果やリスク最小化を検討するためには、様々な状況下で費用対効果やリスクどうなるかを検討する必要があります。これは仮定の話を積み重ねる事だと思います。
それにそもそも、”泊原発が稼働していれば” ということ自体が仮定の話だと思います。

>いずれにせよ複数の十分な出力を持った大型発電施設が分散していないと、ブラックアウト発生のリスク低減にはならないでしょう。それらのいくつかを「休止」させておいて、緊急時に「稼働」させるしかない。まずはベースロード発電施設が複数稼働できる状態にしないと、問題解決のスタート地点にすら立てないでしょう。

私は合計した出力が十分であれば(多数の)小型発電施設が分散していてもブラックアウト発生のリスク低減になると思いますが、なぜ大型発電施設なのでしょうか?大型発電施設が出力できなくなれば、大出力(に相当する)発電施設を稼働させる必要がありますが、小型発電施設が出力できなくなっても小出力の発電施設を稼働させればすみます。
またなぜ稼働するのがベースロード発電施設でなければならないでしょうか?ベースロード発電施設は休止から稼働まで時間がかかるので、ブラックアウト発生に稼働させてもブラックアウトの期間短縮にはならないと思います。


>ここには「なぜ知恵を絞る必要があるか」理由が書かれていません。

ここでの課題である、ブラックアウトの防止や短期化のためには、再生エネルギーを増やす事が適していると思うからです。再生エネルギーを受け入れるためにも投資が必要ですが、なるべく効率的に投資を行う事を「知恵を絞る」と表現しました。ただしそこで申し上げた例(既存の揚水発電の利用)は、同業他社が既に行っている事を自社でも行うという事なので、「知恵を絞る」というほどの事ではないかもしれません。


>原発を使わないなら、じゃあ火力を増やしますか?二酸化炭素排出量や原油・天然ガス・石炭などの資源確保は大丈夫ですか?そもそも火力発電所の新設にどのくらいの時間と費用がかかりますか?

火力ではなく、再生エネルギーを増やそうと申し上げています。
再生エネルギーでは上で仰った二酸化炭素排出量や資源確保の問題はありません。
発電所(発電装置)を新設する時間も火力発電所や原子力発電所よりも短いです。
再生エネルギーの発電所(発電装置)の費用は年々低下していますが、火力発電所の建設費用が低下しているという話は聞きませんし、新設の原子力発電所の建設費用は大幅に増加しています。


>既存原発の改修と活用を行う事も選択肢に含まれると思うのですが

仰るように既存原発の改修と活用を行うという事も選択肢に含まれると思います。
しかし選択肢に含まれるという事と評価の結果としてその選択肢が選ばれる事とは違います。
そして選択肢を評価するためには、各選択肢の費用とその効果を比較する等の各論をきちんと検討する必要があります(これは上で申し上げたように仮定の話を積み重ねる事だと思います)


>発電能力にムラが大きい再生エネルギーを受け入れるのがかなり困難であることは御承知でしょう。

再生エネルギーは発電能力にムラが大きいので発電能力が一定の原子力発電の方が優れている と仰る方がいますが、私には理解できません。
もし電力需要が常に一定であれば、発電能力にムラが大きい再生エネルギーよりも発電能力が一定の原子力発電の方が優れていると思いますが、電力需要は時刻によって大きく変動します。つまり電力需要もムラが大きいです。
大事な事は、発電能力にムラがない事ではなく、(ムラが大きな)電力需要に追随して発電能力を変更できる事だと思います。
原子力発電の発電能力が一定という事は 電力需要の変化に全く追随できない と言う事でもあり、その点では再生エネルギーと同じです。このため、再生エネルギーを受け入れるのがかなり困難と仰るのであれば、原子力発電も受け入れるのがかなり困難だと思います。
実際は、電力需要は昼間が多く夜は少ないです。
太陽光発電は昼間に発電し夜は発電しないので、(常に一定量を発電する原子力発電より)全体としては電力需要に追随していると思います。その意味でむしろ太陽光発電のほうが原子力発電発電よりも受け入れやすいと思います。


>そろそろこのお題は終了でいいかという気分になっています。
ありがとうございました。

ありがとうございました。
qur殿やOTSU殿およびこのブログの読者の方の判断材料の一つにして頂ければうれしいです。

投稿: Alberich | 2018年11月 7日 (水) 22時35分

OTSU殿


>やはり世の中の関心の度合いが低くなっていたからだろうと考えています。さようなら原発集会の参加者も1万人に及ばなくなっています。

しかし現在でも国民の多数(賛成派の倍以上)は原発稼働反対です。安倍政権もそれがわかっているので原発稼働に強く踏み込めないのだと思います。もんじゅ(高速増殖炉)も廃炉にしました。
私は安倍晋三氏の政策には反対の事が多いですが、原発政策は稼働賛成派と反対派の間で政治的にうまくやっていると思います(これは双方から批判されるという事でもありますが)稼働反対派だけでなく賛成派からも安倍政権(原子力安全委員会)に対する不満は大きいと思います(規制が強すぎて再稼働のために多額の費用が必要 とか 稼働できない原子炉がある 等)


>原発に反対する全国集会に10万人集めても残念ながら脱原発の工程表は不明確なままです。

 現在稼働している原子炉は福島以前に稼働していた原子炉の2割以下です。
   2割も再稼働してしまった
という考えもありますが、
   2割しか再稼働していない
と考える事もできます。福島以降に廃炉になった原子炉は現在稼働している原子炉より多いです。
再稼働容易な原子炉は既に再稼働しているので、現在未稼働の原子炉は(地元との関係や費用対効果等で)再稼働しにくい事情があります。このため今後再稼働する原子炉はそんなに多くないと思います。また先進国では原子力発電所の建設が難航している事を考えると日本で新たに原子力発電所を作る事は非常に困難だと思います。つまり原子力発電は先細りであり、風は(弱いですが)追い風だと思います。
 全国集会に大勢の人を集めて、というのは政治的に原子力発電所を止めようというやり方ですが、経済的に止めようというやり方もあると思います。電力会社も商売ですから、客が嫌がる事や損になる事はやらないと思います。今は電力会社以外からも電力を変えるので、原子力発電を稼働させている会社から電力を買う人が少なくなれば電力会社も考えると思います。


>例えば「戦争も原発もいらない」と訴えることで、あるイデオロギーを持った「運動」自体を目的化したような集団だと見られてしまうのではないかと危惧しています。

「戦争も原発もいらない」と訴えることが問題なのは、賛同する人の範囲を狭くするからではないでしょうか?
例えば、私は ”原発の再稼働” も ”辺野古の基地建設” も反対ですが、この2つは独立した案件なので2つとも反対の人ばかりではありません。2つとも反対 と言ってしまうともう一方は賛成している人を排除してしまう事になると思います。
 ”原発の再稼働反対”という運動には、”沖縄に基地をじゃんじゃん作れ!” という人でも参加できるようにすべきだと思いますし、逆に”辺野古の基地建設反対”という運動には、”日本に原発をもっともっと作れ!” という人でも参加できるようにすべきだと思います。
原発も辺野古もTPPも靖国参拝も・・・と言い出すと賛同できる人がどんどん少なくなってしまいます。

投稿: Alberich | 2018年11月 7日 (水) 22時42分

Alberich様
終わりにしようと思ったのですが、一件だけ。
再生可能エネルギーでで想定されているのは太陽光や風力と思いますが、これらはベースロード発電に比べて自由に出力調整が出来る発電施設じゃないでしょう。要するに気象に左右される。真冬の吹雪の北海道に太陽光パネルがいくらあったところで発電できますか?そういう時に電力需要を満たせないと凍死者が出るのでしょう。それをギリギリ間に合えばいいで済ませられるとは私は思えません。ですから太陽光などなら、既存電力網と基本的に切り離して、蓄電池付きで自家発電用途にすればいいと言っているのです。というか技術的に、多分それしか解決方法はありません。
数十年で災害が起きてインフラが破壊されるのを繰り返してきた日本では、国民に数百年の維持を想定したインフラ管理のマインドがないと思うので、ましてや半減期が万年オーダーになるような核物質の管理なんて無理だと思います。福島の事故で痛感しました。キリスト教圏で地震が少ないヨーロッパとは文化が違うんです。ですから原発は日本ではいずれ廃止に向かうでしょう。問題は、それまでの大体20〜30年くらいをどのようにするかですよ。いま日本が持っている核物質の後始末も含めて。
ところで原発反対は核兵器反対と根強く結びついていると思いますから、ある意味被爆国日本で戦争反対の平和活動と分かちがたいのはわかります。しかし本質的には、原発利用名目でウラン濃縮技術を持ち、いずれそれを核武装に使いたいと妄想する右翼と、それを本気で心配して食い止めたい左翼の綱引きに使われているのが、政治的運動の場での実情だと思っています。端的に言って、いわゆる左の団体が原発に反対するのは、共産圏で日本が核武装したら困る国が入れ知恵というか扇動したものじゃないかと。それを平和運動だと言うと見栄えが良い。しかし実際は特定勢力の拡大工作だと思えます。
繰り返しますが私は原発廃止派です。ただその工程上で、電力供給や既存核物質の処理方法等が定まらない現状を踏まえ、効率性を考慮した一部原発の再稼働はありだとする立場です。OTSU様とそれほど違わない意見だと思っています。そんな私でも、いわゆる左の団体の原発反対運動は、上のような偏見を持って見てしまうのですよ。

投稿: qur | 2018年11月 8日 (木) 11時06分

>四国人氏
>Alberich氏

なるほどと思う内容ばかりです。ただ再生可能エネルギー
によるあらたな環境破壊についてはどのようなご意見を
お持ちですか? 最近特に耳にするのが、山林を切り開い
たり、堤防沿いに太陽光パネルを並べて近隣住民ともめて
いると聞きます。北海道で、太陽光と揚水電力で冬場を
乗り切れるのか疑問です。

それと世界でもアジアでも原発の新設は続いていて、
原発による発電量も増えています。それらについては
どのように考えておられますか。日本に被害がなければ
それでよいのですが?それならば、海外から原発で発電
した電気を購入するのは問題ないとお考えですか?
たしかに先進国では原発廃止の動きがでてますが、今後
どのようになるか検証が必要でしょう。qur氏が言われる
ように既に存在するものを現状使用することもダメです
か?廃炉するにも費用がかかる以上、その費用を捻出す
るために稼働させては駄目ですか?

投稿: nagi | 2018年11月 8日 (木) 12時36分

>nagi様

nagi様のご質問に全てお答えする準備ができず、太陽光発電に偏ったコメントとなることをご容赦ください。

私は基本的には太陽光発電には否定的です。

私は余程の例外でもない限り原発の稼働には反対であり、太陽光発電の拡大を冷ややかに見つつも原発よりはマシだと感じています。
今冬の北海道の電力逼迫を「余程の例外」と感じるかには迷いがありますが、泊原発が稼働していない状況下で電力逼迫が原因となる凍死者が出れば、反原発の論陣は不利になるでしょう。「原発断固反対」という結論は変えずとも、「放射脳」要素を排した相当高度な論理構成で語らないと世論からの逆風を受けるでしょう。
いずれにしても目下、原発を動かせないという足枷をかけられている北海道電力においては場合によっては電力供給義務を果たせなくなる可能性があることを批判するべきではないでしょう。

話を太陽光発電に戻します。私が太陽光発電に否定的な理由は、大きく分けて3つです。

まず、そもそも日本の環境とはミスマッチだと思うからです。日本の豊かな自然は変わりやすい気象条件がもたらしていると言えます。つまり、安定した日照が計算できないということです。
住宅や官公庁に設置されている太陽光発電設備はいざとなれば火力発電に頼れるというセーフティーネットがあるから可能であり有益なのです。太陽光が日本の基幹電源になるには役者不足も甚だしいと思います。

次に、nagi様も言及されているような自然破壊の問題です。広大な平地が乏しい日本で広範囲のソーラーパネルを設置するにはやはり林野を切り開かざるをえない場合が多く、自然エネルギーを掲げながら本末転倒もいいところだと思います。木を切って禿山にすることが降雨量の多い日本にとって如何にリスクがある行為でしょうか。
もっとも、環境破壊という観点で太陽光発電を否定する論陣を張るとすれば当然、原発事故の際の環境破壊が対抗意見として上がり、水掛け論となるでしょう。

三番目ですが、太陽光パネルの性能が向上し続けていることです。エネルギー変換率はもっと向上するでしょうし、耐久性はより目覚ましく向上することが期待できます。
つまり、いま頑張って太陽光パネルを敷き詰めたところで、すぐにより良いパネルが登場するのです。お金と労力の浪費です。太陽光に注力するのはより良い太陽光パネルが登場するのを待った方が良いのです。

私は自然エネルギーを推進するのであれば、風力発電と地熱発電に注力すべきだと思います。
風力発電の方が太陽光よりずっと日本の風土に適合するでしょうし、海上風力発電はもっともっと真剣に推進するべきでしょう。林野を伐採するより遥かに環境へのダメージも少ないでしょうし。
そして地熱発電こそ、火山大国・日本が採用すべき基幹電源だと言えるのではないでしょうか。熱でタービンを回すという思想は原子力・火力と同じであり、基幹電源として主役を張れると思います。
私は登山が趣味で、山を掘るとすれば忸怩たる感情を抱きます(だからリニアも本当は反対)。しかし、いかなる方法であろうと何の犠牲もともなわず電気を得ることはできません。

海外から電気を買うことは、私としては正直、喫緊の論点とは認識していませんでした。陸続きのヨーロッパと島国の日本では状況が異なると思いますので。
あえて、海外から原発で作られた電気を買うのと国内の原発再稼動かの二択でも、安易に後者を選択することができません。自称「世界一厳しい」安全基準が眉唾というのもありますが、東京電力の姿勢を見ていると、いざ事故が起きた際に被災者に対して全力で責任を取ろうとしないような企業に原発を動かしてもらいたくありません。
極端な話ですが、たとえ海外の事業者でも、万が一事故が起これば発電企業が経営陣はもとより正社員の財物を供出してでも無限責任を負い、電力消費者・消費国にも相応の賠償負担を負ってもらうという風な倫理規範の下で運営されるのであれば迷います。

廃炉の費用を捻出するための原発再稼働という思考回路は私にはありませんでした。
少なくとも、前提条件として万が一原発が破局的事態を招けばどれほどの損害が生じるのかを明確にしておかなければならないと思います。
私は、何から何まで原発事故の損害賠償の対象とする風潮には反対です。例えば放射線検査で放射性物質が検出されない農作物に対する風評被害は、東京電力ではなく福島産の農産物を敬遠する消費者が悪いと思いますし、そもそも東電が風評による差額を賠償する必要はないと思います。放射線が出ないものにどう賠償しろというのか。
しかし、未だに福島原発事故の損害額は計り知れず、結論は出せないと思います。
もしかしたら今後、子供の甲状腺癌発症増加が医学的に証明されるかもしれません。本来現状回復のために行われるべき森林除染を行うとすればどれほどの金額となるでしょうか。最終処分場の建設費用も未知です。泣く泣くペットを置き去りにせざるを得なかった避難区域の人たちの精神的苦痛の賠償はされたでしょうか。

投稿: 四国人 | 2018年11月 9日 (金) 00時35分

※少し追記させてください。

先のコメントの最後は、原発事故の被害額がどんどん膨れ上がるという前提で書きました。

しかし、逆のケースの可能性も捨てきれません。

医学的に、「実は20ミリシーベルト/年の土地に普通に暮らしても全然問題ない」と証明されるかもしれません。

1kgあたり100ベクレルの食品基準値も、500ベクレルまで全く問題ないと証明されるかもしれません。

まずないと思いますが、仮に上記のような事態になれば被害額は随分と圧縮されるでしょう。

いずれにしても原発事故の損害は未だ計り知れません。そのような中でそろばん勘定をするのは時期尚早だと思います。

投稿: 四国人 | 2018年11月 9日 (金) 00時49分

皆様の議論について、なるほどと拝見しました。
原発は安全面や国防面からも無い方が良いでしょうし、世界的な資源不足に備えるためにも再生エネルギー発電に切り替えていくのが良いんでしょうね。
ただ、発電量が日々不安定というリスクが大き過ぎるのも確かでしょうし、蓄電技術の向上が図られないうちは国を挙げての取り組みにはなり辛いでしょう。
脱原発活動は労働組合的には良好な職場環境の構築という目的達成の為の一手段に過ぎないと考えますので、私個人としては目先の職場課題の解決に比べ、優先順位はかなり低いものと考えています。
政治的な面で政党や協力団体の支援を得る為に必要なのも理解していますが、あまり熱心に熱を入れ過ぎるのはかえって組合員の自由時間を奪うことになりかねないと考えますし、別の考え方を持つ方々の組合離れに繋がるように考えています。
対外的には政治面の利益を確保するため脱原発のポーズを取りつつ、活動は是々非々、組合からは原発9条等について積極的な発信は行わないスタンスの労働組合活動であってほしいのが本音のところです。

投稿: 牧場 | 2018年11月 9日 (金) 07時21分

皆様の意見を拝聴でき興味深いです。
また、現実に即した視点をお持ちで安堵したりしています。(上から目線に感じられたら申し訳ありません)
理想を掲げる場合は、こうした地に足の付いた意見と、どのようにすり合わせをしていくのかが必要となるのでしょうね。
地熱発電は確かアイスランドで盛んなんですよね。あちらでは温水提供と両方で活用していたと思います。日本でも小規模な地熱発電施設がありますが技術的に難しい部分があり普及していないと記憶しています。ここのブレイクスルーができれば、一気に有望な選択肢になると思います。

投稿: qur | 2018年11月 9日 (金) 08時01分

>四国人氏

ご意見ありがとうございます。いわゆる組合や某フォー
ラムの反原発運動は唾棄すべきものといつも思っていま
すが、四国人氏のコメントはとても共感でき理解できる
内容です。私はエネルギーに関することはイデオロギー
ではなく、リスクとリターンを検討し、安定した社会生活
を守るための議論であってほしいと考えています。

しかし組合や某フォーラムが主導する集会などは聞くに
たえない醜い誹謗中傷ばかりです。冷静にこれからの
エネルギー確保やインフラの維持、日本にあった再生
可能エネルギーの開発などの議論こそが必要と強く
思っています。

処理技術が確立していない原発に無理があることは私も
重々承知しています。近隣に平気で原潜を海に沈めた
ままの国もあり、日本だけでどうこうなる問題ではなく
ならば、使えるものは有効に使いたいと思っています。
完全な蓄電技術が確立できれば、もう原発もいらなくなる
はずなんですが。
ご意見ありがとうございました

投稿: nagi | 2018年11月 9日 (金) 09時12分

おこさん、nagiさん、四国人さん、 Alberichさん、qurさん、牧場さん、コメントありがとうございました。

今回の記事本文に綴ったとおり閲覧者の一人として、それぞれのご意見を興味深く拝見しています。いろいろな考え方や情報に触れ合うことで「やはり原発はなくしたい」と思うのか、「それでも原発は必要」と思うのか、このブログが原発の将来のあり方について関心を高めていくための一つの材料になれることを願っています。

そのような意味で幅広い視点や立場からのコメント投稿を心から歓迎しています。本来、この場を通して私自身も議論に参加すべきなのかも知れませんが、少し距離を置かせていただいている関係性についてご理解ご容赦くださるようよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2018年11月10日 (土) 07時22分

qur殿

>再生可能エネルギーでで想定されているのは太陽光や風力と思いますが、これらはベースロード発電に比べて自由に出力調整が出来る発電施設じゃないでしょう。

ベースロード発電は出力調整が出来るのでしょうか?少なくとも原発については運転中に出力を変更したという事を私は聞いた事がありません。


>真冬の吹雪の北海道に太陽光パネルがいくらあったところで発電できますか?そういう時に電力需要を満たせないと凍死者が出るのでしょう。

再生可能エネルギーは太陽光発電だけではありません。例えば吹雪で風があれば風力発電で電気は得られます(北海道は他の地域に比べて風力発電に適した土地が多いそうです)

投稿: Alberich | 2018年11月13日 (火) 21時57分

Alberich様
私の用語の使い方が不正確で誤解を招いたようですが、私は出力調整ができるベースロード発電施設として、火力を念頭に置いています。燃料の安定供給力と価格差を理由に、石炭火力がもっぱらベースロード用、石油や天然ガス火力が調整用と大まかに分けられるようですが、技術的な違いではないので、私は区別せずに考えていました。
原発は(運用する場合は)それこそベースロードになるのでしょうが、地熱発電が大規模に実用化されれば、その方が好ましいと思っています。
ところで気になるのが
>再生可能エネルギーは太陽光発電だけではありません。例えば吹雪で風があれば風力発電で電気は得られます
という御発言です。
何だか「ああ言えばこう言う」みたいなことになっており不本意ですが、改めて指摘しておきます。
太陽光でも風力でも同じですが、それらは「需要に応じて発電量を増やす」ことが可能なのですか?降雪で風がない場合はどうしますか?「天候任せじゃ自由な制御ができないのだから、必要な時に必要な量を発電できないリスクが高すぎてダメでしょう」という当たり前のことを言っているのに、何故通じないのでしょうか。
また、「出力が多すぎても少なすぎても、ブラックアウトのリスクが増す」ことは念頭に置かれていますか?かりに十分以上の再エネ発電施設が基幹電力網に繋がっていて、出力が過大になったらやはりブラックアウトが起こり得ます。ですから「基本的に自家発電として導入すべき」と言っているのです。これならブラックアウトを起こす心配も無く、ピーク電力差の抑制にもなるからです。
先に言っておきますが、再エネ発電量の供給過多を吸収する目的で揚水発電所を増やすという案には反対です。水力発電、つまりダムを用いる発電は基本的に建設区域の生態系を不可逆的に破壊する環境破壊を起こします。再エネ発電で環境に優しいつもりでいて、揚水発電で環境を破壊していては世話がありません。また、コスト的にも再エネ発電施設を自家発電用にする場合に比べて、余計な施設を作らなければならない分不利であると考えます。

投稿: qur | 2018年11月13日 (火) 22時55分

こんばんわ。
2018年11月3日(土)の私のコメントで「徴用工」ということばを使いましたが、本件の原告は「徴用工」ではないということなので、ネットを見ると依然として本件について「徴用工問題」と称しているものもあるようですが、「労働者」に訂正します。
今後の展開が気になるところです。

投稿: おこ | 2018年11月15日 (木) 22時30分

nagi殿

>ただ再生可能エネルギーによるあらたな環境破壊についてはどのようなご意見をお持ちですか? 最近特に耳にするのが、山林を切り開いたり、堤防沿いに太陽光パネルを並べて近隣住民ともめていると聞きます。

近隣住民ともめているのは再生可能エネルギーだからではなく、無秩序に開発を行うからだと思います。山林を切り開いて作るのが太陽光発電所ではなく墓地やゴルフ場だったとしても、やっぱり同じように近隣住民ともめると思います。
私は再生可能エネルギーかに関係なく、無秩序な開発は規制すべきだと思います。
電力会社が既に送電網に接続を承認している(稼働を許可している)太陽光発電施設の総発電量だけで、国が想定している2030年代の再生可能エネルギー全体の発電量に近いそうです。
現在(送電網に接続して)発電している太陽光発電施設は接続を承認された発電施設の一部ですから、既に承認されているがまだ発電していない施設が稼働し始めると、住民ともめるような施設を作らなくても再生可能エネルギーの発電量は増えていくと思います。


>北海道で、太陽光と揚水電力で冬場を乗り切れるのか疑問です。

北海道では風力発電も盛んです。特に冬はオホーツク海沿岸では(いわゆる爆弾低気圧による)強風が吹くそうなので、風力発電による発電量が大きいと思います。


>世界でもアジアでも原発の新設は続いていて、原発による発電量も増えています。

アジアで原発を新設しているのは、中国(とインド)ぐらいではないでしょうか?
中国は国(共産党)が作ると言えば作れる国ですし、インドは電気を使えない人が国民の何割もいる国です。いずれも日本とは状況が違うと思いますし、どちらの国も日本がお手本にしたい国だとは私は思いません。
アジアでも台湾は原発を廃止するようですし、韓国も廃止したいと政府は言っているそうです。ベトナムでは原発の新設を中止しました。アジアに含まれるかは分かりませんがトルコでは建設する会社(三菱重工)が費用が掛かりすぎるので建設を中止したい と言っているそうです。


>qur氏が言われるように既に存在するものを現状使用することもダメですか?廃炉するにも費用がかかる以上、その費用を捻出するために稼働させては駄目ですか?

qur殿にも申し上げましたが、既に存在するものがそのまま(費用なしで)使用できるのであれば、考慮の余地があるかもしれません。
しかし既に存在するもの(原子炉)を使用するにも費用がかかります。泊原発では稼働するためには新たに数百億円以上(一千億円という報道もありました)の費用がかかります。それだけの費用を既に存在するものを使用するために使う事と、別の事に使うの事のどちらが良いかはきちんと検討するべきだと思います。
廃炉費用の捻出方法として、(費用をかけて)原発を再稼働させてその収益を充てる事と、その費用を別の事に投資してその収益を充てる事のどちらが優れているかはきちんと検討して判断すべきだと思います。

投稿: Alberich | 2018年11月16日 (金) 21時58分

Alberichさん、qurさん、おこさん、コメントありがとうございました。

たいへん参考になる議論が続いていることに感謝しています。お時間等が許される際、ぜひ、これからもよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2018年11月17日 (土) 06時40分

qur殿

>何だか「ああ言えばこう言う」みたいなことになっており不本意ですが、改めて指摘しておきます。

「ああ言えばこう言う」というつもりではなくて、再生エネルギーといっても様々な種類や特性があるという意味で申し上げました


>陽光でも風力でも同じですが、それらは「需要に応じて発電量を増やす」ことが可能なのですか?降雪で風がない場合はどうしますか?「天候任せじゃ自由な制御ができないのだから、必要な時に必要な量を発電できないリスクが高すぎてダメでしょう」という当たり前のことを言っているのに、何故通じないのでしょうか。

「需要に応じて発電量を増やす」ができない事や「自由な制御ができず必要な時に必要な量を発電」ができない事は再生エネルギでも原子力発電でも同じだと思います。
原子力発電ではこれに対処するために揚水発電所等により電力需要との差を調整してきました。原子力発電を止めても揚水発電所は残るので、その揚水発電所で(原子力発電の電力の代わりに)再生エネルギと電力需要との差を調整すればよいと思います。


>先に言っておきますが、再エネ発電量の供給過多を吸収する目的で揚水発電所を増やすという案には反対です。

以前に申し上げましたが、泊原発を稼働させるには数百億円以上の費用が掛かります。
その費用を原発再稼働ではなく北海道本州間の電力線の増強に使ってはどうでしょうか?
様々な種類や特性がある再生エネルギーの多くが発電できないような事態(北海道の大部分の地域で太陽光発電ができないような昼間でも暗くしかも風も吹かない日が続く)は一種の災害なので、電力線を増強しておけば本州からより多くの支援(送電)を受けられます。また電力線を増強しておけば、平時は北海道で余った再生エネルギーをより多く本州に輸出できるので、北海道でより多くの再生エネルギー施設を設ける事ができます。
同じ額の費用で原発を再稼働させても、北海道の電力輸出(売電収入)は増えません。


>「出力が多すぎても少なすぎても、ブラックアウトのリスクが増す」ことは念頭に置かれていますか?かりに十分以上の再エネ発電施設が基幹電力網に繋がっていて、出力が過大になったらやはりブラックアウトが起こり得ます。

  ”十分以上の再エネ発電施設が基幹電力網に繋がっていて、出力が過大になった”
という事態は既に九州電力で発生しています。
これに対して九州電力では再エネ発電施設(の能力の一部)を基幹電力網から外す事で対応し。特に問題は起こりませんでした(再エネ発電業者にとっては売れるはずの電力が売れなかったので大問題だったと思いますが)

投稿: Alberich | 2018年11月20日 (火) 22時12分

北海道の冬場での大規模停電に関して以下の記事がありました。

http://agora-web.jp/archives/2035697.html

この記事の中で、北海道立総合研究機構の建築研究本部長で北方建築総合研究所所長の鈴木大隆氏は以下の様に述べています。

「道内全域ではないにしろ、北海道ではこれまでに、寒い時期の数日間の停電が何度も起きているんですよ。例えば最近だと2012年に、暴風雪で鉄塔が倒れたり電柱が折れたりして、登別や室蘭を中心に、最大3日間の停電が発生しました」
「冬場に暖房が使えなくなる可能性があるのは、停電時だけではないですよ」(2004年1月には北見市で、豪雪による交通マヒで灯油の配達が3日間できないという事態になった事があったそうです)

今回のブラックアウトに関してこのような意見を聞いた事がなかったので興味深いです。

投稿: Alberich | 2018年11月20日 (火) 23時14分

>”十分以上の再エネ発電施設が基幹電力網に繋がっていて、出力が過大になった”という事態は既に九州電力で発生しています。
>これに対して九州電力では再エネ発電施設(の能力の一部)を基幹電力網から外す事で対応し、特に問題は起こりませんでした(再エネ発電業者にとっては売れるはずの電力が売れなかったので大問題だったと思いますが)

はあ、そうですか。これはまたずいぶんと雑な御意見ですね。
つまりAlberich様は、最大電力需要に合わせた(しかも気象変動を吸収しうる規模・数量の)再エネ発電設備を作れという主張なのですね。で、ピーク時以外、つまりほとんどの時間に発生しているであろう余剰電力については、基幹電力網から外せば良い、すなわち「捨てろ」と。

それって「無駄」と言いませんか?

本稿のコメントを最初の方から振り返りましたが、Alberich様は一貫して「再エネ発電施設をもって原発に代替せよ」との御主張です。発電量の微妙な調整ができない点では原発も再エネも同じなのだから代替可能との御意見かと理解しています。
私はそれに対し「現在の技術で想定される再エネ発電設備では原発等のベースロード発電が行っている『常時一定量の発電』すら『原理的に』不可能なのだから、再エネ発電施設がベースロード発電機能を代替することなど到底無理」という意見です(決定的に噛み合ないのはこの点かと思います。Alberich様は何故か「出来ると思う」とだけ仰っている。電力会社が日々、どれだけの労力を払って電力需要の予測や需給調整を行い、ブラックアウトを回避しているのか御存知でない?)。

その上で私は、今後の発電のあり方について「原発は技術的、日本の文化的に廃止に向わざるを得ないが、廃止までの間、現状を踏まえた最も効率的、安定的かつ安全な発電方法のベストミックスを追求すべきであり、その観点からして、既存原発の利用が選択肢から排除されるべき特段の理由はない」と考えています。

まとめると、
・Alberich様の御意見
「原発機能と再エネ機能は技術的に代替可能である。だから代替すべきである。『何故』代替すべきかは論じない。」
・qurの意見
「原発等のベースロード発電機能を現状の再エネで置き換えることは原理的に不可能であり代替不可。ベースロード機能もピーク調整機能もそれぞれに現状を踏まえた最適解となる技術の組み合わせを追求するしかなく、その観点で既存原発の利用を選択肢から外す理由は無い。」

これで総括になったでしょうかね。

投稿: qur | 2018年11月21日 (水) 00時18分

>「道内全域ではないにしろ、北海道ではこれまでに、寒い時期の数日間の停電が何度も起きているんですよ。例えば最近だと2012年に、暴風雪で鉄塔が倒れたり電柱が折れたりして、登別や室蘭を中心に、最大3日間の停電が発生しました」
「冬場に暖房が使えなくなる可能性があるのは、停電時だけではないですよ」(2004年1月には北見市で、豪雪による交通マヒで灯油の配達が3日間できないという事態になった事があったそうです)

送電機能が断たれれば需要側で停電するのは当たり前ですが?それが発電方法等の議論とどう関係するのですか?また、交通マヒによる燃料不足はこれまでの議論とどのように関連するのでしょう?もしかして「これまでにもあったのだから、今後もあって差し支えない。つまり、原発を再稼働するくらいなら、医療機関で電気機器が使えずに死者が出ても、一般家庭に暖房用燃料が届かずに凍死者が出ても構わない。そのくらいのリスクは受け入れろ」とでも?
私、議論の最初の方で、ブラックアウトの防止策として電力網の複線化が必要と書いていたかと思います。これは送電機能面からの対策です。当然、引用記事の場合における停電防止策にもなりますね。
ちなみに私、こういう場合にこそ、再エネ発電施設+蓄電池の組み合わせが大いに役立つと思っています。要するに電力の地産地消で急場を凌ぐという選択肢ができる。これだけでずいぶん違うのではないでしょうか。

で、Alberich様はどうお考えなのでしょう?

投稿: qur | 2018年11月21日 (水) 00時43分

>以前に申し上げましたが、泊原発を稼働させるには数百億円以上の費用が掛かります。
その費用を原発再稼働ではなく北海道本州間の電力線の増強に使ってはどうでしょうか?
様々な種類や特性がある再生エネルギーの多くが発電できないような事態(北海道の大部分の地域で太陽光発電ができないような昼間でも暗くしかも風も吹かない日が続く)は一種の災害なので、電力線を増強しておけば本州からより多くの支援(送電)を受けられます。また電力線を増強しておけば、平時は北海道で余った再生エネルギーをより多く本州に輸出できるので、北海道でより多くの再生エネルギー施設を設ける事ができます。
同じ額の費用で原発を再稼働させても、北海道の電力輸出(売電収入)は増えません。

改めてこの辺りの御意見を読むと、目指す目的が電力の安定安心な供給ではなく、あくまで「北海道の原発の停止廃止」であることがよく分かるなあという印象です。日本全体でどうすべきかというご意見もお持ちでないようで。

投稿: | 2018年11月21日 (水) 08時18分

記名が漏れましたが、2018.11.21 8:18のコメントは私です。

投稿: qur | 2018年11月21日 (水) 10時33分

Alberichさん、qurさん、コメントありがとうございました。

週に1回、感謝の言葉しか添えられませんが、お時間等が許される限り、この場をご利用ください。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2018年11月24日 (土) 06時39分

qur殿

>はあ、そうですか。これはまたずいぶんと雑な御意見ですね。
>つまりAlberich様は、最大電力需要に合わせた(しかも気象変動を吸収しうる規模・数量の)再エネ発電設備を作れという主張なのですね。

九電の例はqur殿が
   かりに十分以上の再エネ発電施設が基幹電力網に繋がっていて、
   出力が過大になったらやはりブラックアウトが起こり得ます。
と仰った事に対して、
   十分以上の再エネ発電施設が基幹電力網に繋がっていても
   ブラックアウトは起きない
事の実例として挙げたもので、私の意見や主張ではありません。


>『常時一定量の発電』すら『原理的に』不可能なのだから、再エネ発電施設がベースロード発電機能を代替することなど到底無理

『常時一定量の発電』ができる事が重要でしょうか?
私は
   『常時一定量の発電』ができる事
よりも
   電力需要と発電量の差を調整できる事
のほうが重要だと思います。
以前に申し上げましたが電力需要は常に変動しています。
電力需要が『常時一定量の発電』量よりも少なければ(そのままでは)電力需要との差は無駄になってしまいます。原子力発電は真夜中など電力需要が発電量より少ない時は揚水発電所等により電力需要との差を調整してきました。
原子力発電を止めても揚水発電所は残るので、その揚水発電所で(原子力発電の電力の代わりに)再生エネルギと電力需要との差を調整すればよいと思います。
電力需要は常に変動しているので、再生エネルギ発電と電力需要の調整が原子力発電と電力需要の調整より困難だとは私は思いません。実際は、電力需要は昼間が多く夜は少ないです。太陽光発電は昼間に発電し夜は発電しないので、(常に一定量を発電する原子力発電より)全体としては電力需要に追随していると思います。その意味でむしろ太陽光発電のほうが原子力発電発電よりも需給調整は容易だと思います。


>Alberich様は何故か「出来ると思う」とだけ仰っている。

上で申し上げたように、原子力発電を行わなくても(これまで原子力発電が利用してきた)揚水発電所等の需給調整機能を利用する事により再生エネルギと電力需要との差を調整できると思います。
つまり原子力発電を代替できると思います。


>原発等のベースロード発電機能を現状の再エネで置き換える

原発等の”等”の意味がよく分かりません。
これは、
   ”火力発電全体でなく原発の発電機能を現状の再エネで置き換える”
という意味でしょうか?それとも
   ”原発を含む火力発電全体の発電機能を現状の再エネで置き換える”
という意味でしょうか?
原発の発電機能だけであれば(原発廃止に伴う再生エネルギ発電の増加を考慮すれば)再生エネルギ発電で置き換える事は可能だと思います。
また今回の話題は
   泊原発が稼働していればブラックアウトが防げたか
という事だと思います。このため原発以外の既存の発電所(火力,水力等)はこれまで通り稼働する事は前提だと思っています。


>その観点で既存原発の利用を選択肢から外す理由は無い。

仰るように既存原発の利用も選択肢に含まれると思います。
しかし選択肢に含まれる事と評価の結果としてその選択肢を採用する事とは違います。
泊原発を利用(稼働)するには新たに数百億円以上の費用がかかるそうです。
qur殿は様々な選択肢の中で既存原発の利用という選択肢を採用するべきだ(その費用を既存原発の利用に充てる事が他の用途に充てる事よりも優れている)とお考えでしょうか?

投稿: Alberich | 2018年11月26日 (月) 21時52分

qur殿

>送電機能が断たれれば需要側で停電するのは当たり前ですが?それが発電方法等の議論とどう関係するのですか?

私は最初のnagi殿の投稿で示された記事を読んで、
   冬に大規模停電が発生すると過去に例のない大惨事になる
と思っていたので、
   冬に大規模停電が発生した事は過去に例がある
という記事を見て意外に思い、(ご存じだった方もいらっしゃると思いますが)読者の方の御参考になればと思い投稿しました。


>また、交通マヒによる燃料不足はこれまでの議論とどのように関連するのでしょう?

nagi殿の投稿で示された記事は
   冬にブラックアウトが起きると暖房に支障が出るので
   大惨事になる(だから原発を稼働すべきだ)
という主張だと思います。
しかし電気が通じていても交通が遮断され灯油がなくなれば、やはり暖房に支障が出るので大惨事になります。
私は
   暖房に支障が出て大惨事になる原因は停電だけではない
という事は知らなかったので、(ご存じだった方もいらっしゃると思いますが)読者の方の御参考になればと思い投稿しました。


>Alberich様はどうお考えなのでしょう?

大規模停電対策としては、qur殿が仰るように送電網の複線化や再生エネルギーによる電力の地産地消が有効だと思います。但し冬場に暖房に支障が出るような災害は大規模停電だけではないので、それらにも有効な対策としては記事で述べられているように
  ・石油ストーブやカセットコンロの常備
  ・住宅の高断熱化
が有効だと思います。
記事にも述べられていますが、高断熱の戸建住宅では、外気の最高気温-4℃、最低気温-14℃の状態で24時間暖房をしなくても室内の温度は6℃(20℃→14℃)下がるだけだそうです。

投稿: Alberich | 2018年11月26日 (月) 21時56分

qur殿

>改めてこの辺りの御意見を読むと、目指す目的が電力の安定安心な供給ではなく、あくまで「北海道の原発の停止廃止」であることがよく分かるなあという印象です。日本全体でどうすべきかというご意見もお持ちでないようで。

これはqur殿が
   再エネ発電量の供給過多を吸収する目的で揚水発電所を増やす
   という案には反対です。
と仰った事に対して、
   再エネ発電量の供給過多を吸収する(揚水発電所を増やす以外の)案
として申し上げたものです。
それに各地域間での電力融通能力を向上させる事は、自地域で消費しきれない電力を他地域で消費する事が可能になるため各地域の再生可能エネルギ発電量の増加につながるだけでなく、自地域の電力供給に問題が生じた際に他地域からより多くの電力支援が可能になるので日本全体での電力の安全安定安心な供給につながると思います。

投稿: Alberich | 2018年11月26日 (月) 21時59分

Alberich様
 ご返答ありがとうございます。
 が、どうして各論へのまとまりのない反論にとどまり、肝心な「何故、原発を再エネ発電施設に代替すべきと考えているのか」については、一向にご回答いただけないのでしょうか?

 私からは一点だけお返事させていただきます。
>qur殿は様々な選択肢の中で既存原発の利用という選択肢を採用するべきだ(その費用を既存原発の利用に充てる事が他の用途に充てる事よりも優れている)とお考えでしょうか? 
 この点について、私は「既存原発の利用という選択肢を採用する『べき』だ」と書いたことはありません。ただ、社会的経済的に最も有利な方法を選択すべきであるとだけ考えています。
 ただし、既存原発を再稼働しない場合に、国内の放射性物質の後始末に要するコストをどうやって回収するのかは無視出来ないと考えます。そもそも技術的に処分方法が未定のままですので、泊原発の再稼働に要する数百億円では済まないことは確かでしょう。そして、泊原発を改修し再稼働すれば、それはコストを要しますが経済的利益(発電)を生みます。しかし、既存放射性物質(未使用・使用済両方を含む)の最終処分については、極端に言えば費用がかかるだけであり、経済的利益を生む事はありません(未使用燃料を海外に売るとか、放射性物質の新たな処分技術を確立した後にこれを売るとか、仮想ではいろいろ考えられますが、一義的には放射性物質の処分は廃棄物の最終処分ですから、そういった細かい要素は無視します)
 単に再稼働のためのコストではなく、原子力発電に関するトータルコストを考えなければ、ベストな回答は出せないというのが私の考えです。原発再稼働をしないということは、既存放射性物質が生み出す熱とともに、経済的利益を生み出す可能性をも全て捨てるということになります。つまりエネルギー面、経済面、両方の無駄が生じます。これがベストな回答だとは思えません。
 それよりは単に「利用出来る物は利用しつくした方が経済的だ」という考えに近いです。従って「再稼働の選択肢は残る」と考えますし、経済的に有利な方法として有力な選択肢であるとも予想しています(「再稼働すべき」ではないことに注意してください。この問題は、放射性物質の最終処分方法とその費用−技術的だけでなく社会的な費用も含む−を明らかにしなければ、真に効率的な方法は見出せず、現時点で議論しようとすれば、諸々の仮定を導入せざるを得ません。また、私はここで、そこまで含めた議論を行う必要もないと考えます。その理由は、Alberich様と異なり、私は「原発か再エネか」の二者択一の立場を取っていないからです)

 さて、Alberich様は「原発は再エネ施設で代替すべきだ」とお考えなのですよね。「代替可能だ」という主張だけではなく「代替すべきだ」なのですよね。これまでのコメントの全趣旨からそのように判断せざるを得ません。
 再度質問します。何故、原発は再エネ施設で代替「すべき」だとお考えなのですか?より経済的だから?それにしては再エネによる代替が経済的に優位であることを示す御説を頂いていませんが?
 初期に書いたように、Alberich様のお立場は始めから「原発再稼働まかりならぬ」なのではないですか?その前提に立ち「原発を再稼働しなくてよい」理由だけをあちこちから探して挙げているだけなのではないですか?私にはそのように見えてなりません。
 (付記)
>但し冬場に暖房に支障が出るような災害は大規模停電だけではないので、それらにも有効な対策としては記事で述べられているように
  ・石油ストーブやカセットコンロの常備
  ・住宅の高断熱化
が有効だと思います。
 一般に高断熱住宅は高気密住宅ですから、そのような住宅内でむやみに石油ストーブやカセットコンロを使うと酸欠の危険がありますので、念のためご指摘しておきます(私は、高気密高断熱住宅は十分に普及していると考えていたので、この問題について今更「住宅の高断熱化が有効」などという意見が紹介されることに強い違和感を覚えますが、ひょっとしたら高断熱住宅の事情に詳しくない方もいらっしゃるかと思い、敢えて指摘しました) 

投稿: qur | 2018年11月26日 (月) 23時57分

qur殿

>「既存原発の利用という選択肢を採用する『べき』だ」
と書いたことはありません。

私も
  「原発の発電機能を再生エネルギの発電機能で置き換える事は原理的に不可能であり
   代替不可」
という意見がよく理解できなかったので、
  「原発の発電機能を再生エネルギの発電機能で置き換える事は原理的に不可能ではなく、
   代替不可でもない」
という事は申し上げましたが、
  「原発は再エネ施設で代替す『べき』だ」
と書いた事はなかった(と思います)。


>ただ、社会的経済的に最も有利な方法を選択すべきであるとだけ考えています。

全く同意見です。


>ただし、既存原発を再稼働しない場合に、国内の放射性物質の後始末に要するコストをどうやって回収するのかは無視出来ないと考えます。

国内の放射性物質の後始末に要するコストは原発の再稼働に関係ありません(厳密には再稼働すると処理すべき使用済核燃料が増えるので放射性物質の後始末に要するコストは増えます)
そのコストを原発の再稼働による経済的利益(発電)で回収するか、それとも再稼働に要する費用を別の分野に充て、その分野の経済的利益(発電)で回収するかは検討の余地があると思います。


>泊原発を改修し再稼働すれば、それはコストを要しますが経済的利益(発電)を生みます。

再稼働のコスト(費用)を別の分野に充てれば、その分野で経済的利益(発電)を生みます。
原発の再稼働にはどちらの利益が大きいかという検討も必要だと思います。


>単に再稼働のためのコストではなく、原子力発電に関するトータルコストを考えなければ、ベストな回答は出せないというのが私の考えです。

単に原子力発電に関するトータルコストではなく、発電全体に関するトータルコストを考えるべきだと思います。ある費用を原発再稼働に使わない事で(原発が稼働できず)原子力発電に関するトータルコストが悪化したとしても、その費用を別の分野に使う事でその分野で得られる利益が原子力発電に関するトータルコストの悪化を上回るものであれば、原子力発電に関するトータルコストの悪化よりも発電全体に関するトータルコストの改善を選択すべきだと思います。


>原発再稼働をしないということは、既存放射性物質が生み出す熱とともに、経済的利益を生み出す可能性をも全て捨てるということになります。

原発再稼働をする(ある費用を原発再稼働に充てる)という事は、その費用を別の分野に充てた場合にその分野が経済的利益を生み出す可能性をも全て捨てるという事になります。


>従って「再稼働の選択肢は残る」と考えますし、経済的に有利な方法として有力な選択肢であるとも予想しています

以前に申し上げましたが再稼働するためには多額の費用が掛かります。この費用を再稼働に充てる場合と別の分野に充てる場合の経済的な検討を行わなければ、再起動という選択肢は単なる1つの選択肢であって、有力な選択肢であるとは言えないと思います。


>その理由は、Alberich様と異なり、私は「原発か再エネか」の二者択一の立場を取っていないからです

泊原発に関しては、再稼働に必要な費用を半分だけ使って(防潮堤を半分だけ作って)半分だけ再稼働する という事はできないと思います。
つまり泊原発に関しては、
 A) 再稼働に必要な費用をすべて使って、泊原発を再稼働する
 B) 再稼働に必要な費用は全く(再稼働には)使わず、泊原発は再稼働しない
の二者択一だと思います。


>その前提に立ち「原発を再稼働しなくてよい」理由だけをあちこちから探して挙げているだけなのではないですか?

私は、
  「泊原発の再稼働はブラックアウト再発の防止に貢献しない」
という意見に反対する意見や
  「原発の発電機能を再生エネルギで置き換える事は原理的に不可能」
という意見や
  「再稼働の選択肢は経済的に有利な方法として有力な選択肢である」
という意見に理解できない点があるので、理解できない点について意見を述べているだけです。

投稿: Alberich | 2018年11月30日 (金) 22時02分

qur殿

>一般に高断熱住宅は高気密住宅ですから、そのような住宅内でむやみに石油ストーブやカセットコンロを使うと酸欠の危険がありますので、念のためご指摘しておきます

元の記事(*1)と関連する記事(*2)は今回のような大停電への備え方と、それがもし冬場に起こったときの対処の仕方に関するものです。
*1 http://agora-web.jp/archives/2035697.html
 *2 http://agora-web.jp/archives/2035676.html

記事の筆者の

「冬場に停電になると当然、電気を必要とする暖房は全て使えなくなります
   ・  ・  ・
とはいえ断熱性・気密性に優れる最近の住宅では、電気が必要な暖房機器を
使っている家がほとんど。停電になってしまったら、どのように暖をとれば
いいのでしょうか?」

という質問に対して専門家(北海道立総合研究機構の建築研究本部長で北方建築総合研究所所長の鈴木大隆氏)は次のように述べています。

「緊急時に一時的に使うということなら、誰でもできる事としてはやっぱり
昔ながらの石油ストーブをひとつ常備しておくということでしょうか。今回
の大停電でもそうだったと思いますが、ご家族がいればたいてい、リビング
など1ヵ所に集まって過ごすでしょうから、一部屋をそれなりに暖められれば
十分なはず。これでカセットコンロがあれば、とりあえずはしのげます」


qur殿ご指摘の酸欠に関しては、鈴木氏は以下の様に述べています。

「LDKで石油ストーブを使っている場合、2階建てなら階段を煙突代わり
にして換気ができますよ。2階の窓を5?10cm程度開けっ放しにしておけば
自然と1階の空気が2階から排気され、新鮮な空気も一定量入ってきます」

「平屋やマンションの場合は、LDKと逆の方にある部屋の窓を開けて、
水平方向に空気の流れをつくれば、2階建ての場合と同じような効果が
得られるといいます。」

「寒いのに窓を開けて換気するのは」と躊躇するかもしれませんが、開放
型ストーブは直火による放射熱と反射板や網による輻射熱で、室内の床や
壁が直接暖まります。窓が少し開いていても劇的に室温が下がるという事
はないので、一酸化炭素中毒などの事故を避けるためにも換気は必要です」


>(私は、高気密高断熱住宅は十分に普及していると考えていたので、この問題について今更「住宅の高断熱化が有効」などという意見が紹介されることに強い違和感を覚えますが、ひょっとしたら高断熱住宅の事情に詳しくない方もいらっしゃるかと思い、敢えて指摘しました)

この点について、この記事の筆者は以下の様に述べています。

 現在、北海道はもとより全国的に断熱・気密性能の高い住宅も増えてきて
 いますが、それが「今の日本の住まいのスタンダード」とまでは言えない
 状況です。また特に道内にある築年数の古い家は、暖房なしでは真冬の寒さ
 に耐えられないでしょう。

このような古い住宅の対応について鈴木氏は「LDKのシェルター化」つまり、新築やリノベーション時にLDKだけ他のスペースよりも断熱材を厚めに入れて断熱性能を強化し、冬場に暖房に支障が出るような災害が起きた場合は家族がLDKに避難する事を推奨しています。

投稿: Alberich | 2018年11月30日 (金) 22時06分

>「原発は再エネ施設で代替す『べき』だ」と書いた事はなかった(と思います)。
ではなぜ、原発再稼働という選択肢を否定することばかり主張されるのでしょうか?原発を再エネで代替可能だという主張と、原発再稼働を容認する主張とは、論理的に矛盾無く両立できます。それなのに、これまで、この2つを両立した場合のことについて、全く御発言がないように思います。それでいて「原発は再エネ施設で代替す『べき』だ」と書いた事はなかった(と思います)。」と言われても、では何を仰りたいのか、全く意味が分かりません。
Alberich様は、失礼ですが発電方法や制御システム等に対する知識も十分でないように思えます(例えばこれまでの話で、再生可能エネルギー発電の一種で、化石燃料火力発電に近い方式でありベースロード発電を担える可能性のあるバイオマス発電については一切語られていません)。そのうえ、個別の発言同士に関連性が乏しく、理想とする発電のあり方に関する全体像が見えないなど、論理性にも大いに疑問があります。
例えば、
>ある費用を原発再稼働に使わない事で(原発が稼働できず)原子力発電に関するトータルコストが悪化したとしても、その費用を別の分野に使う事でその分野で得られる利益が原子力発電に関するトータルコストの悪化を上回るものであれば、原子力発電に関するトータルコストの悪化よりも発電全体に関するトータルコストの改善を選択すべきだと思います。
このような意見を述べることで、相手の見解の修正を求めるのであれば、少なくともその見込みがありそうな方法について何か仮設のようなものをを示すべきでしょう。「じゃあどうやって?」と聞かれたときの答えを用意しておられますか?私は少なくとも、原発再稼働によるコストベネフィットの観点については既に意見を述べています。さて、数百億を別の方法に使って、より経済的効果が得られる方法とは何ですか?数百億円を使って再エネ発電施設(どのようなものを想定しているか分かりませんが)を作ったほうがよいという主張であれば、以下の仮設くらいは準備していないと説得力がありません。
・同じ数百億で建設できる再エネ発電施設の総発電量
・当該施設が気象現象を利用するものの場合、気象が発電に不適な時(しかも楽観的な仮定ではなく「最悪の場合」です。楽観的な仮定は、東電が福島原発で行っていたものであり、その結果は衆知のとおりであることを指摘しておきます)の代替発電施設として想定するものと、それが十分に代替になりうる規模がどのくらいか、それが既存施設だけでまかなえるか、また代替可能な発電量及び発電持続時間はどれぐらいか
・数百億円(もしくはそれ以上)で「十分に安全な発電量を確保出来る」施設整備に要する面積(要は開発面積)
・それらの施設の耐用年数及びランニングコスト

ところで「原発再稼働まかりならぬという考えが前提にある」という指摘には反論がないのですね。この前提があると考えなければ、なぜそれほどまでに執拗に原発再稼働容認論を否定するのかが分からなくなりますから、当然といえば当然ですよね。

付記についてのコメントも的外れです。私は別に緊急時に開放型石油ストーブ等で急場を凌ぐ方法を否定していません。というより、自宅でもそれを想定しています。ただし停電時は、高気密高断熱住宅には必ず設置してある24時間換気システムは止まっている事が想定されますので、当然換気方法についても考慮しての備えです。こんなことは常識だと思っていたのですが、どうやら違うようですね。

投稿: qur | 2018年12月 1日 (土) 01時00分

Alberichさん、qurさん、コメントありがとうございました。

この場では具体的なコメントを控えさせていただいていますが、機会を見て原発に関連した新規記事を取り上げられればとも考えています。ぜひ、これからもご訪問いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2018年12月 1日 (土) 05時50分

qur殿

>ではなぜ、原発再稼働という選択肢を否定することばかり主張されるのでしょうか?

今回の話題は
   泊原発が稼働していればブラックアウトが防げたか
   (今後のブラックアウトを防ぐために泊原発を再稼働させるべきか)
という事だと思います。この点に関する私の立場は
   泊原発の再稼働はブラックアウト再発の防止に貢献しない
という事です。
このため、
   今後のブラックアウトを防ぐために泊原発を再稼働させる
という選択肢は否定したと思いますが、原発再稼働全般を否定した事はなかったと思います。
例えば、私は
  「再稼働の選択肢は経済的に有利な方法として有力な選択肢である」
という意見は理解できないと申し上げましたが、
  「再稼働の選択肢は単なる一つの選択肢である」
という意見に疑問を呈した事はなかったと思います。
また私は
  「原発の発電機能を再生エネルギで置き換える事は原理的に不可能であり代替不可」
という意見は理解できないと申し上げましたが、
  「原発の発電機能を再生エネルギで置き換えるべきだ」
と申し上げた事はなかったと思います。


>このような意見を述べることで、相手の見解の修正を求めるのであれば、少なくともその見込みが
ありそうな方法について何か仮設のようなものをを示すべきでしょう。

私は、理解できない意見に対して理解できない点を述べる事と別の案を述べる事とは独立だと思います。別の案を述べなければ理解できない意見に対して意見を述べられないという事はないと思います。
私が理解できないと申し上げたのは
  「再稼働の選択肢は経済的に有利な方法として有力な選択肢である」
という意見であって、
  「再稼働の選択肢も他の選択肢と同等の選択肢である」
という意見ではありません。
再稼働を含むいろいろな選択肢を検討して社会的経済的に最も有利な方法を選択すべきだと思います。
以前に私は原発再稼働でない選択肢として
  その費用を原発再稼働ではなく北海道本州間の電力線の増強に
  使ってはどうでしょうか?
と申し上げた事があり、これに対してqur殿は
  改めてこの辺りの御意見を読むと、目指す目的が電力の安定安心な
  供給ではなく、あくまで「北海道の原発の停止廃止」であることが
  よく分かるなあという印象です。
  日本全体でどうすべきかというご意見もお持ちでないようで。
と仰られたので、
  各地域間での電力融通能力を向上させる事は、自地域で消費しきれ
  ない電力を他地域で消費する事が可能になるため各地域の再生可能
  エネルギ発電量の増加につながるだけでなく、自地域の電力供給に
  問題が生じた際に他地域からより多くの電力支援が可能になるので
  日本全体での電力の安全安定安心な供給につながると思います。
と申し上げましたが、どのように思われますか?
また私は
  原子力発電に関するトータルコストがプラスであっても、
  さらにプラスになる選択肢があればそちらを採用すべきだ
と考えていますが、そこまでいかない場合(原子炉)もあるようです。
福島以降に再稼働した原子炉の数と同じくらいの数の原子炉が採算を理由に廃炉になりました。つまり、再起動による既存放射性物質が生み出す熱とともに経済的利益を生み出す可能性を考慮しても、トータルコストがマイナスになると電力会社が判断した原子炉が再稼働した(トータルコストがプラスにになると判断した)原子炉と同じくらいあったという事になります。
原子炉の稼働期間は運転開始から40年と規定されています(原子力規制委員会が認めれば延長されますが、それは別の話です) このため、再起動が遅れるほど運転期間が短くなり原子力発電に関するトータルコストが悪化するので、時間がたつほど原発再稼働という選択肢の経済的な有利性は減っていくと思います。


>ところで「原発再稼働まかりならぬという考えが前提にある」という指摘には反論がないのですね。

以前の
   Alberich様のお立場は始めから「原発再稼働まかりならぬ」なのではないですか?
   その前提に立ち「原発を再稼働しなくてよい」理由だけをあちこちから探して
   挙げているだけなのではないですか?
というご質問に対して、
   私は、
     「泊原発の再稼働はブラックアウト再発の防止に貢献しない」
   という意見に反対する意見や
     「原発の発電機能を再生エネルギで置き換える事は原理的に不可能」
   という意見や
     「再稼働の選択肢は経済的に有利な方法として有力な選択肢である」
   という意見に理解できない点があるので、理解できない点について意見を述べているだけです。
と申し上げたので
   私の立場が始めから「原発再稼働まかりならぬ」である
というご指摘に(そうではないと)回答したつもりでした。


>停電時は、高気密高断熱住宅には必ず設置してある24時間換気システムは止まっている事が想定されますので、当然換気方法についても考慮しての備えです。こんなことは常識だと思っていたのですが、どうやら違うようですね。

仰る事がよく理解できないのですが、私があげた記事の内容が妥当でないという事でしょうか?

投稿: Alberich | 2018年12月 7日 (金) 22時54分

ここでの応酬も長くなったので、議論の発端を振り返るため、Alberich様の最初のコメントを引用します。

(以下引用)
これは別のブログに投稿したものですが、私は泊原発の稼働は問題の解決にならず、もっと事態を悪化させると思います。

 今回の停電の原因は、泊原発が稼働していなかった事ではなく、大規模発電所の近くで地震が起きた事だと思います。
 今回の地震は泊原発から離れた所で起きたので泊原発が稼働していれば停電は起きなかったかもしれません。しかし泊原発が稼働していればその発電量の北海道全体の電力に占める割合は今回以上に高いので、その時に近くで地震が起きれば泊原発は緊急停止し、今回同様に北海道全体で停電が起きると思います。その場合は今回よりもひどい状況になると思います。
 今回の停電でも泊原発への外部からの送電が止まりました。安全のため、泊原発へは複数の発電所から送電するようになっていたそうですが、北海道全体で停電したためその配慮も役に立ちませんでした。稼働中の泊原発が緊急停止した場合も同様に(全道で停電するため)外部からの送電が止まると思いますが、今回のように冷温停止状態の原発ではなく、稼働中に緊急停止した原発への外部からの送電が止まるので、かなり危険な状態になると思います。
 また今回の停電が長期化したのは、停止した火力発電所が故障してすぐに再開できなかったためです。泊原発が稼働したとしても緊急停止した原発を稼働させるのはそれなりの時間がかかると思うので、今回以上に復旧が長引くのではないかと思います。

 個々の見解には、私の考えと相違ないものが含まれているのですが、要するにおかしいのは、このコメントが以下のような論理構造を持っている点です。以下、突っ込みながら要約します。
・今回のブラックアウトの原因は、大規模発電施設の間近で地震が起きたことだ。←わかる
・今回の胆振東部地震では、泊村は震源から離れており、泊原発が仮に稼働中であれば、厚真が停止しても泊原発と他の発電施設稼働で対応できたかもしれない。←わかる
・しかし、泊原発が稼働していても、泊原発が停止するような場所、規模の地震が起きれば、泊原発が今回の厚真火力の役回りとなり、さらに深刻なブラックアウトが発生するだろう。←は?

 おかしいのはここです。厚真での地震の話をしていたのに、なぜ泊原発が稼働していたと言う仮定で、旧に泊原発の近くで地震が起こった場合の話になるのでしょう。まず考えるべきは「泊原発が稼働している状態で、厚真が地震で損傷した場合」ではないでしょうか?
 また逆に、泊で大地震が起きた場合は、厚真が泊原発停止分の代替に動員されるのではないですか?おそらく出力調整のため停止していたタービンを回すという形で。
 つまり、両方が動いていれば、私が最初から指摘しているように、分散配置による相互補完が効くのではないかというのが、まず単純な意見だと思いますが。それなのに、なぜ仮定を二つ重ねて「別の話」にしたた挙げ句に、それを否定する主張をされているのでしょう。それはそもそも「今回の胆振東部地震で起きた現象とは別の、関係ない話」に思えます。
 また、Alberich様の仮定に沿うとしても、要するに「泊原発に頼りすぎることをしない」だけで、ブラックアウトのリスクは逃れられるのではないですか?それなのに「だから泊原発再稼働はブラックアウト防止に寄与しない」という結論に至るのは、相当に議論をねじ曲げた末の意見だと思います。 
 まして「原発の代替に再エネ発電設備を導入すればよい」は全く意味不明です。原発そのものを否定しておられないのであれば、原発の代替施設を再エネに絞って導入することを主張する意味がないとしか思えません。二酸化炭素増加リスクに眼をつぶって、安定発電も出力調整もできる天然ガス火力を導入するというのなら分かります。出力調整が原発等とは逆のベクトルで不可能な(=気象条件によって予測不能なタイミングでゼロになりうる)再生エネルギー「推し」に拘る理由が全く説明されていません。

 ついでに、例えばAlberich様の論旨は「厚真火力」と「泊原発」を入れ替えても成り立ちますよね、「厚真火力を再稼働しても、厚真直下で地震が起きれば緊急停止し、出力不足でブラックアウトが起こるのだから、厚真の再稼働は意味が無い」で通ります。それを仰ってないのですから「ああ、この人は原発だから反対したい、原発そのものに反対したいんだな」と思うのが自然だと考えますけど。

・・・こうして書いてみても、何だか本当に堂々巡りですね。まさにああ言えばこう言うです。こういう「無理に無理を重ねた議論」が、Alberich様を単なる「反原発論者」に見せる理由です。


 

投稿: qur | 2018年12月 8日 (土) 02時44分

Alberichさん、qurさん、コメントありがとうございました。

このような議論を閲覧できる一人として、たいへん興味深く貴重なことだと受けとめています。その上で納得できるまで続けることも、そろそろ終わらせることもお二人の判断だろうと考えています。

なお、新規記事は働き方改革について取り上げる予定です。ぜひ、これからもご訪問いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2018年12月 9日 (日) 06時48分

qur殿

>>・しかし、泊原発が稼働していても、泊原発が停止するような場所、規模の地震が起きれば、泊原発が今回の厚真火力の役回りとなり、さらに深刻なブラックアウトが発生するだろう。←は?
>おかしいのはここです。厚真での地震の話をしていたのに、なぜ泊原発が稼働していたと言う仮定で、旧に泊原発の近くで地震が起こった場合の話になるのでしょう。まず考えるべきは「泊原発が稼働している状態で、厚真が地震で損傷した場合」ではないでしょうか?


最初の(nagi殿が示された)記事は
  今後真冬に地震が起きてもブラックアウトを発生させないために
  泊原発を(全部)再稼働すべきだ
という内容でした。
この記事に対して検討すべき事は、
  泊原発を再稼働する事が
  既に(厚真付近で)起きた地震に対して、ブラックアウトを防ぐ事になるか
という事ではなく、
  泊原発を再稼働する事が
  今後発生する地震に対して、ブラックアウトを防ぐ事になるか
という事だと思います。
今後発生する地震がまた厚真付近で起きるのであれば泊原発を再稼働する事がブラックアウトを防ぐのに有効だと思いますが、今後発生する地震が泊付近で起きるのであれば厚真を再稼働する事がブラックアウトを防ぐのに有効だと思います。
今後の地震はどこで発生するかはわからないので、両方を考慮すべきだと思います。


>また逆に、泊で大地震が起きた場合は、厚真が泊原発停止分の代替に動員されるのではないですか?おそらく出力調整のため停止していたタービンを回すという形で。

今回問題となったのはブラックアウトが発生した事とそれが長期化した事です。厚真(大型石炭火力)もベースロード電源なので、一定出力で長時間運転し続ける事を想定しており、休止時から稼働までには時間がかかります。このため泊で大地震が起き、緊急停止した泊原発の代替に動員されたとしてもブラックアウトの発生やその長期化の防止には役に立ちません。
また地震で厚真が停止した場合と泊が停止した場合では停止した発電所に対するその後の対応が異なると思います。
今回の様に厚真が停止しても、停止後の厚真はそれほど危険な状態ではないので、停止後の厚真にそれほど対応する必要はなく、ブラックアウト解消に集中できました。
しかし稼働中の泊原発が緊急停止した場合は(全道で停電するため)外部からの送電が止まると思いますが、稼働中に緊急停止した原発への外部からの送電が止まるので、非常用設備で冷温状態にしなければならず、かなり危険な状態になると思います(福島第一はそこで失敗したと思います)このため停止後の泊原発にも対応する必要があり、その分ブラックアウト解消に集中できないと思います。


>また、Alberich様の仮定に沿うとしても、要するに「泊原発に頼りすぎることをしない」だけで、ブラックアウトのリスクは逃れられるのではないですか?それなのに「だから泊原発再稼働はブラックアウト防止に寄与しない」という結論に至るのは、相当に議論をねじ曲げた末の意見だと思います。

申し訳ありませんが、「泊原発に頼りすぎることをしない」の意味がよく分かりません。
最初の記事は
  泊原発の総出力は厚真の総出力より大きいので、泊が(全て)再稼働すれば
  今後真冬に地震が来てもブラックアウトは起きない
という内容だったので、泊原発は全て再稼働するという前提で意見を述べました。


>まして「原発の代替に再エネ発電設備を導入すればよい」は全く意味不明です。原発そのものを否定しておられないのであれば、原発の代替施設を再エネに絞って導入することを主張する意味がないとしか思えません。二酸化炭素増加リスクに眼をつぶって、安定発電も出力調整もできる天然ガス火力を導入するというのなら分かります。出力調整が原発等とは逆のベクトルで不可能な(=気象条件によって予測不能なタイミングでゼロになりうる)再生エネルギー「推し」に拘る理由が全く説明されていません。

申し訳ありませんが、「原発そのものを否定しておられないのであれば、原発の代替施設を再エネに絞って導入することを主張する意味がないとしか思えません。」の意味がよく分かりません。
「原発そのものを否定する」事と「原発の代替施設を再エネに絞って導入する」事は独立だと思います。
qur殿が仰るように「原発の代替施設として安定発電も出力調整もできる天然ガス火力を導入する」と主張すれば「原発そのものを否定していない」事になるのでしょうか?


>ついでに、例えばAlberich様の論旨は「厚真火力」と「泊原発」を入れ替えても成り立ちますよね、
「厚真火力を再稼働しても、厚真直下で地震が起きれば緊急停止し、出力不足でブラックアウトが起こるのだから、厚真の再稼働は意味が無い」で通ります。

仰る通りだと思います。
しかし今回のそもそもの記事の内容が
  今後地震が起きてもブラックアウトを起こさないために
  泊原発を再稼働すべきだ
という事だったので、それに対する意見として泊原発を対象にしました。


>それを仰ってないのですから「ああ、この人は原発だから反対したい、原発そのものに反対したいんだな」と思うのが自然だと考えますけど。

以前にqur殿が

では代替の発電はどのように行うのか、それを準備する期間はどのくらいかかるか、災害時のリスク分散はどうするのか、そういったことが述べられておりません。

と仰った事に対して

上で申し上げたように、原発が稼働してもしなくても、大規模発電所の近くで大きな地震が起きた時のリスクは同じです。ですからqur殿が仰った事は原発の稼働の有無に関係なく考慮すべき事だと思います。

と申し上げています。

投稿: | 2018年12月15日 (土) 23時14分

Alberich様(ですよね?)

重ね重ねのご回答、ご苦労様です。

>この記事に対して検討すべき事は、
(中略)
  泊原発を再稼働する事が
  今後発生する地震に対して、ブラックアウトを防ぐ事になるか
という事だと思います。

「今後発生する地震」に対して、ということであれば、防ぐ事ができる可能性は高まるでしょう。電力の分散配置と余力の増大が実現しますから。
Alberich様の考えは要するに、無意識に複数の仮定を置いているのです。「泊原発の稼働状態では、泊の発電能力に過度に依存した状態になる」ことと「泊原発が緊急停止するような地震が起きた場合」に限定していることです。どちらかが避けられれば、泊原発稼働状態における北電区域内のブラックアウトのリスクは当然減ります。
 そもそも泊原発自体も1〜3号炉があり、整備との兼ね合いで必ずしも全炉を同時に稼働させることを考えていないでしょう。それを、フル出力にしていることだけを想定しているのがまずおかしい。運用でどうにでもなる話です。
 地震はどこでどのように起きるかわかりませんから、こちらは複数の場合を想定しなければなりません。なので結局は分散配置と複線化の強化しかないのです。その電源が泊原発かどうかは、この議論にほとんど関係しません。私は、泊原発がある程度安全に稼働再開できるのならそうすればいいと考えます。代替発電所を作るよりは低コストだと考えるからです。
 これに対し反論が生じるとすれば「原発自体が危険だからダメだ」ということしか考えられません。

投稿: qur | 2018年12月16日 (日) 01時47分

qur殿

>Alberich様(ですよね?)

失礼しました。


>「今後発生する地震」に対して、ということであれば、防ぐ事ができる可能性は高まるでしょう。
電力の分散配置と余力の増大が実現しますから。

以前に申し上げましたが、天然ガス火力発電所の新設や本州との電力線の増強や揚水発電所の稼働等により、今年度中に厚真がすべて稼働しない状況でも昨年度の電力の最大需要を賄えるようになります。また天然ガス火力や本州との電力線や揚水発電所は同じ場所ではないので、分散配置も実現できます。
このため、泊原発を再稼働してさらに分散配置や電力供給能力を増大させても、ブラックアウトを防ぐ可能性は(既に高くなっているので)高まらないと思います。


>Alberich様の考えは要するに、無意識に複数の仮定を置いているのです。
「泊原発の稼働状態では、泊の発電能力に過度に依存した状態になる」ことと
「泊原発が緊急停止するような地震が起きた場合」に限定していることです。

私は後で申し上げますように、泊原発の稼働が認められれば、1号機~3号機が全て(定期点検の時期以外は)常時フル出力で稼働すると考えているので、泊が稼働すれば泊の発電能力に過度に依存した状態になると考えています。
また最初の(nagi殿が示された)記事は
  今後真冬に地震が起きてもブラックアウトを発生させないために
  泊原発を(全部)再稼働すべきだ
という内容でした。
この記事に対して検討すべき事は、
  泊原発を再稼働する事が現状(厚真が稼働)よりも
  今後発生する地震に対して、ブラックアウトを防ぐのに有効か
という事だと思います。
現状(厚真が稼働し泊が休止)と泊が稼働(厚真が休止)した場合を比較するためにはそれぞれの場合で厚真付近で地震が発生した場合と泊付近で地震が発生した場合を想定する必要があると思います。


>どちらかが避けられれば、泊原発稼働状態における北電区域内のブラックアウトのリスクは当然減ります。

  「泊原発が緊急停止するような地震が起きた場合」を仮定しなければ
  泊原発稼働状態における北電区域内のブラックアウトのリスクは当然減ります。
と言う事は
  「厚真が緊急停止するような地震が起きた場合」を仮定しなければ
  厚真稼働状態における北電区域内のブラックアウトのリスクは当然減ります。
と言う事と同じだと思います。


> そもそも泊原発自体も1?3号炉があり、整備との兼ね合いで必ずしも全炉を同時に稼働させることを考えていないでしょう。それを、フル出力にしていることだけを想定しているのがまずおかしい。運用でどうにでもなる話です。

以前にも申し上げましたが、最初の記事は
  泊原発の総出力は厚真の総出力より大きいので、泊が(全て)再稼働すれば
  今後真冬に地震が来てもブラックアウトは起きない
という内容だったので、泊原発は全てフル出力で再稼働するという前提で意見を述べました。
また、北電は泊原発の1号機~3号機の全てに対して稼働申請をしています。
そして、これまで稼働を認められた原発は例外なく全て(定期点検の時期以外は)常時フル出力で稼働しています。
ですから私は、泊原発も稼働が認められればこれまで稼働を認められた全ての原発と同様に、1号機~3号機が全て(定期点検の時期以外は)常時フル出力で稼働すると考えていますが、qur殿はそうでないとお考えでしょうか?


> 地震はどこでどのように起きるかわかりませんから、こちらは複数の場合を想定しなければなりません。

仰る通りだと思います。
ですから、現状(厚真が稼働し泊が休止)と泊が稼働(厚真が休止)した場合を比較するためにはそれぞれの場合で厚真付近で地震が発生した場合と泊付近で地震が発生した場合を想定する必要があると思います。


>なので結局は分散配置と複線化の強化しかないのです。

以前にも申し上げましたが、ブラックアウトの早期回復のためには、停止している発電所を早期に稼働できる事も必要です。


>その電源が泊原発かどうかは、この議論にほとんど関係しません。

以前に申し上げましたように、原発と他の発電所(石炭火力等)ではブラックアウトで停止した場合の危険度が異なります。


>私は、泊原発がある程度安全に稼働再開できるのならそうすればいいと考えます。
代替発電所を作るよりは低コストだと考えるからです。

qur殿はどのような理由で泊原発の再稼働は代替発電所を作るよりは低コストだとお考えなのでしょうか?
私は、厚真がすべて稼働しない状況でも昨年度の電力の最大需要を賄える程度の電力供給能力が既にある状況で、これ以上さらに電力供給能力を積み上げるために、コストをかけて(休止状態から稼働まで時間がかかるベースロード電源である)原発を稼働させてしなくてもいいと思います。

投稿: Alberich | 2018年12月22日 (土) 23時14分

>以前に申し上げましたが、天然ガス火力発電所の新設や

これは石狩湾新港発電所のことですね。以前にご指摘があったのですか。見逃していました。
来年2月に出力約57万キロワットの1号機が稼働するとなれば、確かに泊原発を近々に再稼働させる必要性は減りますね。ただしこれは、老朽化している他の火力発電所を順次廃止するのに伴う代替措置の計画ですから、これだけで今後も十分であるという訳ではないようです。
揚水発電所については正直、どの程度寄与するかわかりません。揚水をしなければ発電できないのでしょう。余剰電力をうまく利用するのでしょうが、タイミングによっては発電機能を失っていることも考えられます。安定性という点ではどうかと思います。

ところで、nagi様ご紹介の元記事は医師の提言です。失礼ですが、Alberich様は災害発生時の医療現場の苛烈さを御存知でないから「最大需要を賄えるようになります」などという呑気なことを言い続けていらっしゃるものと考えます。
私は東日本大震災のとき、被災県の医療機関に近い職場で働いていました。津波で落命した人はいなくても、ライフラインが停止したためにじりじりと目の前で命が尽きかけていく状況を、医師はじめ医療従事者はどのような思いで見ていたか。助けたくても助けようが無いのです。電気が、水が、酸素が、薬がないために。そして食糧も十分になく、次第に飢えていく患者。不眠不休、飲まず食わずで患者の生命維持に奔走する医療従事者。彼らの体力の限界もとうに超えている。私が見知った発災から一週間程度までの医療機関の実情は、このようなものです。
そういう現場を知っていれば、とにかく電力が途絶えないよう、出来ることは全部やってほしいと、医療従事者が強く主張するのは当然のことです。彼らが求めるのは「災害時でもブラックアウトが起きないことは当然であり、バックアップ体制が十分にあって、複合災害であっても電力が途絶えない仕組み」です。

それと、ずっと指摘し続けていますが「限定された場合にのみ」成り立つ話を、勝手に敷衍して全般的な話にすりかえる議論は、やめていただきたい。それを「詭弁」と言います。
泊原発がフル稼働状態で運用されること、その時に泊原発が緊急停止する場所で地震が起きること、すべて「仮定」です。その仮定が成り立たない状況の大地震であれば、泊原発の稼働状態はブラックアウト回避には当然有効でしょう。Alberich様ははそれを否定していないが、そのことに言及もしない。逆の特殊なケースだけを危惧して結論を出している。

また「ブラックアウト発生防止」「ブラックアウト発生時の早期回復」「原発それ自体の事故リスク(今回でいえば外部電源喪失)回避」はすべて独立した事象であり、個別に検証し対策を練るべきことです。Alberich様はおそらく意図的に、これら別々の事象に関するリスクを混ぜて議論している。
私は石狩湾のLNG発電所と泊原発とを相互補完的に稼働させれば、医療従事者が求める電源供給体制に相当近づけると思います。

>qur殿はどのような理由で泊原発の再稼働は代替発電所を作るよりは低コストだとお考えなのでしょうか?

石狩湾新港LNG発電所の総建設費は、関連事業も含め100億円と資料に出ています。
同等の発電所をもう一カ所作るだけなら、イニシャルコストはこの方が有利でしょう。(新たな建設場所をどう確保するかという問題はあるでしょうが)
原発再稼働の場合に私が考えているのは、日本にある核燃料をこのまま冷却プールでただ冷やし続ける総費用と、それを発電に活用した場合に回収出来る金額とを考慮し、どちらが有利かを考慮すべきというものです。
つまり、燃料調達も含めたランニングコストとの比較で考えていますから、LNG燃料を例えば今後30年輸入するコストも含めて考えなければなりません。そこまで考えた際のコスト比較は難しいですね。出来なくはありませんが、ここでの議論でそれをする必要があるかどうか。

上で指摘したように、Alberich様が人命よりも原発反対が大事であるという人命軽視の姿勢であることをお認めいただき、また詭弁を引っ込めていただけるのであれば、私はそれで十分と考えます。

投稿: qur | 2018年12月23日 (日) 15時45分

qur殿

>そういう現場を知っていれば、とにかく電力が途絶えないよう、出来ることは全部やってほしいと、医療従事者が強く主張するのは当然のことです。

今年度中に本州との電力線が増強されますが、さらに増強を検討するという報道がありました。その費用(数百億円だそうです)が課題だと報じられていましたが、この額は泊原発の再稼働に今後必要な額と同じレベルです。泊原発の再稼働も本州との電力線の増強も電力が途絶えないための手段ですが、「出来ることは全部やってほしい」と強く主張される医療従事者の方々は、どちらの手段が望ましいと思われるでしょうか?
それとも「出来ることは全部やってほしい」という意味は「再稼働も電力線の増強も電力が途絶えないようにする手段は(お金がかかっても)すべてやるべきだ」という意味でしょうか?


>彼らが求めるのは「災害時でもブラックアウトが起きないことは当然であり、バックアップ体制が十分にあって、複合災害であっても電力が途絶えない仕組み」です。

そのためには、休止状態から稼働まで時間のかかるベースロード電源ではなく、休止状態から稼働まで時間が短い天然ガス火力や本州との電力線がバックアップ体制の中心になるべきだと思います。


>泊原発がフル稼働状態で運用されること、その時に泊原発が緊急停止する場所で地震が起きること、すべて「仮定」です。

「泊原発がフル稼働状態で運用されること」は仮定ですが、「泊原発が一部だけ稼働した状態で運用されること」も仮定です。
しかし「これまで稼働を認められた原発は例外なく全て(定期点検の時期以外は)常時フル出力で稼働していること」は仮定ではなく事実です。
qur殿はなぜ「泊原発がフル稼働状態で運用されること」という仮定ではなく、「泊原発が一部だけ稼働した状態で運用されること」という仮定が成り立つと思われるのでしょうか?
また、泊原発がフル稼働状態で運用されなければ、せっかくの電力供給能力の一部しか活用しない事になります。「出来ることは全部やってほしい」と強く主張される医療従事者の方々もそのように思っておられるのでしょうか?


>その仮定が成り立たない状況の大地震であれば、泊原発の稼働状態はブラックアウト回避には
当然有効でしょう。Alberich様ははそれを否定していないが、そのことに言及もしない。

前回に

 「泊原発が緊急停止するような地震が起きた場合」を仮定しなければ
 泊原発稼働状態における北電区域内のブラックアウトのリスクは当然減ります。
と言う事は
 「厚真が緊急停止するような地震が起きた場合」を仮定しなければ
 厚真稼働状態における北電区域内のブラックアウトのリスクは当然減ります。
と言う事と同じだと思います。

と申し上げました。
つまり厚真に対しても
   厚真がフル稼働状態で運用されること、
   その時に厚真が緊急停止する場所で地震が起きること
   という仮定が成り立たない状況の大地震であれば、
   厚真の稼働状態はブラックアウト回避には当然有効でしょう
と言えると思いますが、qur殿はそれを否定していないが、そのことに言及もしないと思います。


>逆の特殊なケースだけを危惧して結論を出している。

私は前回申し上げましたように

現状(厚真が稼働し泊が休止)と泊が稼働(厚真が休止)した場合を比較するためにはそれぞれの場合で厚真付近で地震が発生した場合と泊付近で地震が発生した場合を想定する必要があると思います。

と考えています。
このため、
  泊原発がフル稼働状態で運用されること、
  その時に泊原発が緊急停止する場所で地震が起きること
というケースと
   厚真がフル稼働状態で運用されること、
   その時に厚真が緊急停止する場所で地震が起きること
というケースを考慮すべきだと思います。
qur殿は前者のケースを特殊なケースと仰っていますが、私はどちらのケースも対等に考慮すべきだと思います。


>また「ブラックアウト発生防止」「ブラックアウト発生時の早期回復」「原発それ自体の事故リスク(今回でいえば外部電源喪失)回避」は
すべて独立した事象であり、個別に検証し対策を練るべきことです。

私は以前に
  再稼働を含むいろいろな選択肢を検討して社会的経済的に
  最も有利な方法を選択すべきだと思います。
と申し上げました。
色々な選択肢(”泊を再稼働”、”泊を再稼働せずその費用で本州との電力線を増強”、”泊を再稼働せずその費用で天然ガス火力を新設” 等)に対して、
「ブラックアウト発生防止」「ブラックアウト発生時の早期回復」「原発それ自体の事故リスク(今回でいえば外部電源喪失)回避」等の点から評価をして、実行すべき選択肢を決定すべきだと思います。
qur殿は”泊を再稼働”という選択肢がこれらの評価に関して他の選択肢よりも優れているとお考えですか?


>Alberich様はおそらく意図的に、これら別々の事象に関するリスクを混ぜて議論している。

私はそれらの事象に関するリスクについて意見を述べましたが、リスクを混ぜているつもりは
ありませんでした。qur殿は、私の意見のどのような点がリスクを混ぜて議論していると思われたのでしょうか?


>私は石狩湾のLNG発電所と泊原発とを相互補完的に稼働させれば、医療従事者が求める電源供給体制に相当近づけると思います。

「相互補完的に稼働させる」の意味がよく分からないのですが、qur殿は、
  石狩湾のLNG発電所と厚真とを相互補完的に稼働させる
よりも
  石狩湾のLNG発電所と泊原発とを相互補完的に稼働させる
ほうが、医療従事者の方々が求める電源供給体制に相当近づけるとお考えでしょうか?


>日本にある核燃料をこのまま冷却プールでただ冷やし続ける総費用と、それを発電に活用した場合に回収出来る金額とを考慮し、どちらが有利かを考慮すべきというものです。

以前に申し上げましたが、冷却プールで冷やされている核燃料は既に原発で発電に使った後の使用済核燃料いわば燃えカスです。特に泊の様に稼働していない原発にある使用済核燃料は使用してから数年たっていて、冷却装置を使わなくても冷却できる(自然冷却)程度の発熱しかないので、それを発電に活用しても大規模な発電はできないと思います。

鎖の強さは(引っ張られた時に最初に切れる)最も弱い部分の強さで決まるため、鎖を強くするためには(強い部分ではなく)最も弱い部分を強くする必要があるのだそうです。
同様に北電の電力システムも強化するためには(既に強い部分ではなく)最も弱い部分を強くする必要があると思います。今回のブラックアウトでも電力供給能力は足りていましたが、休止状態の発電所を短時間で稼働できなかったため問題になりました。電力供給能力は新規発電所の稼働や本州との電力線の増強によりさらに強化されました。
つまり北電の電力システムでは電力供給能力は(既に強い部分がさらに強化された)強い部分であり、休止状態の発電所を短時間で稼働する能力が弱い部分であると思います。
休止状態から稼働までに時間がかかる原発を再稼働しても、既に強い部分がさらに強化された部分をもっと強化するだけであり、弱い部分の強化にはならないので、システムの強化にはならないと思います。

投稿: Alberich | 2018年12月30日 (日) 23時13分

Alberich様
暮れのご多忙なときにお返事いただきありがとうございます。

最近のコメントで、私が唯一首肯する部分は「立ち上げに時間がかかるベースロード発電施設を増強してもブラックアウト問題の解決にはならない」という部分です。
ただ、この指摘に、私が指摘した「問題の混同」が如実に現れていると感じます。

「立ち上げに時間がかかる」というのは、ブラックアウトが起きた際に、電力需要に対応するため、休止中の炉を緊急に稼働させる際の問題になります。
他方、Alberich様は当初、本件の主要な問題点を「ブラックアウトを起こさないこと」と設定していました。
泊原発の稼働状態では、原発への過度な依存が起こるから、泊原発に何かあった時のブラックアウト発生リスクはむしろ高まる。だから本件について泊原発の再稼働は効果がないと。
「ベースロード発電は立ち上げに時間がかかる」というのは、この論点とは明らかに異なりますよね。このように、取り上げる問題点が異なるのならば、そのことを明示して議論すべきです。

ついでに、傍論のため具体に取り上げていませんでしたが、胆振東部地震では「タービン損傷」という、発電所の心臓部が被害を受ける、稀な事故だったことを無視できません。そのために、全面復旧にはおよそ1ヶ月を要しています。
この状態で、泊原発が再稼働できる状態だったとすれば、電力供給量の回復に要する時間はおよそ1週間程度だったと推測できます。十分「ブラックアウトが起きた場合の早期復旧」につながったのではないでしょうか。

「仮定」の話について。
私は仮定しうるあらゆる状況を検討しているつもりです。泊原発稼働時の泊原発停止と、厚真原発稼働時の厚真停止は同条件だとおっしゃいます。「概ね」その通りだと思います(異なる部分は後述)。ですから、どちらかがダウンした時には、どちらかが動かせる、その状況を作るのが、(ブラックアウト防止ではなく)電源の早期復旧と発電量確保において重要なのではないでしょうか。(別に泊原発でなくても良いですが、では石狩の他にもう一つ200万KWクラスの発電所を新設するのか、という話になります。)
また、最大需要を満たせるというお話を繰り返されていますが、その状況で、平時であっても複数の火力発電施設が故障したら、やはりブラックアウトは起きてしまうのではないでしょうか。泊原発の再稼働は、そういった問題の回避という点でも活かせる可能性のある選択肢です。
(こう書くと「泊だって停止する可能性はあるから同じではないか」という反論が予想されますが、稼働しうる発電所が多いほど、どこかが故障した時のバックアップが充実するので、同じではない、と予め指摘しておきます)
また、泊原発がフル稼働しないというのは確かに「仮定」の一つですが、いつどこで起こるのか分からない「地震」に比べて、どちらの「仮定」が成立しやすいと思いますか?前者は人為でどうにでもなる事項、後者は自然現象です。同じ仮定でも、成立条件がだいぶ違いますけれど、それぞれが成立する条件を考えていらっしゃいますか?

それと、
>つまり厚真に対しても
   厚真がフル稼働状態で運用されること、
   その時に厚真が緊急停止する場所で地震が起きること
   という仮定が成り立たない状況の大地震であれば、
   厚真の稼働状態はブラックアウト回避には当然有効でしょう
と言えると思いますが、qur殿はそれを否定していないが、そのことに言及もしないと思います。
こういうのを「鸚鵡返し」と言いまして、見苦しい論法です。厚真の稼働と事故は現実に起こった問題で、そのことを「仮定のように扱った」言及を、ここで私が行う必要がありますが?

>今年度中に本州との電力線が増強されますが、さらに増強を検討するという報道がありました。その費用(数百億円だそうです)が課題だと報じられていましたが、この額は泊原発の再稼働に今後必要な額と同じレベルです。泊原発の再稼働も本州との電力線の増強も電力が途絶えないための手段ですが、「出来ることは全部やってほしい」と強く主張される医療従事者の方々は、どちらの手段が望ましいと思われるでしょうか?

ここは、Alberich様が頑に明示しない問題意識が現れていて面白いですね。答えは「電力需要を一刻も早く確保出来る手段であれば、どちらでも良い」でしょう。
Alberich様は「同程度の費用がかかるのであれば、原発再稼働ではなく、本州との電力線増強がより望ましい」と考えておられるということですよね。さて、それは何故ですか?費用対効果ではない理由なのですよね。どうしてそれをはっきりと仰らないのでしょう?
また、本州との接続は、本州側の発電量に余力があるという前提で有効になります。そのことはどうお考えですか?

>それとも「出来ることは全部やってほしい」という意味は「再稼働も電力線の増強も電力が途絶えないようにする手段は(お金がかかっても)すべてやるべきだ」という意味でしょうか?

医療従事者の率直な思いは、その通りだと思います。ご想像ください。自分の肉親が酸素吸入器を常時装着して命をつないでいる、その状況で何らかの理由により電力が途絶する。吸入用酸素は幸い十分にあるが、電気がなければ吸入器が動かない。自家発電機の燃料も尽きた。バッテリーも尽きようとしている。そのとき、どう思うでしょう?
目の前にいる人一人の命と、お金とを、天秤にかけられますか?
そして上で指摘した「本州側に余力が無い」場合のリスクはどう考えますか?

勿論、インフラの整備は社会的合意のもとで進められ、巨視的に見た(=目の前の人一人の命は捨象した)費用対効果の問題を無視できません(ここで議論している内容が、まさにそうです)。しかし、命を救う現場の思いは違うということです。
一部の医療従事者にとって、泊原発を動かさないのは、安全性に大きな問題はないけれど、政治的な理由で稼働を先延ばしにされているのだと感じられ、そんなことで目の前の患者の命が失われるのは堪え難いといういらだちがあるのでしょう。

>また、泊原発がフル稼働状態で運用されなければ、せっかくの電力供給能力の一部しか活用しない事になります。「出来ることは全部やってほしい」と強く主張される医療従事者の方々もそのように思っておられるのでしょうか?

別に泊原発をフル稼働させなければ、最大需要を満たせない訳ではないのでしょう?であれば、泊原発をフル稼働させずに運用することが「せっかくの電力供給能力の一部しか活用しない事になります」という不満に繋がるとは思えません。重要なのは「システムの冗長性を確保すること」です。

>そのためには、休止状態から稼働まで時間のかかるベースロード電源ではなく、休止状態から稼働まで時間が短い天然ガス火力や本州との電力線がバックアップ体制の中心になるべきだと思います。

稼働までのタイムラグですが、単に休止しているだけであれば、石炭火力でも3~5日で稼働できるとのことです。原発よりは短いですね。そもそも、火力発電所は原理的に、燃料が何かはあまり問わないものです。ベースロード用に限らなければ、1日程度で再稼働はできるのですから、「ベースロード用はどれも同じ」という観点で、原発と(石炭)火力をひとくくりにするのは正しくないと私は考えます。
また、発電量の調整は、炉一つ単位を動かしたり休止させたりして行っているのではありません。火力発電所は、電力需給とタービンの回転が連動しており、燃料を調整し、回転を一定に保つことでバランスを取るしくみです。
そういう意味では、原理的に回転数の微調整が効かない原発の方が、システムの冗長性では劣るわけです。「ベースロード」と一緒くたにせず、きちんと原発の問題点を指摘していれば、もっと説得力が増すのではないかと思いますが。

ところで、以前は代替電源として再エネの話をさかんにされていましたが、そちらにはもう言及されないのですね。再エネで代替するという案が現実的でないという点はお認めいただけたものと理解します。

>以前に申し上げましたが、冷却プールで冷やされている核燃料は既に原発で発電に使った後の使用済核燃料いわば燃えカスです。特に泊の様に稼働していない原発にある使用済核燃料は使用してから数年たっていて、冷却装置を使わなくても冷却できる(自然冷却)程度の発熱しかないので、それを発電に活用しても大規模な発電はできないと思います。

あの、冷却プールは稼働中の原発の一時点検時などにも使われるのですが。あそこにあるものが全て「使用済み」なのではないです。「使用中」のものが冷やされていることもあるわけです。
また、Alberich様は泊原発のことに限定して発言されていますけれど、私は日本全体の核燃料をどうしていくのか、有効活用するのか死蔵するのかということを問題にしています。「冷却プール」は喩えです。分かりにくかったのなら言葉足らずで申し訳ありませんが、要は、使おうが使うまいが、今後の管理に多額のコストを要する物を持っているのに、それを使うのか、使わないのかを問題にしているのです。

そういえば、以前にこのようなことを書いておられましたね。
>国内の放射性物質の後始末に要するコストは原発の再稼働に関係ありません(厳密には再稼働すると処理すべき使用済核燃料が増えるので放射性物質の後始末に要するコストは増えます)

使用済み核燃料では、半減期の長いプルトニウムの量が増えますが、後始末に要するコストに本質的な差はありませんよ。どちらであれ、気の遠くなるような期間、臨界を起こさないよう注意しながら隔離保存しなければならないという点では同じです。仮に日本で原発全廃が決まり、国内で未使用核燃料も含めて処理するとなれば、すべてについて大深度地下埋設を行うしかないでしょう。そして、その場所をどこにするかで、今度は揉めるのでしょうね。
それはともかく「後始末に要するコストと原発の再稼働は関係ない」とする主張には驚きます。原発がなければ核燃料はないのですから、原発の存在、稼働、使用前後での燃料の変化、最終処分はどう考えても一体の問題です。

最後に。
繰り返し述べていますが、私が聞きたいのは、Alberich様がどうして原発再稼働という選択肢「だけ」を頑に否定されるのかです。
実効性や経済性の問題だけを仰っていますが、それだけではない、別の理由があると感じます。指摘する問題点が偏りすぎていて、原発再稼働を含めた選択肢を含めてフラットに検討された結果とは思えないからです。論旨も議論の過程で変わっていますし(再エネの件など)。私からは「とにかく否定的な材料を掲げて、論理的整合性は二の次で、なりふり構わず反対している」という風に見えます。

ここで議論しているような懸念が顕在化しないよう、新年が災害の少ない年であることを願っています。

投稿: qur | 2019年1月 3日 (木) 16時02分

qur殿

>Alberich様は当初、本件の主要な問題点を「ブラックアウトを起こさないこと」と設定していました。

以前に申し上げましたが、最初の(nagi殿が示された)記事は
  泊原発の総出力は厚真の総出力より大きいので、泊が(全て)
  再稼働すれば真冬に地震が来てもブラックアウトは起きない
という(ブラックアウトを起こさない手段に関する)内容だったので、それに対して
  泊原発の再稼働はブラックアウト再発の防止に貢献しない
という(ブラックアウトを起こさない手段に関する)意見を述べました。


>「ベースロード発電は立ち上げに時間がかかる」というのは、この論点とは明らかに異なりますよね。このように、取り上げる問題点が異なるのならば、そのことを明示して議論すべきです。

以前にqur殿が
  今回のようなブラックアウトを避けるための策は、電力供給
  能力に相当の余裕を持っておくこと、発電所を極力分散配置
  すること、電力供給網を複線化することの3点です。
と仰ったのに対して、
  休止している発電所を速やかに稼働できる事も重要です(どんな
  に電力供給能力が大きな発電所でも、休止状態から稼働まで
  1週間かかります、では役に立ちません)。休止時からの速やか
  な稼働という点では原発も今回被災した発電所(石炭火力)も問題
  があります。原発も(大規模)石炭火力もいわゆる「ベースロード
  電源」で一定出力で長時間運転し続ける事を想定しており、休止
  時から稼働までには時間がかかります
と申し上げています。


>こういうのを「鸚鵡返し」と言いまして、見苦しい論法です。

以前に申し上げましたが、私は
  泊原発がフル稼働状態で運用されること、
  その時に泊原発が緊急停止する場所で地震が起きること
というケースと
   厚真がフル稼働状態で運用されること、
   その時に厚真が緊急停止する場所で地震が起きること
というケースは対等に考慮すべきだと思います。qur殿は一方のケースには言及されていらっしゃいますが、もう一方のケースには言及されていらっしゃらなかったので、あのように申し上げました。
qur殿はこの2つのケースは対等に考慮すべきだとお考えでしょうか?それともどちらかを重視して考慮すべきとお考えでしょうか?


>厚真の稼働と事故は現実に起こった問題で、そのことを「仮定のように扱った」言及を、ここで私が行う必要がありますが?

以前に申し上げましたが、最初の(nagi殿が示された)記事は
  今後真冬に地震が起きてもブラックアウトを発生させない
  ために泊原発を(全部)再稼働すべきだ
という内容でした。この記事に対して検討すべき事は、
  泊原発を再稼働する事が、既に(厚真付近で)起きた地震
  に対して、ブラックアウトを防ぐ事になるか
という事ではなく、
  泊原発を再稼働する事が、今後発生する地震
  に対して、ブラックアウトを防ぐ事になるか
という事だと思います。このため(現実に起こった)厚真付近の地震ではなく、今後起きるかもしれない厚真付近の地震に対して、今後起きるかもしれない泊付近の地震と同様に考慮する必要があると思います


>ここは、Alberich様が頑に明示しない問題意識が現れていて面白いですね。答えは「電力需要を一刻も早く確保出来る手段であれば、どちらでも良い」でしょう。Alberich様は「同程度の費用がかかるのであれば、原発再稼働ではなく、本州との電力線増強がより望ましい」と考えておられるということですよね。
さて、それは何故ですか?費用対効果ではない理由なのですよね。どうしてそれをはっきりと仰らないのでしょう?

以前に
  各地域間での電力融通能力を向上させる事は、自地域で消費しきれ
  ない電力を他地域で消費する事が可能になるため各地域の再生可能
  エネルギ発電量の増加につながるだけでなく、自地域の電力供給に
  問題が生じた際に他地域からより多くの電力支援が可能になるので
  日本全体での電力の安全安定安心な供給につながると思います。
と申し上げています。
また、前回
  休止状態から稼働まで時間のかかるベースロード電源ではなく、
  休止状態から稼働まで時間が短い天然ガス火力や本州との
  電力線がバックアップ体制の中心になるべきだと思います。
と申し上げています。


>また、本州との接続は、本州側の発電量に余力があるという前提で有効になります。そのことはどうお考えですか?

本州との電力線は今年度末に90万Kwに増強され、現在検討されている増強が実現すると120万~150万Kwになります。
本州側で北海道と直接接続できるのは(周波数が同じ)東北電力と東京電力ですが、東京電力の最大需要は約5300万Kwです。つまり本州との電力線の能力90万Kwは東京電力の最大需要の2%未満、150万Kwでも最大需要の3%未満です。
また北海道電力の最大需要は冬ですが東京電力の最大需要は夏であり時期がずれています。つまり北海道電力の最大需要の時期は東京電力は最大需要ではないので本州側の発電量には余裕があると思います。


>ところで、以前は代替電源として再エネの話をさかんにされていましたが、そちらにはもう言及されないのですね。再エネで代替するという案が現実的でないという点はお認めいただけたものと理解します。

以前に、本州との電力線増強について

これはqur殿が
  再エネ発電量の供給過多を吸収する目的で揚水発電所を増やす
  という案には反対です。
と仰った事に対して、
  再エネ発電量の供給過多を吸収する(揚水発電所を増やす以外の)案
として申し上げたものです。

と申し上げています。つまり、本州との電力線増強は再エネ発電量の増加も考慮しています。


>この状態で、泊原発が再稼働できる状態だったとすれば、電力供給量の回復に要する時間はおよそ1週間程度だったと推測できます。十分「ブラックアウトが起きた場合の早期復旧」につながったのではないでしょうか。

今回のブラックアウトの復旧(電力供給量の回復)に要する時間は(qur殿が仰るおよそ1週間より短い)数日間でした。しかし最初の(nagi殿の引用された)記事では、”真冬にこの事態(ブラックアウトの復旧まで数日かかる)が発生すると、いかに悲惨な状況になるか” が強調されていました。
qur殿は、電力供給量の回復に要する時間がおよそ1週間程度であれば、十分「ブラックアウトが起きた場合の早期復旧」とお考えでしょうか?


>泊原発の再稼働は、そういった問題の回避という点でも活かせる可能性のある選択肢です。
(こう書くと「泊だって停止する可能性はあるから同じではないか」という反論が予想されますが、稼働しうる発電所が多いほど、どこかが故障した時のバックアップが充実するので、同じではない、と予め指摘しておきます)

以前に申し上げましたが、泊原発の再稼働にはお金がかかります。そのお金を再稼働ではなく、本州との電力線の増強や天然ガス火力発電所の新設や再生エネルギーの強化に使っても、再稼働と同様に稼働しうる発電所が増え、どこかが故障した時のバックアップが充実します。ですから泊原発の再稼働という選択肢はこれらの選択肢と検討してどれを実行するか決めるべきだと思います。少なくとも電源の早期復旧という点では、(ベースロード電源である)泊原発の再稼働よりもこれらの選択肢の方が優れていると思います。


>また、泊原発がフル稼働しないというのは確かに「仮定」の一つですが、いつどこで起こるのか分からない「地震」に比べて、どちらの「仮定」が成立しやすいと思いますか?
>前者は人為でどうにでもなる事項、後者は自然現象です。同じ仮定でも、成立条件がだいぶ違いますけれど、それぞれが成立する条件を考えていらっしゃいますか?

泊原発をフル稼働させるか(一部だけ稼働させるか)というのは、”人為でどうにでもなる事項”なのでしょうか?
泊原発に限らず、再稼働した原発を原発をフル稼働させるか、一部だけ稼働させるか という事は電力会社が契約先に電力を供給するのにどちらが有利かを判断して決めると思います。この点は北電も他の電力会社も同じだと思います。
また原発の近くで地震が起きるという仮定は泊原発だけでなく他の全ての原発でも考慮すべきことだと思います。
つまり再稼働する原発をフル稼働させるか、一部だけ稼働させるか を判断するための条件は北電でも他の電力会社でも違わないと思います。そしてその(北電と同じ)条件に基づいて判断した結果、原発を稼働している電力会社は、例外なく「全ての原発をフル稼働させる」という選択肢を選びました。
qur殿は判断するための条件は他の(原発を稼働させている)電力会社と違わなくても、北電だけは他の全ての電力会社と異なる選択肢を選ぶとお考えでしょうか?


>一部の医療従事者にとって、泊原発を動かさないのは、安全性に大きな問題はないけれど、政治的な理由で稼働を先延ばしにされているのだと感じられ、

一部の医療従事者の方がそのように感じられる理由は分かりませんが、泊原発を動かさないのは原子力規制委員会が定めた安全性に関する規定(活断層に関する規定)を満たしていない(満たしているという事を北電が立証できない)ためで、政治的な理由ではありません(活断層に関する規定は泊にだけ適用されているのではなく全ての原発に適用され、現在稼働している全ての原発は、電力会社がこの規定を満たしている事を立証しています)


>また、Alberich様は泊原発のことに限定して発言されていますけれど、私は日本全体の核燃料をどうしていくのか、有効活用するのか死蔵するのかということを問題にしています。

以前に申し上げましたが、この話題は最初の(nagi殿が示された)記事の
  今後真冬に地震が起きてもブラックアウトを発生させないために
  泊原発を(全部)再稼働すべきだ
という内容に対する検討でした。このため私は泊原発に限定して意見を述べています。
qur殿は、泊原発に限定した場合でも
  核燃料をこのまま冷却プールでただ冷やし続ける総費用と、
  それを発電に活用した場合に回収出来る金額とを考慮し、
  どちらが有利かを考慮すべきというものです。
とお考えでしょうか?


>「冷却プール」は喩えです。分かりにくかったのなら言葉足らずで申し訳ありませんが、要は、使おうが使うまいが、今後の管理に多額のコストを要する物を持っているのに、それを使うのか、使わないのかを問題にしているのです。

申し訳ありませんが、仰っている事がよく理解できません。
”使おうが使うまいが、今後の管理に多額のコストを要する物”とは具体的にはどのような物を想定されているのでしょうか?(稼働中の原発の一時点検時に保管されている使用中の核燃料?使用直後の使用済核燃料?自然冷却可能な使用済核燃料?) また”使うのか、使わないのか”と仰っている"使う"とはどのようにして使う事を想定されているのでしょうか(稼働していない原発を再稼働させ、その燃料として使用?)
私は、qur殿が以前に
  端的に言えば、既存の熱源(核燃料)及び発電施設(原発)を、
 発電に用いずにただ廃熱することが非効率であることは論を待た
 ないと考えるからです。論理的に導かれる結論です。
と仰っていたので、qur殿は
  使用済核燃料からの発熱をただ冷やし続ける総費用と、未稼働
 の原発を再稼働させその使用済核燃料(からの発熱)を使って発電
 した場合に回収出来る金額を考慮し、どちらが有利かを考慮すべき
と主張されていると思っていたのですが、違うのでしょうか?


>そういえば、以前にこのようなことを書いておられましたね。
>国内の放射性物質の後始末に要するコストは原発の再稼働に関係ありません(厳密には再稼働すると処理すべき使用済核燃料が増えるので放射性物質の後始末に要するコストは増えます)

これはqur殿が

ただし、既存原発を再稼働しない場合に、国内の放射性物質の後始末に要するコストをどうやって回収するのかは無視出来ないと考えます。

と仰った事に対して

国内の放射性物質の後始末に要するコストは原発の再稼働に関係ありません(厳密には再稼働すると処理すべき使用済核燃料が増えるので放射性物質の後始末に要するコストは増えます)
そのコストを原発の再稼働による経済的利益(発電)で回収するか、それとも再稼働に要する費用を別の分野に充て、その分野の経済的利益(発電)で回収するかは検討の余地があると思います。

と申し上げたものです。つまりqur殿が仰った(回収の対象となる)”国内の放射性物質の後始末に要するコスト”は(既に存在する国内の放射性物質の量に依存するが、その量は原発を再稼働するかどうかには依存しないので)原発の再稼働に関係ないという意味です。


>それはともかく「後始末に要するコストと原発の再稼働は関係ない」とする主張には驚きます。
原発がなければ核燃料はないのですから、原発の存在、稼働、使用前後での燃料の変化、最終処分はどう考えても一体の問題です。

申し訳ありませんが、仰っている事がよく理解できません。
私は
  「後始末に要するコストと原発の再稼働は関係ない」
と申し上げたのであって、
  「後始末に要するコストと原発の存在は関係ない」
と申し上げたのではありません。
もちろん、最初から世の中に原発が存在しなければ後始末が必要な放射性物質は存在しません。
しかし既に原発が存在し、それによって排出され後始末が必要な放射性物質が既に存在する状況では、既に存在する(後始末が必要な)放射性物質の量は、原発が今後、再稼働してもしなくても変わらないと思います。


>私が聞きたいのは、Alberich様がどうして原発再稼働という選択肢「だけ」を頑に否定されるのかです。

前回

私は以前に
  再稼働を含むいろいろな選択肢を検討して社会的経済的に
  最も有利な方法を選択すべきだと思います。
と申し上げました。
色々な選択肢(”泊を再稼働”、”泊を再稼働せずその費用で本州との電力線を増強”、”泊を再稼働せずその費用で天然ガス火力を新設” 等)に対して、「ブラックアウト発生防止」「ブラックアウト発生時の早期回復」「原発それ自体の事故リスク(今回でいえば外部電源喪失)回避」等の点から評価をして、実行すべき選択肢を決定すべきだと思います。

と申し上げました。qur殿は私の意見のどのような点が"原発再稼働という選択肢「だけ」を頑に否定"していると思われたのでしょうか?


>ここで議論しているような懸念が顕在化しないよう、新年が災害の少ない年であることを願っています。

私も全く同感です。

投稿: Alberich | 2019年1月 9日 (水) 23時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 原発の話、インデックスⅡ:

« 再び、組合役員の担い手問題 | トップページ | 定期大会を終えて、2018年秋 »