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2017年12月16日 (土)

競輪労組の大きな成果

かなり前に「減収に苦しむ公営競技事業」という記事を投稿していました。その記事の中で綴っているとおり私どもの市の競輪事業に従事する皆さんが労働組合に結集しています。同じ自治労に加盟しているため、競輪労働組合の皆さんとは日頃から交流や連携を深めています。その競輪労組がたいへん難しい課題に直面しましたが、最終的には大きな成果を得ることができています。

労働組合の存在感や役割を充分発揮できた事例として、今回、このブログの題材として取り上げさせていただきます。同じ自治労の仲間として私自身もお役に立てることができた取り組みでした。11月末に開かれた競輪労組の定期大会で来賓の一人として挨拶した際、冒頭に次のような言葉を添えていました。

労働者一人ひとりの力や声は小さくても、組合に結集することで大きな力や声につなげています。同様に一つの組合だけでは力が小さくても、多くの組合が集まって大きな力にしていくこともできます。その結集先が自治労であり、連合となっています。また、組合の力は組合員一人ひとりが結集しながら発揮していくものであり、組合役員だけで担うものではなく、担え切れるものでもありません。

今回の闘争で競輪労組執行部の皆さんはたいへん苦心されながら頑張られてきました。同時に対策委員会が立ち上がり、組合員全体で執行部を支え、組合員の皆さん一人ひとりの切実な思いを施行(使用者)側に届けられていたことが今回の大きな成果につながったはずです。たいへん難しい課題とは離職慰労金(退職金)廃止問題でした。

昨年7月、最高裁は「鳴門競艇従事員の離職選別金の補助金支出」について鳴門市敗訴の判決を言い渡しました。判決内容は「補助金の支出は臨時職員への退職金にあたるものであり、条例に定めない給与の支払いは地方自治法に抵触する」というものでした。この判決を受け、公営競技事業を施行している自治体において、条例に定めていない退職金や一時金の支払いを一方的に廃止する動きが強まっていました。

今年5月8日、私どもの市も離職慰労金等を廃止するという通知を競輪労組に示しました。競輪開催日だったため、従事員の皆さんへの衝撃は物凄く大きく、どこの建屋も騒然となったそうです。突然の一方的な通知に驚きと憤りが広がっていきました。長年、市職員と従事員が一丸となって競輪事業を支え、市財政にも多大な貢献を果たしてきたという自負がある皆さんですから、いきなり離職慰労金廃止と告げられても到底納得いくものではありません。

この情報は即日、競輪労組の委員長から私のもとに届けられました。鳴門競艇に絡む判決の影響があることは予想していましたが、最低限、いずれかの時点での一括精算で決着できるのだろうと見ていました。しかし、見通しが甘かったようであり、5月8日の通知はたいへん驚きました。ただ施行側がどのように考えているのか、そのあたりを探った上で、どのような手順で解決をめざすのが妥当なのか、まず私なりに情報を探ってみました。

すると施行側としては支給したいが、支給できないという立場であることをつかみました。そこで対決型の表だった闘争よりも静かに、しかし、組合員の切実な思いをぶつけながら、自治労としての情報を提供し、労使合意できる到達点をめざすべきものと考えました。この考えは当該の競輪労組の皆さんにはもちろん、自治労都本部にも伝え、「静かな闘争」が望ましいという共通認識に至っていました。

並行した取り組みとして、競輪労組内に対策委員会を設置し、組合執行部と職場組合員の皆さんが一致結束した態勢を築いていきました。このような動きは、いざとなればストライキも辞さず、自治労総力をあげた一大闘争に押し上げることのできる背景となり、施行側に何とかしなければならないという考え方に立たせる「静かな圧力」につながっていたはずです。

主体は競輪労組の皆さんですが、側面支援として私自身、できる限り市当局や施行側と接触をはかっていきました。交渉窓口の課長と情報交換する機会を持ち、法的な面がクリアできれば支給したいという最も重要な点を改めて確認しました。さらに同じ自治労の一員として、団体交渉に私や自治労都本部の担当者らがオブザーバーとして参加することを歓迎したいという意向も確認できました。

今回の取り組みにおいて、自治労組織内議員であり、私どもの組合が推薦している市議会議員(参考記事「市議選まであと1か月」)も大きな力を発揮しました。二人の副市長とは推薦市議とともに面談しました。競輪事業の開催執務委員長である副市長は慎重な姿勢を見せ、具体的な言及は避けがちでした。前任の開催執務委員長だったもう一人の副市長からは解決策として「条例化しかない」という考え方を早い段階で引き出すことができました。

別な機会に私が市長と話した際、市長としても論点をしっかり把握されていました。その上で仮に条例化した場合、他への影響を気にされていました。数多い非常勤職員への影響でしたが、私からは差し迫った問題として、これまで支給していた人たちの退職金(離職慰労金)をどうすべきなのかであり、いったんは他の非常勤職員の問題と切り分けて考えるべきと申し入れました。ちなみに私どもの市職員組合は今後の会計年度任用職員の制度化にあたり、嘱託組合員の皆さんらの待遇改善の好機にしていくことを方針化しています。

5月8日以降、競輪労組や自治労都本部から私のもとへ様々な関連情報が寄せられていく関係性となっていました。さらに対策委員のご家族の一人が市職員OBで、現在も親しくお付き合いさせていただいているため、そちらのルートからも素早い情報を得ることができていました。たいへん切実な問題である証しであり、競輪労組執行部にもお伝えした上で、ご家族からの情報も取り組みの参考にさせていただいていました。

条例化に向けた最大の検討事項として「日々雇用労働者への退職金支給」の是非が懸案課題とされていました。自治労顧問弁護士らとの相談を通し、日々雇用とは言え、登録制のまま雇用が繰り返されてきた実態であるため、地方公営企業法に基づく臨時職員として条例化ができるという認識に至っていました。このような自治労からの情報を受け、私から次のような文書を添えながら副市長や課長らに働きかけていきました。

すでにご相談させていただいている競輪労働組合の問題につきまして、自治労都本部を通し、自治労中央本部に解決案を照会していました。情報収集や顧問弁護士等とも協議した結果、モーターボート競走事業臨時従事員の給与等に関する条例を参考にできるという報告を受けています。自治労中央本部は争点が多く残る場合、関係省庁や組織内国会議員とも調整をはかる考えでした。

しかし、競輪事業と同じような雇用関係の臨時従事員が既に定められた条例のもとに退職手当等の支給を受けているため、そのような調整は不要と判断し、自治労都本部への報告に至っています。つきましては競輪労働組合とも調整の上、取り急ぎ私から市当局の関係者の皆様に情報提供する運びとさせていただきました。ぜひ、同封した他団体の資料を参考いただき、今回の問題解決に向けてご理解ご協力くださるようよろしくお願いします。

上記の情報を提供した際、施行側の反応として他団体の条例は「競艇ですよね」というコメントがありました。それに対し、私からはもともとの発端も「競艇ですよね」とコメントを返していました。この自治労からの情報が決め手になるのかどうか分からず、楽観視できないままオブザーバーとして参加する団体交渉の日を迎えました。6月12日のことでしたが、施行側から「条例化を検討」という回答を得られ、本当に安堵した瞬間を昨日のことのように思い出せます。

ただ実際に条例化されるまで「やはり静かに」が妥当であるものと考えました。競輪労組の成果を8月に開かれた自治労の全国大会で都本部が報告するという話もありましたが、条例化をはかるまで待ってもらいました。万が一、情報が全国に広まった結果、思いがけない動きが出てはいけないと危惧したからです。6月12日の時点で市長が条例化の必要性を判断していた訳ですが、条例化をはかった後は市としての判断となり、その重さが格段に異なるからでした。

9月に入り、競輪事業従事員の皆さんの退職手当等の支給を明記した条例案は推薦市議の尽力もあり、総務委員会、本会議、それぞれ全議員の賛成で可決されていきました。議会傍聴に訪れていた競輪労組の委員長と書記長が可決後、すぐ私の職場に足を運んでいただきました。二人の目に光る涙を見て、私自身の涙腺も緩んでいました。

総務委員会の質疑の中では、従事員一人ひとりの技能や技術、経験値が競輪事業の発展と市財政に貢献してきたという実績を評価し、この条例の必要性が説明されていました。まったくその通りであり、傍聴された従事員の皆さんがたいへん感激した質疑応答だったようです。いずれにしても今回の条例化は、全国の競輪事業としては初めての給与基準条例となっています。

競輪労組の大きな成果、前述したような支え合いが大きな力を発揮したものであり、私自身、改めて労働組合の必要性や役割を感じ取る機会となっていました。同時に自治労の情報網の活用や法的な解釈面での助言など、産別に結集していることで多大なバックアップを得られることの心強さも実感できました。このようなことを今回の闘争に関わった皆さん、きっと同じように感じられたはずです。

加えて、これまでの労使の信頼関係があったからこそ、施行側も従事員一人ひとりの切実な思いを受けとめ、「条例化」という大きな決断に踏み出していったものと考えています。条例化を果たした後、従事員の皆さんの前で施行側の部長が大きな動揺を与える通知を示したことについて率直に謝罪されたという話を耳にしています。長く公営競技事業部に携わっている部長としての正直な気持ちを表わした言葉だったのではないでしょうか。

そして、労働組合があったからこそ、このような大きな成果を勝ち取ることができたことも間違いありません。競輪労組の皆さん、本当にお疲れ様でした。一緒に取り組め、結果を出せたことを私自身にとっても素晴らしい成果として振り返ることができます。これからも同じ自治労の仲間として、より緊密な連携をはかれれば幸いです。最後に、今回の闘争を自治労都本部が機関紙で報告した際、その記事の結びに掲げられた言葉を紹介させていただきます。

条例化の実現には競輪労組の執行部の粘り強い交渉はもちろん、一人ひとりの組合員の訴えと奮闘、職場からの闘いが現場を動かし市を動かし結果に結びついたものである。まさに団結と「自治労のスケールメリット」を十分活用した条例化の実現であり闘いの勝利である。

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コメント

最近のニュースで、防衛用のイージス・アショアや長距離
巡航ミサイルの導入に反対するマスコミや野党を見ましたが
なぜ、反対なのか理解できません。費用の安い髙いの議論は
理解できるのですが、一方は防衛の為、もう一方はミサイル
攻撃等で敵基地を無力化する必要がある時に使用する武器
ですね。どちらも日本の専守防衛を逸脱することはなく。
個別的自衛権の範囲です。

経済的理由以外の反対理由が存在しないと思うのですが、
なぜ反対なのか教えてほしいものです。

日本の防衛能力以上のミサイル攻撃を受けて人的被害が
でた場合、さらなる攻撃を受ける前に敵基地を破壊する
ことは禁止なのか、またその為の装備を所有することは
憲法違反なのか。

この問いに外交や話合いなどと横道の回答ではなく、
真正面から不要と言える回答は存在するのでしょうか。

敵が存在しない。との回答なら可能かなあと思うのですが
どうでしょうか。
OTSU氏ならきっと美しい回答をしてくれると期待して
います。

投稿: nagi | 2017年12月18日 (月) 10時20分

nagiさん、以前の記事へ園植さん、コメントありがとうございました。

「美しい回答」という期待に沿えそうにありませんが、本当に必要なのかどうか、導入することのプラス面やマイナス面に対する情報や国会での議論が圧倒的に不足しています。その上で付随した私自身の問題意識は、これまで数多くの記事本文を通して訴えてきているとおりです。

nagiさんからすれば導入することが当然であり、このような反対理由は納得いただけないのかも知れません。しかし、基本的な考え方や立場を問わず、与党が必要、即予算化という手法は問題だと考えています。したがって、今後の建設的な国会議論の活性化を願っているところです。

園植さんのお考えは分かりました。私自身の見方や考え方は当該の記事本文に綴っているとおりです。いずれにしても私自身、自分が正しいと信じている「答え」を押し付けないよう留意しながら当ブログと向き合っているつもりです。ぜひ、これからも何か気になる点がありましたらご意見等をいただければ幸いですので、よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2017年12月23日 (土) 06時15分

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