定期大会を終えて、2017年秋
記事タイトルに悩む時があります。今回、あまり悩まず安直に昨年の記事タイトルの「定期大会を終えて、2016年秋」を「2017年秋」に変えただけで書き進めることにしています。金曜の夜、私どもの組合の定期大会が開かれました。4年前の記事「定期大会の話、インデックスⅡ」の中で詳しく綴っていますが、組合員全員の出席を呼びかけるスタイルで続けています。
昨年の定期大会で特別議案「組合財政の確立に向けて」を確認し、この一年間、経常的な収入に見合った支出構造に近付ける努力を重ねています。定期大会の会場の見直しもその一つでした。組合員数は1156人です。組合員全員の出席を呼びかけているため、これまで千人以上収容できる市民会館の大ホールで催してきました。2階席は使用していませんでしたが、実際の出席者数に比べて大ホールは広すぎて、残念ながらガランとした雰囲気になりがちでした。
一人でも多くの出席を呼びかけながら300人も入らない会場で催した場合、初めから出席者をあまり集める気がないように思われてしまいます。このような点を考慮し、大ホールを定期大会の会場に定着させていました。しかしながら組合員数の減少に伴い、出席者数も漸減してきていました。そのため、今回から会場を1201席の大ホールから246席の小ホールに移すことを昨年の定期大会で決めていました。
今回、最終的な出席者数は168人でした。残念ながら「うれしい悲鳴」を上げることなく、背伸びしない身の丈に合った小ホールの収容規模に見合った出席者数だったと言えます。小ホールへの変更に合わせ、食事と出席記念品の配布をやめていました。そのため、出席者数の減少は想定しながら200人に届けば素晴らしいと考えていました。168人という数は大成功と喜べるものではありませんが、ことさら悲観するレベルのものでもありません。来年以降、出席者数の推移を見ながら会場規模の再検討をはじめ、代議員制への移行など定期大会のあり方そのものの検討は重ねていくことになります。
さて、定期大会冒頭の執行委員長挨拶ではそのような経緯も報告しながら例年通り簡潔な内容の挨拶に努めました。ちなみに人前で挨拶する機会が多いため、檀上で緊張するようなことはありません。原稿がなくても大丈夫ですが、いろいろ話を広げてしまい、割り当てられた5分という時間をオーバーしてしまう心配があるため、毎年、定期大会だけは必ず挨拶する内容の原稿を用意しています。ここ数年、挨拶原稿のほぼ全文をブログで紹介しています。今回の内容は下記のとおりでした。
まず初めに一言添えなければなりません。昨年の定期大会で確認したとおり今回の会場は市民会館の大ホールから小ホールに変更しています。出席記念品や食事も用意していません。それぞれ組合財政の厳しさから見直したものです。そのような中、今大会に足をお運びいただいている組合員の皆さんに厚くお礼申し上げます。
さて、10月の衆院選挙は内閣支持率が依然低迷していながら与党で3分の2の議席を得るという結果に至っています。野党の再編も非常に悩ましいものがあります。ただ政治情勢は流動化していますが、労働組合としては「組合員にとってどうなのか」という判断基準を最も重視し、今後の様々な課題に立ち向かっていかなければなりません。
政治の話から入ったため、少しだけ補足させていただきます。組合員の皆さんの中に組合は職場課題にだけ取り組み、政治活動は行なうべきではない、そのように思われている方がいらっしゃるかも知れません。言うまでもありませんが、組合の活動は「組合員のため」を主目的としています。
その目的の達成のため、歴史的にも国際的にも労働組合が一定の政治的な活動にも関与してきています。労使交渉だけでは解決できない社会的・政治的な課題に対し、多くの組合が集まり、平和や政治的な活動に取り組んでいる経緯があります。平和で暮らしやすい社会は組合員の皆さんをはじめ、誰もが願うことだろうと考えています。
ただ注意しなければならない点があります。組合員の皆さん一人ひとりの価値観や政治意識は多様化しています。そのため、組合から丁寧な情報発信に努め、諸課題に対する情勢認識や問題意識を一致させながら対処していかなければ、それこそ「組合員のため」の活動がマイナスに働きかねません。それぞれの課題に対し「なぜ、取り組むのか?」「なぜ、反対なのか?」という説明が常に必要なことだろうと考えています。
もちろん組合の最も大切な役割は労使交渉を担うことです。労働条件を決める場で労使は対等な立場となります。職員一人ひとりが組合に結集することで、一人ひとりの率直な思いや声を使用者側に届けられるようになります。このような大切な役割のもとに一年間、様々な活動を進めてきました。
扶養手当の見直し提案は、独自な子の額の上積みや激変緩和策を引き出しました。一時金役職加算の見直しは引き続き見送らせることができています。5月末の「20時完全退庁宣言」を受け、時間外勤務縮減に向けた課題がよりいっそう焦点化されています。組合はサービス残業解消を大前提とし、誰もが20時まで完全退庁でき、健康でいきいきと働き続けられる職場の確立をめざしています。
人事評価制度の労使協議では査定昇給の取扱いを巡って大詰めの局面を迎えています。会計年度任用職員の導入に際しては何としても嘱託組合員の待遇改善に向けた好機にしていかなければなりません。本日お配りした議案書の中にそのような経過の内容が詳しく掲げられていますので、ご一読いただければ幸いです。
このような職場課題に対峙できる労使交渉能力があるからこそ、私自身、組合役員を長く続ける中で「組合は必要」という思いを強めています。ただ残念ながら執行委員定数から大きく欠けた現況が続いています。さらに組合財政も非常に厳しく、引き続き組合活動のあり方を見直していくことになります。職場課題を解決できる交渉能力の維持を大前提とし、優先順位を判断しながら活動全般を見直す中で、組合役員の負担軽減も考慮していきます。
ハードとソフト両面から組合に対するイメージを転換させた上で「組合は必要」という認識が組合員全体で共有化され、この程度の負担であれば「良い経験にもなるし、執行委員を引き受けてみようか」という声が増えていくことを願っています。今年の選挙広報にも掲げたとおり持続可能な組合組織に向け、「ピンチをチャンス」に変えられるよういっそう努力していくつもりです。
まだまだお話したいこと、取り上げるべき大事な課題が数多くあります。それでも皆さんからの発言の時間を充分保障するためにも、挨拶は短めにさせていただきます。最後に、これからも常に「組合員にとってどうなのか」という判断基準を大事にし、組合運動の先頭に立ち、全力を尽くす決意です。それでは、ぜひ、最後まで参加いただき、あわびやいくらの詰め合わせなどを獲得するチャンスを持ち帰られるようよろしくお願いします。
新旧役員の挨拶の際、次のような私自身の問題意識を付け加えていました。組合が「組合員のため」に力を注ぐことは住民サービスの向上にもつながるものと考えています。仮に劣悪な労働条件や職場環境だった場合、職員が健康でいきいきと働き続けられず、良質な住民サービスの提供に支障が出るかも知れないという問題意識です。
もう一つは私どもの組合委員長だった市議会議員が来年6月の選挙に立候補しないことを表明されました。その市議は長島衆院議員に同調し、民進党を離党していました。このことを強く批判している組合役員もいます。冒頭の挨拶の中で示したとおり組合員一人ひとりの価値観や政治意識は多様化しています。そのため、批判の声が上がることは当たり前な話として受けとめています。
ただ違いは違いとして認め合いながら「組合員にとってどうなのか」という共有できる点を広げていく関係性が大切なことだろうと私自身は考えています。そのような意味合いで、政治的な立場が変わったからと言って、これまで私どもの組合と緊密な支持協力関係を築いてきた市議に対する感謝の気持ちが変わらないことを申し添えていました。
政治の場面に限らず、今こそ寛容さや多様性を認め合っていくことが求められているという問題意識を強調する機会につなげていました。さらに定期大会の場では久しぶりにブログ「公務員のためいき」のことも宣伝し、最新の記事で「いがみ合わないことの大切さ」を訴えていることを付け加えさせていただきました。
出席者からの発言として、保育士の方から「公立保育園の大切さ」のアピールがありました。今回は他に質疑もなく、すべて執行部提案は原案通り承認を得られました。定期大会が終わった後、今年も金曜の夜だったため、遅くまで飲み語り合ってしまいました。だからという訳ではありませんが、今週末の新規記事はいつもに比べれば簡潔な記事にまとめさせていただきました。最後に、組合員の皆さん、大会運営にご協力いただいた皆さん、ご来賓やメッセージをお寄せくださった皆さん、新旧の組合役員の皆さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
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コメント
内閣の支持率が不支持を上回ったそうですが、人気商売では
ないのでどうでも良いことです。しかしそれのみに注目して
無益な攻撃を続けた野党には困った状況でしょう。
半年ほどいろいろモリカケを追求したわけですが、当初より
指摘されているように違法行為は存在しません。行政の
歪みと言うならば、他にも事例は存在するでしょう。それら
は追及しないのか?
いつまでも支持率の上がった下がったで攻撃を繰り返すから
政権も勝ち負けで選挙を行う。野党にも自分の利害ではなく
目立ちませんが、良い政策を実現した方は何人もいます。
そろそろ政策本位で国民に関心を呼び込むような国会に
期待します。野党が政権に質問する以上、野党が始めない
限り政権や与党が改まることはないでしょう。
投稿: nagi | 2017年11月13日 (月) 17時34分
なかなか良い記事があるので紹介します
>http://agora-web.jp/archives/2029495.html
ときどきペンは剣より強い実例を見る時がありますね。
投稿: nagi | 2017年11月15日 (水) 09時16分
興味深い記事を紹介します
>https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171116-00010013-nishinpc-soci
今年の夏に高校生平和大使の演説が見送られた問題で
当時、話題になっていました。反安倍のリテラなどでは
安倍政権を叩く記事を書いていましたが、実は中国が圧力を
かけていたわけですね。
さて、リテラやこの時に安倍政権を叩いた福島瑞穂氏は
どのような反応をするのか注目したいですね
いつもどおり都合の悪いことはスルーか、それでもやはり
安倍が悪いと言うのでしょうか。(笑)
投稿: nagi | 2017年11月16日 (木) 18時54分
nagiさん、コメントありがとうございました。
一つの情報に対し、個々人それぞれの受けとめ方や評価があります。ただ当該の情報を正しく理解していなければ、単なる思い込みや先入観での評価や批判につながりかねません。そのような論点での新規記事に取りかかってみようと考えているところです。ぜひ、引き続きご注目いただければ幸いですのでよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2017年11月18日 (土) 08時08分