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2017年10月21日 (土)

衆院選と組合役員選挙

このブログは週に1回、土曜か日曜に更新しているため、月曜以降に訪問者数が多くなっています。そのため、大半の方は衆院選挙の結果を知った上で今回の記事をご覧になっているのではないでしょうか。投票が間に合う方は仮にベストを見出せなくてもベターな選択の意志表示の機会として、ぜひ、投票所に足を運ばれるようよろしくお願いします。なお、今回から選挙区の区割りが大きく変更されていますのでご注意ください。

投票日前のタイミングでは具体的な候補者名の記述を控えています。それでも衆院選について少しだけ雑感のような記述を添えさせていただきます。最近の選挙戦は各メディアが情勢を分析した調査結果を頻繁に報道しています。衆院選の最終盤の情勢も与党が堅調、希望の党が失速、立憲民主党が躍進するという見通しが伝えられています。アンダードック効果の気配はなく、このまま事前調査のとおりの選挙結果が示されるものと見ています。

希望の党の失速は小池都知事の「排除いたします」という言葉が潮目を変えたと言われています。ただ失言ではなく、正直な思いをそのまま示した言葉だったはずです。野合批判を避けるため、ある程度プラスに働く可能性を計算した上での言葉だったのかも知れません。結局、目論見は外れ、希望の党は現有の議席数を維持できるかどうかという苦戦を強いられることになりました。

分かりやすい選択肢になったという肯定的な評価もありますが、結果として与党側を利する顛末をたどってしまったようです。安倍政権に対し、ベターな選択肢として希望の党に期待しようかどうか迷っていた多くの有権者も「排除いたします」という言葉とともに排除されてしまったものと受けとめています。特に連合は希望の党に絞って応援する動きを見せていましたが、排除の論理が浮上し、希望の党と距離を置くことになりました。

木曜の夕方、ターミナル駅前のデッキ上で顔見知りの候補者に偶然出会いました。この時間帯、もしかしたら駅前で遊説しているかも知れないと思い浮かべながら歩いていました。すると行き交う人たちと握手している候補者を見かけました。こちらから近付き「悩ましい展開になってしまいましたね」と声をかけさせていただきました。せっかくの機会でしたので苦笑されている候補者に次のような一言を添えることも忘れませんでした。

配付されていた候補者のリーフレットに北朝鮮情勢の問題で「圧力は対話を引き出すためのもの。圧力一辺倒は単なる挑発です」という言葉が掲げられていました。その箇所を示しながら「この一点だけでも充分な対立軸ですね」とお伝えしたところ候補者からは「その通りです」答えていただきました。所属する政党が変わっても、昔も今も、その候補者の立ち位置は変わらないことを確かめられた短い会話でした。

主義主張や立場が違う相手を敵対視しがちな傾向はよく見受けられる話です。選挙戦の場合、そのような傾向が特段目立つようになります。しかしながら私自身、どのような場面においても立場や考え方の違いは違いとして理解しながら、そのことで相手を敵対視するような関係性は避けたいものと考えています。このような話は機会を見て詳しく綴らせていただくつもりですが、顔見知りの候補者と会話した近況を伝える上で思い浮かべている問題意識です。

さて、スケールが格段に下がり、地味でローカルな選挙絡みの話題につなげていきます。私どもの組合の定期大会が11月10日夜に開かれます。定期大会に先がけ、組合役員選挙が行なわれます。定数内の立候補のため、信任投票が始まっています。以前の記事「組合役員の改選期、インデックス」に託したような思いのもと引き続き執行委員長に立候補しています。立候補にあたり、組合員の皆さんに回覧し、お示ししている私自身の選挙広報に掲げた内容は次のとおりです。

組合役員を長く続ける中で「組合は必要」という思いを強め、そのバトンをしっかり引き継げるように努力しています。同じポストに同じ者が担い続けることの問題点も充分認識しているため、毎年悩みながら判断しています。自分が辞めれば残されたメンバーが新たな視点で活性化の道を拓いていくのかも知れません。ただ今回も執行委員の定数を充足できない中、このタイミングで退任することは、やはり無責任だろうと考えました。

組合役員の担い手の問題や組合財政の厳しさなどピンチは続きますが、これ以上ピンチを広げず、組合活動を大胆に見直す「ピンチをチャンス」に変えられるような努力を引き続き尽くしていくつもりです。その中で絶対引き継ぐべき組合の役割は職場課題を解決できる労使交渉能力です。このことを基軸に持続可能な組合組織につなげていければと考えています。ぜひ、組合員の皆さんのご理解ご協力をよろしくお願いします。
◎ 毎週1回更新しているブログ『公務員のためいき』もご覧いただければ幸いです。

不特定多数の方々にとって興味の沸かない話題で恐縮です。一方で、自治労に所属する組合で役員を担われている方々にとって同じような現状の中、同じような悩みを抱えられている方々が多いのではないでしょうか。機関誌『じちろう』最新号の4面にも「担い手育成 急務の課題」という見出しが掲げられていました。自治労本部が実施した調査結果を中心に報告されていましたが、次代の担い手問題に各単組が軒並み苦慮されているようです。

調査報告の中で「労働条件や職場環境をめぐるベテラン役員と若年層組合員の認識ギャップが見られる」とし、若年層組合員からの「役員歴が長くなってくると、僕たちが分からないことが分からないと思う」「悩みの相談先として組合が出てこない、組合が高い位置にいる専門家集団のようになってしまっている」というコメントが紹介されていました。調査報告では両者の意識のズレの深刻さを読み取りながら、組合役員歴が長くなることの弊害を指摘しています。

その紙面には自治労本部総合組織局長の「同じ人が役員を長くやると経験が豊富ゆえに組織はしっかりするが、その人がいなくなると運動が次につながらない」という話も掲げられていました。耳の痛い話です。紹介した上記の選挙広報のとおり同じポストに同じ者が担い続けることの問題点を充分認識しています。特に今回、いろいろな経緯の中、続けるべきかどうか深刻に悩みました。もちろん最終的な判断は自分自身が下すことになります。

あくまでも自分自身が判断するための参考材料につなげるため、選挙告示日の直前、執行部の皆さん一人一人と個別に率直な話を交わしていきました。私自身の悩みを受けとめていただきながらも「やめないでください」「やめるにしても今じゃないでしょ」という声に後押しされ、上記のとおりの結論に至っています。ただ長く続けてきたこと、さらに続けることを自己犠牲のような気持ちは一切ありません。同年齢の職員は部長をはじめ、課長や係長になっています。確かに賃金水準は主任職と比べれば大きな開きが生じています。

組合役員を務めていなくても係長以上になっていたのかどうかは分かりませんが、自分自身が判断してきた結果であって否定的な意味で「やむを得ない」と考えたことは一度もありません。組合役員を担ったことで貴重な経験や交流を重ねられ、自己啓発の機会も数多く得られながら、やりがいのある任務だったものと振り返ることができます。だからこそ、そのバトンをしっかり引き継ぎたいものと考えています。改めて昨年の記事「持続可能な組合組織に向け」の最後のほうに記した問題意識を掲げさせていただきます。

必要な役割や活動があるからこそ組合組織は維持しなければなりません。そのためには無理しない、背伸びしない、これまで以上にメリハリを付けた活動に重きを置き、結果的に組合役員に過度な負担をかけず、予算面の見直しにもつながるという発想を重視するように心がけています。その中で、職場課題を解決できる労使交渉能力を基軸にした必要な役割や活動だけは必ず継承していかなければなりません。

組合役員の負担がゼロになることはあり得ませんが、少しでも負担が減ることで「組合役員はたいへん」という印象が緩和されることを願っています。選挙広報に記した「ピンチをチャンス」に変えられるような努力とは、このような方向性を意識したものです。ハードとソフト両面から組合に対するイメージを転換させることで組合役員の担い手問題を解決していく好機とし、この程度の負担であれば「良い経験にもなるし、執行委員を引き受けてみるか」という声が増えていくことを期待しています。

近い将来、私どもの組合にも輪番制を導入すべきかどうか議論を本格化させなければなりません。その際、「組合は必要」という認識を組合員全体で共有化しながら持続可能な組合組織のためにどうすべきかという視点のもとでの丁寧な職場議論が欠かせません。輪番制を導入するためにも、ハードとソフト両面から組合に対するイメージの転換が求められています。輪番制という「方針ありき」ではなく、このような試みにも力を尽くした結果、「〇〇部から一人、執行委員を出してください」と気軽に要請できるようになるものと考えています。

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コメント

いよいよ今夜ですね。しかし反自民が立憲民主党に投票す
るのはしかたないのですが、メンバーがほとんどあの憲政
史上最悪と呼ばれる菅直人政権のメンバーなんですよね。

あの政権がどれほど酷かったのか、ほとんどの人が認める
と思います。

その菅直人が今回もおそらく比例復活するのが残念でたま
りません。

選挙後どのような動きになるのか注目ですね。

投稿: nagi | 2017年10月22日 (日) 15時25分

nagiさん、コメントありがとうございました。

今回の記事本文の冒頭に記したとおりの開票結果になりつつあります。個別の政治課題に対する民意と議席数との関係性などいろいろ思うところがあります。機会があれば触れてみるつもりですが、これからもご注目いただければ幸いです。

投稿: OTSU | 2017年10月22日 (日) 21時21分

今回の選挙はいろいろと疲れる選挙でしたね。
結局、風向きひとつでいろんなことが変わることを
目の当りにした以上、政策議論を深めるなんて、たんなる
お題目でしかありませんね。

マスコミの報道で追い風になったり逆風になったり
はたまたマスコミの思惑とは関係ない方向にいったりと
本当によくわかりませんでした。

どちらにしても風があれば、憲政史上最悪の総理と呼ば
れる 菅直人すら小選挙区で当選するとは。
本当に疲れる選挙でしたね。馬淵さんが落選したのも
残念でしたね

投稿: nagi | 2017年10月23日 (月) 18時56分

2009年のとき、「政権交代することが目的」な選挙の結果、何が起こったか?

ということを前提に、

今回、更に退行して「議員であり続けることが目的(としか解釈しようのない状況)」な選挙の結果として、仮に野党側が多数を得た場合…。

それを思うと、
表層的には「自民党を利する結果」として受け止められるとしても、
本質的には「国民全体の利益が保全された(少なくとも野党が勝った未来よりは)」と解釈してます。

もちろん、現政権の継続が理想なのか?というとそれは違うと思う。ただ、現政権の継続が bad だとすると、今の野党が政権に就くのは worst だったと思う。

今の状態の野党が勝った場合、選挙の結果が最終的に確定したその瞬間から、内部崩壊が始まったと思う。
そして、その内部崩壊の過程で内向きにエネルギーを使ってしまって、有権者に対してまともな政治はできなかったと確信できる。

そんな野党の酷さが、結果として現政権の養分になってる。その意味では、「単に自民党批判というだけで、拍手喝采して支持する 支持者の姿勢」も現状に対する責任が大だと思う。

単に自民党を批判するだけなら、国会議員でなくても唯の有権者でも出来る。「どういう政治を行うか?」を論じてこその、野党の国会議員でしょうに。
有権者が野党の肩を持つとすれば、それは「現政権を倒す」ではなく、「現政権と異なりこういう政治を行う」という主張が出てきた時でしょう。野党を支持するなら、野党に対して「まともに政権を担い得ると広く認識される存在になるよう導く」のも支持者の大事な仕事だと思う。

今の政治的状況については、野党の支持者の責任は大きいと思う。

投稿: あっしまった! | 2017年10月26日 (木) 12時56分

前にも書いたと思うけれど、
単なるスローガンを政策として訴えているだけでは絶対にダメだと思う。

国会議員であろうとするなら、政党であるというのなら、「政策で勝負すべし」でしょう。単なるスローガンの連呼なら、一般人の街宣行動でしかない。

もし、野党の支持者から野党に対して、「”アベ政治打倒”、アベ政治を許さない”はスローガンであって、政策ではない。スローガンでなくて、政策で勝負すべき」という有力な意見が出てくれば、そして、野党にそれを受け止めるだけの力があれば、そのときは野党にも芽があると思う。

投稿: あっしまった! | 2017年10月26日 (木) 13時00分

「アベ一強を許さない」はスローガンじゃない。北朝鮮問題だって対案を示してるだろう。これは政策だ。って反応も頂いたことがあるんですけど、

確かに 北朝鮮対応については、政策と言えば政策なんだろうけれど、
とにかく「自民党の逆張り」としか世間に受け止められない状況では無理ですよ。

せめて、「この二十数年間、対話を希求してどうなった?」という意見について、その意見の持ち主を納得させる(説得できる)だけの、説得力ある理屈の通った政策案を提示できなければ。

今の状況では、「三つ子の魂百まで よろしく 自民党の逆張りで思考停止した状態」と受け止められ兼ねないんですから。

投稿: あっしまった! | 2017年10月26日 (木) 13時09分

例えば、

片側2車線の道路を車で走行してます。
左折もしくは直進を望んでいるので、左側の車線を走っています(あるいは走りたいと望んでいます)。

前方に明らかに危険な何かがあります。
事故に繋がるような障害物なのか、危険運転する車なのか、飛び出してきた歩行者なのかは判りません。でも、走行を続ければ、大事故になることが自明な何かがドライブレコーダーにも記録されてます。

危険回避は必要です。危険を避けようとします。
左側車線走行中、目の前に危険があれば、開扉するのはただ一つ。右側の車線によるしかありません。
というか、右側の車線に選りたくなくても、左側の車線の危険を避けようとすれば、右側の車線に引き寄せられます。

判りますよね。右折したいから右側の車線を走りたいわけじゃないんです。単に左側の車線(の危険)を避けたいだけなんです。
でも、2車線の道路なら、右側の車線に入り込むしか方法は無いんです。本意じゃないんですよ、左側の車線を通りたいんです。でも、右側の車線によるしかないんです。

安心して左側の車線を通れるよう、危険を排除して貰えませんか?当初のもくろみ通り、安心して、左側の車線を通れるよう、左側の車線を整備して・交通整理して貰えませんか。

右側車線に行きたいわけじゃないんです、安全に安心して左側車線を通りたいだけなんです。
みなさんも、そんな左側車線を取り戻す為に、道路管理者に働きかけて貰えませんか?

それが出来ないなら、右側に寄るか、そもそも、当該の道路を利用しない・道路の存在を無視するしか、危険回避は出来ないんです。

さて、ワタクシは何を言っているのでしょうか?

投稿: あっしまった! | 2017年10月26日 (木) 22時05分

私には今回の選挙における野党側の対立軸がよくわかりま
せんでした。記事の中にもでてくる。

>「圧力は対話を引き出すためのもの。圧力一辺倒は単なる挑発です」という言葉が掲げられていました。その箇所を示しながら「この一点だけでも充分な対立軸ですね」とお伝えしたところ候補者からは「その通りです」答えていただきました。

政権は国際社会で包囲網を作り圧力をかける。兵糧攻めで
すね。それで、北朝鮮が根をあげて核放棄する戦略だと理解
できます。仮に対話をして、どのような結果を想定してるの
でしょうか。互いに譲ることができない一線がある以上、対話
が上手くいかなかった場合はどのような想定があるのでしょう
か。それが見えないと対立軸としてはかなり薄弱ですね。

立民党にしても、右でも左でもなく前に という言葉は非常に
好感を持てますが、菅直人政権の亡霊のような面々ですから
一時の風で終わることがないことを期待しますね。

投稿: nagi | 2017年10月27日 (金) 16時00分

なんかですね、ここ数日の情報番組を視聴して、野党議員さんの話を聞いてるとですね、

「安倍政権を倒すという最終”目的”の為に、今回の民進党の執った希望の党との合流という”手段”は、妥当だったか?」
って話に終始しておられるんですよ。

けど、消極的に自民党に投票せざるを得ない有権者層からすると、「安倍政権を倒すということを、最終”目的”にしたのは、妥当だったか?」
って話をしてほしいんですよ。

本来、”手段”でしかない「安倍政権を終らせる(自分たちが政権を担う)」ということを、
「本来は手段でしかないと言うことに本人たちも気づいてないのと違うか?」と疑わざるを得ないほどに”目的化”されてる現状で、
仮に希望の党との合流がなかったとして、そんな野党が多数の支持を得られると、当事者はホントに信じてるんですかね。

本来目的であるはずの「目指すべき日本社会のあり方・現実をそれに向かわせる為に打つべき政策」というものを、
「政治が担うべき本来の目的なんて最初からなかった」と言わんばかりの態度ですもん。

この絶望的な 議員さんとコアな野党支持層ではないがコアな与党の支持層でもない圧倒的多数の有権者層との、意識のギャップ・断絶・断層の深さを埋める手段はあるんでしょうか。

野党支持層が、もう少しこういう世間(という空気)について敏感になって、斟み取ることの重要性に気づいて欲しいなぁ。んで、野党議員に換言・忠告して欲しい。

ただ、コアな支持層も、野党議員さんと一緒の”手段と目的”を巡る「偉大にして、悪夢な錯覚」を共有してしまってる感じがするんで、傍目から見てると、なおさら絶望的な感じがします。

「bad と worst でよりマシな方を選ぶ選挙」って洒落にならんのですよ。マシな方を選んでも、結局状況は悪化するって言う構図なんで。

投稿: あっしまった! | 2017年10月27日 (金) 22時56分

nagiさん、あっしまった!さん、コメントありがとうございました。

衆院選挙の結果を受け、私自身も様々な思いを巡らしています。そのため、やはり新規記事は政治の話題を中心に個人的な雑感を添えていくつもりです。ぜひ、引き続きご注目いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2017年10月28日 (土) 09時01分

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