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2017年3月25日 (土)

テロ等準備罪、賛否の論点

最近のブログ記事の中で、何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくことが必要という言葉を頻繁に使っています。この言葉を踏まえて考えた時、安倍政権が提出する法案だから反対するという「条件反射」的な対応は控えていかなければなりません。その意味で賛否の大きく分かれる注視すべき法案が先週火曜日、安倍首相外遊中に閣議決定され、衆院に提出されました。過去3回廃案となった共謀罪に連なるテロ等準備罪です。

政府は21日、組織的な重大犯罪を計画・準備段階で処罰する「組織犯罪処罰法改正案」(テロ準備罪法案)を閣議決定し、衆院に提出した。過去に3回廃案となった「共謀罪」の成立要件を厳格化した「テロ等準備罪」の創設が柱だ。政府は2020年東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策の強化と位置付け、今国会での成立を目指す。

菅官房長官は21日の記者会見で、「3年後の五輪・パラリンピック開催に向け、テロを含む組織犯罪を未然に防止するため、万全の体制を整える必要がある。かつての共謀罪とは明らかに違う別物だ」と述べ、早期成立に意欲を示した。テロ等準備罪は、日本も2000年に署名した国際組織犯罪防止条約の批准に必要となる。

政府は、同条約を締結すれば、組織犯罪に関する国際的な捜査や犯罪人引き渡しなどで諸外国の協力を得やすくなるとしている。日本を除く経済協力開発機構(OECD)の全加盟国など187の国・地域が締結済みだ。【読売新聞2017年3月21日

過去にも当ブログを通し、共謀罪を取り上げたことがあります。「とんでもない法律、共謀罪」というタイトルの記事でした。このブログを開設し、1年ほどは週に複数回更新しています。当時、1回あたりの文字数も短く、現在のような長文ブログではありませんでした。2006年4月27日木曜日に投稿した当該の記事もコンパクトなものであり、その記事を通して訴えたかった要旨は概ね下記のとおり書き出すことができます。

現在、開会中の国会で、とんでもない法律が作られようとしています。共謀罪法案です。実際、犯罪に手を下していなくても数人で集まって「犯罪」の話をしただけで罪に問われる法案です。もともとは2000年11月、国連総会で「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」が採択され、日本も署名したことから話が始まりました。これを受けて国内法の整備のために提案されたのが共謀罪です。

多くの人たちが「国際的な犯罪組織が対象で、自分たちには関係ない」と思われているかも知れませんが、労働組合、宗教団体、職場のサークルなど組織の形態は問われていません。また、仲間同士の冗談話でも逮捕される恐れがあります。与党側は「非常識な運用はされない」と説明しているようですが、ひとたび法律ができてしまえば、その運用の幅は警察や裁判所の判断に委ねられてしまいます。

まず事実関係として指摘したい点があります。そもそも安倍首相は2013年9月のIOC総会で2020年開催のオリンピック・パラリンピックの招致を求めた際、「東京は世界有数の安全な都市」と強調していました。それが今さら「国内法を整備し、国際組織犯罪防止条約を締結できなければ東京オリンピックを開けない」と訴えていることに大きな矛盾を感じています。このあたりは前回記事「再び、言葉の重さ」で綴った問題意識に繋がりますが、安倍首相の言葉の選び方や資質が問われる一例だろうと考えています。

続いて、国際組織犯罪防止条約に批准するための欠かせない法整備であるかどうかという点です。テロを含む組織犯罪を未然に防ぐための国際協力を可能にするための条約はTOC条約、もしくはパレルモ条約とも呼ばれています。自民党の河野太郎衆院議員のサイトでTOC条約に加入することのメリットや今回の法整備の必要性が説明されています。この条約に加入することで、組織犯罪の捜査に必要な証拠が外国にある場合、迅速な共助を可能にします。

この条約に未加入で相手国と2国間条約もない場合、その都度外交ルートを通さなくてはならず、協力を得られるかどうかも分かりません。組織犯罪の容疑者らが外国に逃亡した場合、TOC条約に加入していれば、相手国との二国間条約がなくても引き渡しの請求ができます。未加入で2国間条約もない場合、引き渡しを拒否する国が多くあるそうです。ちなみに日本が2国間条約を結んでいるのはアメリカと韓国の2か国のみです。

国連加盟国の中でTOC条約に加入していないのは日本、イラン、ブータン、パラオ、ソロモン諸島、ツバル、フィジー、パプア・ニューギニア、ソマリア、コンゴ共和国、南スーダンの11か国のみとなっています。このようなメリットや事情があるため、日本政府がTOC条約の加入をめざすこと自体、拒むような話ではありません。そして、TOC条約に加入するためには、その前提条件として重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加を犯罪とする法整備が必要とされています。

果たして今回のテロ等準備罪法案が欠かせない前提条件であるのかどうか、賛否の論点としてクローズアップされて然るべきものと考えています。法律家の間でも賛否が分かれ、日本弁護士連合会は反対の立場ですが、暴力団などの組織犯罪の対応に取り組む弁護士有志は成立を求める提言書を公表しています。日弁連も一枚岩ではなく、テロ等準備罪が、TOC条約の締結に必要か否かで見解が割れています。

日弁連は「テロ対策は既に充分、国内法上の手当がなされている」と主張し、TOC条約締結に新たな法整備が不要との立場です、しかしながら弁護士有志の提言書は、条約が「重大な犯罪の合意」の犯罪化を義務付けていることを理由に「刑法などに予備罪の規定はあるが、その成立には判例上『実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性が認められる程度の準備』が必要。合意の犯罪化を求めている条約の条件を満たさない」としています。

日弁連が改正案に反対する最大の理由は「捜査機関が乱用する懸念」ですが、提言書は「暴力団対策法や組織犯罪処罰法が制定される際も危険性が指摘されたが、乱用されて市民団体や労働組合に適用されたことはない」と説明しています。弁護士の一人は「改正案の構成要件は相当厳格化されている。条約を締結した場合のメリットは大きく、乱用を防止できる日本の民主主義や司法制度の成熟度を信頼すべきだ」と述べています。

上記の指摘もその通りなのかも知れません。しかしながら国連では「国際組織犯罪」と「テロ」は理論上区別され、「マフィアを取り締まる条約に入るための法案だと聞くのですが、なぜ、それがテロ対策になるのか。(共謀罪を立法するための)便乗ではないか」と疑問視する声も耳にしています。さらに以前は676あった対象犯罪を277まで絞っていますが、「テロの実行」分野は半分以下の110程度です。テロ対策を前面に出すことで国民からの反対の声を緩和する意図が透けて見えがちです。

2001年の米同時多発テロで当時34歳だった長男を亡くした住山一貞さんは、政府が「テロ等準備罪」の呼称を使っていることに違和感を覚えています。住山さんは「殺人や誘拐はともかく、窃盗まで入っている。計画段階で捕まえるというけれど、内部告発でもない限り、どう捜査するのでしょうか。テロを未然に防げるなら捜査の幅を広げて個人の自由をある程度縛ることもやむを得ないと個人的に思うが、家族や友人とも気楽に話せないような社会は恐ろしい。この法案とは別に、実質的なテロ対策を望みたい」と語っています。

法案の名称を変え、テロ防止を前面に出していますが、半分以上はテロとは無関係の犯罪を対象としているため、やはり今回も本質は3回廃案になった共謀罪に変わりないと言わざるを得ません。共謀罪の問題性について赤字で掲げた当ブログの以前の記事で端的に説明していますが、世田谷区長の保坂展人さんが「共謀罪はなぜ過去3回廃案になったのか」というタイトルで詳しく解説されています。お時間等が許される方は、ぜひ、ご参照ください。

自治労は安倍首相と衆参議長に宛てた『「共謀罪」の創設に反対する緊急統一署名』に取り組みます。私どもの組合でも署名用紙を回覧し、組合員の皆さんにご協力をお願いします。ぜひ、趣旨に賛同いただき、一人でも多くの方からご協力願えれば幸いです。最後に、すでに記した内容と重なる点もあるかも知れませんが、自治労のサイトに掲げられた平岡秀夫元法相の「共謀罪は監視社会をもたらす」という主張も参考までに紹介させていただきます。

「共謀罪」が「テロ等準備罪」に名前を変えて登場してきた。安倍総理は「テロ等準備罪は、テロ等の準備行為があって初めて処罰されるもので、これを共謀罪と呼ぶのは全くの間違い」と臆面もなく断言したが、全くのごまかしだ。「テロ等準備罪」も、「共謀」(合意)を処罰するもので「準備行為」を処罰するものではない。また、安倍総理は「国際組織犯罪防止条約(共謀罪創設の根拠条約)を締結できなければ、東京オリンピック等を開けないと言っても過言ではない」と大見得を切った。安倍総理のごまかしや虚言に騙されてはいけない。

共謀罪法案は、2003年に初登場して以来3回国会提出されていずれも廃案となった。そして、2006年6月に実質的に葬り去られるまでの間、「共謀罪」は、初めは「国際組織犯罪防止条約に加盟するために必要な犯罪として国内立法化を図るもの」と説明されていたが、その後、「組織犯罪の防止に有効」が加わり、今や、「テロ対策として必要」と説明が変わり、いや、意図的に説明を変えてきたのである。

しかし、共謀罪創設の本質を見失わないでほしい。共謀罪の創設は、「合意」だけで成立する犯罪を大量に作り出すもので、近代日本の刑事法体系を大きく崩すものだ。このことは、我が国刑事法の基本原則を通じて確保されてきた我々の基本的人権を危うくするとともに、盗聴、密告、自白偏重の捜査手法、司法取引等を通じて日本社会を息苦しい監視社会へと変えていくことになる。

安倍総理は衆議院本会議で「一般市民が対象となることはあり得ない」と述べたが、法務省は、「団体の目的が、『重大な犯罪』の実行に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たる」とした。つまり、一般市民も共謀罪の対象になり得ることを示したのだ。このことは、単に、一般市民が「共謀罪」という罪に問われる可能性を示しただけに止まらない。犯罪を起こす可能性があるのなら、しかも、その犯罪が被害や犯罪行為がない犯罪であるのなら、一般市民の生活は捜査当局によって日常的に監視されることになるし、共謀罪の創設は、まさにそのような監視の根拠を与えてしまうのだ。

労働組合を例にとってみよう。普通の労働組合が、団体交渉に向けて「今日は、使用者から満足のいく回答が出るまでは、皆の力で絶対に使用者を帰さないぞ」と合意したり、平和運動の一環で基地建設に抵抗して「工事阻止のために皆で道路に座り込むぞ」と計画したら、それぞれ組織的監禁又は強要罪、組織的威力業務妨害罪の共謀罪に問われる可能性がある。

「労働組合の活動だから共謀罪とは関係ない」とは言えない。労働組合など一般の市民の団体であっても、「重大な犯罪」の実行を合意したら、その時点で、その団体が「組織的犯罪集団」と認定される可能性は否定できないのだ。そして、その認定は、一次的には捜査当局が行うのであるから、捜査の歯止めをかけることも難しい。何としても、共謀罪(テロ等準備罪)の創設を阻止しなければならない。

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2017年3月19日 (日)

再び、言葉の重さ

前回の記事は「森友学園の問題から思うこと」でした。安倍首相が100万円寄付したという話が浮上し、今週木曜日には籠池理事長の衆参予算委員会での証人喚問が一気に決まりました。大きな問題があるのか、ないのか、誰が真実を語っているのかどうか、事実関係が少しでも明らかになることを期待しています。その上で興味深いサイト『森友問題を最初に追及 木村真市議が語った「疑惑の端緒」』を目にしましたので、参考までに紹介させていただきます。

さて、 これまで「言葉の重さ、雑談放談」「改めて言葉の重さ」「改めて言葉の重さ Part2」という記事を投稿しています。今回、安直に「再び」をタイトルに付け、改めて言葉の重さについて考えてみることにしました。当たり前なことですが、特にインターネットを介した会話は文字のみ、つまり言葉のみで行なわなければなりません。そのため、コメント投稿に際した「お願い」をはじめ、言葉の使い方の難しさや大切さに関して、たびたび記事本文を通して掘り下げてきました。

まず言葉の使い方一つで他者に与える印象が大きく変わっていきます。その言葉から発信者の本音や資質が明らかになります。伝えたい真意がそのまま他者に正しく伝わり、目的が達成していくのであれば何ら問題ありません。真意がうまく伝わらない、誤解されてしまった、思いがけない批判に繋がってしまった、このような結果を及ぼすようであれば言葉の使い方を誤ったことになります。

何気ない一言で他者を深く傷付ける場合もあり、後から訂正や謝罪しても簡単に取り返しのつかないケースもあろうかと思います。発信者の立場やTPOによって、ますます言葉一つの重みが増してくるため、できる限り言葉の使い方や選び方には慎重になるべきものと考えています。誰もがうっかりする時があり、いつも完璧に振る舞える訳ではありません。それでも自分自身の発する言葉が他者からどのように受けとめられるのかどうか、想像力を働かせていく心構えだけは持ち続けられるのではないでしょうか。

生活保護の申請に訪れた妊娠中のフィリピン国籍の40代女性に対し、千葉県市原市の福祉担当職員が「産むの?」と問いただしていたことが分かった。女性は中絶を求められたと受け取ったという。同市は不快感を与えたとして、女性に謝罪した。労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が8日、記者会見して明らかにした。それによると、女性は今年1月に市原市の生活保護申請の窓口を訪問。その際に、職員から「自分の国(フィリピン)で中絶はやっていないの?」と問われた。女性が「子どもをおろせって言うんですか」と質問すると、職員は「そこまで言わない」と答えたという。申請は受理されず、その後にNPO職員が同行すると認められたという。市原市生活福祉課の担当者は、朝日新聞の取材に「状況確認のための質問だったが誤解があった。再発防止に努める」と話した。【朝日新聞2017年3月8日

このニュースを受け、私どもの市の場合はどのように対応しているのかケースワーカーの一人に尋ねてみました。すると保護費の額を決める関係上、産むのかどうかは確認しなければならないとのことでした。それはその通りだろうと思いながらも、念のため「その際は出産することを前提に言葉を選び、中絶を強要するように受け取られないことが必要だよね」と一言申し添えていました。例えば「出産予定日はいつですか?」と問いかければ中絶を考えているのかどうかは分かるはずです。

上記報道の場合で「自分の国(フィリピン)で中絶はやっていないの?」という質問は、まったく余計な一言です。誤解ではなく、生活保護を受けるのであれば出産は認めないという底意が表われてしまったと言われても仕方のない言葉でした。少し前には小田原市のケースワーカーのジャンパーに「保護なめんな」と書かれていたことが大きな問題になりました。「不正受給は許さない」という趣旨の言葉だけであれば、特段大きな問題にならなかったものと考えています。

例えば税金の収納現場では「滞納STOP」というスローガンを書いたジャンパーなどが作られる時も珍しくありません。小田原市の場合は「なめんな」という言葉も不適切さだったかも知れませんが、生活保護受給者全体に発しているようなスローガンだったため、より深刻な問題として注目を集めてしまいました。それぞれ様々な事情があり、生活が困窮し、定められた手続きを経て生活保護の受給に至っています。その中には明らかな不正受給者も紛れているのかも知れません。

しかしながら「生活保護は金額ベースで99.5%以上は適正に執行されており、ごくまれにしかないものをクローズアップして日常業務にあたること自体が、すべての受給者に不信の目を向けさせる」という指摘があるとおり生活保護受給者全体をネガティブなイメージでとらえるような言葉は、生活保護を担当する部署の職員であれば使って欲しくなかったものと思っています。いずれにしても「ナマポ」という言葉なども目にしますが、生活保護受給者全体を蔑むような意識や態度は問題視しなければなりません。

仮に生活保護受給者が盗難の容疑で逮捕され、そこに経済的な困窮という理由があったとしても「生保受給者だから」という短絡的な批判は避けるべきことです。「生保受給者だから犯罪者になりがち」という属性批判は問題であり、同様に特定の国の人間は「犯罪者やテロリストが多い」という見方は差別的な意識に偏ったものだと言えます。外国人や日本人を問わず罪を犯す者がいるだけで「〇〇国人だから」という属性批判は戒めなければなりません。

このような属性批判やレッテル貼りは、いわゆる左や右の立場に関わらず慎むべきものと考えています。沖縄で反基地運動に取り組む方々の中に外国人が含まれているから「〇〇国のための工作活動」、一部で過激な言動が見受けられるから「プロ市民や過激派による反対活動」というように運動全体にレッテルを貼り、「テロリストみたい」と胡散臭さを強調するような言葉は極めて不適切なものです。このあたりは以前の記事「沖縄で起きていること」の中で個人的な問題意識を綴っていました。

一方で、反基地運動を忌み嫌い、安倍首相を信奉されるような方々を一括りに「ネトウヨ」と決め付け、反知性主義者だと批判することも避けなければなりません。そもそも左や右の立場に関わらず反知性主義者や問題を起こす人物は存在するはずです。やはり属性で決め付けず、何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくことが必要です。前回記事にはnagiさんから「宮古島の市議が自衛隊を完全に愚弄する投稿をしてましたが、内容は完全なレッテル貼りでしかない」というコメントが寄せられていました。

沖縄県の宮古島市議が自身のフェイスブックに「自衛隊員が来ると島で婦女暴行事件が起きる」などと投稿し、炎上。「自衛隊全体を批判しているわけではない」と再度投稿し、謝罪したものの「戦争のための軍隊という仕組みに対して(批判した)」との部分に再び批判が殺到、市議は2つの投稿を削除した。この市議は石嶺香織市議(36)。9日に1度目の投稿がされた。内容は「海兵隊からこのような訓練を受けた陸上自衛隊が宮古島に来たら、米軍が来なくても絶対に婦女暴行事件が起こる。軍隊とはそういうもの。沖縄本島で起こった数々の事件がそれを証明している」というもの。

石嶺市議は「宮古島に来る自衛隊は今までの自衛隊ではない。米軍の海兵隊から訓練を受けた自衛隊なのだ」として、陸上自衛隊がカリフォルニアでの演習に参加した際の写真を添付。さらに「私の娘を危険な目にあわせたくない。宮古島に暮らす女性たち、女の子たちも」と結んだ。これに対し、「思想信条は自由だが、自衛官を強姦魔扱いは許されない」などと批判が殺到、辞任を求める声まで上がった。石嶺市議は10日までに「3月9日夕方の投稿について」と題し、再度、釈明する文を掲載した。

「自衛隊全体を批判しているわけでも、個人を批判しているわけでもありません。私が批判しているのは、自衛隊員個々の人格に対してではなく、戦争のための軍隊という仕組みに対してです」「現在の自衛隊という組織が米軍と一体化して、専守防衛の枠を外れつつあることに強い危機感を持っています。海兵隊は人を殺すことに対して感情を殺すように訓練されています」などとして、「海兵隊に訓練を受けた陸上自衛隊が今後、米海兵隊と同質のものになる可能性があります」などと投稿した。この投稿に再び批判が殺到し、石嶺市議は2つの投稿を削除した。

石嶺市議のブログなどによると、昭和55年、福岡県生まれ。大阪外語大を中退し、大阪の障害者施設に4年間勤務。平成20年、宮古上布を学ぶため宮古島に移住。陸上自衛隊配備反対と、地下水を守ることを公約に、今年1月の市議補選で初当選したばかり。【産経新聞2017年3月12日

今回記事の主題を「言葉の大切さ」としたのは上記の事例を取り上げようと考えたからです。結論から言えば石嶺市議の「自衛隊員が婦女暴行事件を起こす」という決め付けた言葉は論外です。海兵隊が戦場で躊躇わずに人を殺せる訓練を行なっていることはその通りなのかも知れません。しかし、だからと言って海兵隊員や一緒に訓練した自衛隊員が強姦を犯しやすくなるという見方は属性批判に繋がる容認できない発言です。

石嶺市議は本気で心配し、正直な気持ちをフェイスブックに掲げたのでしょうが、市議会議員という公的な立場であれば、その言葉の重さを強く意識しなければならなかったはずです。後から「私が批判しているのは、自衛隊員個々の人格に対してではなく、戦争のための軍隊という仕組みに対してです」と釈明しても、最初に発した言葉が極めて不適切だったため、説得力に欠けてしまいます。最初の言葉に対し、他者からどのように受けとめられるのかどうか想像力が乏しかったと言わざるを得ません。

最後に、先週金曜日の夜は人員の課題での労使交渉の決着期限でした。今年も徹夜となり、土曜日の朝、午前6時前に最終合意の団体交渉に至っていました。その夜の交渉の中で、ある組合役員が「嘱託や臨時職員では個人情報が守れない」という言葉で反論する場面がありました。交渉の終わり際、その言葉に対し、私から「非常勤職員では個人情報を漏らしがちになるという意味ではなく、対象業務を担うための職責や役割について訴えた言葉」という説明を加えていました。市当局側に属性批判という誤解は与えていなかったようですが、個人情報を悪用するような不届き者は場合によって正規や非正規問わず現われるものと危惧しています。

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2017年3月12日 (日)

森友学園の問題から思うこと

今回の記事で取り上げる内容に対し、閲覧された方々、一人ひとり様々な受けとめ方があろうかと思います。決め付けた言い方は慎まなければなりませんが、やはり日頃から安倍首相を支持されている方、逆に批判的な見方をされている方、そのような立場によって受けとめ方が大きく違ってくるのかも知れません。このような点が顕著だった場合の発言内容はポジショントークと呼ばれがちです。

週に1回、このブログの更新を続けていますが、なるべくポジショントークという見られ方を避けるような記述に努めています。このあたりは「Part2」にわたって投稿した「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」を通して綴っていました。例えば安倍首相の言動すべてを頭から否定していくようでは適切な評価を下しにくくなります。得てして個々人の基本的な考え方や立場性の違いから他者が発している言葉の背景を先入観で推測、もしくは邪推してしまいがちです。

しかしながら適切な評価を下していくためには「誰が」に重きを置かず、その言動や判断は正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくことが必要だろうと考えています。そして、物事を適切に評価していくためには、より正確な情報に触れていくことが欠かせません。誤った情報にしか触れていなかった場合は適切な評価を導き出せません。また、情報そのものに触れることができなかった場合、問題があるのか、ないのか、評価や判断を下す機会さえ与えられません。

前々回記事「非常勤職員制度見直しの動き」の中で、新聞各社の政権との距離感によって報道の力の入れ具合も極端に変わることを記していました。その記事を投稿した時点では販売部数トップの読売新聞の紙面上で、国有地の売却額が問題視されている森友学園に関する記事を探すことは難しい現況でした。実際、ある方と雑談していた時、この森友学園の問題に話題が及んだ際に「何ですか、それ?」と尋ねられてしまいました。今であればテレビでも新聞でも連日、森友学園の問題を取り上げていますので知らない方のほうが少なくなっているはずです。

ちなみに安倍首相と内閣記者クラブのキャップらが赤坂の高級中華料理店でオフレコ懇談会を開いた2月27日の夜以降、読売新聞をはじめ、マスメディアすべてが森友学園の問題を大きく取り上げるようになっていました。「安倍首相が森友学園問題の報道についてクギを刺したのは疑いようもない」という見方をネット上で目にしていましたが、結果は逆の流れになっています。ただ各メディアが気概や矜持を示したというよりも、自社だけ取り上げない訳にはいかないほど国民の関心が高まっていたからだろうと見ています。

このあたりは過去の記事「卵か先か、鶏が先か?」の中でメディアが世論を決めるのか、世論がメディアの論調を決めるのかという問題意識に繋がっています。本題に入る前に長い記事になりつつあります。前回記事「非正規雇用の話、インデックスⅡ」の冒頭で「毎日のように新たな情報を耳にする森友学園の問題は様々な切り口から論点を掘り下げることができそうです」と記していましたが、今回、前述したとおりポジショントークと見られないよう事実関係の紹介を中心に様々な論点を提起させていただくつもりです。

鑑定評価額9億5600万円の国有地が、大阪市の森友学園に実質200万円で売却された問題。森友学園はこの土地に私立小学校を新設予定で、当初は「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付金が集められていた。しかも、昭恵夫人が新設小学校の名誉校長に就任していたため、国民の疑惑の目は当然、安倍首相にも向けられている。24日の衆院予算委員会で、安倍首相は夫人が名誉校長を辞任したことを明らかにしたが、それで済む話ではないはずだ。安倍首相は24日の予算委で責任回避に終始した。

寄付金集めに自分の名前が使われたことは「大変遺憾であり、残念であるという強い抗議をした」「大きな不信を持った」。森友学園の籠池泰典理事長に対しては、「非常にしつこい中において」とか「教育者としてはいかがなものか」とまで言っていた。17日の予算委では、森友学園と籠池理事長のことを「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と持ち上げ、「私の考え方に非常に共鳴している方から、『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが断った」と表明していたのに、わずか1週間で手のひら返しの迷惑顔だ。

ベストセラー「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は、塚本幼稚園が撮影して配布した運動会のDVDの映像を見て、絶句したという。2015年に塚本幼稚園で行われた秋の大運動会の冒頭、選手宣誓で園児がこう言っているのだ。「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。安倍首相ガンバレ!安倍首相ガンバレ!安保法制国会通過よかったです!」子どもたちはアンポの意味も分からず言わされているのだろうが、これも教育基本法に反する政治的活動に違いない。

昭恵夫人は名誉校長を辞任し、23日には森友学園のHPから名誉校長の挨拶も削除されてしまった。「隠蔽じゃないかと思った」と国会で野党議員が発言したところ、安倍首相はマジ切れ。「隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか!私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!」「レッテル貼りだ!」「公共の電波の前で私と妻を侮辱した!」と早口でまくしたて、「(隠蔽の言葉を)取り消さないと答弁できない」「まるで私が関与しているかのごとくイメージ操作を延々と、それしかないのでしょうけど、だからあなたたち(民進党)は国民からの信用を得られないんですよ」と民進党を侮辱していた。

「問題の国有地売買に関わった財務省や国交省は、森友学園との交渉や面会の記録は破棄して残っていないと言っています。これでは隠蔽と疑われても仕方がありません。首相はすぐに『私や家内や事務所が国有地払い下げに関与していたら政治家を辞める』と逆ギレしますが、本来なら、不可解な土地取引の『真相を解明する』と宣言し、関係省庁に『調査に協力するように』と指示するのが行政府トップとしての役目でしょう。やましいことがないのなら、身の潔白を証明するためにも、首相自ら率先して真相解明に動き、国民の不信を払拭すべきです。」(ジャーナリスト・横田一氏)【日刊ゲンダイ2017年2月25日抜粋

当初、事実関係について自分自身の言葉に置き換えて書き進めることを考えました。特に『日刊ゲンダイ』の記事を引用した場合、「日刊ゲンダイだから」という先入観を持たれる方が多いようであり、上記の記事内容を掲げることは考えていませんでした。それでも「被害者ヅラ」や「なんと軽い理念の共鳴か」という安倍首相を揶揄するような言葉や推論に近い記述箇所を外し、事実関係を中心に抜粋してみると上記の内容となりました。

最後に引用した社名を紹介しなければ『日刊ゲンダイ』の記事だとは思われなかったかも知れません。実は私自身の省力化(coldsweats01)も目的にした訳ですが、「安倍首相批判ありき」と見られがちな『日刊ゲンダイ』も事実関係をもとに自社の立ち位置からの批評を交えた報道に努めていることがよく分かる機会となっていました。ただ事実関係に対する評価が私自身も含め、個々人の基本的な視点や立場から枝分かれしていきがちな点があることも押さえていくつもりです。

森友学園の問題は日々、新たな情報を耳にすることができます。小学校の建築費について、府私学審議会向けに提出した資料の中で7億5600万円、小学校の施工業者には15億5520万円、国交省には23億8464万円とする契約書を提出していました。このような差異が意図的だったかどうかは確定していませんが、厳しく問われるべき問題だろうと思っています。過熱しているメディアの報道に加え、インターネツト上にも森友学園に関する様々な情報や論評があふれています。

その中で国有地の売却額に対し、森友学園の問題と同じような疑惑のある事例が見受けられるという指摘も散見しています。もし問題があるのであれば事実確認した上、同じように追及すべき話だろうと考えています。北朝鮮の脅威が高まっている時、優先順位を無視して森友問題を取り上げることの批判意見も目にしています。もちろん政策判断において優先順位は重要ですが、「だから森友学園の問題を軽視しろ」という理屈は成り立たないはずです。いろいろな主張に接している中で、自民党の衆院議員である船田元さんのブログでの指摘が冷静で分かりやすいように感じています。

大阪府豊中市で塚本幼稚園を経営する森友学園の話題が、連日のように報道され、国会でも議論が続いている。新しい小学校を作るための国有地の払い下げ金額が、評価額に比して異様に安すぎることで、政治家の関与がなかったかどうか。また塚本幼稚園の教育内容が余りにも異常ではないか。この2点にポイントが絞られている。安倍総理大臣や昭恵夫人との関連は、自ら明らかにされることだから多くは語らないが、他の多くの真面目な私立学校が、森友学園と同類項と受け止められることは堪らず、「異常な事案」として、徹底的に事実関係を明らかにしなければならない。

私は国会議員であると同時に、作新学院という私立学校を、132年間代々稼業として経営してきた。30年ほど前に4年制大学を新設するため、約5000平米の国有地を払い下げてもらった。金額は忘れたが、関東財務局から提示された価格をそのまま受け入れた。価格面での交渉は全く行わなかった。加えて大学設置認可(文部省:当時)と農地転用(関東農政局)そして国有地払い下げ(関東財務局)の決定のどれが優先されるかで、各役所間の調整が難航し、予定よりも2年遅れでようやく開校にこぎ着けたことを思い出す。多忙とストレスで担当職員1名が体調を崩してしまったこともあった。

議員の立場を利用してはいけないと、極力関連当局には顔を出さなかったが、立場上どうしても赴かなくてはいけない時は、議員バッジを付けず、議員名刺も持たずに行ったと記憶している。だから今回の国有地払い下げにおいて、財務局の提示価格の10数%だったことや、非常に短い時間で払い下げが決まったことを聞くと、どうしても特別の力学が働いたと思わざるを得ないのである。さらに報道によると塚本幼稚園の教育は、教育勅語や、中国や韓国を敵視するスローガンを暗記させるという偏向した内容であり、幼稚園教育要領を明らかに逸脱している。国論を二分した平和安全法通過に言及させる教育を、政治的素養や能力の整っていない幼児に施すことは、極めて異常である。

私の経営する作新学院幼稚園では、決してこのような偏向した教育は行なっていない。幼稚園教育要領に則り、特に自然や人間社会との関わりを重視し、自ら考え自ら行動できる子どもたちの育成に務めている。特定の価値観を、しかも暗記という方法で教え込むことは、我々の教育とは真反対にある。過去の歴史が指し示す通り、国家の崩壊は、まず教育の崩壊から始まる。私たちは決して過去の轍を踏んではならない。

船田さんは自民党の中での存在感が薄くなっているため、ある意味でポジショントークだと言われがちなのかも知れません。とは言え、自民党の現職国会議員が上記のような主張を広く発信されたことは注目すべき出来事でした。世論の圧倒多数が徹底的な事実解明を求めています。野党側からの参考人招致に対し、自民党側は「民間人の招致は慎重にしなければいけない」という説明を繰り返しています。しかしながら民間人を招致した前例は多数ある中で、このような説明では真相の徹底解明に及び腰であると見られても仕方ありません。

たいへん長い記事となっていますが、もう少し続けます。参院予算委員会で民進党の福山哲郎さんが次のような質問を行なっていました。昭恵夫人が名誉校長だったため、安倍首相らに恥をかかせないよう近畿財務局が忖度し、国有地の売買などに影響を与えたのではないかという質問でした。この質問に対し、安倍首相は「名誉校長に安倍昭恵という名前があれば印籠みたいに恐れ入りましたと、なるはずがないんですよ」と反論しています。

さらに安倍首相は「私と妻がまるで関わっているかのごとく、まるで大きな不正、犯罪があったかのごとく言うのは大きな間違いだ」と激高していました。これに対し、福山さんは「私は『昭恵夫人は被害者かも知れない』と申し上げたんです。犯罪者扱いなんかしていない。それこそ印象操作だと私は思いますよ。何をそんなムキになっているんですか」と切り返していました。ちなみに安倍首相を信奉する山本一太予算委員長が「簡潔に答弁を」と諭す場面もあったようです。

国会での質疑の中で、安倍首相は「昭恵夫人は私人だ」と言い切られていました。公人か私人か多少幅のある話かも知れませんが、公費の充てられ方をはじめ、とても私人だと言い切れるような現状ではないはずです。いずれにしても森友学園の問題で安倍首相や昭恵夫人が贈収賄に繋がるような働きかけを関係機関に行なっていないことはその通りだろうと考えています。森友学園が経営する保育園での虐待や幼稚園児に教育勅語を暗唱させているような事例も把握していなかったのかも知れません。

それでも当初、安倍首相が森友学園の教育方針や籠池泰典理事長らを称賛していたことは事実です。最近、籠池理事長の長男が父親と安倍首相との関係性などを語っていました。双方の言い分に違いがあるため、どちらかの記憶違いなのでしょうか。最後に一言、予算委員会の質疑時間に森友学園の問題が割かれることへの批判もあるようですが、後ろめたいことがないのであれば参考人招致をはじめ、より積極的に国会の場で事実関係を明らかにする努力が安倍首相には求められているものと思っています。

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2017年3月 4日 (土)

非正規雇用の話、インデックスⅡ

皆さん、割り切れないでしょうがね…」という言葉を石原元都知事自身が残し、記者会見場を後にしたとおり豊洲移転問題に関わる疑念は晴れないままです。国有地の売却を巡って疑念が抱かれている森友学園の問題については前回記事で少しだけ触れました。この問題の報道を「読売新聞の紙面で探すことは難しい現況です」と記しましたが、先週中頃から読売新聞も連日取り上げるようになっています。毎日のように新たな情報を耳にする森友学園の問題は様々な切り口から論点を掘り下げることができそうです。

ただ今回も記事タイトルを「非正規雇用の話、インデックスⅡ」にしたとおり森友学園の問題は機会があれば次回以降の記事で取り上げてみたいものです。前回の記事を「非常勤職員制度見直しの動き」にしましたが、こちらの問題も様々な意味で現在進行形の重要な話題だと言えます。加えて、このブログのインデックス記事は「人事院勧告の話、インデックス」を最後に半年以上投稿していません。次のような便利さを個人的には意識しているため、久しぶりにインデックス記事として書き進めてみました。

カテゴリー別に検索できる機能を使いこなせず、これまで「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べています。その発展形として「○○の話、インデックス」を始めていました。その記事の冒頭、インデックス記事のバックナンバーを並べることで「インデックス記事のインデックス」の役割を持たせています。カテゴリー別のバックナンバーを探す際、自分自身にとっても役に立つ整理の仕方であり、時々、そのような構成で新規記事をまとめてきました。

これまで投稿したインデックス記事は「平和の話、インデックス」「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「定期大会の話、インデックス」「年末の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックス」「春闘の話、インデックス」「コメント欄の話、インデックス」「非正規雇用の話、インデックス」「定期大会の話、インデックスⅡ」「年末の話、インデックスⅡ」「平和の話、インデックスⅡ」「組合役員の改選期、インデックス」「人事評価の話、インデックス」「図書館の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックスⅡ」「憲法の話、インデックス」「人事院勧告の話、インデックス」で、非正規雇用に関わるバックナンバーは次のとおりです。 

さて、非正規雇用の問題は「現在進行形の重要な話題」と記しましたが、昨年末に示された「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」の報告書を受け、総務省は今国会に関連法改正案の提出を準備しています。土曜日、自治労都本部の定期大会に出席しましたが、中央本部書記長の挨拶をはじめ、都本部の議案提起や当事者である非常勤職員組合の代議員の発言の中で、この法案に絡む報告や訴えがありました。

総務省が準備している法案は地方自治体の非常勤職員の待遇を改善することを目的とし、明文規定がなかった非常勤職員の採用方法と任期を法律に明記する内容です。前回の記事に綴ったとおり事務補助職員を非常勤特別職として採用することが問題視され始めています。本来、特別職とは首長や委員等の専門性の高い職であり、地方公務員法が適用されず、守秘義務や政治的行為の制限などの制約が一般職と異なります。

地方公務員法3条3項3号を根拠に採用されている事務補助職員は全国で22万人に及びます。首長や委員等と同じ法的な位置付けになるため、特別職非常勤職員にはボーナスなど手当支給に制限を加えられていました。今後、地方公務員法に「会計年度任用職員」の規定を新設することで、非常勤の事務補助職員らにボーナスも支給できるようにする動きです。ただ「会計年度任用職員」という呼称のとおり任期は従前通り「最長1年」にとどまり、雇い止めの不安が一気に解消される訳ではないようです。

また、フルタイムとパートタイムの線引きが明確化され、手当支給を可能とするのは前者のみという話を自治労都本部の定期大会の場で耳にしました。さらに実際に支給するためには各自治体での条例改正が必要とされ、今回の法改正を即座に適用しない自治体が生じるケースも見込まれます。前回記事の中で、一生非正規さんから「雇い止めされそうです 助けて下さい」という悲痛なコメントを紹介しましたが、特別職非常勤職員という法的な位置付けで採用された方々が雇い止めを強いられるような動きにも警戒しなければなりません。

手当支給など一歩前進という意味で今回の動きは地方公務員の非常勤職員制度にとって追い風ではありますが、その動きの中で本人の意に反し、雇い止めされていく事態が生じるようでは大きな問題です。私どもの組合に加入されている嘱託職員の皆さんも地方公務員法3条3項3号を根拠に採用されています。そのため、特別職非常勤職員という立場ですが、今後、どのような動きがあろうとも一方的な雇い止めを許さない考え方で組合は対応していきます。

地方公務員の非常勤職員制度が実情に合わせて整備されていく動き自体を否定できません。しかし、働き方改革実現会議の中で「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」を最も重要な目的にしているのですから、その目的に沿った非常勤職員制度の見直しが欠かせないはずです。いずれにしても手当支給など「追い風」は最大限利用し、労働組合側は「同一労働同一賃金」の方向性に反するような理不尽な動きには毅然と反対していかなければならないものと考えています。

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