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2017年2月18日 (土)

何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか Part2

前々回記事「改めて平和フォーラムについて」を通し、ある報道番組で知った興味深い話を紹介しようと思っていました。前回の記事を「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」というタイトルにしたのは、その話まで繋げる意図があったからでした。それが毎度のことですが、たいへん長い記事になっていたため、結局、その話の紹介は2回続けて見送ることになりました。

私自身にとっては非常に印象深く、いろいろな論点が思い浮かぶ話ですので今回の記事では必ず取り上げてみるつもりです。その上で今回、前回の記事内容の続きとして「Part2」を付けてみました。「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」というタイトルは話題を際限なく広げられます。そのため、もったいぶる訳ではありませんが、まず最近気になった話題をいくつか取り上げさせていただきます。

民進党最大の支持団体・連合の組織内議員が9日、国会内で野田佳彦幹事長と面会し、次期衆院選公約で「2030年原発ゼロ」を掲げようとしている党執行部に、慎重に判断するよう申し入れた。早期の「原発ゼロ」を打ち出したい蓮舫代表に対し、党内の原発再稼働容認派が異議を唱えた格好で、党内の温度差が浮き彫りとなった。申し入れたのは「連合組織内議員懇談会」の代表世話人である小林正夫参院議員(電力総連)ら。

民進党は3月の党大会で、これまで掲げた「2030年代原発ゼロ」から「2030年原発ゼロ」に修正し、目標時期を明示する方向で調整。党エネルギー環境調査会(玄葉光一郎会長)で具体的な工程表作りを進めている。野田氏への申し入れ書には「結論ありきで考え方の柱を見直すならば、党内の混乱を生む」と懸念を示し、「(見直しを)拙速に進めても、離れた民心を取り戻すには至らず、党勢回復には到底つながらない」と批判している。【産経新聞2017年2月9日

上記の報道内容に接し、たいへん残念な気持ちを抱きました。このブログで「原発の話、インデックス」「原発ホワイトアウト」「東京ブラックアウト」などを投稿している通り私自身、将来的には原発をゼロにすべきものと考えています。そのため、連合組織内議員が異議を唱えたことを残念に思ったように誤解されてしまうかも知れません。しかしながら今回、そのような申し入れがあったということよりも、民進党執行部の判断をたいへん残念に思っています。

そもそも「2030年代原発ゼロ」から「2030年原発ゼロ」という公約に変える意味合いがどれほど大きなものなのか分かりません。2030年代という目標であれば、2030年に達成という工程表の範囲内です。このような中味の公約変更に際し、党内に波風を立てるような進め方に残念な気持ちを抱きました。さらに何が正しいのか、どの選択肢が正しいのかという視点でとらえた場合、次のような問題意識も抱いています。

大切な目的は将来的には原発に依存しない社会の実現です。その目標に向かって、これまで「2030年代原発ゼロ」という公約を掲げてきたのであれば、まず何よりも優先すべきことは掲げた公約に対する取り組み状況の検証です。即時に原発はなくせないという党内の意見や国民の声もあるため、「2030年代原発ゼロ」という公約に至ったものと理解しています。最低限、党内の意見が一致したのであれば工程表の前倒しや見直しも意義深いものだったのかも知れませんが、逆に党内の足並みの乱れを露見させる格好となっています。

私自身の問題意識として、理想とすべきゴールを描きながらも、物事を実際に改めていくためには現状からスタートする地道な一歩一歩の積み重ねが大事だと考えています。したがって、原発を即時廃止と訴えた場合、原発は必要だと考えている方々との議論がかみ合わなくなる懸念を抱えています。本当に原発ゼロを実現するのであれば、原発を必要と考えられている方々との対話が欠かせないものと認識しています。

そのような意味合いで考えた時、連合や民進党の中では両者の立場からの意見交換を行なうことができます。それぞれの「答え」の正しさを主張し合った議論を経て、連合よりも先に民進党内で「原発ゼロ」を加速させる方向性が定まったのであれば、それはそれで評価できる動きだったと言えます。しかし、残念ながら議論そのものが不充分なままの民進党幹部の勇み足であり、党エネルギー環境調査会の会合の中で不満の声が噴出し、連合会長からも強い反発を受けているようです。

小泉元首相の「野党が一本化して原発ゼロを争点にしたら与党は負ける」という発言を耳にしていますが、政党が選挙を勝ち抜くための公約を掲げるという関係性自体は否定できません。そのような関係性を踏まえ、即時廃止と言えない中での「2030年原発ゼロ」も選挙目当ての見直しであろうことは容易に推測できます。しかし、選挙を意識しすぎたマニフェストで政権交代を果たし、その結果、たいへん苦労し、迷走した経験を民進党は決して忘れてはならないはずです。

民進党は1日、国会内で次期衆院選の公約づくりの検討会を開き、経済政策の原案をまとめた。子どもや若者、女性に重点を置いた「人への投資」を経済政策として位置付け、幼稚園などの就学前教育から大学まで授業料などを免除する「教育の無償化」を柱とした。教育無償化は旧民主党政権が進めた高校授業料の無償化に加え、小・中学校の給食費や大学の無償化、無利子奨学金の拡充などを掲げた。

検討会会長の細野豪志代表代行は「育児や教育への投資は、法人税減税や公共事業投資よりもはるかに経済波及効果が高い」と説明した。同党の試算では、教育無償化には約5兆円の予算が必要。財源は子どもに関する施策に使途を限定する「子ども国債」の発行▽専業主婦世帯などの税負担を軽減する配偶者控除の廃止▽消費税率を10%に引き上げた際の1%分の税収充当--などで捻出するとした。農家への戸別所得補償や育児休業手当の100%支給なども盛り込んだ。【毎日新聞2016年12月2日

上記のような選挙公約が「人への投資」であり、子どもや若者に重点を置いた具体的な政策として実現できれば画期的なものです。しかし、やはり財源の問題に照らし合わせた時、本当に実現できるのかどうか大きな疑問が残ります。子ども手当を月額2万6千円支給や高速道路無料化のマニフェストなど国民からの期待を膨らませながら、結局、財源の問題で実現できなかったことを省みなければなりません。

もともと民主党が政権交代を果たす前、あまりにも風呂敷を広げすぎたマニフェストのあり方を懐疑的に見ていました。このブログの記事「『政権交代論』への共感」「新政権への期待と要望」に書き残している通り数値目標を過度に強調することの問題性を訴えていました。その当時の記述を参考までに紹介しますが、たいへん残念ながら民主党政権は迷走し、国民に大きな失望感を与えてしまいました。

民主党が期待されているのは、総論としての国民生活の向上であり、明るい未来を切り開くことだと思っています。党としての面子や体裁にこだわり、各論の実現を優先しすぎた結果、逆に国民を不幸せにするような事態は本末転倒なことです。公約を修正する際など、真正面から誠意を尽くして説明責任を果たしていく限り、国民からの信頼も簡単に失墜しないのではないでしょうか。

民主党から民進党に変わっていますが、政権交代を果たし、わずか3年余りで政権の座を下りることになった反省と経験が充分活かされているようには思えません。国民から支持を得られやすいから「2030年原発ゼロ」や「教育無償化」を公約に掲げるという発想であれば、民主党時代と同じような轍を踏んでしまう危惧があります。これまで「民進党、中味に期待」「民進党に望むこと」という記事を投稿してきましたが、決してポジショントークを繰り返している訳ではありません。

何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、そのような視点や立場から野党第一党である民進党の奮起に期待しているところです。今回も民進党に対して苦言というよりも要望という意味合いで綴っているつもりです。工程表や具体的な数字を明示できるほうが望ましいことは確かですが、政党としての理念や将来的なビジョンの競い合いだけで自民党との対抗軸は充分打ち出せるはずです。

その一つが「2030年代原発ゼロ」であり、原発を必要と考えている方々と議論し、一つ一つ乗り越えるべきハードルを越えて行った先に結果として2030年どころか、すぐ間近に「原発ゼロ」社会が実現できるのかも知れません。「人への投資」も同様です。方向性としての選択肢を示し、現実的な財源確保の問題を見定めた上、政策の優先順位を組み替えながら一歩一歩前に進めていくという約束のほうが信頼を得られやすいのではないでしょうか。

そして、憲法の平和主義の大切さをアピールできる政党であって欲しいものと願っています。自民党も平和主義の大切さを否定しないはずですが、様々な制約のある「特別さ」を誇るべきものと考えるのかどうかが対抗軸になり得るものと見ています。これまで「特別さ」を意識してきたからこそ「軍事的下心がない」と認識され、公平な国だと見られてきた平和主義の効用があったものと考えています。

いずれにしても何が正しいのかという視点を踏まえた際、憲法9条の「特別さ」が平和を築く上で有益なのか、正しい選択肢なのか、私たち国民は改めて問い返す時機に近付いているのかも知れません。民進党が公約に掲げるなど信を問う機会を設け、この「特別さ」が逆に平和を築く上でマイナスに働き、不都合なことだと国民の多くが認識するのであれば憲法96条に沿って、フルスペックの集団的自衛権を認めるような国際標準の平和主義に改めなければならないことも覚悟しています。

「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか Part2」というタイトルを付けて書き進めてきましたが、ここまで民進党への注文が記事内容の大半を占めてしまっています。最初にお伝えした通り今回の記事では、ある報道番組で知った興味深い話を誇るべき日本の「特別さ」を考える事例の一つとして紹介してみます。シリアのアサド大統領が6年に及ぶ内戦状態に陥ってから初めて日本のメディアの単独インタビューに応じていました。1月17日にシリア・ダマスカスで行なわれたものです。

TBS『NEWS23』に映し出されたアサド大統領の「政府の役割は国民をテロリストから解放することです」「もし我々が自国民を殺していたら6年もの間、政府として、軍として、あるいは大統領として持ちこたえることができたと思いますか」「我々がここにいるのは国民の支持があるからです」などという言葉が印象深く、いろいろな思いを巡らす機会となっていました。もちろんアサド大統領の言い分だけで「正しさ」を判断することも慎まなければなりません。その上で最後に、私自身が特に印象深かった日本に向けたアサド大統領の言葉を紹介させていただきます。

何十年も前に国交を持って以来、日本はシリアなど様々な国々の発展にインフラ支援など、とても重要な役割を果たしてきました。そして、日本は中東の様々な問題について公平でした。常に国際法を重視してきました。ところが今回のシリア危機が始まると日本は初めて慣例を破り、シリアの大統領は辞任すべきだと言ったのです。これは日本の人々の価値観や倫理観に基づいたものだったのでしょうか。絶対に違います。皆、日本の市民がどれだけ道徳を重視するか知っています。

これは国際法にのっとっているのでしょうか。それも違います。我々は主権国家で誰が辞めて、誰が残るべきなどと言う権利は世界の誰にもありません。さらに日本はシリアへの経済制裁に加わりました。かつては支援してくれた日本がです。こうした制裁は日本の人々の利益や価値観、法律や憲法と何か関係しているのでしょうか、私はそうは思いません。日本は在シリア大使館を閉じ、シリアの現状を見ないままで、どう貢献するのでしょう。シリアと関係を絶った他の欧米諸国と同じように日本には何も見えていません。

だから日本は何の役割も果たせません。日本は欧米諸国から情報を得ていますが、これは我々からすれば馬鹿げたものです。シリアの再建と言いますが、経済制裁しながら再建は語れません。一方の手で食べ物を与え、もう一方でそれを取り上げるようなものです。これは日本の政治の問題です。日本は国際法に立ち返らなければならない。我々は主権国家で、日本は常にシリアを尊重してきました。

世界で日本の存在を際立たせていた、その立場に日本が戻ることを期待します。それでこそ日本は必ず和平やシリアの復興に重要な役割を果たし、人々の支援ができるでしょう。難民のほとんどはドイツやフランス、他の国々で「ようこそ」と言ってもらいたい訳ではない。自分の国に帰りたいんです。行った先の国ではなく、シリアで支援して欲しいのです。これこそが我々の考える、この先の日本の役割です。日本が過去の姿に戻ることを期待しています。

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コメント

シリア問題でも、他の問題でも何が真実であるか見極める
のは、当事者でない者には難しいですね。本当に。
罪もない人々が戦火に巻き込まれないことを祈るのみです。

>これまで「特別さ」を意識してきたからこそ「軍事的下心がない」と認識され、公平な国だと見られてきた平和主義の効用があったものと考えています。

これは完全にOTSU氏の言われるとおりだと理解してます。
ただ、同時に軍事行為ができないので挑発行為が繰り返し
行われることもあります。まあ平和主義の副作用と言う
べきかもしれません。

特に本文とは関係ありませんが、

>http://blog.goo.ne.jp/taezaki160925/e/837969490ad0caf7d850b7fd1f793632

ここで、のりこえねっとの共同代表に公開質問状と公開討論会を
求めていますね。ぜひぜひ公開討論会をしてほしいですね。
我々国民が真実を知るために本当に必要なことだと思います。
互いに声高に主張しても解決には遠いことです。公衆の面前で
公正に礼儀と節度をもって討論をしてほしいです。
どうでしょうか、ここは公平公正を担保するために自治労が一肌
脱いで審判役を買って出てはいかがでしょうか。
是非検討していただければと思います。OTSU氏も沖縄問題には
関心があると思うので。

ニュースキャスター達は誹謗中傷だけして逃げましたけどね。
特に岸井さんとかw

投稿: nagi | 2017年2月18日 (土) 11時16分

nagiさん、コメントありがとうございました。

事実があって、推論があり、その推論が問題視される場合が目立っています。それぞれの立場に関わらず、暴言や誹謗中傷、ヘイトと見なされるような言葉には注意していくべきものと考えています。取り急ぎ一言だけ添えさせていただきました。

投稿: OTSU | 2017年2月18日 (土) 20時10分

日経の記事でGPIFの運用成績が黒字であるとの
記事がでてます。以前にOTSU氏も年金に関する記事で
触れていましたね。

赤字より黒字のほうが良いと思うのですが、黒字である
今こそ、民進党は政府を批判するべきと思うのですがね。
リスクを重視するならば、高い利益があった時こそより
冷静に議論できるのではないでしょうか。
まあ民進党は政府を批判して失言狙うことに注力してる
ようですから無駄な期待かもしれませんね。

投稿: nagi | 2017年2月22日 (水) 11時03分

自論の補強に長年に渡り圧制を敷きシリア民衆を弾圧してきた独裁者の弁を借りるとは…
実に呆れた

投稿: 立川First | 2017年2月23日 (木) 07時52分

シリア問題でニューズウィーク日本版がこんな記事を
アップしています。まあ私はニューズィークは嫌いなん
ですがね。


>http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/17000_1.php

これがシリアの現状なんですかね。

投稿: nagi | 2017年2月23日 (木) 12時42分

nagiさん、立川Firstさん、コメントありがとうございました。

記事本文に記しましたが、もちろんアサド大統領の言い分だけで「正しさ」を判断することも慎まなければなりません。その上で望ましい「答え」に近付くためにも幅広い情報や見方に触れていくことの大切さに思いを巡らしています。

投稿: OTSU | 2017年2月25日 (土) 06時42分

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