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2017年1月29日 (日)

野党共闘のあり方

この時期、バックナンバーに「旗びらきの話、インデックスⅡ」があるとおり新年会、旗びらき、新春の集いなどに参加する機会が多くなっています。主催者、来賓、一参加者、会によって立場は異なりますが、それらの会の中で私自身が挨拶した内容の一部を時々、このブログで紹介していました。もともとブログに取り上げた自分の主張や問題意識は、必要に応じて実際の場面の会議や懇談の場でも訴えています。

当たり前なことかも知れませんが、ネット上で「言いたいことを言うだけ」にとどめない、さらにブログでの主張と実際の場面で主張する内容が異なる、いわゆるダブルスタンダードとならないように心がけています。また、不特定多数の方々に発信できない内向きな主張であれば、広く支持を得ることが難しい論点にとどまっていくのだろうと受けとめています。先日、連合地区協議会が催した会の乾杯の際、私が発言した要旨は次のようなものでした。

最近、何々ファーストという言葉をよく耳にしています。それぞれの立場や組織にとって、それぞれの構成員のために力を尽くすことは、ある意味で当たり前なことです。私たち労働組合は組合員ファーストであり、組合活動のすべてが組合員のためにとってどうなのかという視点で進めています。春闘期の労使交渉などはもちろん、組合の政治活動も同様であり、ここにお集まりいただいた議員の皆さんらを応援することも、組合員のための取り組みだと言えます。

このような基本的な方向性のもとに自治労に属し、様々な情報交換や目的意識を一致する場が設けられています。その一つに位置付く自治労都本部の春闘討論集会が土曜日にあり、午前中の基調講演では上智大学教授の中野晃一さんから『今後の政治情勢について』という演題のお話を伺いました。副題が『憲法改正・野党共闘のあり方』『市民運動との連携および労働組合』とされ、1時間ほどの講演でしたが、たいへん密度の濃い内容でした。

つい最近、中野さんはPOSTというサイトに『連合ってなに?―民進党の支持母体の成り立ちと課題―』という内容の記事を投稿されています。その後、やはりPOSTに『連合ってなに?〜ユニオニオンくんの逆襲!?』という記事がアップされています。中野さんの記事に対し、気になったことを連合のキャラクターであるユニオニオンくんがコメントを入れる形で連合の立場や正確な事実関係について補足説明を加えていました。

連合と民進党との関係性や距離感を垣間見る参考資料として、あわせて昨年末に投稿した当ブログの記事「民進党に望むこと」も紹介させていただきます。今回の記事は土曜日に伺った中野さんの講演内容を中心に書き進めながら、私自身の問題意識も添えていくつもりです。中野さんは講演の冒頭、先日、国会の中で起きた笑い話を紹介されました。その笑い話とは次ようなものでした。

「訂正云々(うんぬん)」を「訂正でんでん」と誤読?――。安倍晋三首相が24日の参院代表質問で、民進党の蓮舫代表の質問に対し、「訂正でんでんというご指摘はまったく当たりません」と答えたことが、インターネット上で話題となっている。24日の代表質問では、首相が施政方針演説で「ただ批判に明け暮れたり、言論の府である国会の中でプラカードを掲げても何も生まれない」と述べたことに対し、蓮舫氏が「まるで我々がずっと批判に明け暮れているとの言い方は訂正してください」と問いただした。

これに対して、首相は「民進党の皆さんだとは一言も言っていないわけで、自らに思い当たる節がなければ、ただ聞いていただければ良いんだろうと思うわけで、訂正でんでんという指摘は全く当たらない」と答えた。一連のやりとりについて、ネット上では「首相が云云(うんぬん)を伝伝(でんでん)と誤読?」「訂正でんでん」などの書き込みが相次いだ。官邸幹部は「『云々』と『伝々』はよく似ている」として誤読だったことを認めた。【朝日新聞2017年1月25日

「みぞうゆう」(未曾有)や「ふしゅう」(踏襲)などと麻生元首相が誤読した時はマスメディアで話題になりました。それに対し、安倍首相の印象を悪くし、不利になるような報道が控え気味になっている現況を示すエピソードとして中野さんは「でんでん」の話を紹介されました。中野さんが触れた訳ではありませんが、野党時代の自民党もプラカードを国会内で掲げていました。しかし、その認識がないまま安倍首相は施政方針演説の中で「批判に明け暮れ、国会でプラカードを掲げても何も生まれない」 と批判していたようです。

明らかに民進党を意識した演説だったはずですが、それが「民進党の皆さんだとは一言も言っていない」という後付けの説明を加え、認識不足だったことを省みる素振りは見せていません。誤読の問題よりも自己の発言は「まったく間違っていない」と正当化していく姿勢のほうが、よほど資質が問われていくように思えています。後ほど紹介する記事の中で『日刊ゲンダイ』の取材に中野さんが答えていますが、安倍首相や現政権は「言葉の言い換え」が非常に目立っています。

国民に対しての印象操作を重ね、前述したとおりマスメディアも無批判に報道しがちな現況であり、「民主党政権よりもまし」という見方が定まっていると中野さんは説かれていました。日露首脳外交の不発やアベノミクスの失敗はクローズアップされず、安倍政権に対する支持率は高いまま推移しています。さらに衆院選挙で自民党は2回大勝していますが、政権を奪われた時の得票数を下回っているそうです。多くの人が政治に失望し、低投票率に至っているため、得票数を減らしている自民党が勝ち続けている構図です。

いろいろ興味深く、具体的な話を紹介しながら講演は進み、共謀罪や憲法改正の動きなど安倍政権の危うさを中野さんは訴えていました。講演の最後のほうでは、政治のバランスを取り戻すためにも野党共闘の必要性を説かれていました。自民党は公明党と連立していながら民進党と共産党の関係を野合だと批判しています。そもそも村山政権は社会党、自民党、さきがけが連立していました。自民党は野党共闘に脅威を感じているため、野党間を分断させようとしているという見方を中野さんは示されています。

綱領や政策が違うから別な政党同士であり、違いは違いとして認め合い、柔軟性を持ってリスペクトしながら対話を行なっていけば野党共闘が実現していくはずと中野さんは話されています。例えば働き方改革で考えれば、企業のための「働かせ方」改革とせず、基本的人権を尊重した方向性を重視すべきと中野さんは提起されています。中野さんのレジュメの最後には『個人の自由や尊厳の擁護を旗頭に「リベラル左派連合」が組めるか』と記されています。

中野さんは連合の神津会長とも対談されています。その際、連合は連合としての立場や考え方があっても、野党共闘に関して「最後は民進党の判断を尊重する」と神津会長は語られていたそうです。戦略は違っても、選挙に勝ち抜くための戦術は必要という認識が一致したことも報告されました。まだまだ野党共闘のあり方について不透明な点が多いことも確かですが、中野さんの講演を伺い、思った以上に現実味を帯びていくような気配を感じ取っています。

最後に、今回の記事内容に対し、閲覧された皆さん一人ひとりの抱く印象は大きく枝分かれしていくはずです。安倍首相を強く支持されている方々にとって、冷ややかな眼差しで読み流す内容だったかも知れません。いずれにしても、より望ましい「答え」を見出すためには幅広い情報に触れていくことが大切です。そのような意味合いのもと毛嫌いされている方も多いものと思われますが、安倍政権の問題性を痛烈に批判する『日刊ゲンダイ』の記事も参考までに掲げさせていただきます。

東京は「世界で最も安全な都市」じゃなかったのか 

本気でやるつもりだ。2020年の東京五輪と抱き合わせで「共謀罪」の創設を企んでいる安倍政権。ついに国会の場で、安倍首相がその黒い野望を明言した。23日に衆院本会議で行われた代表質問で、「テロ対策の名前を借りて、一般市民に対する権力の乱用につながりかねない共謀罪を創設しようとするのは、不誠実極まりない態度ではないか」と聞かれると、この法整備ができなければ「東京オリンピック・パラリンピックを開けないと言っても過言ではない」と言ってのけたのだ。

罪の計画段階でも処罰する共謀罪が成立すれば、国家による監視が無制限に拡大しかねない。だから、過去に国会で3回も廃案になった。人権侵害の恐れが甚だしいからだ。「共謀罪」ではイメージが悪いから、今国会では「テロ等準備罪」に名前を変え、テロ等準備罪を含む「組織犯罪処罰法改正案」の形で提出するというが、表紙をスゲ替えたところで、中身は同じだ。

上智大教授の中野晃一氏(政治学)が言う。 「この政権にかかると、戦争法は平和安全法になり、武器は防衛装備、戦闘行為は武力衝突になる。お得意の言い換えでテロ対策と銘打てば、国民も反対しないと踏んだのでしょうが、実に姑息で悪辣なやり方です。テロの脅威をあおって、歴史の長い企みである共謀罪を成就させようとしている。

秘密保護法など、この間の治安立法の流れを見る限り、権力側の恣意的な判断で犯罪を立件し、言論封殺しようという意図は明らかです」 安倍政権は「国際社会と連携して五輪開催を成功させるには、国際組織犯罪防止条約を締結する必要がある」「そのために国内法を整備しなければならない」と説明するが、こんなの嘘八百だ。騙されちゃいけない。

民主主義の根幹が脅かされる 

国連が2003年に採択した「国際組織犯罪防止条約」は187の国・地域が締約しているが、条約締結で新たに共謀罪を設けたのは2カ国だけだという。日弁連も、共謀罪を新設しなくても国際組織条約の批准は可能という見解を出している。「組織犯罪は現行法の強化で対応できるし、国際テロ対策が目的なら、それに特化した法律を作ればいいのです。

『テロ等準備罪』という名称がもう怪しくて、詭弁を弄してまで法整備にこだわる本当の狙いは、テロより“等”の方にあるのでしょう。これは、共謀があったと権力側が判断すれば、政府に批判的な政党や団体を一網打尽にすることも可能な法体系です。民主主義の根幹である言論の自由が脅かされるのはもちろん、犯罪は『既遂』の行為を罰するという刑法の原則すら無視しています」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法) 

共謀罪の原案の対象犯罪は676に上り、その中には著作権法違反や業務上過失致死も入っている。過失をどうやって共謀するのか。今後、犯罪対象を絞り込むというが、それにしたって、何をもって「共謀」と認定するのか。過去に国会に提出された際は、「目くばせやまばたきでも共謀罪が成立し得る」というのが法務省の見解だった。おちおち恋人とアイコンタクトも取っていられない。安倍政権は昨年、刑事訴訟法を改定。司法取引や通信傍受など当局の権限を大幅に拡大した。これと共謀罪を組み合わせれば、権力側が目障りだと思う人物を片っ端から犯罪者に仕立て上げることができる。

共謀罪が「平成の治安維持法」と呼ばれるゆえんだ。テロ対策を口実に、五輪を盾にして、こんなメチャクチャな法案を政府がゴリ押しするのを黙って見ていたら、取り返しのつかないことになる。大体、五輪招致のプレゼンで「東京は世界で最も安全な都市」と言ったのは誰だ? 安倍その人ではないか。それが今になって、共謀罪が成立しないと五輪を開けないなんて、ペテンにも程がある。法制度を変えて取り締まりを厳しくしないと開けないというのなら、東京五輪なんてやめたらどうなのか。それが一番のテロ対策だ。

五輪を人質に言論封殺の悪辣 

「日本で五輪が開催されれば、国威発揚で盛り上がるでしょうが、お祭り騒ぎは一時のことです。いったん共謀罪が成立してしまえば、それは五輪後も残る。わずか1カ月足らずの運動会のために、将来にわたって国民の権利が阻害されることになるのです。福島原発の汚染水は『アンダーコントロール』と、世界中に嘘をついて招致した平和の祭典が、国民監視社会をつくるのに利用される。

当初は“復興五輪”ともいわれていたのに、資材の高騰や人手不足を招き、むしろ復興の妨げにもなっています。東北の被災地を犠牲にして、共謀罪導入の口実に使われるのでは、一体何のためのオリンピックかという話です。五輪が人質になったことで、オリンピックスポンサーである大メディアが共謀罪を厳しく批判できないとすれば、戦時中最大の言論弾圧事件である横浜事件の教訓を、何も生かしていないことになる。共謀罪が今国会に提出されたら一巻の終わりで、最後は強行採決で成立してしまう。メディアが国民世論を喚起し、提出を阻止する必要があります」(金子勝氏=前出) 

安倍をはじめとする政権幹部は、共謀罪について「一般の方々が対象となることはあり得ない」とか言っているが、これをうのみにして、「テロを起こすつもりがない自分には関係ない」と、高みの見物を決め込んでいるようでは甘過ぎる。権力にとって、五輪開催は国民を騙すのに格好の装置だ。連中が国民監視を強化し、人権制限を進めたがっていることは、自民党の憲法草案を読めば分かる。

ナチス政権下で、反ナチ運動の指導者だったマルティン・ニーメラー牧師は、こんな言葉を残した。ナチスが最初、共産主義者を攻撃した時、私は共産主義者ではないから声を上げなかった。社会民主主義者が牢獄に入れられた時も声を上げなかった。社会民主主義者ではなかったから。それから学校が、新聞が、ユダヤ人が攻撃され、そのたびに不安になったが、やはり何もしなかった。そして彼らが教会を攻撃した時、私のために声を上げる者は、誰一人残っていなかった─―。

他人事と思って傍観していると、気付いた時にはがんじがらめの監視社会で、身動きが取れなくなっている。その口実に使われる五輪は、途端にグロテスクな様相を帯びてくる。薄気味悪い偽善の祭典なんて、いらない。共謀罪とセットの五輪なら、とっとと返上してもらいたい。【日刊ゲンダイ2017年1月25日

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2017年1月21日 (土)

配偶者控除や扶養手当の見直し

このブログは週に1回、土曜か日曜に更新しています。コメント欄も土曜と日曜に限って対応し、難しい問いかけは記事本文を通してお答えするように努めています。そのため、コメント欄との絡みから当初予定した新規記事の題材を差し替える時が多くなっています。今回の題材も昨年末に投稿を予定したものであり、紹介する新聞記事の内容の鮮度が少し落ちているかも知れません。それでも「配偶者控除見直し」というキーワードをネット検索した際、愛媛新聞の社説『配偶者控除見直し迷走 「壁」取り除く政治の責務果たせ』が現在の状況や論点を分かりやすく解説していたものだったため、下書きに残していた当該の記事をそのまま掲げさせていただきます。

廃止から拡大へ。2017年度税制改正の焦点だった所得税の「配偶者控除」の見直しが迷走している。安倍政権が力を入れる「働き方改革」の目玉政策のはずが、また掛け声倒れに終わりかねないことを危惧する。政府税制調査会が、所得税改革の中間報告をまとめた。専業主婦世帯などの所得税額を軽減する配偶者控除について「見直しが適当」と明記はしたが、当初意気込んでいた「廃止」案は早々に断念。代わりに、控除になる配偶者の年収要件を現行の「103万円以下」から「150万円以下」程度に引き上げ、控除を残して適用対象を広げる案を軸に、今日から詰めの検討を始めるという。

55年前に創設された配偶者控除は、パートで働く主婦らが控除の年収要件を意識して労働時間を抑える「103万円の壁」を生じさせ、女性の働き方を制約しているとされる。既に20年前には共働き世帯が専業主婦世帯数を上回っており、時代に合致しない税制の柔軟な見直しは喫緊の課題には違いない。今回は配偶者控除を廃止し、共働き世帯に恩恵が及ぶ「夫婦控除」への転換が検討された。だが税収減を避けようと他で補う「税収中立」を目指せば幅広い世帯が負担増になるため、過去の見直し議論同様、選挙への影響を心配する与党内がまとまらなかった。

「所得税大改革の柱」(自民党の宮沢洋一税制調査会長)と大見えを切りながら抜本見直しに至らなかったことには、失望を禁じ得ない。現行制度を逆に拡充する形で上限を引き上げても、結局「別の壁」に変わるだけ。どの年収水準で線引きするかといった小手先の数字合わせに終わっては改革の意義は失われよう。加藤勝信働き方改革担当相は「家庭での配偶者の貢献をどう評価するべきかという議論もある」と述べた。しかし、現実には共働きでも多くの女性が家事負担を担っており、育児や介護も含めた多様な「貢献度」を、国が税制で決めつける制度は決して望ましいとは言えない。「女性の就業拡大を促す」という目的にしても、税だけでは限界がある上、「労働力確保」「成長戦略ありき」では進むはずもない。

旧態依然の与党内の考えをまず改め、多様な支援策を整えつつ、個人の生き方に中立的で、格差是正や税の再分配に資する改革を求めたい。中間報告はまた、企業の「配偶者手当」の見直しも求めた。経団連は来年の春闘で会員企業に要請する方向。女性の就業調整への影響は手当の方が大きいとの指摘もあり、減額して浮いた原資を子育てや介護手当に振り向ければ、より必要な人に届きやすくなろう。単なる人件費削減、年収減で終わらぬよう、丁寧な制度設計が欠かせない。男女や就労形態を問わず、働きたい人が働きやすくなるよう「壁」を取り除くことこそが、政治の責務。一つの控除に透ける、その姿勢を注視したい。【愛媛新聞2016年11月21日

ブックマークしている朝霞市議会議員の黒川滋さんのブログ「きょうも歩く」では「11/17今検討されている配偶者控除の見直しは身分的特典となる改悪です」という記事を投稿されていました。その中で「元々は、不合理な配偶者控除の全面廃止が課題だったはずのこの話が、いつの間にか配偶者控除の拡大が検討されて、かつてあった配偶者特別控除の復活、つまり女性はいつまでも従の立場で働きに出ることを固定化させる話になっています」と批判されていました。

前々回記事「働き方改革の行方」の中で掲げていましたが、働き方改革実現会議が検討している9項目のうちの一つが「働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備」でした。そもそも配偶者控除を廃止するだけで女性の社会進出が劇的に進むのかどうかは疑問です。控除の壁がなくなり、もっと働きたいと希望しても必ずフルタイムの勤務形態に移れるのかどうか、まして希望したからと言って容易に正規雇用になれるものではないはずです。

配偶者控除が廃止された場合、結果として世帯収入だけを減らす見直しに繋がっていたのかも知れません。結局、控除になる配偶者の年収要件を現行の「103万円以下」から2018年から「150万円以下」に改める法案が提出される運びとなっています。これまで年収103万円の壁によって、年末に近付くと収入の額を調整するパートの方々が増えています。企業によっては毎年11月から12月の時期、パートの方々のシフトを組むのに苦慮している現状が見受けられます。

このような現状を解決するためにも、壁を103万円から150万円に改めることが望まれていたのではないでしょうか。「選挙への影響を心配する与党内がまとまらなかった」という話もどうかと思いますが、「女性の活躍」が非正規雇用の枠内での勤務時間拡大という見直しにとどまりかねないことを憂慮しています。紹介した黒川さんのブログでの批判をはじめ、愛媛新聞が「掛け声倒れ」と指摘しているとおり配偶者控除の見直しは迷走していたと言わざるを得ません。

いずれにしても配偶者控除見直しの動きが安価な労働力確保という企業側の思惑に偏った目的に陥らないよう留意していかなければなりません。さらにドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の中で女性の家事労働に焦点が当てられましたが、「女性の就業拡大を促す」が家事労働を軽視した発想に繋がりかねないことも問題です。それこそ愛媛新聞の「多様な支援策を整えつつ、個人の生き方に中立的で、格差是正や税の再分配に資する改革を求めたい」という言葉がそのとおりだろうと思っています。

愛媛新聞の社説の最後のほうでは企業の配偶者手当見直しにも触れています。配偶者控除の年収要件が引き上げられても配偶者手当があることで、働く時間を変えないほうが世帯として有利であれば女性の就労を促進できません。昨年8月に「人事院勧告の話、インデックス」を投稿していましたが、その記事の中で綴ったとおり公務員の賃金や手当に大きな影響を及ぼす人事院勧告で配偶者手当の削減が示されていました。

妻の就業意欲をそぐという指摘があり、安倍首相が見直しの検討を求め、人事院は政府の要請に応えるかたちで配偶者手当をはじめとした扶養手当の見直しの勧告に至っていました。このような動きは第三者機関としての人事院の役割を損ねるものであり、民間企業の支給実態から乖離した拙速な見直し勧告でした。その時に投稿したブログ記事の中でも次のような問題意識を書き添えていました。

親の介護などの事情で働きたくても働けないような場合、配偶者手当の削減は世帯収入を純減させるだけの結果を招きます。さらに税金の控除や社会保険の被扶養者等の支給要件そのものが女性の就労抑制の一因となっているという見方も疑問です。今回の配偶者手当削減も女性の就労促進の一環として考えられているようですが、果たして「女性活躍」に向けた実効ある方策に繋がっていくのかどうか分かりません。まずは雇用環境の全体的な改善をはじめ、待機児童や介護離職の対策が先行した上で、ライフスタイルの多様さを保障していく方向性が求められているはずです。

上記のような問題意識は基本的に変わっていません。しかしながら人事院勧告と同様、東京都人事委員会も扶養手当の大幅な見直しを勧告していました。そのため、賃金改定交渉の中で扶養手当の見直しが大きな争点となっていました。年末までには決着に至らず、年が明けた先週水曜夜に扶養手当の問題で団体交渉を再開しています。もともと私どもの扶養手当の額は都より上回っていたため、この機会にすべて都と同じ額に改めたいという意向を市側は強く持っています。

しかし、地域手当に関しては都が20%に対し、私どもの市は12%であり、たいへん大きな開きがあります。したがって、組合は都と必ずしもすべて同じではない点を指摘しながら扶養手当の見直し協議に臨んできています。とは言え、たいへん残念ながら公務員全体の制度として扶養手当の抜本的な見直しが進む中、私どもの市だけ配偶者手当の額を今までと同じ水準で維持していくのは難しい現状であることも認めざるを得ません。

したがって、水曜夜の団体交渉で、組合は配偶者手当を引き下げた原資を子の額に積むという人勧等の趣旨を踏まえれば最低限、子に関しては独自な上積みをはかるべきと強く主張しています。それに対し、市側は子の手当を手厚くしていく社会的な流れも理解しているが、都を上回る自治体が見当たらない中、独自な上積みは難しいと釈明しています。今後、決着期限を1月末とし、子の額を最大の争点として労使協議を進めていくことになっています。組合員の皆さんには組合ニュースでもお伝えしていきますが、このブログでも取り急ぎ取り上げさせていただきました。

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2017年1月14日 (土)

36協定について

前回記事「働き方改革の行方」の中で「長時間労働是正の問題ですが、36協定を結べば時間外労働ができるようになり、法的には残業時間が青天井となっています。これまでも過労死を防ぐための月80時間という目安はありましたが、今後は労働基準法を見直し、明確な上限規制を設けるべきかどうかが働き方改革実現会議の中で議論されています」と記していました。

これまで当ブログで36協定について直接取り上げたことがありません。この機会に自分自身のおさらいのためにも新規記事の題材としてみます。36協定とはサブロク協定と読み、労働基準法第36条に基づく取り決めのことです。この規定によって、労働者を法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や休日労働させる場合には、労働組合(労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者)と書面による協定をあらかじめ締結し、労働基準監督署に届出しなければならないと定められています。

単なる上限規制ではなく、この届出がなく、1時間でも時間外労働をさせた場合、労基法違反となります。就業規則は常時10人以上雇用する使用者に作成義務を求めていますが、36協定は労働者が1人だった場合でも締結と届出を必ず行なわなければなりません。ただ厚労省の調査によると中小企業の56.6%は36協定を締結していません。加えて、そのうちの半数以上が「時間外労働や休日出勤があるにも関わらず労使協定を締結していない」、つまり「違法残業を課している」ということが判明しています。

それでも労働基準監督署からの調査や是正勧告の段階で是正すれば、上記のようなケースに対しては労基法違反で即座に罰則の適用がない現状であるようです。しかしながら最近、電通社員が過労自殺した事件での対応をはじめ、長時間労働是正に向け、労基署側が強い姿勢で各企業に臨むようになっています。先週水曜日には下記報道のとおり三菱電機が労基法違反容疑で書類送検されています。

三菱電機が、社員に労使協定を超える違法な長時間労働をさせたとして、藤沢労働基準監督署は11日、労働基準法違反容疑で法人としての同社と、社員の労務管理をしていた当時の上司の男性1人を横浜地検に書類送検した。送検容疑は2014年1~2月、同社の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に勤務していた男性(31)に、同法36条に基づく労使協定の上限時間を超える残業をさせた疑い。同署は16年11月、男性が月100時間を超える残業をさせられ、精神障害を発症したとして労災認定し、同容疑で捜査を進めていた。

男性は13年4月に研究職で入社したが、14年1月から仕事量が増加。同4月にうつ病と診断され、16年6月に退職した。男性は、上司から残業時間を過少申告するよう指導されていたほか、パワハラも受けたと主張していた。男性は11日、「自分と似たような環境の人が他にもいると思う。今までろくな対応をしてもらえなかったが、今すぐにでも会社の労働環境を改善してほしい」と話した。三菱電機の話 真摯に受け止めており、関係者の皆様にご心配をおかけしたことをおわびします。改めて適切な労働時間管理を徹底します。【JIJI.COM2017年1月11日

上記報道は上司が残業時間を過少申告させたという悪質なケースであり、少人数の事業所で36協定を締結していない問題との重大さは異なるのかも知れません。しかし、後者も違法は違法であり、指摘を受ける前に改めていく必要性があります。例えば労働組合業務のために書記や事務局員を採用し、時間外労働が少しでもあり得る場合、例え一人職場だったとしても36協定を締結し、労基署に届出しなければなりません。

また、労基法第33条に「公務員の場合は、官公庁の事業の関係において、公務のために臨時で出勤して作業をする必要が生じた場合には、時間外労働や休日出勤を指示することができる」と明記されています。公務員として就職した時点で時間外労働や休日出勤を課される可能性を受け入れているということになり、これまで36協定は一般的に適用外とされてきました。このような関係もあり、私自身の自省をこめ、公務員の組合役員は36協定に関して理解不足な点がありました。

「官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)に従事する公務員」については残業や休日出勤を義務付けていますが、この別表第1に記載されている公務員については36協定の締結が必要となります。つまり土木関係、学校や病院・保健所などの事業で働く公務員は36協定が欠かせず、公務職場の中でも改めて36協定を結ぶ動きが広まっているのではないでしょうか。ちなみに私どもの労使の間では保育園や下水処理場などの職場を対象に締結しています。

いずれにしても36協定は締結そのものが目的ではありません。重要な目的は労働者が健康を害さないよう長時間労働を規制するためのものであり、使用者側だけの都合による恣意的な時間外労働を防ぐための制度だろうと考えています。36協定を締結していても電通や三菱電機のような実情に至ってしまっては論外な話です。決められたルールを職場の中で守っていくという当たり前な意識を使用者側も労働者側も徹底していかなければなりません。

さらに36協定を実効あるものにしていくためには労働組合を有名無実化させず、その役割が重要であることは前回記事の中でも記したとおりです。最後に、ネット上で目にした36協定や長時間労働対策に絡むサイトとして『前厚労相も疑問視した「36協定」とは何か なぜ非人道的といわれるのか』『変わる電通、変わらない社会 22時消灯の実態を社員が証言「もう逃げられない」』『「公務員は労基法適用外だから働かせ放題」は正しいのか?』を参考までに紹介させていただきます。

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2017年1月 7日 (土)

働き方改革の行方

元旦に投稿した前回の記事「2017年、翼はいらない」の中で、少し話を広げて国全体としても「あまり背伸びせず、置かれた環境の中で一歩一歩前に進むことが大事な道筋」という問題意識を示させていただきました。いみじくも1月4日の朝日新聞には『「経済成長」永遠なのか』という見出しの特集記事が1面と2面にわたって掲げられていました。低成長を容認していくことも必要ではないかという問題提起でした。

この特集記事に対し、ネット上では強い批判意見を目にすることができます。朝日新聞の記事を読みましたが、決して経済成長を否定している内容ではありません。私自身の問題意識も同様ですが、簡単に経済成長できない時代に直面し、今後も成長力を重視していくことが適切なのかどうかを論点としています。賛否が分かれがちな重要な論点ですが、今回の記事はずっと先送りしてきた題材を取り上げ、経済成長の話は機会を見て掘り下げてみるつもりです。

さて、昨年11月末、私も役員の一員に連なっている連合地区協議会が『「働き方改革」を考える』という労働学習会を催しました。講師は連合東京の労働局長を兼務されている副事務局長に依頼し、たいへん多岐にわたり、奥深い論点を限られた時間の中で分かりやすく説明していただきました。現在進行形で議論が進んでいる話題であり、必ず当ブログの題材として取り上げてみようと考え、ようやく今回の新規記事に至っています。

昨年夏の参院選挙後に発足した第3次改造安倍内閣は「未来チャレンジ内閣」と称し、働き方改革を一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジと位置付けています。労使の代表も有識者として構成した働き方改革実現会議を発足させ、政府は「多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます」と広報しています。検討事項としては次の9項目があげられています。

  1. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善 
  2. 賃金引き上げと労働生産性の向上 
  3. 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正 
  4. 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題 
  5. テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方 
  6. 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備 
  7. 高齢者の就業促進 
  8. 病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立 
  9. 外国人材の受け入れの問題

上記の中でも、非正規労働者の処遇改善と長時間労働の是正が会議の2大テーマとなっています。このような問題の解決に向け、連合は以前から訴えてきていますので国が本腰を上げたこと自体は歓迎しています。ただ労働学習会の中で講師の方からいくつか懸念点も指摘されています。まず働き方改革実現会議のメンバーがILOの三者構成原則から外れ、有識者15名のうち労働側代表が連合の神津会長一人であるというバランスの問題です。

一人だったとしても神津会長には連合組合員686万人の代表として影響力を発揮していただかなければなりません。さらに組合員として組織化されていない多くの労働者、とりわけ非正規の方々の声も連合全体として受けとめていくことによって、働き方改革実現会議の中での神津会長の発言力が高まっていくものと見ています。とは言え、構成メンバー全体の中で労働問題として働き方について語れる有識者が極めて少数であることを講師の方は懸念されていました。

いずれにしても官邸主導で使用者側の目線を優先した「働かせ方」改革にならないよう連合運動の正念場であるという講師の方の強い問題意識が伝わってきた学習会でした。具体的な論点となる長時間労働是正の問題ですが、36協定を結べば時間外労働ができるようになり、法的には残業時間が青天井となっています。これまでも過労死を防ぐための月80時間という目安はありましたが、今後は労働基準法を見直し、明確な上限規制を設けるべきかどうかが働き方改革実現会議の中で議論されています。

この説明を受けた際、講師の方から学習会の参加者全員に問いかけがありました。残業時間の上限規制は必要かどうか、設ける場合は月何時間が適当かどうか、一人ひとりに挙手を求められました。連合地区協議会の議長代行を務めているため、閉会の挨拶を担いました。その挨拶の中で「私は手を挙げられませんでした。ボーッとしていた訳ではありませんが、難しい問題だったため、決められませんでした」と皆さんに明かしていました。

時間外労働を法律で規制しても、こなさなければならない業務があれば実効力に疑問を残しがちとなります。サービス残業などの脱法行為を増やすことになるようであれば本末転倒な話だろうと思っています。上限規制を設けることは賛成ですが、同時に労働の中味やルールを守らせていく仕組みの検討も欠かせないものと考えていたため、手を挙げそびれたという説明を加えさせていただきました。

閉会の挨拶の中では電通社員が過労自殺した話にも触れていました。このような痛ましい出来事が二度と起こらない働き方改革の実現を願いながら、決められたルールを職場の中で守っていくためには労働組合の役割が重要であることを訴えさせていただきました。学習会の中で講師の方から「電通の組合の組織率は30%ほど」と伺っていたため、労働組合の影響力は組織率の高さに左右され、有名無実化しない存在感の大切さを思い返していることを参加者の皆さんにお伝えしていました。

もう一つの柱である非正規労働者の処遇改善は働き方改革実現会議の中で同一労働同一賃金の考え方に照らした議論が進んでいます。職務内容が同一又は同等の労働者に対し、同一の賃金を支払うべきという考え方です。EUやドイツなどの法律では正規と非正規の処遇格差問題にあたり、非正規労働者に対して「合理的な理由のない不利益な取扱いをしてはならない」と定めています。つまり「職務内容が同一であるにもかかわらず賃金を低いものとすることは、合理的な理由がない限り許されない」と解釈されています。

このような論点のもと不合理な格差や合理的な理由について様々な検討が加えられ、昨年12月20日に「同一労働同一賃金ガイドライン案」が策定されました。ちなみに左記の下線をクリックしていただければリンク先で厚生労働省のホームページに掲げられたガイドライン案の全文を参照できます。学習会の中で伺った話ですが、労働の負荷、熟練度、免許の有無、責任の度合い、経験などは格差を生じさせる合理的な理由として認められるそうです。

合理的な理由にならないものとして学歴や性別があり、基本給や手当の取扱い、休暇、福利厚生などは正規と非正規を同一のものにしなければなりません。このような端的な説明では誤解を招きかねませんが、非正規労働者の処遇改善に向けて一歩踏み出したことは確かです。今後、2019年度からガイドラインの運用開始、新制度の施行という計画のもとに具体的な議論が深化されていくはずです。他の課題でも働き方改革の行方は労働組合にとって非常に重要なものですので、これからも機会を見ながら当ブログで取り上げていければと考えています。

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2017年1月 1日 (日)

2017年、翼はいらない

あけましておめでとうございます。 Tiri_8

今年もよろしくお願いします。 

毎年、元旦に年賀状バージョンの記事を投稿しています。いつも文字ばかりの地味なレイアウトであり、 せめてお正月ぐらいはイラストなどを入れ、少しだけカラフルになるように努めています。2005年8月に「公務員のためいき」を開設してから687タイトル目となりますが、必ず毎週土曜又は日曜に更新し、昨年1年間で52点の記事を投稿していました。

2015年1月にココログのアクセス解析の管理機能が大きく変わり、累計数が分からなくなっています。一時期に比べ、1日あたりのアクセス数は減っています。それでも週に1回の更新にも関わらず、毎日500件以上のアクセスがあります。これまで時々、いきなりアクセス数が急増する場合もありました。Yahoo!のトップページに 掲げられた際のアクセス数23,278件、訪問者数18,393人が1日あたりの最高記録となっています。

ことさらアクセスアップにこだわっている訳ではありませんが、やはり多くの人たちにご訪問いただけることは正直嬉しいものです。特に当ブログは不特定多数の方々に公務員やその組合側の言い分を発信する必要性を意識し、個人の判断と責任でインターネット上に開設してきました。したがって、より多くの人たちに閲覧いただき、多くのコメントを頂戴できることを願っているため、毎日、たくさんの方々にご訪問いただき、ブログを続けていく大きな励みとなっています。

一方で、たいへん恐縮ながら2012年の春頃から私自身はコメント欄から距離を置くようになっています。身の丈に合ったペースとして、週に1回、土曜か日曜のみにブログに関わっている現状です。そのことだけが理由ではないようですが、以前に比べるとお寄せいただくコメントの数も減っています。それでも記事内容によっては、貴重なコメントが多数寄せられる時も少なくありません。いずれにしても当ブログをご注目くださっている皆さんにいつも感謝しています。本当にありがとうございます。

さて、今年は酉(鳥)年です。年賀状には【今年は酉(鳥)年です。鳥と言えば、AKB48の『翼はいらない』という曲が思い浮かびました。最初はメロディにひかれましたが、「空を飛ばなくても 歩いて行けるから 自分が持ってるものだけで 幸せになれるんだ」という歌詞も気に入っています。2017年、そのような思いで過ごせればと考えています。加えて、この曲をカラオケの持ち歌の一つにできればとも考えています。】と書き添えていました。

このブログで主張している内容の硬さからして、いきなりAKB48が出てきて驚かれた方もいらっしゃるかも知れません。それほど熱心なファンという訳ではありませんが、『会いたかった』や『365日の紙飛行機』など好きな歌が少なくありません。ある宴会の2次会の席でカラオケを皆で楽しんでいた時、「AKBなんかは歌えないんですか」と冗談まじりに問いかけられました。

すでに結構酔っていましたので無謀にも『翼はいらない』に挑戦してみました。何とか歌い切ることができたため、無茶ぶりのつもりだった問いかけた方から「本当に歌えちゃいましたね」と驚かれたことを覚えています。それまで私の持ち歌と言えば真っ先に『イムジン河』が上がり、カラオケでも硬いイメージがあったため、『翼はいらない』は皆さんに大きなギャップを感じさせたようです。

取りとめのない話が長くなって恐縮です。記事タイトルにした「2017年、翼はいらない」という本題に入らせていただきますが、「空を飛ばなくても 歩いて行けるから 自分が持ってるものだけで 幸せになれるんだ」という歌詞は仕事や組合活動、プライベートでもその通りだなと思っています。翼があったら自由にどこへでも行けますが、空を飛ばなくても歩いて行けるし、「自分で汗をかいているうちに 幸せは近づくよ」とAKB48は歌っています。

公私にわたって足りないものはなく、心配事が一切ないという方は極めて稀なのではないでしょうか。それぞれの置かれた環境の中で、いきなり背伸びせず、地道に努力することで幸せに近づいていけるというメッセージとして理解しています。また、難しい問題を一気に解決できるような処方箋、つまり翼はなくても、歌詞の通り「自分が持ってるものだけで」ベストを尽くすことの大切さを感じ取っています。

目標を高く持ち、背伸びしなければ成長は止まるという見方もその通りです。それでもできるかどうか分からないことに悩みすぎて、今できることを後回しにしない心構えも欠かせないはずです。仕事始めの翌日、自分自身の職務である市税や保険料の滞納整理に際し、より効率的な事務の進め方を同じ係の皆さんに伝える機会があります。その中でも高額な案件の対応に追われすぎて、今できることを後回しにしないことの必要性を伝えていくつもりです。

組合活動で言えば財政が厳しく、役員の担い手不足が大きな課題となっています。ただ「定期大会を終えて、2016年秋」に綴ったとおり持続可能な組合組織に向け、組合活動全般を見直しながら「ピンチをチャンス」に変えられるように努力しています。それこそ一足飛びで目的地に行けるような翼はないかも知れませんが、よりいっそう組合員の皆さんから信頼される地に足を付けた組合活動に力を注ぐ1年にしたいものと考えています。プライベートでも同様です。いろいろ悩ましいことがあっても、置かれた環境の中で淡々と前向きに対応していくつもりです。

一気に話が広がって恐縮ですが、もう少し付け加えれば安倍首相は「世界一暮らしやすい国、世界一信頼される国」「世界の真ん中で輝く日本」をめざすという言葉をよく使っています。そのような心意気を批判するものではありませんが、あまり背伸びせず、置かれた環境の中で一歩一歩前に進むことが大事な道筋であるように思っています。少子高齢社会を迎え、高い経済成長が期待できず、国家財政もたいへん厳しい中、過分な目標は大きなリスクを伴っていくものと見ています。

世界一まで程遠く、世界の真ん中で輝けなくても、「自分が持ってるものだけで 幸せになれるんだ」という身の丈に合った発想への転換も欠かせないような気がしています。「また安倍首相を批判している」という見られ方は本意でありませんが、『翼はいらない』の歌詞にちなんだ話を書き進める中で思い浮かんでしまったため、いつも感じていた個人的な問題意識まで広げさせていただきました。

最後に、このブログにおいても前述した通り身の丈に合ったペースとして、実生活に過度な負担をかけないよう留意しながら引き続き週に1回、土曜か日曜の更新を基本としていきます。いつもお正月のみ少し変則な日程となっていましたが、次回の更新は普段通り来週の土曜か日曜に予定しています。きめ細かいコメント欄への対応がはかれずに恐縮ですが、一人でも多くの方にご覧いただければ誠に幸いなことだと思っています。ぜひ、これからもよろしくお願いします。それでは末筆ながら当ブログを訪れてくださった皆さんのご健康とご多幸をお祈り申し上げ、新年早々の記事の結びとさせていただきます。

        ☆新春特別付録☆ 「2016年ブログ記事回想記」 

年賀状バージョンの恒例となっていますが、今回も2016年に投稿した記事をインデックス(索引)代わりに12点ほど並べてみました。改めて皆さんに紹介したい内容を中心に選び、いわゆる「ベスト」ではありません。したがって、12点の並びも投稿日順となっています。それぞれ紹介した記事本文へのリンクをはってありますので、のんびりご覧いただければ幸いです。

  1. 2016年、三猿の真逆の心構えで ⇒ 今回と同じ年賀状バージョンです。申(猿)年の年頭に「見ざる、聞かざる、言わざる」ではなく、いろいろなことを見て、聞いて、多様な考え方や情報に触れることで、より望ましい判断や「答え」に近付けたいという思いを記していました。やはり特別付録として「2015年ブログ記事回想記」も掲げました。  
  2. セトモノとセトモノ、そして、D案 ⇒ ACジャパンのCMに流れていた「やわらかいこころをもちましょう」という言葉が感慨深ったため、この相田みつをさんの詩を紹介しながら読売新聞『編集手帳』も引用した上、専守防衛を厳格化した日本国憲法の平和主義について考えてみました。  
  3. 『カエルの楽園』から思うこと ⇒ 百田尚樹さんの著書を読み、いろいろ思うことを「Part2」にわたって綴っています。なお、この著書名を検索ワードにして当ブログを訪れる方が増えていました。 
  4. 改めて安保関連法に対する問題意識 ⇒ 「戦争法」という呼び方とレッテル貼りについて、憲法9条と朝鮮戦争時の日本特別掃海隊、憲法の平和主義と日米安保条約など久しぶりに小見出しを付けてまとめ、たいへんな長さの記事となっています。 
  5. 『ロンドン狂瀾』を読み終えて  ⇒ 86年前のロンドン海軍軍縮会議を舞台にした中路啓太さんの著書の内容を紹介しながら現在の政治状況に絡めた個人的な感想や意見を添えています。今回紹介した12点の記事の中で最もご覧いただきたいバックナンバーだと言えます。 
  6. 参院選が終わり、次は都知事選 ⇒ 7月10日投開票の参院選では自治労組織内候補の江崎孝さんを再び国会へ送り出すことができました。舛添前知事の辞任に伴い、7月31日には都知事選が行なわれ、小池都知事が誕生していました 
  7. 大分県警が隠しカメラ設置 ⇒  徴税吏員としての職務から選挙運動に対して一定の制約があり、細心の注意を払ってきています。今回の報道に接し、徴税吏員という職務に課せられた制約の重さや厳しさを改めて実感する機会に繋がっていました。 
  8. 民進党代表選と豊洲移転問題 ⇒  特に関連性が見当たらない題材を単に時事の話題だからと言って並べた訳ではなく、私なりの見方や感想として語るべき同じような論点を「Part2」にわたって綴っていました。 
  9. 心が折れる職場 ⇒ 政治的な題材が多い当ブログですが、10月に入って労働組合の本務に絡む内容の記事「脱・雇用劣化社会」「パワハラ防止に向けて」「電通社員が過労自殺」を続けて投稿していました。その流れの中で見波利幸さんの著書『心が折れる職場』の内容紹介を中心にした記事に繋げていました。 
  10. 持続可能な組合組織に向け ⇒ 自治労に所属する組合で役員を担われている方々は同じような悩みを抱えられているものと考えています。私どもの組合に関わる地味でローカルな題材でしたが、どのような方向性で対応していけば良いのか、一緒に考える機会に繋がることも期待しながら投稿していました。 
  11. 年金改革関連法案を巡る論点 ⇒ この前の記事「自衛隊の新たな任務、駆けつけ警護」の冒頭で、コンビニの菓子パンの話を紹介していました。「475円と知った上で買った場合、何も問題はありません」とし、物事の是非を判断するためには幅広く、より正確な情報を把握していくことの大切さを提起した題材です。  
  12. 民進党に望むこと ⇒ コメント欄では民進党に対する批判意見が目立っていたため、私自身がどのように考えているのか、記事本文を通してお伝えすることを約束していました。この記事を通し、民進党には基本的な立ち位置や軸をしっかり押さえた上、与党だった時の政治的な判断を必ず念頭に置きながら整合性の取れた主張や反論を加えて欲しいと要望していました。

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