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2016年9月17日 (土)

民進党代表選と豊洲移転問題

少し前の記事「参院選が終わり、次は都知事選」の冒頭で、新規記事のタイトルに悩む時が多いことをお伝えしていました。今回、新規記事の投稿画面に向かい、あまり迷わず「民進党代表選と豊洲移転問題」と付けてみました。特に関連性が見当たらない題材を単に時事の話題だからと言って並べた訳ではありません。私なりの見方や感想として語るべき同じような論点が頭に思い浮かび、そのようなタイトルに至っています。

前回記事「『総理』を読み終えて Part2」の最後に機会を見て民進党代表選について思うことを綴らせていただければと予告していました。木曜の臨時党大会で示された結果は蓮舫候補が1回目の投票で過半数を獲得し、前原誠司候補と玉木雄一郎候補を退け、民進党の新代表に選ばれました。まず誰が新しい代表になっても前回記事の最後に記した民進党の役割に対する思いは同様であることを強調させていただきます。

安倍首相の判断を全否定しようとは考えていません。しかし、すべて正しいのかどうか的確なチェック機能を果たせる野党の存在感が欠かせません。ミスジャッジが重なれば政権の座から下りなければならないという与党側の緊張感も必要です。そのような意味合いから理念や政策の対抗軸を明確にした野党第一党としての民進党の奮起を期待しています。このような思いについては昨年1月に投稿した「民主党の代表選」の中で詳しく綴っていました。

新党に移行してからは今年3月に「民進党、中味に期待」という記事があり、理念や目標は高く掲げ、具体的な政策の実現に向けては現状から地道に一歩一歩踏み出す手順や丁寧な手続きを重視する政党になって欲しい旨を記していました。今回、そのような記事内容の焼き直しは避け、蓮舫新代表の二重国籍問題に関わる話に絞って書き進めてみようと思っています。断定された訳ではありませんが、この問題に対する法務省の見解が次のとおり示されています。

法務省は15日、民進党の蓮舫新代表のいわゆる“二重国籍”問題に関連して、一般論として日本国籍取得後も台湾籍を残していた場合、二重国籍状態が生じ国籍法違反に当たる可能性があるとの見解を明らかにした。法務省は15日、「日本の国籍事務では台湾出身者に中国の法律は適用していない」との見解を公表した。これは中国の法律が「外国籍を取得した時点で自動的に中国籍を失う」と定めていることを念頭に、台湾出身の人が国籍を自動的に失うわけではないとの見解を示したもの。

一方で、日本の国籍法は二重国籍の人についてどちらかの国籍選択義務に加え、日本国籍を選んだ場合の外国籍離脱努力義務を定めていて、日本国籍を取得した後も台湾籍を残していた場合、二重国籍状態が生じ、国籍法違反に当たる可能性があるという。法務省は「国籍法違反に当たるかどうかは個別・具体的な事案ごとの判断になるので一概には言えない」と強調しているが、蓮舫新代表のケースも国籍法違反に当たる可能性が出てきたことになる。【日テレNEWS24 2016年9月15日

日本国籍を取得しても国籍離脱を認めない国もあり、その手続きも対象国によって様々な実情です。そもそも日本の国籍法では上記報道のとおり「外国国籍を喪失していない場合は、外国国籍の離脱の努力をすること」という努力義務にとどまっています。さらに当事者が外国国籍を持っているかどうかの調査等は行なわれていないため、二重国籍者は数万人単位の数に上るものと見込まれています。相手国との関係上やむを得ない場合をはじめ、事務手続きを失念したケースなどが多く、悪質で意図的な事例は少ないのかも知れません。

蓮舫新代表のケースも「日本国籍の選択と同時に離脱していた」と思っていたという勘違いや制度に対する理解不足だったようです。それでも法務省が指摘しているとおり法律違反に当たる可能性は免れないため、国会議員でもあり、野党第一党の党首をめざした蓮舫新代表の勘違いや理解不足は重大な過失だったと言わざるを得ません。取り上げようかどうか迷いましたが、論点を掘り下げるための前向きな意味合いで民進党参院議員の江崎孝さんのブログ記事「悪質な二重国籍疑惑報道。」を紹介します。

江崎孝さんを再び国会へ」という記事があるとおり江崎さんは自治労の組織内国会議員で、私も何回か直接お話したことがある方です。江崎さんのブログはブックマークし、定期的に訪問しています。紹介した記事の中では日本、台湾、中国との微妙な外交上の関係が影響し、「蓮舫さんが国籍取得した頃の日本は、日本国籍を取得した時点で中国国籍を離脱したものと判断していた」という説明が加えられていました。

ある面で「なるほど」と思える説明であり、蓮舫新代表の勘違いの出発点である「高校生の時、父親と一緒に」という頃の時代背景にも留意しなければならないことを理解しました。ただ現状の法解釈は前述したとおりであり、結局のところ蓮舫新代表は台湾国籍を残していた訳ですから「二重国籍疑惑など今になってとってつけたようなイヤガラセでしかない」という言葉は少し余計だったような気がしています。

江崎さんはブログの最後のほうで「お父さんが離脱手続きをしたと思い込んでいたので、その事実関係を確認し、もし残っていれば再度離脱の申請を行おうというのが蓮舫さんのこの間の対応なのです」と記されていました。まさしく今回の問題はそのような対応が求められていた訳ですが、初期対応の悪さや後手に回ったことで傷口を広げてしまったように感じています。

民進党衆院議員の篠原孝さんはブログで「二重国籍であることが判明した今は、潔く代表選は辞退すべし ‐説明が二転三転は代表候補者として失格」と記し、常任幹事会の中で代表選のやり直しを執行部に求めていました。代表選のやり直しを求めた篠原さんらの主張は蓮舫新代表の「二重国籍ではない」という言葉を信じ、すでに投票を終えた党員やサポーターの判断への影響を重視しているからでした。

つまり指摘を受けた初期の段階で二重国籍疑惑を頭から否定せず、「このような手続きを過去に行なっているが、事実関係を確かめます。万が一、残っているようであれば、すみやかに離脱の手続きに入ります」と答えておけば、代表選のやり直しという声まで高まらなかったのではないでしょうか。もちろん二重国籍の問題は国会議員にとって致命傷に繋がる恐れがあります。

代表選の行方を大きく左右する可能性もあったため、蓮舫新代表としてはキッパリと「私は日本人です」と即答せざるを得なかったのかも知れません。しかしながら過去、蓮舫新代表は雑誌のインタビュー記事の中で「自分の国籍は台湾」と発言していたようであり、断定した答えにためらいもあったはずです。ただ人間の記憶は当てになりません。雑誌での発言をはじめ、蓮舫新代表が過去のことをすべて詳細に覚えていなくても仕方ありません。

しかし、わずか1%でも事実関係に自信を持てない場合、断定調に言い切らないほうが望ましい場面も数多くあります。後から事実関係の違いが判明し、その時の言葉は偽りだったと批判されるほうが遥かに大きな痛手となります。今回、批判の急先鋒となった篠原さんも蓮舫新代表の二重国籍問題に対し、情状酌量の面があることをブログの中で明かしています。そもそも代表選の初期の段階で蓮舫新代表が二重国籍だったと明かされても選挙結果は変わらなかったものと想像しています。

決して二重国籍の問題を軽視する訳ではありませんが、それ以上に蓮舫新代表本人をはじめ、民進党という組織としてのリスクマネジメントやダメージコントロールの不充分さを残念に思っています。問題の重大さを矮小化することなく、迅速に対応するという姿勢が欠けていたように見ています。新たに幹事長に就任する野田前首相にも期待していますが、ご自身のかわら版の中では「法律違反をしたわけではありません。しかし、本人の記憶の不確かさから説明に一貫性を欠いたことが、混乱を助長してしまいました」と記されていました。

法務省の見解が示される前に投稿しているのかも知れませんが、当事者に目される側から「法律違反をしたわけではありません」と言い切ってしまうのも勇み足であるように危惧しています。ところで今回の記事タイトルは「民進党代表選と豊洲移転問題」としていますが、ここまで豊洲のことをまったく取り上げないまま相当な長さとなっています。記事タイトルを変えることも考えましたが、次回の記事に「Part2」と付けて続きを書かせていただくことにします。そのため、看板に偽りのある内容になってしまい、たいへん申し訳ありません。

最後に、民進党代表選に絡んだ新聞記事を紹介します。前原元外相の苦言のとおり手痛い教訓が今後に生かされ、リスクマネジメントやダメージコントロールが充分発揮できる政党に脱皮していくことを心から願っています。最後の最後に、私自身の職務に関わる大事な豆知識を蛇足として紹介します。国保(国民健康保険)加入者が勤務先の社会保険等に入っても別途国保の脱退手続きが必要です。勤務先のほうで行ないませんので、ご自身が手続きしない限り、国保と社保の保険料を二重に支払い続けることになりますのでご注意ください。

民進党内にも「国籍の問題ではなく、危機管理ができていない」(中堅)との声が根強い。対抗馬の前原誠司元外相は15日の最終演説で、2006年に偽メール問題で民主党代表を辞任した経緯にあえて触れ、台湾籍のような対応を繰り返させぬようクギをさした。前原氏は「私の失敗の経験を生かしてもらいたい。事件の教訓は、しっかり裏付けを取り、見通しを甘く持たないこと」と呼びかけた。蓮舫氏は代表選後の記者会見で「リスクマネジメントを含め、これからの質疑で慎重に発言したい」と語らざるを得なかった。【毎日新聞2016年9月16日一部抜粋

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コメント

 二重国籍問題を、日本民族の帰属意識の如何を問うが如く言葉を荒げるネトウヨ擬きの輩の右脳だけの阿呆は問題外として、御自身の国籍の現状を把握し切っていない蓮舫氏も能天気でしょう。

 時代が違いますが、二重国籍を放置しておくと、第二次大戦後に生起した「東京ローズ事件」のように命の危険が生じる場合もありますので、そのこと自体は、慎重に取り扱う必要はあるでしょう。

 その事件とは、大日本帝国の謀略放送で米軍兵士の人気を博した日本の女性アナンサーが戦後になって、国家反逆罪の罪状で米国に囚われ、裁判に処せられた事件があったからなのです。

 それは、その女性アナウンサーが、米国帰りで米国籍をも有していたからでした。

 「東京ローズ」事件として有名でしたが、今では、知る者は少ないのでしょうか。

 因みに、民進党の幹事長人事は、頂けませんね。 あんな人を幹事長にして蓮舫氏は、党を再建出来ると思われるのでしょうか。

 代表戦を通じて、誠実な人柄を思わせ、また、今回も貴重な忠告をされた前原氏こそ幹事長に迎え、共に戦う体制を築かれるのが一番と思われたのですが、蓮舫氏には、戦った相手を味方に向かえる器量が無いように思われ残念ですね。

投稿: とら猫イーチ | 2016年9月22日 (木) 22時39分

私は今回の民進党の幹事長人事を評価しています。野田氏を戦犯と言う方々もいますが、鳩山や菅がさんざんやらかし、すでに党として瓦解寸前でした。衆議院の任期ぎりで選挙しても結末は変わらなかったでしょう。よほど潔かったと思いますね。
もともと寄合ですから挙党体制は無理でしょう。この気に不満のある人は出て行ってもらったほうが党の再生は早いでしょう。

投稿: nagi | 2016年9月23日 (金) 10時50分

ワタクシの記憶が確かなら、唯一裁かれた「東京ローズ」氏は、重国籍ではなかったと思います。
氏は 日系ではあるものの -アメリカ人の2世- であり、生まれながらに「アメリカ国籍(他の国籍はない)」だったハズですので。
※当時(大日本帝国)の「国籍法」からしても、氏は日本国籍は有していないと思われます。

で、ご本人のアイデンティティも一貫して「アメリカ人」であり、開戦前に短期(と言っても半年)の予定で来日したものの、開戦によって帰国できなくなってしまったのが悲劇の始まりで。

戦中、日本の官憲の帰化要求(というより強要に近い)を拒み続けて、最晩年には愛国的アメリカ人として、アメリカの民間団体から表彰されたりもされてますしね。
※重国籍なら、帰化要求はないでしょう。米国籍の放棄要請があったとしても。

氏の名誉と意思を尊重して、一応。

投稿: あっしまった! | 2016年9月23日 (金) 17時41分

蓮舫氏の二重国籍問題をTVや新聞などで流し見て
さらにブログ主様の記事を拝見させてもらって
個人的な感想は
「どーでもいいよ、そんなこと」です。
失礼を承知で^^;ホント、失礼なんですがw
私が民進党支持者なら
蓮舫氏の台湾(国)籍をもっと利用してみなさいと
思ってしまう。
民進党独自の国際的なパイプを築いて
国際問題の解決の糸口を作り出すことって
自民党に対抗できる大きな武器になると思う。
小沢一郎による集団訪中も気持ち悪かったですが
ある意味では、意義のある事だったのかもしれません。
南シナ海には台湾が軍事施設を建設する動きもあり
台湾との情報交換は今後更に貴重なものとなる。
台湾の蔡英文総統と蓮舫氏とのパイプが築けるのなら
それはとても貴重なものになるはずです。
国籍がどうとか騒ぐ前に民進党がやるべきことは
山積しているのではないでしょうか?


投稿: いまさらですが | 2016年9月23日 (金) 22時17分

東京ローズ事件の御当人の詳細は、存じませんでしたが、本件とは違い、米国籍のみを持っておられたのであれば、当時の米国での責任追及も理由のあることであったのでしょう。  ただ、その罪責が重すぎ情状酌量が無かったので御本人にとっては過酷に過ぎる責任追及であったのでしょう。 

ともあれ、蓮舫氏の二重国籍問題が、右派マスコミの報道に見るような重大な意味があるのでしょうか? 

それよりも、本日の報道にあるように、同性として小池都知事との会談・折衝を糸口に、都政の課題に応えるべく政治力を蓄えて行けば、都政にも影響力を行使をも出来得る訳ですし、更には、党勢の拡大にもなり得るでしょう。

野党党首の顔が、暗い中年以降の男性の顔ばかりでしたので、明るい女性の顔になれば近未来を観る顔として希望が持てるでしょうし、アベ氏と比較すれば、何方が明るいのか一目瞭然です。 

更に、党内右派の離反を恐れるばかりでは無く、逆に自民から左派を剥ぎ取れば如何でしょうか? 

今の自民は、最早保守では無く、アベ氏を筆頭に急進的民族主義政党に変革したのですから、本来の保守は、居心地が悪い筈ですので、彼等を民進に受け入れれば如何でしょうか? 

最近の報道を観ていると、そろそろ自民の中では次期総裁を狙う人も居るようですし、反主流の人たちも色々居るようですよ。

投稿: とら猫イーチ | 2016年9月24日 (土) 00時14分

とら猫イーチさん、nagiさん、あっしまった!さん、いまさらですがさん、コメントありがとうございました。

「東京ローズ」についてWikipediaの情報を確認してみましたが、「東京ローズ」の一人として最も著名な人物である戸栗郁子さんは日系アメリカ人2世だと記されています。今回記事の最後に予告したとおり新規記事は「Part2」を予定しています。やはり「事実」は一つなのでしょうが、そこから派生していく問題について書き進めてみるつもりです。ぜひ、引き続きご注目いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

野田新幹事長について「期待していますが」と記したとおり民主党時代の3首相の中で最も評価していました。批判されがちな解散のタイミングについてもnagiさんと同じような見方をしています。その解散直後、次のような記事を投稿していました。

2012年11月18日(日) 衆議院解散、今、思うこと
http://otsu.cocolog-nifty.com/tameiki/2012/11/post-2071.html

投稿: OTSU | 2016年9月24日 (土) 08時29分

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