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2016年7月24日 (日)

都知事選、真っ只中

前回の記事は「参院選が終わり、次は都知事選」でした。都知事選も選挙期間が長く、告示後、2回目の週末を迎えています。今回も最初に「都知事選、真っ只中」という漠然とした記事タイトルを付け、パソコンに向かっています。このブログの管理人である私自身、選挙運動に一定の制約がある立場であり、公示や告示日以降、誤解を招かないためにも具体的な候補者名は掲げないように心がけています。

ただ今回の記事を書き進めるにあたって、具体的な候補者名を掲げないのも不自然な内容に至るような気がしています。そのため、今回の記事の中に候補者の名前を掲げていきますが、メディアやネット上で目にしている話題の紹介をはじめ、選挙運動だと誤解されないような事実関係を中心に記していくつもりです。そのことを通し、私自身の問題意識を少し触れていくことになりますが、あくまでも個人の責任による記述であることも申し添えさせていただきます。

さて、来週日曜に投開票日を迎える都知事選は21名が立候補しています。その中で、元防衛相の小池百合子候補、元総務相の増田寛也候補、ジャーナリストの鳥越俊太郎候補が有力候補と目されています。今朝配達された読売新聞一面の見出しは「小池・増田氏 競り合い」とし、鳥越候補が追う展開という情勢を伝えています。序盤の調査ではメディアの大半が増田候補を3番手にしていたため、鳥越候補が失速しているという分析を加えなければなりません。

自民党が分裂選挙となり、野党統一候補として知名度の高い鳥越候補の優位な選挙戦が期待されていました。まだ選挙戦は真っ只中の段階であり、読売新聞の情勢分析のまま投票箱のフタが閉じられるとは限りません。それでも週刊文春の「淫行疑惑報道」が鳥越候補に対し、たいへん大きなダメージを与えていることは間違いないようです。なお、鳥越候補側は事実無根とし、発売日の前日、週刊文春あてに抗議文を送っています。

発売された木曜日には弁護団が公選法違反(選挙妨害)及び名誉棄損の疑いで、東京地検に告訴状を提出しています。週刊文春編集部は「記事には充分自信を持っています」というコメントを発表していますが、週刊現代の編集長だった元木昌彦さんは「やっぱり選挙妨害じゃないかなあ・・・タイトルも行き過ぎ」という見方を示しています。ただ週刊文春は続報も準備しているようであり、ますます鳥越候補は苦境に立たされる懸念が拭えません。

そもそも舛添前知事は資質の問題を問われ、疑惑が指摘された以降の対処の仕方も強いを批判を受けました。それらのことを反面教師にするのであれば、鳥越候補のリスクマネジメントやダメージコントロールが試されている局面だと言えます。どちらの選択が適切だったのかどうか分かりませんが、やはりジャーナリストである鳥越候補は速やかに記者会見を開き、週刊文春の疑惑報道に対する事実関係を自らの言葉で明らかにして欲しかったものと思っています。

仮に隠したい事実があったとしても、そのことも含めて明らかにした上で、鳥越候補は都民の評価を受ける立場だと言えます。万が一、疑惑がより事実に近く、鳥越候補の資質が問われる事態に至ったとしても、それ以上に都政に対する熱意や政策を語ることで窮状を乗り越えられる可能性もあるはずです。いずれにしても本来、都知事選は各候補者の見識や具体的な政策がどのように評価されていくのかどうかで競い合うべきものです。

たいへん残念ながら今回の都知事選も、そのような競い合いになっていません。知名度やイメージ戦略が先行した選挙戦にとどまっているように見ています。参院選挙から間隔がなく、都知事選に突入したため、国政選挙の延長線上としての「野党共闘」が重視されました。時機的な面から仕方のないことかも知れませんが、都政の顔として誰が最も相応しいのかどうかという視点が後回しにされていたように感じています。

都政新報の報道によれば、都知事選の有力候補の会見で「都は裕福」という発言があり、都税収入が増加傾向にある一面だけをとらえた見方に都庁内では不安視する声も上がっているようです。2016年度の都の予算では、歳入に占める都税収入が地方全体より30ポイント近く高い74.3%です。そのうち法人2税の割合は34.8%と高く、景気変動に左右されやすい税収構造となっています。リーマンショックの後、1年間で1兆円の減収になった時もありました。

消費税引き上げを再延期し、子育てや社会保障の充実に充てる国の財源が見当たらず、地方に負担が転嫁される恐れも高くなっています。地方交付税の不交付団体の都は、社会保障充実分の財源負担をそのまま強いられることになります。高齢化の進展などにより、都の福祉予算が毎年300億円ずつ増えていく中で、消費税引き上げ再延期による財源負担が重なることに都の担当者は危機感を募らせています。

そのような中、有力候補それぞれ都財政に対する危機意識が薄く、都職員側との認識の隔たりが目立っています。皮肉にも増田候補は総務相時代、東京の財源を吸い上げて地方に配分する地方法人特別税を打ち出していました。小池候補の政策では「待機児童対策推進、規制見直し」と「介護士、保育士の待遇改善」が並べられています。保育や介護現場の実情を正確に把握しているのであれば、単純に並べることの難しさに思いを巡らせられるようになるものと思っています。

このように記していくと、いろいろ注文したいことが浮かんできます。候補者それぞれから東京の自治の特殊性に対する認識をはじめ、掲げた政策の具体的な中味を知るためには時間や提供されている情報が決定的に不足しているように感じています。それでも知り得た情報をもとに都民一人ひとりが最適な選択をしていかなければなりません。その際の判断材料として、候補者の見識、政策、資質はもちろん、選挙結果が国政全体に与えていく影響を重視したいという考え方もあろうかと思います。

最後に、不特定多数の方々が閲覧できるブログですが、私どもの組合員の皆さんを意識した記事内容の発信にも努めています。そのため、今回の都知事選に向けた組合の考え方も付け加えさせていただきます。連合東京は「各候補の政策や主張を検証する時間がなかった」とし、自主投票としました。自治労都本部は鳥越候補と「自治体で働く非正規職員の待遇改善」「職員団体との良好な労使関係を築き、積極的な意思疎通を図る」など7点を確認し、政策協定を結び、産別としての推薦を決めました。

この自治労都本部の決定を受け、私どもの組合の執行委員会で取扱いを議論しました。政策本位の選挙戦に至っていないという意見がある一方、鳥越候補の勝利は欠かせないという主張も示されました。結論として自治労都本部が政策協定を結んだ上、鳥越候補を推薦している事実関係を組合ニュースで周知していくことを決めました。期日前投票が多くなっている中、組合ニュースの臨時発行も検討しましたが、予定通りの日程での周知となることをご理解ご容赦ください。

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コメント

へんに行動力のある人物より、なんもしらんアホを椅子にすわらせてたほうがまだ下はやりやすいってことだろうか

投稿: 犬 | 2016年7月24日 (日) 16時25分

犬さん、コメントありがとうございました。

短いコメントで正確に理解しづらいところですが、誰もそのように考えていないことを補足させていただきます。

投稿: OTSU | 2016年7月24日 (日) 22時13分

志の欠如に尽きると思います。

急な選挙だけに各陣営とも準備が整わない中での選挙となりましたのでしかたない部分もあったと思います。

橋下氏の大阪の2重行政を解消し1つの都にして無駄を無くし財政再建を目指した都構想や、裏金問題に揺れる宮崎県をどうにかせんといかんと立ち上がった東国原氏、既得権益に切り込んだ猪瀬氏などに比べると有権者の共感できる志を全く感じない。

勿論、県知事選のほとんどがそうなんでしょうけど今回はやはり首都東京かつ舛添氏の件で大きく注目が集まる中での選挙なのにも関わらずこの状態なので雑音しか聞こえてこない。とはいえもう選挙戦は始まっているので少ない争点や、候補者の人間性等で判断していくしかないのでしょうけど。

私は都民ではないので投票とは関係ないですが有権者にとってより良い選択となる事を祈ります。

投稿: ぴょん吉 | 2016年7月28日 (木) 10時06分

ぴょん吉さん、コメントありがとうございました。

私自身の今回の都知事選に対する思いは記事本文に託しています。新規記事もその流れで選挙の仕組みやあり方について掘り下げてみようと考えています。ぜひ、またご訪問いただければ幸いですので、よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2016年7月30日 (土) 07時27分

今回の都知事選挙でひとつだけよかったと思うのは
鳥越俊太郎氏の薄っぺらさと、自分が日頃言ってることは
あくまで他人を責めるためのものであり、自分は特別だと
態度でしめしたことですね。日頃、あれだけ説明責任や
言論の自由を声高に求めて人物が、自分に不利益な報道が
でたとたん地検に刑事告訴ですからね。

そう思うと、今回立候補を取りやめた宇都宮氏のほうが立派に
思える。

投稿: nagi | 2016年7月30日 (土) 09時38分

nagiさん、コメントありがとうございました。

新規記事のタイトルは「米大統領選と都知事選の違い」として書き進めています。できれば今夜のうちに投稿したいものと考えています。ぜひ、またご訪問いただければ幸いですので、よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2016年7月30日 (土) 21時26分

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