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2015年11月 7日 (土)

図書館の話、インデックス

カテゴリー別に検索できる機能を使いこなせず、これまで「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べていました。その発展形として「○○の話、インデックス」を始めています。その記事の冒頭、インデックス記事のバックナンバーを並べることで「インデックス記事のインデックス」の役割を持たせています。カテゴリー別のバックナンバーを探す際、自分自身にとっても役に立つ整理の仕方であり、今回もそのような構成で新規記事をまとめてみます。

これまで投稿したインデックス記事は「平和の話、インデックス」「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「定期大会の話、インデックス」「年末の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックス」「春闘の話、インデックス」「コメント欄の話、インデックス」「非正規雇用の話、インデックス」「定期大会の話、インデックスⅡ」「年末の話、インデックスⅡ」「平和の話、インデックスⅡ」「組合役員の改選期、インデックス」「人事評価の話、インデックス」となっています。

今回、図書館の話を取り上げようと考えた切っかけがあります。後ほど詳述しますが、私どもの市では中央図書館が一つあり、その他に地区図書館が8館あります。地区図書館を指定管理者に委ねたいという提案を受けた際、図書館について掘り下げた記事を連続で投稿していました。中央図書館は直営ですが、地区図書館は段階的に指定管理に移行し、今年4月には8館すべて民間業者に運営を委ねています。それほど数は多くありませんが、図書館を直接的な題材にしたバックナンバーは次のとおりです。

以上の記事を通し、本の貸し出しだけが図書館のサービスではないことを訴えてきました。また、日本図書館協会が公立図書館への指定管理者制度の適用について、事業の継続性や専門性という観点などから「基本的になじまない」という見解を示していることをはじめ、有川浩さんの代表作『図書館戦争』シリーズから「図書館の自由に関する宣言」の話などに繋げ、特に宣言の中の次の一文を重く受けとめていることを書き添えていました。

日本国憲法は主権が国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権の原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である。知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由の保障があってこそ表現の自由は成立する。

最近はインターネットの普及によって、既存のマスコミ以外からの多様な情報が手軽に得られるようになっています。そのため、一昔前に比べれば図書館の役割も変わっているのではないかとのご意見もあります。それでもパソコンを揃えるための資金、プロバイダへの使用料金などを考えた場合、ある程度経済的にゆとりがないとインターネットを利用したくても利用できない方もいるはずです。

経済的には問題なくても操作が不得手で、利用していない人たちも多いものと思っています。このように考えた場合、誰もが気軽に無料で、様々な分野の書籍や情報を手にできる図書館の役割は今後も決して極端に低下しないものと見ていることを綴っていました。日本図書館協会理事の方を講師に招いた講演会に参加した後、マスコミ、出版流通、インターネットの限界が次のように指摘されていたことも書き留めていました。

  • マスコミ情報は一方通行であり、必要な時に必要な情報を取得できない。
  • 通常の書店では、売り場面積の問題などから「売れない本」は返品され、とりわけ専門書の類いは置いていない。
  • インターネットだけでは、体系的網羅的な知識やモノの考え方に関する知識などは入手できない。例えば平均的な本の頁数は200頁もあり、その分量に匹敵する情報をネット上から閲覧又はダウンロードすることは難しい。

さらに何か困ったことが起こり、行政に相談しようと考えても、すぐにどこへ行けば良いのか分からない、その点で図書館は「どこにあるのか」「どんな人がいるのか」「何をしてくれるのか」分かりやすく、土日も開館しているため、足を運びやすい公共施設であることを講師の方は強調されていました。加えて、図書館は法律や医療など単一の問題にとどまらず、すきま情報を埋められるワンストップ窓口であるとも話されていました。

このような情報提供や住民の課題解決に向けた「気付き」のサポートを適確に行なうためには、やはり図書館職員としての経験の蓄積が欠かせません。したがって、契約社員やアルバイトが中心となりがちな指定管理者では、そのような図書館員は育ちにくいと主張されていました。残念ながら講師の方の問題意識とは裏腹に自治体の図書館を民間企業に委ねる動きが強まっています。武雄市ではTSUTAYAが指定管理者を引き受け、話題になっていました。

上記のインデックスに掲げたとおり当ブログでも武雄市の動きについて取り上げていました。武雄市の樋渡啓祐前市長は佐賀県知事選に落選した後、今年7月にTSUTAYAの関連企業の社長に就任していました。そのことを知った時は、たいへん驚きました。TSUTAYAが運営する武雄市の図書館そのものも様々な問題が取り沙汰されていたため、このブログでも機会を見てTSUTAYA図書館について改めて取り上げてみようと考えていました。

神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんは週刊誌『AERA』2015年8月24日号で次のような問題点を指摘していました。一つはCD、DVDの大量処分です。指定管理者のTSUTAYAがレンタルショップを経営しているため、図書館の無料利用を停止すれば自社の収益が増える可能性はあり、「李下に冠を正さず」という古諺をTSUTAYAの管理者は知らなかったらしいと皮肉られていました。

もう一つは郷土史研究資料の大量廃棄の問題です。商品価値は低くても研究者にとって資料的に貴重なものを廃棄していたようですが、前述した図書館の役割を無理解な行為だったと言わざるを得ません。内田さんが最後に指摘されたのは指定管理者の選書の問題でした。初期蔵書の内容はグルメガイトや旅行案内、「ウインドウズ98」マニュアルや『ラーメンマップ埼玉』『公認会計士第2次試験2001』など、図書館整備のために優先的に選書すべきものだったのかどうか疑問視していました。

内田さんは「どこかの書店の不良在庫を押しつけられたのではないかという疑念にも説得力のある反論が示されなければならない」とし、「図書館は市民の知性的、感性的成熟を支援するための公共機関であり、営利事業ではない」と述べられています。コラムの結びの言葉は、世の中には「市場のロジック」だけでは律してはならないものがあるということに、いつになったら日本人は気づくのか、というものでした。

以上の内田さんのコラムの内容が印象深かったため、このブログで久しぶりに図書館について取り上げる切っかけとなっていました。投稿のタイミングを見計らっていたところ10月4日には愛知県小牧市でTSUTAYA図書館の是非を問う住民投票が行なわれました。結果は下記の新聞報道のとおりTSUTAYA図書館の建設計画が否決されていました。この結果が図書館の役割を改めて問い直していくための切っかけになることを願いながら「図書館の話、インデックス」という記事を終わらせていただきます。

全国で開設や計画が相次ぐ「ツタヤ図書館」。書店やカフェもあって利用者が増える、と自治体は説明するが、愛知県小牧市では「反対」の住民の方が多かった。なぜなのか。

街活性化?市側の皮算用 反対3万2352票、賛成2万4981票。小牧市で計画されている新図書館建設を巡る4日の住民投票の結果、レンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と連携する計画は、一時停止に追い込まれた。市は昨年4月に新図書館の計画を発表し、同8月にCCCを連携事業者に選んだ。老朽化し、蔵書スペース不足が目立つ現在の図書館は建て替える必要がある一方、再開発が進まず活気がない中心市街地に「ツタヤ図書館」を建てれば人が集まり活性化する。そんな「1粒で2度おいしい」をもくろんだ計画だった。建設費は約42億円。延べ床面積を約2・6倍、最大収容冊数を2倍強に増やし、書店やカフェを併設。3年後の開設をめざしていた。参考にしたのが、佐賀県武雄市が2013年に開設した全国初の「ツタヤ図書館」。CCCが指定管理者として運営している。初年度の訪問者は92万3千人と当初見込みのほぼ倍。市外からの訪問も多く、武雄市は食事や土産など年間の経済効果を約20億円とはじく。

■利益優先?選書に不安も 小牧市民はなぜ「ツタヤ図書館」に反対したのか。住民に聞くと「税金の無駄づかいでは」(会社員の西田秀樹さん)、「ツタヤのサービスはツタヤで利用すればいい」(パート従業員の島村厚子さん)。高額な建設費に対する批判が目立ったが、「民間企業が本を選ぶと利益優先になる」という懸念も多く出た。武雄市図書館では、CCCと出資関係があった古本業者から中古本を購入していたことが発覚。市民から「在庫本の押しつけ」「貴重な郷土資料などが蔵書からなくなる」といった批判や不安が出た。今月1日に神奈川県海老名市が開設した「ツタヤ図書館」では、市が購入本を全て点検したが、海外の風俗店を案内する不適切な本が開設後に見つかった。【朝日新聞2015年10月9日

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コメント

たまたまOTSU氏が本文に挙げている、内田樹氏に対する記事を読んだので紹介します。

>http://agora-web.jp/archives/1659880.html

本文ではCDやDVDの大量処分についての記事に触れているのですが、リンクの記事内容は安倍首相を独裁と非難する記事にリンクされています。なるほど上手い手法だなあと感心しました。閲覧するかどうかわからないところまで手を抜かずリンクするのは熟練だなあと素直に思います。

大声で主張するよりOTSU氏のような熟練の手法のほうが効果的だと思います。

純粋に賞賛しています。

投稿: nagi | 2015年11月 9日 (月) 19時04分

nagiさん、コメントありがとうございました。

関連サイトにリンクをはって紹介する際、その方のホームページやブログのトップ画面のURLを入力しています。したがって、たまたま今回、そのような内容の記事がトップに掲げられていただけであることを補足させていただきます。なお、『AERA』2015年8月24日号の当該の記事をネット上で探しましたが、見つからず誤解を与えてしまったようで申し訳ありませんでした。

投稿: OTSU | 2015年11月14日 (土) 21時11分

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