自治労都本部大会での発言
土曜日、自治労都本部の第63回定期大会が開かれ、代議員の一人として参加しました。久しぶりに方針案討議の中で発言する機会を得ました。書記長時代、ほぼ毎年のように何らかの発言をしてきたことを覚えています。委員長になってからは初めてだったかも知れません。ブログを通して訴えていることは実生活の中でも同様に訴えているつもりです。私どもの組合の中では実践できていますが、自治労都本部の会議ではその機会は限られています。
その意味で貴重な機会を得られたものと考えています。下記のような発言内容に対し、人によって受けとめ方や評価は分かれていくものと思います。単組の中でも事前に発言内容の原稿を見せたところ、書記長からは予想以上の反発を受けました。他の複数の役員からは「バランスが取れていて良いと思います」「委員長らしい内容ですね」という声を受け、ほぼ事前に用意した原稿のとおり発言しています。
今回、いろいろ多忙な時期でもあり、ブログの新規記事の投稿は労力的な負担が減る方式を取らせていただきました。つまり自治労都本部大会で発言した原稿内容の紹介を中心にした新規記事の投稿です。不特定多数の方々にはどのように受けとめられるのか興味もあったため、以下、自治労都本部の大会で発言した内容の全文をそのまま紹介させていただきます。
自治労都本部の方針を支持し、補強する立場で発言させていただきます。実は私自身、都本部の大会での発言はたいへん久しぶりになります。長い間、自治労大会にも参加できていません。介護の事情があるからでした。念のため、決して自治労から距離を置こうと考えている訳ではありませんのでご理解ご容赦ください。一方で、このような事情があり、自治労の様々な取り組みに充分対応できていないため、都本部大会で発言するのもおこがましく思い、控えてきた気持ちがありました。
今回、久しぶりに発言する機会に至った経緯は後ほど説明させていただきます。あえて後に回す理由として、今回の発言は自治労運動に苦言や批判を加えることが目的ではないことを先に強調すべきものと考えているからです。私自身、単組の青年婦人部の幹事を引き受けてから30年以上、自治労運動に関わってきました。その間、仕事だけでは得られない貴重な経験や交流をはかることができました。
平和や人権を大切にする自治労の運動を強く支持し、その運動が広がるよう自分なりに努力してきているつもりです。その一つの試みとして、10年前に個人の責任でブログを始めました。記事本文は毎週1回更新し、コメント欄は即座に反映するフルオープンの場としています。そのことを通し、自治労の運動が外部、もしくは自治労組合員からどのように見られがちなのか、把握できる機会となっていました。
もちろんネット上の声がすべてではありません。ただ手厳しい批判や指摘が匿名だからこそ知り得る本音であることも確かだろうと思っています。安保関連法案を巡る問題の時などが顕著な機会でした。この法制の必要性を訴えるコメントが寄せられる中、自治労の組合員の方からも同様な声が届いていました。世論調査の結果は安保関連法案に反対する国民が多数で、SEALDsに代表されるような画期的な動きがあったことも確かです。
それでも安倍内閣の支持率は40%前後で踏みとどまっています。この4割の中に自治労の組合員も同様な割合で占めていることを認識すべきだろうと思っています。このような認識を持ち、日常的な組合活動を進めるのかどうか、私自身はその必要性を強く認識するようになっています。自民党の改憲草案の中では国防軍と明記されているため、安倍首相が「普通に戦争ができる国」をめざしていると言っても間違いありません。
しかし、安倍首相が「戦争をしたがっている」と批判した場合、あくまでも抑止力を高め、戦争を未然に防ぐための法整備であるという反発を招きがちとなります。自治労組合員の中にも少数ではないはずの法案賛成派や安倍首相を支持する方々にも届く言葉、そのような言葉を意識していくことが大切だろうと思っています。いずれにしても多岐にわたる情報があふれる中、個々人の価値観は多様化しています。
そのため、組合の活動方針と組合員一人ひとりとの問題意識に溝が生じないように注意していかなければなりません。その溝が広がっていくと組合活動全体に対する結集力の低下に繋がりかねません。そのような事態を避けるためには特に政治的な活動の必要性や意義について、日頃から丁寧な情報発信に努めていくことが非常に重要です。よりいっそう「なぜ、取り組むのか」「なぜ、反対しているのか」という説明が欠かせないのではないでしょうか。ぜひ、自治労都本部の運動の中でも、このような問題意識に留意していただけるよう願っています。
続いて、今回の発言に至った経緯です。自治労本部の機関紙『じちろう』10月1日号の4面に掲載された「漫画レーダー」のタイトルは「豪雨と洪水の時代」でした。「集団的自衛権の抜け道で削ったとこだ」とセリフがあり、堤防の一部が決壊した情景を描いていました。安倍首相らの強引な解釈による集団的自衛権に対する風刺画であることは理解できます。しかし、豪雨災害で実際に甚大な被害を受けた方々の気持ちを慮った際、この風刺画が適切だったかどうか強い疑念の声が上がっていました。
私どもの執行委員会の中でも指摘を受け、今回の発言に至っています。本部に直接伝えるべき事例なのかも知れませんが、先ほどの話とともに都本部の大会の中で周知することで、日常の運動を見つめ直すための一つの問題提起とさせていただきました。以上の発言は議案に対し、具体的な箇所を指摘するものではありませんが、趣旨をおくみ取りいただければ幸いですので、よろしくお願いします。
最後に、本日、議案書と一緒に「砂川闘争60周年のつどい」のチラシが配られています。11月5日夜に開かれます。地元住民の反対闘争で基地拡張を阻止した画期的な闘争でした。連日行動が予定されている多忙な時期ですが、ぜひ、多くの方に参加いただけることを願っています。 よろしくお願いします。
最後の「砂川闘争60周年のつどい」の箇所は事前に原稿を用意した訳ではなく、当日、追加した内容でした。この発言の後、特に反発や冷めた雰囲気は感じられませんでした。事前に強く反発していた書記長も「実際に聞いた印象は読んだ時と違いますね」と感想を漏らしていました。方針案の提案者である自治労都本部の副委員長からは「全体的に重要な中味として受けとめ、本部の会議等の中で伝えていきたい」とお答えいただきました。
発言した直後の休憩時間、他の組合の若い役員の方から声をかけられました。言い回しは少し違っていたかも知れませんが「モヤモヤしていたのが晴れました。きれいな言葉で、うまく発言されていたと思います」と話しかけられ、たいへん好意的な評価を寄せていただきました。さらに発言の中で触れたブログにも興味を持たれ、私から「公務員のためいき、ためいきを平仮名で検索できます」と案内する機会にも繋がっていました。
ちなみに私どもの組合の定期大会は11月13日夜に開かれます。都本部よりも歴史が古い回数を表わす70回という節目の大会を迎えます。大会に先がけ、来週火曜日から組合役員の信任投票が行なわれます。昨年の記事「組合役員の改選期、インデックス」に託したような思いのもと引き続き執行委員長に立候補しました。今年も選挙公報に掲げた私自身の原稿内容をそのまま紹介し、最後まで省力化をはかった記事の結びとさせていただきます。
組合役員を長く続ける中で「組合は大事」という思いを強めてきました。経営者側の思惑だけで働き方が決められていった場合、昨今取沙汰されている「ブラック」な話につながりかねません。働く側の視点や声が反映された労働条件の維持向上が欠かせず、そのために様々な労働法制が整えられ、労働組合の役割が重視されています。
働き方の問題に限らず、より望ましい「答え」を見出すためには多面的で多様な考え方や見方をもとに判断していくことが重要です。 偏った意見や情報だけで決めてしまった場合、大きな問題が生じかねません。あらゆる場面で留意すべきことであり、組合組織の中でも同様です。そのため、よりいっそう組合員の皆さん一人ひとりの多様な声が届く組合活動に向けて努力していきます。新たな一年、様々な難題に対し、引き続き組合運動の先頭に立ち、 全力を尽くす決意ですので、よろしくお願いします。
◎ 毎週1回更新しているブログ『公務員のためいき』もご覧いただければ幸いです。
| 固定リンク
| コメント (6)
| トラックバック (0)
最近のコメント