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2015年8月23日 (日)

8月30日に全国100万人行動

第189回通常国会の会期が95日間延長され、会期245日は1981年開会の第96回国会を1日上回り、通常国会としては戦後最長となります。その国会の会期末は9月27日です。国会には会期不継続の原則があり、会期中に議決に至らなかった案件は次の会期に継続しないというルールです。国会の意思は各会期ごとに独立したものであるという会期独立の原則に基づき、会期終了前に継続審議の議決がされない限り、会期中に議決されなかった案件は廃案となります。

廃案後、次期以降の会期に再び同一内容の議案を上程することは可能ですが、通常は検討の上、訂正が加えられることになります。憲法学者の圧倒多数が「違憲である」という懸念を示し、多くの国民が反対している安保関連法案ですが、廃案に追い込めるのかどうか正念場を迎えています。この法案に対する世論調査から判断できる民意と現在の国会での議席数には「ネジレ」が生じています。

与党が過半数を占めているため、会期末までに参議院で採決、もしくは60日ルール(衆議院で3分の2以上で再可決)を許してしまった場合、違憲の疑いがある法律を成立させてしまうことになります。逆に考えれば、参議院で採決できない、60日ルールを適用することも望ましくない、そのように政府与党が危機感を持った場合、今回の安保関連法案は前述したとおり廃案となります。

問題が多すぎる法案に対する直接的な民意を踏まえ、立憲主義をないがしろにするような事態を避けるためにも、いったん白紙に戻し、仕切り直しすることが強く求められているのではないでしょうか。このような展開に繋げていくためには法案に反対している国民一人ひとりの明確な意思表示が必要です。その意思表示の一つとして反対集会やデモ行進がありますが、どれほどの影響力を与えているのかどうか懐疑的に見ている方も少なくありません。

1960年安保闘争の時、岸首相は「国会周辺は騒がしいが、 銀座や後楽園球場はいつも通りである。私には声なき声が聞こえる」と語っていました。漫画家の小林よしのりさんはブログ記事「デモは安倍首相のナルシシズムをくすぐる」の中で「安倍首相は岸信介の真似をして悦に入りたいのだから、 国会周辺がデモで物々しくなればなるほど、自信を深めるだけだろう」とし、「国会周辺に集結して声を上げるデモに、どれほどの効果があるのだろう?」という疑問を呈しています。

私自身も以前投稿した記事「運動のあり方、雑談放談」の中で「運動を目的化していないだろうか」「労力対効果という面から問い直す必要性はないだろうか」という問題意識を示していました。しかし、集会やデモを必ずしも軽視している訳ではなく、特に来週8月30日に取り組まれる全国一斉行動には大きな期待を寄せています。様々な団体や個人が呼びかけ、全国で100万人、東京で10万人の参加をめざした安保関連法案の廃案を求めた行動です。

東京では午後2時から国会議事堂を包囲する取り組みが提起されています。自治労をはじめ、平和フォーラム関係団体は国会議員会館前に結集する手はずとなっています。火曜日に発行する私どもの組合ニュースを通し、この行動への参加を組合員の皆さんにも募っていく予定です。当初、私自身は日程の都合がつかなかったのですが、たいへん大きな取り組みであるため、何とか国会議員会館前に足を運べるように調整しています。

「安倍は退陣!」――大学生グループ「SEALDs」の活動をきっかけに、安保法案に反対する国民の声は日増しに大きくなっている。いまや若者だけでなく、主婦、高齢者、中年と“老若男女”が声をそろえた。今月30日には国会前での10万人デモに加え、何と全国各地で抗議集会を同時に開き、計100万人の参加を呼びかけているのだ。いくら独善的といわれる安倍首相でも、100万人の声を無視することはできないのではないか。「8・30全国100万人大行動」の主催団体のひとつ「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」に所属する高田健氏(70)はこう言う。

「100万人集会は、私たちの団体の他に2団体が力を合わせ、7月中旬ごろから計画を進めてきました。全都道府県に関連団体があり、電話やメール、ネットで参加者を募っているところです。100万人集めるのはそう簡単なことではありませんが、各地域の方々の反応はいい。皆、廃案に向け、ヤル気がみなぎっています。小さな村だと、都会と違って人の集まる場所は多くありません。それでも、『スーパーマーケットなど、なるべく人目に付く場所でプラカードを掲げたい』と言ってくれる方もいます」 1960年の安保闘争では、国会前に30万人のデモ隊が押し寄せ、当時の岸内閣を退陣に追い込んだ。全国で100万人が「安保法案反対」の声を上げれば、安倍首相も敬愛してやまない祖父に倣い、退陣するしかないのではないか。【日刊ゲンダイ2015年8月14日

いつも政権に批判的なメディアの記事ですが、100万人近くが一斉に反対の意思を示した場合、確かに安倍首相も無視することが難しくなるはずです。実は今回のブログ記事、全国100万人行動のことは前置き的な取り上げ方とし、そこから個人的な問題意識に繋げていくつもりでした。ここまでで相当長い記事となっていますので、これ以上、話を広げずに今回の記事は区切りを付けることにしました。最後に、組合員の皆さんからの参加を募った組合ニュースの一文を紹介し、終わらせていただきます。

誰もが世界中から戦火が消えることを願い、戦争で人を殺したくない、殺されたくないと考えているはずです。安保関連法案に賛成する者は戦争を肯定している、反対する者は利己的な「一国平和主義」という決め付けは論外です。この法案の成立が本当に望ましいことなのかどうか、そのような視点や立場から判断し、専守防衛を大原則としている日本国憲法の「特別さ」を大切にしていくことが強く求められているのではないでしょうか。

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コメント

日本国憲法の特徴は「平和主義」でも「専守防衛」でもなく、「戦力不保持」にあります。
前者を謳う憲法は世界で数十カ国にありますが、後者を謳う憲法は、日本とコスタリカだけ?でしたっけ?
そういう意味では、今回の法案以前に、そもそも自衛隊自体が…という命題がたつハズなのですが、「法案は違憲」として反対する方の意見を耳にすると、自衛隊自体には肯定的な人が多数派なのが、興味深いというか。

で、「会期末で廃案」って話ですけど、現与党(自民党・公明党)以上に、「通年国会」の導入に積極的だった(会期という概念に否定的だった)民主党さんが、「会期末で廃案」を求めるのも不思議というか。「継続審議」を求められるのなら、それは過去の主張と一貫性があると思うのですが。

さらに、内閣法制局の見解を、政府の解釈とすることは、「官僚主導の象徴・政治主導の実現をはかるべく、政府の憲法解釈は政治家がなすべき」として徹底的に内閣法制局を(越権行為だとして)批判されていたハズの民主党さんが、「過去の内閣法制局長官の意見を無視して、政治主導で解釈を決めたのはおかしい」という主張をされているという構図もまた、興味深いというか、不思議というか。
これ、正式に党として方針を変えられましたっけ?現実には、民主党さんの内閣としてはなし崩し的に方針が変わりましたけど、党としては?

「100万人の声」ですけど、
かつて(といっても平成の世になってからです)けど、某政治課題で自治労さんが「100万人署名」を行って実際に(形式的には)集まったコトがあったんです。
一応「100万人が、同時ではないが、声をあげた」わけですが、政府方針はまったく変わらず法律になりました。
そういう経緯から、「100万人の声」に何処までの実効性があるのか懐疑的ではありますけど、今後の法案を巡る成り行きには注目しています。

投稿: あっしまった! | 2015年8月23日 (日) 21時22分

そもそも中国の脅威に対処していく為の安保法案
なので、根本原因を生み出している中国の大使館
にいって埋立てや軍拡をやめるようデモするほうが
よっぽど世界平和に繋がると思いますけど。
中国の脅威が軽減されれば安保法案の必要性も
だいぶ減ります。
原因を放置して対処をやめろといっても説得力を
感じることができません。

本当に国民の多数が反対しているのであれば
安保法案廃案を公約にして選挙で政権をとれば
いいだけだと思いますが反対の連呼では難しい
でしょうね。

投稿: たろう | 2015年8月23日 (日) 21時55分

>中国の脅威が軽減されれば安保法案の必要性もだいぶ減ります。

審議中の戦争法案の集団的自衛権と中国の脅威は関係はありません。
(安倍晋三は中国の脅威を煽りたいようですが)

国外にて外国の為に戦争を行うのが集団的自衛権なのですから
中国の脅威というならアメリカと中国が軍事衝突した場合しか適用できませんが
そういう状況は想像できません。
政府はアリバイ的にオーストラリアも対象とか言ってますが、
オーストラリアが何処と軍事衝突するのかさっぱりわかりません。

なお中国が日本に軍事侵攻するなら、これは個別的自衛権の範疇なので
やはり集団的自衛権とは無関係です。

国会の仕組と議員の質はあまり変わりませんから、与党野党が入れ替わっても
やっていることは同じです、
民主党政権でも強行採決は行ったし、野党自民党は国会審議でスキャンダルや
揚げ足取りの言い掛かりばかり喚いていました。
再度与党野党が入れ替わっても同じでしょう。

投稿: ハルチャンド | 2015年8月24日 (月) 13時20分

集団的=自衛権=とあるように、”自国を他国に協同で守って貰う”のが一義的な意味で、その裏返しとして、”自国を協同で守ってくれる約束をした他国を協同で守りに行く”という意味が生じてきます。
”助けて貰う、その代わりに助けに行く”という理屈であるのです。自衛権という概念ですから。

ただ、これはフルセットの(本来の)集団的自衛権の場合で、今回の法案の場合は趣を異にします。本来の集団的自衛権なら当然であるべきアメリカを守りに行く事態は想定されていませんし、現実に自衛隊にその能力も装備もありません。却って足手まといでしょう。

今回の法案を読んでみる限り、”集団的自衛権”と言いつのること自体、誇大広告気味な気がしますけどね、ワタクシなどは。

共和国政府は、公式の会見で「東(シナ海)側は まだ 何もしていない」と発言していることから、成算ありとみれば何らかの行動を起す気はあるのでしょう。でないと”まだ”とは言いませんから。

となると、将来に亘って如何に共和国政府に”成算が低い”という判断を維持させる状況を作るか?だろうと思います。
今の政権はその回答が今回の法案だと言ってる訳ですが、それが最善の解なのか?は、確信を持って言えるほどの識見はありません。

一方で、今の日本の実力では、単独でやりあうと終局的には負けると言うことと、アメリカ軍の存在が共和国政府をして”成算が低い”と判断させる要因となっている現状に鑑み、
如何にアメリカ軍の関与可能性を担保するかは、考慮を要する点だろうとは思います。

投稿: あっしまった! | 2015年8月24日 (月) 17時13分

日本と中国が衝突した場合に、アメリカが日本を助けに入るのも、日本にとっての集団的自衛権です。(ボソッ

米中の衝突より、日中の衝突が日本にとっての問題で、共和国政府には”やる気”は十分ありますからね。

投稿: あっしまった! | 2015年8月24日 (月) 17時18分

こんな意見もありますねえ

>http://thepage.jp/detail/20150712-00000001-wordleaf

なかなかおもしろい

投稿: nagi | 2015年8月24日 (月) 17時30分

この問題に対するワタクシの感覚的な受け止め方は、「主体としての適格性と言う論点」まで含めて、ご紹介の意見に近いです。

で、できれば民主党さんに期待したいのですが、「主体としての適格性」という点ではともかく、「現状認識と対処能力・政権担当能力、個々の政策に対する是非以前の問題として」という点でワタクシにはどうにも。
というわけで民主党さんには、まともな野党(与党予備軍)になって欲しいと思いつつ、辛口な意見を述べています。
この問題についての同党の長島氏のスタンスやロジックには親和的な印象をもってますけど。

投稿: あっしまった! | 2015年8月24日 (月) 18時08分

OTSU氏風に言いますと、
安倍政権と距離を置く朝日新聞の「安倍談話」世論調査で評価する40% 評価しない31% と評価が上回る。
さらに、反省とお詫びに触れたことと歴代内閣の立場はゆるぎないと表明したことは、適切だった54% 適切でなかった20% と適切が大きく上回る。
さらに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないとの主張に共感する63% 共感しない21% と共感するが上回った。

朝日新聞の世論調査で評価するが上だから、これでよかったのでしょう。何より「謝罪を続ける・・・」が談話評価に関係なく共感が多かったようで、多くの日本人の素直な気持ちなんでしょうね。

投稿: nagi | 2015年8月25日 (火) 11時42分

私が安部談話を評価したのは、歴代の談話を継承しながらも、未来に向かった発言をしたところです。

相手が納得するまで謝罪が必要なのではないか?
謝罪をしないことは、反省をしていないのではないか?

今回も、そのような声を多く聞きました。

では、ゴールはどこにあるのでしょう。

村山談話や河野談話を出しました。
歴代内閣は、その談話を継承しています。
少なくとも、後退している事実はどこにもありません。

でも、結局は韓国から出るのは、謝罪が足りない。反省していない。歴史を修正している。
野党からも、同じような意見が出される。

具体的に、何をどうしたら、終わりがあるんですか?
足りない、足りないと言う日本の方々は、どういった行動が必須とお考えですか?

永遠のいたちごっこは続き、いつか首相や天皇が韓国で土下座しないと終わらないのですかね。

本当に終わるのであるなら、私は一度だけ土下座してもいいですが。

過去の侵略を認めることと、ゴールのない謝罪を受け入れないことは、イコールではありません。
安部さんは、そういった負の連鎖を断ち切ることを宣言しました。

今の日本は、世界のどの国からもあれこれ言われる筋合いのない、平和的国家であるのですから。

投稿: 下っ端 | 2015年8月25日 (火) 21時46分

A級戦犯を合祀した靖国に大臣は参拝するな。ってことですよ。

確かに時々謝罪はしているけど、政治家がそれをぶち壊す言動を行うでしょ。

大韓帝国併合は合法に行われたとか、
植民地支配では良いこともした、とか
南京虐殺や従軍慰安婦だって、無かったことにしようとしている連中がうるさいし

中国韓国から見れば「口だけの謝罪だろ、おまえら本当に反省しているのか」となる。

その逆のことが北朝鮮の拉致事件で起きてる。
日本政府は謝罪と調査と繰り返し要求しているけど、
小泉訪朝時に国家元首が公式に謝罪しているから
北朝鮮から見れば謝罪済なのに繰り返し謝罪を求められている。

投稿: ハルチャンド | 2015年8月26日 (水) 08時29分

ハルチャンドさん

靖国神社は賛同していません。
出来るだけ早い時期に、国立の追悼施設を作るべきと思います。

でも、そのことを、国外の人間にとやかく言われる筋合いはないでしょう。
靖国を参拝することと、右傾化や軍国化が結びついていますか?

日本が行動で示してきた実際の平和行動から、どこをどう取り上げても、右傾化や軍国主義にはなりません。

一部の政治家が何を言おうと、言論の自由であり、思想の自由は存在します。
無論、感心する発言とは思えませんが。

安部首相が自分の言葉で謝罪しなかった。
一国の首相が、国を代表して発言しないで、自分の言葉で発言するんですかね?

実際の現実や行動を見ないで発言をするのは、私はフェアではないと考えます。

反対する人や国は、何を言っても反対するでしょう。
それもまた、自由ですけどね。

投稿: 下っ端 | 2015年8月26日 (水) 21時30分

あっしまった!さん、たろうさん、ハルチャンドさん、nagiさん、下っ端さん、コメントありがとうございました。

いつも個別のレスに至らず恐縮ですが、70年談話については以前の記事に綴ったとおりの感想を抱いています。ちなみに時節柄、新規記事も安保関連法案に絡む個人的な問題意識を投稿する予定です。ぜひ、またご覧いただければ幸いですので、よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2015年8月29日 (土) 20時07分

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