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2015年7月11日 (土)

人事評価の話、インデックス

「公務員のためいき」というブログのタイトルですが、政治的な話題を取り上げる時がたいへん多くなっています。そのため、実生活においても四六時中、ブログを通して訴えているようなことを考えているのではないか、そのような誤解を受けてしまう場合もあります。もちろん市職員としての職務に全力を注ぎ、組合としての本務である労働条件の問題に対しても日常的に向き合っています。

誤解される方は少ないものと思っていますが、念のため(coldsweats01)、一言申し添えさせていただきました。そして、今回は久しぶりに公務員全体に関わり、私どもの労使関係に関わる話を書き進めてみるつもりです。あわせて久しぶりに「インデックス」記事としてまとめてみます。カテゴリー別に検索できる機能を使いこなせず、これまで「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べていました。

その発展形として「○○の話、インデックス」を始め、「平和の話、インデックス」「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「定期大会の話、インデックス」「年末の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックス」「春闘の話、インデックス」「コメント欄の話、インデックス」「非正規雇用の話、インデックス」「定期大会の話、インデックスⅡ」「年末の話、インデックスⅡ」「平和の話、インデックスⅡ」「組合役員の改選期、インデックス」という記事が続いていました。

なお、「○○の話、インデックス」記事の冒頭に上記のような説明をなるべく掲げるようにしています。そのことでインデックス記事のインデックス代わりになるため、過去の記事を探す際、自分自身にとっても役に立つ整理の仕方となっています。今回、新たなカテゴリーとして「人事評価」という題材で以前の記事を整理してみようと考えました。これまで人事や評価制度に関する記事をいくつか投稿し、インデックス代わりに並べてみると次のような内容があります。

過去の記事を紹介しただけでは面白味のない新規記事となってしまいます。そのため、私どもの組合ニュースに掲げた内容を中心に少し書き加えさせていただきます。ちなみに公務員に対する人事評価制度は次のような変遷をたどっています。「職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなす」とし、長年、公務員給与は職務給の原則を根本基準としていました。成績主義の原則もありましたが、競争試験によって選抜されたことをもって能力は一律とみなされる仕組みだったと言えます。

年齢や学歴区分等に応じた初任給格付けがあり、それ以降、長期間病気などで休まない限り、1年ごとに定期昇給できることが基本でした。給料表は、部長、課長、係長などの職層に応じた等級に分かれ、昇任することによって支給される給与の額が枝分かれしていく仕組みでした。採用された後の個々人の能力の差はあまり問われず、係長としての職務はこの水準、課長はこの水準と定めた給料が支給されてきました。

このような仕組みは「頑張っても頑張らなくても同じ給料」という不本意な見られ方につながりがちで、公務員制度改革の論議の中で「能力及び実績に基づく人事管理」の考え方が強く打ち出させるようになっていきました。2007年に国家公務員法の一部が改正され、能力及び実績に基づく人事管理が徹底化されました。日常的な職務の遂行にあたり、職員が発揮した能力や業績を評価し、昇給額や一時金(賞与)の額に差がつけられるようになりました。

1年間で1号給の昇給幅だった額が4分割された給料表への変更は査定給制度の導入に対応したものでした。2014年には地方公務員法の一部が改正され、2016年度から地方自治体においても人事評価制度の施行(本格実施)が迫られています。この法改正に伴い、すべての自治体が何らかの形で全職員を対象に来年2016年度からの本格実施に対応しなければならなくなっていました。

労働組合は人事に関与できず、当局側の責任事項です。一方で、賃金水準に直結する人事や給与の制度面の問題は労使協議の対象としています。これまで私どもの組合は公務の中で個々人の業績評価は取り入れにくい点などを訴え、人事評価制度の導入に慎重な立場で労使協議に臨んできました。当市における人事評価制度に関しては2001年に課長職から試行を始め、目標管理を中心とする人事考課を係長、主任、主事と段階的に広げてきました。

開始当初、賃金や一時金に反映させない試行と位置付け、2010年から課長職のみ勤勉手当に反映させる本格実施に至っています。2012年に係長職の本格実施に向けた提案が示されました。係長職の多数から不安視する声が上げられていたため、組合から拙速な導入を避けるように求め、労使合意に至らず、これまで継続協議の扱いとなっていました。

このような経緯の中、先月の団体交渉で人事評価制度の枠組み等については従来通り労使協議事項であることを改めて確認しました。その上で、地方公務員法の一部改正を受け、来年度(2016年度)からの本格実施に向けて労使協議に入ることを合意しました。協議に入った際は、試行してきた人事考課制度の検証や給与等への反映のあり方などが大きな論点になることを当局側に伝えています。

当局側の考え方(提案内容)は全職員を対象に2016年度から本格実施し、2016年度の結果を2017年度の勤勉手当に反映させ、2018年度から査定昇給も実施するという計画です。地方公務員法の改正内容に合わせ、職務遂行にあたって発揮した能力を評価する「能力評価」、あげた業績を評価する「業績評価」で構成し、これまで実施してきた「意欲・態度評価」は「能力評価」に統合します。「業績評価」結果は勤勉手当の成績率に反映し、「能力評価」結果は査定昇給に反映させる考え方を示しています。

以上の内容を報告した組合ニュース配布後、公正な制度となり得るのかどうか懸念する声も組合に届いていました。組合は制度協議を進める上で「公平・公正性、透明性、客観性、納得性」の4原則、「労働組合の関与、苦情解決制度の構築」という2要件の確保を方針化しています。このような方針を踏まえ、懸念される声を受けとめながら労使協議を精力的に重ねていくつもりです。

人事評価制度の本格的な導入によって、多くの職員の士気を低下させるようであれば本末転倒な話です。組合は一人ひとりのやる気を高め、組織そのものが活性化するような制度の構築をめざしています。上記インデックスで紹介した以前の記事の中で繰り返し提起してきましたが、人事評価制度はベストと言い切れるものを簡単に見出せません。いろいろ試行錯誤を繰り返しながらベターな選択を模索していくことになります。

いずれにしても最も重要な点は、どのような役職や職種の職員も職務に対する誇りと責任を自覚でき、常にモチベーションを高めていけるような人事制度が欠かないものと考えています。最後に、人事教育研究所という会社のサイトで、公務員と民間企業を峻別した人事評価制度の必要性を説いた次のような記述を目にしています。参考までに内容の一部をそのまま紹介させていただきます。

1.人事評価と処遇(昇給や賞与)と直接的に結びつけない! 職員が頑張ってよい評価を得たからといって、賃金原資が直接的に多くなるとは限らない。(税収が増えるとは限らない。) もちろん、業務の効率化やコストダウンなど、職員の努力により財政はよくなるが、賃金総原資に直接的に大きく連動するわけではない。賃金総原資が増加しないのに、評価のよい職員に昇給や賞与を多くするということは、逆に評価の悪い人の昇給や賞与を低くするということになる。すなわち、決まった賃金総原資を職員で取り合う形になってしまう。これでは、協力意識や組織としての力の発揮という点では逆効果になってしまう。人事評価制度を導入したことで職場の雰囲気が悪くなり、足の引っ張り合いをするということになってしまうと大問題である。

2.民間企業のマネをしない! 民間企業の場合は、社員が頑張ってよい評価を得ることで、会社の業績向上が上がり、それが賃金原資の増加に結びつく。そして、その増加した分を再配分するというように考えることが出来るので、人事評価と処遇を直接的に結びつけることが可能であり、また、やる気の喚起という点でも効果がある。すなわち、人事評価をしっかり行って、評価のよい人は昇給や賞与を多くし、逆に、評価の悪い人は少なくして、やる気を喚起しようということである。拡大の論理、競争の論理から言えば、効果的である。また、その様なことを期待して入社した社員も多い。しかし、役所(市町村)はそうではない。

3.評価と処遇の連動は長期的な観点で! 役所(市町村)では人事評価の結果と昇給や賞与などの処遇と短期的・直接的に結びつけない方がよい。1回や2回の評価で昇給が多くなったり少なくなったり、賞与が多かったり少なかったりということをしない方がよいということである。

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コメント

市町村は、市町村域内の住民の便宜を図るための必要事務を行う住民のための「事務所」であり、住民の中から希望した者の中から選抜によって「事務員」になることがてきる…と考えています。

住民自治の考えの中で、地方公務員が適正な事務を住民になり代わり効率的に行うわけですから、それ相応の給与は必要なものと思います。

住民の給与水準が高く、ヤクショの給与も高いのであれば、住民にとっては鼻高々なはずですが、減点主義の日本では、叩くだけ叩いておいて、相手が落ちぶれればいいようなことがあり、ここ20年位の公務員の信用失墜の嵐の中では、なかなか、公務員の給与を下げよという圧力は消えることがありません。

対価(税)に見合った仕事をしているか?とは永遠の課題であり、タダで公務員が働けば胸がすくとおっしゃられる方もいらっしゃいます。ボランティアをするのだって、交通費や食料は必要です。

公務員の場合は、「コース」「いす」により、処遇が決まるという、民間では考えられないシステムになっており、専門性を身に着けた職員は、なかなかその部署から離れることができなく、上司の気まぐれで、突然飛ばされるようなことがあります。現場よりも企画が優遇され、事務職よりも技術色は下位におかれる傾向にあります。

同じ課長職でも、図書館長から経済企画課長までだいたい同じ給与水準であるというのはこのようなことからです。これを傾斜給与にすると、ますます、座る課長席によって給与が変わるということになります。

このような、公務員独自の処遇システムを根本から直すのは、難しいだろうと考えています。このシステムの中に民間並みの報酬の差を生じさせるためには、膨大なチェク項目を職員ひとりひとりに行い、公平に加点することが必要ですが、管理職の事務量が膨大になります。
私自身の経験では、通常業務より職員評価のための時間が多くかかり、その時間を割いてしまうと、加点のタイミングを逃し、昇進させたい人材を昇進させられないという、不思議なことが起きます。中間管理職では、考課作業を多くしないと管理職失格となり、冷や飯を食うことになります。

今もってこの状況は変わっていないと思います。かつての郵政では、民営化すれば給与は上がると思っていた安直な職員が多かったのですが、そうはなっていません。高すぎたか?というと、独立採算制の国営事業体のなかでは、そうではなかったです。
株式会社は利益至上主義。利益は出資者のもので、利益は出るだけ出ればいい。国民もそれを求めたわけです。利益を減少させている非採算部門はつぶすしかありません。郵便をつぶしても、裁判所の通知を他の運送業者が送達保証してくれません。企業努力の範囲内です。
実際は採用縮小、非正規雇用の増加、委託業務の増加で、さらに国からの縛りがかかるということがおきています。郵便局を削減すると報道されたり、取りやめたりと、混乱が続いているように見えます。

市町村を企業努力などというあいまいな保証や信用で運営するのは危険。ある程度のモチベーションを保つためには、金銭で釣るのがいちばん効果的ではあるんです。ただ、どの市町村も財政的な余裕はなく、権限も小さい。資産も国に比べると少なく、徴税権をむりやり発動させても、取れるものは市町村内の資産だけ。

ただでよいサービスというものは、今のところ存在しません。食べるということは食料代だけはかかります。誰かの食を保証しなければ、ヤクショも無償ボランティアも存在しません。

投稿: でりしゃすぱんだ | 2015年7月13日 (月) 08時39分

でりしゃすぱんださん、コメントありがとうございました。

ご指摘のとおり評価制度の導入にあたっての事務作業の負担も留意しなければなりません。それこそ部下の多い評定者は本務に影響を与えかねません。

なお、新規記事は国政の動きに戻る予定です。問題の多い安保関連法案が衆議院を通過し、いろいろ物申したいことがあります。ぜひ、またご訪問いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2015年7月18日 (土) 07時16分

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