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2015年1月17日 (土)

民主党の代表選

フランスの風刺週刊紙「シャルリー・エブド」が襲撃され、多くの犠牲者を出しました。卑劣なテロは絶対許すことができません。一方で、表現の自由の問題を巡って、いろいろな声も聞こえてきています。また、NHK紅白歌合戦でサザンオールスターズが演奏した「ピースとハイライト」の歌詞や桑田佳祐さんのライブ中の振る舞いに対し、ネット上で「反日」「在日」という書き込みが目立っていました。さらにサザンの所属事務所「アミューズ」前では横断幕や国旗を持った人々が「桑田佳祐の不敬発言を糾すぞ」という抗議行動まで行なわれていました。

これまで「思想信条の自由と問題発言」「思想信条の自由と問題発言 Part2」などを通し、言論や表現の自由について自分なりの問題意識を綴ってきています。最近の出来事を受け、その延長線上に連なる内容を取り上げたい考えもありました。ただ当ブログの位置付けや過去の経緯を踏まえ、明日日曜に結果が分かる民主党の代表選について新規記事のタイトルとして選んでいました。あわせて昨年末の記事「進むべき道を選ぶ師走、雑談放談 Part2」のコメント欄でsさんから寄せられた疑問に答える機会にも繋げていくつもりです。

まず当ブログは自治労に所属する市職員労働組合の活動や方針に関する記述を数多く残しています。労働組合の最も重要な役割は組合員の雇用や生活を守ることであり、労働条件の問題は使用者側と労使交渉を通して決めていきます。その一方で、労使交渉だけでは解決できない社会的・政治的な課題に対し、多くの組合が集まって影響力を高めながら組合員の利益に繋がるように努めています。

その一環として、労働組合が一定の政治方針を持ち、具体的な政党や候補者を支援する取り組みがあります。決して特定の政党や政治家のために労働組合が活動しているのではなく、組合員の皆さんの利益に繋がることを目的としながら様々な政治的な活動にも関わっています。ただ政治方針に対しては、組合員の皆さんの中に幅広い見方があることも受けとめています。特定の政党や候補者を支持することで組合への結集力の低下を招きかねないことも懸念しています。

このような現状を危惧しているため、政治的な活動の必要性や意義に関しては、よりいっそう丁寧に情報発信しながら理解を求めていくように心がけています。そのため、このブログでも政治の話題が多くなり、これまで衆議院選挙や民主党代表選などの機会に関連した記事を投稿してきました。昨年末には「衆議院解散、民主党に願うこと」「衆議院解散、民主党に願うこと Part2」があり、遡れば「民主党に期待したいこと」「海江田代表に願うこと」「民主党との距離感、2013年春」「どじょうの政治に期待」「新政権への期待と要望」「鳩山新代表に願うこと」「民主党を応援する理由」などがあります。

それぞれの記事内容に対し、「なるほど」と思われた方、逆に反発や批判を強められた方がいるはずです。「政治的な話は避けるべき」という忠告を受けたこともありましたが、前述したような考え方に重きを置き、意識的に政治の話題も多く取り上げてきています。前置きが長くなりましたが、sさんから「個人的には、きちんと政治的に中立な立場の労組が再構成されて政治的な権力争いではなく、きちんと労働問題に向き合う労組の組織率があがって欲しいものだと思います」というコメントが寄せられていました。

この指摘に対し、私から「労働組合に限らず構成員のために一定の政治的な方針を持つことは社会的に普遍化されている話です」とお答えしました。するとsさんから「誰が、普遍化されていると評価しているのかが疑問です。 仮に過去に普遍化されていたものだとしても、今でもそうなのでしょうか?構成員になっても、距離を置いて関わらない者が増えているのは何故でしょうか? つまり、現代では普遍化しているとは言えないのではないでしょうか?」という問いかけが続いていました。

その問いかけに対しては、私から「労働組合に限らず、医師や歯科医師などの団体なども一定の政治方針を持っています。そのような事実関係を指したもので評価の問題として表現していません」と取り急ぎお答えしていました。その際、 「構成員になっても、距離を置いて関わらない者が増えている」という現状認識はその通りなのかも知れませんが、別な論点の問題意識として受けとめていることも一言添えていました。この時のやり取りが気になっていたため、前述したような組合の政治方針と組合員との関係性について補足させていただきました。

普遍化した話の補足として、アメリカの民主党は一般的に中道からリベラルの立場の議員が所属し、労働組合が応援している政党です。イギリスの労働党は文字通り労働組合が支持基盤となっています。このような事例からも、政党が労働組合との関係性を決して負の側面だととらえず、逆に強みとし、そこを起点にした理念や政策が構築されていくことを願っています。連合と支持協力関係がある民主党やその代表に対し、このブログの記事を通して以上のような思いを数多く綴ってきています。

記事タイトルを「民主党の代表選」としましたが、ここまで代表選に関わる具体的な内容に触れないまま長い記事になりつつあります。もう少し書き進めさせていただきますが、労働組合が民主党を支援することで「距離を置いて関わらない者が増えている」という構図を否定できません。民主党が働く者の声を代弁できる政党として、組合員の多数が心から信頼できる政党になって欲しいものと考えています。今回の代表選がその一つの転機になり得ることを期待しています。

今回の民主党代表選は、長妻昭元厚労相、細野豪志元幹事長、岡田克也代表代行の三つ巴の戦いとなっています。長妻候補が党内リベラル派のメンバーに推された意外さもありましたが、それぞれの候補者の決意や抱負を耳にすることで安堵感を強めています。具体的な選択肢に対しての温度差は伝わってきますが、経済政策のトリクルダウンの問題点や戦後70年歩んできた日本の平和主義の大切さなどは各候補者の共通した認識です。新代表にどなたが選出されても、安倍政権との明確な対抗軸を打ち出していく姿勢が確認できています。

同じ党内の候補者同士の選挙戦ですので当たり前なことかも知れません。それでも極端に考え方が異なっていた場合、代表選後の結束を心配していました。そもそも基本的な理念が異なっているようであれば「民主党の中はバラバラな寄り合い所帯だ」という批判を高め、同じ政党で行動を共にすることの正当性を疑われてしまったはずです。代表選の序盤で、維新の党との合併に絡む内輪の話が暴露され、物議を醸していました。ネガティブな批判合戦は歓迎できる話ではありませんが、維新の党との合併に積極的だった細野候補も「(橋下徹最高顧問率いる)関西(の議員)を切り離す」必要性を認めていたことを知る機会に繋がっていました。

進むべき道を選ぶ師走、雑談放談 Part2」に記したとおり私自身も橋下市長のカラーが前面に出た維新の党との合併には懐疑的です。そのため、3人の候補が揃って労働組合を敵視している維新の党とは安易に合併しないことが分かり、心強く感じています。日頃から連合や自治労本部が民主党との連携を深め、信頼関係を築いている証しだと受けとめています。この点も含め、前述したとおり3人の候補どなたが代表になられても、これまでと同様の組合方針を維持できるものと考えているところです。最後に、次のような発言を耳にすると、維新の党の江田代表も「切り離し」議論に応じる気持ちを強めていくのかも知れません。

維新の党最高顧問の橋下徹大阪市長は15日の記者会見で、安倍晋三首相が「大阪都構想」について「意義がある」と一定の理解を示したことに対し、「大変ありがたい。うれしくてしようがない」と述べた。首相が維新に協力を期待した憲法改正についても「憲法改正は絶対に必要だ。安倍首相にしかできない。できることは何でもしたい」と語り、全面的に協力する考えを示した。【産経ニュース2015年1月15日

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コメント

細野さんの方が良かったんちゃう?

投稿: K | 2015年1月18日 (日) 20時23分

Kさん、コメントありがとうございました。

支持率のことを考えるとご指摘のとおりなのかも知れませんが、私自身は今回の記事本文に綴ったとおりの思いのもと岡田新代表の頑張りを期待させていただきます。

投稿: OTSU | 2015年1月18日 (日) 21時36分

自治労系も岡田さんを相変わらず推すのですね。
ずいぶんと考え方が保守方向へシフトしてるように見えます。
時代の趨勢には逆らえないのかな。労組も。
中野の元新聞記者さんは推せないのかな。T市職労においては。

投稿: M | 2015年1月19日 (月) 21時17分

Mさん、コメントありがとうございました。

自治労組織内の参院議員のお二人は長妻さんを応援していたようです。ちなみに私どもの組合も含め、この代表選で組織的な対応をはかった話は耳にしていません。あくまでも今回の記事内容は私自身の感想ですので、そのような点についてご理解いただければ幸いです。

投稿: OTSU | 2015年1月24日 (土) 21時42分

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