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2014年12月20日 (土)

進むべき道を選ぶ師走、雑談放談 Part2

前回の記事「進むべき道を選ぶ師走、雑談放談」の冒頭に「最近、寄せられるコメントの数が減っています」と記しましたが、数年前まで常連だったあっしまった!さんをはじめ、複数の方から貴重なコメントをいただきました。あっしまった!さんからはいつも豊富な知識や情報を提供くださっていたため、久しぶりに投稿いただけたことを嬉しく思っています。他にも当ブログのコメント欄の常連だった皆さんが大勢いらっしゃいます。引き続き訪問いただけているようでしたら、ぜひ、お時間等が許される際、気軽に投稿願えれば幸いなことだと考えています。

さて、今回も前回の記事タイトルに「Part2」を付け、今、思うことを気ままに書き進めさせていただきます。先週日曜は衆議院選挙の投開票日でした。小選挙区の投票率は戦後最低だった前回の59.32%を大きく下回る52.66%となり、ワースト記録を更新してしまいました。熱狂的な支持を受けた5年前の政権交代後、国民からの信頼を失墜させ、自民党に対抗する受け皿に戻れない民主党の責任が大きいことを痛感しています。さらに「第三局」政党も前回のような勢いがなく、共産党以外の野党の準備不足から「与党対共産」の一騎打ちの選挙区も多く、低投票率に繋がったものと見られています。

選挙結果は事前の予想通りに与党が圧勝しました。ただ300議席を超えることも有力視されていた自民党の当選者数は290にとどまり、公示前の議席数に届きませんでした。維新の党が1議席減に踏みとどまって41、自民党よりも右寄りの立場を標榜した次世代の党は19から2議席まで大きく後退しました。公明党は小選挙区比例代表並立制で行なわれた選挙では最多となる4増の35議席を獲得し、共産党も公示前の8から21議席まで大きく伸ばしました。社民党は公示前の2議席を守り、生活の党は公示前の5から2議席に後退しました。

民主党は公示前の62から73議席へと増やしています。しかし、海江田代表が比例復活もできずに議席を失い、東京の小選挙区において長妻元厚労大臣以外は勝ち抜けず、比例東京ブロックでの獲得議席数は3にとどまっていました。私どもの組合も推薦している長島昭久さんは小選挙区での勝利を期待できる数少ない民主党の候補者でしたが、残念ながら今回は僅差で敗れて比例での議席獲得に至っていました。NHKが小選挙区での当確を誤報するという失態もあり、仮に長島さんが競り勝っていれば海江田代表は比例復活できた痛恨さや後味の悪さを残していました。

このような選挙結果を受け、民主党は勝利したとは到底言えず、関係者の皆さんは沈痛な思いを抱えていたはずです。それでも民主党に対する冷めた見方の多さが劇的に解消されていた訳ではなく、一部のメディアで三桁に届く予想もあったため、期待を膨らませ過ぎていたことを省みています。その意味では公示前の議席を減らさず、何とか11議席増やすことができ、次回以降、引き続き挑戦者となれる立場を維持したことも確かです。小選挙区の制度上、自民党は48%の得票率で75%の議席を占有しています。このような仕組みは矛盾かも知れませんが、どこの党も同様な恩恵を受けることができるルールの問題に繋がっています。

今後、風向きが変われば振り子現象のもと一気に政権交代を起こせる可能性を秘めた選挙制度だと言えます。最近の記事の中で度々綴ってきましたが、政治の場面で的確なチェック機能を働かせるため、やはり民主党の役割に期待しています。そのような思いを託した記事「衆議院解散、民主党に願うこと」を「Part2」まで投稿していました。そのためにも民主党には政権を担った時の経験や数多くの反省点をバネにし、今回の選挙で望んだほど勝てなかったかも知れませんが、決して負けなかったことを糧に頑張って欲しいものと願っています。

総選挙翌日の月曜夜、連合地区協の定期総会が開かれました。閉会の挨拶を行なう役割があり、上記のような趣旨の話を添えていました。さらに野党の再編が進む可能性にも触れ、その際、組合員の皆さんに対して自信を持って推薦できる政党であって欲しいという点を付け加えていました。民主党と維新の党との合流が取り沙汰されていくはずですが、橋下市長が大きな影響力を持っている限り、慎重に判断すべきものと考えています。橋下市長自身、労働組合を排除した民主党の一部との合流を望んでいるようですが、この問題に関しては次のようにとらえています。

そもそも異なる政党同士が合流する場合、基本的な政策の方向性や理念が一致できない限り、野合という批判を受け、合併してからもギクシャクした組織運営を強いられていくはずです。また、しがらみがないことを強調し、権力を握れば何でも一気に改革できるという発想の危うさを指摘しなければなりません。これまで「約束を踏まえた先に広がる可能性」「現実の場面での選択肢として」という記事を投稿していましたが、維新の党の公約の数々は政権交代後に迷走した民主党と同じ轍を踏む気負いを感じています。

今の大阪市の混乱ぶりが象徴的な姿だと思っています。このような点について、どれだけ維新の党側が認識できるかどうかを注視しています。そして、橋下市長に関しても同様だと考えています。労働組合を敵視し、そのことで支持を得ようとしている姿勢も問題だと思っていますが、政治的な信条に繋がる話であり、敵視されている側から改めるべきと言えるものではありません。しかし、不当労働行為を連発し、次々と第三者機関で不当性が認定されている事実に対しては、もっと謙虚になって深く反省すべき点だと考えています。

今年6月、組合活動に関する職員アンケートを中労委(中央労働委員会)は労働組合法が禁じる支配介入にあたる不当労働行為と認定しました。認定を不服として提訴する議案が野党会派の反対多数で否決されたため、中労委の命令が確定していました。つい最近も、入れ墨調査を拒否して戒告処分となった職員の処分取り消しなどを求めた裁判の判決が大阪地裁であり、戒告処分などの取り消しと110万円の損害賠償を市に命じています。橋下市長は「最高裁の判断を仰ぎたい」と控訴する方針を示していますが、裁判等に関わる費用や職員の労力など余計な負担をかけ続けていることに橋下市長は真摯に向き合うべきではないでしょうか。

橋下市長には根強い人気があり、影響力の大きさを軽視できません。野党再編の中で橋下市長の動きが鍵になっていくことも充分予想できる話です。石原元都知事が政界引退を正式に表明した会見で橋下市長を「彼は天才。あんなに演説がうまい人はいない。若い時の田中角栄、若い時のヒトラーだね」と絶賛していました。話が横道にそれますが、「若い時のヒトラー」は問題発言であり、石原元都知事のヒトラーに対する嫌悪感の薄さを表しているように感じ取っています。

話を戻し、野党再編の重要なキーパーソンの一人である橋下市長には、ぜひ、この機会に労働組合との距離感を冷静な視点で見つめ直して欲しいものと願っています。橋下市長は「今後も労働組合の異常な部分は正し、正当な権利は守る」と述べられていますが、当たり前な言い分です。指摘されるまでもなく、労働組合側が「異常な部分」は率先して改めていかなければなりません。したがって、異常ではないものも異常として決め付け、労働委員会や裁判所から勇み足の多さを指摘されている点について、橋下市長が重く受けとめ、適切な関係構築に努めていただくことを強く望んでいます。

維新の党の江田共同代表は火曜日の会見で「私も民主の公務員労組依存には批判的な立場」と前置きした上で「働く者の権利、立場を守ることは維新としてもしっかり対応する。私自身、労組との付き合い方を再編の流れの中で考えないといけない」と発言されています。このような発言や方針転換が批判を受けないようにするため、よりいっそう労働組合側の的確で丁寧な情報発信が求められていくものと考えています。民主党の代表選が年明けに行なわれますが、今回の記事に託したような問題意識を新たな代表にも考慮していただければ本当に幸いなことだと願っています。

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コメント

全体的にもっともな記事ですが

>橋下市長は「最高裁の判断を仰ぎたい」と控訴する方針を示していますが、裁判等に関わる費用や職員の労力など余計な負担をかけ続けていることに橋下市長は真摯に向き合うべきではないでしょうか。

ここの部分の真意をお尋ねしたい。
真摯に向き合って何をしろと管理人は言いたいのでしょうか?

控訴せずに判決を確定させろと言っているのであれば
裁判を受ける権利との整合性はどうなるのか、教えて頂きたい。


>労働組合側が「異常な部分」は率先して改めていかなければなりません

労働組合側が率先して改められた例を、私は知りません。
労組の組織率は、全部を平均すれば2割を切っていると思いますが、
それでも8割とか9割とかの組織率の企業や団体はある訳で、
そういうところに異常な部分を隠し持つ労組が未だにあるということではないですか。


個人的には、きちんと政治的に中立な立場の労組が再構成されて
政治的な権力争いではなく、きちんと労働問題に向き合う労組の
組織率があがって欲しいものだと思います。

投稿: s | 2014年12月21日 (日) 18時57分

sさん、前回記事へ投稿くださった対人手当さん、コメントありがとうございました。

sさんからのお尋ねですが、そもそも橋下市長の労働組合に対する対応一つ一つが疑問視され、労働委員会や裁判で争われる事態を頻発させています。三審制であることも含め、一個人としての「裁判を受ける権利」という指摘はその通りだろうと思います。しかし、行政の責任者であり、労働組合との関係では使用者である首長が本来支出しなくて済む公費や職員に負担を強いることに私自身は懐疑的な立場です。sさん自身は異なる立場なのかも知れませんが、このような問題を大阪市に在住している皆さんがどのように見ていらっしゃるのか興味があるところです。

労働組合側が「異常な部分」は率先して改めていかなければなりません、このことに関しては文字通り当たり前な話だと考えています。逆に異常ではないものも異常として決め付けていくほうが異常であるように感じています。なお、思い込みで他者を貶めるような言葉は極力慎んでくださるようお願いします。

「政治的に中立な立場の労組」という見方についてですが、労働組合に限らず構成員のために一定の政治的な方針を持つことは社会的に普遍化されている話です。このような点について、これまでの記事本文を通して数多く取り上げてきています。これからも機会を見て掘り下げていくつもりですので、この場では端的なレスにとどまることをご理解ご容赦ください。

投稿: OTSU | 2014年12月21日 (日) 21時32分

少し順番を入れ替えてコメントしますが、

>一定の政治的な方針を持つことは社会的に普遍化されている話

誰が、普遍化されていると評価しているのかが疑問です。
仮に過去に普遍化されていたものだとしても、今でもそうなのでしょうか?

構成員になっても、距離を置いて関わらない者が増えているのは何故でしょうか?
つまり、現代では普遍化しているとは言えないのではないでしょうか?


>異常ではないものも異常として決め付けていくほうが異常である

それを評価するのは利害関係から離れた第三者の方が妥当だと思います。
そして、今回の選挙でも、労組支援について評価する多くの意見は批判的なものでした。


>首長が本来支出しなくて済む公費や職員に負担を強いることに私自身は懐疑的な立場

それを評価するのも利害関係から離れた第三者の方が妥当だと思います。
評価を述べることは極めて政治的ですので、特に注意して発言するべきではないですか。


橋下市長に関しては、労組という毒を
毒をもって毒を制すための市民の苦肉の選択と写っています。
つまり労組は、第三者からは毒の部分が強く見えているということでしょう。

投稿: s | 2014年12月22日 (月) 00時26分

sさん、前回記事へ投稿くださった対人手当さん、コメントありがとうございました。

労働組合に限らず、医師や歯科医師などの団体なども一定の政治方針を持っています。そのような事実関係を指したもので評価の問題として表現していません。「構成員になっても、距離を置いて関わらない者が増えている」という現状認識はその通りなのかも知れませんが、別な論点の問題意識として受けとめています。

第三者機関である裁判所や労働委員会、さらに予算面では市議会からも橋下市長の行為は評価され続けているようですが…。その上で今回の記事本文に繋げているところです。なお、「労組という毒」や「第三者からは毒の部分が強く見えている」というレッテルを貼られたような言葉ですが、だからこそ労働組合側の的確で丁寧な情報発信が求められていくものと考えています。

投稿: OTSU | 2014年12月27日 (土) 21時54分

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