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2014年11月29日 (土)

衆議院解散、民主党に願うこと Part2

記事タイトルに悩む時が多いのですが、今回は迷いませんでした。前回記事「衆議院解散、民主党に願うこと」の続きにあたるため、安直に「Part2」を付けたタイトルに決めて書き始めています。解散すると事実上の選挙戦に突入したようなムードですが、あくまでも実際の選挙期間は公示後となります。インターネット選挙が解禁されているとは言え、やはり選挙期間中かどうかでの線引きは明確に意識していかなければなりません。

その上で、今回の記事は「Part2」とし、前回記事の中で言い尽くせなかった点について綴らせていただきます。このブログは毎週1回、土曜か日曜に記事本文を更新しています。その時々に思っていたことを書きしるしてきていますが、過去の記事を読み返してみると自分自身にとっても感慨深いものがあります。民主党政権が誕生した直後に投稿した記事は「新政権への期待と要望」でした。その記事ではマニフェストを金科玉条としがちな選挙のあり方に疑問を持ちながらも、次のような記述を残していました。

仮にマニフェストを軽視した場合、国民との約束を破ることとなり、一気に民主党への批判が強まっていくはずです。したがって、まずは政権公約に掲げた政策の実現に向け、全力を尽くしていくのが当たり前な話だと受けとめています。しかし、著しい歪みや将来への大きな禍根が見込まれた時は、勇気ある撤退や大胆な軌道修正も選択肢に加えて欲しいものと望んでいます。

民主党が期待されているのは、総論としての国民生活の向上であり、明るい未来を切り開くことだと思っています。党としての面子や体裁にこだわり、各論の実現を優先しすぎた結果、逆に国民を不幸せにするような事態は本末転倒なことです。公約を修正する際など、真正面から誠意を尽くして説明責任を果たしていく限り、国民からの信頼も簡単に失墜しないのではないでしょうか。

残念ながら、そのような期待や要望はかなえられることがなく、民主党に対する国民からの信頼は大きく失墜していきました。あれから5年が過ぎ、どん底からはい上がれるのか、さらに底があるのか、民主党にとって正念場となる衆議院選挙を迎えています。これまでの構図と異なり、民主党候補者の数から考えても政権選択というキーワードはあり得ない選挙戦です。そのため、民主党が次の次の総選挙戦の際、二大政党の一翼としての挑戦権を再び得られるのかどうかが問われていくものと思っています。

民主党は「もう終わった政党」だと見限られている方々にとって「何を今さら」というような話なのかも知れません。それでも物事の是非に対して絶対的な「正解」は簡単に見出せないものと考えているため、政治の場でもチェック機能を効果的に働かせる仕組みが重要であり、その意味で自民党との明確な対抗軸を打ち出した民主党の頑張りに期待しています。さらに民主党には政権を担った時の経験や教訓、数え切れない反省点をバネにして欲しいものと願っています。

当たり前なことですが、政治や行政の場面で改めるべき点は改めていかなければなりません。しかしながら様々な約束を無視し、一方的な判断で物事を押し進めていった場合、根深い不信や軋轢が生じかねません。一時的なスピード感はあるのかも知れませんが、対立や混乱が続いた場合、結果として大きな遠回りになってしまいます。普天間基地移設や八ッ場ダム建設中止の問題などで民主党政権の迷走が目立ち始めた頃、このブログの記事「約束を踏まえた先に広がる可能性」の中で記した問題意識でした。

このような手順や目配りに関して民主党政権は稚拙であり、未熟な点が多かったように感じていました。それに対し、さすがに長年政権を担ってきた自民党には老練さがあり、官僚との距離感をはじめ、民主党政権に比べれば格段に安定感が勝っていると言わざるを得ません。ただ5年前、民主党政権には多くの国民から自民党政治との決別や大胆な改革を求められていたため、気負いや急ぎすぎな点があったとしても状況的には仕方なかったのかも知れません。

いずれにしても政権交代した際に「政権が代わったのだから昨日までの約束や決まりは白紙です」というような極端な発想は極力慎むべきものと考えています。当然、民主党に限らず、どのような政党が政権を握ったとしても、ぜひ、心がけて欲しいものと願っています。言うまでもありませんが、国民との約束である政権公約の実現に向けて、各党が全力を尽くしていくことは当たり前です。その進め方の問題として、積み上げてきた約束やルールを踏まえながら一歩一歩改めていくという姿勢が欠かせないものと認識しています。

そして、一歩一歩進む先にどのようなゴールを目指すのかどうかが最も大事な論点だと考えています。民主党政権の末期には「現実の場面での選択肢として」という記事を投稿していました。その中で、理想的な姿をどのように描くのか、その目指すべきゴールに向かってどのような判断を地道に重ねていくのか、一つ一つ、現実の場面での選択肢として熟考していくことが必要であると記していました。この目指すべき先が総選挙戦での争点となるべきであり、自民党と民主党との違いが明確になることを望んでいます。

念のため、国民の半数前後の支持を得ている安倍政権です。したがって、安倍政権の進めている政策を全否定や「結論ありき」のレッテルをはった批判は控えるべきものと思っています。その上で、安倍政権が目指すべき方向性の是非やブレーキをかけるべき点の有無について、国民一人ひとりが評価や判断していく関係性だろうと見ています。先日、民主党は衆院選マニフェスト(民主党の重点政策)を発表していますが、自民党との主な対抗軸は次の3点だと理解しています。

一つ目は、前回記事「衆議院解散、民主党に願うこと」の中で記したとおりアベノミクスの方向性の是非です。二つ目は、将来的には原発ゼロを目指すのかどうかです。三つ目は、憲法の平和主義に対する距離感だと思っています。この三つ目に関しては少し補足しなければなりません。特に安全保障の問題では民主党の中がまとまっていないと見られています。実際、集団的自衛権の問題などでは激しい党内議論が交わされていたことも耳にしています。そのような議論を踏まえ、今回のマニフェスト発表時に海江田代表からは次のような見解が示されています。

安倍政権の下、「知る権利」「報道の自由」を軽視した特定秘密保護法の強行採決や、与党の密室談合だけで決めた集団的自衛権の閣議決定など立憲主義・平和主義が脅かされる事態も進んでいる。安倍総理は今回の選挙を経れば、あの集団的自衛権の閣議決定も信認されたことになるとしている。このままいけば、来年法整備が行われ、その先にあるのは専守防衛の形骸化だ。民主党は、集団的自衛権行使を容認した立憲主義にもとる閣議決定の撤回を求める。同時に、領域警備法を制定し、グレーゾーン事態を含め、日本の主権をしっかり守る。日米同盟を深化させ、中韓両国との信頼醸成を図る。

上記の説明の中では「専守防衛」という言葉に注目しています。実は先月初めの記事「年功賃金の問題」の冒頭で、このブログによく登場いただいている前衆院議員の長島昭久さんと意見交換した内容を機会を見て報告したい旨を記していました。その時は、まさか衆議院が年内に解散されるとはまったく予想していませんでした。今回、意見交換の内容に触れてみるつもりですが、たいへん長い記事になっていますので詳しい説明は省き、自衛権の問題に絞りながら要点のみ報告させていただきます。

長島さんから「自衛権の限界を基本法で明記すべき」という考え方が示された際、私から「日本国憲法の特別さを前提にするのであれば、民主党内での意見はまとまっていくのではないでしょうか」と尋ねていました。さらに「自民党の改憲草案では国防軍を目指しているため、自民党と民主党との違いも明らかであり、ぜひ、憲法の平和主義を大切にしていくような党内議論を進めていただければ幸いです」という要望まで添えていました。長島さんからは肯定的な返答をいただき、先に紹介した海江田代表の見解も照らし合わせながら、私にとって有意義な機会だったことを思い返しています。

長い記事になっていますが、最後に目を疑った報道を紹介させていただきます。なるべくネガティブな批判内容は避けるように心がけていますが、取り上げたメディアも少なく、多面的な情報を提供する一つの場として毎日新聞の報道内容を掲げることにしました。ちなみに他に取り上げているのは日刊ゲンダイ「選挙報道に露骨な注文」ぐらいかも知れませんが、日刊ゲンダイは「自民党の“圧力効果”か 荻上チキ氏が“朝生”出演拒否される」という後追い記事まで出されていました。

自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を渡していたことが27日分かった。街頭インタビューの集め方など、番組の構成について細かに注意を求める内容は異例。編集権への介入に当たると懸念の声もあがっている。要望書は、解散前日の20日付。萩生田光一・自民党筆頭副幹事長、福井照・報道局長の両衆院議員の連名。それによると、出演者の発言回数や時間▽ゲスト出演者の選定▽テーマ選び▽街頭インタビューや資料映像の使い方--の4項目について「公平中立、公正」を要望する内容になっている。

街頭インタビューをめ ぐっては今月18日、TBSの報道番組に出演した安倍晋三首相が、アベノミクスへの市民の厳しい意見が相次いだ映像が流れた後、「これ全然、声が反映されてません。おかしいじゃありませんか」と不快感を示していた。また要望書では、「過去にはあるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、大きな社会問題になった事例も現実にあった」とも記し、1993年の総選挙報道が国会の証人喚問に発展したテレビ朝日の「椿問題」とみられる事例をあげ、各局の報道姿勢をけん制している。

この日の定例記者会見で、テレビ東京の高橋雄一社長は「これをもらったから改めて何かに気をつけろというものとは受け止めていない」と述べた。NHK以外の各民放は文書が届いたことを認め、公平中立な報道を心がけるとしている。こうした要望は、選挙のたびに各政党が行っているが、公示前は珍しい。ある民放幹部は「ここまで細かい指示を受けた記憶はない」と話し、また別の民放幹部は「朝日新聞バッシングなどメディア批判が高まる中、萎縮効果はある」と語った。毎日新聞の取材に対し自民党は「報道の自由を尊重するという点は何ら変わりない。当然ながら公正な報道を行っていただけるものと理解している」と文書でコメントした。

◇服部孝章・立教大教授(メディア法)の話 放送法の文言をひいて「公平中立」を求めているが、実態はテレビ局への恫愒(どうかつ)だ。しかも、以前のテレビ局の報道を「偏向報道」と批判してい る。アベノミクスに批判的な識者を出演させないよう予防線を張っているともとれ、焦りも感じる。政権担当者は批判されるのが当たり前なのに、自分たちの都合のよい報道を求めるのは危険な行為だ。【毎日新聞2014年11月27日

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コメント

>民主党は「もう終わった政党」だと見限られている方々にとって「何を今さら」というような話なのかも知れません。
ちょっと前の世論調査で民主党が支持率2位に躍り出ていたのを見て愕然としたKEIです。こんなんじゃ次の選挙で息の根止めらんないよー!

>民主党に対する国民からの信頼は大きく失墜していきました。あれから5年が過ぎ、どん底からはい上がれるのか、さらに底があるのか、民主党にとって正念場となる衆議院選挙を迎えています。
そういえば今日NHKではやぶさ2を取り上げていて、「はやぶさから4年」とのことでした。ということは「2位じゃダメなんですか?」からも4年ということなんですねー。あの事業仕分けとやらの為に災害対策費が削られ今現在にも爪痕を残しているのは忘れてはいけないと思います。

>放送法の文言をひいて「公平中立」を求めているが、実態はテレビ局への恫愒(どうかつ)だ。
日本のマスコミがどいつもこいつも「公平」「中立」のカケラもねえ連中なのが一番の問題だと思います。「椿事件」とかさらっと流していい問題じゃないし。

P.S.
ネット上だと「どうして解散するんですか?」サイト騒動がアツいみたいですね。小学生に成りすましてたのが速攻でばれたせいでテレビ報道は消極的みたいですけど、ばれてなかったら自民党攻撃の好材料としてテレビをにぎわせていたんでしょうかね?

投稿: KEI | 2014年11月29日 (土) 23時22分

KEIさん、コメントありがとうございました。

そのようなご意見の方々が多いことを改めて実感する機会となっています。直近の政党支持率の調査でも自民党と民主党ではトリプルスコア以上の差があるようですが、この差のまま投票日を迎えるのか、実際の投票行動からは別な結果を示すのか、12月14日に国民からの審判が下されることになります。

投稿: OTSU | 2014年11月30日 (日) 21時27分

いやー大阪府知事殿と大阪市長様には是非職務を放り投げて、御自身の理想の為に闘って欲しかったんやけどねー。これまで応援してた人にはもう一押しして欲しかったなー。今まで「民意」やいうて無茶してはったんやし、どないしたんやろねー。
さてオレはやっぱり2大政党の夢が捨てきれへんのやけど、オレの周囲で民主党は存在感全然あらへんな。大阪市内は候補者がおらんとか話題になってたし。
「少なくとも県外」言うたんがあかんかったんちゃうかな。子ども手当ても満額貰えへんかった。色々まとめて「信用できん」と思われてるで。
民主党は誰のためのどんな政党なんか。その辺はっきりして欲しいわ。今はようわからん。

投稿: K | 2014年12月 2日 (火) 18時18分

Kさん
維新の党はそれなりに市政、府政では実績を積まれているのではないのでしょうか?
民主党は政権とった後の「政権とったらこっちのもん」的な態度がダメでしたね。

うちの地元は中選挙区なら間違いなく自民党からの出馬だろうという議員が2名も
民主党にいらっしゃるので、保守王国の割に民主党が割と票を取っています。

今回もおそらく前回選挙からあまり顔ぶれも変わらないようなので、前回惜敗率で
生き残った民主党の先生が、今回も惜敗率で生き残れるのか、くらいしか興味がわかないです。

選挙結果予想は自民党は前回より票は減らすものの、安定与党は変わらない、というのは固すぎでしょうかね。

投稿: とーる2号 | 2014年12月 3日 (水) 23時37分

Kさん、とーる2号さん、コメントありがとうございました。

新聞各社の事前調査で、自民党の獲得議席が300を超える勢いとのことです。強い風が吹いている訳でもなく、そのような結果になりそうなことの悩ましさを感じています。特に最近、アンダードッグ効果よりもバンドワゴン効果のほうが顕著であり、大きな変動はないのかも知れません。なお、新規記事は労働契約法について取り上げる予定ですので、またご訪問いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2014年12月 6日 (土) 21時16分

>特に最近、アンダードッグ効果よりもバンドワゴン効果のほうが顕著であり、大きな変動はないのかも知れません。
あの報道はアンダードッグ効果を狙っているとしか思えないですけどね。マスコミの姿勢は「椿事件」の時から何も変わっちゃいない、と思わざるを得ません。
そんなマスコミに鉄槌を。KEIは「出口調査は民主党に清き一票を」キャンペーンを応援しています。

投稿: KEI | 2014年12月 7日 (日) 17時34分

KEIさん、コメントありがとうございました。

新規記事のタイトルは「改正労働契約法の活用」となりますが、時節柄、この記事内容に繋がる記述も多々あります。ぜひ、ご覧いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2014年12月 7日 (日) 18時34分

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