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2014年11月16日 (日)

解散風と定期大会

水曜の夜、私どもの組合の定期大会が開かれました。昨年の記事「定期大会の話、インデックスⅡ」の中で詳しく綴っていますが、組合員全員の出席を呼びかけるスタイルであるため、いつも出席者の数が成否の目安となっています。今回、359名の組合員が会場まで足を運んでいただき、昨年より44名増えていました。大会当日の組合員数は1242名で昨年より53名減っていますので、ここ数年の間でも出席率は高いほうに位置付けられる数字でした。

冒頭の執行委員長挨拶は、いつも簡潔に行なうように心がけています。人前で挨拶する機会が多いため、檀上で緊張するようなことはありません。原稿がなくても大丈夫ですが、いろいろ話を広げてしまい、割り当てられた時間をオーバーしてしまう心配があるため、毎年、定期大会だけは必ず挨拶する内容の原稿を用意しています。昨年は途中で言葉をスムースに繋げられない時があり、自分自身「今一つだった」と感じていました。

すると大会終了後、ある執行委員の方から「今年はキレがありませんでしたね」と声をかけられていました。今回の大会が終わり、同じ方から「今年はキレがありましたね」という感想が寄せられ、さらに「この話は今年もブログで取り上げてもらえるんですかね」と笑顔で問いかけられていました。このような期待(?)に応え、「解散風と定期大会」というタイトルを付けた新規記事に取りかかり始めていました。ここ数年、挨拶原稿のほぼ全文をブログで紹介していますが、今回の内容は下記のとおりでした。

今年、リニューアル・オープンした市民会館に戻ってきました。1階だけでも千人ほどの観客席ですので、少しガランとした雰囲気ですが、毎年、役員関係者も含め300人を超える出席者を集めています。他の組合では代議員制の定期大会が増えているようですが、まだまだ組合員4人に1人集まる場であり、組合員全員に出席を呼びかける方式は貴重だろうと考えています。そのような貴重な機会ですので、組合の多岐にわたる課題についてじっくりお話したいところですが、時間も限られていますので簡潔に何点かに絞ってお話させていただきます。

まず国政の話で言えば、突然、衆議院解散の風が吹き始めています。内閣支持率は常に高く、最近でも50%前後で推移していますので、組合員の皆さんの中にも安倍政権を支持されている方も多いのだろうと思っています。55年体制の頃のように労働組合員だから専ら「この政党を支持」という構図から程遠くなっていることをしっかり押さえなければなりません。政治の問題に限らず、組合の方針や活動について「結論ありき」で組合員の皆さんにお示しするのではなく、「なぜ、取り組むのか」「なぜ、反対しているのか」という丁寧な発信や相互の意見交流がますます大事になっているものと考えています。

その意味で改めて説明させていただきます。企業内の交渉だけでは到底解決できない社会的・政治的な問題に対し、多くの組合が集まって政府などに声を上げていくことも昔から重要な組合運動の領域となっています。そのため、私どもの組合も一定の政治的な活動に取り組んできていますが、特に選挙にかかわる方針は組合員の皆さんに押し付けるものではなく、よりいっそう必要性や意義についてご理解やご協力を求めるスタンスを重視してきています。

そのような点に留意しつつ解散総選挙に至った場合の問題意識も訴えさせていただきます。安倍首相が日本経済を立ち直らせようと努力していることはその通りだろうと思います。しかし、労働者保護ルールの見直しをはじめ、強いものをより強くし、社会的格差を広げていく懸念が常に付きまとっています。そもそも経営者側の視点に偏り、成長戦略のための規制緩和であり、「企業が世界で一番活動しやすい国」を作ることが目的化されてしまっています。

また、安倍首相も戦争を防ぐために集団的自衛権の問題に踏み出したのだろうと見ています。しかし、戦争に巻き込まれるリスクは格段に高まり、日本国憲法の平和主義から逸脱し、「普通に戦争ができる国」に繋がっていくという懸念は簡単に拭えるものではありません。個別の世論調査を行なえば、このような疑念は多くの国民が抱えているものです。原発の問題も同様です。大半の国民の思いは将来的には「原発ゼロ」を願っていますが、安倍首相や自民党はそのように決して考えていないようです。

このような個別の論点が問題視されていながらも、現時点では安倍首相の率いる自民党の勝利は極めて高いというように見込まれています。その結果、問題視されている個々の課題が一緒くたに信任されたという構図、民意の「ネジレ」に繋がりかねない事態を憂慮しています。実際、解散に至った場合、改めて方針提起等の手順となりますが、時節柄、このような問題意識について取り急ぎ示させていただきました。

続いて、私どもの組合の課題についてお話させていただきます。当面する闘争方針案でも触れますが、地域給の見直しによる給与水準引き下げの問題です。それこそ組合の本務として、組合員の皆さんの生活を守る立場から水準維持に向けて全力を尽くしていきます。人員確保・職場改善要求アンケートでは様々な声が寄せられています。今後、切実な要求をまとめ、年度末まで精力的に交渉を重ねていきます。経過を振り返れば、今年の7月末には保育園の問題で職場組合員が90名ほど集まり交渉を持ちました。後ほどご本人からご挨拶頂戴しますが、9月議会では組合推薦議員から現業職の新規採用試験の復活に向け、一般質問で追及していただきました。

このように組合の役割があり、組合員の皆さんから期待されている任務があります。私自身、組合役員を長く続ける中で「組合は大事」という思いを強めてきました。なくしてはいけないと思っている組合だからこそ、ここ数年、組合役員の担い手の問題で悩んでいます。幸いにも今回も、様々な事情を乗り越え、留任を決意された方、新たに手をあげてくださった方がいます。本当に心強く受けとめながら、さらに来年以降、飛躍するための態勢が繋げられたものと考えています。

ちなみに当たり前なことですが、定期大会での挨拶は私どもの組合員の皆さんに向けて発信しています。上記の内容は固有名詞を一部差し替えている箇所もありますが、用意した原稿の原文をそのまま掲げています。不特定多数の方々が閲覧できるインターネット上であることを意識していますが、コソコソ隠すような内容は皆無だと考えています。そもそもブログの中で取り上げてきた話を多用しているため、常連の方々にとって目新しい内容も少ないものと思っています。

その上で今回の記事タイトルにある「解散風」について、もう少し書き進めてみます。まず公務員組合が政治活動に関わること自体、批判的な見方をされる方々が多いことも理解しています。それでも以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」で説明しているような立場を基本とし、労働組合の本務といえる職場課題と主客逆転しない線引きを意識しながら取り組んでいます。さらに大会で挨拶したとおり取り組むのであれば「なぜ、取り組むのか」という情報発信を重視しているため、あえて当ブログでは政治的な話題を数多く取り上げてきています。

さて、水曜日の段階では、まだ「解散風」が吹き始めたばかりで不確定さも残っていました。しかし、日を追うごとに衆議院の解散、12月14日投票という日程までが確実視されるようになっています。「なぜ、この時期に解散するのか」という大義が取り沙汰されていますが、安倍首相からすれば「今、解散すれば負けないから」という思惑があるからだろうと見ています。その結果、私自身が懸念しているような「信任を得たい」と安倍首相は考えているものと推測しています。

不意をつかれた野党側は選挙協力の話し合いを急いでいます。みんなの党は民主党との合併も検討しているようであり、民主党と維新の党との選挙協力も、ある程度具体化しそうです。しかし、維新の党の共同代表である大阪市の橋下市長は労組排除を掲げ、民主党との選挙協力には反対の立場です。批判されている労働組合側の役員の一人としては、不当労働行為を繰り返しているような橋下市長の影響力が強い政党とは逆に距離を置くべきものと考えています。

とは言え、小選挙区が主体である選挙制度において、複数名の野党候補者が乱立した場合、自民党の候補者を利する構図に繋がってしまうことも間違いないようです。幸か不幸か民主党をはじめ、くまなく各選挙区に候補者を揃え切れていない現状です。そのため、あえて候補者を擁立せず、野党同士のつぶし合いだけは避けるという選挙協力が現実味を帯びてきています。いずれにしても民意の「ネジレ」を避けるためには、野党間の選挙協力の必要性も理解していかなければならないようです。

2年前の記事「衆議院解散、今、思うこと」の中で、大きな方向性が合致した上で基本的な信頼関係を築けるかどうかが大事な時代になっていることを記していました。さらに「働くことを軸として、安心できる社会を作っていく」「2030年代に原発をゼロにする」「強い言葉で外交・安保を語る風潮が強まってきたが、極論の先に解決策はない」という野田前首相の言葉を紹介し、広く支持を得られながら自民党との対抗軸になり得るものと期待していました。今後、このような対抗軸のもとに野党間で信頼関係を築けるのかどうかを鍵にして欲しいものと願っています。

ちなみに今年6月には「民主党に期待したいこと」という記事を投稿し、もともと備えている民主党としての基本的な立ち位置、リベラルな色合いを持ちながらもイデオロギーが前面に出ない政党としての存在感を高めることで、おのずから自民党との対抗軸が浮き彫りになっていくように見ていることも綴っていました。きっと今回のような話は次回以降の記事の中でも掘り下げていくことになるはずです。最後に「中間層の解体なのか、復活させるのかが問われる選挙になる」という野田前首相の講演内容を紹介したサイト(ここをクリック)へのリンクをはらせていただきますので、ぜひ、興味を持たれた方はご覧になってください。

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コメント

定期大会お疲れ様でした。今後も様々な問題や役員問題など課題があると思いますが、お体を大切に。
野田前総理の発言ですが、現在、問題になっている大量の中国漁船の小笠原諸島における違法操業を行っている状況。
取り締まる海上保安庁の人手、船が足りない。
海上保安官の新規採用すら抑制した方ですので何をかいわんやですね。採用抑制が続けば今はどうなっていたが恐ろしい話です。
「中間層の解体」ですか・・・民主党政権で国会が解散する最後の日にろくな審議もなしに退職手当の大幅削減。
また、労働基本権の回復を約束しながら不履行。その他いろいろありますが、これらの政策をおこなった方々の発言をこれからもしっかり
見ていきたいと考えています。

投稿: ためいきばかり | 2014年11月16日 (日) 16時26分

ためいきばかりさん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。

確かに民主党政権時代、労働基本権の問題一つとっても目に見える成果を出せず、復興財源としての給与削減などもありました。全体を通して政権運営の稚拙さや政策面の至らなさなどが目立ち、政権交代に対する期待が大きかった分だけ国民からの信頼を失墜させてしまったようです。

それでも現政権との対抗軸を明確化した上で、批判票の受け皿になり得る可能性を残しているものと思っています。肩入れしすぎた評価だと嘲笑されるのかも知れませんが、そうなって欲しいという願いを込めながらの現時点での心境です。

投稿: OTSU | 2014年11月16日 (日) 21時20分

社長と一緒にゴルフ!
白紙無記名多数なのに軒並み80パーセント越え!
知人だけ特別、さらに委員は異動も特別!
管理職にならなくても今の組織ならば委員長には天下り先もある。
誰も文句が言えないのを良いことに、働かない最強集団。

弱者のフリ最強ですなぁ。

投稿: パソコン | 2014年11月19日 (水) 22時30分

パソコンさん、コメントありがとうございました。

意図がつかめない内容も多くたいへん恐縮ですが、私どもの組合に関わる話であれば意図が斟酌できる範囲で補足させていただきます。私自身、市役所のゴルフクラブに所属しています。このことは組合の機関誌等の自己紹介の時にも触れている話です。部員の構成は非常に幅広く、一般的な意味合いで交友関係を広げられる貴重な場になっているものと思っています。

今回の信任投票の指摘であれば、組合役員の信任率は全員が80%を超えています。組合員数1242人、投票者数1154人、投票率92.91%です。信任する候補者に〇を付ける無記名の投票方式で、全〇(全役員を信任)が756、白紙(全員を不信任)64という内訳だったようです。その他、組合員個々の判断のもとに信任率が分かれ、おかげ様で最上位は私の92.4%でした。今後、白紙64の数を少しでも減らす努力を尽くしていかなければなりませんが、いつも全〇の多さにも勇気付けられています。

「知人だけ特別、さらに委員は異動も特別!」という指摘ですが、いろいろな相談を受けた際、その相談内容等にもよりますが、できる範囲で努力する場合があります。とは言え、人事異動の話だった場合、その判断と責任は当局側の範疇であり、あくまでも組合は声を届けるという役割にとどまります。そのような節度を踏まえた関係性の中ですが、「特別」という見られ方をされてしまっているようでしたら残念なことです。

「委員長には天下り先もある」という見方は完全な誤りです。私の前の委員長たちが労働金庫の役員を務めていることなどは事実ですが、それぞれ連合本部等の役回りの中で派遣されています。「働かない最強集団」や「弱者のフリ最強ですなぁ」は非常に不本意な言葉であり、誹謗中傷の類いとなりかねませんのでご注意ください。

なお、直接訴えられない場合もあり、この場を利用されることを拒むつもりは毛頭ありませんが、何が問題であり、何が足りないのか、正確な認識に基づいた前向きなコメントをお寄せいただければ幸いです。ぜひ、ご理解ご協力くださるようよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2014年11月22日 (土) 22時06分

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