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2014年11月29日 (土)

衆議院解散、民主党に願うこと Part2

記事タイトルに悩む時が多いのですが、今回は迷いませんでした。前回記事「衆議院解散、民主党に願うこと」の続きにあたるため、安直に「Part2」を付けたタイトルに決めて書き始めています。解散すると事実上の選挙戦に突入したようなムードですが、あくまでも実際の選挙期間は公示後となります。インターネット選挙が解禁されているとは言え、やはり選挙期間中かどうかでの線引きは明確に意識していかなければなりません。

その上で、今回の記事は「Part2」とし、前回記事の中で言い尽くせなかった点について綴らせていただきます。このブログは毎週1回、土曜か日曜に記事本文を更新しています。その時々に思っていたことを書きしるしてきていますが、過去の記事を読み返してみると自分自身にとっても感慨深いものがあります。民主党政権が誕生した直後に投稿した記事は「新政権への期待と要望」でした。その記事ではマニフェストを金科玉条としがちな選挙のあり方に疑問を持ちながらも、次のような記述を残していました。

仮にマニフェストを軽視した場合、国民との約束を破ることとなり、一気に民主党への批判が強まっていくはずです。したがって、まずは政権公約に掲げた政策の実現に向け、全力を尽くしていくのが当たり前な話だと受けとめています。しかし、著しい歪みや将来への大きな禍根が見込まれた時は、勇気ある撤退や大胆な軌道修正も選択肢に加えて欲しいものと望んでいます。

民主党が期待されているのは、総論としての国民生活の向上であり、明るい未来を切り開くことだと思っています。党としての面子や体裁にこだわり、各論の実現を優先しすぎた結果、逆に国民を不幸せにするような事態は本末転倒なことです。公約を修正する際など、真正面から誠意を尽くして説明責任を果たしていく限り、国民からの信頼も簡単に失墜しないのではないでしょうか。

残念ながら、そのような期待や要望はかなえられることがなく、民主党に対する国民からの信頼は大きく失墜していきました。あれから5年が過ぎ、どん底からはい上がれるのか、さらに底があるのか、民主党にとって正念場となる衆議院選挙を迎えています。これまでの構図と異なり、民主党候補者の数から考えても政権選択というキーワードはあり得ない選挙戦です。そのため、民主党が次の次の総選挙戦の際、二大政党の一翼としての挑戦権を再び得られるのかどうかが問われていくものと思っています。

民主党は「もう終わった政党」だと見限られている方々にとって「何を今さら」というような話なのかも知れません。それでも物事の是非に対して絶対的な「正解」は簡単に見出せないものと考えているため、政治の場でもチェック機能を効果的に働かせる仕組みが重要であり、その意味で自民党との明確な対抗軸を打ち出した民主党の頑張りに期待しています。さらに民主党には政権を担った時の経験や教訓、数え切れない反省点をバネにして欲しいものと願っています。

当たり前なことですが、政治や行政の場面で改めるべき点は改めていかなければなりません。しかしながら様々な約束を無視し、一方的な判断で物事を押し進めていった場合、根深い不信や軋轢が生じかねません。一時的なスピード感はあるのかも知れませんが、対立や混乱が続いた場合、結果として大きな遠回りになってしまいます。普天間基地移設や八ッ場ダム建設中止の問題などで民主党政権の迷走が目立ち始めた頃、このブログの記事「約束を踏まえた先に広がる可能性」の中で記した問題意識でした。

このような手順や目配りに関して民主党政権は稚拙であり、未熟な点が多かったように感じていました。それに対し、さすがに長年政権を担ってきた自民党には老練さがあり、官僚との距離感をはじめ、民主党政権に比べれば格段に安定感が勝っていると言わざるを得ません。ただ5年前、民主党政権には多くの国民から自民党政治との決別や大胆な改革を求められていたため、気負いや急ぎすぎな点があったとしても状況的には仕方なかったのかも知れません。

いずれにしても政権交代した際に「政権が代わったのだから昨日までの約束や決まりは白紙です」というような極端な発想は極力慎むべきものと考えています。当然、民主党に限らず、どのような政党が政権を握ったとしても、ぜひ、心がけて欲しいものと願っています。言うまでもありませんが、国民との約束である政権公約の実現に向けて、各党が全力を尽くしていくことは当たり前です。その進め方の問題として、積み上げてきた約束やルールを踏まえながら一歩一歩改めていくという姿勢が欠かせないものと認識しています。

そして、一歩一歩進む先にどのようなゴールを目指すのかどうかが最も大事な論点だと考えています。民主党政権の末期には「現実の場面での選択肢として」という記事を投稿していました。その中で、理想的な姿をどのように描くのか、その目指すべきゴールに向かってどのような判断を地道に重ねていくのか、一つ一つ、現実の場面での選択肢として熟考していくことが必要であると記していました。この目指すべき先が総選挙戦での争点となるべきであり、自民党と民主党との違いが明確になることを望んでいます。

念のため、国民の半数前後の支持を得ている安倍政権です。したがって、安倍政権の進めている政策を全否定や「結論ありき」のレッテルをはった批判は控えるべきものと思っています。その上で、安倍政権が目指すべき方向性の是非やブレーキをかけるべき点の有無について、国民一人ひとりが評価や判断していく関係性だろうと見ています。先日、民主党は衆院選マニフェスト(民主党の重点政策)を発表していますが、自民党との主な対抗軸は次の3点だと理解しています。

一つ目は、前回記事「衆議院解散、民主党に願うこと」の中で記したとおりアベノミクスの方向性の是非です。二つ目は、将来的には原発ゼロを目指すのかどうかです。三つ目は、憲法の平和主義に対する距離感だと思っています。この三つ目に関しては少し補足しなければなりません。特に安全保障の問題では民主党の中がまとまっていないと見られています。実際、集団的自衛権の問題などでは激しい党内議論が交わされていたことも耳にしています。そのような議論を踏まえ、今回のマニフェスト発表時に海江田代表からは次のような見解が示されています。

安倍政権の下、「知る権利」「報道の自由」を軽視した特定秘密保護法の強行採決や、与党の密室談合だけで決めた集団的自衛権の閣議決定など立憲主義・平和主義が脅かされる事態も進んでいる。安倍総理は今回の選挙を経れば、あの集団的自衛権の閣議決定も信認されたことになるとしている。このままいけば、来年法整備が行われ、その先にあるのは専守防衛の形骸化だ。民主党は、集団的自衛権行使を容認した立憲主義にもとる閣議決定の撤回を求める。同時に、領域警備法を制定し、グレーゾーン事態を含め、日本の主権をしっかり守る。日米同盟を深化させ、中韓両国との信頼醸成を図る。

上記の説明の中では「専守防衛」という言葉に注目しています。実は先月初めの記事「年功賃金の問題」の冒頭で、このブログによく登場いただいている前衆院議員の長島昭久さんと意見交換した内容を機会を見て報告したい旨を記していました。その時は、まさか衆議院が年内に解散されるとはまったく予想していませんでした。今回、意見交換の内容に触れてみるつもりですが、たいへん長い記事になっていますので詳しい説明は省き、自衛権の問題に絞りながら要点のみ報告させていただきます。

長島さんから「自衛権の限界を基本法で明記すべき」という考え方が示された際、私から「日本国憲法の特別さを前提にするのであれば、民主党内での意見はまとまっていくのではないでしょうか」と尋ねていました。さらに「自民党の改憲草案では国防軍を目指しているため、自民党と民主党との違いも明らかであり、ぜひ、憲法の平和主義を大切にしていくような党内議論を進めていただければ幸いです」という要望まで添えていました。長島さんからは肯定的な返答をいただき、先に紹介した海江田代表の見解も照らし合わせながら、私にとって有意義な機会だったことを思い返しています。

長い記事になっていますが、最後に目を疑った報道を紹介させていただきます。なるべくネガティブな批判内容は避けるように心がけていますが、取り上げたメディアも少なく、多面的な情報を提供する一つの場として毎日新聞の報道内容を掲げることにしました。ちなみに他に取り上げているのは日刊ゲンダイ「選挙報道に露骨な注文」ぐらいかも知れませんが、日刊ゲンダイは「自民党の“圧力効果”か 荻上チキ氏が“朝生”出演拒否される」という後追い記事まで出されていました。

自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を渡していたことが27日分かった。街頭インタビューの集め方など、番組の構成について細かに注意を求める内容は異例。編集権への介入に当たると懸念の声もあがっている。要望書は、解散前日の20日付。萩生田光一・自民党筆頭副幹事長、福井照・報道局長の両衆院議員の連名。それによると、出演者の発言回数や時間▽ゲスト出演者の選定▽テーマ選び▽街頭インタビューや資料映像の使い方--の4項目について「公平中立、公正」を要望する内容になっている。

街頭インタビューをめ ぐっては今月18日、TBSの報道番組に出演した安倍晋三首相が、アベノミクスへの市民の厳しい意見が相次いだ映像が流れた後、「これ全然、声が反映されてません。おかしいじゃありませんか」と不快感を示していた。また要望書では、「過去にはあるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、大きな社会問題になった事例も現実にあった」とも記し、1993年の総選挙報道が国会の証人喚問に発展したテレビ朝日の「椿問題」とみられる事例をあげ、各局の報道姿勢をけん制している。

この日の定例記者会見で、テレビ東京の高橋雄一社長は「これをもらったから改めて何かに気をつけろというものとは受け止めていない」と述べた。NHK以外の各民放は文書が届いたことを認め、公平中立な報道を心がけるとしている。こうした要望は、選挙のたびに各政党が行っているが、公示前は珍しい。ある民放幹部は「ここまで細かい指示を受けた記憶はない」と話し、また別の民放幹部は「朝日新聞バッシングなどメディア批判が高まる中、萎縮効果はある」と語った。毎日新聞の取材に対し自民党は「報道の自由を尊重するという点は何ら変わりない。当然ながら公正な報道を行っていただけるものと理解している」と文書でコメントした。

◇服部孝章・立教大教授(メディア法)の話 放送法の文言をひいて「公平中立」を求めているが、実態はテレビ局への恫愒(どうかつ)だ。しかも、以前のテレビ局の報道を「偏向報道」と批判してい る。アベノミクスに批判的な識者を出演させないよう予防線を張っているともとれ、焦りも感じる。政権担当者は批判されるのが当たり前なのに、自分たちの都合のよい報道を求めるのは危険な行為だ。【毎日新聞2014年11月27日

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2014年11月23日 (日)

衆議院解散、民主党に願うこと

今期の賃金・一時金闘争は木曜夜に決着しました。東京都人事委員会勧告を基本とし、月例給を公民較差0.13%、年間一時金を0.25月分引き上げる回答を得て、労使合意しました。月例給は15年ぶり、一時金は7年ぶりの引き上げとなります。最大の争点だった給与制度の総合的見直しは、これまでの労使交渉で積み上げてきた合意内容を踏まえて引き続き協議していくことを確認しました。

給与制度の総合的見直しは地域給の取扱いが非常に難しい問題ですが、年明けの3月議会での条例改定が間に合うように解決をめざしていかなければなりません。機会を見て、このブログでも地域給の問題を掘り下げていきたいものと考えています。時節柄、やはり今回の記事は衆議院の解散について焦点を当てることにしました。前回の記事は「解散風と定期大会」でしたが、金曜日の午後に衆議院が解散され、12月2日公示、14日投開票の日程が正式に決まりました。

伊吹議長が解散詔書を読み上げた本会議で、万歳三唱をやり直す珍事がありました。民主党の海江田代表は「自民党は浮足立っている」と気の緩みを指摘していましたが、 このフライングには次のような事情もあったようです。過去の解散では「衆議院を解散する」と読み上げた時点で万歳するケースが多く、「御名御璽…」と続け、最後まで読み上げたのは1953年の第4次吉田内閣での「バカヤロー解散」以来だという話です。

このような事情を知ると一概に自民党議員の勇み足だけを責められないような気がしています。それよりも小泉進次郎復興政務官の言動が注目に値しました。「私は万歳できなかった。万歳することで、余計、国民との心の距離を生むのではないか。国民には、なぜ解散なのか分からない」と述べ、解散に踏み切った安倍首相の判断に真っ向から疑問を投げかけていました。この一例に限りませんが、海江田代表にも小泉政務官のような「言葉の瞬発力」を高めて欲しいものと常々願っています。

一方で、海江田代表の基本的な立場や判断の大半は強く支持しているところです。つい最近、前原元外相や細野元幹事長らが国会内で海江田代表と会い、維新との新党結成を求めていました。それに対し、海江田代表は「民主党で戦う」とし、受け入れなかったという結論を耳にしています。確かに目前に控えた総選挙で議席数を一つでも伸ばすためには民主党の看板を下ろし、維新の党と合流したほうが得策なのかも知れません。

しかし、あまりにも民主党と維新の党では立ち位置や基本政策の面で隔たりが大きく、それこそ選挙目当ての野合という批判が免れないものと思っています。したがって、性急に新党を結成したとしても総選挙後の党運営の中で矛盾や対立が際立っていくはずであり、海江田代表が迷わずに拒否した判断は真っ当だったものと見ています。維新の党との合流を危惧する理由は、共同代表の橋下市長が労組排除を掲げているからという短絡的な理由だけではありません。

労働組合の役割や責任を軽視する姿勢そのものも基本的な立ち位置の問題に繋がっていきますが、主に次のような点で民主党と維新の党は相容れないものと考えています。最も大きな隔たりは経済政策に対するスタンスです。競争の善し悪しの評価は個々に判断しなければなりませんが、総論的な立ち位置として維新の党は競争を「是」とした新自由主義を重視した政党であることに間違いないはずです。

昨日発表された維新の党の公約も、アベノミクスの方向性を認めつつ第三の矢である成長戦略の不充分さを訴えています。「稼げる国」になるためには競争政策が必要だとし、農協改革や混合診療の解禁などを掲げています。ちなみに新自由主義は「強い者を優遇し、もっともっと強くして、勝ち上がった一握りの大企業や大金持ちが日本経済を活性化させる」という考え方で、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透する」「金持ちを儲けさせれば、貧乏人もおこぼれにあずかれる」というトリクルダウンと呼ばれる政治思想です。

このような思想を「是」とした中で経済政策を競い合うようでは、とても安倍政権との明確な対抗軸を打ち出した政党にはなり得ないものと思っています。それに対し、「バラマキ」という批判にも留意しなければなりませんが、民主党が進めた子ども手当や高校授業料の無償化などは国民生活を第一に考えた政策だと言えます。社会保障の充実や雇用の安定化をはかることで国民一人ひとりに安心感を与え、内需を活性化させるという実体経済を重視した政策の方向性を民主党は柱としているはずです。

その他、維新の党と民主党の掲げる個々の課題では共通項や違いなどが混在していますが、もう一つ大きな懸念があります。維新の党の公約には国民受けし、選挙に有利に働くことを企図したような内容が並んでいます。国会議員歳費と定数の3割削減、国と地方の公務員総人件費の2割削減などの公約には強い違和感があります。民主党が政権を奪取した後に経験した反省材料に繋がる話だと言えますが、具体的な数値目標を示した公約には慎重になるべきだと感じています。

そもそも現行の選挙制度で国会議員の歳費を削り過ぎれば、自己資金を豊富に捻出できる資産家しか政治家になれなくなってしまいます。公務員人件費の問題も現状や将来的な事務事業のあり方を無視し、枠をはめていく発想は改めて欲しいものです。特に地方の自立を公約の中で唱えながら、地方公務員の人件費の問題に言及する発想そのものが論外だと思っています。維新の党の公約について、あれこれ書き進めてしまいましたが、前回記事の後段に記したとおり野党同士のつぶし合いを避ける選挙協力は必要だろうと考えています。

基本的な理念が隔たる政党同士の新党結成よりも、問題視すべき点が多々ある安倍政権に一矢報いるという共通目標のため、できる範囲内で協力し合うことは充分大義のある判断や行動だろうと理解しています。いずれにしても衆議院の解散を受け、民主党には自民党との対抗軸を明確化して欲しいという願いを強めています。2年前の記事「衆議院解散、今、思うこと」や今年6月の記事「民主党に期待したいこと」に託した思いの焼き直しになるものと思いますが、できれば次回以降の記事でも、この続きのような話を書き進めさせていただくつもりです。

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2014年11月16日 (日)

解散風と定期大会

水曜の夜、私どもの組合の定期大会が開かれました。昨年の記事「定期大会の話、インデックスⅡ」の中で詳しく綴っていますが、組合員全員の出席を呼びかけるスタイルであるため、いつも出席者の数が成否の目安となっています。今回、359名の組合員が会場まで足を運んでいただき、昨年より44名増えていました。大会当日の組合員数は1242名で昨年より53名減っていますので、ここ数年の間でも出席率は高いほうに位置付けられる数字でした。

冒頭の執行委員長挨拶は、いつも簡潔に行なうように心がけています。人前で挨拶する機会が多いため、檀上で緊張するようなことはありません。原稿がなくても大丈夫ですが、いろいろ話を広げてしまい、割り当てられた時間をオーバーしてしまう心配があるため、毎年、定期大会だけは必ず挨拶する内容の原稿を用意しています。昨年は途中で言葉をスムースに繋げられない時があり、自分自身「今一つだった」と感じていました。

すると大会終了後、ある執行委員の方から「今年はキレがありませんでしたね」と声をかけられていました。今回の大会が終わり、同じ方から「今年はキレがありましたね」という感想が寄せられ、さらに「この話は今年もブログで取り上げてもらえるんですかね」と笑顔で問いかけられていました。このような期待(?)に応え、「解散風と定期大会」というタイトルを付けた新規記事に取りかかり始めていました。ここ数年、挨拶原稿のほぼ全文をブログで紹介していますが、今回の内容は下記のとおりでした。

今年、リニューアル・オープンした市民会館に戻ってきました。1階だけでも千人ほどの観客席ですので、少しガランとした雰囲気ですが、毎年、役員関係者も含め300人を超える出席者を集めています。他の組合では代議員制の定期大会が増えているようですが、まだまだ組合員4人に1人集まる場であり、組合員全員に出席を呼びかける方式は貴重だろうと考えています。そのような貴重な機会ですので、組合の多岐にわたる課題についてじっくりお話したいところですが、時間も限られていますので簡潔に何点かに絞ってお話させていただきます。

まず国政の話で言えば、突然、衆議院解散の風が吹き始めています。内閣支持率は常に高く、最近でも50%前後で推移していますので、組合員の皆さんの中にも安倍政権を支持されている方も多いのだろうと思っています。55年体制の頃のように労働組合員だから専ら「この政党を支持」という構図から程遠くなっていることをしっかり押さえなければなりません。政治の問題に限らず、組合の方針や活動について「結論ありき」で組合員の皆さんにお示しするのではなく、「なぜ、取り組むのか」「なぜ、反対しているのか」という丁寧な発信や相互の意見交流がますます大事になっているものと考えています。

その意味で改めて説明させていただきます。企業内の交渉だけでは到底解決できない社会的・政治的な問題に対し、多くの組合が集まって政府などに声を上げていくことも昔から重要な組合運動の領域となっています。そのため、私どもの組合も一定の政治的な活動に取り組んできていますが、特に選挙にかかわる方針は組合員の皆さんに押し付けるものではなく、よりいっそう必要性や意義についてご理解やご協力を求めるスタンスを重視してきています。

そのような点に留意しつつ解散総選挙に至った場合の問題意識も訴えさせていただきます。安倍首相が日本経済を立ち直らせようと努力していることはその通りだろうと思います。しかし、労働者保護ルールの見直しをはじめ、強いものをより強くし、社会的格差を広げていく懸念が常に付きまとっています。そもそも経営者側の視点に偏り、成長戦略のための規制緩和であり、「企業が世界で一番活動しやすい国」を作ることが目的化されてしまっています。

また、安倍首相も戦争を防ぐために集団的自衛権の問題に踏み出したのだろうと見ています。しかし、戦争に巻き込まれるリスクは格段に高まり、日本国憲法の平和主義から逸脱し、「普通に戦争ができる国」に繋がっていくという懸念は簡単に拭えるものではありません。個別の世論調査を行なえば、このような疑念は多くの国民が抱えているものです。原発の問題も同様です。大半の国民の思いは将来的には「原発ゼロ」を願っていますが、安倍首相や自民党はそのように決して考えていないようです。

このような個別の論点が問題視されていながらも、現時点では安倍首相の率いる自民党の勝利は極めて高いというように見込まれています。その結果、問題視されている個々の課題が一緒くたに信任されたという構図、民意の「ネジレ」に繋がりかねない事態を憂慮しています。実際、解散に至った場合、改めて方針提起等の手順となりますが、時節柄、このような問題意識について取り急ぎ示させていただきました。

続いて、私どもの組合の課題についてお話させていただきます。当面する闘争方針案でも触れますが、地域給の見直しによる給与水準引き下げの問題です。それこそ組合の本務として、組合員の皆さんの生活を守る立場から水準維持に向けて全力を尽くしていきます。人員確保・職場改善要求アンケートでは様々な声が寄せられています。今後、切実な要求をまとめ、年度末まで精力的に交渉を重ねていきます。経過を振り返れば、今年の7月末には保育園の問題で職場組合員が90名ほど集まり交渉を持ちました。後ほどご本人からご挨拶頂戴しますが、9月議会では組合推薦議員から現業職の新規採用試験の復活に向け、一般質問で追及していただきました。

このように組合の役割があり、組合員の皆さんから期待されている任務があります。私自身、組合役員を長く続ける中で「組合は大事」という思いを強めてきました。なくしてはいけないと思っている組合だからこそ、ここ数年、組合役員の担い手の問題で悩んでいます。幸いにも今回も、様々な事情を乗り越え、留任を決意された方、新たに手をあげてくださった方がいます。本当に心強く受けとめながら、さらに来年以降、飛躍するための態勢が繋げられたものと考えています。

ちなみに当たり前なことですが、定期大会での挨拶は私どもの組合員の皆さんに向けて発信しています。上記の内容は固有名詞を一部差し替えている箇所もありますが、用意した原稿の原文をそのまま掲げています。不特定多数の方々が閲覧できるインターネット上であることを意識していますが、コソコソ隠すような内容は皆無だと考えています。そもそもブログの中で取り上げてきた話を多用しているため、常連の方々にとって目新しい内容も少ないものと思っています。

その上で今回の記事タイトルにある「解散風」について、もう少し書き進めてみます。まず公務員組合が政治活動に関わること自体、批判的な見方をされる方々が多いことも理解しています。それでも以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」で説明しているような立場を基本とし、労働組合の本務といえる職場課題と主客逆転しない線引きを意識しながら取り組んでいます。さらに大会で挨拶したとおり取り組むのであれば「なぜ、取り組むのか」という情報発信を重視しているため、あえて当ブログでは政治的な話題を数多く取り上げてきています。

さて、水曜日の段階では、まだ「解散風」が吹き始めたばかりで不確定さも残っていました。しかし、日を追うごとに衆議院の解散、12月14日投票という日程までが確実視されるようになっています。「なぜ、この時期に解散するのか」という大義が取り沙汰されていますが、安倍首相からすれば「今、解散すれば負けないから」という思惑があるからだろうと見ています。その結果、私自身が懸念しているような「信任を得たい」と安倍首相は考えているものと推測しています。

不意をつかれた野党側は選挙協力の話し合いを急いでいます。みんなの党は民主党との合併も検討しているようであり、民主党と維新の党との選挙協力も、ある程度具体化しそうです。しかし、維新の党の共同代表である大阪市の橋下市長は労組排除を掲げ、民主党との選挙協力には反対の立場です。批判されている労働組合側の役員の一人としては、不当労働行為を繰り返しているような橋下市長の影響力が強い政党とは逆に距離を置くべきものと考えています。

とは言え、小選挙区が主体である選挙制度において、複数名の野党候補者が乱立した場合、自民党の候補者を利する構図に繋がってしまうことも間違いないようです。幸か不幸か民主党をはじめ、くまなく各選挙区に候補者を揃え切れていない現状です。そのため、あえて候補者を擁立せず、野党同士のつぶし合いだけは避けるという選挙協力が現実味を帯びてきています。いずれにしても民意の「ネジレ」を避けるためには、野党間の選挙協力の必要性も理解していかなければならないようです。

2年前の記事「衆議院解散、今、思うこと」の中で、大きな方向性が合致した上で基本的な信頼関係を築けるかどうかが大事な時代になっていることを記していました。さらに「働くことを軸として、安心できる社会を作っていく」「2030年代に原発をゼロにする」「強い言葉で外交・安保を語る風潮が強まってきたが、極論の先に解決策はない」という野田前首相の言葉を紹介し、広く支持を得られながら自民党との対抗軸になり得るものと期待していました。今後、このような対抗軸のもとに野党間で信頼関係を築けるのかどうかを鍵にして欲しいものと願っています。

ちなみに今年6月には「民主党に期待したいこと」という記事を投稿し、もともと備えている民主党としての基本的な立ち位置、リベラルな色合いを持ちながらもイデオロギーが前面に出ない政党としての存在感を高めることで、おのずから自民党との対抗軸が浮き彫りになっていくように見ていることも綴っていました。きっと今回のような話は次回以降の記事の中でも掘り下げていくことになるはずです。最後に「中間層の解体なのか、復活させるのかが問われる選挙になる」という野田前首相の講演内容を紹介したサイト(ここをクリック)へのリンクをはらせていただきますので、ぜひ、興味を持たれた方はご覧になってください。

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2014年11月 9日 (日)

政治改革の熱狂と崩壊

土曜日、連合東京推薦自治体議員懇談会の総会が中野サンプラザで開かれました。地区協で議長代行を務めていますが、文字通り議長の代わりに出席していました。日頃の議長や事務局長の負担に比べ、いろいろ配慮いただいています。そのため、このような時のピンチヒッターは日程の都合がつく限り、なるべく引き受けるようにしています。出席の返事をした後、送られてきた総会の案内文書を目にし、基調講演の講師が民主党顧問の藤井裕久元財務大臣であることを知りました。

少し前に藤井さんの著書『政治改革の熱狂と崩壊』を拝読していました。編者は日本テレビの政治記者の菊池正史さんです。その著書名と同じ演題だったため、義務感からの代理出席だったつもりでしたが、思いがけない楽しみが加わっていました。いつも立ち寄る書店でタイトルに興味をひかれ、購入した後、数日間で読み終えていました。内容の面白さや分かりやすさ、「なるほど」とうなづきながら共感する箇所が随所にあふれていました。そのため、機会があればブログでも取り上げたいものと考えていました。

もちろん藤井さんの考え方と私自身の考え方がすべて一致している訳ではありません。そもそも財務大臣を務められた方と比べること自体、たいへん失礼な物言いなのかも知れません。そのような僭越さを踏まえながらも、著書全体を通して伝わってくる基本的な視点や考え方に共感を覚えていました。このように共感した内容をインターネット上で「拡散」することの大切さも感じているため、これまで読み終えた書籍や出席した講演を題材にしたブログ記事を多数投稿しています。

今回、土曜日の講演内容を中心に著書の記述内容も適宜加えながら藤井さんの言葉を紹介していきますが、人によっては強く反発される箇所も多いのだろうと考えています。それはそれで当たり前なことであり、多面的な情報の一つを提供するサイトとしてご理解願えれば幸いです。まず藤井さんは82歳で戦争経験者です。小平市に学童疎開していた時、撃墜されたB29の現場で見た光景、原形をとどめない兵士たちの遺体、飛び散った断片の中に女性兵士の赤いマニキュアをした手があったことを著書の中で記されています。

東京大空襲で熱風を吸い込みながら火傷で亡くなった多くの遺体も目にしていました。日本人でも、アメリカ人でも、戦争で死んでいくことの悲惨さ、残酷な現実を小学生の時に藤井さんは目に焼き付けられていました。戦争というものを実体験し、肌にすりこまれた感覚として理解する日本人が少なくなった、まして政治家に戦争経験者がいなくなり、戦争を「外交の手段」という理屈に支配されがちな現状を藤井さんは強く憂えています。そのため、講演の冒頭で政治への熱狂の最たるものは戦争であると述べられていました。

当時、7千万人の日本人が戦争に熱狂する中、冷静に日本の行く末を案じた人物の名前を藤井さんは紹介されました。一人は夏目漱石、『三四郎』の中で日露戦争の後に日本は駄目になると登場人物に語らせていたことを紹介しています。もう一人は石橋湛山、「小日本主義」のもと満蒙からの引き上げを訴えていたことを紹介し、藤井さんが最も尊敬する首相経験者であるという話も伺いました。さらにシンガポールが陥落した2か月後に行なわれた翼賛選挙においても、反翼賛の候補者が85人も当選していたことを紹介されていました。

このように時代の空気に迎合せず、熱狂することもなく、戦前戦中にも自らの「正しさ」を主張した人物が数多くいたことを講演の冒頭に藤井さんは語られました。その上で、現在の政治状況の話に繋げられていきました。藤井さんは講演の途中、何度も「安倍首相のことを語るとよく批判されるけど…」という言葉を繰り返されていました。それほど安倍首相を支持されている方、安倍首相と同じ考え方を持たれている方が多い証しだろうと思っています。そのような批判や反発にひるむような藤井さんではないため、いつも、どこでも安倍首相の考え方や政策について辛口な言葉を投げ続けられているようです。

藤井さんは安倍首相の歴史観の偏りを指摘し、首都南京を陥落し、広東まで攻めていながら「侵略だったかどうか分からない、学者が決める」という言い分を問題視されています。著書の中で「自分の国を思うナショナリズムは大切だ」としながらも「自分たちが全て正しいし、正しかったという価値観は、偏狭であり、不寛容となり、諸外国との対立しか生まない」と記されています。講演の中でも大正から昭和初期の時代も含め、日本の正当性を主張するようでは偏狭なナショナリズムだと言わざるを得ないと説かれていました。

集団的自衛権の問題では明確に反対だと言い切られています。一国平和主義では持たないが、2、3か国間の集団的自衛権は必ず仮想敵国を作るため、戦争に巻き込まれやすくなると危惧されています。第一次世界大戦も複数の国の軍事同盟が絡み合い、オーストリアの皇太子暗殺事件が世界大戦に繋がったことを説明されていました。その反省のもとに国際連盟ができ、現在の国連に至り、多国間の安全保障体制こそ、極めて重要であることを藤井さんは強調されていました。

経済政策については「金をばらまけば良くなる」という傾向が強すぎることに疑問を呈されています。歴代の総理大臣の中で安倍首相ほど株価を意識しているのは異例であることを指摘し、持てる人をより持てるようにする政治の方向性を危惧されていました。そもそも中央銀行の役割は物価と通貨の安定に努めることであり、最近の日銀の動きについても藤井さんは不安視されていました。物価インフレよりも資産インフレが進み、円安の加速に強い危機感を持たれています。

藤井さんは実体経済を重視される方であり、貨幣・金融面での政策を先行させているアベノミクスを厳しく見られているようです。なお、ここまでお読みくださった方の中には「それでは民主党政権の時、どうだったのか」という疑念を持たれる方も少なくないはずです。民主党政権の進めた様々な政策が評価されず、2年前の総選挙で惨敗したことも確かです。一方で、安倍政権に代わり、経済が上向き始めたことも事実であり、批判のための批判は控えなければなりません。

ただ医療で例えた際、副作用の心配がありながらも治療を続け、結果的に取り返しの付かない事態に至った場合、その責任が免れるものではありません。私自身も安倍首相の打ち出す政策の効果が一時的なものではなく、日本全体を活性化させ、国民全体を豊かにしていくのであれば積極的に支持したいものと考えています。しかし、どうしてもGPIF改革をはじめ、アベノミクスの第三の矢や株価を意識すぎるあまり、大きなリスクを矮小化しているように思えてなりません。

よく「反対するなら対案を示せ」という言葉を耳にします。それに対して「問題があるから現行のままで」という選択肢も一つの「答え」だと思っています。第一の矢、第二の矢も本当に正解だったのかどうかは数年先に明らかになるはずです。アベノミクスが失敗ではなかったことを祈りながらも、私自身は藤井さんの実体経済重視の姿勢に強く共感しているところです。いずれにしても藤井さんは社会保障の充実や非正規の課題を中心に雇用の安定をはかり、内需を高めていくことのほうが大事であることを訴えられています。

財源の問題として、藤井さんは60年前から消費税の必要性を説かれてきています。これほど公平で公正な税金はないと述べられ、所得税は現役世代の負担が重くなりがちで、すべての消費に対して広く課税していく消費税は、世代間や業態間での公平公正さが保てる税制だと説明されています。その上で、消費税の引き上げは社会保障の充実のためであること、国会議員の定数削減が安倍首相と野田前首相との約束だったことを強調されていました。

他にも書き留めたメモの内容が残っていますが、たいへん長い記事になっていますので、このあたりでまとめに入らせていただきます。藤井さんは海江田代表に奇をてらったことを言わず、雇用、社会保障、平和の問題で頑張るように助言されているそうです。この中野サンプラザの会場に足を運んだ自治体議員の皆さんに対しては「普通の人を相手にしてほしい」と話され、経済団体など特定の利益集団のトップとばかり付き合っていると偏ってしまうというアドバイスでした。

経済団体を労働団体に置き換えると「ここに参加している人ばかりと付き合うな」と聞こえてしまいますが、藤井さんの素振りからそのような意図はなかったようです。それでも一般論としてその通りの話であり、私自身をはじめ、普通の組合員一人ひとりの声を代弁できなければ「偏ってしまう」という言葉を重く受けとめることになります。最後に、藤井さんは国会の現状を意識されたものと思いますが、「ネガティブキャンペーンはやめよう、自分に戻ってくる、政策でやっつけてほしい」という言葉で締めくくられていました。

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2014年11月 1日 (土)

労働者保護ルールの見直し

公職選挙法で柄や骨組みがある団扇は有価物(価値がある物品)に相当し、配布することが禁じられています。一方で、丸い厚紙の下側に穴を開けている「団扇のようなもの」の配布は問題ないようです。些末なことですが、政治家の皆さんにとって必ず把握しなければならない大事な峻別となっています。この峻別を知りながら配布していたら順法精神が問われ、知らなかったら不勉強のそしりを受けることになります。

開会中の臨時国会、連日「政治とカネ」の問題が取り沙汰されています。その問題ばかりで国会議論が費やされている訳ではないはずですが、スキャンダルを追及している野党議員の質問がメディアに取り上げられがちなため、重要法案の議論が置き去りにされているような印象を強めています。さらに「撃ち方やめ」発言の報道を巡り、安倍首相が朝日新聞を批判した話など理性的な論戦から遠ざかりがちです。このような内容の新規記事も考えましたが、組合役員の立場を踏まえれば労働者保護ルールが見直される動きのほうを重視しました。

28日の衆院本会議で審議入りした労働者派遣法改正案について、政府は「派遣労働者の能力向上を図り、正社員への転換を促す」と説明している。しかし、企業は運用次第で派遣労働者をずっと使い続けることが可能になるのが実態だ。労働組合は「生涯派遣、正社員ゼロ法案」と強く反発。派遣労働者からは「正社員として働く希望さえなくなる」との声も上がっており、審議を通じて問題点が浮き彫りになりそうだ。

現行法は派遣労働の固定化を避けるため、一般事務など大半の仕事は派遣労働者を3年しか雇えない。一方、高い技量が必要で企業側の需要が高い専門26業務は、この規制がない。ただ、こうした労働者保護の規定も、力関係の強い派遣先企業との間で十分には守られていない。派遣で7年間働く東京都内の女性事務員(32)は、仕事は一般事務だが、派遣先では専門26業務の一つ「OA機器操作」要員とされる。今の職場は3年の上限を上回る5年目で「派遣は立場が弱く、違法でもモノが言えない」と漏らす。

改正案が成立すれば、専門26業務は廃止され、全業務とも派遣期間の上限が3年となる。その一方で、労働者を3年ごとに入れ替えれば、どんな仕事でも永久に派遣に任せられるようになる。専門職でも、派遣労働者は3年で仕事を変わることを迫られる。女性事務員は「頑張っていれば、いつか正社員に」とボーナスがない仕事に耐えてきた。成立すれば、職場で3年ごとに派遣労働者が入れ替わる事態も起きかねない。

厚生労働省の調査では、派遣労働者約116万人のうち6割以上は、正社員登用を望んでいる。改正案は正社員化を後押しするため、派遣元企業に対して労働者への計画的な教育訓練や、派遣先に直接雇用を求めることなどを義務づける。同省は「派遣が増えることはない」と語る。ただ、改正案が実際に安定雇用につながるかどうかは懐疑的な見方が強い。大卒後に派遣で働き続けてきた女性(42)は、商業英語を学ぶなど能力を磨いてきたが、正社員にはなれていない。派遣社員と企業の発言権の大きさはかけ離れており、「会社は使い勝手がよくなったと思っただけ。私たちは都合のいい部品なのか」と憤る。【毎日新聞2014年10月29日

労働者派遣法の見直しの他に「残業代ゼロ法案」だと言われているホワイトカラーエグゼンプションや解雇の金銭解決制度などの導入も目論まれています。この動きは今年3月の記事「春闘の話、インデックスⅡ」の中でも取り上げていましたが、アベノミクスの「成長戦略」イコール労働者保護ルールの全面的緩和という関係性で見ざるを得ません。衆院本会議で「生涯派遣の労働者が増えるのではないか」という質問に対し、安倍首相は改正案が正社員になるための教育訓練を派遣元企業に義務付けていることなどをあげ「派遣就労への固定化を防ぐ措置を強化している」と反論しています。

安倍首相は本心からそのように信じているものと思います。しかし、労働者保護ルールを見直そうという動き自体が経営側の視点から発案され、「企業が世界で一番活動しやすい国」を作ることが目的化されたものとなっています。そのため、間違いなく労働者にシワ寄せが行く見直しにつながってしまうはずであり、連合は「STOP THE 格差社会!キャンペーン」を展開し、労働者保護ルールの見直しに反対する行動を強めています。

そのキャンペーンの中で連合は、日本再興に必要なのは働く人を守るために作られた「岩盤」の破壊ではなく、傷んだ雇用の立て直しであることを訴えています。また、連合は各自治体で請願や陳情を採択する取り組みを提起しています。この提起を受け、私どもの市でも12月定例会に向けて「労働者保護ルール見直しの慎重な対応を求める請願」の採択をめざしています。文案は下記のとおりですが、自民党と公明党会派からも賛同を得られるよう連合推薦議員が中心となって調整に入る運びです。

我が国の労働者は、その大多数が雇用関係のもとで働いています。この雇用労働者が安定的な雇用のもとで、安心して働くことのできる環境を整備することが、デフレからの脱却、ひいては日本経済・社会の持続的な成長のためにも欠かせません。

現在、国においては「解雇の金銭解決制度」や「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入、「限定正社員」制度の普及、労働者派遣法の見直しなどが議論されています。成長戦略の一つとして必要な見直しがあるのかも知れませんが、労働者を保護するルールが後退する側面も否めません。結果として雇用を不安定化し、国民生活の安定や経済の好循環に逆行する懸念も指摘されています。

また、雇用・労働政策は、ILOの三者構成原則に基づき労働者代表委員、使用者代表委員、公益代表委員の三者で議論すべきものであり、現在の議論の進め方も疑問視せざるを得ません。そのため、労働者が安心して働くことができるよう下記の事項について議会での意見書を採択の上、国会及び関係行政庁に提出くださるよう請願します。

  1. 「解雇の金銭解決制度」「ホワイトカラー・イグゼンプション」「限定正社員」制度の見直しは、労働者の意向を踏まえ、慎重に対応すること。
  2. 労働者派遣法の見直しは、低賃金や低処遇のままの派遣労働の拡大につながりかねないことから、より安定した直接雇用への誘導と処遇改善に向けた制度を整備すること。
  3. 雇用・労働政策に係る議論は、ILOの三者構成原則にのっ取って行うこと。

今回、コピー&ペーストが多くなり、省力化(coldsweats01)をはかった記事となっています。さらにコピペで終わることになりますが、労働者派遣法の見直しに絡む朝日新聞の社説を紹介させていただきます。 最近の記事「年功賃金の問題」の中でも紹介したとおり濱口桂一郎さんのブログ「EU労働法政策雑記帳」をブックマークし、ほぼ毎日拝見しています。10月30日の記事「本日の朝日社説on派遣がまともすぎる」が興味を引いたため、濱口さんが推奨した社説の内容を掲げさせていただきました。

派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結んで、派遣先企業で働いている。派遣先で仕事がなくなると派遣会社から解雇されたり、賃金を安くされたりする問題がある。このため、派遣労働が広がらないよう、派遣先が派遣社員を受け入れる期間は上限3年に規制されている。ただし、専門的だとされる26業務では期間の制限はない。この「業務」による規制がわかりにくいという主張が、派遣業界や経済界に強かった。派遣労働者にとっても、上限を業務で決めると、例えば前任者が2年をこなすと、後任の派遣社員が1年しか働けない事態が起きてしまう。

改正案は、業務による規制を見直し、派遣会社と派遣社員の間の契約期間によって区別することにした。期間を決められている有期雇用派遣と、定年まで働ける無期雇用派遣だ。同じ派遣先で働ける期間は、前者が上限3年、後者は無制限となる。 派遣会社が無期雇用派遣を増やせば、派遣社員から見ると、解雇の不安は緩和される一方で、働き方が派遣というスタイルに固定される恐れもある。有期雇用派遣の場合は、3年ごとに派遣社員を代えれば良く、業務自体が派遣に固定化されてしまう可能性が残る。

国会での論議も、この見方を巡って賛否が割れている。しかし、目指すべき方向ははっきりしている。同じ価値のある仕事をしている人には同じ待遇を義務づける「均等待遇原則」を導入することだ。この原則があれば、派遣会社に支払うマージンが必要な派遣労働は直接雇用よりも割高になり、コスト目的で派遣労働を使うことへの歯止めにもなる。改正案のとりまとめ過程で均等待遇原則の導入が提案されたが、経営者側の反対で見送られた経緯がある。確かに、いきなり賃金の均等待遇を実現させるには、無理もあるだろう。

しかし、交通費などの手当や福利厚生面で待遇に違いがある。まず、そんな扱いをやめて、原則の実現を目標にするべきだ。改正案には、これまで一部の派遣会社に認められていた届け出制をやめ、全てを許可制にすることも盛り込まれた。条件を満たせば届け出だけですんだことが、不適切な業者がはびこる一因になっていたからだ。改正案に盛り込まれた改善の流れを太くするためにも、派遣労働者の所得が向上する道筋をつけること。その責任が、この国会にはある。

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