民主党に期待したいこと
先週日曜、最近の記事「市議選まであと1か月」「市議選まであとわずか」でお伝えしていたとおり私どもの自治体の議員選挙が行なわれました。定数28に対して34名の立候補があり、泡沫候補が皆無に近い激しい選挙戦の中、組合が推薦した候補者(民主党公認)は1,261票を得て、26位で当選することができました。この間、ご支援ご協力いただいた皆さん、改めてありがとうございました。
投票率は市議選史上最低の41.67%にとどまりました。昼頃まで強い雨が降っていた影響もあるようですが、前回の49.13%から大幅な低下となりました。このような低投票率の中、組合が推薦した候補者の得票は前回の1,997票から736票も減らしていました。ただ前回より得票を増やした候補者も多く、政党や会派で見た際、自民党(8名擁立7名当選)、共産党(5名全員当選)は前回よりも得票数を伸ばしています。
これまで1議席しか得たことがなかった生活者ネットワークは候補者を2名擁立し、共倒れの恐れがささやかれていました。それが二人合わせた得票数は3,162票で、みごと2名とも当選を果たすことができました。前回2名擁立し、二人とも及ばなかった社民党は今回1名に絞りながらも912票にとどまり、議席を得られませんでした。公明党は堅実に立候補者7名全員が当選していますが、得票数は前回の16,282票から2,046票減らし、14,236票となっています。
市議会議員選挙は有権者の顔が見える中での一票一票の積み重ねによって、結果が左右されるはずであり、あまり「風」には影響されないものと考えていました。しかし、今回の市議選の開票結果は予想を大きく裏切る数字を示していました。民主党系は7名の会派でしたが、今回、現職6名(内1名は無所属の推薦候補)に絞って選挙戦に臨んでいました。先ほど組合推薦候補が736票減らしたことを記しましたが、他の候補者5名の結果も次のとおり予想以上の落ち込みを見せていました。
I候補は前回2,781票から1,064票減らし1,717票、連合も推薦しているO候補は2,305票から748票減らし1,557票、M候補(無所属)は1,899票から258票減らし1,641票、U候補は1,649票から459票減らし1,190票、T候補に至っては1,729票から959票減らし770票で議席を得られませんでした。今回、立候補しなかった女性市議の前回の票は2,525票でしたので、民主党系の得票数は14,885票から6,749票も減らしたことになります。
民主党の支持率は低迷したままですが、これほどまで市議会選挙に影響を及ぼすことについて事前に見通せていませんでした。本来、労働組合など団体からの支援を受けている候補者は投票率の影響が少ないはずですが、連合推薦の2候補者とも前回の票から大きく後退していました。もともと組合の政治方針を組合員全体に共有化していくことが難しい時代になっていますが、ますますギャップが深まっていることを受けとめていく機会に繋げなければならないのかも知れません。
このような結果を受け、民主党内では来春の統一地方選挙をにらみ、野党再編や代表交代の話がくすぶり続けていくのでしょうか。これまで民主党を中心とする政権が発足した直後には「新政権への期待と要望」「民主党との距離感」 という記事を投稿し、連合や自治労が民主党を応援しているからと言って当たり前なことですが、その構成員すべてが民主党を支持している訳ではなく、私自身も民主党の方針に全面的に従う必要性がある立場ではないことなどを記してきました。
その上で私どもの組合員の皆さんに対し、民主党への支持を強く訴えてきた責任者であることを重く受けとめながら、このブログで「民主党を応援する理由」「海江田代表に願うこと」「民主党との距離感、2013年春」など民主党に絡んだ内容の記事を数多く投稿してきました。このような話題を当ブログで取り上げること自体、批判の対象になる場合もありますが、広く発信していきたい一つの問題提起として今までと同様、個人的な思いを個人の責任で気ままに書き進めさせていただきます。
まず労使交渉を通して体感してきた思いがあります。立場や視点が異なる者同士、対等な立場で率直な議論を重ねていくことの重要性です。協議事項を多面的に検証することで、問題点を改められる機会に繋がります。経営者側の目線だけでは見落としがちとなる点、もしくは働く側にとってアンフェアな提案に対し、労使交渉という手順を踏むことで、より望ましい修正や改善がはかれるようになります。
このような仕組みは政治の場でも同様に求められているものと考えています。例えば労働法制の見直しの問題では、あまりにも経営者側の視点に偏ったまま進められていくことを危惧しています。他にも具体例をあげれば切りがないほど政府与党が示す法案等に対し、視点を変えれば問題が大きい場合もあります。見方を変えれば、民主党政権の時も同様な問題があったろうと思います。物事の是非に対して絶対的な「正解」は簡単に見出せないものと考えています。
だからこそチェック機能を効果的に働かせる仕組みが重要であり、より国会審議の場などで発揮して欲しいものと願っています。「決められない政治」が批判されていましたが、与党多数の結果、問題点が修正されないまま「決められていく政治」のほうが余程批判を受けるべき話だと思っています。現在の巨大与党に対し、チェック機能を充分働かせられないバラバラな弱小野党という構図になっています。さらに今後、総選挙の際、いつでも政権交代できる緊張感を持った2大政党制の必要性からも野党再編が取り沙汰されています。
先日、民主党の前原元代表は報道番組で大阪市の橋下市長との合流について「(確率は)100%だ」と言い切られていましたが、非常に強い違和感を抱いています。以前の記事「海江田代表に願うこと」の中でも綴ってきましたが、日本維新の会、みんなの党との選挙協力の問題などについて疑問視しています。「強い者を優遇し、もっともっと強くして、勝ち上がった一握りの大企業や大金持ちが日本経済を活性化させる」「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透する」という競争を過度に重視した路線に異を唱えたのが民主党政権だったものと理解しています。
その点で見れば、日本維新の会、みんなの党は自民党よりも新自由主義の色彩が強いように感じています。加えて、労働組合との関係性をネガティブな「しがらみ」だと批判している点では結いの党も同様であるため、めざしている野党再編の動きには常に違和感が生じがちです。アメリカの民主党は一般的に中道からリベラルの立場の議員が所属し、労働組合が応援している政党です。イギリスの労働党は文字通り労働組合が支持基盤となっています。
いっそのこと労働組合との関係性をいっそう深めるべきと言うつもりはなく、せめて労働組合との関係性を決して負の側面だととらえず、逆に強みとし、そこを起点にした理念や政策の再構築を願っています。「働くことを軸として、安心できる社会を作っていく」という言葉は民主党と連合が共通認識に立っているものです。また、野田前首相は総選挙戦で「強い言葉で外交・安保を語る風潮が強まってきたが、極論の先に解決策はない」と訴えていましたが、民主党そのものの立ち位置を表した言葉だと思っています。このような立場性一つ取っても、今の自民党との対抗軸をしっかり打ち出していけるものと考えています。
そもそも自民党との対抗軸が曖昧なまま、野党の再編が進んでしまった場合、単なる与党の補完勢力にとどまり、前述したような視点や立場の相違からのチェック機能を充分働かせられない恐れもあります。もちろん野党だから「何でも反対」と言って欲しいという訳ではありません。もともと備えている民主党としての基本的な立ち位置、リベラルな色合いを持ちながらもイデオロギーが前面に出ない政党としての存在感を高めることで、おのずから自民党との対抗軸が浮き彫りになっていくように見ています。
付け加えれば、各選挙区には捲土重来を期している民主党の候補者が数多く控えています。そのような現状の中で進む野党再編やギブ&テークを求められる選挙協力について、どうしても懐疑的な思いが付きまといます。大きく後退した市議選の結果から書き進めているため、失笑されてしまうのかも知れませんが、明確な対抗軸の打ち出し方によっては改めて政権交代の受け皿になり得る潜在的な基盤や可能性があることを民主党には期待しています。
海江田代表は「団結した民主党が中心にいることが極めて重要だ。他党との共通項を広げる流れを作りたい」とし、民主党主導の再編に向けて党の結束を訴えられています。たいへん危機的な状況であることに間違いありませんが、支持率が低迷しているとは言え、5%前後のコアな支持者がいる政党であることも確かです。ぜひ、このような根強い期待感をはじめ、政権を担った経験や各選挙区に再起をめざす候補者がいるという心強さを自覚され、特に民主党国会議員の皆さんには一致結束して頑張って欲しいものと心から願っています。
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