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2013年8月31日 (土)

大阪市で自治労大会

8月26日から28日にかけて、大阪市で自治労の定期大会が開かれました。私自身、事情があって宿泊を伴う出張は極力控えているため、今年も連泊となる自治労大会の参加は見合わせていました。大事な会議の場に足を運べず、たいへん心苦しく思っているところですが、決して自治労から距離を置こうと考えている訳ではありませんので、念のため(coldsweats01)、申し添えさせていただきます。

自分自身がその場にいないのにもかかわらず、このブログで自治労大会について語るのもどうかと考え、これまで直接的な題材として取り上げた年は数えるほどでした。今回、久しぶりにブログの記事本文で取り上げますが、こちらも久しぶりに全国紙の政治面で大きく自治労大会のことが報道されていました。そのことも後押しし、伝聞調の記事内容となってしまいますが、主に政治方針にかかわる話に触れていきます。

民主党の海江田万里代表は26日午前、大阪市で開かれた自治労定期大会でのあいさつで、野党再編に関し「大きな野党をつくるために数合わせの再編をしても大きな成果は生まない」と述べ、慎重な姿勢を示した。同時に「政策の一致が最低限必要だ。どういう点で日本維新の会などと一致がみられるのかを一つ一つ詰めなければならない」と語り、政策を巡る政党間協議の必要性を強調した。【産経新聞2013年8月26日

自宅に届く読売新聞の紙面では「民主、労組重視を強調 自治労大会 維新と連携に否定的」という見出しで、もっと踏み込んだ詳しい内容が掲げられていました。その記事をネット上で探しましたが、見当たらずベタ記事にとどまっている産経新聞の内容の紹介に至っていました。リンク先の文章をコピーペーストする省力さから比べれば格段に手間がかかりますが、やはり手元にある読売新聞の当該記事の内容を入力し、皆さんにも紹介させていただきます。

民主党の海江田代表は26日、大阪市で開かれた全日本自治団体労働組合(自治労)の定期大会で、日本維新の会との連携に否定的な考えを示した。自治労などに批判的な維新の会との連携より、最大の支援団体である労組との関係強化優先の姿勢を強調したものだ。海江田氏は、自治労定期大会で「数合わせは大きな成果を生むことにならない。政策の一致が最低限必要で、今の時点で維新の会などと、どの政策で一致が見られるのか、精査しないといけない」と述べた。自治労内に、自治体職員や公立学校の教職員らで組織する「官公労」を批判する維新の会への不信感が強いことに配慮したものとみられる。

江田氏は労組の定期大会に出席するなど、参院選の惨敗の「おわび行脚」を続けている。執行部内では「今は野党再編より、最大の支援組織との関係修復が再優先だ」との声が大勢だ。党運営でも労組出身議員の協力が欠かせない。幹事長を辞任した細野豪志氏の後任に労組出身の大畠章宏氏を起用したほか、今月の参院議員会長選では教職員組合出身の輿石東副議長に近い議員が推した郡司彰氏が勝利した。

一方、労組には民主党と距離を置く動きが広がっている。連合は23日に決めた参院選の総括文書で、「もはや、民主党の組織的な信頼は皆無といっても過言ではない」と厳しく批判した。日教組も、2013~14年度の運動方針で、旧民主党時代の1997年から明記していた「民主党支持」の文言を外し、「政策実現可能な政治勢力と支持協力関係を構築する」と他党との連携の可能性に踏み込んだ。【読売新聞2013年8月27日

このような転載の作業はオリジナルな文章を書き進める時に比べ、頭を使うことはありません。ただ一字一句間違えないように気を使い、原文の資料に目を落としながらパソコンの画面に向かうため、意外と手間隙がかかる作業です。さらに余談ですが、この作業によって細かい言葉使いにも敏感に反応するようになります。産経新聞と読売新聞、それぞれ海江田代表の発言が鍵括弧の中に記されていますが、微妙に言い回しが異なっています。

取材の際、録音もするのでしょうが、記者がその場で聞き取ったメモをもとに原稿を作ることが通例だろうと思っています。今回、海江田代表の発言趣旨はそれぞれ同じように伝わりますので、些末な話かも知れません。それでも言い回し一つで、新聞紙面から伝わる趣旨が大きく異なる場合もあり得ます。そのため、マスメディアから伝わる情報も、記者の主観や会社の方針など一定のフィルターを通したものであることを日頃から意識する必要があります。

そもそも今回紹介した読売新聞の「民主、労組重視」という見出しからは否定的なニュアンスが感じ取れます。民主党の支持率が1桁に低迷する中、読者の大半が「それだから民主党は…」というネガティブな印象をいっそう高める記事内容に繋がっているはずです。民主党側が労組重視を訴えながら、労組側は「民主党離れ」を方針化しているようなギクシャクさを読売新聞の記事では強調しています。しかし、決してそのような冷え込んだ関係性に至っている訳ではありません。

民主党のサイトにも大阪市で開かれた自治労大会のことが掲げられていました。海江田代表は自治労大会の挨拶の中で、報道された上記の内容以外に次のような発言を行なっていたようです。「昨年の衆院選挙後、民主党のバラバラ感を払拭しようと党内の意見を集約した結果、足して2で割ったような政策になり、しっかりとした対抗軸を示せなかったのではと反省している」と述べ、自民党に対抗する民主党としての政策をしっかりと打ち出していくことを訴えています。

さらに「与党に対して早期の国会開催を求め、その中で『生活者・納税者・消費者・働く者』の立場に立ち、共に生きる社会をめざすということを明らかにし、存在感を示していきたい。民主党として後のない戦いになるという危機感を持ち、国民の期待に応えられる政党へ再生していく」と表明されていました。私自身、このブログで「海江田代表に願うこと」という記事を投稿し、維新の会、みんなの党との連携を懐疑的に見ていました。したがって、自治労大会での海江田代表の決意を歓迎しています。

ちなみに自治労の徳永委員長は中央本部を代表した挨拶の中で「自治労はこの間、労働組合として民主党を支持し、応援団としての責任を担うべく是々非々で向き合ってきたが、民主党政権の3年間で失った国民からの信頼回復が容易でないことも事実。民主党などの協力政党を中心に自民党などへの対抗軸となる政治勢力の早急な再構築を行なわねばならない時に来ている」と述べていました。

来賓挨拶に立った連合の古賀会長は「真の民主主義の発展のためには一つの巨大勢力が政権を担うのではなく、切磋琢磨していく『2大政党的』勢力が重要。そんな勢力がないのは日本の政治や民主主義そのものが稚拙であると言われても仕方がない。連合はその一翼を担う政党として民主党を支援してきたし、これからも連携を取るべき重要な政党と考える」と発言しています。

いずれの挨拶内容からも、読売新聞が報道したような「労組には民主党と距離を置く動きが広がっている」という意図は伝わってきません。確かに組合員の中に民主党への失望感が広がっていることは間違いありません。一組合の役員の立場からあまり断定調に語れませんが、それでも組織対組織の関係性の中で見た時、現時点で労組側が「将来性のない政党と運命共同体となり、一緒に沈むのは嫌だ」とし、雨の日に傘を取り上げるような掌返しは考えていないはずです。

連合は23日の中央執行委員会で、7月の参院選の総括文書をまとめた。民主党については「組織的な信頼は皆無といっても過言ではない」と厳しく批判。「党の組織を一から立て直し、中長期を展望した政権構想を練り上げる必要がある」として抜本的な立て直しを求めた。 沖縄県の尖閣諸島を巡る鳩山由紀夫元首相の発言や、党方針に背いて無所属候補を支援した菅直人元首相の行動を念頭に「再び党内対立を印象づけ、国民の不信を増幅させる結果となった」とも指摘した。古賀伸明会長は同日の記者会見で「具体的に党再生をどう描いていくか早急に議論を開始する必要がある」と述べた。【日本経済新聞2013年8月23日

この総括文書の「組織的な信頼は皆無」という記述が、連合と民主党との組織的な信頼関係は皆無となったと読み取られているようです。後段の文脈や自治労大会での古賀会長らの挨拶内容を踏まえて考えれば、これまでの民主党の組織運営の稚拙さなどから民主党という組織に対する一般的な信頼が皆無となった、そのように解釈できます。つまり連合と民主党との信頼関係が消え失せた訳ではなく、よりいっそう危機感を強めて党再生に努めて欲しいという叱咤激励に繋がる記述だったものと見ています。

自治労の運動方針も「民主党への支援・協力を基軸に取り組みます」とされ、その議案をはじめ、すべての執行部提出原案が大阪大会で可決されていました。合わせて、「共生と連帯に基づく持続可能な社会」を実現するため、民主党など協力政党を中心に具体的な政治勢力の再構築をめざすことも方針化しています。その具体的勢力の中には「新自由主義」の傾向が強い維新の会、みんなの党は想定していません。そのような意味合いで、海江田代表のめざす方向性と自治労の方針との間には大きな隔たりがないように思っています。

一方で、民主党内には様々な動きがあることも伝わってきます。今回の記事ではそこまで触れませんが、機会があれば改めて取り上げてみるつもりです。特に維新の会、みんなの党との連携を模索している民主党議員の一人として、私どもの組合も推薦している長島昭久さんの名前をよく新聞紙面で見かけていました。直接ご本人か、秘書の方とお会いする機会があった際は、いろいろ率直な話が伺えればと考えています。

最後に、今回の自治労大会で徳永委員長が退任され、東京都本部出身の氏家書記長が委員長に就任されました。氏家新委員長は都本部書記長を務められていた方であり、私とも顔見知りの関係です。このブログのこともご存じであるため、また少しだけ「このコメント欄の限界と可能性」を意識できる気がしています。氏家新委員長につきましては、自治労にとって非常に厳しい情勢が続いていますが、ぜひとも、お体には留意しながら頑張っていただけることを心より期待しています。

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コメント

>OTSU氏
お答えありがとうございます。人間の安全保障についての内容を見ました。
理想は高く持つべきなので、これで良いと思います。

>現在の対中国、対韓国との関係性で言えば、まず話し合いの場を頻繁に持つべきだと考えています。そのためには当ブログを通して訴え続けている「分かり合えなくても、お互いの言い分を認め合い、いがみ合わない」という関係性を築くことが大事だろうと思っています

話し合いを難癖つけて拒否してるのは、中国・韓国です。このような難癖を
付けられるのも日本に明確な弱点があるからです。軍備と憲法ですね。
やはり日本はバランス維持のため、憲法改正し国を守る体勢を構築すべきです。
その後、人間の安全保障に基づき軍縮、非軍事化と進めば良いのでは
ないのでしょうか。もちろん話し合える相手があっての話ですが。

こう考えると私とOTSU氏が目指すゴールは同じものであると言えます。
ならば憲法改正にも反対する必要はないと思えるのですが。
なにごともいきなり変化させることはできません。合意形成のための
段取りが必要です。そのステップで憲法改正や集団的自衛権の確立が
必要なのでしょう。

いかが思われますか?

投稿: nagi | 2013年9月 2日 (月) 12時46分

nagiさん、一つ前の記事に投稿されたWontBeLongさん、コメントありがとうございました。

憲法の問題は2013年4月21日に投稿した「改憲の動きに一言二言」のとおりで、まず立憲主義を軽視する動きには反対しています。その上で、平和主義の理念をどのように守れるかどうかが重要であり、「護憲」という言葉には運動の方向性として狭さを感じるようになっています。

前述した平和主義を重視していく場合、やはり「普通の国」になれなくても仕方ないものと思っています。一国平和主義を是とする訳ではありませんが、ベトナム戦争やイラク戦争のような場面でアメリカと一緒に軍事行動することは「できない」国であって良いものと考えています。そのような制約を前提とした上で、集団的自衛権の問題は「正当防衛」「緊急避難」というような概念をもとに考えていけば、もう少し現実的な対応策もあり得るような気がしています。

投稿: OTSU | 2013年9月 8日 (日) 09時38分

民主党には、本当に歯がゆい思いを感じます。いろんなことを考えすぎなのだと思います。
とにかく優先すべきは自民党中心で既得権ばかりが守られる社会を変えることだと思います。
労組と同じで、弱いものが対抗するためには何よりも数の力が必要です。
民主党は、各政治家がそれよりも理念や信条や野望を優先させるから、バラバラになってしまって、結果が現在の状態なのだと思います。
本当に国民の幸福を願うなら、まずは現在の社会の細部の方向性は変えなくても、全体的な枠組みを変えることに専念して、党が団結しなければいけなかっとのだと思います。
小泉改革は自民だからできたのであって、急激な変化は勢いだけでは成し得ないと思います。
盛り返しが可能かどうか、本当に不安です。

投稿: WontBeLong | 2013年9月 9日 (月) 07時48分

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